人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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331話 私の幸せのために

大魔王ルシファーやバアル神モロクとの取引に応じた悪魔ほむら。

 

彼女は大魔王達から引き出した譲歩によって鹿目まどか達の人生を勝ち取る成果を残す。

 

さやかや杏子達は生体エナジー協会の一つを破壊し、堕天使オセまで殺した戦犯でもある。

 

それでも悪魔ほむらの戦力をCHAOS勢力に取り込めるならば悪い取引ではなかったようだ。

 

そのためさやか達の攻撃行為は不問とし、彼女達が幸福に生活出来るよう準備をしてくれる。

 

彼女達の一家はワクチン接種の圧力が回らないよう配慮され、学校や企業でも強制されない。

 

それにハルマゲドンが迫ればザイオンへの引っ越しも無料で手配され、現地の生活も保障済み。

 

「中々に立派な家…なんて次元じゃないわね…どう見ても豪邸じゃないの…この邸宅は…?」

 

現在の悪魔ほむらは鹿目まどか達が生活する新たな都市となる日本のザイオンの視察中である。

 

「君の愛する人とその家族達が暮らす新たな家なのだ。気に入ってくれたかね?」

 

彼女の隣にはルシファーも立っており、微笑んでくれた彼に対して満足げな表情を見せる。

 

「ええ、気に入ったわ。まるで超近代的な美術館のような美しさね…まどかの家に相応しいわ」

 

「車で待っているから家の中も視察するといい」

 

「そうさせてもらうわね」

 

各国の王室が使う規模の超高級リムジンの車内に戻った大魔王を尻目にほむらは家を視察する。

 

ひとしきり視察して満足した彼女達が次に向かうのは美樹さやかや巴マミが暮らす新たな家。

 

まどかの家と同じくザイオンシティの高級住宅街にそびえ立つ超高級マンションだったようだ。

 

同じように視察した後、高級マンションの迎賓館エリアで待っていた大魔王と合流する。

 

「どれも素敵な家ね…彼女達が暮らす今のマンションを遥かに超えた立派な家になりそうよ」

 

「彼女達の記憶を操作してご近所関係にしてやればいい。その方が彼女達も幸福だろう」

 

「そうするわ。百江なぎさの家まで用意してくれるだなんて…気が利いているじゃない?」

 

「彼女も巴マミにとっては大事な人なんだろう?ならば同じように守ってやればいい」

 

「私にとってはお菓子の魔女を思い出させるだけの存在だけど……まぁいいわ」

 

視察を終えた一行はザイオンシティから地上に戻るために道路を走行していく。

 

サイバーパンク世界感のような街並みを見つめる悪魔ほむらであったが、重い口を開く。

 

「私に対して大層な期待を寄せてくれているようね?大魔王ルシファー?」

 

「君の友達が犯した罪は万死に値するものでも、君が我々側になるなら不問にする価値がある」

 

「約束は守ってくれるようで安心したわ…だからこそ、私も約束を必ず守ってあげるから」

 

「君の力は七つの試練の時に証明されている…人修羅と互角に戦える悪魔は得難い戦力なんだ」

 

「ハルマゲドンが起こった時…私の力は天使軍を滅ぼすために使わせてもらう。必ず勝つわよ」

 

「心強い言葉だ、期待しているよ」

 

地上に戻るための巨大リフトに乗り込んだ車列が一気に上昇を開始していく。

 

空に昇っていくような景色の中、ルシファーは隣に座る彼女に対してこんな質問をしてくる。

 

「君の教育係として用意したナアマからフェミニズム教育を受けているだろ?感想はどうだ?」

 

「気に入ったわ。フェミニズムこそが私とまどかの恋愛を築くために必要だと理解出来たし」

 

「人修羅から学んだ入れ知恵では君と鹿目まどかとの恋愛は成就しない。彼は邪魔者なんだよ」

 

「その通りよ…あの男は私のまどかを奪う可能性が高い邪魔な雄…だからこそ排除したいわ…」

 

「それだけでなく、美しい鹿目まどかを狙う他の男の問題もある。排除しなければならないな」

 

「勿論よ。それを正当化するためにフェミニズムは利用出来る…私も女性解放思想を望むわ」

 

「これで君は思想においても私の同士となってくれた。これからはいい関係を築けそうだな?」

 

