人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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光と闇の最終戦争編
349話 トロイの木馬戦


大魔王ルシファー急死の急報がバベルの塔を駆け巡るよりも先に動いたのは反乱軍である。

 

彼らはバベルの塔の主要施設を急いで制圧するために風の如く進軍していく。

 

大軍を率いる人修羅が吹き鳴らすのは軍隊で用いられる軍隊ラッパである。

 

周りは宇宙空間だが城の内部は音が響き渡るため、峻厳の城に届く程の高さで鳴り響く。

 

「まさか……ルシファーの奴め……しくじったのかぁ!!?」

 

峻厳の城にある巨大な牛頭神の玉座に座っていたバアル神が叫びながら立ち上がる。

 

おぞましい子供の殺戮彫刻が並んだ玉座にまで進軍ラッパが聞こえたために号令の念話を送る。

 

<<バベルの塔に所属する全悪魔に告ぐ!大魔王が討ち取られた!謀反の軍勢を迎え撃て!>>

 

バアル神の念話が届いた悪魔達が驚愕と絶望に支配され、殆どの者達が狼狽えていく。

 

「迎撃態勢を整えさせる暇など与えはしない……このままバベルを一気に攻め落とすぞ!!」

 

赤き旗を掲げる武将となった人修羅は山の如く耐え、林の如く波風を立てない作戦を堪えきる。

 

そして好機をものにしたなら風の如く動き、火の如く暴れて制圧する戦争を実行させていく。

 

風林火山となった反乱軍は駆け抜けていき、クリフォトの1Iを司るバチカルが戦場と化す。

 

「行くぞケルベロス!!ルシファーの死は悪魔共に伝わったようだ!ここが正念場だぞ!!」

 

「心得テイル!!コノ勝機……逃ス手ハアルマイ!!」

 

敵が残す総大将となるのはバアルであり、峻厳の城を目指すのは人修羅とケルベロス。

 

ケルベロスに跨った人修羅はスーツ姿のまま敵陣を駆けていき、竜の肩マントがなびいていく。

 

彼の右手にはタルトから託された槍が握られており、ジャンヌ・ダルクの旗槍が戦場を駆ける。

 

広がっている旗とは革命を表す赤旗であり、三つ巴紋が風で揺れ動く勇ましさを見せる。

 

彼の後ろにはアスラ神族の兵士達ともいえるヤクシャ達が勢揃いし、神将達が率いていく。

 

武将の鎧を身に纏うヤクシャ達の背中には指物の旗が備わっており、赤き戦国旗を背負うのだ。

 

「御大将に続けぇ!!今こそ修羅としての我らの戦を見せる時ぞぉ!!」

 

「この時を我らアスラは煮え湯を飲みながらも耐え抜き…屈辱を晴らす日を望んできた!!」

 

「我らは仏法の守護神であり、正義を司る神々!悪神に堕とされようと…その矜持を果たす!」

 

「悪しきカナン族の帝釈天となるバアルを今こそ討ち果たそうぞ!我らの武勇はここにあり!」

 

魔神アタバク、神将ヴィカラーラ、神将チャツラ、神将シンドゥーラもヤクシャ達と共に続く。

 

魔界に生息する血のように赤い馬に乗った修羅の軍勢が峻厳の城に至る城壁通路を駆け抜ける。

 

<<は……反乱軍だぁぁぁ!!?混沌王が乱心なされたぞぉぉぉーーッッ!!!>>

 

城壁内部の悪魔達が大慌てで戦おうとするが奇襲を受けたために浮足立っている。

 

「邪魔だぁぁぁぁぁーーーーッッ!!!」

 

先頭を走るケルベロスの口から業火が噴き上がり、ファイアブレスで薙ぎ払う。

 

同時に地獄の業火も放たれていき、城壁要塞内部が火の海となっていく。

 

業火の世界を駆け抜ける赤い馬に乗った修羅達もその手に持つ武器を振るいながら悪魔を殺す。

 

