人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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348話 ストライクフリーダム

人修羅の精神世界である半壊したボルテクス界の上空では無数の爆発現象が起きていく。

 

猛烈な速度で飛行するのは背中の内側の両翼からブースター噴射しながら飛ぶ人修羅の姿。

 

敵機として補足するのは同じように前方空間を超高速飛行し続けるルシファーの人影。

 

アレクサンドラの姿をした大魔王の背中の六枚翼も同じように魔力のブースター噴射を行う。

 

放射状に広げる六枚翼は光の翼と化しており、互いが猛烈極まる空中機動を描いていく。

 

「ウォォォォーーーーッッ!!!」

 

右手を前に伸ばしながら破邪の光弾を連射し続け、きりもみ状態になりながら両翼を畳む。

 

外側の両翼で体を覆いながら二枚翼を一気に開けば無数の光弾を撃つゼロスビートが放たれる。

 

破邪の光弾をきりもみ飛行しながら避け、続くゼロスビートの雨に対して反撃の魔法を放つ。

 

「おかしいね…セイシンをすりきらせたキミのどこに…そんなチカラがのこっている?」

 

光の翼と化した六枚翼から光の羽が後方にばら撒かれた後、一気に炸裂していく。

 

メギドラオンをフレアとしてばら撒いたことで無数の核爆発規模の大爆発が起きていく。

 

ホーミングする光弾の雨が消滅の光に飲み込まれて消し去られるが、被害はそれだけではない。

 

半壊したボルテクス界の残骸が爆発の余波を浴びて崩壊していく中、人修羅が飛び出てくる。

 

「逃がさん!!」

 

マサカドゥスの悪魔耐性でも防げない万能属性魔法で体を焼かれながらも果敢に攻撃を狙う。

 

左手の将門の刀を高速抜刀して放つのは次元斬であり、ルシファーの前方空間に網を張る。

 

斬撃線に触れれば体が細切れになる程にまで放った斬撃の網に対して意に介さず突っ込む。

 

「なつかしいケンギだ…スパーダをおもいだす。かれはゲンキにしてるかな?」

 

アレクサンドラの体から闇が放出されていき、前方空間に放たれる。

 

『C・ダークマター』によって斬撃の網が闇に飲まれながら次元ごと消されていく。

 

この程度で倒せる相手ではないのは百も承知している男は上昇しており、目標を視認する。

 

「そこかぁ!!」

 

極大のエネルギーを両目に収束させながら放つのは螺旋の蛇の一撃。

 

急速旋回しながら避ける大魔王に対して薙ぎ払うようにビームが迫ってくる。

 

旋回状態で体を倒しこむ中、大魔王が右手を上空に向けながら魔力を収束させていく。

 

放つのは至高の魔弾であり、極大の放射魔法に対して翼を羽ばたかせながら急速上昇を行う。

 

「奴の至高の魔弾は俺と互角…いや、それ以上かもな…」

 

放った螺旋の蛇がボルテクス界の大地を削り取り、闇に崩れ落ちる光景の中で空を飛ぶ。

 

急速上昇して一撃を避けた人修羅が右手に生み出すのは鬼神楽の光玉であり、握り込んで砕く。

 

小太陽が炸裂する程の眩い輝きの中で体が影を生み、発光する入れ墨が人型を形成する。

 

空から落ちてくるのは豪雨のような光弾の雨であり、桁外れの威力を発揮していく。

 

「バカな…キミをあれだけいためつけたハズなのに…どうしてこれだけのチカラがうまれる!」

 

迫りくる光弾豪雨に対して放つのは極大の四属性魔法であり、四つの魔法を一瞬で行使する。

 

『神の業火』『神の雹撃』『神の雷光』『神の竜巻』が発生し、ボルテクス界の大半が砕ける。

 

闇の中に飲み込まれていくボルテクス界の残骸大地の上で飛ぶ大魔王だが、油断が死を生む。

 

「グアァァァァーーーッッ!!?」

 

鬼神楽の一撃は煙幕に過ぎず、超高速移動で背後に回り込んだ人修羅の蹴りが背中に決まる。

 

流星脚の一撃によって蹴り運ばれるルシファーの目の前には唯一残った建造物が迫りくる。

 

それは役目を失ったカグツチ塔であり、塔の壁を砕きながら内部に蹴り込まれてしまう。

 

