人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
次々と巡行ミサイルによって空爆されていく地獄の東京。
それを傍観者として客観的に見つめていたのは氷室ラビとサンダーバードの姿である。
東京都庁第一本庁舎の屋上から景色を見つめる者の眼前には破壊の光景が次々と生み出される。
青ざめた表情をしながら震え抜くラビの瞳は完全に濁っており、絶望に支配されるのだ。
「…これが日本の現実なのね。私達日本人は生まれた時から精神の牢獄で生きてきたのよ…」
「無知は罪とはこのことだ。偽りの日米安全保障条約の中身も調べなかった愚民の末路だな」
日本は日米安保によって米国が守ってくれるという認識が日本人の中に刷り込まれてきた。
しかし実態は米国が日本国を守る防衛義務など存在しない。
専守防衛しか出来ない自衛隊に変わり米軍が日本の敵国と戦ってくれるなど歪んだ認識だ。
軍事的視点から考えると日米共通の危険に対処するような行動とは戦闘行為を含まない。
情報共有、米国軍需産業と株主を儲けさせるための武器・兵器などを日本に売りつけるだけ。
米国人が聞いた事もない島国地域のために米国人の命を差し出せと本気で言うのか?
戦勝国のアメリカが敗戦国日本人のために命を張るなんて間違っていると言うだろう。
「日米地位協定という不合理制度で主権侵害され、自衛隊ですら米軍の下請けに成り果てた」
「国に縋りついたって魔法少女は救われない…それは人間達も同じでしかない…」
「日本は米国植民地、主権などない。円の国際競争力すら消えてもう何も手に入らなくなるぞ」
「いくら自由貿易協定を結んだって自国通貨が弱ければ貿易で買うことすらままならない…」
紙幣を製造する中央銀行をユダヤ財閥に奪われた日本はユダヤに滅ぼされるまで紙幣を生む。
紙幣を生めば生むほど自国通貨の信用はなくなり紙幣価値が消えて貿易すらままならないのだ。
それを実感出来る例を語るとしたら米国のスマホを購入する時だろう。
10年以上前の値段と比べて極端な程にまで高額になってはいないだろうか?
それこそが日本の紙幣価値が消えていく光景なのだ。
「日本は欧米ユダヤ帝国に喰い尽くされて亡国となるのみ。人修羅の戦いなど最初から無駄だ」
「あんな男を見物しに来るんじゃなかった…彼の力でどうにか出来る問題じゃないわ…」
「この程度の絶望では終わらんぞ。これから先の絶望を見せるためにお前を導いたのだ」
「これ以上…何を私に見せようというの…?」
「それは世界の変革。今までの世界が終わり……新たな絶望の世界が生まれる瞬間なのだ」
絶望で歪み切った顔を再び東京に向けるラビ。
その気持ちはもはや絶望のどん底へと沈み果て、世界の消滅こそが救済なのだと理解した。
……………。
「どうして……アリナを……助けに来たワケ……?」
倒壊したビルの瓦礫の隙間に座り込む血みどろの女の前では人修羅が瓦礫を押し上げている。
彼の背中からもおびただしい出血が流れ落ち、力を込めたせいで出血が酷くなっていく。
「…覚えているか?神浜魔法少女社会と戦った時に絶望した俺に手を差し伸べてくれた日を?」
「あの時の借りを返しにきたワケ…?そんなの…気にしないでも良かったのに…」
「お前の言葉が無かったら…今頃俺は腐り果てていた。やり直すキッカケすら得られなかった」
「人修羅……」
「失敗しても守護者として生きようと頑張れたのはお前のお陰だ。だから…助けに来たんだ…」
「アハハハ…フールなデビルだヨネ。アリナがどれだけヒューマンをジェノサイドしたワケ?」
目の前にいるのは私欲のために人間達を虐殺し続けてきた者。
