人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
巨大な上で膨大な数となる触手の龍達が次々と東京の大地を砕きながら地表で暴れまくる。
もはや東京としてのかつての原型は何処にもなく、瓦礫塗れの悲惨な状態となっていく。
そんな中、懸命に戦い続けているのが人修羅の仲魔達の姿なのだ。
そんな者達を背後にした悪魔ほむらであるが、前方で立ち塞がる存在のせいで進めない。
迂闊に飛び込めばこちらが倒されるかもしれない程の強大な魔力を持つ敵に戦慄していた。
「…少し見ない間にお色直しでもしたのかしら?それに私が千切ってあげた腕まであるわね?」
パズスの右掌の上に立つのはキュベレとフルフルを合体材料にして転生したアリナの姿。
フードのように纏うベールの奥の顔がほむらに向けられれば彼女と同じ金色の瞳を宿している。
「アハ♪お色直しって表現は的を得ていると思うんですケド。アリナはね、デビルを纏ったの」
「デビルを纏う…?それってもしかして…雪野かなえや安名メルのような悪魔合体なの…?」
「イグザクトリー。アリナはデビルに転生を果たした上で…成りたかった存在になれたワケ」
両腕を持ち上げながらパズスの掌の上で舞っていく存在が決めポーズをビシッと見せてくる。
魔法少女時代から変わらずポーズのセンスはよろしくないが、己の神名を高らかに宣言する。
「今のアリナは魔法少女じゃないし、橘千晶でもない。今のアリナは…イナンナだカラ」
【イナンナ】
シュメールの天空神アンの偉大なる娘を意味する金星の女神であり、古代都市ウルクの守護神。
アッカド語圏に入るとイシュタルになり、子宝や生殖などの豊穣を司る存在。
イナンナは死と再生の女神であり、それを表す神話こそがイナンナの冥界下りである。
シンボルは藁束と八芒星、聖樹はアカシア、聖獣はライオンとなっている。
また秦氏由来ともされる日本古代の魔道王国の王女であるイナルナ姫のルーツだとされている。
しかしイナルナ姫は神話ではなく、イナンナ神話をベースにした創作だとも言われていた。
「アリナはようやくガッデスになれた…アリナこそが美を象徴するガッデスなんだカラ!!」
「気取りたいなら勝手に気取りなさい。私はイナンナだのイシュタルだのと呼ばれたくないの」
「アナタなんかをイナンナと言う連中がいるならアリナは容赦しない…全員デリートするカラ」
「フン、イナンナらしく
「出来るワケ?前も言ったけど、その程度じゃないヨネ?本来のパワーもないのに勝てるの?」
神の力を得たアリナの魔力は桁外れであり、フルパワーの悪魔ほむらに匹敵するやもしれない。
円環のコトワリとの戦いで背負った消耗が癒えていない今のほむらでは分が悪過ぎるのだ。
図星を突かれた彼女の顔に冷や汗が流れ落ちるが、それでも戦う意思を曲げない態度を示す。
「私の戦いとは勝てる勝てないの話じゃないの。自分を曲げない自分自身との戦いなのよ」
「その点はチョー褒めてあげるんですケド。周りに流される連中よりもアナタは優れてるカラ」
「貴女もアーティストを気取ってきた女だったら…私と同じく自分自身との戦いだったはずよ」
「アリナはアリナの美を貫いた…周りの連中の評価に流されないアリナ自身との戦いだった」
「異常者扱いされてきたんでしょうね…私もそうよ。それで?神になった貴女は何を貫くの?」
「それを聞いちゃう?フフッ♪せっかくだし、イナンナとして何をしたいのか教えちゃうカラ」
右手を持ち上げて生み出した魔法武器とはかつてのキューブと似ている漆黒のキューブ。
それを浮遊させて魔力を込めれば巨大なブラックキューブと化す。
「よく見て、派手にぶんどってきたアリナの最高のアトリエを♪」
ブラックキューブの壁面が透明化していき、中に見えたのは邪教の館そのものである。