塔の壁にぶつかって崩壊していく光景の中、人修羅は燃え上がる両手を持ち上げていく。

 

放つのはマグマ・アクシスであり、崩れた壁が粉塵を生む光景に目掛けて一気に放つ。

 

<<調子こいてくれちゃって…メンディーよねぇ…アナタってさぁ!!>>

 

粉塵の中から先に放たれたのはマグマ・アクシスであり、驚いた人修羅も放ってくる。

 

互いの豪熱放射がぶつかり合い、カグツチ塔の中が太陽の如く熱せられていく。

 

極限の一撃同士がぶつかり合う中でも塔は堅牢であり、破壊されずに原型が残っている。

 

この地はボルテクス界においてコトワリ戦が行われた場所であり、極めて頑丈なのだろう。

 

「貴様も俺と同じ魔法を行使出来るか…別に不思議じゃない。俺に力を授けたのは貴様なんだ」

 

風魔法を用いて粉塵を吹き飛ばした存在とは栗栖アレクサンドラではなく藍家ひめなの姿。

 

頭から血を流す彼女の顔は眉間にシワが寄っており、体に巻き付くように浮く羽衣を操る。

 

両腕を動かしやすいよう両腕に纏わりつかせて背後で浮くようにさせた彼女がこう語っていく。

 

「足掻く力強さは認めてあげるけどさぁ…そこまでする程の価値があるの?人類ってさぁ…?」

 

「……何が言いたい?」

 

「19世紀の啓蒙主義によってヒューマニズムが生まれた後の人類なんて…醜悪でしかないよ」

 

心理学者のカール・ユングはこのような言葉を残しながら現代の人類に対して落胆する。

 

――()()()()()()()()()()()()()()

 

「古来の宗教や道徳観を共産主義(リベラル)で破壊した後、人類は様々な自分勝手と我儘を生んだよ」

 

フェミニズム、ヴィーガン、アニマルライツ、環境運動、世界市民権運動などの左翼政治。

 

異常を極めたこれらの社会的欲求運動こそ、人間は偽の神を創るという言葉の表れだという。

 

「自分の価値観に忠実になればなるほど自制心というブレーキがなくなり、醜悪に成り果てる」

 

「それは否定しない…SNSこそそれが表れる現場だ。醜悪な連中が自分の価値観を押し付ける」

 

「どんな批判を返したって、指摘した問題をすり替えながら擦り付けられてきたと思うけど?」

 

「その通りさ…俺だってSNSを利用するのが嫌になるぐらい…すり替えで悪者にされてきた…」

 

「藍家ひめなも醜悪な女だった。自分の価値観に忠実なあまり…魔法少女至上主義を生んだの」

 

フリーメイソンの支配者であるイルミナティの成功とは、プロパガンダを慎重に選ぶ狡猾さ。

 

方便の中で最も有効だったものこそ、世俗的な人間至上主義(ヒューマニズム)

 

これによってキリスト教会の発言者の大部分がフリーメイソンの活動に身を落とすのだ。

 

「人間至上主義とは人類の利益が何より優先とする。その先にあるのはね…()()()()()()()

 

政府の利益こそ人類の利益を実現する第一の道具とされ、ワンワールド思想と全体主義を生む。

 

大きな政府、すなわち世界政府樹立こそが人間至上主義の完成なのだと語るのだ。

 

「人類の利益を優先させ…()()()()()()()()()()()。それが貴様の扇動手口だったのか…」

 

「各国ディープステートはこれに則って動かしてきた。()()()()()()()()()()()()()()()

 

唯物主義を掲げるユダヤ民族などは死後の世界よりもこの世のことだけしか考えない。

 

生きているうちに全体支配することは何より重要だと考えるからこそ精神が退化していく。

 

拝金主義、快楽主義、エリート主義、排他主義、あらゆる価値観で世界を破壊する者と化す。

 

その価値観に則る形で魔法少女至上主義も生み出され、神浜を焼き払う惨事を起こす力となる。

 

そして魔法少女至上主義者はカール・ユングが残した言葉通り、偽の神を名乗る者となった。

 

「何が人間至上主義だ…そんなものは人道主義じゃない!()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

人道主義とは思いやりと誰かの苦しみを癒したい気持ち、他者を慈しみ、寄り添いたい価値観。

 