「そうね…それも悪くないわ。CHAOS勢力の強権を手に入れられるし私も世界を支配出来る」

 

「君こそがリリスの意思を継いでくれる新たなリリスとなるのだ。レズビアンの守護神となれ」

 

「レズビアンの守護神ねぇ…望むところよ。私だけでなく他の魔法少女にも幸せをもたらすわ」

 

世界の在り方を真逆にしようと望む悪魔を見つめるルシファーはカチューシャに視線がいく。

 

新たに纏うようになったカチューシャには横に伸びるように十字架の線が入っているのだ。

 

(君もその十字架を逆回転させたいのだろう?させるがいい…君が望む幸せを手にしてみせろ)

 

鹿目まどかと自分が幸福に生きられる銀の庭を生み出した存在こそが悪魔ほむら。

 

彼女の世界は不安定であり、それすら壊れてしまうが新たなクリフォト世界を手に入れる。

 

その領域を示すのもまた不安定であり、彼女はレズビアンという不安定な恋愛を求める者。

 

その不安定を安定させるためにこそ世界を変革させる左翼政治思想を求めていく。

 

その傲慢さこそ大魔王の望みであり、ほむらの歪んだ恋愛観とは彼女なりの信念であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

悪魔ほむらは己の信念を実現するために左翼政治思想まで求めるようになる。

 

彼女が求めた政治思想こそルシファー主義に根差したフェミニズム。

 

魔法で周りを洗脳するだけでは不安定と考えた彼女は我儘の理論的基盤を必要としたのだろう。

 

ルシファー主義者の価値観とは悪こそが善であるという世界を真逆に解釈する思想である。

 

地域の歴史と伝統に則って生活し、光ある表通りを堂々と歩く普通の生活人こそが悪だとする。

 

ルシファー主義者は善悪を認識した上で、あえて悪を行う点ではサタン主義者と異なるだろう。

 

ルシファー主義者の強力な教団こそがフリーメイソンであり、彼らは世界の変革を望む者達。

 

その思想は悪魔ほむらとも共通しており、だからこそメイソン達は悪魔ほむらを崇拝するのだ。

 

「私達は唯一神が作り上げた法に支配される奴隷でいるべきじゃないわ、自由を求めるべきよ」

 

地上に戻ってきた悪魔ほむらはセントラルタワーの頂上部に存在する秘密施設で演説を行う。

 

集まっているのは日本のフリーメイソンメンバー達であり、新たな指導者の言葉を拝聴する。

 

「人間こそが神なのよ。私達の道は歴史や宗教観に縛られない唯物なる財産を手にするべきよ」

 

悪魔ほむらが語る唯物なる財産とは、早い話が金とセックス。

 

人間の精神性などゴミ箱に捨て、ヒューマニズムを求めろという我儘を社会に押し付ける思想。

 

今までの歴史を形作る宗教観を破壊し、焼き尽くし、自由なる快楽至上主義の世界を生み出す。

 

それら歴史や宗教観こそが同性愛を否定する根幹だからこそ、容赦なく破壊しろというのだ。

 

「私達は世界に対して革命を行う戦士。宇宙の法を生んだ神の世界を真逆にしてやりなさい」

 

<<我らは貴女様に従います!貴女様が求められる性の革命をもって、唯一神を貶めよう!>>

 

ほむらの演説を盛大に拍手して歓迎するメイソン達を見守るのは大魔王の姿。

 

彼は不敵な笑みを浮かべた後、下の階に存在するアルゴンソフト社日本支部に向かっていった。

 

……………。

 

「暁美ほむらの思想改革をナアマに任せて正解だった。私とリリスの政治思想は彼女に馴染む」

 

社長室にある応接スペースのソファーに座る彼と向き合っているのはアルゴンソフト社の代表。

 

職務執行内閣での引継ぎ作業も残っているIT大臣の門倉である。

 

L()G()B()T()()()()を求められますか…彼女もすっかり共産主義者が板についたようですな、閣下」

 

「暁美ほむらと鹿目まどかの恋愛成就…その目的のためにのみ利用するが…弊害は伝えないさ」

 

「そうでしょうな。平等という虚構概念を信じる者など簡単に騙せるのです」

 

平等法とは全国民の中に性的少数者が含まれた法であってLGBT専用の法ではない。

 