「あれは何なの…?イルミナティが所有する悪魔合体施設だというの…?」
「アリナは最高のアトリエを使ってデビルをクリエイトしていく…それが目的なんですケド」
邪悪な笑みを浮かべるアリナは自分こそが邪教の館の新しい主人なのだと宣言してくる。
これから先、たとえイルミナティだろうが彼女の許可なしに悪魔合体をすることは出来ない。
神秘主義を掲げながら悪魔に転生したいと望む黒の貴族達はアリナに土下座するしかないのだ。
「イナンナは豊穣ガッデス…それは
女しかクリエイト出来ないアトリエ空間こそが
五芒星や六芒星を掲げる邪教の館は新たな生命を産む子宮の館ともいえるだろう。
セックスを崇める悪魔崇拝者達は女の子宮を求めながら我先に転生を望んでくるはずだ。
アリナを豊穣の女神として称えていき、彼女を崇拝する国際金融資本家達で溢れ返るだろう。
「私と同じく五芒星を掲げる女らしい発想ね…この世の支配者の仲間入りがしたいわけ?」
「仲間入り?アリナはガッデス、崇拝される立場なワケ。アリナこそが天地の支配者だカラ」
「それが貴女の望むヨスガの道というわけね…だったら、私がその野望を砕いてみせるわ!」
全身から魔力を噴き上がらせる悪魔ほむらに対して余裕の表情を浮かべてくるアリナ。
見せびらかした邪教の館を再び小さなキューブに戻して消した後、パズスに命令を下す。
「アナタはアティスを回収しておいて。あんなアホでもアリナの中に溶けたクババの子だカラ」
「……承知した、アリナ様」
敬称までつけて彼女に絶対の忠誠を示すパズスの姿はまるでイナンナの聖獣に見えてくる。
イナンナやキュベレは聖獣としてライオンを従える存在であり、パズスもまた獅子なのだ。
浮遊したアリナの武運を願いながらパズスは砕かれていく東京へと向かっていく。
「さぁ、新しいアリナのパワーを見せてあげる。これこそがヨスガであり…アリナだカラ!」
眉間にシワを寄せて睨むアリナの両目が悪魔を表す深紅の瞳に変化する。
同時に彼女の周囲に出現したのは漆黒に染まった
死者の顔を形にしたマスクが様々な色に変化していき、アリナを守る九つの悪魔耐性と化す。
生前の彼女が求めた
鹿を解体してベールにしたフードの裾も広がっていき、ベールに備わる六本の鹿の足も広がる。
背後に存在する光輪も眩い光を発していき、女神としての彼女の力を示すだろう。
「ヨスガに負けるわけにはいかない!ボルテクス界から続く因縁に決着をつけてやる!!」
互いが魔法武器を構えて激しい空中戦を仕掛けていく。
死と再生のティアマトの前で始まったのは、死と再生を超えた女神同士の一騎打ちだった。
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ティアマトを破壊せんと東京湾を目指す人修羅の壁として立ちはだかったのは牛神の姿である。
黄金の牛兜を被り直したバアルは魔界を産み落とすまでは彼女を守るのだろう。
しかしティアマトはバアルをマルドゥクと勘違いしており、彼に向かって攻撃を仕掛ける。
天空から放たれる轟雷ビームや疾風ビーム攻撃まで浴びてしまうが天空神には通用しないのだ。
「ハッハッハッ!!ティアマトよ、そのような愛撫では我を元気にさせてしまうだけだぞ!」
バアル神モロクの悪魔耐性は万能属性以外は全て吸収してしまう程の凶悪さ。
悪魔ほむらの感情エネルギーとナホビノの力を得た彼の悪魔の力は極限の領域である。
攻撃を放てば放つほどバアルの体力を回復させてしまう援護攻撃にしかならないようだ。
「邪魔するな…でかぶつ野郎!!俺が破壊しに行くまでじっとしてやがれぇ!!」
天空神バアルが放つ『轟雷』が降り注ぐ中、超高速で接近する人修羅が刀を抜く。