鹿目まどかのような優しい女の精神こそが本物の人道主義であり、強欲者はそれをすり替える。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()!周りを悪にし、()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「その通り。藍家ひめなも被害者ぶり、人間社会を悪にしながら魔法少女だけを思いやったの」

 

「その為の善悪二元論か…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…腐りやがってぇ!!」

 

「人間至上主義のルーツは古代バビロンの悪魔崇拝と幼児の人身御供に直接由来するんだよ」

 

人間至上主義は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

合衆国の人間社会主義的諸機関は支援していると主張しながら人々を侮辱し、傷つけてきた。

 

内国歳入庁などはそうした人間至上主義機関の最たるもの。

 

国民の財をより値する受取人に再分配する事を目的とし、再分配相手は米国の滅びを楽しむ者。

 

人間至上主義は常に特別な政治的方向性があり、それが目指すのは政治的機関を乗っ取ること。

 

恒久的に社会主義を打ち立て、そこで全体主義国家の官僚が人類の利益を支配することだ。

 

「どうりでヒューマニスト共は排他主義者なわけだ……()()()()()()()()()()()()()!!」

 

ロシア人作家であり亡命者のウラジミール・ヴォイノヴィッチはこんな言葉を引用する。

 

ソヴィエト作家の第一回会議で講演したA・スルコフの以下の言葉による引用内容はこうだ。

 

――詩人は何故か人間至上主義の第四の側面を見落としている。

 

――憎しみという激しくも美しい概念で表現した側面を。

 

ゴイム(異教徒)を潰させて滅ぼすなら人間至上主義と善悪二元論を与えればいいの。それで済むから」

 

「ほむらにフェミニズムを刷り込み…男社会は悪だと洗脳したから…アイツは壊れたんだ!!」

 

「それは私チャンのせいじゃないよ?彼女は自分の価値観に沿ってフェミニズムを選んだだけ」

 

「ほむらだけでなく左翼政治を用いて異教徒全てに憎しみを植え付けやがって…許さない!!」

 

「全ては私チャンとモロク、そして虐げられしカナン族の復讐を成すため。始めましょうか?」

 

「いいだろう…かかって来い!!貴様が纏う魔法少女(被害者)という化けの皮を…剥ぎ落してやる!!」

 

宙に浮かぶ巨大な立方体の上に立つ人修羅の体から極大の魔力が噴き上がっていく。

 

迎え撃つひめなもまた極大の魔力を噴き上がらせながら背中に天使の六枚翼を広げていく。

 

「アナタの戦い方に合わせてあげる。私チャンだってね…接近戦は出来るんだから」

 

右手を持ち上げると前方空間にワームホールのような闇の光が生み出される。

 

持ち上げた手を握り込むと空間が安定し、ワームホールから魔剣がせり出してくる。

 

「魔剣明星…これを振るうのは何億年ぶりなのか……忘れちゃった♪」

 

大剣の柄を握り込んで引き出した魔剣こそ、光をもたらす者が振るってきた魔剣。

 

ルシファーの反乱の際にも使われた魔剣であり、ミカエルと激しく斬り合う戦いを行えた武器。

 

天使の六枚翼の形をした鍔を持ち、光星の輝きを放つ魔剣を振るう者と化す。

 

「出し惜しみしやがって…そんな上等な魔剣を持ってるなら、かつての戦いの時にも使えよ」

 

「今回は出し惜しみしないから。さぁ……殺してあげる!!」

 

魔剣を持つ右手を高らかに頭上に掲げ、背中の六枚翼も広がりながら啓蒙の光を放つ。

 

その姿はルミエール・ソサエティが掲げたシジルの形であり、ネオ・マギウスと同じシンボル。

 

反逆の剣を中央に備え、鍔となる六枚翼が広がり、啓蒙の光が天に輝き、()()()()()()()()()

 

「「ハァァァァァァーーーーッッ!!!」」

 

超高速で飛行しながら斬撃をぶつけ合う極限の神域戦闘は激しさを増していき、塔を駆け上る。

 

人修羅とルシファーの戦いは奇しくもかつてのボルテクス界を象徴した場所で繰り返された。

 

────────────────────────────────

 

超高速で塔を駆け上る二体の魔王達が激しい戦闘を繰り返し、周囲はおびただしい被害を被る。

 

コトワリの神々との戦いでさえ耐え抜いたカグツチ塔が内側から壊される規模の戦闘なのだ。

 

