人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
世界各国に存在する生体エナジー協会であるが、協会の中枢部分は英国に存在する。
ロンドン郊外に存在する巨大エネルギープラント施設の地下こそが世界最大の協会施設なのだ。
この地こそ生体エナジー協会の会長を務めるシェムハザのお膝元であり、彼が責任者を務める。
敵陣の中でもっとも固い守りをしている場所に襲撃を仕掛ける者など命知らずでしかない。
しかしそんな事を考える矮小な存在が襲撃を計画しているのではないのだろう。
「警備の者達と至る所に機械仕掛けの迎撃装置…それに悪魔の魔力も大勢感じますわ、お父様」
プラント施設を一望出来る遠距離に存在する石造りの廃墟の上にいるのはギリシャの神々。
敵陣を監視するのはアルテミスであり、彼女は望遠鏡など必要とせずに敵陣を見通してしまう。
娘の鷹の目を信頼しているのは隣で立っている父神ゼウスと彼の姉神であるデメテルのようだ。
魔力を隠すために彼らは人間姿に擬態している光景はまるでギリースーツを纏う狙撃兵だろう。
「敵の意識を拡散させるために手広くやってきたんだ。そろそろ大物を狙おうぜ」
「そうですわね。守りを分散させるために陽動を仕掛けてきた甲斐があればいいのですが…」
「まぁ、俺様は陽動なんぞする必要性すら感じてなかったがなぁ。小細工はしょうに合わない」
「お父様程の至高神ならば恐れる者などそう多くはないでしょう。ですが相手も必死なのです」
「魔王共でも出て来てくれれば楽しめるんだがなぁ。雑魚ばかり相手しててもつまらねーよ」
「相変わらずゼウスは乱暴者ですの。だけど私だって戦う時は容赦しないタイプですのよ♪」
「それでこそ俺様の姉上だ。さて、そろそろパーティの時間だぞ」
作戦時間となったことでゼウス達は夜空を見上げる。
遠くからプラントに向かってくるのは多神教連合に所属するサマナー達が召喚した悪魔の群れ。
巨大なガルーダと共に迫るのはスパルナの群れであり、ガルーダ族が飛来してくるのだ。
「さぁ、蜂の巣を叩いてやろうぜ。悪魔とその従者共が大慌てしながらわんさか出て来るさ」
「兵隊蜂共を巣から全部追い出して、蜂の巣に詰まったハーベストな
「ですが此度の我々の役目は蜂の巣から兵隊を全て追い出す陽動任務。それをお忘れなく」
「チッ!美味しいとこだけクリシュナに奪われるのは癪だ!敵を蹴散らして俺様達も入るぞ!」
「ゴーゴーですわ~♪」
「大喰らいですこと。まぁ、お父様は実体化する分のMAGしか得られず本調子じゃないですし」
「そういうこった。俺様も魔法少女のMAGをモリモリと喰らって、本調子にならねーとなぁ!」
一方、プラントの地下で広大な空間を形成する生体エナジー協会本部では悪魔達が集っている。
「会長…遠くから感じさせてくるこの悪魔の魔力の群れは…まさか……」
「……ついにここを攻めにきたか」
豪華な会長室が突然地響きによって揺れ始め、地上からの振動を感じさせてくる。
モニター画面から報告される被害報告に対して会長を務めるシェムハザが檄を飛ばす。
「地上部隊程度では悪魔の群れは相手出来ん!英国空軍にも援護の要請を送れ!!」
「通常の軍隊程度で悪魔の群れを止められるのかしら?そもそも姿すら見えない連中なのよ?」
応接ソファーに座っているのは紅茶を啜るナアマと悪魔ほむらの姿である。
「デモニカの事は聞かされておろう?あれは既に量産体制に移っている…システムも同じくな」
「悪魔召喚プログラムを空軍パイロット達のヘッドマウントディスプレイに搭載してるのねぇ」
「ヘルメット装着式統合目標指定システムね。姿が見えない悪魔でもロックオン出来るの?」
