人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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286話 因縁をもつ者達の死闘

東京の暴力革命における主戦場となっている永田町と霞ヶ関の直ぐ隣が皇居である。

 

この皇居には現在の天皇皇后両陛下と退位された前天皇皇后両陛下がおられる様子。

 

皇居の立ち入り禁止エリアである宮殿と宮内庁がある場所では陛下達が避難中のようだ。

 

「こちらです!お急ぎください!」

 

宮内庁職員達に誘導されながら避難するのは天皇皇后両陛下であり、焦りの色を浮かべている。

 

「東京でこのような武力革命が起こるとは…ヤタガラスは何をしていたのだ!?」

 

陛下の身をお守りする役目を担う皇居警察に扮しているのはヤタガラスのサマナー達である。

 

「申し訳ありません、陛下。内閣と我々の情報網を駆使しても此度の動きを掴めませんでした」

 

「言い訳はいい!早く逃げなければ…暴力革命の主戦場は目の前で起きているのだぞ!」

 

「天皇皇后両陛下の命は我々が命を懸けてお守りします、ご安心ください」

 

宮殿と隣接する宮内庁前の広場ではヘリが着陸しており陛下達の脱出手段として待機している。

 

脱出しようとする者達を上空から見下ろすのはアメノトリフネに乗る天津神族達のようだ。

 

「フン……偽りの大和朝廷を演じてきた偽物も消える時がきたようだ」

 

「元より……日の本の大和朝廷は江戸時代が終わる時と同じくして…()()()()()

 

「偽りの皇帝一族に天罰を与える時がきた。既に他の皇族の元にも暗殺者が配置されている」

 

地上を見下ろすタケミカヅチとフツヌシ、それにオモイカネは天に君臨する断罪者。

 

彼らの天罰を実行する代役者とは彼らから委任されたヤタガラス構成員なのだ。

 

「……天皇皇后両陛下、そして退位された天皇皇后両陛下、お待ちしておりました」

 

ヘリの前で立っていたのはヤタガラスの使者を務める女性である。

 

漆黒の御高祖頭巾(おこそずきん)を目深く被り、素顔と本心を晒さない者が口を開く。

 

「今日この日をもって…我々ヤタガラスは陛下達をお守りする任務を放棄致しとう御座います」

 

「な……何だと!!?」

 

周囲に顔を向ければ腰の拳銃を抜いた皇居警察の者達が同伴する宮内庁職員を撃ち殺していく。

 

<<ヒィィィィーーーーッッ!!?>>

 

震えながら膝を崩してしまう皇后陛下達であるが、皇帝達は震えながらも叫ぶ気概を見せる。

 

「き……貴様らは皇室を裏切るというのか!?それが秦氏の意思だというのか!?」

 

「裏切る?我々秦氏が忠義を尽くしてきたのは本物の天皇家の血筋……()()()()()()()()()

 

そう言われた皇帝達の目が見開き、バレていたのかと震え上がっていく。

 

漆黒の着物から取り出すのは二本の召喚管であり、サマナーとしての力を解放する。

 

「ようやく日の本の皇帝を気取ってきた偽物共を始末出来る。長かった…待ちわびましたよ」

 

蓋が開いていく二本の召喚管を振り抜き、MAGの光が悪魔の姿を形作る。

 

周囲が異界化していき、悪魔を認識出来るようになった陛下達の前に現れた神々を見るのだ。

 

「さぁさぁ、これから始まるのは常世への旅立ち。せめて怖がらぬよう、私が舞って進ぜよう」

 

ミニスカートのように短い着物を着て扇子で目元を隠す女神だが口元には不敵な笑みが浮かぶ。

 

【アメノウズメ】

 

天照の岩戸隠れ神話で有名な踊りと芸能の女神であり、天岩戸事件の時に活躍した存在である。

 

うつぶせにした空の桶の上で半裸になりながら激しい踊りを披露して天照の注意を引き付ける。

 

神々は騒ぎ、覗き見をしようと天照が戸を少し開けた時に救出した功績を持つ女神であった。

 

「ユダヤの犬に成り下がった伊藤博文に孝明(こうめい)天皇を暗殺させてすり替わった罪…極めて重いぜ」

 

筋骨隆々の巨人の姿をした男神は両手をポキポキ鳴らしながら怒りの形相を浮かべている。

 