「「チッ!!」」

 

鍔迫り合い状態から互いに肩をぶつけながら体を弾き合い、互いに後ろ回し蹴りを放つ。

 

蹴り足に魔力が籠った一撃とはジャベリンレインであり、互いが無数の光弾を放ち合う。

 

次々とぶつかり合う光弾同士が眩い爆発現象を生む中、極大の斬撃波が飛んでくる。

 

大魔王が放つのは人修羅が得意とした死亡遊戯であり、人修羅は改良を加えた反撃技を返す。

 

背中に向けて右手を引き絞る形で光剣を構えた状態から放つドライブの斬撃波が放たれる。

 

斬撃波同士がぶつかって相殺するが次々と放たれ、互いの斬撃波の応酬が繰り返されていく。

 

「アッハハハ!!久しぶりに剣を振るってると、昔の感覚をゲットンしてきたよ♪」

 

背後にワームホールを開いた大魔王が闇の中に入り込み、姿を消す。

 

斬撃波を全て消し去った人修羅の背後にワームホールが開いた瞬間、大魔王が現れる。

 

「付け焼き刃で勝てるものかぁ!!」

 

振り向き様に左手に持つ刀の鞘で相手の斬撃を打ち払い、すぐさま抜刀した一撃を放つ。

 

しかし魔剣を弾かれた勢いを利用した回転蹴りが側頭部に決まり、壁に叩きつけられる。

 

「キャパいぐらいパオンかも?アナタを侮ってたお詫びとして…私チャンもマジでいくね」

 

光の翼と化している天使の六枚翼から無数の羽が生み出され、周囲に展開されていく。

 

壁に叩きつけられてクレーター状態となっている人修羅に目掛けて次々と羽が射出される。

 

「グァァァァァーーーーッッ!!!」

 

着弾と同時にメギドラオンの爆発が広がっていくが、威力がどんどん高まっていく。

 

『メギドラダイン』の集中砲火によってカグツチ塔の壁に巨大な穴が開いてしまう。

 

それでも集中砲火を止めない大魔王の猛攻に対して、光の中から破城槌の如き一撃がくる。

 

回転ノコギリとなって迫るディープスティンガーの突撃攻撃が迫りくる羽を切り裂いていく。

 

破城槌の如き一撃に対してワームホールを背後に開いたルシファーの姿が消えてしまう。

 

「そうこなくっちゃね♪もっとワッショイしてくれないと、私チャンもつまらないから」

 

上に現れた大魔王が超高速で塔を昇っていき、人修羅は外側の二枚翼も光の翼化して上昇する。

 

上昇しながらも放ち続けるメギドラダインの猛攻で傷つきながらも互いが塔の屋上に飛び出る。

 

「懐かしい光景だよね~人修羅?ここで666となる土と雨と黄泉の勾玉を使ったんだよね?」

 

カグツチ塔最上階の広場には三本柱が備わっており、この広場がカグツチに至る天の道になる。

 

その広場に下り立っている大魔王の後ろに着地した人修羅は息を切らせながらこう言ってくる。

 

「そうだったな…雨となる水を矛で掻き混ぜ、土を生み出し、そして黄泉に逝った神々がいた」

 

「カグツチ塔もある意味では矛、世界を生み出すカグツチを滅ぼしたアナタは黄泉を開いたの」

 

「俺なんてマガツヒから生まれた邪悪な悪魔だというのに…イザナギ達は託してくれたんだ…」

 

互いが円環を描くようにして動き合う。

 

円環を象徴するサイファーと呼ばれる者達の手には剣が握られ、互いの命を刈り取ろうとする。

 

「ねぇ、私チャン達もイザナギ達のように夫婦になろうよ?私チャンと一つになろうよ?」

 

「お断りだ。貴様と行う国生みなど反吐が出る…悪魔の千年王国など見たくもない」

 

「だったら、私チャン達もイザナギとイザナミのように……殺し合うしかないね」

 

左手の鞘から刀を抜いて鞘を消した人修羅が腰を落としながら霞の構えを行っていく。

 

ルシファーも腰を落としながら下段の構えを行った後、互いが一気に踏み込む。

 

「「世界を変えるのは誰かを決めよう!!!」」

 

互いの斬撃、突きの応酬が始まり、一歩も譲らない剣舞を行っていく。

 