「その通りだ。日本の霧峰村で得た実戦データのお陰で人類は悪魔と戦えるようになった」
「だけどね、悪魔の世界の入口に立った程度の連中でしかないわ。過度な期待は禁物よ」
「悪魔の相手は同じ悪魔が務める!会長、わたくしに地上部隊の指揮権を委ねてください!」
副会長を務める小柄な男悪魔に対してシェムハザは頷いてくれる。
彼もシェムハザと同じく堕天使であり、同胞の敵討ちをしたいようだ。
【ハルパス】
ソロモン王が使役した72の魔神の一柱であり、26軍団を率いる死と破滅の伯爵。
鳩、またはコウノトリの姿で現れる悪魔であり、死臭を漂わせ、しわがれた声で喋る。
人間の肉を好む性質があり、戦いを好んで戦争を引き起こしては自ら剣を振るう者であった。
「奴らは大勢の堕天使を殺してきている…遠慮はいらん、容赦なく八つ裂きにしてこい!!」
「了解であります!!このハルパスの剣に懸けて!勝利を掴み取って見せましょうぞ!」
大慌てで地上に向かった指揮官を見送る者達であるが、会長はほむら達に顔を向けてくる。
「恐らくは…奴も殺されるだろう。彼らの尻拭いをやらせてしまうが…行ってくれるか?」
魔王シェムハザの嘆願に対して魔王ほむらと魔王ナアマの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
「よろしくてよ。私を満足させられる程の雄悪魔と出会いたいものねぇ~…誘惑したいし♪」
「色ボケ女の面倒まで見ることになってもいいわ。巻き込まれるようならその程度だし」
「言ってくれるわね、新たなリリス様?私の力を存分に見せつけてあげましょう」
立ち上がった彼女達が同時に漆黒の翼を生み出して体を包み込んだ後、消えてしまう。
彼女達の戦果を期待しつつも自分も戦いの準備を始めていくシェムハザなのだ。
その頃、地上から感じさせてくる振動を合図にするようにして巨大コンテナが切り裂かれる。
物資搬入倉庫のコンテナ内から現れたのはクリシュナとオーディン、そして尚紀の仲魔の姿。
パールヴァティもクリシュナのお供として潜入任務に参加していたようだ。
「これだけの規模の生体エナジー協会ならば膨大なMAGを手に入れられる。いよいよだね」
「わたくしの夫であるシヴァ神を召喚するに足る程のMAGが手に入ればいいのですが…」
「彼の力はゼウスやオーディンと同じく多神教連合の柱となるだろう。必ず召喚してみせる」
「地上部隊に引き寄せられて施設は手薄になったようだ。我々も行動を開始するぞ」
悪魔の力を解放したクリシュナ達の魔力を察知したのは施設を統括するAIである。
警報装置が盛大に鳴り響く中、迎撃部隊として現れたのは機械仕掛けの戦闘兵士達。
悪魔種族で表現するならばマシンであり、人型マシンが固定武装を構えてくる。
GDR1000の群れやAI管理の自動迎撃タレットの銃口が向けられる中、クリシュナが動く。
「機械仕掛けの道化程度でボク達を止めようというのかい?悪魔共が上に向かった証拠だね」
右手に生み出した金色の笛を回転させながら口元に近づけていき、大きな笛音を鳴らす。
すると迎撃マシン達の周囲に極大の雷撃魔法が構築され、次々と破壊されていくのだ。
マハジオダインによって鉄屑に変えられた兵士共を踏み越えていく者達が施設の奥に向かう。
彼らが向かうのは地下施設の最奥にあるだろう、MAGタンク貯蔵空間であった。
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「ぐっ……ガハッ!!つ……強過ぎる……」
異界空間を構築されたプラントの地上で倒れているのは傷だらけのハルパスの姿である。
黒い鳩の姿の上から貴族服やつば広帽子を被っているが、折れた剣もろともズタボロなのだ。
