人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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325話 個の確立者

葛葉ライドウというパイプ役を通して葛葉一族と同盟を結ぶことになった国津神勢力。

 

彼らの決起である武装蜂起とは日本全国に展開した在日米軍基地の制圧と日本政府の制圧。

 

そのため日米同盟の名の元に自衛隊とも戦争状態となり、その上でヤタガラスもいる。

 

四面楚歌の状態であったため怨恨があろうとも戦力は必要不可欠だったようだ。

 

極少数ではあるがヤタガラスの裏切りを許さない退魔師一族もいる。

 

彼らは葛葉一族と同様にして国津神勢力と合流する流れとなっていく。

 

「問題なのは兵站であろうな…悪魔達の力で制圧しようとも補給線が途絶えれば終わりだ…」

 

「嘉嶋さんもそれを危惧していたの…だからこそ彼が国を守る外交を行ってくれると言ったわ」

 

「魔王に堕ちる道を選ぼうとも…人修羅の心には憂国の烈士としての覚悟が宿るのだろうな…」

 

「烈士となってくれた者は人修羅だけではない。この村は烈士達のお陰で戦力を整えたのだ」

 

大国村の村長であるアビヒコの屋敷にある会議室に集まった者達のために村長は機密を語る。

 

それは日本の米国支配を古くから憂いてきた知識階級の日本人達が結束した全国ネットワーク。

 

彼らは時間をかけて革命に必要な企業等に就職する形で潜伏し、革命の準備をしてきたのだ。

 

「彼らは親子に至るまで革命のために人生を捧げてくれた者達…我ら国津神勢力の柱なのだ」

 

「隔絶した大国村にどうして外貨や物資が潤沢に用意されてたのか…ようやく謎が解けたわ」

 

「それでもな…彼らの力は日の本革命の準備でしかない…それ以上の用意は出来ないのだ…」

 

「そうであろうな…日の本を支配する司令塔は欧米国家…海の向こうの戦いまで準備出来ない」

 

「だからこそ…オオクニヌシ様は多神教連合と同盟を組まれた。全ては世界革命のためにな…」

 

「本当に多神教連合だけの準備で世界と戦えるのか…?彼らは神の軍勢だが兵站に関しては…」

 

「嘉嶋さんはその点を見越した上で古巣に帰ったわ。兵站とそれを繋げる補給路整備のために」

 

「イルミナティやフリーメイソンといった秘密結社ネットワークは革命にとって重要だろう」

 

「その通りだ。19世紀から続く世界中の暴力革命ですら国際秘密力に頼るしかなかったのだ」

 

「隠密に計画を進めることに関しては秘密結社構成員の力は強力だと歴史が証明済みだからな」

 

「毒を以て毒を制す…尚紀やオオクニヌシ達の覚悟に自分達葛葉も続こう。覚悟は出来ている」

 

「葛葉ライドウ…汝ら葛葉と共に戦える日が来てくれたことを嬉しく思う。よろしく頼むぞ」

 

武力革命を行う計画が練り上げられ、葛葉一族の役割も決められていく。

 

武力革命の混乱を利用し、移転したと思われるヤタガラスの拠点に総攻撃をかける。

 

それこそが葛葉一族の役目であると告げられたことでライドウも腹を括る気持ちとなるのだ。

 

「ヤタガラスの動向は未だに掴めていない…奴らが移転した拠点を見つけ出すまでは動けんな」

 

「動きを掴め次第、葛葉一族に伝えよう。これら計画内容を葛葉一族の長に伝えるといい」

 

「承知した。我々はいったん葛葉の里に戻らせてもらおう」

 

屋敷を去っていくライドウとゴウトを葛葉の里に運ぶため静香も同行してくれる。

 

コウリュウがいるから大丈夫だとライドウは言うが、葛葉の里に興味を持ったのだろう。

 

ホウオウが待機している場所まで歩いていた時、懸念材料があるため彼が語り掛けてくる。

 

