人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
305話 黒銀の庭
愛する少女に与えられた理不尽な運命に逆らうために暁美ほむらが生み出した宇宙、銀の庭。
そこは彼女が作り上げた虚構によってもたらされた儚い世界。
そこでしか彼女は虚構の少女を幸せにしてあげられないからこそ生み出されたもの。
嘘で塗り固められた世界でしか虚構の少女は認識されず、しかし認識されたお陰で幸せとなる。
虚構の存在に過ぎなかった鹿目まどかのためにこそ人の夢で描いた張りぼての世界だった。
しかしほむらが夢に描いた銀の庭世界はどす黒いエネルギーによって塗り替えられてしまう。
悪魔に成り果ててでも守ろうとして縋りついた世界は同じ悪魔達に作り替えられてしまうのだ。
都合の良さで形作られた世界は変革されてしまい、悪魔達にとっての都合がいい世界となる。
かつて鹿目まどかが命を捧げてまで守ろうとした魔法少女達が生きた世界が壊れてしまった。
宇宙の秩序に反逆してまで求めた暁美ほむらの明るい世界は今、再び絶望の庭と化したのだ。
……………。
「パパ…ママ…この国はどうなっちゃうの…?わたし達日本人は…どうなっちゃうの…?」
沈痛な表情のままテレビを食い入るように見つめているのは鹿目まどか夫妻である。
未だに悪魔にかけられた嘘の魔法が機能しているようであり、娘を演じる者に語り掛けてくる。
「…分からないさ。こんな酷過ぎる事件になるだなんて…3・11どころの騒ぎじゃないよ…」
「首都が跡形もなくなる程の大破壊テロが行われるなんて…こんなの核爆弾でも不可能だ…」
「国連主導の調査委員会が発足されて原因追究されてるようだけど…その東京がないんだよ…」
「東京には大勢の人達が暮らしてたんだよ…?その人達は…どうなったの…?」
「…日本政府の発表では殆どの者達が行方不明。もう生きていないのかもしれないね…」
「そ…そんな…東京は日本の首都なんだよ…?わたし達は…どうなっちゃうの…?」
「アタシだって分からない…怖くて堪らない…民衆だけでなく天皇陛下まで行方不明なんだ…」
「脱出出来ていないと政府からの発表があった以上は…天皇陛下の崩御なんだろうね…」
「それだけじゃないよ…皇族一族の者達まで同じ日に殺されているって発表があったろ…」
「天皇一族崩壊か…経済だけでなく国の権威まで消えてしまった…もう日本は終わりかもね…」
「パパ……ママ……」
絶望の表情を浮かべながら毎日テレビを見るばかりの両親に対して娘は怯えている。
この一週間は仕事も学校も早仕舞いばかりであり、今後の対策会議で自宅待機状態なのだ。
そんな鹿目一家をビルの屋上から見つめるのは悪魔ほむらの姿である。
横には時の翁であるクロノスも立っているが、両者共に無言を貫いているようだ。
沈黙に耐えられなくなったのかほむらが先に口を開いてしまう。
その言葉はとても低く、そして絶望を感じさせる程にまで辛い感情を絞り出す言葉であった。
「私達は負けたも同然ね…。ルシファーとバアル、それにイルミナティには勝てなかった…」
「…お前さんはもう気が付いておろう?日本どころか世界から魔獣が消滅している事態をな」
「ええ…分かっている。あの東京で生み出されたダークマターによって消滅させられたの…?」
