人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
ライドウと静香が神浜をたつことになった日の夜。
ライドウは静香が業魔殿にやってくるのをホテルの屋上で待ち続けているようだ。
「…不穏を極め尽くした世界となったな。見ろ、ライドウ…この街の荒れ様を…」
夜風に揺れる漆黒の外套の中で腕を組むライドウの耳に聞こえるのは地上の喧噪。
見れば自警団めいた集団が夜道を闊歩しており、マスクをしない者を容赦なく制裁している。
それだけでなく、街の活気も死んだのは日本人の心の支柱であった東京と天皇の死が原因だ。
昭和天皇崩御の時でさえ国民全員が喪に服すために外で遊ばなくなった歴史光景もある。
令和で起きた天皇崩御と東京消滅は日本人の心に絶望を植え付けるに十分だったのだろう。
「奴らは怯えているのだ…国が滅びるかもしれないと。全ては御上に従わない者のせいだとな」
「助け合い精神は大切だ…だがそれが行き過ぎれば…こうもファシズム国家になり果てるのか」
「未知の病魔の脅威を乗り越えるため、国難を乗り越えるため、それが暴力の免罪符になる…」
「彼らは悪い事をしている自覚などない…それどころか国に尽くす自尊心すら持ってるはずだ」
極限状態は理性を拒む。
例年の統計を見ればインフルエンザの死亡者数は1万人、肺炎は10万人と毎年出ている。
癌による死亡数は38万人、WHOの基準では日本の自殺者数は年間15万人。
なのに未知の病魔の脅威を集中して取り上げ、死亡数を毎日報道して騒ぎ立てる異常性がある。
民衆に不安や恐怖を植え付け、視野狭窄に落とし込む凶器の注目効果を世界のメディアが行う。
エロサイトを踏んだ者が法律違反だとサイトから脅され、個人情報を記載させる手口と同じだ。
不安と恐怖と自尊心ほど人間を誘導する力を持った扇動力はこの世になかったのだろう。
「未知の病魔の感染爆発など子供騙しのトリックだ。
新聞社は未知の病魔の感染爆発を大々的に取り上げてきた。
だがそれは検査数を一挙に四倍に引き上げたせいであり、分母が増えれば感染数も増えるだけ。
種明かしは単純極まりなく、それなのに国民は煽情的報道によってパニックになってきたのだ。
「読者をある方向に誘導するために大げさに書き立てる切迫記事のせいでこの光景が生まれる」
「このような煽情的報道など許されん…本来なら専門職である医者達が真実を公表するべきだ」
「ムダだ…21世紀の医者など拝金主義者共だ。患者の命よりも金儲けがしたいだけの屑共だ」
奇妙な事にインフルエンザの感染者数が今年は減ったのに、未知の病魔の感染数が増えている。
また国会では未知の病魔の診断をした医療機関に約2億円の奨励金を支払う決定をしている。
未知の病魔の診療報酬は一般の感染症の3倍にまで引き上げられ、自治体が助成金まで出す。
「この際だ…我の推論を語ろう。
「二つ以上の情報や事実から仮説を立てることは可能だ…間接推理は探偵捜査の基本だからな」
「この疑惑を払拭してはならん…それでも、それ以上の脅威まで生み出されては止められん…」
「帝都を守り切れなかった代償は重過ぎる…民衆達の暴走を諫める者は…もう国賊にされるな」
「まるで迫害されてきた旭達が受けてきた…暴力制裁の光景よね…」
無力感に打ち震える者達に声を掛けてきたのは近寄ってくる時女静香である。
国を憂う表情をした静香もライドウとゴウトの横に立った後、こんな話を語っていく。
「ライドウさんは霧峰村で見たことがあるでしょ?丸みを帯びる髪の長さをした魔法少女を?」
「君と一緒にいた蜜柑色の髪の毛をした猟師風の少女か?彼女が旭と呼ばれる者なのだな?」
「三浦旭はね…魔法少女の真実を民に伝えようとした。だけど彼女は悪者にされて迫害された」
静香から伝えられた三浦旭の悲劇の内容に対して、現在の光景との類似性を見出していく。
「まるでSNS界隈で中国や在日にヘイトを回す光景と同じだな…不満の吐け口が欲しいのだ…」
経済の悪化や失業の増加、犯罪などをマイノリティに帰責する古典的な政治手法がある。