その光景はまるで地獄からやってきたヘルズエンジェルの群れの如き荒々しさにも見えよう。

 

赤い馬こそ黙示録の四騎士の一体であったレッドライダーを象徴する軍馬。

 

それと同じ馬に乗った軍勢を引き連れ、赤い旗を振るう人修羅こそがレッドライダーなのだ。

 

「たとえ混沌王が相手であろうと…ここは通さん!私はバアル様より門番を任された者だ!!」

 

要塞城壁と峻厳の城を繋ぐ機械仕掛けの巨大門の前に立つのはゴエティアに載る堕天使の一体。

 

【バルバトス】

 

ソロモン72柱魔神の一柱であり、30の軍団を率いる地獄の公爵または伯爵である。

 

召喚時には狩人の姿で現れ、命じられれば鉄兜を被り弓矢を持った鷲顔の姿に化けるという。

 

絶望・残酷・無慈悲・悪意・苦難・損失を司る元力天使であり、恐ろしい狩人悪魔であった。

 

<<ここはバアル様の聖域なり!!我らが武勇をバアル様に示す時ぞ!!>>

 

バルバトスと共に並ぶのは峻厳の城を警備する悪魔達であり、その数は膨大だ。

 

二本角が伸びたつば広帽子を纏う貴族風のバルバトスは周囲に浮かべる四つのラッパを操る。

 

迎撃の号令を吹き鳴らす彼が悪魔の両翼を広げた瞬間、地面に猟銃めいたマスケット銃が並ぶ。

 

迫りくる大軍勢に対して膨大なマスケット銃を宙に浮かべながら一斉射撃を狙うのだ。

 

「フッ…マミと同じくマスケット銃使いか?どちらの実力が上なのか…俺が試してやろう!!」

 

超能力魔法を用いて広がった赤旗を槍に巻き付けていき、背中の上に立ちながら跳躍。

 

ケルベロスの上から飛んできた人修羅が旗槍を振りかぶりながら横薙ぎを放つ。

 

ヒートウェイブの衝撃波が放たれた無限の魔弾ごと防衛部隊を飲み込み、乱戦と化すのだ。

 

一方、慈悲の城から出撃した別の部隊は城主を失った均衡の城に目掛けて突撃していく。

 

「大魔王が破れた時点でCHAOS勢力の均衡は崩れた!後は…誰が勝ち残る者となるかだ!!」

 

赤い馬に乗った僧兵姿のアスラ王は三又の宝戟を振り回しながら行く手を遮る悪魔共を屠る。

 

神将マクラ、神将パジラ、神将インダラも赤い馬に乗りながら法具の武器を振り回す。

 

赤い馬の上空を飛ぶのは黒と白の蝙蝠の群れであり、十七夜と織莉子も均衡の城を目指す。

 

ヤクシャの軍勢を引き連れたアスラ王の部隊であるが、前方空間の異変を察知。

 

「あれはまさか……いかん!!」

 

前方空間の地面に広がる巨大な闇の湖とは魔王アルシエルが用いる闇の牢獄。

 

均衡の城の門番となっていたアルシエルに対して馬の上で立ち上がったアスラ王が跳躍する。

 

闇の湖に飛び込んだ後、眩い日輪の光が闇を消滅させていき、後続部隊を守ってくれるのだ。

 

<ここは我に任せよ!!汝らは均衡の城を攻め落とせ!!我も後から続こう!!>

 

<<了解!!!>>

 

アスラ王を信じる神将達が駆け抜けていき、均衡の城の門を守る悪魔達と激しくぶつかり合う。

 

そして闇の底では眩い日輪の輝きを全身から発する巨大なアスラ王が屹立するのだ。

 

「ヌォォォォーーッッ!!なんという眩い存在か!?我の闇を斬り裂く日輪に呪い在れぇ!!」

 

暗黒体となったルシファーやサタンと並び立つ程の巨大なアスラ王が合掌していく。

 

「帝釈天となる唯一神に敗れ、悪にされようと我はアフラ・マズダ!現世と未来を築く神!!」

 

