人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
東京が破壊されていく光景を前にした帝都の守護者は烈火の如き怒りの戦いを披露する。
「よくも……よくもこれだけの大惨事を帝都で引き起こしてくれたな!!絶対に許さん!!」
フェンリルに追従する形でビルを飛ぶオルトロスの上に跨るライドウが拳銃射撃を繰り返す。
倒れ込んだマダを召喚管に仕舞ったライドウはモー・ショボーを召喚している。
彼女から受ける風の加護を宿した疾風弾を放ち続けるが狼悪魔は高速移動で避け続けていく。
「フン…マダを引っ込めてくるとはな。どうせこの街の人間など全員死ぬのに何故管に戻す?」
「黙れ!!たとえ僅かでも…生き残れる避難民を最優先にする!それが守護者の戦いだぁ!!」
「だけどライドウ…手を抜いて勝てる相手じゃないよ!やっぱりマダを使うべきだよ!」
「ダメだ!!たとえ足枷になろうとも…弱き人々の命を優先する!!」
「愚か者め!!貴様の惰弱さによって守りたい避難民が次々と死んでいくのが見えんのか!」
巨大なフェンリルが地上を駆け抜ける度に逃げ遅れた避難民達が踏み潰されていく。
守ろうとすればする程ライドウは守ろうとする人間達を殺しているのだ。
「あいつの言う通りだよ!多少は犠牲を出してもマダの力でそれ以上を救えたらいいじゃん!」
「それでは契約の天使と変わらない!
東京捜査を行っていた時期にライドウは尚紀から魔法少女の存在についての説明を受けている。
彼女達を魔法少女に変えたのは契約の天使であるインキュベーターと呼ばれる存在。
LAWに所属する彼の目的は少女達を生贄にして宇宙を延命させるのが狙いだと聞かされている。
大を生かすために小を犠牲にし続けたキュウベぇと同じ行為はしたくないと叫んでしまう。
「トロッコ問題の答えを出せんか?ならば自分の惰弱な我儘に溺れながら見ているがいい!」
大きく息を吸い込んだ狼悪魔が放つのはアイスブレスであり、極雹ビームが放射される。
大地を穿つようにして放ったブレス魔法攻撃が直撃した人々は一瞬で氷漬けとなっていく。
それだけでは終わらず極雹ビームで吹き飛ばされる氷塊の人間達が砕かれて殺戮されるのだ。
「そらそらぁ!!自分勝手な我儘に浸りたい惰弱な者のせいで!大勢の命が死ぬのだぁ!!」
「や……やめろぉぉぉぉーーーーッッ!!!」
オルトロスに突撃しろと命令したライドウがフェンリルに突撃するのだがカウンターを受ける。
「「グワァァァァァーーーーッッ!!!」」
全身から放つ絶対零度を浴びてしまったライドウとオルトロスが凍り付きながら弾かれていく。
炎無効耐性を得たライドウは反動として氷結が弱点となったせいで深刻なダメージを受ける。
炎を司るオルトロスもまた氷結が弱点であるため2人揃って倒れ込んでしまったようだ。
「ぐっ……うぅ……今のライドウは冷静さを失っている……このままではいかん……」
オルトロスの頭部から落ちたゴウトも体が凍り付き始めている。
そんな者達にトドメを刺さんと迫りくるフェンリルが禅問答を仕掛けてくるのだ。
「貴様は誰を守りたい?社会という大勢か?それとも心を通わせた僅かな者か?言ってみろ!」
迫りくる巨大な狼に対して刀を地面に突き立てながら立ち上がるライドウが吠える。
「両方を救いたい!心を通わせた者も大事だ…だが社会という大勢がいなければ生きられん!」
「全てを救いたいだと?何様のつもりだ…貴様の両手は宇宙を包める程にまで大きいのか!!」
契約の天使どころか唯一神でさえ出来ない理想を喚く我儘な者に対してブレス攻撃を放つ。
迫りくる極雹ビームを避ける力もないライドウであったが、オルトロスが割って入る。
「ライドウ!!オマエハオマエノ正シサヲツラヌクガイイ!ソシテ…責任ヲ負ウ強サヲ示セ!」
仲魔が放つ竜の尾の一撃を浴びたライドウが大きく弾き飛ばされていく。
吹き飛ぶライドウの身体をモー・ショボーが受け止めるのだがオルトロスは無事では済まない。
「オルトロスーーーーッッ!!!」
極雹ビームに飲み込まれたオルトロスの身体が凍り付きながら砕け散り、MAGの光と化す。
「フェンリルの言葉を重く受け止めなさい!貴方だって本当は弱い…全てを救えない者よ!!」
無念を噛み締めるライドウに対して体が凍り付きながらも立ち上がったゴウトが叫ぶ。
「14代目を襲名した者よ!どんな形でもいい……守りし者としての責務を果たせ!!」
