人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
均衡の城では反乱軍を相手に抵抗を続ける悪魔達が城の制圧を阻む戦いを繰り返す。
織莉子の相手である堕天使ゴモリーは広い回廊内をラクダで疾走しながら魔法を放ち続ける。
「キャァァァァーーーーッッ!!!」
無数の蝙蝠を操りながら刃の翼で斬り付けようとする群れに目掛けて氷結魔法が直撃する。
マハブフダインを浴びた織莉子は蝙蝠状態が解除されてしまい、地面に倒れ込む。
さらに追い打ちをかける氷の槍が無数に飛んでくる中、織莉子は転がりながら回避するのだ。
「ぐっ…うぅっ!!私は負けない…日本の政治家一族の娘として…美国として…負けないわ!」
全身氷結した姿であっても歯を食いしばりながら立ち上がる者に対して貴婦人悪魔が口を開く。
「美国?ああ、日本のディープステートの中にそんな苗字の者がいたわね。笑わせてくれるわ」
「美国の何が可笑しいというのよ!?」
「貴女の祖父は矢部総理と並ぶ程の売国総理だったのよ?派遣法改悪だって彼がしたんだから」
「そ…それは……」
2001年4月~2006年9月まで続いた美国総理の時代こそが21世紀の地獄の始まり。
それ以前の20世紀日本は一億総中流社会と呼ばれる程だったのにぶち壊しにしてしまう。
正社員という雇用形態が当たり前の時代で派遣業のように人だけ紹介して給料からお金を抜く。
ピンハネと呼ばれる悪行であり、それ以前では禁忌とされてきた悪行を日本に敷いたのだ。
「美国総理とタッグを組んだのが民間実業家。内閣に招かれたその男と組んで日本を破壊した」
民間の意見ばかりが通る為、本職のはずの議員達の意見は採用されないという不条理が起こる。
国民や政治家から嫌われようとも次回の選挙で落選したりすることもなく居座り続けたのだ。
「その実業家も田布施の朝鮮一族の者よ。韓国元大統領のブレーンだった存在を利用したの」
労働者派遣法の改悪だけでなく郵政民営化という改悪まで実行した存在だと伝えてくれる。
民営化以前の郵便局には約350兆円もの資金が集まっていたと言われている。
それを国営ではなく民営化する事によって外国資本が手に入れられる下地を作ったわけだ。
それだけでなく道路公団まで民営化してしまい、国営時代に溜め込まれた資金を外資に売る。
究極最悪の極悪非道の男が日本にいるとしたら、それはこの寄生虫売国奴であろう。
「貴女の一族は究極の売国奴一族なの。なのに…今更罪滅ぼしのつもり?この偽善者めぇ!!」
美国家がそれ程までの罪を犯してきたと伝えられたことで織莉子の目に悔し涙が溢れていく。
「私には…そんな売国奴の血が流れている!!それでも私は戦う…偽善と呼ばれて結構よ!!」
極悪政策を推進してきた一族の女として生まれ、何も知らないまま美国として敬われた人生。
その後ろ側には罪無き労働者達の地獄の未来が広がっており、人の生き血を啜ってきた美国家。
だからこそ自分は吸血鬼になる運命だったのだとしても、美国織莉子は罪滅ぼしを望むのだ。
「
「ぬかせ小娘!!貴女も私も弱者の人生を食い物にしてきた者同士…同じ悪魔でしかないわ!」
「ええ、その通りよ!ここにいるのは全員極悪人…悪者同士の殺し合いを始めましょうか!!」
「正義を気取らない部分は気に入ったわ。この戦いは悪と悪の潰し合い…さぁ、踊りましょう」
ラクダに乗ったまま右手を持ち上げていき、メギドの光を生みだしていく。
織莉子もまた全身から青白い魔力を放出していき、マギア魔法を狙うのだろう。
極限の一撃同士がぶつかり合ったことで広大な回廊空間が崩壊する程の被害が生まれるのだ。
一方、城の庭園エリアにまで飛び出して戦い合う十七夜とビフロンスの戦いも決着が近い。
「ハァ!ハァ!こんな小娘吸血鬼が対等に渡り合ってくるなどと…認めぬ…認めぬぞぉ!!」
「何処までもエリート気取りか?そんなんだから小さな労働者一家に生まれた女に脅かされる」
接近戦を仕掛けようにも苛烈な魔法で固めてくる堕天使に対して十七夜は魔法戦形態となる。
両手を持ち上げながら超能力魔法を行使。
城の警備兵悪魔達の体を圧縮して潰していき、マギア魔法を放つための血液として利用する。