「その通りじゃ。これで魔法少女達は魔獣と戦う使命からは解放されて救われたわけじゃな」
「バカ言わないで…魔獣は人類の敵だけど魔法少女を生かす存在…これからどう生きるのよ?」
「それよりも考えねばならんのは世界は三度目の再誕を迎えた事で新たな獣が生まれるのだ」
「新たな獣ですって…?」
「その獣とは我々の同族。同じ悪魔共が世界を蹂躙するために出現していくだろうな」
魔女や魔獣よりも遥かに厄介な存在である悪魔が跋扈する新たなる世界が目の前にある。
それを聞かされた者の体が震え抜き、自分達が築いた世界の全てが壊された事に嘆いてしまう。
「まどかが存在そのものを懸けてまで守ろうとしたのよ…?私だって全てを投げ捨てたわ…」
「小娘……」
「それなのに……あんまりよ!!悪魔共のせいで…私達の世界が滅茶苦茶になったのよ!!」
「悪魔とは摂理を乱し、この世界を蹂躙する存在。そう語ったのは悪魔のお前さんだったろう」
「そ…それは……その……」
「自分が蹂躙するのは良くて、他の悪魔はダメか?お前さんはとことん客観性がないのぉ…」
悪魔になった者として他の悪魔を否定する資格はないと彼女は認めることになるだろう。
彼女だって同じ悪魔として好き勝手に世界を嘘で蹂躙してきた詐欺師である。
その姿は世界メディアを資本で支配してフェイクニュースで洗脳する悪魔組織と同じなのだ。
「…私はまどかじゃない、望みだって違う。私はまどかと周囲の者達が幸福であればいいわ」
「…見滝原市という地域で暮らす魔法少女達以外を見捨てるということでいいのじゃな?」
「そう受け取ってもらって結構よ。魔法少女になった者なら…いつ殺されても自業自得よ」
「そうやって見捨てていく道こそが…魔法少女として生きたお前さんの道じゃったな……」
体をクロノスに向けた彼女が息を飲み込んだ後、決断を下す言葉を送ってくれる。
「私は……ルシファーとバアルの誘いを受けることにすると伝えて。ただし条件があるわ」
「言わんでもいい、閣下が提案した通りの内容を必ず用意しろと言いたいのじゃろう?」
「そうよ。鹿目まどかとその家族、見滝原の魔法少女達とその家族の無事を約束させなさい」
「了解した、そう伝えておこう。これでお前さんもエグリゴリの悪魔として生きることになる」
「悪魔の私は正義のヒロインなんかじゃないわ…まどかを守るためにのみ生きる存在なのよ」
「望みは閣下が叶えてくれる。これからの鹿目まどか達は何も知らずに幸福となっていくな」
「まどか達は選民都市ザイオンで生きる普通の少女達…そのように記憶を操作するべきね」
「そうしてやれ。かつての偽街で生きたように…今度はザイオンが彼女達の揺り籠となろう」
互いに片翼を生み出した者達が片翼で自分を包み込んだ瞬間、舞い散る羽と共に消えてしまう。
暁美ほむらは世界を諦めると宣言したも同然の光景だが、それこそが彼女が歩んだ道の在り方。
魔法少女になっても全てを救えない非力な自分を受け入れたからこそ取捨選択してきたのだ。
彼女が求めるものは少しだけの救いであり、全体の救いなど求めてはいない。
その在り方こそ自己完結であり、自分とその周囲の者達だけで完結すればいいと願う気持ち。
正義のヒロインとして失格者となった者であるが、彼女を否定することが出来るのか?