周囲には他の悪魔達も倒れており、砕けながらMAGを放出させていく。
そのMAGを宇宙の熱としてではなく、己に取り込むようにして盛大に吸い込む神がいるのだ。
「まだまだ俺様は喰い足りねーぜ!もっと強い悪魔共はいねーのかぁ!!」
「お父様の相手になりえる堕天使など、魔王クラスしかいないでしょうね」
ギリシャ神話の神々らが側面から奇襲攻撃を仕掛けてきた事もあり、地上施設は崩壊している。
空を見ればガルーダ達も圧倒的な戦いを続けており、英国空軍機が次々と撃ち落とされていく。
「空の戦いも直ぐに終わりますわ。ですが……厄介な悪魔共が現れたようです」
一矢報いようと口から火球を放とうとするのだが、空から下りてきた女神に踏み付けられる。
「往生際が悪い鳥さんですわね?民衆が生む豊穣を略奪する者共には慈悲などありませんわ」
「ま、待て待て!後生だから命だけは…吾輩はこう見えても妻と子供もいるのだぞ…!?」
「命乞いですの?ですが命乞いをする魔法少女達に対して…貴方達は何をしたんですの?」
笑顔を浮かべていたデメテルが突然豹変し、猛吹雪を感じさせる程にまで冷たい顔つきになる。
豊穣を司る稲を天に掲げた瞬間、自分の周囲に極大の竜巻を生み出すのだ。
<<アギャァァァァァーーッッ!!?>>
敵単体に極大の疾風属性魔法を放つ『ザンバリオン』によって細切れとなった者がMAGと化す。
竜巻が消失した空から降りてくるデメテルは再び春のような笑顔を浮かべてくれる。
「ですが…私はそれを否定しない。食物連鎖もまた自然の掟…強者は弱者を消費するのです」
「その通り。弱者が増え過ぎればせっかく生まれた豊穣も枯渇する…人などまた増やせばいい」
大口を開けたゼウスがハルパスのMAGを喰らっていく。
ハルパスの体も弱者である魔法少女達のMAGで構成されており、それを喰らう事が強者の務め。
それを体現する彼らもまた自然神であり、その在り方はCHAOS堕天使と同じなのだ。
「自然とは弱肉強食…それは否定しない。自然とはバランスであり調和…偏れば崩壊するのだ」
狩猟の女神であるアルテミスが考える命の在り方もまた自然であり、弱肉強食を必要とする者。
しかし彼女は出産の守護神であり、生まれる子供達こそが豊穣なのだと考える女神である。
「魔法少女達はまだ子供達…豊穣の象徴なのだ。死ぬべき弱者は老害共だけで十分だ」
「姥捨て山という民話は合理的ですわ。豊穣という限りある資源は若い命のためにこそですの」
「俺様も反対はないぜ。世界の在り様について語りたい気持ちもあるだろうが…上を見てみな」
黒煙が立ち上るプラント施設の夜空に君臨している女悪魔達の姿を目視するギリシャの神々。
現れたのは悪魔ほむらとナアマであり、挑発するような態度でナアマがおどけてくるようだ。
「まぁ♪まさか…あのゼウス様が現れるだなんて素敵じゃない♪是非とも私と踊って欲しいわ」
「あの悪魔がゼウス…まるでギリシャ彫刻の大理石ともう半分は黒曜石で作られたような体ね」
「私はゼウス様と踊りたいわ。新しいリリス様は女神共の相手をしてくださらないかしら~?」
「私はそれでも構わないけれど…残念ね。ゼウスの相手をしたい存在はもう一体いるのよ」
「な、なんですって…?」
怪訝な表情を向けてくるナアマの横で飛ぶ悪魔ほむらが左腕を掲げてくる。
その腕には魔法盾が備わっているのだが、怒りに打ち震えるように振動しているようだ。
「あの女悪魔の腕に備わっている機械仕掛けの盾は……まさかっ!?」
刹那、時間停止。
ゼウスであろうと時間停止の力に抗う術は無く、意識も体も静止している。
再び時間が動き出した時、堅牢なゼウスの体を構成する背中が大きく切り裂かれているのだ。
「ぐぅ!!?」
片膝をついてしまうゼウスに対して背後で大鎌を構える存在を見た女神達が叫び出す。