疾走居合が決まるかと思われたが、バアルは四本貫手の構えで生み出した光剣で受け止める。
血のように赤い光剣に刃がぶつかり鍔迫り合いの光を生む中、バアルが語り掛けてくる。
「素晴らしい…素晴らしいぞ、ナホビノの力は!かつての力を取り戻すのは最高の気分だ!!」
「ナホビノだと…?貴様は何処かで禁断の果実を取り戻していたというのか!?」
「その通りだ!見つけた場所とは我と縁が深い東京の品川区、縄印学園の近くだったな!!」
一気に切り上げて刀を打ち払うバアルが豪快な回し蹴りを放つが人修羅は高速で上昇する。
蹴りを避けた人修羅が刀を左手に収納して生み出すのは巨大な光玉。
「くらいやがれぇ!!」
一回転しながら踵蹴りを決めて光玉を砕く一撃とは鬼神楽であり、無数の光弾を放つ。
戦っている空の下側は東京湾であり、誰も人がいない場所だから放てた一撃なのだろう。
しかしバアルは体から魔力を噴き上がらせていき、全身を抱き込みながら一気に光弾を放つ。
『神矢来』の一撃が上空へと昇っていき、降り注ぐ光弾の雨を全て破壊していく。
「これが本当のゴズテンノウの力だったのかよ…?ボルテクス界で襲われてたら死んでたな…」
光弾同士がぶつかり合う眩い光に意識を奪われていたため人修羅に隙が生まれている。
<<我を相手に余所見をするなど…余程死にたいらしいな、人修羅?>>
神速の移動によって迫りくるバアルが光剣を構えながら疾走居合を放ってくる。
「アラマサァ!!」
人修羅が背後に振り向いた瞬間、光剣によって次々と体を斬りつけられていく。
「グワァァァァァーーーーッッ!!?」
ヤマタノオロチを斬った『麁正連斬』の如き連続斬りが決まったことで人修羅が墜落していく。
ヤマタノオロチと同じく蛇神である人修羅はマサカドゥスの防御耐性を貫かれたようだ。
「まだだぁぁぁーーーーッッ!!!」
魔力を噴き上がらせるバアルが高速で降下していき、右手で引っ掻くような形で構えていく。
放つ一撃とは『逆薙』であり、魔力を纏わせた豪快な剛爪攻撃を狙う。
「させるかよぉ!!」
高速で落下する血塗れの人修羅もまた右手を大きく振りかぶり、剛爪の如き一撃を放つ。
放たれたアイアンクロウの一撃と逆薙が互いに斬撃波を生み出していく。
魔女の結界空間すら引き裂いてしまえる程の互いの剛爪がぶつかり合い対消滅するのだ。
海に叩きつけられる前に背中の外側の両翼を羽ばたかせて堪えた人修羅が海面を飛んでいく。
上をとったバアルは左手を向けながら無数の真空刃を放ち続ける。
マサカドゥスの魔法耐性で防ぐのだが、バアルの追撃が激しいためティアマトには向かえない。
そんな中、頼れる相棒のような者の姿を確認出来た人修羅が念話を送って援護を頼む。
<ほむら、お前も東京に来ていたようだな!俺を援護してくれ!!>
同じように東京湾の上空で戦っている悪魔ほむらであるが、人修羅の援護要請には応えない。
新しい姿となったアリナと激しく戦っているため余裕がないのかと考えた時、念話が届く。
<……私は私の道を行く。もう私達とは関わらないで……人修羅>
<ほ……ほむら……?>
<私達はね…男なんて必要ないの。私とまどかの間に挟まりに来る男共は絶対に排除するわ>
百合を崇めるフェミニズムに染まった頃の神浜魔法少女達のような言葉を彼女は浴びせてくる。
死線を共に潜り抜けた戦友から拒絶の言葉を浴びた人修羅の心に激しい動揺が生まれていく。
彼の脳裏に蘇ってしまうのはボルテクス界での苦しいトラウマ。
親友であった勇や千晶から拒絶の言葉を浴びせられた時と同じ苦しみが蘇ってしまうのだ。
動揺によって隙が生まれたことでバアルの一撃が迫っていることに気が付いていない。
「これはっ!!?」
海水を巻き上げる程の激しい竜巻に飲み込まれた人修羅の体勢が崩れて巻き上げられていく。
「ハハハ!!