友の叫びが魂にまで届いたライドウの両目がカッと開き、胸元の召喚管を抜く。
地上に下ろしてもらった後、モー・ショボーを管に戻した彼が召喚するのは二体の巨人。
「力無き自分とて守りし者……葛葉ライドウの名の元に集え!我が仲魔達よ!!」
振り抜かれた二つの召喚管からMAGが噴き上がり、召喚されたのはマダとオオミツヌである。
互いが50mにも上る巨体を顕現させたことでフェンリルが唸り声を上げていく。
「君命に応じ、我…再び顕現す!!我が命、貴様と共にあらん!!」
「愉悦はいつもタブーの先にあります!!」
オオミツヌの肩に立つライドウが陰陽葛葉の刃を狼に向けながら己の覚悟を叫ぶ時がくる。
「ここは異界ではない…しかし戦わねばならん!お前達が死なせた人々の責任は自分が負う!」
何が起きているのかも分からない避難民達の横では大怪獣バトルとも言える光景が生まれる。
異界ではないため巨大悪魔の姿が見えない避難民であるがビルが激しく砕けていくのは分かる。
大勢が逃げ惑いながら砕かれたビルの瓦礫で潰されていく断末魔がライドウの耳に届いていく。
「取り零していく……どれだけ力を求めても……自分は誰も守れない!!」
ライドウの悲痛な叫びこそ、人修羅や平将門公も背負ってきた無念の苦しみであった。
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宇宙という大を生かすのも社会という大を生かすのも同じ概念だろう。
ならば人修羅が掲げた人間社会主義の道もまたインキュベーターと同じでしかない。
魔法少女という少数の命と人間社会を天秤にかけた時、彼は容赦なく少数を殺戮した者。
社会正義を掲げて虐殺を正当化した者こそ、宇宙延命を掲げて生贄を正当化した者の姿だった。
「「オオォォォォォーーーーッッ!!!」」
渋谷区と程近い明治神宮内で戦い合うのは人修羅とルイーザの姿である。
ケルベロスはスレイプニルに突撃して転倒させたことで取っ組み合いの戦いを繰り返す。
「ヒヒィィィィーーーン!!!」
「コノアバレ馬メ!!オトナシク我ノ爪デヒキサカレロ!!」
甲冑馬に飛び掛かるケルベロスに対してスレイプニルが放つのはマハザンダインである。
巨大な暴風によって弾き飛ばされたケルベロス達が戦い合うのは明治神宮の隣の代々木公園だ。
馬から落馬させられてもルイーザの力は強大であり、かつての魔王ロキを超える程の力を示す。
その手に握られたレーヴァテインはスルトの力を宿し、彼女自身の剣技も達人の領域だった。
「秩序と平和とは多くの犠牲で成り立つもの!貴方様もインキュベーターと同じなのだ!!」
「そうだろう…そうだろうさ!自分では正しいと思った…だが…あいつと同じ姿だったんだ!」
「恥じる必要などない!その刃が振るわれれば振るわれる程、秩序と平和を築けたはず!!」
「だが少数の者達を俺は切り捨てた!!俺の姿は…貴様らイルミナティと変わらない!」
「勿論そうなりますよ!貴方様が信じた
社会主義・共産主義を生んだマルクスはユダヤ人であり、宗教指導者ラビの家庭で産まれた者。
子供の頃からユダヤ教の聖典タルムードを叩きこまれた彼はユダヤ人こそが選民だと確信する。
タルムードはあまりに独善的で傲慢な選民主義のため、他民族から激しく批判された聖典。
しかし彼はタルムードを前例にして社会主義という政治思想を生み出した存在だった。
「マルクス主義の両輪のフリードリッヒ・エンゲルス、それにレーニンもユダヤだったな!!」
「マルクス・エンゲルスの共産主義とは、聖典タルムードの選民主義の上で構築された物だ!」
優秀な人間が支配する党が独裁を行えば、世界はより良い結果が生み出される。
優秀さ、エリート主義というのが人間を区別し、序列化し、差別する根源の価値観である。
マルクス主義は選ばれた優秀な人間が指導する一党独裁政権で世界政府を築き上げる思想。
マルクス主義こそかつてのヨスガが掲げた選民思想であり、
「人間社会主義を掲げた俺もまたマルクスだった…だから魔法少女社会に独裁を敷いたんだ…」
「その根幹にあったのは…自分の方が悪の魔法少女より優れているという選民主義だったはず」
「そうだ…人間社会を愛する俺が魔法少女達を導けば…社会はより良くなると
選民的エリート主義というユダヤ式共産主義の末路は政治の歴史においてどうなったのか?