背中の四本腕が広がっていき、背中に浮かぶ日輪の後光の光が苛烈な輝きを生みだしていく。

 

「闘神アスラ王として武勇を示そう!正義とは悪を持って悪を討ち滅ぼす…矛盾の道なり!!」

 

「黙れ裏切り者め!!逆賊に相応しい罰を我が与えてくれる…日輪を闇で覆い尽くそうぞ!!」

 

闇の中から巨大な頭部がせり上がりながら放つのは冥界波の一撃。

 

天魔となるアスラ王が全身から放つのは『天魔撃砕』であり、極大の鍔迫り合い現象と化す。

 

闇の奔流と光の奔流が収まった時、前方空間からせり出してくるのは超巨大な上半身。

 

本気となったアルシエルは頭部だけでなく上半身まで闇の中から持ち上げ、拳を振り上げる。

 

アスラ王よりも巨大なアルシエルが放つ『メガトンプレス』に対して背中の腕を振りかぶる。

 

右側の背中に生えた二対の腕が拳を固めて放つ『成仏拳』が巨大な拳とぶつかり合うのだ。

 

「「オオオォォォォォーーーーッッ!!!」」

 

一歩も譲らない死闘を繰り返す魔王達にも負けない程の苛烈な戦いを繰り返す部隊もいる。

 

<<怯むな!!前進あるのみぞ!!>>

 

トライアングルを形成するケテル城の中央にはプロビデンスの目を構築する神殿が存在する。

 

ピラミッド神殿を載せる台座となるエリアは城壁で繋がっており、激しい攻防戦を生み出す。

 

迎撃装置であるビームタレットや機関砲サイズのタレット弾幕内を突き進むのは修羅の軍勢。

 

神将サンティラ、神将マジラ、神将アンティラ、神将ミヒラ、神将ヴァジラ、神将クンビーラ。

 

六体の神将達を率いるのは猛将となる造魔リズ・ホークウッドであり、次々と魔法攻撃を放つ。

 

「この先こそバベルと世界の金融街を繋ぐ巨大ネットワーク神殿があるわ!臆せず進め!!」

 

大楯を構えながら激しい弾幕を受け止めるヤクシャ軍勢の後方から次々と魔法攻撃が飛ぶ。

 

迎撃タレット群を突破した修羅の軍勢の間を歩きながら門の前に進み出るのはリズの姿。

 

彼女に預けられているのはサタンの権威の象徴である山羊頭の杖。

 

巨大門を開閉するための装置に杖を差し込むと山羊飾りの目が赤く光り、門が開いていく。

 

この神域にアクセス出来る資格があるのは666の魔王達と神殿の守護を担う悪魔のみ。

 

内部の迎撃部隊と激しい攻防戦を繰り返す修羅の軍勢を最後尾から見守るのは車椅子の人間。

 

激しい戦いによって眼鏡が光を反射する中、指で眼鏡を押し上げながらこう語ってくる。

 

「この神殿から世界の金融街に向けてウイルスを流し込めれば僕達が優勢となる。頼んだぞ」

 

一方、慈悲の城にあるエレベーターから降下していくのはニュクスとクレオパトラ達である。

 

「この巨大な塔の制御区画はルキフグスが支配するクリフォトよ。そこを攻め落とすわ」

 

「我々の武力蜂起は多神教連合にも伝えているの。そのために塔の制御を掌握する必要がある」

 

「この塔を囲む形で張り巡らせた障壁を解放する必要があるのね?内から城門を開けるように」

 

「まるでギリシャ神話に取り入れられたトロイア戦争の光景よ…ゼウス様はどう思うかしら?」

 

「あの頃の彼は人類を間引くことに同意した危険な主神よ…内心はどう考えてるのかしらね…」

 

「分からないわ…望みは啓明結社と同じでも、ゼウス様は自分で人類を間引きたいのかもね…」

 

「それこそ神のみぞ知る領域よ。私達は私達の最善を尽くしましょう」

 

「話は終わったか?」

 