バアルの言葉が人修羅の心を深くえぐり取り、トラウマを深堀りしていく。
ショックで体が上手く動かない人修羅に対して神速の勢いでバアルが迫る。
「いくぞぉぉぉーーーーッッ!!負け犬ぅぅぅーーーーッッ!!」
竜巻の回転に乗るようにして回転連続斬りを人修羅の体に放ちながら竜巻を昇っていく。
血みどろになりながら巻き上げられるしかない者に対して竜巻から飛び出したバアルが構える。
「受けてみよ……」
両腕で円を描くようにして構える形とは陰陽太極図。
右手を上に、左手を下に向けて構えた指の形とは666OKサイン。
666を数学で示す六芒星を象徴するカナンのモロクが一気に右手を天に向けて構える。
光剣が天を貫く程にまで伸びたことで『荒神螺旋斬』を放つ時がくるのだ。
「天空神である牛神の一撃をな!!!」
天に届く程の竜巻を一撃で真っ二つにしたことで中心にいた者の体は光剣の熱閃で焼かれる。
「がっ……はっ……」
マサカドゥスの耐性を貫くゲヘナの如き熱閃で体を焼かれた人修羅の体が海に転落する。
翼を広げて体勢を整える余力もない彼だからこそ、地上で口を開ける龍に対して成す術がない。
ティアマトから伸びる触手の一本が人修羅の体を飲み込み、巨大な体の養分にしてしまう。
「マルドゥク…貴様との因縁の決着は出産を終えてからだ。この者はわらわの養分とするぞ」
「出産は体力を多大に消費するからな…好きにするがいい。生き残れないならその程度の男だ」
イナンナと化したアリナと戦いながらも人修羅が倒される光景を悪魔ほむらは見届けている。
口元には不気味な笑みが浮かんでおり、百合を侵害する邪悪な男が消えた事を喜んでいく。
その在り様は人修羅を利用するだけ利用してゴミのように捨てた者の姿だろう。
まるでムスビの勇のような残酷な態度であった。
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「アリナの美はワールドの美!!弱肉強食こそがワールドなコトワリなんだヨネ!!」
自分の周囲を五つのデスマスクが守る中、四つのデスマスクを左右に広げて炎魔法を放つ。
放たれたのは『トリスアギオン』であり、敵単体に相性を無視して貫通する極大の炎を放つ。
「チッ!!」
侵食する黒き翼の吸収耐性を貫通してくる魔法ビーム攻撃に対して、夜のオーロラを展開する。
迂闊に攻めれば魔法を反射される守りに対して恐れ知らずのアリナは盛大に魔法を放つ。
「何でもリフレクト出来るのかどうか、アリナがベリフィケーションしてあげる♪」
四つのデスマスクが炎、氷結、雷、疾風属性の輝きを放ちながら四属性魔法を仕掛けてくる。
炎、雷、疾風属性の魔法はアリナに反射出来たようだが氷結魔法は防げていない。
「がっ……あっ……ッッ!!」
『マハブフバリオン』が決まった悪魔ほむらの全身が氷結してしまい、動きが鈍くなっていく。
アリナの方は反射された三つの属性魔法を悪魔の耐性で無効化して無傷のようだ。
イナンナ化したアリナは物理と万能属性以外は無効化する九つの防御耐性を宿す悪魔だった。
「アリナの中に溶けた橘千晶はムスビを知ってる。その時の経験がアリナに宿ってるカラ」
コトワリ戦で邪神ノアと戦ったことがあるヨスガの千晶は夜のオーロラの弱点を把握している。
夜のオーロラはコロコロと耐性を変更する防御耐性だが、一つだけ弱点が隠れている。
夜のオーロラを展開すればするほど弱点もまた変化していき、それを探し出す必要がある。
かつての人修羅も邪神ノアと戦った時はコロコロ変わる弱点を探しながらの戦いとなったのだ。
「アナタは強いように見えて本当は弱い。
「な……何ですって……?」
「アナタは自分の都合の良さしか求めていない。だから人修羅さえ都合のいい道具にしたヨネ」
フェミニズムに染まった暁美ほむらもまたフェミニストと同じような心理状態となっている。
自己を肯定するのに正当な理論さえ必要なく、レズビアン達の都合の良さしか求めない。