「戦争も革命も人の力が必要だ…悪魔は兵器のように扱えても陣地制圧には向いていない」

 

「そうでしょうね…時女一族の魔法少女達を総動員しても制圧する人員には足りないわね…」

 

「憂国の烈士となった潜入員達とて民間の方々だ…戦いはやはり正規軍の者達が望ましい…」

 

「自衛隊の人達を戦力にする…そういえばあの人は決断してくれたのかしら…?」

 

東京黙示録事件の時に出会ったゴトウ一等陸佐を思い出していた時、ライドウの足が止まる。

 

顔を上げた静香が目にしたのは大国村で自分を鍛えてくれた師匠である者が立っていたのだ。

 

「…静香よ、ワシはライドウと話がある。先に行くがよい」

 

「…分かりました、タケミナカタ様」

 

歩き去っていく静香に振り向きもしない老人がライドウを見据えたまま微笑みを浮かべる。

 

「久しいのぉ…息災であったか?」

 

「擬態していようとも分かるぞ…ミシャグジ。国津神勢力に組していたのだな?」

 

「如何にも。国津の悲願を成し遂げることこそ我が本懐…静香達を助けたのもそのためじゃ」

 

「我らの力も必要としておるようだな…それ程までの決意をたぎらせるのはその傷が原因か?」

 

ライドウの肩にいる黒猫のゴウトが視線を送るのはミシャグジさまの失った両腕部分である。

 

「それもある…しかしそれだけではない、ワシはな…違う並行宇宙でも煮え湯を飲まされた」

 

苦悶の表情を浮かべながら語ってくれるのは違う並行宇宙に召喚されていた頃の記憶の物語。

 

その世界でもLAWとCHAOSの戦争は起こっており、自分もまた蛇神として参戦したと語る。

 

「その時のワシの姿は()()()()()()()と呼ばれておった…霊的国防兵器として在ったのだ」

 

【コウガサブロウ】

 

長野県諏訪地方の伝説の主人公の名前である。

 

地底の国に迷いこんで彷徨い、後に地上に戻るも蛇の体となったとする存在だ。

 

鎌倉時代には諏訪上社の大祝を務めた諏訪氏が武士化して北条得宗家の御内人となる。

 

諏訪大社が幕府の庇護を受けるにつれて信仰が広まり、軍神として多くの武士から崇拝される。

 

諏訪氏の始祖はタケミナカタから生ける神体として選ばれたという現人神伝承が残っていた。

 

「じゃが…国を憂いたワシの心は召喚者に操られ…踏みにじられ…凌辱された末に滅んだ…」

 

「そのような辛い記憶を他の世界で経験させられておったか…さぞ無念であったろう…」

 

「それもこれもタケミカヅチに敗北した時より始まった苦しみ…だからこそ決着を望むのだ」

 

「蛇の武士として天津神族最強の武神との決着を望むか…反対はしないが…奴は強いぞ」

 

「分かっておる…ワシの両腕を切り落とした益荒男じゃ。静香とて危うく殺されかけたのだ」

 

「自分はヤタガラスと再び戦うことになるだろう。自分の元に帰ってきてくれないか?」

 

「提案は嬉しいが…それは出来ん。これは個人の闘争…誰の加勢も必要とせん」

 

「そうか…分かった。せめてお前の露払いが出来るよう、我らは奮戦してみせよう」

 

ヤタガラスに飼われていたライドウとは違う覚悟を見せるのが嬉しいのか老人はこう口にする。

 

「ネビロスから言われた言葉を重く受け止めたようじゃ。でなければヤタガラスには逆らえん」

 

「奴の言葉こそ偏見に支配されていた自分を表していた…もっと早く気が付いていればな…」

 

「悪行を行うことでしか成せない救いもある…司法と同じじゃ。司法もまた悪を悪で成敗する」

 

「結果論に縛られていた…分かり易い善悪でしか世界を認識出来なかった自分は愚かだった…」

 

魔法少女の虐殺者として生きた人修羅からも結果論の恐ろしさをライドウは伝えられている。

 