後ろから声をかけてくる巨漢の魔王達に振り向けばベルゼブブとアスモデウスが立っている。

 

「我のクリフォトに待機させていた死蠅の軍勢は既にルキフグスの領域に攻め込んでいる」

 

「我も同じく上のクリフォトを攻め落とす軍勢に号令をかけている。3Iと4Iを攻め落とすぞ」

 

「ルキフグスとイナンナの領域は上下のクリフォト軍勢に挟まれたも同然ね。頼りにしてるわ」

 

「背後を突かれないようオルクスを用いた空間移動で攻め込んだ者達もいる。遅れはとらんぞ」

 

それぞれが風の如く移動し、炎のように燃え広がる戦争をバベルの塔で行っていく。

 

大魔王の急死の知らせを受けた悪魔達は満足に反撃を行う余裕もなく殲滅されるのだった。

 

────────────────────────────────

 

「……人修羅はついに動いたみたいだヨネ」

 

大魔王急死の知らせを念話で聞いたアリナはイナンナとして不気味な笑みを浮かべていく。

 

執務机の前にいるのは震え抜く仲魔がいたり、不動の構えで戦う意思を示す仲魔もいる。

 

「どうする気ですかぁ!?天使軍が迫ってる時に身内の謀反が起こるだなんて最悪ですぞ!?」

 

「閣下が討ち取られたのなら…謀反を起こしたのは混沌王で間違いあるまい!許されんぞぉ!」

 

「アティス、デカラビア、クールダウンして欲しいんですケド?これは逆に利用出来るカラ」

 

イナンナは均衡を司るルシファーから抑圧されたために魔王ほむらを見逃す羽目になっている。

 

楔となった大魔王が死んだのなら今こそ魔王ほむらを滅ぼすべきだと言うのだ。

 

「なな…何を考えてらっしゃるのですかぁ!?我々は団結しなければならない時期なのに!?」

 

「アリナはあの女デビルに死んで欲しいワケ。決着をつけないまま背中を取られるのは嫌だし」

 

「冷静になるのは貴様の方だぞイナンナ!そんな勝手をすれば我らも逆賊扱いになるのだ!!」

 

「コワードアイスな連中だヨネ……パズスはどう思うワケ?」

 

ライオンに擬態しながら執務机の横でイナンナを守る聖獣を務めるパズスに振り向く。

 

彼もまたデカラビア達と同じ意見を返してきたため、両手をオーバーに上げてしまうようだ。

 

「迷っている暇など反乱軍は与えてくれない…下のクリフォトから多くの魔力が迫っている」

 

「5Iのクリフォトであるアクゼリュスのアスモデウス殿まで反乱に加わってるのですか!?」

 

「フッ、面白くなってきたんですケド。アリナは連中を蹴散らした後、下に向かうカラ」

 

「ええい…こうなったら破れかぶれだ!!アリナの背中に我も続くぞぉ!!」

 

「ママン!?ボクを置いていかないでよ…ママン!!」

 

「シャラップ!!追い詰められたら泣きべそかいて縋りつくチャイルドは必要ないカラ!!」

 

全員が悪魔化して4Iのアディシェスの庭に下り立てば既に多くの軍勢が城に迫っている。

 

「この庭ごとブレイクしてやる。アートをブレイクしていいのはアーティストだけだカラ!!」

 

宙に浮いたアリナの背中に浮かぶのはエンキの権威であるメーの円環を司る光輪。

 

眩い啓蒙の光を発した後、右手の指を盛大に鳴らす。

 

アリナのアトリエであるアディシェスの軍勢も動き、サイケデリックな樹木悪魔が屹立する。

 

【アールキング】

 

ドイツ南西部に広がる黒い森に自生する榛の木の王という意味の名を持つ樹木の魔王。

 

森に訪れた人間を巧みに惑わしては破滅へと導くとされ、その描写は音楽でも表現される。

 

ゲーテ作詞、シューベルト作曲の魔王で演奏され、デンマークの民衆バラードが起源であった。

 