このような法律が成立すると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()鹿目まどかの人生を支えたいだけの願望だろうが大弊害が起こるだろう。

 

私は女だと叫びながら女子トイレや女湯に堂々と男が入り込み、利用する女性の安全を脅かす。

 

オリンピックなどのスポーツでは女だと自称する男が女性競技に参加して女性を打ち負かす。

 

それが格闘技であったなら女性格闘家は筋肉や骨格が最初から違う男にボコボコにされる。

 

「そのような大弊害が起ころうとも、暁美ほむらは無責任な態度で白を切るだろうな」

 

「まさに思考の蛸壺化…精神的引き籠りですな。自分に都合のいい世界しか見ようとしない」

 

()()()()()()()()()()()()()()愚かな女なのだ…自分の我儘を批判されたら差別にする」

 

「我儘を正当化するために差別という概念を利用する…何処までもご都合主義ですね」

 

「女性のための権利運動という虚構を信じる暁美ほむらによって、女性達の安全は滅ぶのだ」

 

「たとえその弊害を突きつけられたとしても…彼女は極論を振りかざして正当化しますな」

 

「そうだろうな。だったら男という存在を地球から滅ぼせばいいと大虐殺を行うだろう」

 

「ハッハッハッ!それはいい。フェミニズムに踊らされる魔法少女の末路に相応しいです」

 

性的マイノリティであるレズビアンを正当化するためなら世の中がどうなろうと構わない。

 

それこそがほむらの本音であり、その価値観こそ神浜で暴れたレズビアン魔法少女達の気持ち。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしか彼女が男の役割を行う事は出来ん」

 

ジェンダーアイデンティティをご都合主義で捻じ曲げる形こそが百合を崇めるレズの世界。

 

女性の乳房や女性器を備えた暁美ほむらは性の自由化で男と同じ役割を与えられるべき。

 

男性器を備えた男は性の自由化で女と同じ役割を与えられるべき。

 

こんな狂い過ぎた理屈こそが世界の在り方を真逆にするルシファー主義の価値観である。

 

そんな世界にされたら女性達は米軍女性兵士問題と同じく大弊害によって苦しめられるだろう。

 

「安心出来る嘘、安易なモノに飛びつく自分の信念を疑わない者などワクチン推進派と同じさ」

 

「魔法少女達もまた契約の天使が語る安心出来る嘘に飛びつく者…思考パターンが同じですね」

 

「だからこそ騙される。真実を見極められるのは周囲の同調圧力を跳ね除けて戦える者だけだ」

 

百合という都合の良さを求める暁美ほむらもまたワクチン接種者と同じく奈落が待っている。

 

彼女達はそれにすら気が付かず自分に都合のいい世界だけを見ながら崖下に落ちていくだろう。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

それが出来ない者ならば魔法の力があろうと流されるだけの者にしかなり得ない。

 

そう指摘したところで追及逃れがしたい卑怯者は直ぐに問題を相手側に擦り付けてくるだろう。

 

「共産主義者は全員が精神的引き籠り。同じ過ちを何度も繰り返す狂気を望む愚者共なんだ」

 

「共産主義は永続させられますからね。失敗すればそれは真の共産主義ではないと我儘を言う」

 

「共産主義という理想に縋りつくカルトであり、その劣等性を絶対に許さないエゴイスト共さ」

 

「そんな暁美ほむらだからこそ利用するだけ利用した後、ゴミのように捨てるのですね?」

 

「その通り。暁美ほむらなどミカエル共を打ち滅ぼす迎撃ミサイルとしての価値で十分なのさ」

 

<<ハッハッハッハッハッ!!!>>

 

理想に狂った愚かな娘を嘲笑う悪魔達であったが、時間がきたのかルシファーが立ち上がる。

 

「君も内閣の引継ぎ作業が終われば新しい役目が待っている。日本のザイオンを任せたぞ」

 

「お任せください。都市管理部門長として日本のザイオン管理を行っていきます」

 

大魔王の背中を見送る門倉が深々と頭を下げた後、両開き扉は閉められていく。

 

神浜人権宣言を行ったかつての人修羅が語った言葉こそ、今の暁美ほむらを言い表している。

 

――お前らは追い込み猟で罠にかかる獲物も同然だ。

 

――都合のいい答えばかりを求めて飛び込んでいく、まるで炎に飛び込む蛾のようだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ギリシャ神話における重要な神であるクロノスは時の翁としても語られる存在。