「お…お……お父様!!?」
「老人の姿に変わっていても魔力で分かる…貴方様は…クロノスお爺様なのですか!?」
立っていたのはデメテルやゼウスの父神であるクロノスであり、アルテミスの祖父でもある。
「立て、ゼウスよ。我々ティタン神族の怨み…この程度で晴らせるものではないぞ」
「へっ…久しぶりじゃねーか、親父殿?俺様が落としてやったタルタロスは気に入ったか?」
「タルタロスという死の砂漠に捨てられ…ワシの巨体は砂で削られた末に…滅びたのだ!!」
ティタン神族のクロノスもまた生前は巨人であり、だからこそゼウス達を飲み込めた神。
しかし巨人の彼は同胞の巨人達と共にタルタロスに堕とされた事で死の砂漠に繋がれてしまう。
永遠もの時の流れの中で巨人クロノスの体は吹き付ける砂に削られた末に崩れ落ちる。
残されたのはクロノスの怨念であり、それが憑依した存在こそが時の翁という機械の神だった。
「こんな機械の体に繋がれる末路になろうと…今日この日を望んできた!復讐のためにな!!」
アダマスの大鎌の刃を叩き落とそうとした時、ゼウスの体から膨大な放電現象が生まれる。
「ぬぅ!!?」
時間停止を狙う暇もなく放たれた雷撃であるが、直撃するよりも先に時の翁が動く。
翼を羽ばたかせながら空に飛び上がった彼であるが、全身が感電したのか弱っているようだ。
「流石は親父殿が振るうアダマスの大鎌だ。俺様の体に傷をつけられる神器はそう多くないぜ」
全身が放電状態のまま立ち上がったゼウスもまた両腕に備わる大鎌に魔力を注ぎ込む。
溢れ出る魔力が迸る二対の鎌こそケラウノスであり、アダマスの大鎌に匹敵する神器なのだ。
「モイライ三姉妹同様、時間を操る神を相手するのは厄介だが…これなら近寄れねーだろ?」
「貴様の体に傷をつけられる一撃は限られている…それでも恐れん!ワシの怨みを刻み込む!」
「来るがいい…親父殿!!ティタノマキアの続きをおっぱじめようぜ!!」
雷の如き飛行速度で飛翔するゼウスが繰り出す攻撃に対して並走するクロノスも苛烈に攻める。
ウラノスが司る夜空の彼方で親子喧嘩が再び繰り返される中、ギリシャの女神達も動く。
「チッ!!」
放たれた魔力の矢に対して後方宙返りを用いて避けるアルテミス。
着地と同時にガントレット装備式のクロスボウ神器を構える彼女が悪魔ほむらに狙いをつける。
「ほう…そなたも狩人を気取るか?ならば狩猟の女神であるアルテミスの狩りを見せてやろう」
「貴女がアラディアの母神であるアルテミス…オリジナルのワルプルギスの夜というわけね?」
「その者の名を口にするな!私はな…あのような偽神の母になった覚えなどは無い!!」
「私にとってはどうでもいいわ。私とワルプルギスは因縁深い関係なの…ここで終わらせる!」
狩猟戦を仕掛け合う者達の横では困り顔を浮かべているデメテルがいる。
しかし彼女の元に下り立ったのはナアマであり、心底ガッカリした表情を浮かべてくる。
「ハァ…私の相手は金髪ロリッ子娘なわけ…?どうせなら猛々しい雄のゼウス様がいいわ…」
「コラーッ!私だってゼウスの姉なんですのよ!?舐めてもらっては困りますの!!」
「小娘の体なんて舐めたくないわ。どうせなら…あぁ…ゼウス様の猛々しい棒を舐めたい…♡」
「ふ、不潔ですの!?男女の愛を紡ぐ性交は豊穣の儀式ですの…快楽消費じゃないですの~!」
漆黒の翼を広げたナアマが片手を持ち上げながら放つのはムドバリオンの一撃。
プンスコしたデメテルも片手に持つ稲をナアマに向けた後、ザンバリオンを放つ。
激戦を繰り広げるギリシャの神々の光景こそティタノマキアの如き大戦場であろう。
ならば他のギリシャ神も援軍に駆けつけるべきだろうが、ディオニュソスはどうしてるのか?