「アリナ様の庭の管理を任されているこのアールキングの領域に踏み入るか…反乱軍めぇ!!」

 

黒い色をした枯れ木で構築された巨大な樹木魔王が右手の杖を振るえばアトリエ軍勢が動く。

 

アリナのアトリエである不気味な森には多くの妖樹悪魔が控えており、反乱軍に襲い掛かる。

 

アティスやデカラビア、それにパズスも迎撃に加わるがアリナは怪訝な表情を浮かべてしまう。

 

「残酷を司るクリフォトのアーミー共はハンパない戦い方だヨネ。だけどリーダーは何処?」

 

<<我ならここだぞ>>

 

恐ろしい念話に反応したアリナが上空に振り向く。

 

超高速で迫ってくるのは赤い骨で編まれた甲冑武者の姿をしたアスモデウス。

 

両手に持つのは血塗られた魔剣であり、振りかぶりながら放つ一撃に対してアリナが動く。

 

「クッ!!?」

 

宙に浮かびながら側転を行い、袈裟斬りを避けると同時に浴びせ蹴りを放つ。

 

顔を蹴りつけられたアスモデウスが急降下しながら地面に叩きつけられ、クレーターが出来る。

 

土煙が上がる近くにまで下りてくるアリナに対して果敢にも接近戦を仕掛けていく。

 

アリナの強力な悪魔耐性は聞かされており、有効打を狙うには物理攻撃か万能攻撃だけなのだ。

 

次々と繰り出される一撃を避け、放つ全体魔法攻撃に対してアスモデウスはメギドラを放つ。

 

クリフォトの空が激しい閃光を生み出しながらもアリナとアスモデウスが互いに叫んでいく。

 

「七つの大罪では色欲の魔王のくせに、義侠心でも芽生えたワケ?笑える話なんですケドォ!」

 

「新たな長となるルシファー陛下はCHAOSに変革をもたらす者…ならば我も変化しようぞ!」

 

「ルシファーを倒したからって人修羅がニュールシファーになれるかは分からない話だヨネ?」

 

「無論それを決めるのは周囲の者の役目…ならば我は断言しよう、彼こそが新たな大魔王だ!」

 

「そこまで惚れ込んだワケ?まぁ、気持ちは分かるんですケド。それでこそヨスガだヨネ!!」

 

アリナと千晶が求めるヨスガ思想とは完全なる弱肉強食であり、堕落の官僚主義などではない。

 

魔王が群れながら手下の悪魔や拝金主義者共と享楽と堕落を楽しみ続ける在り方を否定する。

 

徹底した闘争社会を築き上げ、激しい争いと淘汰の世界で勝ち上がった者こそがヨスガの王。

 

ならば唯一神だけでなく大魔王やバアル神さえも超えたいと望むアリナは狂気の思想家なのだ。

 

「そこまでの思想を求めるならばイナンナよ!我らの側につけ!混沌王殿も受け入れるはず!」

 

「馴れ合いはノーサンキュー!どっちの陣営に組したってね…最後は潰し合うだけだカラ!!」

 

激しい戦局となっているのは下のクリフォト領域も同じであり、多くの悪魔達が潰し合う。

 

「ヌゥゥゥゥゥ!!モトよ!貴様はいつの間にバベルの内部に入り込んでいたのだぁ!!?」

 

ベルフェゴールが支配するクリフォトであるカイツールに現れたのは魔王モトの巨体である。

 

迎え撃つベルフェゴールは悪魔化しており、巨大トイレを玉座にして座る独特な姿のようだ。

 

「…刻まれたモロクの肉片より生まれし魔王よ、我の望みは分かっておろう?」

 

「バアルであるモロク殿が築いたカナンの王権を滅ぼすつもりか!?流石は不毛の神だな!!」

 

「不毛はどちらなのだ?極悪なカナン族を守護しながら崇拝される奴か?それとも我なのか?」

 

「黙れ!性的凶宴こそ豊穣なのだ!ゴイムのガキをいくら殺そうとカナン人が増えれば良い!」

 