それでも彼は世界を善悪でしか認識出来なかった罪深さをようやく認めてくれたようだ。

 

「無知は罪。知る努力を行わないものは無邪気に正義を気取り…悪行を善行にしてしまう…」

 

「悪と罵られることでしか成せないものこそ革命じゃ。社会悪にされてでも…戦わねばならん」

 

「そうだな…国から死ぬまで搾取されているのに()()()()()()()()()()()…あまりに理不尽だ」

 

「国は平気で卑劣なダブスタを使うぞ。国は死ぬまで民を殴っていいが、殴り返せば悪だとな」

 

「そんな連中が操る善悪印象操作に惑わされた末にテロリストとなった者を倒す…愚かだった」

 

「テロリストと罵られようが政治と金の癒着をする腐敗政府を倒す…それこそ将門公の覚悟だ」

 

伝えるべきことを伝えたミシャグジさまが去る中、ライドウの横を通過する時に立ち止まる。

 

「我々は戦えば戦う程に失っていく。人間の道徳や博愛といった人道精神をな…」

 

「何かを得ようとすれば何かを失う…これも世界のコトワリである等価交換なのだろうな…」

 

「その通り。売国政治家とて金を得れば得る程、人間の徳を失うのだ」

 

「我らも同じ道を進むが…それでも戦う。人々から悪と罵られようとも…民の未来を救うんだ」

 

「平和を望む事によって失うものもある。事なかれ主義こそが日の本の欧米支配を固めたのだ」

 

「何かを守ろうとすれば何かを守れない…右の道を歩けば左の道で得られたものを失う…」

 

「唯一神ですら等価交換原則には逆らえない。それこそが世界の法…ゆめゆめ忘れなさるな」

 

去っていくミシャグジさまを見送るライドウであるが、ゴウトはこんな言葉を呟いてしまう。

 

「あれこそが国を憂う蛇の武士としての覚悟か…それは人修羅とて同じだろうな…」

 

「そうだな…尚紀もまた蛇の武士だ。だからこそ将門公はその剣を彼に託したのだろう…」

 

長い立ち話を終えた者達が静香に追いつこうとする中、向こう側から静香がやってくる。

 

隣にいる長身の男が気になったのか、ライドウに近寄った彼女に問いかけてくる。

 

「紹介するわ!この人は東京テロの時に出会った事がある自衛隊の人よ!彼も来てくれたわ!」

 

ライドウに負けない程の鋭い目つきをもった男が深々と頭を下げてくる。

 

大国村にやってきた存在とは憂国の烈士としての覚悟を宿したゴトウ一等陸佐であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「世界とは皮肉で出来ている。生命を産む世界であるのに…同時に死を与える存在だ」

 

「唯一神を含めた創世神達とは…()()()()()()であったのでしょうな」

 

国津神達が不法占拠している秘密造船所の内部で佇む者達が超力戦艦を見下ろしている。

 

一人は人間に擬態した姿のオオクニヌシであり、もう一人は軍服を着た老人の姿。

 

金ボタン輝く黒のダブルボタンスーツの袖には階級章が備わり、海将を示す。

 

定年を迎えたために引退した海上自衛隊の元海将だった男が目元の眼鏡を指で押し上げる。

 

黒フレームの丸眼鏡を身に着けた軍帽の老人の姿は大正時代における人物と酷似している。

 

ライドウが彼を見たならば面影が誰に似ているのか直ぐに分かる程であった。

 

宗像(むなかた)、新型超力戦艦の操舵についての練度はどれぐらい上がっている?」

 

「芳しくありません…自分と同じく定年を迎えた海上自衛官ばかりで編成した乗組員ですので」

 

「我らの決起はもう直ぐそこまできている…老骨に鞭を打ってでも間に合わせるのだ」

 

「心得ております…我ら老兵こそ未来溢れる若者達のために死なねばならんのですからな…」

 

「その気骨を見ていると大正時代の宗像を思い出す。あの男も烈士として命を張ったのだ…」

 