他の人間達だって社会主義を掲げながら国の問題に取り組む努力などしてこなかっただろう。
過酷な労働や僅かな稼ぎ、人生の時間は自分や家族を支えるためだけに使われてきたはずだ。
人間も魔法少女も悪魔でさえも自分しか生かせない非力な存在だと暁美ほむらは知っている。
全ての者達が現実を受け入れ、取捨選択した末に自分と周りを守って欲しいと願うのであった。
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悪魔は一般に人に害を為す超自然的現象、人生の災厄、心の中の煩悩・邪心を象徴化した存在。
魔という文字は中国においてインドのサンスクリット語仏典を漢訳した際に生まれたものだ。
マーラ(死に至らしめる者)を麻とし、中国の霊を意味する鬼を組み合わせて魔羅と表記する。
悪を象徴する魔が悪魔という事になり、西洋のデビルやデーモンの訳語として用いられるのだ。
異教の神を貶める際に用いる事もあり、一神教系の悪魔は元来異教の神々であったともされる。
または残忍・非道でずる賢い人間の喩えとして用いる場合も多いだろう。
社会秩序や道徳に挑戦するピカレスクな悪漢存在という意味合いを持つ場合もある。
善悪とは元来個人や社会の価値観で変動するもの。
悪魔とは捉え方を変えれば変化や試練の象徴と言えるのかもしれない。
神も魔王も天使でさえも超自然的な存在として
悪魔は必ずしも人間の敵であるとも味方であるとも限らないという陰陽合一概念であった。
……………。
ここは二木市と呼ばれる日本の地域。
この地域に根差してきた地元の魔法少女達も世界の変化を感じているようだ。
「…結菜、東京テロが起きて国が大変な時だってのに…樹里サマ達は狩りをしてていいのか?」
火を表すような刺繍が入った黒い魔法少女服を纏う黒髪長髪の少女が横に振りむく。
暗い表情をしながらソウルジェムを左手に持つのは二木市のリーダー魔法少女である。
その隣にはかつて魔人ヘルズエンジェルを目撃してしまった煌里ひかるもいるようだ。
「…私達に出来ることなんて何もないじゃない。私達はただの女子学生なのよぉ…樹里」
「そうだけどよぉ…これからの国はどうなっちまうんだ?東京どころか天皇まで死んだんだ…」
「分からないわぁ…国の未来のことなんて。私達魔法少女に出来る事は魔獣を狩る事だけよぉ」
「その魔獣なんすけど…全然見当たらないですよね…?まるで世界から消えたみたいっす…」
「それは私も感じているわ…ひかる。こんなの変よ…魔力を全然感じなくなるなんて…」
「もしですよ…?東京で起こった大規模テロの影響で世界から魔獣が消えたりとかしたら…」
そんなのあるわけないと言いたいところだが、和装の魔法少女服を纏う紅晴結菜は黙り込む。
もしそんな事態になったのなら一体どのようにして魔法少女は生きればいいというのか?
これからの人生を路頭に迷いながら魔力枯渇を迎えるだろうと考えれば恐ろしくもなる。
「さっきも言ったけど…私達魔法少女に出来ることは戦う事だけよぉ。それしかないから…」
「戦うったってよぉ…肝心の獲物が何処にも見つからないんじゃ…どうしようもねーぞ…」
酷い不安を抱えながら歩んでいく者達に視線を向けるのは新しい獣となった者達。
人間に擬態した悪魔や動物に擬態した悪魔達が真紅の瞳を光らせながら魔法少女達の姿を追う。
彼ら悪魔は擬態化すれば魔力探知を回避する能力があり、暗殺能力に秀でた存在でもある。
悪魔を敵に回してしまえば最後、神浜の革命魔法少女達のように暗殺されるばかりなのだ。
そして彼らは知恵ある者達でもあり、かつての魔女や魔獣のように正面から戦う者ではない。
あらゆる策謀を巡らせながら魔法少女達を追い詰めていくその姿はまさに狩人そのもの。
悪魔の世界となった新たな世界においては魔法少女は狩られる者達。
弱肉強食の世界と化した領域に足を踏み入れれば最後、狩人達とて狩られる側に成り果てる。
その光景の一端は二木市だけでなく世界中で起きていく事になるだろう。
今まさに超自然的な存在である悪魔と魔法少女達の殺し合いの光景が幕を開けるのであった。