今でも人間の守護者を気取る者ならば助けるのではなく殺すべきだとアリナは言ってくる。
「俺な……気が付いたんだ。正義の味方を気取ったってよぉ……本質はお前と同じなんだ」
「えっ……?」
「俺もお前もただの虐殺者でしかない。俺がやってきたことなんて…卑怯者でしかなかった」
悪の虐殺行為はダメで正義の虐殺行為はOK。
自分は良くて、お前はダメという卑劣極まりないダブルスタンダードを行ってきた卑怯者。
それこそが人間の守護者を気取ってきた嘉嶋尚紀の正体なのだと語ってくれる。
「正義はな…悪行を善行にすり替えれるえげつない概念だ。だったら
自分の虐殺行為を包み隠さず表に出し、自分は悪だと正直に言えるアリナ。
自分の虐殺行為を正義という概念で包み隠し、社会への善行という印象操作を行った人修羅。
自分と周りに嘘をつかずに生きてきた潔い強者なのはどちらかなど言うまでもないだろう。
「お前は俺よりも遥かに強いぜ…俺なんて正義の安心がなければ殺戮すら出来ない腰抜けだ…」
「……尚紀君。やっと……私が伝えたかった世界の真実に気が付いてくれたのね……」
アリナの表情が変化し、喋る言葉も変化した存在に語り掛けてくる。
尚紀のアリナを見る目もまた変化し、親友を見る目となっていく。
「千晶…ヨスガを掲げたお前の言葉をようやく俺は理解出来た。お前の憂いもまた正しかった」
「マントラ軍本営で私が語った言葉を理解出来るぐらいの経験をこの世界で積んだようね…?」
「政治の勉強を続けた末に理解出来た…かつての世界が滅びたのは民衆の堕落のせいだった…」
「どの世界も人はパンとサーカスしか求めない。だから
今の日本は崩壊前のソ連と同じ。
特権官僚が秘密予算を組んで税金の殆どを使い込む。
グローバル企業に雇われた政治家が公営企業やインフラを売り飛ばす。
経済も雇用も福祉も滅茶苦茶になったところで原発事故が起きる。
ソ連末期と全く同じ状況なのだと千晶は語ってくれた。
「この地獄の光景こそ日本の現実…国の崩壊まで織り込み済みで売国奴に運営させてたのよ」
「人間は思い込みという精神の牢獄に繋がれた奴隷だった…常識を疑うべきだったんだ…」
「常識を疑った果てに貴方は何を見出せたの?今まで通りの古い価値観?それとも現実?」
「俺は現実を知るために知恵を求めた者だ…だからこそ俺はもう…ヨスガを否定しない!!」
力を一気に込めた人修羅が瓦礫を押し出す形で弾き飛ばす。
外に出ることが出来た者達が向かい合い、最後の言葉を交わしていく。
「俺の在り方もヨスガだった…救われるべき選民を選び、正義の名の元に虐殺を正当化した」
「私のヨスガに従った天使達の在り方ね。だからこそもう一度言うわ…ヨスガに来て、尚紀君」
ボルテクス界と同じ言葉を送られた人修羅は俯いてしまうが顔を上げ、こう答えてくれる。
「千晶…俺は俺なりのヨスガをやらせてもらう。だからこそ…
「尚紀君……それはどういう意味……?」
「シジマという全体主義世界を俺は求めたがそれこそが世界の破滅。だからこそ中庸を目指す」
「シジマとヨスガの中庸…?それはどんな世界を求めようというの…?」
「羊にシジマを与えれば世界は終わる。だから…シジマという社会主義は
「知恵ある民衆にシジマを残すために…私のヨスガを使って…世界と戦おうというの?」
「LAWもCHAOSもどちらも正解であり必要だ。それが理解出来た時…皆がNEUTRALとなる」
複雑な表情を浮かべるアリナに宿った千晶であるが、それでもヨスガを理解した者を送り出す。
「ヨスガの道は悪逆非道を行う道。その道に進むなら尚紀君…貴方もまた覚悟を試されるわ」
「分かっている…俺はもう救われようとは思わない。極悪非道の自分を曝け出す決断が出来た」