「祖父と同じ名前を与えてもらえた運命を感じておりますよ…再び超力戦艦と関われるとはね」

 

「かつてのスクナヒコナはお前の祖父に取り憑く形で力を貸したが…今度は戦艦そのものだ」

 

「これも運命というものですな…我が一族とスクナヒコナは切っても切れない縁なのでしょう」

 

ドッグ内でせわしなく働くイッポンダタラの分霊達を見守る中、オオクニヌシはこう口にする。

 

その言葉は不甲斐ない現代日本人に対する憎しみさえ感じさせる程にまで落胆した言葉なのだ。

 

「僅かな手勢を率いて暴力革命を成すしかない…本来なら民衆達こそが売国政府を倒すべきだ」

 

「それが出来ていたならば…失われた30年と呼ばれた平成の時代とて救われたでしょうな…」

 

「欧米植民地にされているとも気が付かない日本人が求めるものなどパンとサーカスなのだ…」

 

「堕落を極め尽くし…メディアに誘導されるだけの羊の群れに真実を語ろうとも無駄ですな…」

 

現代人は自分の耳で聞いたニュースや身辺の出来事を通じて、漠然とした人生を生きる者達。

 

言葉にならない言葉を心の中に蓄積し、それをキーワードとする命令に従う事しか出来ない。

 

「大衆の行動を支配しようと音楽を奏でるのがエリート共だ…操られている羊の群れなんだ…」

 

「その旋律に合わせて踊らされているくせに…大衆はマインドコントロールを嘲笑うのです…」

 

次に起こることを、次に起こることを、次に彼らがひき起こすことを、()()()()()()()

 

それこそが牧場の羊と変わらないまでに堕ちてしまった世界中の民衆達の姿なのだ。

 

「自由が奪われた最大の致命的な要因は自分自身の心の奥深いところにある」

 

「自分の考えは誤りだと知ること。自分こそが本当の力と責任を負わなければならないのです」

 

現代社会はイルミナティがもたらしたオカルト哲学や政治組織に介入されている。

 

オカルト哲学に対する攻撃に着手出来たのはごく僅かの研究者のみ。

 

大多数の研究者は、このように大きなテーマに対して真実を追求したものの、結局は失敗する。

 

彼らはオカルトの専制と、人の心を麻痺させる詐術に屈してしまったのだ。

 

「反オカルト研究者達は秘密政権の犯罪に関与した人物や犯罪を暴けば良いと思ったが無駄だ」

 

「そうですな…暴露は秘密政権を転覆させると考えることで罠に嵌ったのです…」

 

もし幾つかの事実を公表出来さえすれば、というのが彼らの決まり文句。

 

しかし錬金術的秘密政権の活動は常に変動している。

 

「オカルト活動の初期および中期までは目隠しが目的達成に不可欠であったが…変わったのだ」

 

20世紀や21世紀に入ったことで秘密結社の秘密の隠し事はそれほど必要とされなくなる。

 

それどころか彼らのもっとも重大な秘密の数々を大衆に公開することを決めたという。

 

組織に属さないオカルト研究者達は1970年代に行われた大規模な秘密開示に驚く事になる。

 

その時に公開された秘密は新プラトン主義的錬金術組織にとって極めて重要なもの。

 

その幾つかはこの千年間において最高位の会員のみに許された秘密だったという。

 

「これら一連の行動は新時代の到来を告げる警鐘…」

 

――啓明結社は以前とは全く違う…()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

これは尚紀の体がまだ日本人の見た目だった頃、夏目書房に訪れていた時の会話光景だ。

 

「かこ、お前は知識を知りたくなった時…最初に頼るのは何を利用している?」

 

「知識を知りたくなった時に最初に頼るのは…やっぱりネットですね。スマホがありますし…」

 

「スマホやネットは確かに便利なものだ…だけどな、そこには大きな罠が潜まされている」

 

「大きな罠ですか…?」

 

「お前は本で調べるのを恥ずかしく思ったはずだ。スマホがあるのにと…馬鹿にされただろ?」

 