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サード・インパクトは人為的にもたらされた世界の変革であるためその効果は限定的だ。
魔界の表層と繋がり悪魔達が自由に現世に現れる状況であるが、世界は魔獣世界のままである。
魔法少女達の記憶まで改変された訳ではないのでかつての世界の記憶がそのままの状態なのだ。
その上で世界から魔獣が消滅したのかもしれないという恐怖が魔法少女達の心を苦しめていく。
ソウルジェムは不安と恐怖で穢れるばかりだというのに穢れを取り除く手段がないのだ。
神浜市や見滝原市の魔法少女達のように悪魔知識を手に入れられた者は限られている。
そのため世界中の魔法少女達はもうじき命が終わる時がくるという恐怖地獄に陥っていた。
……………。
「今日みんなに集まってもらったのは…世界に起きた異常現象についての説明の為なんだ」
関西圏の地方都市で活動してきた魔法少女達はキュウベぇを囲みながら彼の説明を聞いていく。
東京崩壊の影響によって世界から魔獣が消滅したのは事実であり、新たな脅威が迫っている。
魔法少女達は新たな脅威に対抗するために戦って欲しいというが、皆の表情は混乱していく。
「そんなのいきなり過ぎるわ!魔獣を倒して魔力回復さえ満足に出来ない状況だってのに!」
「そうや!新たな脅威の兆候だって直ぐには表れないのに…どうやって戦えばいいんよ!?」
「新たなる獣についてはボクは悪魔と呼称することにした。彼らを倒せばメリットもある」
「その悪魔を倒した時のメリットって……?」
悪魔を倒せば高確率で魔石と呼ばれる石を落とすと説明される。
その魔石はかつてのグリーフキューブを超える程の魔力回復量があるというのだ。
少しだけ希望が持てた表情を浮かべる魔法少女達であるのだが、キュウベぇは隠している。
悪魔自体が死なない限りは使い続けられるグリーフシードのようなものだと伝えないのだ。
悪魔の脅威を淡々と語りつつその脅威を強調し、悪魔と手を取り合える可能性を潰す。
悪魔と魔法少女は対立だけの関係性しかないのだと彼女達に刷り込んでいく。
善悪二元論を利用したことで正義に生きる魔法少女達は悪の存在を抹殺すると言ってくれる。
これこそがキュウベぇの狙いであり、宇宙の熱を効率よく燃やすために着火剤を誘導するのだ。
説明を聞き終えた魔法少女達が去っていく中、見送る彼がこんな言葉を呟いてしまう。
「切り取られた情報だけで全てを知った気分に浸る…人間も魔法少女もただの偏見生物だね」
キュウベぇの誘導手口こそ、日本や世界の偏向メディアも用いてきた誘導手口。
切り取られた映像や誘導要員となる専門家等を駆使して偏った情報を鵜呑みにさせる。
人類をずっと観測し続けてきた者だからこそ、民衆は怠惰からは逃れられないと分かるのだ。
「君達はテレビニュースや新聞、SNS情報を自分なりに検証してきたかい?
資本家の犬の権威がこうだと言えば、民衆はそれが真実なのだと勝手に鵜呑みにしてくれる。
周りの者達も同じ情報を共有していることで安心感を得ながら思考停止に追い込まれる。
何より生活が最優先であり、与えられる情報の真意など政治家や専門家に丸投げすればいい。
こんな怠惰に支配されてきた人々だからこそ、与えられる偏向情報に流される羊の群れだった。
「戦前からも変わらず、人間は何処までも羊の群れ…個の確立を求めないから操られるのさ」
踵を返して去っていく彼が口にしていく言葉の数々はまるで研究者のようなもの。
これから先、モルモット達がどのような化学反応を示していくのか興味津々なのだろう。
「切り取った悪魔の残酷さは悪魔が証明する。その残虐さがボクの情報の正しさを証明するよ」
切り取られた情報であろうがそれが正しいと人々に確信させる後押しが必要だろう。
それを任された者こそが欲深さと残酷さの塊ともいえる鬼畜外道の悪魔達なのであった。
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「……ただいま、お母ちゃん」
関西組の1人が家に帰ってきたのだが静まり返っている。
魔法少女として夜を出歩く者なので家族の仲は険悪なのだろうか?