【タジカラオ】

 

日本神話に登場する怪力を誇る天津神であり、アメノウズメと共に活躍した男神。

 

天岩戸事件の際に岩戸の脇に控え、戸が開いた瞬間力任せに戸を開いた怪力をもつ。

 

天孫降臨の際にはニニギノミコトの随神として付き従ったとされる力の神であった。

 

「楽に死ねると思うなよぉぉぉ…全身の骨を肉ごと圧し潰してミンチにしてやるぜぇぇぇ…」

 

「明治維新の正体は共産主義と同じくユダヤ革命…日の本を乗っ取る民族の飼い犬に天罰を!」

 

地響きを立てて近寄るタジカラオから逃げようとするがアメノウズメが扇子を振り抜く。

 

すると巨大な竜巻が出現して皇帝夫婦達をタジカラオごと飲み込んでしまう壁となるのだ。

 

<<ギャァァァァァーーーーッッ!!!!>>

 

竜巻がどんどん赤くなっていき、内部でどんな残虐処刑が行われているかは定かでない。

 

その光景を見つめるヤタガラスの使者の口元には不気味な笑みが浮かんでいく。

 

「明治のヤタガラスは孝明天皇陛下を守れなかった…それでも現代のヤタガラスが復讐を成す」

 

任務を果たしたヤタガラスの構成員を見守る天空の天津神族達も満足な表情をしている。

 

「あのヤタガラスの女サマナーは優れていたようだ…あの二体を同時に使役するとはな」

 

「能ある鷹は爪を隠す。ただの使者に扮していたようだが、本来なら最強の一角の者だろう」

 

「朝鮮とユダヤの国家転覆の犠牲となられた孝明天皇陛下の無念…この日をもって晴らされた」

 

明治天皇の父である孝明天皇は1863年1月30日において不審死を遂げて崩御された人物。

 

長州閥を快く思わなかった公武合体派の孝明天皇が暗殺されたのは長州藩の影響力を残すため。

 

替え玉として選ばれたのは朝鮮部落の田布施地方出身の奇兵隊士・大室寅之祐(とらのすけ)

 

彼が明治天皇にすり替わることで田布施出身者が日本を動かすようになったとする説がある。

 

明治天皇陛下の即位前後では肖像画の見た目もガラリと変わっており、真実味が増している。

 

薩長同盟の後ろにはユダヤ財閥も控えており、ユダヤ革命とは他国の皇帝と歴史を滅ぼすもの。

 

これこそが明治天皇すり替え説であり、田布施(朝鮮)とユダヤが日本を支配してきた仕組みであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ヤタガラス……我々の作戦に乗じて表の天皇を始末しますカ」

 

半蔵門近くから皇居の夜空を見上げるのは避難済みの駐日英国大使館の屋上にいるシドである。

 

ヤタガラス構成員を乗せたヘリが遠ざかっていく中、サングラスを指で押し上げていく。

 

「ユダヤの飼い犬である田布施の偽皇帝を始末した時点デ…我々に従うつもりはないようでス」

 

「いかがいたします…?これはロスチャイルドに対するヤタガラスの謀反かと思われますが?」

 

「上に報告しておいてくださイ。もっとモ、これはこれで我々側も利用出来ると思いまス」

 

「偽物とはいえ表の天皇として存在していた者が死んだなら反ワクチン派の仕業に出来ますね」

 

「我々にとって都合がいイ。もっとモ、田布施マフィア連中は腰を抜かす大騒ぎでしょうがネ」

 

「ディープステートを構成する田布施連中の支配権の象徴でもありましたが…関係ないですね」

 

「所詮田布施マフィアはユダヤ財閥の飼い犬。牧師に逆らえる牧畜犬など存在しないのでス」

 

「フッ、犬のように儲けてヤンバン(朝鮮貴族)のように使うことしか頭にない朝鮮犬にはお似合いですよ」

 

シドと共に嘲笑うダークサマナーであったが通信が入ったため無線機を手に取る。

 

報告を受けたサマナーが血相変えた表情をしながら状況をシドに伝えるのだ。

 

「…隣の一番町に現れたデビルサマナーですカ?」

 

「サマナーは我々に対して攻撃をしかけてきたようです。身なりは白スーツを纏っているとか」

 