図星を突かれた事により、かこは恥ずかしそうな顔つきになってしまう。

 

「そうなんです…学校の図書館で調べものをしてくると言った時に…馬鹿にされました…」

 

「ネットはな…()()()()()()()()()()()()()()。だから浅い情報に騙される奴が続出するんだ」

 

ネットユーザーが大衆化したことによって検索結果も浅いものばかりが上位に表示される。

 

その結果、レベルの低い検索にはレベルの低い情報しか出てこない弊害が生まれるのだろう。

 

「大手検索サイトも検索アルゴリズムを借りているだけ。知ってる言葉の範囲しか知れないぞ」

 

「そ…そうですよね…検索エンジンを利用する私達が…そもそも専門知識がないんですもの…」

 

「知らないことすら知らない逆ソクラテス状態なのに利用したところでな…効果は薄いんだよ」

 

レベルの低い検索結果に確信を感じてしまう意識の低さこそ()()()()()()だと教えてくれる。

 

自分に都合のいい情報ばかり集めてしまう現象であり、狭い世間しか知れなくなるのだ。

 

「自分は間違ってないという安心感に浸ろうとする奴ほど…広い世界を知る努力をしないんだ」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

知らない世界に触れるにはネットよりも様々な本に触れる方が効率がいいと伝えてくれる。

 

「最大手の検索エンジンですら()()()()だと大衆は知らない。だからこそ…知恵は本で探せ」

 

「私…周りに流されてただけなんですね…スマホは便利だけど知恵から遠ざかってたなんて…」

 

「陰謀だろうが魔法少女の存在だろうが検索程度では出てこない。だからこそ本が必要なんだ」

 

多くの暴露本が出版されたとしても、それを人々は欲しがってはくれない。

 

欲しいのは漫画雑誌やエンタメ雑誌、生活の知恵になる書籍などの狭過ぎる需要でしかない。

 

魔法少女の存在を公にしたかった里見太助の暴露本もその流れに沿う形で全く売れなくなる。

 

だからこそ魔法少女の存在など誰も認めず、国際秘密力追及など中二病だと馬鹿にするだろう。

 

魔法少女の存在を広げたかった里見太助やユダヤの悪行を追いかけた暴露本執筆者も同じ末路。

 

狭い世間しか知る努力をしない連中から散々馬鹿にされた末に絶望する末路だけだったのだ。

 

「私達魔法少女は人々のバイアスに飲み込まれる形で…中二病扱いをされるんですね…」

 

「だからこそ俺は自由な表現が許される本を守りたい。弊害もあるけど…それでも必要なんだ」

 

「エッチな同人誌でさえ評判は悪いのに…知るべき知恵まで悪くされたらそれすら消される…」

 

「正解を作ろうとするから独裁国家が生まれるんだよ…人々の知るべき権利さえ消されるんだ」

 

「ナチスや共産党の焚書の歴史ですね…歴史で習った時…私は凄く悲しい気持ちになりました」

 

「かこ…お前の親父さんは偉大な知恵の宝庫を守っているんだ。娘として胸を張っていいぞ」

 

そう言われたことで、かこの顔が真っ赤になってしまう。

 

「え…えっと…その…ありがとう…ございます。そう言ってくれて…本当に嬉しいです…」

 

突然モジモジした態度になってしまい、潤んだ瞳を向けてくる。

 

しかし彼は神浜魔法少女界隈において朴念仁な男として有名な人物。

 

女子中学生の淡い恋心すら気が付かず、毎日の忙しさの中で己の幸福を磨り潰すのみであった。

 

……………。

 

「知るべき知恵すら求めない愚民など…差し迫る危険すら気が付かずに娯楽の世界に埋没する」

 

忌々しい表情を浮かべるオオクニヌシは語ってくれる。

 

それは秘密をそこまで守らなくても良いと判断したイルミナティの新たな戦略手口なのだ。

 

「秘密結社の犯罪を暴く本は少なからず出版されている…それでも人々は知る努力をしない」

 