しかし原因は別にあり、この一家は今窮地に立たされている状況なのだ。
「おかえり、エリ。今までどこいってたの?」
現れたのは魔法少女の母親であり、何処か不気味な雰囲気を漂わせている。
「…別に何処だってええやろ。…それより、お父ちゃんとケンジの容態はどうなの…?」
この一家は未知の病魔のワクチン接種を行ってしまった者達なのだが容態が急変している。
健康だった14歳の弟は突然両足が動かなくなり寝たきりの生活を余儀なくされている。
父親にいたってはワクチンを接種した後に特発性血小板減少性紫斑病という難病を発症する。
紫色の斑点が全身に広がっていき、酷い痒みで引っ掻けば流血が止まらなくなる難病なのだ。
血小板が減少したせいで痛痒い部分を搔き毟ればする程全身が血塗れとなっていく。
既に父親は危篤の状態であり、病院に搬送されていつ死ぬかも分からない状態だった。
「…お父ちゃんは亡くなったって電話があったわ。ケンジもね…自暴自棄になっているの」
自分の夫が亡くなり、息子まで危険な状態だというのに母親は淡々とした態度をしている。
そんな母親の態度に激怒した娘が罵倒してくるのだ。
「だからウチは言ったんよ!胡散臭いワクチンなんて接種するべきじゃないって!!」
「だけど未知の病魔に感染したら社会に迷惑をかけるもの、仕方ないじゃない」
「仕方ない!?ワクチンのせいで違う病魔がどんどん溢れてる!!全部ワクチンのせいや!!」
「病院に訴えたけど因果関係不明だと言い張られるし、行政の窓口もたらい回しにされるわね」
「この日本は最初から狂ってる…日本人のための政治をしてへん!!なのに従うなんて!!」
「アナタはいいわよね…ワクチン接種を拒んだんだし、病気にならなくていいわよねぇ……」
不気味な笑みを浮かべながら近寄ってくる母親が恐ろしいのか魔法少女は後退りしていく。
彼女は魔法少女であるため未知の病魔を患おうが回復魔法で治療すればいいと接種を断る。
そのためワクチン接種の副反応を受けずに済んだようだが周りの者は彼女を憎んできた。
ワクチン接種しない者としてバイオテロリスト扱いされながら差別され続けてきたのだ。
「御国や専門家達が間違うはずないわ…そうよ、これは全部御国に従わないアナタのせいよ…」
「な、何を突然言い出すん…?全部ウチのせいやなんて……酷い言いがかりやで!?」
「どうするのよ…アナタのせいで夫は死んだ!息子の体と心も壊れた!全部アナタのせいよ!」
壁際にまで追い込まれた魔法少女が尻餅をつきながら震え抜く。
迫ってくる母親の表情は怒りと愉悦が入り混じったような醜悪さを見せつけてくる。
「本当にお母ちゃんなん…?だって変やで!!なんで関西弁を喋らないん!?」
母親の形をしているが別人なのではないかと見破られたのが面白いのか不気味な笑みを見せる。
「わたしはいつもあなたのこと、しんぱいしてるのよ。さぁ、こっちにいらっしゃい」
「嫌や!!一体何者やの……正体を表せ!!」
「チッ…カンがいいな。お前の母親は頂いた、ついでに弟も頂いておいたぜ」
突然男口調で話し始める存在を見たことで目の前の正体が新たな獣なのだと悟ることになる。
「なぁに、悲しむことはない。直ぐに会わせてやるよ……俺の腹の中でなぁ!!」
母親の形を形成していた存在が肉の皮を突き破りながら本来の悪魔の姿を晒していく。
「あ……あぁ……これが……悪魔なんやね……?」
現れた悪魔の一体とは邪鬼の一種であり、一本角が生えた長髪をもつガタイのいい男悪魔だ。
【アマノサクガミ】
天邪鬼であり、意図的に思ったことの反対の行動を行う鬼。
人の心を読んでその思考の逆の行為ばかりを行い、相手の気分を悪くすると言われる。
それらは相手に対する皮肉であり、わざとらしい演技を用いて相手を苦しめる悪魔だった。