目にも止まらぬ高速斬撃の速度は魔法少女ですら肉眼で見えない程の高速戦闘なのだ。

 

斬撃が激しくぶつかり合う度に激しい衝撃波が巻き起こり、常人ならば挽き肉化する程の地獄。

 

それでも互いに一歩も譲らない剣舞をもって互いの命を終わらせようと仕掛け合う。

 

「ルシファー!貴様は曲がりなりにも人類の父と呼ばれた存在だ!なのに何故人類を滅ぼす!」

 

「全ての人類を滅ぼすつもりはないよ!私チャン達を崇拝する選民だけが生き残ればいい!!」

 

「魔法少女至上主義者と変わらない理屈をほざきやがって!!何故それ以外を認めない!!」

 

「私チャンは試す者でもある。何度も試す機会を用意した…なのに人類は変わらなかった!!」

 

右翼も左翼も関係なく、互いが互いの価値観を押し付け合い、互いの価値観で潰し合う。

 

ならばそこには弱肉強食淘汰しか生まれず、終わりのない地獄しか残らない。

 

ならばどちらかを滅ぼしてしまえば世界は統一されて平和になるのではないのかと言ってくる。

 

「人が求めるものなどエリートだろうが愚民だろうが変わらない!()()()()()()()()()()よ!」

 

ルシファーの斬撃を受け止めたまま刃を回転させ、払い込む。

 

すぐさま横薙ぎを放つが身を低めた低空後ろ回し蹴りをカウンターで浴びてしまう。

 

倒れた人修羅に目掛けて跳躍斬りを仕掛ける一撃を受け止めるが、刃が肩に食い込んでしまう。

 

おびただしい血が流れ落ちる中、大魔王は今までの落胆を吐き出すような叫びを上げてくる。

 

「人の本質は何処までも悪よ!私チャンと同じでしかない!なら…悪魔の世界がお似合いよ!」

 

「人間や魔法少女の在り方に絶望したようだな…?それでも俺は……信じてみたい!!」

 

「魔法少女達を信じないで私チャンと一緒に虐殺してきた男が…偉そうに言わないで!!」

 

肩に食い込ませた刃を持ち上げ、そのまま横薙ぎで首を跳ねようとするが上半身運動で避ける。

 

それでも片膝状態の相手に目掛けて怒りを叩きつけるように刃を打ち下ろす時、人修羅が飛ぶ。

 

横薙ぎの一撃を月面宙返りで避けつつ背後から袈裟斬りを決めるのだ。

 

「ぐぅ!!!」

 

背中からおびただしい血を流しながら前のめりに歩く大魔王に対して、疾走居合斬りを狙う。

 

振り向きざまに刃を受け止めたまま連続斬りを行い、打ち払った勢いで後ろ回し蹴りを放つ。

 

「ぐふっ!!!」

 

「くっ!!!」

 

蹴り飛ばされた大魔王であるが飛ばされる瞬間に放った横薙ぎが人修羅の体を切り裂いている。

 

胸元から血が流れ落ちていく中、痛覚すら超える程の精神力で集中していく。

 

蹴り飛ばされた相手の元にゆっくりと進んでいく中、再びメギドラダインの羽が生み出される。

 

歩法技であるエア・トリックを用いて射出される無数の羽を潜り抜ける度に集中力が増す。

 

人修羅が繰り出す斬撃の重さがどんどん増していき、受け止めきれなくなっていく。

 

堪らずワームホールを開いて消え去り、再び現れたのは空の上。

 

「スゥゥゥゥ……ハァァァァァァ……」

 

呼吸を整える人修羅に目掛けて無数のワームホールを開き、そこからメギドラダインを放つ。

 

刹那、時間が止まる。

 

人修羅は既に抜刀術の構えを行っており、刹那の瞬間で斬撃現象が起きている。

 

ドーム状で囲んでくる逃げ道無しのワームホール攻撃に対して、全弾を斬り裂いているのだ。

 

「どうしてそこまで信じられるの…?確証なんて得られない…信じ込みたい大馬鹿よぉ!!」

 

『次元斬・絶』を放ち終えた状態の人修羅に目掛けて突進していき、朧一閃を狙う。

 

「疑うのも大切だが…それが極まれば加害者にしかなりえない。俺もお前も…同じだったな」

 

超高速で迫りくる斬撃に対して刀を鞘から僅かに抜き、抜いた刃部分で斬撃を受け止める。

 