白いスーツを纏ったデビルサマナーと言われた瞬間、生体エナジー協会での出来事を思い出す。

 

不気味な笑みを浮かべたシドは歓迎してやれと言ってくる。

 

「葛葉キョウジ…アナタも東京に訪れていたのですネ。私との再戦が望みなラ…受けましょウ」

 

東京の高級住宅街として知られる東京都千代田区一番町の路地裏では現在戦闘が行われている。

 

「チッ!!」

 

高級マンションの非常階段を昇っていくキョウジに目掛けて後続のサマナー達が銃を放つ。

 

アタッシュケースから取り出したサイレンサー付きMP7マシンガンが次々と発砲される。

 

壁際に隠れていたキョウジもまた銃を向けて下の踊り場を撃つ。

 

フォアグリップ付きヘーネルMK556の射撃を浴びた敵部隊もまた壁に隠れてやり過ごす。

 

銃撃が止まった隙をついたキョウジが何かを投げ放つ。

 

「グレネードだぁぁぁーーーッッ!!!」

 

爆弾の爆発時間を調整して投げられた一撃を逃げることは出来ずにサマナー部隊が一掃される。

 

「この付近にシドがいる……待ってろよ!!」

 

屋上まで昇ったキョウジが空を見上げれば黒い蝙蝠翼が生えた人型の悪魔達が出迎えてくれる。

 

「ギャハハハハ!!追い詰められて網にかかったのはテメーの方だったな!!」

 

黒い肌をしており血のように赤い髪を纏う悪魔達は東京の人々を焼き殺していた存在だった。

 

【ダイモーン】

 

古代ギリシャやヘレニズムにおいて人間と神々の中間に位置する存在として語られる悪魔。

 

ユダヤ・キリスト教の悪魔全般を表し、悪魔を表す西洋諸語はダイモーンから派生していた。

 

「……雑魚の貴様らが俺を追い詰めただと?笑わせるな」

 

三点スリングで吊るされたライフル銃から両手を放し、上着の袖口から何かを取り出す。

 

両手に握られていたのはSHUFFLEと描かれたトランプカードであり、両手で広げるのだ。

 

「強がってんじゃねぇ!!地上で悲鳴を上げながら焼け死ぬ人間共と同じ末路になれぇ!!」

 

三叉槍を掲げる悪魔達が火球を生み出しながら放つよりも先に決まったのは高速の投的。

 

<<グギャァァァーーッッ!!?>>

 

目にも止まらぬ速さで投げられたカードがダイモーン達に刺さった瞬間、彼らは知るだろう。

 

自分達はもう終わっているのだと。

 

<<な……なんだコリャーーーッッ!!?>>

 

悪魔達の体が光を放った瞬間、大きなトランプカードに変えられている。

 

キョウジが得意とする悪魔の封印であり、魔法少女時代の観鳥令が得意としたマギア魔法だ。

 

「急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」

 

スーツのポケットから取り出した護符が空に向けて撒かれた瞬間、火球となって飛んでいく。

 

マハラギオンの一撃となった護符によって紙切れと化したダイモーン達は焼き尽くされるのだ。

 

「奴はこの近くにいる…忘れもしない奴の気配を感じるぞ…」

 

皇居の方に視線を向ければ夜空から巨大な悪魔が飛翔してくる。

 

駐日英国大使館に降り立ったのはファフニールであり、機械の掌の上にシドが飛び移る。

 

「この付近で開けた場所を見かけませんでしたカ?」

 

「北側ニ神社ヲ見カケタナ」

 

「おあつらえ向きですネ、そこまで運搬をお願いしまス」

 

飛び立ったファフニールを捉えているキョウジはスーツのボタンを外す。

 

下側には防弾防刃タクティカルベストが纏われており、備わった召喚管の一つを手に取る。

 

召喚されたのは鳥悪魔のスパルナであり、跳躍したキョウジが右足首を掴むのだ。

 

「あの機械竜を追え」

 

「では地獄へと運んであげましょう。あのダークサマナーに勝てるかどうか…見物ですね」

 

「貴様の出番などない」

 

「そうですか、それは残念ですね」

 

ファフニールを追うようにしてスパルナとキョウジは夜空に目掛けて飛んでいく。

 