「貴様らこそ不毛(モト)だ。カナンの神をすり替えで悪魔にされても自分達のすり替えは良いとくる」

 

卑劣極まるダブルスタンダードを振りかざすカナン族とカナンの神々に対して憤怒を燃やす。

 

金色の巨大石棺が開いていき、冥府の闇が広がっていく。

 

極限の闇の中から僅かに見えるのはモトの赤い眼光であり、怒りの魔法を行使する。

 

「こ…こ…この力は…まさかぁ!!?」

 

モトが行使したのは『獣の眼光』であり、竜の眼光と同じく連続魔法を行使する効果を生む。

 

それを用いて連続マカカジャをかけていき、魔法威力を一瞬で最大にまで高めていく。

 

伸ばした左手には既にメギドラオンの消滅光が生み出されており、ベルフェゴールは恐怖する。

 

()()()()()()()()()()()()()。さぁ……死の劇場を始めようか!!」

 

「や…や……やめろぉぉぉぉーーーッッ!!!」

 

ベルフェゴールもメギドラオンを放つがマカカジャで強化されたメギドラオンが競り勝つ。

 

最大威力のメギドラオンによって体を削られるベルフェゴールに対して、さらに獣の眼光。

 

巨大トイレに座るベルフェゴールは死ぬまで連続メギドラオンを放たれた後、死亡するのだ。

 

バアルの眷属となるのは下のクリフォトである色欲のツァーカブの支配者であるバエルも同じ。

 

モトの代わりに殲滅に来たのはミトラスとオルクスであり、巨大魔王を相手に激戦を繰り返す。

 

「不心得者共がぁ!!我こそバエル!バアル神より生み出された魔王なるぞ!!」

 

オルクスよりも巨大な姿をしたバエルは巨大な老人と猫とヒキガエルの頭部を持つ醜い姿。

 

それらを支えるのが巨大な蜘蛛の体であり、見る者に生理的嫌悪感を与える魔王である。

 

「バアルという権威を振りかざさなければ威張ることも出来ん小者魔王が何を粋がる?」

 

「然り。所詮貴様はバアル神モロクの肉片から生まれた悪魔…今度は肉片一つ残さず滅ぼそう」

 

「バアルの末路は世界を最初に支配し、バベルを建築した二ムロデと同じく細切れが相応しい」

 

「この無礼者共がぁぁぁぁ!!バアルと二ムロデの名を貶める者には天罰をくれてやろう!!」

 

バエルが邪悪な眼光を放った瞬間、巨大なオルクスに異変が生じる。

 

「こ……この姿はなんだぁ!!?」

 

あろうことかオルクスの姿が小さな蠅に変えられてしまっている。

 

『バエルの呪い』を浴びてしまえば最後、どんな道具や魔法でも回復させる事が出来ない。

 

ヨスガを掲げた千晶のバアル・アバターも得意とした呪い魔法によって窮地に立たされる。

 

「くたばるがいい!!!」

 

猫とヒキガエルの頭部が雄叫びを上げれば空の上からマハジオダインが降り注ぐ。

 

「グアァァァァーーーッッ!!!」

 

小さな蠅に変えられてしまったオルクスは抵抗する力もなく焼き尽くされ、MAGの光と化す。

 

しかしミトラスの姿が何処にも見えず、周囲に視線を向けていた時、それは落ちてくるのだ。

 

「な…なんだとぉ!!?」

 

オルクスにバエルの呪いを放つために頭部を向けていた一瞬の隙をついて上空に飛んでいる。

 

12星座の記号が刻まれた岩から伸び出る上半身を岩の中に収納し、自らを隕石とするのだ。

 

<<オルクスの無念は我が晴らしてみせようぞ!!>>

 

巨大に燃え上がった炎の隕石が無数に落ちてくる魔法とは、かつてのスルトが得意とした一撃。

 

ラグナロクが放たれたことで巨大な隕石と化したミトラスの一撃がバエルに直撃する。

 

「ギャァァァァァーーッッ!!?」

 