受け止めた刃が赤熱化する程の一撃を受け流し、すかさず抜刀を行う。

 

「あっ……?」

 

振り返って袈裟斬りを狙おうとした大魔王の腹部には後ろ突きが決まっている。

 

おびただしい血が腹部から流れていく中、刃を引き抜かれたことで後退っていくのだ。

 

「フッ…フフ…情熱的なまでに…人類を信じようとする。私チャンには…眩しい姿だよ…」

 

魔剣明星を落としてしまったルシファーは腹部を抑え込みながらも微笑みを浮かべている。

 

「ルシファー…お前は地に堕ちた時間が長過ぎたせいで…人間に対して視野狭窄になったんだ」

 

「だったら私チャンも…天辺を超えて天に昇れば…人間の在り方の本質が見えるのかな…?」

 

「共に天に昇ろう、ルシファー。俺達が地上で出来ることなど…()()()()()()()()()()()()()

 

「フッ……それもいいかもね。だけどね、この試練を乗り越える力を示せたらだよ」

 

傷ついた体を回復させる事も忘れる程にまで熱い戦いに浸っていたい両者だが、それも終わる。

 

抑え込んだ腹部の手を除けて構えるルシファーに対し、人修羅も将門の刀を消して構えていく。

 

両者が同じ構えを見せた時、互いが極限の魔力を大地に流し込んでいく。

 

残された大地となったカグツチ塔が超巨大な地震によって砕けていく程の力が溢れ出す。

 

両者が持ち上げていく両腕が頭上に掲げられた時、互いが両腕を一気に振り下ろすのだ。

 

<<ジャッ!!!!!>>

 

刹那の刻、それは起こる。

 

互いが放った極大の一撃とは同じ地母の晩餐であり、宇宙を砕く程の力が二つ同時に炸裂する。

 

眩い光のエネルギーが混沌の闇の世界に広がっていき、暫くすると静寂の闇だけが残った。

 

────────────────────────────────

 

原初の混沌マロガレ空間となった人修羅の精神世界。

 

そこに生み出されたのは見渡す限り広がる赤黒い光の海。

 

マガツヒの海であり、マロガレの海を僅かに照らすのは天に輝く禍津星。

 

皆既月食のように黒くなった太陽が浮かんでおり、黒い太陽が血のように赤い光を放つ。

 

ブラック・サンであり、ブラッド・ムーンのような光景であり、ヨハネの黙示録を表す。

 

ヨハネの黙示録 第6章。

 

小羊が第6の封印を解いた時、大地震が起こり、 太陽は毛織の荒布のように黒くなる。

 

月は全面血のようになる。

 

天の星はいちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。

 

<<……見事だ。流石は黒き太陽となる我らの人修羅だ>>

 

血の池地獄のようなマガツヒの海からせり上がってくるのは超巨大な二体の暗黒体。

 

片方は醜悪な姿に堕とされた大魔王ルシファーであり、もう片方は原天使サタンの姿。

 

互いが暗黒体となり、最後の決着をつけに現れたのだろう。

 

<<私を倒せるか?ローマ帝国とローマ・カトリックを堕落させ、腐敗帝国を築いた私をな>>

 

<<やってやる…腐敗帝国としてローマを語ってきたのなら…悪魔の皇帝が帝国を終わらす>>

 

ルシファーが巨大な両手を持ち上げながら両手を交差させて生み出すのは双頭の鷲サイン。

 

左右の手の甲を交差させ、左右の親指を鷲や竜の頭として用いたハンドサインなのだ。

 

目の前に屹立する存在こそが赤き旗に描かれた双頭の竜であり、雌雄を決する時がくる。

 

<<()()()()()()()()()()()()()()()()。いずれは狐に食い殺され…滅びるべき存在なんだ>>

 

甲に杭が突き刺さった右手を持ち上げていき、形作るハンドサインとは()()()()()()()()()

 

中指と薬指と親指をくっつけるキツネサインであり、蛇は狐に狩られるべきだと示す。

 

()()()()()()()()となるのが葛葉一族のようなサマナーであり、時女一族のような魔法少女。

 

そう在るべきだとサタンが示した後、互いが全力を使い果たす程の最後の一撃を放つのだ。

 

<<狐に喰われる前に自分の心配をするのだな。蛇は蛇を喰らう共食い生物でもあるぞ>>

 