決断とは川が氾濫した際に溢れ出る水を何処に流すかを決めるというのが由来である。
ある村を氾濫から救うには他の土地や人々を犠牲にするというのが決断という概念なのだ。
決断とは何かを犠牲にすることであり、何かを断つことが問われるトロッコ問題。
人生とは取捨選択の連続でしかないのだ。
「
時間、お金、労力、人命、あらゆる支払いがなければ何も得られず、人の命は生きられない。
失うことが可哀想だとか辛いからやめて欲しいなどという理想論など現実には役に立たない。
アリナや千晶がもっとも嫌う惰弱な我儘であり、それを克服出来た強者こそがリアリスト。
それこそが彼女達が求める存在であり、対局にあたる存在こそが環を掲げた魔法少女だった。
「それこそがヨスガ思想よ。貴方の新しい道はきっと大勢の弱者達が貴方に殺されると思うわ」
「そうなるだろうな……それでも俺はその道を進むって……決めたんだ」
ルイーザとケリをつけるために歩き去ろうとするが千晶を抑え込んだアリナが声を掛けてくる。
「…アリナはデス&リバースを求めたい。アナタこそが…アリナのアルティメットアートなの」
「…俺を究極の芸術にしたいというなら、その芸術は醜悪極まりないものにしかならないぞ?」
「他の連中がそう言ったって、アリナはアナタをビューティフルって…言ってあげるカラ」
「フッ…そうか。やっぱりお前だけが…本当の俺に手を差し伸ばしてくれる女なのかもな…」
アリナに振り向いてくれた人修羅が微笑みながらこんな言葉を送ってくれる。
「お前は
アリナの性格は他人から嫌われやすい冒険家とよく似ている。
衝動的な行動、自己完結、ルールを無視する、刺激が好き、刹那主義、長期的計画性の無さ。
型破りな性格のため周りから疎んじられる者であるせいで多くから憎まれ続ける存在だ。
「多くがお前を嫌うだろうが…それでも冒険家達は人々を魅了する部分だってある」
感受性が豊かであり、芸術的な表現力があり、柔軟性と適応力に長け、自分の価値観に忠実。
周りに依存せず個が確立しており、保身に走って周りに流される付和雷同にはならない者だ。
「危険な探検に行こうとする冒険家を大勢が疎み、周りに迷惑をかける者だと蔑んでくる」
「イグザクトリー…アナタが言う通り、アリナは周りに合わさないせいで虐められてきたカラ」
「周りから憎まれても探検したいと思う連中の心にはな…
挑戦する若者とは危険を顧みず新しい存在を開拓出来る力そのものである。
未知の領域を制覇した冒険家達は世界中のメディアが集まってきて偉業を宣伝してくれる。
そして人々は自分が憎んだ存在を何故か賞賛し始めるという矛盾現象を起こすのだ。
「
「アナタも……アリナと同じように冒険家になりたいワケ……?」
「俺はこの世界に流れ着いた者だ。俺の真理を証明するためなら命も懸ける冒険家でありたい」
「アリナもそうなりたい…せっかく生まれてきたんだし、アリナの真理を証明したい…」
「人は善人である必要も悪人である必要もない。本性を開き、本当の自分と出会ってみせろ」
――お前の道を進め。人には勝手な事を言わせておけ。
そう言い残した人修羅は瓦礫の山を飛び越えながら戦場へと向かっていく。
残されたアリナは背中を押してくれたような気持ちになりながら頬を染めている。
「初めてかも……周りに合わさないアリナの背中を押してくれる人に出会えたのは……」
周りの人々にとっては最悪の選択を平気で行う者こそ憎まれるべき存在。
それはアマラ深界の最奥まで堕ちる道を選んで完全なる悪魔になった人修羅も同じだろう。
しかしそんな人修羅の背中を押してくれたデビルハンターがいてくれた。
デビルハンターとして完全なる悪魔になる前に人修羅を殺すことだって出来たはず。