彼らが向かった場所とは皇居近くに存在している靖国神社であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

東京都千代田区九段北にある靖国神社は愛国の象徴だと言われている。

 

明治維新以後の国家のために殉難した英霊を246万6千余柱も祀っている神社だからだ。

 

極右を掲げた元東京都知事は靖国神社に参拝に来ない議員は売国奴だと言葉を残している。

 

護国守護のために散った御霊を尊く思わない存在は日本人じゃないとネットでも評判だった。

 

「……来ましたカ、葛葉キョウジ」

 

拝殿に入れる中門鳥居の前で佇むシドとファフニールの元へと空から現れたのは宿敵の姿。

 

手を放したキョウジがスパルナから離れて地上に降り立つ。

 

「チッ……忌々しい神社に逃げ込むとはな。大嫌いな場所なんだよ…俺にとってはな」

 

ホバリングするスパルナを召喚管に仕舞ったキョウジの元へとシドが歩いてくる。

 

赤いサングラスを指で押し上げた後、神社の景色に視線を向けたようだ。

 

「ここは靖国神社ですカ?私も初めて訪れた場所ですネ」

 

「外国人の貴様には縁のない場所だからな」

 

「たしカ、護国守護のために散った多くの軍人達の魂が祀られた神社でしたカ?」

 

「葛葉一族の若者の中にも死んだら靖国神社で会おうとぬかすアホが昔から大勢いたぐらいだ」

 

「フフッ、ヤタガラスのサマナー達にとっても神聖な場所として扱われてきたようですネ?」

 

「何も知らないアホ共だ。ネットで見かける似非保守同様、この神社を何も理解していない」

 

本当の戦争を知っている者は()()()()()()()()()()()()()()()()とキョウジは語ってくれる。

 

戦没者に哀悼を示すなら千鳥ヶ淵戦没者慰霊施設のような場所であり、()()()()()()()()()()

 

A級戦犯まで収めた靖国はその使命を終えて右翼と戦争美化、歴史修正主義者の拠点と化す。

 

そんな戦犯神社に戦前の地獄を生きた日本人が参拝になど来るはずがないのだと語るのだ。

 

「ネトウヨの幼稚な軍国主義を玩具にして貴様らは金儲けをさせたいんだろ?代理人を通して」

 

日本のディープステートにやらせるナショナリズム扇動を見抜いている男にシドは驚きを示す。

 

この男は実力だけでなく慧眼をもった冷静な男であり、扇動が通じない者だと感じるようだ。

 

「…仰る通リ、我々はビジネス保守を演じる政治家を通して軍需産業と株主を儲けさせまス」

 

「似非愛国に踊らされるガキが護国守護とぬかす。戦争を肯定する連中の脳みそはゲーム脳だ」

 

戦争万歳と言いながら実戦投入されてもFPSゲームプレイヤー気分に浸りながら勘違いをする。

 

犯罪者と同様に想像力が欠如しており、本当の地獄を想像する力もないまま国民を破滅に導く。

 

「戦場に行った事もない奴が語る愛国主義には吐き気がする。()()()()()()()()()()()()()()

 

イラクやアフガン戦争で話題になったチキンホークという言葉がある。

 

自分は戦争から逃げ続けてきたのに戦争や軍事介入を積極的に支援する人達を指す言葉である。

 

これは愛国をプロパガンダにして軍需産業と株主を儲けさせる日本や米国の政治家を表すもの。

 

資本に飼われた政治家は資本家を儲けさせるために自分達が行かない戦場に国民を放り込む。

 

愛国に洗脳されて死ぬ兵士を嘲笑いながら資本家と共に酒を酌み交わす悪魔共を表す言葉だ。

 

「靖国神社は戦前からあったのに戦犯を祀り、愛国の象徴にしやがった連中は靖国の破壊者だ」

 

「見抜いていたとしても里の若者から冷遇されたはズ。愛国に従わない者は日本人でないとネ」

 

「いつ日本人が資格制になった?それならポツダム宣言を受け入れた連中は日本人じゃない」

 

「愛国に従わない者は敵にさせる我々の扇動術の本質を見抜キ、惑わされないとハ…見事でス」

 

愛国を信じなければ敵だとぬかす理屈など、宗教にどっぷりはまった()()()()()()()()()()