 

父神ウラノスと母神ガイアから生まれたティタン神族12神の末っ子である。

 

彼の父神ウラノスはガイアとの間に産んだ巨人族の醜悪さを憎み、タルタロスに堕とした者。

 

それに対して業を煮やした妻のガイアは息子のクロノスをけしかけて襲わせることになる。

 

アダマスの大鎌を用いて父神ウラノスの股間を去勢した事で父神から呪いを浴びせられるのだ。

 

これによって自分も子に襲われると脅迫観念に囚われたクロノスは子供達を飲み込んでしまう。

 

クロノスに飲み込まれた子供の中にはデメテルやヘラ、ポセイドンやハーデスの姿もあった。

 

「……どうしたの、クロノス?」

 

神浜から見滝原に戻ってきた暁美ほむらは夜空を見つめるクロノスが立つ屋上に昇ってくる。

 

遠い空を見つめる彼の機械仕掛けの体は恐れと怒りが混じったように武者震いしているのだ。

 

「どうやら…この世界にワシの愚息のゼウスが現れたようじゃ」

 

「ゼ、ゼウスですって!?宇宙を破壊出来るという雷霆を操るあの神が顕現したというの!?」

 

「それだけではない…ワシの娘のデメテルやゼウスの娘のアルテミスの魔力も感じさせられる」

 

「ギリシャ神話の神々までこの世界に召喚されるだなんて…啓明結社側に合流するためなの?」

 

「奴らが合流したという話は閣下から聞かされておらん…恐らくは別勢力となるだろうのぉ…」

 

「だとすれば…何を目的にして行動すると思うわけ?貴方の意見を聞かせて欲しいわ」

 

「奴もまたワシの存在を感じておるじゃろう…ならば決着をつけようと再び現れるはずじゃ…」

 

「不味いわね…ただでさえ天使軍が迫ってきているのに…挟み撃ちになってしまうわよ…」

 

「ゼウスだけでなく北欧神話の主神やヒンズー教の主神の魔力も感じる…まさに終末の世じゃ」

 

ウラノスとガイアが生んだ旧支配神であるティタン神族のクロノスはウラノスに次ぐ支配神。

 

しかしギリシャの神々の戦争であるティタノマキアに負けて敗北者となった者でもある。

 

立場的に言えばマルドゥクの後継神であるバアルと同じく二番目の支配神なのだ。

 

しかし母神ガイアの裏切りにあったクロノスはゼウスが解放した巨人族に敗北させられる。

 

ゼウスに解放されたサイクロプス達はその礼として彼に雷霆ケラウノスを進呈したのだろう。

 

「サイクロプスやヘカトンケイルを従えるゼウスの狙いはこの世界の支配者になることだろう」

 

「皮肉ね…サイクロプスを崇拝するフリーメイソンをサイクロプスを束ねる神が滅ぼすなんて」

 

「奴は強欲な神…ルシファーやバアルが世界を支配する地上を快く思うはずがない」

 

「北欧神話の神やヒンズー教の神まで現れている…これでは天使軍と満足に戦う余裕もないわ」

 

「閣下やバアル殿もゼウス共の存在は感じておられるはず…何かしらの対抗策を講じるだろう」

 

「貴方はどうしたい?かつてゼウスに敗北してタルタロスに堕とされた者の意見を聞きたいわ」

 

「無論…決着をつけてやりたい。ワシらの黄金時代を破壊した愚息の思い通りにはさせんぞ…」

 

クロノス率いるティタン神族が起こしたティタノマキア。

 

ゼウスを快く思わなくなったガイアが起こしたギガントマキア。

 

その両戦争を討ち勝ったゼウスは宇宙の支配神としての地位をクロノスから奪い取った略奪神。

 

だからこそティタン神族達の怨みは根深く、未だにティタノマキアを起こす覚悟があるのだ。

 

<<よくぞ申された!!それでこそ我らが主神!!再びゼウスと戦争を起こそうぞ!!>>

 

見滝原全域に巨大な地響きが起こっていき、それを起こす巨大な神々が近寄ってくる。

 

「う…海の彼方からやってくる…あの巨人共は何なの…っ!?」

 

やってきたのは武装したティタン神族達であり、かつて神浜に現れた者と同じ甲冑戦士達。

 