差別的な思潮の高まりは人為的に作られるものなのだろう。
ヘイトによって失政を誤魔化したり怒りの矛先を他民族に与える
「分からない問題は全て少数派のせいにすれば安心が得られる…そんな扇動の犠牲になったか」
「同じようなものね…人間を守ってきた魔法少女こそが悪者にされて…暴力を振るわれたわ…」
経済が後退した国ではヘイトが流行り、魔法少女の迫害問題もその流れに乗っていく。
景気が悪くなったり自殺者が増えるのは未知の脅威である魔法少女のせいにされたのだろう。
原因は日本の腐敗政治であるというのに全ての社会問題を三浦旭達は擦り付けられてきたのだ。
「まるで中世時代から続く異端狩りの光景だ…どうして民衆は知恵を求めず御上に付随する…」
「御上や全体に盲従する付和雷同の不随主義こそが異端狩りを招く…
「無知は罪…その言葉が今の時代ほど分かる光景はないわ。まるで戦前の帝国時代の光景よ…」
「たとえ我々が民衆の前に立ち、国の疑惑を叫ぼうとも…三浦旭の二の舞になるだけだな…」
あまりに無力な自分達に嘆いていた時、何かを感じたのか静香は右手を持ち上げていく。
「私の剣になってくれた
右手に出現させた静香の剣が眩い光を放ちながら女神の御姿に変化していく。
目の前で浮遊する光の女神を見たゴウトの目が大きく見開きながら彼女の名を叫んでしまう。
「う…うぬはまさか…コドクノマレビト事件の時に顕現した…アメノオハバリなのか!?」
コドクノマレビト事件を超えた歴史をもつゴウトだからこそ、この女神の正体を知る者だ。
その事件の際にアメノオハバリの依り代となった少女の存在を今でもゴウトは忘れていない。
「……久しぶりやね、ゴウト。相変わらず猫の姿のままにされているようや」
アメノオハバリであるのだが別人のような雰囲気を放つ存在に対して静香も動揺してしまう。
「関西弁を喋る人だったの…?アメノオハバリ様は…?」
「いや…アメノオハバリ自身が喋っているのではない。この女神の依り代になった女のものだ」
ライドウとゴウトの前に下り立った女神が仮面のようにして纏う目元の鏡を持ち上げていく。
彼女の素顔を見た瞬間、確信したゴウトが女神の依り代になった少女の名を呟いてしまう。
「やはりうぬだったか…
アメノオハバリの依り代となった少女とは蟲毒の丸薬を生み出した
供倶璃家は悪魔召喚師一族の中でも極めて異色を放つ存在であり、一族の者は呪詛を利用する。
一族の者は代々引き継いだ呪詛をMAGとして宿したまま生まれるため膨大なMAGをもつ存在。
しかし弊害もあり、呪詛の影響で身体機能に異常をきたしたまま生活を送るようになる。
串蛇もまたそんな少女であり、彼女は生まれつき目が見えない盲目の少女だったようだ。
「ウチの体に宿ったMAGを解放するのは風船を割るのと同じもの…死ぬはずだった身やけどね」
コドクノマレビト事件の際に供倶璃家の者達は陰陽師結社に拘束された末に殺されている。
彼らに宿る膨大なMAGを殺すことで解放した末に強大な悪魔を使役するために利用されたのだ。
串蛇もそうなりかけたがライドウに救われて命を取り留めたのだが、彼女は決意する。
事件の時に生まれたコドクノマレビトを倒せる程の女神を召喚するために命を使った者だった。
「ライドウが残していたソーマの力で生き延びた末に昏睡となったが…いつ目覚めたのだ?」
「ウチが目覚めた頃の日本はもう大東亜戦争で敗戦しとった…戦後の混乱を生きてきたんよ」
「大正20年は西暦で1930年…終戦日から数えても十数年間の眠りであったか…」
「目覚めた時…体の違和感に気が付いた。目に視力が宿っていたし…姿も少女のままやった…」
「だとすれば…うぬはもう人間ではなくなったのだ。静香と同じく人から神になったのだな…」
「そのようや…それでもウチに宿ったアメノオハバリには使命がある。そのために生きてきた」
「その使命というのが…静香と共に行動する理由なのであろう。とにかく無事で何よりだな…」
呆然と立っている事しか出来ないライドウを覗き込んだアメノオハバリが笑顔を浮かべてくる。