勿論優れた指導者とやらの独裁によって大量虐殺が起きてきた。
その光景こそ人修羅がもたらした魔法少女大虐殺の光景であり、歴史をなぞる末路となった。
「貴方様も卑屈民族として名高い日本人ですよ!だからエリート主義に陥ったのです!!」
「優れた者こそが全ての命を導くなんて狂っていた…俺もまた
愛する魔法少女を殺され、東京の人々を殺された光景こそボルテクス時代から続く負け犬の姿。
そんな己の劣等性に激しいコンプレックスを爆発させた背景が心の深層部分にあったのだろう。
その気持ちはマギアレコード宇宙における
日本社会は優秀という価値が全てを定めるテーゼとして21世紀でも君臨している。
優秀以外は排除される光景の例を上げるなら、履歴書の学歴だけで人を切り捨てる光景だろう。
「俺はナチスやソ連と同じ独裁者だ!社会のゴミは死ねとT4作戦と変わらない虐殺をした!!」
「恥じる必要はないと言ったはず!我々のようなエリートこそが家畜の命を導くのだ!!」
「祐子先生の憂いは正しかった…人々は強くならなければ…貴様ら
「貴方様もエリート側ですよ!共に社会のゴミ共を導きましょう…その命も財産も含めて!!」
「クックックッ……実にヨスガらしいな。それも一興だが……今は貴様との決着が先だぁ!!」
互いが剣を構えた時、駆け込みながら斬撃を狙う。
潜り抜ける形で横薙ぎを避けたルイーザに対して人修羅は振り向きながら斬撃を放つ。
袈裟斬りを受け止めた彼女が蹴りを放ち、弾かれながらも堪える人修羅に斬り込む。
上半身を振りながら連続斬りを避け、怨霊剣を逆手に持ちながら相手の横薙ぎを受け止める。
蹴りを放って彼女を押し出した人修羅が逆手持ちの刀を振り回しながら斬撃を放っていく。
「向こうの方も決着がつきそうだな!!貴様も狼悪魔の後を追わせてやろう!!」
逆手持ちの横薙ぎを潜り抜け、続く後ろ回し蹴りを肘で弾いたルイーザが向こうを見る。
聞こえてきたのはフェンリルの断末魔であり、我が子が引き裂かれる光景が見えた。
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「グワァァァァァーーーーッッ!!!」
マダの豪熱結界で逃げ場を封じられたフェンリルの巨体を持ち上げたのはオオミツヌである。
放つ技とはプロレス技のアルゼンチンバックブリーカーであり、雷で焼きながら背骨を砕く。
大放電を浴びながら頭から地面に叩きつけられたフェンリルは牙が砕けながら倒れ込む。
「まだ…だ……母上のためにも……せめて一体だけでも……巨人を倒す……」
不屈の精神で立ち上がろうとするフェンリルの前に踏み出てきたのはマダの巨体。
「世知辛い世の中で御座います」
フェンリルの口を両手で掴み、背中の両手も回しこんで頭を掴む。
四本の腕で持ち上げられたフェンリルが絶対零度を放つ前にトドメを決めるのだ。
「これは幸福の予告編です!!!」
両手に力を込めたマダが狼悪魔の上顎と下顎を一気に引っ張りながら引き裂く。
「アギャァァァァァーーッッ!!!!」
頭部だけでなく体まで引き裂かれていったフェンリルの身体が砕け散り、MAGの光と化す。
その光景を見つめるのはビルの屋上に立つライドウであるが表情は晴れない。
ビルの下側に目を向ければ巨大な悪魔達の大乱戦によって多くの人間達が死滅しているのだ。
「ライドウ……」
氷結した体に鞭を打ちながらビルの非常階段を昇ってきたゴウトが彼を見上げる。
右手の拳は震えており、自責の念によって苦しむ彼のためにこそ、ゴウトは語るのだ。
「…どんなに優れた武将であろうと、神や悪魔であろうと、全てを救う力などないのだ…」
「それでも…彼らに犠牲を強いる決断をしたのは自分だ。インキュベーターと何も変わらん…」