彼らも覚醒者のMAGを利用して地上に顕現を果たした者達であり、海外から日本に集う。

 

その巨体はかつて神浜に現れたティターンよりも巨大であり、全長100mに達する程だ。

 

「おぉ……お主達よ、ワシの元に再び馳せ参じてくれたか」

 

見滝原湾に並んだ巨大な巨人達に視線を向ける主神に対して巨人達が雄叫びを上げていく。

 

<<第二次ティタノマキアが始まるのだ!我らの武勇をもって黄金時代を取り戻そうぞ!!>>

 

蟲毒の丸薬効果によってさらに巨大な姿となったティターン達が巨大な剣を掲げていく。

 

彼らは武勇を示す機会を求めており、それに応えるのが主神であるクロノスの務め。

 

「よくぞ申した同胞達よ!!オリュンポスの神が攻めてくるならば迎え撃とうではないか!!」

 

アダマスの大鎌を生み出したクロノスが両翼を広げながら天に掲げていく。

 

かつての雪辱を晴らしたい者達を見守る悪魔ほむらの口元には不気味な笑みが浮かぶようだ。

 

(フフッ…こいつらは利用出来るわ。私が望む黄金時代を築くための礎として利用しましょう)

 

ティタン神族達の長であるクロノスを使役するのは悪魔ほむらであり、彼女は軍勢を手にする。

 

望むのは自分が望む黄金時代であり、それこそがルシファー主義に根差した百合の千年王国。

 

ティタン神族達の戦力をCHAOS勢力に持ち込んだ事でほむらの発言力は大きく増す事になる。

 

今の彼女は軍勢を引き連れた立派な女魔王であり、かつて以上の繁栄を手にするのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

多神教連合の存在について協議するための対策会議に招集されているのは混沌の魔王達。

 

被害報告を行うのは生体エナジー協会の会長であるシェムハザであり、忌々しい表情をする。

 

「世界中の生体エナジー協会に攻め込む奴らの狙いとは我々が製造する膨大なMAGのようです」

 

「映像に映っているこのガルーダは…もしかしたら俺のかつての仲魔やもしれない…強敵だぞ」

 

「それにガルーダの頭に乗っているこの人物はまさか……クリシュナなのか?」

 

「奴は別世界において人類と宇宙を滅ぼす計画を実行した者…隣のオーディンも共犯者なのだ」

 

「イナンナになったアリナの知恵が教えてくれる…こいつらの中にいるのがゼウスだってね」

 

「ギリシャと北欧、それにインドの主神達が集う新たな多神教連合か…厄介な存在であろう」

 

「然り。天使軍が迫るこの状況において放置すれば…我らは背後を取られる事になるぞ…」

 

「人間共の軍勢を差し向けようと無駄じゃのぉ…いたずらに被害を増やすだけじゃな…」

 

バベルの塔のケテル城に集まった魔王達はホログラム映像に映る多神教連合に対して戦慄する。

 

混沌の魔王達に匹敵する脅威を野放しにしてしまえば天使軍と共に挟撃されかねない。

 

速やかに排除するための軍勢を編成しようと相談し合っていた時、アリナが提案してくる。

 

「ねぇ?こいつらの相手は暁美ほむらにやらせるっていうのはどう?」

 

「な、なんですって!?」

 

「自信がないワケ?アリナが聞いた話だとティタン神族の軍勢を手にしたって話なんですケド」

 

「私達をけしかけて消耗させ…背後から襲うつもりなのかしら?」

 

「そんなセコイ手口なんてアリナは望まないカラ。そんなのはストロングスタイルじゃない」

 

「ヨスガの指導者として恥じない在り方は出来るようね…だったら戦ってあげてもいいわよ」

 

「CHAOS勢力に組しても目覚ましい活躍を示せてなかったんだし、武功を立てたらいいワケ」

 

「安心して、新たなるリリス様。このナアマも教育係として貴女様のサポートをしてあげるわ」

 

「生体エナジー協会の会長として私も同行する。これ以上…私の協会を潰させはしない!!」

 

多神教連合に対処すると名乗り出た魔王達に対して魔王の代表を務める3人に視線を向ける。

 

ルシファーとバアルは頷き、人修羅は不敵な笑みを浮かべながら悪魔ほむらにこう伝える。

 