異常なまでの自己愛によって自分は正しいと揺るぎない正義感を爆発させて押し付けてくる。
世界に嘘をつき続けてきた暁美ほむらは嘘が常習化したことで自己欺瞞にさえ気が付かない。
フェミニズムを掲げるレズビアンとて男社会に生かされてきた者達。
暁美ほむらとて人修羅という男の力が無ければとっくに殺されて死んでいた者。
「アナタのムスビを見てると橘千晶と同じ怒りが湧いてくる…ニートと同じ現実逃避だカラ!」
両手で放射する構えを行ったアリナの背後に存在する光輪が高速で回転していく。
眩い光を生みだす後光が魔力出力を引き上げていき、両手から放つのは至高の魔弾。
極大の万能属性ビームが迫る中、氷結した体に鞭を打ちながら上昇して避けていく。
「まだまだぁぁぁぁーーーーッッ!!!」
逃げるほむらを追うようにして万能ビームを真上に持ち上げたことで直撃することになる。
「アァァァァーーーーッッ!!!」
直撃する前に夜のオーロラを展開したことで万能属性の威力を大幅に削り取る。
それでも弱った体に与えるダメージは深刻だったのか墜落していくことになるのだ。
「ほんと、厄介なニートカーテンなんですケド。だったら弱点を突いていくだけだヨネ!!」
魔法戦に長けた今のアリナの姿こそ古代日本の魔道王国の姫君であるイナルナ姫を彷彿させる。
イナルナの起源であるイナンナとなった彼女は悪魔ほむらに対して容赦ない魔法を放ち続ける。
「私は引き籠りになるしかなかった…周りは誰も助けてくれなかったから自己完結したのよ!」
夜のオーロラはアリナに対して有効ではないと判断したほむらが左手の魔法盾を掲げる。
時間停止を用いて攻撃を仕掛けようとするのだが、アリナも時間停止を警戒していたようだ。
「えっ!?」
魔法盾は確かに起動したはずだが、時間停止現象が起きていない。
<ワシの時間停止もまた魔法効果で時を支配する…魔法効果解除魔法を使われたら終わりじゃ>
右手を伸ばしてアリナが放ったのはデカジャであり、魔法効果でバフをかける魔法を解除する。
時間停止も時が止まった中で命中率と回避率を極限に高めるものであり解除対象となったのだ。
「悪魔の魔法は本当に厄介ね……あの女から隙を生み出さない限り時間停止は狙えないわ…」
魔法弓を構えながら攻撃を放ち続けるが、アリナは反射魔法のマカラカーンで反射させてくる。
魔法を反射された意趣返しのように反射してくる自分の攻撃を高速飛行で避け続けるしかない。
「暁のガッデスはアリナがなってあげる!アナタはデリートしてあげるカラ!フェイカー!!」
死と再生を象徴する暁の女神の座をかけた戦いは熾烈を極めていく。
その間にもティアマトは魔界を産むための準備を着々と進めていくのであった。
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「畜生!!打ち倒しても打ち倒してもキリがねーぞ!!?」
筋斗雲に乗りながら高速飛行するセイテンタイセイが触手の龍を掻い潜っていく。
如意棒を振り回して何匹もの触手を打ち倒しているのだが次々と再生してしまうのだ。
「こっちも同じよ!!どうなってるのよ……切り捨てても再生してくるわ!!」
ホウオウに乗りながら同じように触手を掻い潜る静香の顔も動揺が広がっている。
「奴の再生力は底無しなのか!?これでは本体どころか触手すら倒しきれんぞ!!」
「原初ノ混沌ノオソロシサヲ具現化シタ概念存在コソガティアマト…奴ハ神霊ソノモノダ…」
「そんなことは分かっている!たとえ神霊が相手であろうと私は恐れる者ではないぞ!!」
必死になって戦う者達であるが東京の大地を砕いて顕現した触手の数は膨大である。
とてもじゃないが彼らだけで相手出来る規模ではなかったようだ。
手の空いている触手の龍は口を大きく広げながら東京に漂う感情エネルギーを吸い上げていく。
出産には多大な体力を要するためマニトゥの如く獰猛に喰らう邪神と化しているようだ。