「そうだな…我々もまたヤタガラスと変わらん。大を生かすために小を犠牲にする者達だ…」
「我々は正しいのか…?これではもうインキュベーターとヤタガラスを否定する資格はない…」
「トロッコ問題はな……
「正解は…自分達で作っていくものか……」
「そしてその責任を背負える者こそ本当の強者であり、自由の道に進める者なのだろうな…」
フツヌシが何を伝えたかったのかを理解したライドウであったが背後に振り向く。
見えたのは巨大な氷柱の木であり、天を突かんとする氷の針から無数の棘が伸びている。
木の枝にも見える氷柱の棘の上で戦う者達が見えたライドウが巨人達を召喚管に仕舞う。
「今は立ち止まって考えている場合ではない……尚紀も戦ってくれているのだ!!」
駆け抜けるライドウの肩に飛び乗ったゴウトを連れた者が再び召喚管を抜く。
モー・ショボーを召喚したライドウは神風を用いて大きく跳躍移動を繰り返す。
移動しながら回復魔法で氷結を癒してもらう者達は考えることをやめていく。
今は戦場に立つ者として思考を戦場と同化させるべきだと割り切ったようだ。
「よくも……よくも私の可愛い子供を殺してくれたな!!」
フェンリルを失った怒りが爆発したルイーザは極大の氷結魔法を放つ。
『マハブフバリオン』の一撃によって生み出された氷柱によって明治神宮の敷地が破壊される。
咄嗟の判断で飛び上がった人修羅は伸び出てきた巨大な棘の道で体を貫かれずに済んだようだ。
「自分の可愛い子供が死ぬのはダメで、異教徒の子供達が飢え死にするのはいいのかよ?」
互いが剣戟を放ちながらも跳躍を繰り返し、棘の道を上がっていく。
彼らが立つのは氷の木の最上部であり、激しい剣戟が繰り返される。
「ゴイムの子とゴイの子を同列に語るな!家畜の子供など我らにとっては供物に過ぎない!!」
「何処までもタルムード主義かよ!!この傲慢民族め!!異教徒だって人間なんだぞぉ!!」
「ゴイム共を人間扱いしろだと…?そんなことをしたら…
金融は汚れた仕事だとキリスト教は判断するが、それでも経済活動のために金融を必要とする。
傲慢なユダヤはそれを利用し、異教徒共から命も財産も吸い尽くすために金融を悪用してきた。
ユダヤ教が利息徴収を正当化出来たのは異教徒を人間扱いしないタルムード教義があるからだ。
もしユダヤ教が異教徒を人間扱いしたなら、
「金融こそがユダヤ民族の発展なのだ!それを手放すことなど出来ん…ゴイムは家畜なのだ!」
「何がエリート主義だ!!貴様らも弱者に過ぎない!!権力の奴隷に成り果てた糞共だぁ!!」
後ろに飛んで斬撃を避けた人修羅が刀を鞘に仕舞った後、右手から光剣を生み出す。
背中に向けて右手を引き絞る形で構えた状態から放つ一撃とはドライブと呼ばれる剣技。
刀身から魔力が噴き上がって放つ二連続の斬撃波に対してルイーザも魔法を放つ。
背中の後ろで浮いた12本の魔剣が氷結していき、氷の刃となって射出される。
次々とぶつかる氷剣によって斬撃波が消し去られるが、それだけで終わる一撃ではない。
「終わりだ!!」
さらに引き絞られて放つのは極大の斬撃波であり、真一文字に放たれる。
迫りくる『オーバードライブ』の一撃を防げないと判断したルイーザが大きく飛ぶ。
背後にそびえ立つ巨大な氷柱が真一文字に切断されて崩れ落ちていく中、人修羅が飛び込む。
「行くぞォォォォーーーーッッ!!!」
刀を抜いた後に鞘を消して左手からも光剣を放出した人修羅が回転攻撃で迫りくる。
回転ノコギリとなって迫るディープスティンガーが破城槌となるが極大の氷塊が放たれる。
前方から放たれたブフバリオンに対して突撃した一撃が氷塊を砕きながら掘り進んでいく。