なのにその男は人修羅に後悔させない道を与えるために背中を押してくれた存在となった。
「アリナの選択は最悪なのに…それでも認めて背中を押してくれた。本当に…嬉しいカラ…」
涙を零してしまう今のアリナの気持ちこそ、背中を押してくれたダンテに対する尚紀の気持ち。
同じように最悪の選択であろうと後悔させない道のために押し進めてくれたのだ。
たとえ悪人であろうと優しさのバトンが誰かから渡されればまた誰かに渡していくもの。
ダンテの優しさは人修羅に受け継がれていき、アリナにもまた与えられた。
「…人修羅は見逃しても、私は貴女を見逃さないわ」
背後から声を掛けてきたのは悪魔ほむらであり、散弾銃のベネリM3を構えてくる。
死をもたらしにきた存在であろうとアリナに恐れはなく、不敵な笑みを浮かべながら振り返る。
「今のアリナはね…最高にハッピーなワケ。この気持ちと出会えた今なら…アリナは死ねる!」
「だったら、今すぐ終わらせてあげる!!」
両手を広げてウェルカムな態度を見せながらアリナは悪魔ほむらを迎え撃つ。
たとえ疎まれながら現実に勝てなくても冒険家はまだ見ぬ未知の領域を目指して進む者達。
その末路が死であろうと後悔の無い人生の果てに本当の自分と出会うために足掻く者であった。
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「ぐっ……あぁ……」
アリナと悪魔ほむらの戦いは勝負と呼べる程のものにはならず、アリナは地面に倒れ込む。
反射された己のマギア魔法が直撃した体であったため立っているだけで精一杯なのだ。
攻撃を避けるステップ移動すら満足に出来ない者に対して悪魔ほむらは容赦しない。
銃床で殴りつけた後、倒れ込む彼女に目掛けて銃口を向けてくる。
「アァァァァーーーーッッ!!!!」
容赦なく引き金が引かれたことでアリナの右腕が千切れ飛ぶ。
流血を撒き散らしながらも痛覚麻痺で耐え抜く足掻きを見せる者の顔に銃口を向けるのだ。
「代償なくして自由なし。自由の道を進んだ女として…私と同じ苦痛を与えてあげるわ」
「アハ…ハハハ…この程度で泣き寝入りするアリナじゃない…アリナは…ガッデスになる…」
「その望みは適うと思うわ。もっとも円環のコトワリであるまどかに吸収される末路だけど」
「ファック…円環ガッデスなんかに囚われたくない…アリナがガッデスになるんだカラ…」
「それほどまで女神になることに固執するのはどういうこと?死ぬ前に聞いてあげるわ」
「アリナの望みだカラ…魔法少女になったアリナは…デス&リバースを求めた女なんだヨネ…」
「死と再生の願い…貴女もまた誰のためでもない、自分自身の祈りのために戦い続けたようね」
自分自身の祈りのために戦い、そして散っていくのが魔法少女の運命。
それを見てきた悪魔ほむらはその末路を与えようと引き金を引こうとする。
しかし割って入るかのようにして魔弾が飛来したことで彼女は後方に跳躍して避けたようだ。
「アリナ先輩は殺させないの!!」
立ちはだかるようにして悪魔ほむらの前に立ったのは御園かりんの姿である。
「フールガール!?アナタは関係ないんですケド!!」
「関係あるの!アリナ先輩はわたしの大切な人なの!お願いだから…殺さないで!!」
震え上がるかりんが感じているのは自分など虫けら以下にしかなりえない程の悪魔の魔力。
たとえ力づくで歯向かおうとも殺されるしかない程の敵を相手にしているのが分かるのだ。
「貴女も魔法少女なら目に焼き付けておきなさい。魔法少女になれば因果の末路を辿るのよ」
時間停止を行うために左腕を持ち上げた時、左側から飛び掛かる存在に気が付く。