「行ってくるがいい、ほむら。お前も望む野望を得たのだからこの程度の障害など踏み越えろ」

 

「言われるまでもない…精々ふんぞり返りながら見物していることね。私達の戦いを見せるわ」

 

「ティタン神族の戦力を得たとしてもゼウス達は侮れん。だからこそアリナ、彼女に力を貸せ」

 

「ワッツ!?どうしてアリナが暁美ほむらなんかに手を貸す必要があるワケ!?」

 

「言い出しっぺなのだから協力してやるがいい」

 

「チッ…オーライ、協力してあげる。アリナがいないとダメなポンコツをサポートするカラ」

 

「貴女なんかに背中を任せるつもりはないわ。だけど…貴女のアトリエの力は必要よね」

 

「何を企んでるワケ……暁美ほむら?」

 

生体エナジー協会の会長に視線を向ける悪魔ほむらに対してシェムハザは頷いてくれる。

 

彼女の狙いを察した彼はアリナのアトリエとなった邪教の館に素材悪魔を提供してくれるのだ。

 

アリナの館に集まった魔王達が異次元空間を構築する召喚の間に集まり、召喚光景を見守る。

 

ギリシャの主神ゼウスと戦える程の悪魔を求めた悪魔ほむらは強力な戦力を欲している。

 

それに適う程の強大な悪魔を生み出す力こそがアリナが司る豊穣のアトリエでもあるようだ。

 

「これが……一度はゼウスを打ち負かしたという邪龍の姿なのね…」

 

異次元空間を構築する召喚の間は館の大きさとは関係なく、無尽蔵な広がりをもつ。

 

だからこそかつての魔王アモンに匹敵する程の超巨大な邪龍を収められているのだろう。

 

「グゥゥゥゥ……感ジルゾ、ゼウスノ魔力ヲ!!奴トタタカイタイ…オレサマヲ解放シロ!!」

 

獰猛な雄叫びを上げる邪龍こそ、ゼウスを憎むガイアがタルタロスと交わり産んだ存在なのだ。

 

【ティホン】

 

ギリシャ原語ではテュポーンと呼ばれる邪龍であり、ガイアとタルタロスの間に生まれた巨人。

 

暴風を起こし、指の代わりに百頭の龍を生やし、下半身は毒蛇に覆われ、眼からは炎を生む。

 

オリュンポス神族最大の敵として立ちはだかり、一度はゼウス神も捕虜にされてしまう。

 

エキドナとの間にケルベロスやオルトロスをはじめとする多くの怪物を産んだ存在であった。

 

「クールダウンして欲しいんですケド。そのボディで暴れられたら困るカラ」

 

「ゼウスと戦いたいと言ったわね?その願いを叶えてあげるから私に協力しなさい」

 

「ムゥゥゥゥ…見カケナイ女悪魔ダガ、マァイイダロウ!早クオレサマヲツレダスガイイ!」

 

ティホンの姿は青い肌をした四足歩行のドラゴンであり、二本角と大きなフリルを身に纏う。

 

傍から見ればエリマキトカゲのような襟飾りを身に着けた超巨大なトカゲに見えてくるだろう。

 

「トカゲのイヤーカフスを身に着けるアナタに相応しいデビルを精々利用したらいいワケ」

 

「フン…賢そうには見えない邪龍ね。この子同様…扱いに困るかもしれないけど…まぁいいわ」

 

ほむらが左手を持ち上げながら後ろ髪を掻き上げて流すと左耳にはイヤーカフスが見える。

 

意思を持つ存在なのか、トカゲのイヤーカフスは怯えるようにして震えながら振動するのだ。

 

<これ程の巨体を持ち出すならば…武器庫とは違う領域が必要だろう。ワシが用意してやる>

 

<お願いするわ。同じガイアから産まれた者同士…仲良くしてあげてね>

 

<ゼウスと因縁を持つワシらが揃えば鬼に金棒じゃ。再戦の時が待ち遠しいわい>

 

左腕に身に着けたクロノスの魔法盾を掲げればティホンの体が光りながら収納されてしまう。

 

踵を返して去っていくほむらとシェムハザを見送るアリナとナアマが不気味な笑みを見せる。

 

「イナンナ様にとっては敵に塩を送る真似をさせちゃったけど…何を狙ってるのかしら~?」

 