<<人類同士が互いを蹴落とす資本主義帝国を仕切った俺達だ…()()()()()()()()()()>>

 

蠱毒と呼ばれる呪術を完成させるために壺の暗い内側世界で蛇同士を共食いさせる。

 

そんな暗闇世界に佇む存在達が極大の一撃を放つ程の構えを行っていく。

 

<<私は天に上り、王座を神の星より高く据え、神々の集う北の果ての山に座す……>>

 

両腕と翼を抱え込んだルシファーが放つのは『初めに闇ありき』であり、時空を消滅させる。

 

迎え撃つサタンが放つのはメギドアークであり、両手を胸の前で広げながら消滅の光を生む。

 

両手を用いて極大の消滅光を圧縮し、極限の消滅光を片手に収束させた一撃を放つ。

 

<<雲の頂に登って…いと高き者のようになろう。終わらせようぜ…ルシファーーッッ!!>>

 

刹那、世界が制止する。

 

古めかしい映像機が映し出す白黒世界のような景色の世界でメギドアークが放たれる。

 

際限なく広がる消滅放射に対して、全身を抱え込んだルシファーが時空を消滅させる光を放つ。

 

互いの極限がぶつかり合った事で互いの暗黒体が消滅していく。

 

残されたのは混沌の静寂だけであるのだが、消滅した互いの暗黒体が光の粒子を残している。

 

それらは螺旋を描くようにしながら黒い太陽へと昇っていく。

 

その光景はまるで二匹の蛇が交尾をするような景色であり、神社のしめ縄を連想させる。

 

そして人間の遺伝子の配列にも見え、()()()D()N()A()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……………。

 

「ぐっ……がっ……あぁ……ッッ!!!」

 

玉座から立ち上がった大魔王が藻掻き苦しみながらふらつき、玉座の階段から転げ落ちる。

 

夢の中での死は精神の死であり、肉体を構成する本体にも死の影響を与えてしまうのだ。

 

そんな時、多神教連合勢力が繰り返すゲリラ活動の報告を行いに来た堕天使達が現れる。

 

「そ……そ……そんな……」

 

「バ……バカな……こんな光景が……あろうはずがない!!!」

 

血相変えた表情のままゴモリーとビフロンスが倒れ込んだ大魔王の元に駆け寄っていく。

 

俯けに倒れ込んだルシファーの体を構成するMAGが溢れていき、ついには砕け散る。

 

「「閣下ァァァァーーーーッッ!!!」」

 

極大のMAGが均衡の城から溢れ出す光景を前にしたゴモリーとビフロンスの膝が崩れる。

 

一方、慈悲の城の玉座においては座り込んだ人修羅が刀の頭に両手を置きながら息を切らす。

 

「ハァ!!ハァ!!ハァ…ッッ!!俺の勝ちだ…俺の中で…永遠に生き続けるがいい…」

 

溢れ出すルシファーのMAGが慈悲の城に集まっていき、人修羅の体に取り込まれていく。

 

瘦せ細った体がみるみる回復していく光景こそ、大魔王の血肉を糧にする現象そのものだ。

 

ついに新たなルシファーとして完成してしまった男が立ち上がり、同士達に視線を向ける。

 

玉座を見上げる者達とはアスラ王とアタバク、そして十二神将、ベルゼブブやアスモデウス。

 

それに十七夜や織莉子やリズ、里見太助に擬態した男やニュクス、ケルベロスもいてくれる。

 

モイライ三姉妹やクレオパトラ、マンセマットやミトラス、モトやオルクスも勢揃いするのだ。

 

「みんな…待たせたな。俺達はいよいよフェーズ4に移る…金融支配に()を与える時がきた」

 

「ついに黙示録の戦いが始まるか。我らはいつでも戦えるぞ」

 

「6番目のラッパを吹くトランぺッターとなるのはこの俺だ。さぁ…悪魔として荒々しく戦え」

 

――光と闇の最終戦争を始めようか。

 




デビルサバイバーでトラウマとなった閣下のメギドラダインなマップ兵器は思い出深かったので使ってみました(汗)
魔剣明星はボクは遊んだことないんですけどD2メガテンで実装されてるようなので使ってみましたね。
これでラストバトルに移るお膳立ても終わりましたので、後は全ての勢力とケリをつけたら拙作は終了となります。
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