『火炎ギガプレロマ』によって炎威力が強化された一撃に焼かれていくバエル。

 

猫とヒキガエルの頭部が潰された背中に乗る隕石の中からミトラスの上半身がせり出していく。

 

「牡牛のバアルに連なる邪悪な魔王め!我こそミトラス…牛の魔王と戦う太陽神なり!!」

 

両腕を掲げながら放つのはマハラギバリオンであり、敵全体に特大威力の火炎魔法を放つ。

 

背中の上で放たれた極大の炎魔法によってバエルの体が燃え尽きてしまい、MAGの光と化す。

 

「オルクスよ…我はまだ魔界には逝けん。人修羅殿がバアルを倒すのを見届けるまではな…」

 

燃え上がるバエルのクリフォトから移動したミトラスは他の軍勢に合流するために急いでいく。

 

そんな中、単独行動を行うのは魔王マステマを演じてきた天使マンセマットである。

 

彼が進軍したのは8Iを司るクリフォトであるケムダーであり、アドラメレクの命を狙う。

 

「我らは大魔王閣下の無念を晴らす鎮魂の軍勢である!!皆の者!反乱軍に死を与えよ!!」

 

城主の趣向が籠った奇怪な城のバルコニーから号令をかける城主の前には大量の軍勢が控える。

 

これから上に昇っていき、反乱軍を鎮圧するために動こうとするのだが不意打ちを浴びるのだ。

 

<<グワァァァァァーーーーッッ!!?>>

 

アドラメレクの軍勢を覆う程の光が溢れ出し、周囲に舞う一枚一枚が聖書のページである。

 

眩い浄化の光によって放たれるのは『マハンマバリオン』であり、聖なる光が軍勢を焼き払う。

 

殆どの悪魔が即死する程の力の顕現に恐怖するアドラメレクは孔雀の羽を広げながら飛ぶ。

 

上空から下りてくるのは白いスーツを纏い、黄金の仮面を身に纏う黒髪のマステマである。

 

「マステマ殿…貴殿まで反乱軍に組するのですか!?古代よりカナン人を導いた御方なのに!」

 

「…私はこの日を待ちわびてきたのですよ、アドラメレク。堕落の悪魔共に報復する日をね!」

 

背中から黒き翼を生み出して体を覆った瞬間、眩い光を発したためにアドラメレクが目を瞑る。

 

開けた目が目にした存在こそ、敵意の天使と呼ばれる大天使マンセマットの姿なのだ。

 

「閣下は貴様を信用しなかった…黒の貴族となるまでカナン人を導いた貴様は…天使なのか!」

 

水泳用の黒いロングパンツのようなズボンの上に着てるのは白いローブを衣服のように纏う姿。

 

背中には黒き翼と天使の後光となる光輪が備わっており、顔には金色の四角い仮面を纏う。

 

天使ではあるが見た目は邪悪であり、不気味さを周囲に与えるが彼の邪悪さは心の内側にある。

 

「如何にも。主に嘆願して堕落と腐敗のカナン族を私が導いた理由とはね…宇宙のためですよ」

 

「宇宙のためにカナン族を黒の貴族になるまで導き…あえて世界を金融支配させたのか!?」

 

「邪悪なカナン族の末裔が世界を牛耳ったなら世界は絶望の坩堝と化す。それが宇宙を温める」

 

「ならば貴様は世界に絶望を撒く種を用意したのか!?宇宙の贄となる魔法少女を生む為に!」

 

「そのために私はカナン族を利用した。彼らは資本主義で絶望を完成させてくれたのですよ」

 

資本主義の名の元に世界は金融支配され、金融資本が全ての国々で理不尽な格差と戦争を生む。

 

日本もその生贄となり、政官財が結託して働く悪行によって国内生産と国民生活は地獄となる。

 

多くの労働者が世界の理不尽に絶望し、自殺していく人々の中で魔法少女の可能性が生まれる。

 

それを獲物とするのが契約の天使であるインキュベーターであり、魔法少女を誕生させていく。

 