「俺は弱い悪魔だからよぉ…上手く擬態出来ねーんだ。そういう悪魔は人間の皮を被るのさ」
「人間の皮を被る…?そのためにウチのお母ちゃんを……殺したんやね!!?」
「その通り。テメェも後を追わせてやるが…その前に精々楽しませてくれよぉ、ヘッヘッヘッ」
紫色の肌をした筋骨隆々の男悪魔は長髪で顔が隠れたまま不気味な笑みを口元に浮かべていく。
長髪から見える真紅の瞳が視線を送るのは座り込んで震える魔法少女の股間部分。
ミニスカートを履いた少女であるため下着が丸見えであり、男悪魔は少女に興奮しているのだ。
「魔法少女はしゃぶりつくす!肉体、精神、魂の全てを消費する!それが悪魔の在り方だぁ!」
競泳用のメンズハーフスパッツのような服を纏う悪魔の股間部分はギンギンだ。
何をされるのか年頃の少女ならば分かるため、左手にソウルジェムを生み出して変身する。
しかしアマノサクガミが右手を掲げながら魔法を行使。
炎魔法を放とうとした魔法少女であるが『マカジャマ』を用いられて魔封状態にされたのだ。
「なんで魔法が撃てへんの!?」
「魔法少女は悪魔の耐性がないから俺達悪魔の魔法を防げないぜ。さぁ、どうする…?」
魔封状態にされて固有魔法が封じられた魔法少女は魔法武器を用いて攻撃を仕掛ける。
振り落とされた曲刀の腕を掴まれたことで身動きを封じられてしまい、関節を決められる。
「あぐっ!!?」
背中に回り込む形で腕を回しこみ、関節を決められたことで動きを封じられてしまう。
そしてもう片方の手が魔法少女の胸元に伸びていき、衣服を掴んで引き裂くのだ。
「イヤァァァァーーーッッ!!!」
下着姿を晒す少女の悲痛な叫びは近隣の家には届かない。
既にこの家は異界に飲み込まれており、悪魔と魔法少女しかいない状態なのだ。
悪魔の剛力を押し返せず、固有魔法すら封印された魔法少女は成す術もなく蹂躙されていく。
「あっ!あっ!あん!!やめて……もうやめてぇぇぇーーーーッッ!!」
「まだ一発出しただけだろうが!まだまだ出すぞ…久しぶりの魔法少女は味わい深いぜぇ!!」
魔法少女のソウルジェムが絶望の穢れを生んでいく。
しかし口を開けたアマノサクガミが絶望の穢れを吸い込みながら飲み込んでしまう。
絶望死すらさせてくれない悪魔は魔法少女に対して拷問の限りを尽くす存在である。
楽には殺さず、上質な感情エネルギーを絞り出す典型的な手口とは魔法少女の強姦なのだ。
拷問を尽くした上で最後にはソウルジェムを食べることで悪魔はマガツヒを喰らう存在だった。
「ヒャーハッハッハァ!!悪魔の時代は来たれり!!俺だけでなく他の悪魔も楽しみなぁ!!」
この悲惨な光景は日本どころか世界中で起きている。
「混沌とは原初の水の世界!混沌の男悪魔とはな…
廃工場では魅了魔法を浴びて支配された魔法少女達が成す術もなく男悪魔達に蹂躙されていく。
レイプパーティが開かれている工場内ではバフォメット像が置かれており、前には悪魔が座る。
座っていたのは関西圏で勢力基盤を固めようとしたヴァンパイア悪魔であり、手下も大勢いる。
彼らヴァンパイアが開くサバト儀式に参加しないかと誘いをかければホイホイついてきたのだ。
「ヘッヘッヘッ、俺達が犯り捨てた魔法少女共だってのに、コイツらは節操ねーな」
「穴があったら突っ込みてぇ、な脳味噌してんだろ?魔界の悪魔共は醜悪極まりねーぜ」
「俺らはヴァンパイア悪魔なんだ。夜の貴族として優雅な威厳を見せていかねーとなぁ」
「違いねぇ。待ってろよクルースニクになった魔法少女…戦力を整えてから必ず報復に行くぞ」
優雅な夜の貴族というよりは山賊長共にしか見えない連中の横には大型の獣悪魔も控えている。