「グォォォォォ……Zzzz……グォォォォォ……Zzzz……」
その頃の彼は屋敷の酒蔵で酒瓶を抱えて酔い潰れたまま置いてけぼりになってるのであった。
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生体エナジー協会本部の深層を目指す神々の前に立ちはだかったのは協会の会長である。
真の姿である魔王となったシェムハザの相手をするのはオーディンのようだ。
「くっ!?流石は魔術の神であるオーディン…武芸だけでなく魔法戦も長けているようだ…」
「貴様もな。エグリゴリの堕天使のリーダーを務めた者であり、全ての魔法使いの親だったな」
神槍グングニルの先端を用いてルーン文字を描く者に対してシェムハザも動く。
紫色の肌を持ち、鳥類の骨のような軽装鎧を纏う鼻長魔王が放つのはマカラカーンである。
魔法反射フィールドを展開した者に対してジオバリオンを放ったために反射されてしまう。
しかしオーディンは雷の加護を纏う主神であり、雷を反射する耐性で無効化するのだ。
魔王を相手に一歩も譲らない戦いを仕掛けるオーディンのお陰でクリシュナ達は先に進める。
向かうのはMAG生産区画であるのだが、プラント通路の奥には警備兵達が待ち構えるのだ。
「ここから先には進ません!会長から任せられている門番の務めを果たさせてもらおう!」
全身を業火で包み込んで悪魔変身する存在こそ、アラビアの火から生まれた精霊である。
【イフリート】
ジンの中でも特に炎に関連付けられ、荒々しいとされる者達。
魔法に優れており人間の美女を攫って愛でる者もいれば、悪さが過ぎる精霊もいるようだ。
悪さが過ぎたイフリートは魔術師達によって瓶の中に封印されたと言われていた。
「パールヴァティ、久しぶりに君の踊りを見たいものだ。ボクのために踊ってくれないかい?」
「フフッ♪よろしくってよ?わたくしも久しぶりに貴方様のターラで踊りたいんですの♪」
「ならば奏でよう、我が盟友シヴァ神の妻のために送る戦いのターラに酔いしれるがいい!」
黄金の笛を構えたクリシュナが激しい音色を奏でていき、激しいターラで戦意を高揚させる。
クリシュナだけでなくパールヴァティの全能力まで高める程の効果を与えてくれるのだ。
「あぁ……高ぶってくる!流石はクリシュナ様のターラですわ!!」
リズムに合わせて踊り出すパールヴァティのダンスとはカタックである。
インド四大古典舞踏の一つであり、クリシュナ神と牛飼い女ゴーピーの物語を舞踊化したもの。
パールヴァティもまた踊りの神であるシヴァ神と同じく舞踏を司る女神でもあったようだ。
「おぉ…なんて美しい女神の舞いなんだ…見惚れちまうじゃねーかぁ!!」
パールヴァティの舞いに魅了されているイフリート達であったが、仕事を思い出してしまう。
慌ててファイアブレスを放つのだが、パールヴァティは炎を吸収する力を持つ女神。
業火の中でも優雅に舞い続ける彼女が現れた時、その手にはカーリーの剣が握られている。
「たぎる…たぎってくる!!敵の血を浴びて…生首を跳ね落とす舞を踊りたくなるわ!!」
狂気の笑みを浮かべるパールヴァティは全身からドゥルガーの気を発してくる。
いつの間にか足首にも鈴が身につけられており、舞うように踊りながら音色を奏でていく。
「その首…置いていきなさい!!わたくしがアクセサリーにしてあげるぅぅーーッッ!!」
<<ヒ……ヒィィィィーーッッ!!?おっかねぇ女神だったァァァーーッッ!!>>
舞いながら接近したパールヴァティが跳躍回転を行いながら横薙ぎを放つ。
華麗に着地しながら双剣でポーズを作るとイフリート達の首が跳ね落ち、MAGの光と化す。
「生首数個だけじゃ足りないわ…もっと首を跳ねないと…悪魔の首を跳ねないとーーッッ!!」
狂気のオーラを放ち続けるパールヴァティであったが、クリシュナは演奏をやめてしまう。
これ以上彼女を踊らせてしまったらカーリー化しかねないと思ったのだろう。
「さ、さぁ…先に進もうか、パールヴァティ?君の踊りは十分堪能させてもらったから…」