「タルト…このままでは分が悪いわ。私の中に宿るスカディの力を解放するしかないと思う…」
「ダメです!その力はリズの自我を乗っ取ろうとするものです!貴女まで邪神になりますよ!」
「だけどこのままでは……くっ!!」
タルト達を飲み込もうと突撃してきた触手の龍を跳躍して避けたが再び大地を砕いて現れる。
口を開けて下から迫る龍に対して光剣と化したクロヴィスの剣を握るタルトが大技を放つ。
「ラ・リュミエール!!」
万能属性の光の放射攻撃を浴びた龍の頭部が消し飛ばされるのだが、首が再生していくのだ。
「私達は尚紀を守る剣なのです!彼の心の剣が折れない限り!私達の剣もまた折れません!!」
尚紀を信じて戦う者達であるのだが、彼らの心に絶望をもたらす光景を静香が見てしまう。
「そ…そんな……イヤァァァァーーーッッ!!嘉嶋さぁぁぁーーーんッッ!!!」
静香の悲痛な叫び声に反応した者達が東京湾に目を向ける。
そこに広がっていたのは上空から落ちていく人修羅の体が触手の龍に飲み込まれる光景なのだ。
「な…尚紀ーーーーッッ!!!」
弾かれるようにして筋斗雲で飛んでいく師匠が如意棒を振り上げながら一気に放つ。
尚紀を飲み込んだ触手の龍の頭部が千切れ落ちるのだが、人修羅は飛び出してくる気配がない。
「バカ野郎!!俺様達は諦めてねーんだぞぉ!テメェだって最後まで足掻き切ってみせろ!!」
海面から飛び出してくる他の龍を掻い潜るセイテンタイセイは懸命に尚紀の名を叫ぶ。
その光景は東京で戦い続ける仲魔達も同じなのだ。
そんな者達を空から見下ろすのはバアルであり、黄金の牛兜の中では不気味な笑みが浮かぶ。
「人修羅は
現実を覆せない非力な虫けら共を嘲笑うようにして高笑いを上げていく。
しかしバアルの顔が突然驚愕した顔つきとなり、自分の右腕に目を向ける。
「な……なんだ……これは!?」
自分の意思とは関係なく赤き光剣が放出されており、自分の首元に刃を近づけていく。
<<よくも……よくも僕の故郷を燃やしたな……僕の故郷を……破壊したな……ッッ!!>>
服の下ではいつの間にか取り込まれた少年の頭部が出現しており、表情は憤怒で歪んでいる。
少年の復讐の炎がバアルの体を一時的にだが支配したことで自刃しようとしているのだ。
「貴様ーーッッ!!?早まった行動をしおって!!」
動く左手で自分の右腕を掴み取り、首を自刃させられまいと足掻く姿を晒していく。
「貴様はただの道具だ!!我の一部でしかない者だ!!我に従え…永遠に凌辱されていろ!!」
「断る…ッッ!!たとえ僕が消えてなくなろうとも…いつか必ず…貴様を倒す者が現れる!!」
「それが蛇神の役目だというのか?クックックッ…やはり
左手で右腕を払い除けた後、怒りの鉄拳を己の胸元に叩きこむ。
「ゴハッ……ッッ!!!」
顔面が陥没する程の一撃に押し込まれる形で再び取り込まれた事で体が自由になったようだ。
ティアマトの巨体に振り返ったバアルは低い笑い声を上げながらこう呟く。
「水の世界で産まれ直すがいい…蛇よ。牛として蛇と決着をつけられる日を楽しみにしておく」
牛神と蛇神の戦いとはマルドゥクとティアマトの戦いでもある。
日本でいえば牛神の系統であるスサノオと蛇神のヤマタノオロチの戦いが有名であろう。
世界各地で牛と蛇が殺し合う神話が彩られ、この世界でもそれをなぞろうとしていく。
世界にサードインパクトが起きて魔界となった時、彼らはどのような運命を辿っていくのか?
CHAOSの未来のために共にLAWとの決戦に赴く仲魔となるのか?
それとも神話の決着をつけるための戦いの果てに共に倒れてしまうのか?
その結末を描くため、人修羅は原初の混沌世界で再び己を試されることになるだろう。
同じ蛇神であるティアマトに取り込まれた人修羅は真の蛇として生まれ変わろうとしていた。
真女神転生5の牛神サブクエストでナホビノ君がバアルに取り込まれてたらナホビノ専用技も使えるようになるのかな?
という発想からバアル神にもナホビノ君の技を使えるようにしてみました。