 

信じなければ貴方は地獄に落ちますと脅迫してるのと変わらないのに、それにさえ気づかない。

 

それこそが国家主義団体のヤタガラスを盲従していた頃の葛葉ライドウとレイ・レイホゥの姿。

 

そして円環という魔女の国に従わない魔法少女は敵だと扇動された円環少女達の姿でもあった。

 

「貴様らの扇動手口など世界の宗教組織が何度も使ってきた手口なんだ。騙されてやるものか」

 

「貴方のように物事の本質を見抜く慧眼をもつ存在こそガ、我々にとって一番危険なのでス」

 

サングラスの奥に隠れた目つきが据わり、獲物を絶対に逃がさないと獣の本性を表していく。

 

葛葉キョウジを本気で抹殺しなければならないと判断した者に対してキョウジも迎え撃つ。

 

「さァ、待ちくたびれたでしょウ、ファフニール?この獲物の肉を引き裂いて殺しなさイ!!」

 

「待チクタビレタゾ、長話モオワッタナラバ虐殺ノハジマリ……ヌゥ!?」

 

何かを感じ取ったのかファフニールが警戒感を示しだす。

 

機械竜が感じているのは葛葉キョウジが構える召喚管から感じさせてくる英雄の魔力なのだ。

 

「貴様が使役するドラゴンを倒すために業魔殿で手に入れた英雄の力……見せてやろう!!」

 

振り抜かれた召喚管からMAGの光が吹き上がり、悪魔の姿を形作る。

 

キョウジの背後に現れたのは邪龍ファフニールと因縁深い叙事詩の主人公であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

【ジークフリート】

 

ドイツの英雄叙事詩ニーベルングの歌の主人公であり、北欧神話のシグルズを起源とする。

 

ネーデルラントの王子でありニーベルング族を倒してその財宝を手に入れた存在のようだ。

 

魔法の隠れ蓑に名剣バルムンクを奪い取ったり、邪龍ファフニールを倒した伝説をもつ。

 

邪龍の返り血を浴びた彼は不死身となるが、背中の菩提樹の葉が邪魔して弱点部位となった。

 

「久しいな、ファフニール。今も変わらず金銀財宝を集め回って洞窟に潜むカラス人生か?」

 

不敵な笑みを浮かべながら名剣バルムンクを構えるのは赤い肌をした金の長髪をもつ戦士。

 

装備はゲルマン戦士を彷彿とさせるものであり、軽装ながらも動きやすい装備を纏う。

 

「互いに因縁の相手だ。俺はシドをやる、貴様はファフニールを倒せ」

 

「元よりそのつもり。再び貴様の心臓を引きずりだし、蓄えた財宝も根こそぎ奪ってやろう」

 

「ヌゥゥゥゥ……略奪者メ!!我ガ財宝ハ誰ニモ渡サン……特ニ貴様ニダケハナ!!」

 

機械の翼を広げたファフニールが飛び立ち、空中から業火を放つ。

 

ジークフリートは横に駆けながらそれを避け、神社の東側で戦おうとする。

 

サマナー達の戦いも同時に始まり、ヘーネルMK556を構えたキョウジは銃弾を放つ。

 

かつて戦った強敵ならば自分への対策を練っていると判断したシドは側転をして回避する。

 

放たれた銃弾は徹甲弾であり、防弾仕様のロングコートでも受けていたら貫通しただろう。

 

フルオートで撃ち続けた銃弾が弾切れを起こし、マガジンチェンジを行う隙を見逃さない。

 

聖書をくり抜いて隙間を作った中に収納された拳銃を取り出し、水銀弾を撃ってくる。

 

「チッ!!」

 

マジック・バレットに対して素早く横っ飛びをしながら側転し、マガジンチェンジを行う。

 

再び構え直す頃には迫りくるシドが放つ蹴り技によって銃が跳ね上げられてしまう。

 

肩掛けの三点スリングごと銃を跳ね上げられたキョウジはスーツの襟元に手を伸ばす。

 

背中から抜かれたのは七星剣であり、唐竹割りの斬撃に対してシドはバク転を用いて回避。

 

着地したシドに目掛けて斬り込むキョウジは激しい戦いを繰り広げていくのだ。

 

「くっ!?」

 