「ちくしょう!!なんでアリナなんかを救うためにオレ様達が貧乏くじを引くんだよぉ!!」
飛び掛かってきたのはジャックリパーであり、迎え撃つほむらは盾でシールドバッシュを行う。
弾かれたリパーに意識を持っていかれた隙に後ろから飛び掛かるのはジャックランタンの姿だ。
「こんにゃろう!!大人しくするホ!!」
「放しなさいカボチャ悪魔!!貴方カボチャ臭いのよ!!」
「いつの間にか体が酸化したのかホ?だったらもっと俺の臭い体臭を嗅ぐホ!!」
「生ごみに捨てるわよ!!あっちに行きなさい!!」
ほむらに組み付いては弾かれる悪魔達のお陰でどうにかアリナは殺されずに済んでいる。
しかしそれも時間の問題であり、ほむらがいつ戻って来るか分からない状況だ。
「アリナ先輩…酷い傷なの…直ぐに回復してあげる!」
千切れた右腕を復元回復させる力は癒しの願いで契約した魔法少女でなければ発揮出来ない。
それでも止血ぐらいは出来ると回復魔法をかけようとするがアリナが制止させてくる。
「フールガール……アリナを立たせてくれる?」
先輩の願い通りに左腕に肩を貸してあげてアリナを立たせる。
息を切らせるアリナがかりんに顔を向けた後、真剣な表情を浮かべながら語り掛けてくる。
「御園かりん…これがアリナにとって、最後のインストラクションになると思うワケ」
「最後の……?だ、駄目なの!アリナ先輩は神浜に帰るの!わたしと一緒に帰るのーっ!!」
泣き出してしまう後輩の肩を左手で掴んだ後、引き寄せながら最後の教示を与えてくれるのだ。
「アリナはね…スクール時代からアウトサイダーだったけどアナタだけが親身になってくれた」
「アリナ先輩……」
「アナタだけが自分を隠さずアリナに接してくれた…孤立してもアリナと一緒にいてくれた」
友達になろうとしなくていい、ただ正直にいる。
考えも気持ちも隠さない、恐れも悲しみも隠さない。
娯楽だけを求める堕落社会ではみ出し者になってでもアリナと一緒に後輩はいてくれた。
「そんなアナタだったから…アリナは面倒を見てあげた。自分を隠さないアナタが好きだった」
2人しかいない美術室で毎日活動を続ける時間の中で苦しみもあったが楽しさもあった。
創造性は会得するものではない、それは命の発露であり生あるもの全ての輝き。
楽しい、面白い。
幼い日に夢中でのめり込んだ喜びを
上手いのは下手じゃない、楽しければ本物の証だ。
「コミックに憧れて将来の夢にしたいと笑顔でデッサンを続けるアナタの姿が…羨ましかった」
スランプに陥って創造性を失った時、御園かりんの在り方があったから筆を折らなかった。
彼女のように笑顔を浮かべられるぐらい楽しい創造性をもう一度手に入れたい。
その思いがあったから彼女は苦しみを乗り越えて天才アーティストに戻ることが出来たのだ。
「楽しいからクリエイトする…そんな原点をアリナは忘れてた…周りの評価に振り回されて…」
創造性を失ったスランプ時代のアリナの周囲にあったのは手のひら返し。
天才アーティストという肩書がなくなれば協調性がないアタオカな女というレッテル張り。
からかわれるようにして周りから虐められ、アリナは学校に居場所すら残らない毎日があった。
「恐れやプレッシャーは悪い結果しかもたらさない…世界は招いたものしか用意しないカラ…」
「それが…スランプ時代のアリナ先輩の姿だったの…?」
「アリナのようにはならないで。アナタの作品は
「私の漫画は…誰が馬鹿にしてきても…最高の漫画だって…私自身が言い続ける…?」
「
楽しく創作活動を続けられる後輩の姿は好きだったが、反面己自身はスランプのまま。
創作も面白くなく、周りと価値観も合わず、人間関係も壊れていき潮時かと考えた事もある。