秘密の開示とは戦争、革命、処刑等の殺人行為や恐ろしい陰謀、あらゆる形態のホラーショー。

 

こうした忌まわしい事は当初において秘密のベールに覆われてきた。

 

しかし人々の無関心を確信した事で反秘密結社系の者達を利用して暴露本を出版させる。

 

蓋を開けて見れば陰謀マニア程度しか暴露本を手に取らず、大多数の者達は娯楽しか求めない。

 

危機が直接自分の身にふりかかってくるまで愚民は行動を起こしそうにないと気が付いている。

 

これは()()()()()()()と言われており、()調()()()()()()まで重複している現象だ。

 

遠くの山で雪崩が起きても麓までやってくるわけがない、周りも慌ててないし自分は大丈夫。

 

そんなバイアスに流された果てに雪崩が麓にまで来たことで大慌てしながら飲み込まれる。

 

そんな愚か者でしかないと民衆心理を見抜いたイルミナティ勢力は秘密にこだわらなくなった。

 

「3・11の時も同じ現象が起きている…人々が津波から逃げた時には手遅れだったのだ…」

 

「皆が狭い関心事に埋没する…だからこそ日本を支配する新植民地主義が成立したんですよ…」

 

「暴露するだけでは秘密政権を打倒する事は出来ない。秘密を暴くだけでは痛くも痒くもない」

 

「秘密を追う者を暗殺するより現実と空想の区別もつかない異常者に仕立てた方が効率がいい」

 

「その通りだ…世界の陰謀追及者達はデマ屋の詐欺師扱いされながらも生かされている…」

 

「古くからの魔女狩り手口ですな…知る努力をしない者ほど悪のレッテルを貼りたがる…」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…それこそがイルミナティの新たな支配手口だ」

 

現代人の知覚力、洞察力は今や退化している。

 

このように萎縮してしまっては、情報の開示がなされても無意味。

 

秘密政権の精神的支配力を強化するのに役立つだけ。

 

記録を見ると最近明らかになったオカルト犯罪のほとんどが処罰されないまま。

 

逮捕も、訴追も、有罪判決も、そして事件に関与したフリーメイソン会員達の処罰もない。

 

情報が開示されたこともあってフリーメイソン指導者を打ち負かすことは不可能となったのだ。

 

「犯罪が暴かれたとしても犯罪の見世物的な性質は暴力とエロスのオーラを撒き散らす」

 

「犯罪が暴かれて大衆の注目を浴びたとしても、()()()()()()()()()()()()()()ですな…」

 

「大衆とはショックによる快感や覗き見趣味を際限なく求めるもの。徹底して娯楽しか見ない」

 

「その末路こそ迷惑系ユーチューバーや倫理観のない番組制作会社が生む刺激的な娯楽ですな」

 

「犯罪が明るみに出たとしても犯罪者が処罰されなければ秘密政権の武勇伝にしかならんのだ」

 

秘密政権が演出した詐欺的スペクタクルは、かつての自由精神の持ち主には通用しなかった。

 

今日の彼らの仕掛けたシンボリズムの真の狙いでさえ感づかれていただろう。

 

そして狙われた人々の抵抗を招くだけの結果に終わっただろうが、21世紀の民衆は違うのだ。

 

「現代人は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と秘密結社の連中は見抜いているのだ」

 

「人が怠惰にふけり、真実から目を逸らすようになった為に犯罪がバレても負債にならない…」

 

「暗黙の承諾を産み出す三本柱こそ、アムニージア(記憶の喪失)アピューリア(意思の喪失)アパシー(興味の喪失)だった…」

 

陰謀家達の支配力は益々強まり、人類を奴隷化する束縛も益々きつく締め上げられる。

 

時代劇で例えるなら悪代官と越後谷の陰謀を調査する主役達が愚民から嘲笑われる光景だろう。

 

社会正義を守る代官様と地域経済を支える越後谷様が間違うはずがないと袋叩きにされるのだ。

 

なぜ秘密政権はこれまでの行為をあえて公開するというギャンブルに走ったか?