袈裟斬りを放つキョウジの右手をサソリ蹴りで弾き、片手を地につけるシドが回転蹴りを放つ。

 

上段、下段と後ろ回し蹴りを放ち、避けるキョウジに目掛けて跳躍回転蹴りを仕掛ける。

 

左右の足から放つ回転蹴りを身を低めて避けたキョウジが果敢に攻め込むがシドは身を低める。

 

低空から左足を打ち込もうとする攻撃に反応するが罠なのだ。

 

「ぐはぁ!?」

 

寸止めされた左足はフェイントであり、低空から放つ右回し蹴りがキョウジの側頭部を打つ。

 

倒れ込んだ彼に目掛けてシドが一回転する浴びせ蹴りを放つが転がりながら避ける。

 

体勢を起き上がらせたのはキョウジが早く、起き上がるシドに目掛けて一気に突っ込む。

 

「クッ!?」

 

右膝打ちを受け止めるシドを左手で掴み、上半身を引いて崩れた後頭部に目掛けて剣を打つ。

 

七星剣の柄頭で後頭部を殴るキョウジに対してシドは両手で彼を突飛ばして距離を放すのだ。

 

「忌々しい男メ……あの時に始末出来なかった自分の慢心を呪いたい気分ですヨ」

 

「俺はしつこい男だぞ?生き残ったならば必ず報復を果たす…最後まで生き残った者が強者だ」

 

「ならばこの場で証明しますヨ。最後まで立っていた強者とハ…私なのだト!!」

 

互いに円を描きながら語り合っていたが一気に動く時がくる。

 

攻め込むシドに対して左回し蹴りを放つが身を低めながら避けていく。

 

距離を放して片手を地につける程の回転蹴りを放ち、攻め込むキョウジにカウンターを決める。

 

反応が早い彼は首を振って蹴り倒される勢いを利用しながら片手で地面をつき、起き上がる。

 

跳躍しながら回転蹴りを放とうとするフェイントを見抜いたキョウジは合わせ技の蹴りを放つ。

 

「グハァ!!」

 

相手の回転蹴りより早く飛び後ろ回し蹴りが決まったことでシドは大きく蹴り倒されるのだ。

 

「この程度で倒れる私ではなイ……」

 

起き上がるシドは首を鳴らした後、サングラスを指で押し上げながら眉間にシワを寄せる。

 

「来るがいい…カルト野郎。その気持ち悪い星のタトゥーごと貴様の頭部を叩き斬ってやる」

 

攻め込むシドの左回し蹴りを右腕で受け止めたキョウジが右回し蹴りを放つ。

 

側転でキョウジの左側に回り込んだシドは起き上がる反動を利用して左回し蹴りを放つ。

 

背中から倒れる形で蹴り足を避けたキョウジが剣で薙ぎ払いを仕掛けるが側転回避される。

 

立ち上がったキョウジが苛烈な斬撃を放ち続けるがシドはジンガステップ移動で回避していく。

 

「グフッ!?」

 

キョウジの左ミドルキックを右肘で止めたシドが踏み込むがカウンターの右膝が腹部に決まる。

 

飛び上がるキョウジが連環腿の二連撃を放つ中、側面に回り込んだシドが踏み込み蹴りを放つ。

 

着地して振り向くキョウジが踏み込み蹴りを抱き込む形で掴むが後方側転の勢いで払われる。

 

後方着地したシドが低空蹴りを放ち、足で受け止めた相手に目掛けて逆さ倒立の構えを行う。

 

「チィ!!」

 

左右の二連撃を両腕で止めるが最後の一撃が胸部に決まって後ろに後退ってしまう。

 

舞うように地面を這いながら起き上がったシドが不敵な笑みを浮かべながらこう告げる。

 

「ここまで私に喰らいつけル…陰陽師系サマナーだと舐めてかかるわけにもいきませんネ」

 

ついに自分の力の全てを解放する気になったシドが黒のロングコートを掴んで脱ぎ捨てる。

 

黒い肌をした上半身には黒魔術の五芒星や呪文が刻まれており、大きく息を吸い込んでいく。

 

「スゥゥゥゥゥ……」

 

シドの筋肉が膨張するようにして膨れていき上半身が逆三角形になる程の筋骨隆々の姿と化す。

 