「無様なムスビが崩壊していくのを楽しみたいワケ。ムスビが如何に脆弱かは…いずれバレる」

 

ムスビ思想派閥の代表者である悪魔ほむらは新田勇と同じく他力本願な存在。

 

そんな者が自分達のリーダーを務めていることを見抜かれれば最後、武闘派の者達が許さない。

 

下手をすれば反逆されかねない程にまで不安定な勢力なのだとアリナは見抜いているようだ。

 

「ボルテクスでのコトワリ戦においてムスビは最弱の思想勢力…必ず化けの皮が剥がれるワケ」

 

「それまでは私もリリス様になりたいガールと付き合ってあげる~♪でも、本物にはなれない」

 

リリスのフェイカーだと嘲笑うナアマも去っていき、ヨスガの指導者も見送ってくれる。

 

「リリスが司る不安定という部分だけは本物だカラ。あの女が崩れ落ちる日が待ち遠しいヨネ」

 

フェミニズムという虚構理論で基盤が作れると考える不安定さ。

 

ムスビ思想という他力本願な上で都合の良さしか求めない惰弱な思想を掲げる不安定さ。

 

それらは歪な音を奏でながら回る歯車となるが、いずれは盛大に壊れてしまう時計に過ぎない。

 

「私は悪魔となった暁美ほむら!貴方達に勝利をもたらす革命の女神!私について来なさい!」

 

悪魔ほむらが司るクリフォト世界に招かれたティタン神族の戦士達に対して彼女が吠える。

 

城のバルコニーで高らかに勝利宣言する革命女神のために巨人達は剣を掲げ、讃えてくれる。

 

彼らティタン神族はオリュンポス神族から虐げられた者達であり、神話革命を望む戦士達。

 

レズを求めながらも世間から異常者扱いされていく同性愛万歳連中も性の革命を望む者達。

 

彼ら、彼女らは自分達に理不尽を敷いた世界秩序に対して我儘な反逆を叫ぶのだろう。

 

ティタン神族だけでなくティホンも揃った事でティタノマキアやギガントマキアが起こるのだ。

 

「私は虐げられる敗北者では終わらない…ルシファーと共に同性愛が認められる世界を築く…」

 

――()()()()()()()()…黄金時代を作り上げる。百合の千年王国を築き上げてみせるわ。

 

彼女は自分の思想こそが鹿目まどかや他の魔法少女カップル達も救うのだと信じて疑わない者。

 

そんな彼女の在り方こそ、神浜魔法少女社会を荒らしたフェミニズム魔法少女の姿である。

 

信念を持つことは自由だが、それが本当に正しい根拠になり得るのか検証すらしてくれない。

 

そんな不安定極まりない思想に縋りつく彼女の屋台骨こそ、まさに不安定そのもの。

 

すべては神秘に始まり、政治に終わるという作家のシャルル・ペギーの言葉もある。

 

彼は社会主義者であるが犯罪者を愛する存在でもあり、決して聖人君子な存在ではない。

 

ドレフュス事件などを見ても虐げられるのを憤るばかりでは共産主義者にしかなり得ない。

 

そんな在り方を示した人物こそが神浜東西差別に苦しんだ末に暴力を撒き散らした少女達。

 

()()()()()()()()()()()()

 

苦悩は人を道徳的に強くしてくれる。

 

人間性を豊富にするばかりでなく、人生の価値に対する洞察を深めて感覚を鋭くする。

 

苦悩を味わい、苦難に堪える者にして、はじめて生存の深みを知れるだろう。

 

深く人生を生きるためには人生とは思い通りにならない苦悩世界なのだと知ること。

 

苦悩を乗り越える力が人間の本質を形成してくれるのだ。

 

それが出来ない者が縋りつくものこそが左翼政治であり、その在り方こそ我儘な人間至上主義(ヒューマニズム)

 

苦悩の価値を認めない者は既存価値観を破壊するだけの左翼テロリストにしかなり得なかった。

 




映画ワルプルギスの廻天のPV動画を逆再生させたら「幸せのために」という言葉になるそうなので、拙作の悪魔ほむらちゃんも不安定ながらもレズ万歳の道に進ませております(汗)
こうやって各コトワリ勢力が戦力を整える展開を描いていると、真女神転生3の後半戦の光景を思い出しちゃうんですよね。
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