それでも御園かりんと一緒に創作に縋りついたからこそ吉兆が訪れてくれた。
水名神社での出会いやシド・デイビスとの出会いによって多くを失ったが情熱が戻ってくれた。
「アリナもね…周りの評価なんて気にしないクリエイトがしたい。だからアリナの道を行く」
「その末路が…大勢の人達から罵倒される結果しか残らなくても…アリナ先輩は進むの…?」
「誰からも評価されなくていい…アリナはアリナが信じたクリエイトを描く。それが今なワケ」
かつての時代に縋りついても、もう得るものはない。
周りに依存しながら享楽に耽る力無き日常を捨て、新たなステージに踏み出す。
自らを発展させ、停滞した創造が前進する機会を得るためにこそ、彼女は日常に潮時を感じた。
「自分を見積もらないで。自分は力不足だと考えた瞬間、初めて限界が訪れるカラ」
「デッサンも下手なわたしなんかが…自分の力を見積もらないまま…進んで行けるの…?」
「成長する人は見積もらない、全力で挑戦する。そしてその都度、世界も自分も新しくなる」
他人の評価が嫌になってやめない限りは誰もが無限の可能性を持っている冒険者。
だからこそ初心を忘れず、ずっと新鮮な気持ちのまま創作活動を続けていけ。
これこそが御園かりんの先輩として生きたアリナ・グレイが残す最後のインストラクションだ。
「
「わたしなんかが…出来るのかな…?アリナ先輩がいないと…わたしなんて…」
「自分を低く見積もる必要はないと言ったんですケド?アナタこそがアナタを信じる、OK?」
掴んだ肩を離してくれたアリナの顔には学生時代の微笑みが浮かんでくれている。
今生の別れになると感じても、同じ創作者として彼女が描くアートを残してあげたいと感じる。
涙が溢れ出す後輩であったが、それでもアリナのアートに幸あらんと願って大声を上げるのだ。
「アリナ先輩…ご指導ありがとうございます!わたしはアリナ先輩から…多くを学べました!」
泣きながらお辞儀をする後輩の恥ずかしい顔を晒すまいとつば広ハットを深く被らせてくれる。
そんな先輩の最後の優しさが伝わった後輩の顔は涙と鼻水でいっぱいだった。
「さぁ、ラン!!後ろに振り返らずに逃げるんですケド!!」
振り返る向こう側にはジャックコンビをしばき倒してやってくる悪魔ほむらがいる。
後輩を逃がす時間稼ぎを行ってくれる先輩の気持ちを汲み取った後輩もまた叫ぶ。
「ランタン君!!リパー君!!逃げるの!!必ず生きて東京を脱出するの!!」
主人となる者の決意の叫びが届いたジャックコンビ達が立ち上がって駆け抜ける。
ランタンから聞かされた合流地点に向かうため駆けて行った後輩をアリナは振り向きもしない。
目の前に立ちはだかる壁こそアリナの超えるべき目標であり、逃げることなど許されないのだ。
「…アリナのパワーを表現する、そのためにアリナは生きてきた。結果なんて気にしないカラ」
「…どんな罪を背負っても自分を貫く。まるでアナタは…魔法少女時代の私のようね」
「アリナはココだカラ。よく狙って撃てばいいワケ」
自分のソウルジェムが飾られた胸元を左手で指差して挑発してくる者に対してほむらが動く。
「貴女の覚悟は伝わったわ…敬意を表してソウルジェムだけでなく、全てを破壊してやる!!」
大きく飛び上がった悪魔ほむらは背中から侵食する黒き翼を展開しようとする。
魔力の弓矢も生み出して強大な一撃を放とうとするのだが、背後に現れた存在に気が付くのだ。
「お、お前はッッ!!?」
彼女を羽交い絞めにしたのは全身を焼かれたフルフルの姿であり、残された力で抑え込む。
「フェニックスゥゥゥゥーーーーッッ!!ワシごとやれぇぇぇぇぇーーーーッッ!!!」