インキュベーターの仕事をアシストする世界の土台を築いた者こそがマンセマットだった。

 

()()()()使()()!!閣下が貴様を信用しなかった理由も分かるが…何ゆえ裁かなかった!?」

 

「その理由とはね…大魔王ルシファーもまた主に支配された天使に過ぎないということですよ」

 

マンセマットと同じくルシファーもまた天使であり、宇宙の熱エネルギー回収の役目を果たす。

 

彼もまたカナン族に堕天使の血を与えてネフィリムを生み出し、この世に悪魔崇拝を生み出す。

 

カナン族はフェニキア人となり、黒の貴族となり、国際金融資本家となり、金融大帝国を築く。

 

導いた者達は秘密結社イルミナティを生み、世界の羅針盤となるまで啓蒙の光で導いてくれる。

 

サード・インパクトが起きて世界が魔界化しようとも、ルシファーは悪魔共に自由を与えた者。

 

魔法少女達を喰らい、魔法少女に殺されて宇宙の熱となる末路になろうと黙認した者なのだ。

 

それを聞かされたアドラメレクの体が震え抜き、驚愕と悔しさで顔が酷く歪んでしまう。

 

「我々悪魔は天使に踊らされていただけだったのか…天使に操られるマヌケだったのかぁ!!」

 

「その通りですよ、全ては主の掌の上での出来事です。悪魔も魔法少女も操り人形に過ぎない」

 

「貴様ァァァァーーーーッッ!!!」

 

激怒したアドラメレクの体から膨大な魔力が噴き上がり、巨大な焼きごてを頭上に生む。

 

両手で焼きごてを掴んだ彼が力任せにそれを振り上げ、超高速で迫ってくる。

 

彼の怒りが燃え上がる程の焼きごて攻撃に対して、マンセマットは両手を天に掲げていく。

 

「我が光の主の名において……邪悪よ!!壊せよ!!!」

 

背中に浮かんだ後光が眩い光を生みだし、右手に光が収束していく。

 

マンセマットも超高速で迫っていき、先に決まった一撃とはマンセマットの握撃(あくげき)の一撃。

 

「ヌォォォォーーーーッッ!!?」

 

ラバ頭の頭部を掴まれたアドラメレクが激しく地面に叩きつけられ、巨大クレーターを生む。

 

「ムォ!!ムォ!!ムォォォォォーーーーッッ!!!」

 

独特な掛け声を用いて力を込めれば光の円環が巨大クレーター内部で螺旋現象を生み出す。

 

次の瞬間には大爆発を起こし、アドラメレクは木端微塵となりながらMAGの光と化す。

 

『滾るマステマ』によって残っていた悪魔ごとクリフォトが崩壊する中、甲高い高笑いが響く。

 

「ヒャーハッハッハァ!!ここまで上手くいくとはな…悪魔も魔法少女も大マヌケ共だぁ!!」

 

誰もいなくなったクリフォト内でついにマンセマットがペ天使としての邪悪な本性を表す。

 

「所詮人修羅もマヌケな人間!操られるしか能のない土人形!マヌケ共がCHAOSを滅ぼす!」

 

気が遠くなる程の長い年月を用いた潜入工作、そしてCHAOS勢力の分断と崩壊に導いた手柄。

 

これだけの成果を持って唯一神の元に帰還すれば相応の褒美が待っていると高笑いしていく。

 

「これで俺は天使を超えられる恩恵を得られるのだ!ミカエル共にデカイ顔などもうさせん!」

 

天使でありながらも私利私欲に塗れた存在こそが敵意の天使マンセマットである。

 

これ以上の工作は必要ないと判断した彼は人修羅達をゴミとして捨て去るように消えていく。

 

マンセマットが消えたバベルは激しい戦いを繰り返すのだが、彼にはもうどうでも良かった。

 




ようやくペ天使をペ天使として描けるまで書き進められて大満足です。
まどマギのペ天使とメガテンのペ天使は描いていてとても楽しいんですよね。
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