「視力がなかった頃からな…ライドウの顔を見てみたいと思ってた。ようやく願いが叶ったで」
「君は自分と出会った事がある者のようだが…自分はまだ出会えていない時間軸の者なんだ…」
「アカラナ回廊を利用してやってきたようやね…それでももう一度出会えて…ほんまに嬉しい」
親友以上の眼差しを浮かべているアメノオハバリを見つめる静香がゴホンと咳払いしてくる。
「えっ…ええと…その…お邪魔だったら…私とゴウトは下の階に行ってるわよ?」
「フフッ♪その必要はないで。お迎えのホウオウもやってきたみたいやし」
上空を見上げれば静香を迎えに来たホウオウが飛来しながら屋上に着地してくれる。
「話は済んだか?そろそろ村に戻るぞ…ヤタガラス連中や国賊政府に見つかるわけにもいかん」
「分かったわ…本当に残念。せっかく運命の相手と再会出来たのにゆっくり出来ないなんて…」
「そうでもない。我らは一度、大国村のオオクニヌシに接触しようと思っていた。共に行こう」
「本当に!?ちゃるやすなお達もライドウさんと再会出来たら嬉しいと思うわ♪行きましょう」
静香が使役するホウオウに乗せてもらえることになったライドウ達も飛び乗っていく。
空中に浮かびながら微笑むアメノオハバリは串蛇としてライドウにこう言ってくれたようだ。
「名前を変え、別人として生きてきたけど…報われたで。これからもよろしくな…ライドウ」
「こちらこそ…よろしく頼む。全てを終わらせるまでは…君と共にいよう」
大きく飛び上がったホウオウが神浜の夜空を超えていく。
たとえ下界は混沌極まる光景であろうとも、ライドウと共にいられる串蛇は幸福を感じていた。
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「今日限りを持って……嘉嶋会の代表者を瀬田槍一郎に託したいと思う」
孤児達を救うNPO法人の代表者達が集まった会合の場において理事長は辛い決断を語っていく。
理事長の嘉嶋尚紀の決意を聞かされた者達は動揺を隠しきれずに理由を問い詰めるのだ。
「そうか…ボスは両親から引き継いだグループ企業の代表になるために欧米に行くんだな…?」
「白人のような姿になる病気まで患った状態なのに…どうか御自愛ください…!」
「…そういうわけにはいかない。俺は親の遺産を用いてこのNPO法人を欧米にも広げたい」
「日本の代表は槍一郎さんに託すんですね…?」
「そういうことになる…やってくれるな?槍一郎?」
全員の視線が槍一郎という人間に擬態したクーフーリンに集まっていく。
決意を持った眼差しを浮かべる槍一郎が立ち上がった後、皆にこう言ってくれるのだ。
「私は初代理事長の意思を継ぎ…二代目になってからも彼の意思を実行する。ついてきてくれ」
動揺の声が広がっていくのだが、尚紀を慕った元ホームレスの者達は頷いてくれる。
「しゃーない…一度決めたら突っ走るのがうちのボスなんだ。ここは俺達で守っていくよ」
「そうだね…槍一郎君の献身ぶりは高く評価してきている。彼なら信頼出来る理事長になれる」
「騎士道精神を重んじる槍一郎さんだからなぁ、弱者の孤児を救う気持ちは誰よりも強いぜ」
「すまない…藤堂さん、米さん。俺の勝手な我儘に付き合わせることになってしまって…」
「いいってことよ!ホームレス時代から尚紀には世話になってきた…あんたの頼みは断れねぇ」
「その通りだ。僕達はこれからも君の意思を実行していく…槍一郎さんと共にね」
「それでもまぁ…寂しくなるよな。ニコラスさんだけでなく…尚紀までいなくなるなんて…」
「俺の意思を継ぐ若い世代がいてくれる。俺がいなくなっても…嘉嶋会は強く在れるさ」
尚紀の言わんとしている若い世代という存在についてなら、会の者達は分かってくれている。
理事長の尚紀から嘉嶋会の宝だと言われた少女達ならば直ぐ近くにいてくれたようだ。
「そ……そんなことって……」
「葉月…直ぐあやめに連絡して。どうにかして尚紀さんを思い留めないと…!」
会議室の扉の向こう側で立っていた者達が大慌てしながら去っていく。