氷塊の一撃を貫通してバラバラにするのだが、ルイーザの姿は向こう側にはいないのだ。
「ぐはっ!!?」
空から落ちてきた12本の魔剣を回転ノコギリとなった刀の刃が弾くが何本か突き刺さる。
身体に刺さった魔剣による痛みで失速した人修羅の身体が向こう側の棘の道に倒れ込む。
「その剣技…私の中に溶けた魔王の知恵で分かる。魔界最高の剣士だったスパーダの技か?」
棘の道を歩いてくるルイーザに対して体に突き刺さった魔剣を引き抜いた者が立ち上がる。
「その通りだ…これは俺のライバルが残してくれた大切なものだが…俺を悪魔へと駆り立てる」
身体から血を撒き散らしながらも刀を地面に突き立てて立つ男の顔はまるで悪魔そのものだ。
殺し合いを心から楽しむ狂気に満ちた笑みを浮かべる男に負けないぐらいの笑みを女は返す。
「…もう民族紛争の話はやめだ。ここから先は一人の剣士として…貴方様と勝負をつけたい」
「望むところだが……それは後ろの奴を止められたらの話だがな」
後ろに振り向かずとも恐ろしいまでの殺気を背中で感じている。
ルイーザの背後に立っているのは陰陽葛葉の刃を向けてくる葛葉ライドウの姿なのだ。
「何処までも無粋な奴め…いいだろう。フェンリルを失った以上は…この剣の悪魔を使う」
魔剣レーヴァテインの刃から放たれる業火が極限にまで高まっていき、天に掲げていく。
「いでよ…我が剣に宿りし炎の巨人よ。ラグナロクにおいては世界を焼き尽くした力を示せ!」
天に向かって解放された極大の業火が放たれ続けていく。
シュミットによって彼女の魔剣に宿らされていた悪魔が本来の姿となって顕現する時がくる。
「さぁ、私も己の力のみで相手をさせてもらおう!自身の力で超えてこそ価値がある!!」
ルイーザの背中を突き破って伸びたのは魔王ロキの翼であり、夜空に浮かび上がっていく。
魔王達が小さき者達を見下ろそうとも、男達の口元には不敵な笑みが浮かんでいった。
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「ボルテクス界以来ではないか、人修羅!!貴様の実力がどれ程上がったのか見せてみろ!」
ヒノカグツチの全長と並ぶ程の超巨大な巨人こそがスルトであり、右手には業火の剣をもつ。
柄から上は燃え上がる炎そのものが刀身となっており、振るえば世界を終わらせるだろう。
全身が燃え上がるスルトはヒノカグツチと同じく衣服も髪の毛もない灰色の肌を露出させた姿。
目立つのは火山の噴火口のように勃起した頭部と全身に刻まれた赤いまだら模様であった。
「シジマを代表した悪魔の一体として現れた奴だったな……だが、お前の相手は俺じゃない」
「なんだと……?」
彼の横を向けば召喚管を握ったライドウが立っており、振り抜かれた管からMAGが噴き上がる。
眩い光と共に姿を消した彼が立っていたのは燃え上がる天空を舞うコウリュウの頭部だった。
<……ライドウ、奴は任せたぞ。俺はルイーザを仕留める>
<……了解した>
念話のやり取りを終えた者達が互いに動き、それぞれの戦いを始めていく。
「ヌゥゥゥゥゥ!!バカにしおって!!我と戦え!人修羅ァァァーーーーッッ!!」
燃え上がる刀身が振り下ろされたことでルイーザが生み出した巨大な氷柱が切り裂かれる。
世界を焼く炎が氷塊を一瞬で蒸発させると共に明治神宮一体を焼き尽くす熱波を放つ。
熱波で吹き飛ばされるケルベロスとスレイプニルであるが、それは周囲を彷徨う人間も同じ。
「コウリュウ!!あの巨人をどうにかして東京湾の方角にまで押し出せ!!」
「手荒い一撃となってもいいのか?」
「……構わん!!帝都である東京のど真ん中で戦うよりはマシだ!!」