仲魔の最後の叫びを受け取ったのは高速で飛来する不死鳥の姿。
全身から噴き上がる極大の魔力が業火となって全身を覆い、巨大な不死鳥と化す。
「……ママハ大成スルヨ。ダッテ……オレノママニナッテクレタ魔法少女ダカラ」
振りほどこうと足掻くほむらの眼前から迫るのはズタボロになりながらも放つ特攻の一撃。
悪魔の自爆エネルギーを扇状に放つ『玉砕破』を仕掛けてくるのだ。
「フェニックス!!?フルフル!!?」
アリナの叫びが届くよりも先に決まった決死の一撃によって仲魔達は絶命することとなる。
しかし広域放射された業火の中から現れたのは侵食する黒き翼を広げた悪魔の姿。
「苦し紛れの一撃で私を殺せると思わないことね!!」
フェニックスの自爆エネルギーを侵食する黒き翼で吸収した悪魔ほむらが狙いをつける。
引き絞られた弓から魔力の矢が生み出され、前方に魔法陣が浮かぶ。
この一撃ならばアリナの固有魔法空間すら貫き、彼女にトドメをさせるだろう。
「……フェニックスはデス&リバースデビル。サヨナラは言わないカラね……」
悪魔ほむらの下側には灰となって降り積もったフェニックスの遺骸が残っている。
隣には展開した侵食する黒き翼に飲み込まれて体を失ったフルフルの頭部が転がっているのだ。
「アリナのパワーの弱さなんて関係ない…パワーは表現するためにあるの」
<<ヨスガの道とは強者の道…
「だからこそアリナはアリナを信じる…目の前の女以上の可能性があるって信じてみせる!!」
放たれた一撃が魔法陣に触れたことで無数の鴉の矢となりながら迫ってくる。
目を瞑ることなく己を信じる者の姿こそ、天に逆らう反逆者の道。
そう感じた存在がついに動く時が訪れるのだ。
「な、なんですって!!?」
突然魔法が反射された一撃が悪魔ほむらに襲い掛かってくるが彼女は上昇して避ける。
回避したほむらが目にした存在こそ、ブラックキューブ信仰を生み出した明けの明星となる神。
「……貴女の覚悟、見届けたわ。貴女なら目指せるはずよ…私と同じ星の世界をね」
「アナタは……?」
アリナを守るようにして降り立ったのはクババと呼ばれしキュベレの姿。
そして隣に突然出現した存在にも目を向ける。
「…邪教の館の準備は終わった。このアマラ転輪鼓が導いてくれるだろう」
現れたのはバアル神の姿であり、手を置いているのは数多の世界を繋ぐアマラ転輪鼓である。
全てを察したアリナがキュベレに顔を向けた後、懇願してくる。
「…アリナは全てを受け入れる。その前に…仲魔達の遺骸を回収させて欲しいんですケド」
「だそうよ、どうする気?」
「大事の前の小事だ。我が回収してやろう」
バアルが片手を持ち上げれば超能力魔法によって遺骸が浮かび上がる。
フェニックスの遺骸は空となった器を出現させて入れてくれる。
フルフルの頭部はアリナの元まで運ばれたことで残った左手で角を掴んだようだ。
「…このボケ
「私は構わないわ。さぁ、私と融合した貴女はどんな輝きを生む存在になれるのかしら?」
「フフフ…我が目を掛けた魔法少女なのだ。明けの明星の如く輝くに決まっているだろう?」
「それは楽しみね。さぁ、逝きましょう…人としての貴女の人生が終わる場所にね」
アマラ転輪鼓に触れた瞬間、眩い光を放ちながら転輪鼓が回っていく。
「あれはまさか……人修羅と戦った時に使っていた道具!?」
再び弓を構えて攻撃を加えようとするのだが、アリナ達の姿は東京から消えたのであった。
決まりましたね、アリナのアカシックバスター(スパロボ脳)
まぁ相手は最強の盾な悪魔ほむらちゃんだから通じないのもしゃーない(汗)
これでアリかりカップリングの道は閉ざされちゃいますけど、自分を貫いて終われる道こそハッピーなんだと僕は考えてます。