理事長引き継ぎの準備を行う尚紀が遅くまで法人で仕事をした後、帰路につくことになる。
駐車場にはロールスロイスが停まっており、リズが運転する車に尚紀と槍一郎が入るのだ。
「……すまない、槍一郎。お前には嫌な役目を押し付けることになってしまって…」
「……私はお前に語ったはずだ。私が認めた主君のためなら…嫌われ役でもなれるとな」
「私とセタンタは貴方に剣を捧げた臣下よ。貴方のためなら…どんな汚れ仕事でも行うわ」
「それでも…武人としての矜持まで押し殺す事になってしまう。俺のために…本当にすまない」
「いいんだ…尚紀。私と師匠、それにケルベロスの決意ならばあの夜に語ったはずだ」
「そうだったな…お前達の覚悟は聞かされている。後は他の仲魔達に俺の決意を語るだけか…」
車を発進させようとした時、3人娘達が行く手を遮るようにして立ち塞がる。
「あ、貴女達は!?」
急停止した運転手のリズが目にした者達とは静海このは、遊佐葉月、三栗あやめ達の姿。
理不尽なマスク自警団から逃れるため偽装のマスクを身に着ける彼女達は息も苦しそうである。
現れた者達の姿を見た尚紀が車から降り、悲痛な表情をした姉妹達に近寄っていく。
「尚紀さん…お願いだから行かないで!私達には貴方が必要なのよ!!」
「そうだよ!アタシ達は孤児を救うために財産すら捨てられる尚紀さんに尽くしたいんだよ!」
「あちし達はつつじの家の院長先生を失った…それなのに尚紀お兄ちゃんまで失いたくない!」
「お前達……」
泣きそうな表情をする姉妹達と別れる苦しみは彼も同じであり、辛い顔つきになってしまう。
「俺だってお前達と別れるのは本当に辛いんだ…それでもな、俺にはやるべき使命がある」
「そんなの誰かに任せたらいいよ!あちし達を支えてくれる人がやらなくてもいいんだから!」
「そういう訳にはいかないんだ…あやめ。これは俺でしかやれないこと…だからこそ俺は行く」
「やだやだ!!あちしは尚紀お兄ちゃんと離れたくない…お願いだから行かないでぇ!!」
呼吸が乱れる程に悲しむあやめはマスクを外してしまい、力の限り泣き喚く。
そんな彼女を優しく抱きしめてくれる尚紀の前には大粒の涙を溜め込んだ姉達がいるのだ。
「お願い…行かないで…アタシの全部を尚紀さんに捧げるから…だから行かないで!!」
「私だって捧げるわ!私はね…貴方のことが大好きなの!院長先生と同じぐらい愛してる…!」
頬を染めながら大粒の涙を零す姉達もマスクを外して彼に駆け寄りながら抱き着いてくる。
女の気持ちを守れない無力な自分の姿が仕事と家庭を両立出来ない男達の姿と重なってしまう。
(これが…過酷な労働に耐えてきた男達が抱えてきた…苦しみの光景なんだろうな…)
私と仕事、どっちが大事なの!
この問題は世の中の労働男性が抱える苦しみであり、見滝原市で暮らす上条恭介も抱えた問題。
それでもフェミニズム騒動の時に出した答えこそ、男の彼が求める男の在り方なのだろう。
「男に従わされることによって得られる女の幸福もある……そうだろ、槍一郎?」
尚紀の後ろには車から降りてきたクーフーリンとリズも立っており、槍一郎を務める男が頷く。
「彼女達に言ってやれ。古来より女を守る男の在り方とは何なのかを男のお前が伝えるがいい」
顔も向けずに頷いた尚紀がこのは達姉妹の未来のためにこそ、こんな言葉を残してくれる。
「俺は多忙な社会人…それでも女を守りたい気持ちは強い。それでも男の本分とは労働なんだ」
「ダメなの…尚紀お兄ちゃん?こんなにもお願いしてるのに…」
「アタシ達の信頼と尊敬を勝ち取れるのは尚紀さんだけだよ…アタシ…寂しくて堪らないよ…」
「信頼と尊敬を託してくれる気持ちは嬉しい…それでも幸福とは恋心を満たすだけではない…」
誰かを愛するからこそ誰かのために己を殺す自己犠牲を払う献身の道こそが真の愛である。
男女がイチャラブするのが本物の愛ではない、男と女が互いを支える自己犠牲こそが愛なのだ。
「我儘を言いたい気持ちもあるだろう…それでもな、男は女を支えるために己を殺す者なんだ」