ライドウの覚悟を受け取ったコウリュウが大きく口を開けながらショックウェーブを放つ。
迫りくる轟雷ビームに対してスルトは炎の剣を構えながら極大の炎を放つ。
「「オオォォォォォーーーーッッ!!!」」
互いの極大魔法がビームの拮抗のような現象を生むのだが、コウリュウがさらに出力を上げる。
「ヌゥゥゥゥゥーーーーッッ!!!」
スルトの巨体がビルを砕きながら東京湾の方角に目掛けて押し出される光景が生まれるのだ。
「……一体、どれだけの人間が死んだんだろうな」
風魔法の応用を用いて明治神宮エリアから大きく離れた人修羅はビルの屋上で立っている。
誰も守れない無力な自分を心から憎むようにして握り込まれる拳からは血が流れ落ちていく。
炎と血で埋め尽くされた赤き東京を見ていた時、人修羅の脳裏に声が響くのだ。
<<……守りし者よ。お前は全てを敵に回してでも自分を信じて戦う覚悟を宿せる者か?>>
<……魔剣スパーダか>
聞こえた念話はアラディアとの戦いで傷ついたマガタマであるマロガレから発せられたもの。
<<かつての魔剣士スパーダは悪魔達を裏切り、悪魔の軍勢と戦う裏切り行為を行った者だ>>
<ダンテから聞かされている……それがどうした?>
<<それだけでなく、彼は悪魔であるが故に人間からも疎まれ、全てから追われた者なのだ>>
魔剣士スパーダとはダンテの父であり、悪魔の軍勢を打ち倒して人間世界を救った悪魔の英雄。
しかし彼は数千年もの長い間、人間社会から消え去ったのには大きな理由があったようだ。
<<汝の覚悟を試す。汝は追われる者となれるか?スパーダと同じ覚悟を宿せる者か?>>
ダンテの父親と同じ覚悟を宿せるかと問われた時、迷いのない表情を彼は浮かべてくれる。
<……ああ、背負ってみせる。皆から悪者にされながら生きるのも……悪くはないさ>
人修羅として生きる尚紀の覚悟を受け取ったマロガレが脈動を始めていく。
右手が熱くなったのを感じた彼がマガタマを生み出した時、最強のマガタマが浮かび上がる。
「へっ……本当に待たせやがって。どうやら完全回復出来たようだな?」
掌に浮いているのは最強のマガタマであるマサカドゥスの力を取り込んだマロガレ。
彼は迷いなくそれを飲み込む。
上空からはルイーザが放つ無数の氷の剣が迫りくる。
次々とビルを削り取る魔弾の如き一撃が雨の如く降り注ぐのだが、異変に気が付く。
「ば……ばかな……」
土煙が舞う世界で佇むのは黒衣のウィザードコートを纏った悪魔の姿。
彼の衣服は背中の四枚翼によって編まれたものであり、マサカドゥスと同じ魔法耐性がある。
黒いフードを被った頭が上空を見上げた時、ルイーザは体が震える程の戦慄を感じてしまう。
「これが……この余りにも強大な力こそが……混沌王様の……真の力なのか……?」
震えている者を見つめる人修羅であるが、最後にこんな言葉を残して戦場に飛び立つだろう。
「ダンテ…俺もお前やスパーダと同じ道を行く。
ウィザードコートが蠢きながら観音開きするようにして四枚翼を広げる。
背中の内側に備わる二枚の翼が縦に向けて広げられたことで膨大な魔力が噴き上がる。
ブースター噴射するようにして夜空に飛ぶ人修羅は左手の鞘から将門の刀を抜刀するのだ。
最強の悪魔を前にしても意地を貫きたい女もまた背中の翼を広げながら急降下していく。
ぶつかり合う剣と剣が眩い閃光を生み出し、長い因縁に決着をつける戦いを生んでいった。
まどマギをずっと見てきたファンとして個人的に思ってたのは、キュウベぇって本当に悪なの?って部分なんですよねぇ
大を生かすために小を殺すトロッコ問題に答えなんてないはずなのにキュウベぇだけ悪者にされるなら、Fateシリーズの正義万歳エミヤ一家だって十分悪者なんですよねぇ