「本気の私に殺されるのでス。冥途の土産として悲惨な自分の死の末路を亡者に語るがいイ」

 

全身からMAGを発するシドが聖書の中から封魔管の一本を抜きながら構えてくる。

 

「……二体同時召喚か」

 

「不肖の弟子ですら二体同時召喚が出来るのでス。マスターである私が出来ないはずがなイ!」

 

召喚管が開いていき、膨大なMAGが吹き上がっていく。

 

「いでヨ……我が蛇神崇拝の化身ヨ。その御姿と力をもっテ…我らの敵に死を与えたまエ!!」

 

天に掲げられた召喚管から膨大なMAGが空に向かって伸びていく。

 

赤く照らされた夜空が渦を巻いていき、雷雲の中から現れたのは赤き竜の御姿。

 

巨大な蛇の胴体には十枚翼が広がっており、五つの目をもつ赤き蛇が雄たけびを上げるのだ。

 

【サマエル】

 

ローマの守護神であり、キリスト教の見解からすれば死の堕天使を表す悪魔。

 

毒を表す名をもち、赤いドラゴンとしても描かれるサマエルは黙示録の赤き獣とも混同される。

 

サマエルはエデンに葡萄の木を植えてアダムを誘惑したとされ、ルシファーと混同される存在。

 

アークエンジェルとして在った頃はモーセと戦ったこともあり、モーセに敗れた天使であった。

 

「いかがですカ?私の蛇神崇拝が形作った神の御姿ハ?」

 

靖国神社の上空で旋回しながら地上を見下ろすサマエルの巨体はファフニールを超えている。

 

ドラゴン悪魔を使役することを得意とするシド・デイビスは蛇を崇めるカルトサマナーなのだ。

 

額の左側に刻んだ五芒星のタトゥーを左手でなぞるシドは不気味な笑みを浮かべている。

 

そんな彼に鋭い視線を向けたままのキョウジは呆れた表情を浮かべながらこう告げる。

 

「赤い五芒星で頭の中まで支配されるか…そんなにサタンが好きか?ルシファーが好きか?」

 

「えエ、大好きですヨ。あの御方こそ地上の王であり救世主…人類を導かれる啓蒙神様でス」

 

「啓蒙主義な上でグノーシス主義…何処までも狂ってるな。いいだろう…なら俺も蛇を使うさ」

 

七星剣を地面に突き立てたキョウジはスーツのポケットから白い手袋を取り出す。

 

両手に嵌めたその手袋にはシドの両手に嵌めた手袋の星と同じ形が備わっている。

 

その形とは陰陽道の五芒星であり、蛇が五芒星を描きながら自分の尾を噛んで描くもの。

 

このシンボルを掲げた存在こそコドクノマレビト事件で暗躍した陰陽師結社であった。

 

「陰陽師系サマナーとして俺は誇りを持ってきた…だからこそ陰陽師のサマナーとして勝つ!」

 

タクティカルベストに備わった召喚管を抜き、右手で印を結びながら交差して構える。

 

元柱固具(げんちゅうこぐ)八隅八気(はすみはっき)五陽五神(ごようごしん)陽動二衝厳神(ようどうにしょうげんしん)……」

 

陰陽師が唱えてきた呪文を詠唱とする者に対してシドは余裕の表情をしながら動かない。

 

「フフッ、この国も啓明結社と同じく蛇を崇拝する国。どんな蛇神を見せてくれるんでス?」

 

詠唱の隙をついて攻撃することもなく、純粋に悪魔と悪魔の力比べを望んでいるのだ。

 

「慎みて五陽霊神(ごようれいしん)に願い奉る(たてまつる)……見るがいい!十二天将トウダが生まれ変わった姿を!!」

 

陰陽師にとって必須の占術であった六壬神課で使用する象徴体系の一つが形となっていく。

 

振り抜かれた召喚管から溢れ出るMAGが形にしたのは人型にまで小型化した龍神の御姿だった。

 




ネットミームで有名なアームストロング上院議員も仰られてましたよね。
何が愛国心だ!何がアメリカの誇りだ!そんなもんは豚に食わせろ!
自尊心扇動で金儲けがしたい連中が家畜に与える扇動エサなのが愛国心の正体なのだと見抜いておられる。
流石は存在そのものがミームになれる御方。
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