「私達の未来を支えるためにこそ…尚紀さんは遠い異国の地に行くというの…?」
「これが俺に出来る精一杯の愛情表現だ。きっと…女が考えていた幸福とは違うのだろうがな」
これからも尚紀は嘉嶋会を遠くから支える者となり、嘉嶋会がこのは達の未来を守ってくれる。
だからこそ静海このはと遊佐葉月には託したい願いがあるのだ。
「俺に全てを捧げると言ってくれたな…このは、葉月?だからこそ…最後のお願いがあるんだ」
「最後のお願い…?」
「お前達の献身という自己犠牲を捧げるのは俺ではなく…俺が残す嘉嶋会のために捧げてくれ」
「尚紀と私はな…お前達こそが未来の嘉嶋会を支える者だと信じてる。三代目はお前だ、葉月」
「ええっ!?ア…アタシなんかが…未来の嘉嶋会の三代目理事長になるの!?」
「私達の気持ちは嘉嶋会の者達も共有している。交渉を得意とするお前こそ理事長に相応しい」
「そしてこのは、お前は金融知識と経済知識を生かして嘉嶋会を支えてくれ。お前が頼りだ」
「私が葉月と嘉嶋会を支えていくのね…?それが…尚紀さんが望む…本当の愛の形なのね…?」
「
偉大なる男の優しさは個人の狭い関心事を遥かに超えた次元にある。
彼が幸せにしてあげたい女とは全ての魔法少女どころか人間の女にまで向けられている。
本当の男の優しさに触れたこのは達の胸が激しく締め付けられてしまうのだ。
「女としての願望を望みたい気持ちもある…それでも尚紀さんがチームワークを求めるなら…」
「うん…アタシ達はそれに応えないといけないね。それがきっと本物の男女関係なんだよ…」
「あちし達が嘉嶋会というお家を支えていく…だから必ず…必ず帰ってきてね…」
「あやめ…お前も蘇ったつつじの家の院長先生になる目標がある。これから沢山勉強しろよな」
「うん!あちし…このはや葉月に負けないぐらい勉強する!あちしがみんなの家を守るんだ!」
尚紀から離れた女達が涙を袖で拭いた後、辛い表情をしながらも微笑んでくれる。
女の我儘を押し殺す自己犠牲を示してくれたことで尚紀は本当に嬉しい気持ちになるだろう。
「
女は男を待つしかない、浮気男の戯言だと被害妄想を爆発させるフェミの理屈もあるだろう。
そんな被害妄想などフェミニストの中だけの妄想でしかなく、男を貶める侮辱の理屈である。
国の戦争に行った男達は女と浮気をするために女達を残して戦地に行ったというのか?
女遊びをするために命懸けで砲弾と銃弾の雨を掻い潜りながら命を散らしに行ったのか?
違う、断じて違う。
そんな本物の男になりたいからこそ嘉嶋尚紀は女達を残し、二度と帰れない戦地に向かうのだ。
「…分かったわ。貴方を独り占めにしちゃったら…世界中の孤児達が怒っちゃうものね…」
「同じ孤児だからこそ尚紀さんを必要とする孤児達がいるのは分かる…だから待ってるよ…」
「帰ってきてね…尚紀お兄ちゃん。期待に応えられるぐらい立派になって…待ってるから!!」
強がっても寂しい気持ちを押し殺せない姉妹達が再び尚紀に抱き着いてくる。
そんな3人娘達を両手で抱きしめる彼の心まで辛い気持ちが爆発してしまう。
「すまない…本当にすまない…俺だって一緒にいたい…だけど俺…行ってくるから…ッッ!!」
薄っすら涙が浮かんでしまうぐらい苦しむ原因とは、彼女達を風華と重ねている気持ちである。
同じ孤児であり風華と同じ苦しみを背負う彼女達だからこそ幸福にしたいと本気で思ったのだ。
このは達とやり直したい気持ちもあったが、それでも彼女達の未来を残す戦いに行く。
それこそが尚紀の覚悟であり、男として生きる者の決断であった。
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「彼女達が貴方を慕う気持ち…造魔だけど女だから分かるわ。これが信頼と尊敬なのね…」
「古来より男とは女にリーダーシップを与える者だ。本来の女達もそれを求めてきたんだ…」
ロールスロイスを運転しながら屋敷に戻る車内ではリズと槍一郎が会話を繰り返すのみ。
夜の街並みに視線を向ける尚紀は静海このは達と別れる苦しみのせいで無言になっているのだ。