「そうですの…?残念ですわね…これからもっと楽しくなると思いましたのに…」
(これ以上踊らせてしまったら…シヴァを呼んでこないと止められそうにないからねぇ…)
パールヴァティは美しくも恐ろしい女神であり、面倒を見る人修羅とシヴァは苦労人である。
そんな彼女のアクセサリーにされかけたイフリート達の生首達は涙を流して砕けるのであった。
「あの扉の向こう側から膨大なMAGを感じますわ。早く中に入りましょう」
両開き扉がスライドして中に侵入した者達が巨大な空間に視線を向ける。
大きな空洞世界に広がっていたのはMAG貯蔵タンクの群れであり、膨大なMAGを感じさせる。
「さて、これを地上に持ち出すのは骨が折れそうだが…君の意見を聞いてみたいな?」
「どうせでしたら、ここで召喚儀式を行うのはどうです?これ程の規模なら召喚出来ますわ」
「ボクも同じことを考えていたよ。それじゃあ…派手な召喚儀式にしようじゃないか」
「わたくしの夫であるシヴァ神は派手さを好まれる御方…存分に破壊してやりましょう♪」
一方、神々と魔王の戦いは熾烈を極める激しさを見せていた時、異変を感じていく。
「地下から感じさせてくる…この極大の魔力は何なのよ!?」
「フッ…クリシュナ達は上手くやってくれたようだな」
「貴女達は陽動だったのね!?」
「気が付くのが遅過ぎますのよ?」
天から轟雷が落ち、轟雷と共に地面に叩きつけられたのはクロノスの姿である。
同じく地上に立つゼウスもまた地下から感じさせてくる破壊神の鼓動を感じているようだ。
「へっ、流石は俺様と並ぶ程の破壊神だ。早く俺様も本調子に戻らねーとなぁ」
「ヌゥゥゥゥゥ……ワシはまだ終わりではないぞ……ゼウス!!」
「機械仕掛けの老骨を完全に砕いてやってもいいけどよぉ…そろそろお開きのようだぜ?」
跳躍してゼウスの元に集合した姉と娘を肩に乗せた巨漢の神が雷を放出していく。
極大の雷と化したゼウスが一気に空に飛行しながら流星となって逃げていくのだ。
それを合図とするようにして空のガルーダ部隊も飛び去っていく。
残された者達は地下から放たれようとしている破壊の力の顕現を感じてしまうのだ。
「永遠にして破壊と創世の神シヴァよ!我の求めに応じ、その破壊をもたらしたまえ!!」
クリシュナの詠唱に合わせて燃え上がるのは広大なMAG貯蔵タンク空間である。
炎の線を描きながら舞踏を行うパールヴァティが描くのは召喚陣であり、力強く燃え上がる。
「さぁ、わたくしの愛する夫よ!わたくしはここですわ!力強く抱いてくださいませ!!」
パールヴァティの業火によって次々と巨大MAGタンクが破壊され、膨大なMAGを撒き散らす。
それを召喚陣が吸い込んでいき、明滅するようにして炎が青く変色していくのだ。
<<我が美しき妻よ、我が盟友ヴィシュヌよ。そなたらの求め…しかと聞いたぞ>>
恐ろしくも神々しい破壊神の声が響き渡った瞬間、それはついに起こってしまう。
「こ、この力の胎動は一体何なのだぁ!!?」
顕れようとしている破壊神の力に戦慄するシェムハザであるが、オーディンは撤退していく。
クリシュナの念話が届いた事で危険から遠ざかろうとしていくのだろう。
ついにシヴァの力が解放されたことで生体エナジー協会本部が崩壊を始めていく。
<<キャァァァァーーーーッッ!!?>>
地上にいた悪魔ほむらとナアマも脱出しようとしたのだが、背中に衝撃波を浴びてしまう。
施設から離れた地域の地面に倒れ込んだ彼女達が後ろを振り向けば驚愕する表情を生む。
彼女達が見た光景とは、宇宙にまで届く程の青き炎の柱であった。
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シヴァは破壊の神であり、同時に子授けの神でもある。
神話ではシヴァに子授けが祈願され、シンボルはリンガと呼ばれる男性の生殖器。
ヴィシュヌ神が原初の大海にまどろんでいた頃、ブラフマー神がやってきて怒り出す。
どちらが世界の主であるかについて、両神の間に終わる事のない争いが生まれるのだ。