 

その理由とは、記憶と意思と興味を喪失した民衆が()()()()()()()()()()()()()()()()である。

 

「暗黙の了解ほど支配を強力に押し進めるものはない…だからこそ私は愚民に見切りをつけた」

 

孤独な異常者による殺人事件を観察すると再三に渡ってエピソード的な情報が暴露されている。

 

真相の暴露というものは暗殺の実行と隠蔽工作同様、暗殺計画の一部として計算されたもの。

 

陰謀者達が民衆に体験させようとして仕組んだ心理的プロセス、大規模なサイコドラマ。

 

その背後に隠された目的とは、大衆を嘲笑いながら正体をちらつかせること。

 

フリーメイソンは自分達のやり方を暴露する時、犠牲者をバカにすることを好む。

 

暴露はオカルト的な記号やシンボリックな言葉を用いてそれと分からないように行われる。

 

狙われている側からは意味のある反応や抵抗はまったく返ってこない。

 

これぞ()()()()()()()()()()()()()()()という、もっとも有効なテクニックなのだ。

 

「我々年寄りは若者達を導く知恵を与えられなかった…そのツケが令和の若者を地獄に落とす」

 

「若者達は金融資本家に操られているとも気が付かず…彼らのサイコドラマに熱狂するのだ…」

 

同意を欠いたまま凶悪犯罪を実行することは犯人にとってあまり意味のあることではない。

 

同意のもとに実行してこそサイコドラマや公開儀礼を通じて民衆に深刻な影響を及ぼす。

 

マインドコントロールをいっそう推し進めることが出来るのだ。

 

「道徳的にも慣習法の面でも()()()()()()()()というのが古代からの原則。沈黙してはならん」

 

「沈黙を選んだ時、世界は悪魔の千年王国に飲み込まれる。命を懸けて止めましょうぞ」

 

「沈黙を破り意味のある行動を取らなければ犯罪に同意を与えたも同然。だからこそ鬼となる」

 

正体を暴くことが秘密政権に対する攻撃となるという古い戦略など、もはや破綻している。

 

暴露と公表は秘密政権自体が行っていることだからだ。

 

錬金術的なマインドコントロールを認知することの重要性が理解されない限り、犯罪者が勝つ。

 

「新たな姿となったスクナヒコナよ…そして憂国の烈士達よ!私と共に鬼神となれ!!」

 

檄を飛ばすオオクニヌシの下側の広場では新型超力戦艦の乗組員となる者達が勢揃いしている。

 

全員が規律の取れた敬礼を行い、老兵であろうと彼に負けない覚悟の炎を燃やすのだ。

 

戦いを待ちわびる超力戦艦となったスクナヒコナも彼の意思に応えるように汽笛の音を鳴らす。

 

自衛隊の者達の中にも知恵を求めて真実を知り、売国政府となった日本政府と戦う意思がある。

 

昭和の時代を生きた者達の中には未だ団塊世代の者達と同じく戦う意思が宿っていたのだ。

 

「我々は誰に向かって陰謀を暴露する…?誰が聴衆となり、行動を起こしてくれると考える?」

 

「陰謀とその実行者の暴露が威力を発揮する存在こそが愚民。ならば我らは愚民にはならない」

 

「よくぞ申した…直感し、戦い、抵抗し、記憶する意思を持たない民衆など…我々はいらない」

 

たとえ無知な民衆からテロリストと罵られようとも彼らは戦い、自由を掴み取る戦士の集団。

 

自由とは与えられるものではない、勝ち取るものだと理解する者達こそ、()()()()()だった。

 




個人的にメガテンの国津神勢力は激推しなので、活躍させたいものですな(とくにタケミナカタ)
真女神転生4のコウガサブロウがあまりにも可哀想な末路だったこともあり思い入れが強いのやもしれませんね(汗)
来年こそ拙作を完結させたいものです、よいお年をお迎えください。
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