「それでも欧米の悪徳である共産主義がフェミニズムを生み、ポリコレを生み、今がある…」
「米国を共産化させたポリコレの正体は
ポリティカル・コレクトネスはフランクフルト学派の批判理論に影響を受けた社会変革運動だ。
潜在意識と社会構造の改革を目指す戦略の一つとして用いられてきた左翼政治戦略である。
この戦略の核心は言葉と概念の再定義を通して社会意識と価値観を変革すること。
教育機関やフェミニズム活動家によるポリコレ左翼活動は深刻な影響をサブカル界隈に与える。
欧米共産主義者共のせいで
「もうアメリカは自由の国なんかじゃない…中国と同じよ。日本だってアメリカになるのよ…」
「…その兆候ならば既に表れている。日本はアメリカ型の搾取構造を構築されて亡国になるさ」
重い口を開きだした尚紀が日本のアメリカ化の内容の一つを話してくれる。
米国は日本の医療費42兆円を100兆円規模に引き上げると豪語している。
彼らは日本の公的医療を解体し、アメリカ型の営利医療を導入する目論見があるのだろう。
そうなれば盲腸などの簡単な手術でも数百万円を要する事態となっていく。
「未知の病魔の感染爆発が報じられる中で、
あくまで医療費の増大を受けて制度の見直しを図るという建前だが、実際は自由貿易の影響だ。
TPP等の自由貿易体制において国保が参入障壁となっているため欧米は解体を要求してくる。
つまり薬価制度や高額療養費制度などと合わせて国保を段階的に廃止するのが決まったのだ。
「外国人投資家共に日本の制度を全て決められてしまう…こんな地獄をこのは達は生きるんだ」
「国の政府がグローバル資本の統制下に置かれる領域の罠こそ…欧米の同質化帝国主義なのよ」
「俺が一番許せないのは未知の病魔騒ぎを利用しての
これはあたかも不妊治療を発展させるための画期的な法案に思えるのだろうが、大きな罠だ。
実態は遺伝子操作でオーダーメイドの胎児を作るビジネスを合法化するための法案である。
「グローバル化された社会では生命倫理すら崩壊し…全てが金儲けと引き換えにされるか…」
「俺はこんな悪夢のような世界を変えたい…魔法少女達が安心して暮らせる世界にしたいんだ」
尚紀が語ってくれるのは欧米の悪徳になど日本は従うなという欧米人が残した記録内容である。
黒船が日本にやってきた後、通訳として来日したヒュースケンの日記にはこうある。
――今や私が愛しささえ覚え始めている国よ。
――この国の人々の質僕な習俗と共に、その飾り気のなさを私は賛美する。
――この国土の豊かさを見、いたるところに満ちている子供達の楽しい笑い声を聞く。
――そして何処にも悲惨な物を見出すことが出来なかった私がいる。
――おお、神よ。
――この幸福な情景が今や終わりを迎えようとしている。
――
「欧米信仰に毒されてきた日本人だからこそ…その尻拭いは同じ日本人の俺がしてやろう…」
「魔法少女達が幸福に生きられる国を残す…そのためにこそ…貴方は全てを清算するのね」
「クーフーリン…後の事は頼んだぞ。お前がいてくれたからこそ…俺は戦場に行けるんだ」
「主君の後顧の憂いを断てるならば臣下の私はどんな役目も背負う。武人の矜持など捨てよう」
「セタンタ…貴方の無念は私が清算する。弟子の分まで…私が派手に暴れてあげるわ」
「頼んだぞ…師匠。私の代わりに傍で主君を支える役目を担ってくれ…」
「お前も俺の心の傍にいるさ、クーフーリン。お前こそが俺にとって…
主君からそう言ってもらえた臣下の者の目に涙が溜まっていき、顔を俯けながら袖で拭く。
そんな彼の肩を左手で優しく掴んであげる人修羅の顔には微笑みが浮かんでくれている。
こんなにも支えてくれる者達がいるからこそ、人修羅は命を懸けて戦うことが出来る者。
全ての存在は単独では成り立たず、だからこそ男女はチームワークを必要としたのであった。
やはりメガテンの看板仲魔とメガテン主人公とのガチ友情はいいですよね!
描いててキュン死すんぞオラァ!(発狂)
ライドウと串蛇は結婚しろよオラァ!(発狂)