延々と言い争いを繰り広げているところに輝かしい柱、リンガが現われる。
そこには始まりも中間も終わりも見られない。
ヴィシュヌとブラフマーはその
「なんて猛々しい光景なの…まるで創世神の股間に存在する…巨大な勃起の柱よ……」
「下品な表現ね…だけど…そうとしか表現出来ないぐらいの…光のオベリスクよね……」
戦慄した表情を浮かべる女悪魔達は恐怖したまま動けないでいる。
それでもシェムハザの魔力を感じられない事には気づいており、死亡したのだと分かるのだ。
生体エナジー協会本部ごと魔王シェムハザを葬ったのはシヴァを象徴する巨大リンガの力。
青白き炎の勃起の光が収まっていった時、光の中から人影が現れていく。
ゼウスと並ぶ程の巨漢をした青き肌を持つ神であり、上半身裸の背中には二本の腕がある。
背中の腕には戦いのターラを奏でる太鼓やチャクラムを持つ。
首に巻かれた蛇、黒髪の長髪は逆巻く螺旋のように巻かれており、蛇が絡みつく。
額には縦に線が入る第三の目を持ち、肩から伸びる両腕には美しき妻が抱かれているのだ。
「あぁ……わたくしの力強き夫であるシヴァ様!ようやく修行を終えられたようですわね!」
空に浮かぶ青き肌の巨漢こそ、ヒンズー教においては三大神の一体の御姿である。
【シヴァ】
ヒンズー教の三大主神の一体であり、破壊による浄化とその後の創造を司る。
仏教では天界六層の中で最上階に位置する第六天の王であり、天魔という悪神にされてしまう。
戦国時代の信長は仏敵とされており、彼がもたらした仏教破壊もまたシヴァの所業扱いとなる。
シヴァの肌が青く描かれるのは死者を燃やした灰を体に塗るためであり、墓場を住処とする。
墓場暮らしや風呂嫌いになる程の修行者のため、多くの神から不潔な者と呼ばれる側面もある。
またシヴァの名は吉祥を表し、ルドラの異名の一つとして同一視される存在であった。
「パールヴァティよ、我が宇宙でのヨガ修行を終えてきた。今宵はそなたを味わい尽くしたい」
「勿論ですわ!早くベットに向かいましょう…貴方様の力強いリンガで貫いて下さいませ!」
愛する夫の首に抱き着く妻を抱擁してくれるシヴァであったが、隣から咳払いが聞こえる。
「ゴホン!妻とハッスルしたい気持ちは分かるが、今はこの場から去った方がいいだろうね」
宙に浮かぶクリシュナは椅子に座って膝を組むような姿勢のまま両手をオーバーに広げてくる。
「ヴィシュヌ…いや、その姿は化身のクリシュナか?我を召喚してくれて感謝するぞ」
「君の力を貸して欲しい…堕落を極めた金の悪魔の世界を浄化するには君が必要なんだ」
「そうであろうな…死と再生は表裏一体だ。新たな再生を生むならば大きな代償を必要とする」
「ボク達と共に世界を焼き尽くして欲しい。それ程までの戦場となるだろう」
「大魔王とバアル神、そして奴らに従う魔王共との合戦だ…ハルマゲドンに相応しいだろうな」
シヴァとクリシュナを迎えに来たガルーダの背中に乗り込んだ者達が去っていく。
ガルーダ族の群れと共に消え去る多神教連合軍を見送るしかない女悪魔達も立ち上がっていく。
「どうやら…私達の完敗のようね。シェムハザまで死なせてしまったし…責任は重いわね…」
「あれ程の破壊神が顕現したのなら…私達だけでは手に余るわ。魔王の総力が必要でしょう」
「私達も戻りましょう。生体エナジー協会本部まで失った我々は窮地に立たされたのよ…」
魔法盾の姿に戻っているクロノスの力を用いて時間停止を行った後、彼女達の姿も消え去る。
残されたのは巨大な穴が穿たれた光景だけであり、破壊神の勃起の力を見せつけられるだろう。
ついに多神教連合を構成する柱としての神々が勢揃いしたことで彼らは攻勢に打って出る。
それに呼応するかのようにして、多神教連合に組する国津神達も行動を開始するのであった。
ゴッドチ〇ポは全てを破壊して豊穣を生み出す再生のシンボルですね(真女神転生3脳)
何かの漫画の妖怪首おいてけ侍なパールヴァティも描いてみたかったんですよ。
クロノスな時の翁の設定についてはゲームのゴッドオブウォーの設定をそのまま使わせてもらってます。