「オレサマ、ヨダレガ、止マラナイ!絶望ニケガレタ宝石、クワセローーッッ!!」
鋼鉄の首輪に鎖が備わり地面で拘束されていた巨大なワニ悪魔が暴れ出す。
繋がれていた鎖を引っ張って千切ったワニが大口を開けながら工場内を走り回る。
「お、おい!?魔法少女どころか手下候補の悪魔共まで喰うんじゃねーよ!!」
大口を開けながら迫ってきたワニ悪魔に次々と飲み込まれていく魔法少女と悪魔達。
このワニ悪魔の知能はあまり高くなく、美味そうな獲物を見せられたら我慢出来ない者なのだ。
【アーマーン】
エジプト神話に登場する冥界の怪物であり、アメミットとも呼ぶ。
ワニの頭、獅子の前足、カバの後足を持ち、死後の世界の様子を描いた死者の書に登場する。
死者がオシリス神により死後の運命の裁定を受ける魂の裁判の場に控えているという。
ラーの天秤の上に乗せられた心臓と羽根がつり合わなかった場合、彼らに喰われたとあった。
「ウォォォーーン!!ソウルジェムウマイ!!沢山クエテ、オレサマ、大満足!!」
「バカ野郎!!せっかくの手下共まで喰っちまったら…また手下を探す羽目になるぞ!!」
「ソノ分、オレサマガハタラケバイイ、簡単ナコタエダ、グォォォォォーーン!!」
「あーあ…こいつを隔離する別のアジトを用意しておくべきだったな…」
「クルースニクに報復に行くのはいつになることやら…まぁいい、どうせ神浜からは逃げない」
狂気の惨状を目撃していたのは廃工場の天窓に控えていた1人の魔法少女である。
彼女は固有魔法で姿と魔力を隠す能力があったため無事であり、屋根から飛び降りる。
「あれが悪魔…あれが新しい魔法少女の敵…これからアタシ達…どうやって生きていくの…?」
精液臭い工場であったため吸血鬼達の嗅覚からも逃げおおせた者であるが心は絶望が支配する。
それでも生き残れた者として多くの魔法少女達に悪魔の存在を知らしめる者となるのだろう。
伝えられた悪魔の残酷さこそキュウベぇから語られた内容であり、情報は正しいと確信する。
悪魔は魔法少女の敵であり、絶対に見つけ出して殺し尽くさなければならないと叫ぶだろう。
この光景こそ太古の時代において悪魔と魔法少女達が決裂した原因である。
悪魔は魔法少女を生かす力もあるが、それ以上に殺す力の方が長けた存在。
だからこそ魔法少女を生かす者にはならず、殺す者になる悪魔達の方が圧倒的に多い。
極少数の善良な悪魔がいようが
白人が日本人と中国人の区別がつかないのと同じように、魔法少女達も悪魔の区別がつかない。
そのため全ての悪魔が魔法少女の敵なのだと短絡的な答えに誘導されていくだろう。
神浜の西側差別主義者が東の者達は全員不良の社会悪だと叫ぶように悪魔根絶を叫んでいく。
圧倒的多数派の悪魔達の残酷さこそが悪魔の全てなのだと世界中の魔法少女が叫んでいくのだ。
その情報は遠い神浜市にも届いていき、悪魔と共存を目指す魔法少女社会を混乱させるだろう。
魔法少女の真実を叫ぼうとした三浦旭のように悪魔は迫害され、追い詰められるしかない。
人間も魔法少女も見たいものしか見ないし、信じない偏見生物。
初代ローマ皇帝ガイウス・ユリウス・カエサルの格言通りの存在である。
悪魔とは必ずしも人間の敵であるとも味方であるとも限らない、人間と同じく陰陽存在。
それでも人々は偏った信念しか信じずに悪魔の全てが害悪存在なのだと叫ぶのであった。
まどマギにメガテン足して世界再構築、ようやくタイトル回収な話を最終章冒頭でこなせましたね。
真女神転生ifではヒロインが悪魔の催眠魔法を受けてNTRイベントなるものもあるようですし、性魔術万歳なメガテン脳な僕も取り入れたいなーと思ってたんですよ。
やっぱ神話系作品は漫画の孔雀王や前鬼などのようにエログロが欲しいんです(こだわり)