彼女の頭上におびただしい血液の球体が生み出されていき、マギア魔法を放つ状態となるのだ。
「貴様ら労働者など資本家を儲けさせる働き蟻に過ぎん!虫けららしく過労死がお似合いだ!」
「働く事が美徳だと洗脳されてきたが…もう騙されん!これ以上資本家の奴隷などごめんだ!」
眉間にシワを寄せながら怒りを爆発させる十七夜の心には労働者としての無念が宿っている。
「
真紅に燃え上がる目が瞬膜となりながら放つマギア魔法とはブラッディ―・ルーラーの一撃。
対するビフロンスもメギドの光を生みだしながら迫りくる赤黒い奔流にぶつけるために放つ。
十七夜と織莉子、ゴモリーとビフロンス、互いが極限の一撃をぶつけ合う眩い光景。
互いの一撃が対消滅した瞬間、怒りに燃える真紅の眼をした女達が一気に攻め込む時がくる。
「アァァァァーーーーッッ!!?」
魔法を対消滅させた織莉子が蝙蝠化しながらゴモリーに飛びつき、実体化して首に噛み付く。
ビフロンスの首にも十七夜の鋭い牙が食い込んでおり、一気に血を吸い上げていく。
「離れろぉ!!離れなさいィィィィ……ッッ!!!」
「汚らわしい労働者如きが…このビフロンス様に噛み付くなど…許さんぞォォォ…ッッ!!!」
必死に抵抗するのだが噛み付きがさらに強まり、悪魔の形相をした姉妹達が血を吸い尽くす。
シワシワの風船のような体に成り果てた堕天使達が同時に死亡し、体が砕けてMAGの光と化す。
「「ハァ!ハァ!ハァ……ッッ!!」」
狂気の表情を浮かべながらも互いの目には人間としての涙が溢れていく。
その光景を遠くから見守っていたのは擬態姿のアスラ王であり、微笑んでくれる。
「たとえ体が吸血鬼になろうと…彼女達の心には人間の魂が輝いている。真っ当に生きれるさ」
背後から駆け寄ってくるのは神将の一体であり、均衡の城を制圧した事を報告してくれる。
頷くアスラ王は再び十七夜に振り向いた後、南アフリカ共和国大統領が残した言葉を送るのだ。
――何もせず、何も言わず、不正に立ち向かわず、抑圧に抗議せず。
――それで自分達にとっての良い社会、良い暮らしを求めることは不可能です。
ガムシャラに働く事など思考停止であり、搾取する金融資本家と悪徳政治家を儲けさせるだけ。
だからこそ労働者もまた政治を知る努力をし、この世の支配構造を知った上で戦う必要がある。
労働者を騙して儲ける事しか頭にないエリートに反逆する為、彼女達は戦い続けるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「貴様らぁ!!金融街に攻撃を仕掛けることがどんな事態を招くか分からんのかぁ!!」
プロビデンスの目を構築するケテル城の神殿を守護する堕天使悪魔がリズに対して吠えてくる。
山羊の頭部と下半身、それに人間の上半身を持つ悪魔だが角は横に広がる形で伸びている。
【サタナキア】
ルシファー、ベルゼブブ、アスタロトに仕える六体の上級精霊に数えられる悪魔。
アガリアレプトとともに将軍を勤め、大将である総司令官とされる程の存在である。
あらゆる女性を意のままに従わせる能力を持つことから魅了魔法を得意とする堕天使であった。
「啓明結社の支配基盤である金融街が機能停止すれば世界恐慌が起こる!大勢が餓死するぞ!」
世界で起こった世界恐慌の歴史を振り返れば悲惨を極めた事態に陥ることは分かるだろう。
銀行の破綻や企業の倒産が相次ぎ、多くの人々が職を失い、農産物の価格まで大幅に下落。
農家の生活が困窮し、都市部でも失業率が急増し、社会不安が広がったのだ。
「犠牲を強いる事になるわね…それでも私達は実行する…金融街の腐敗を終わらせるために…」
リズが語るのは豊かさが国民を貧しくする矛盾であり、金融街が世界の労働者を殺す犯罪行為。
それは米英の金融界が大きな利益をあげている
「タックスヘイブンこそ世界にとって最大の有害行為よ!それを押し進めるのが金融街なの!」
タックスヘイブンが有害である理由は、脱税(節税)を可能にするからくりだけではない。
資金を国際展開できる大企業や大金持ち投資家、有力な政治家などが貧富の格差を広げている。
「タックスヘイブンの最大の被害者こそがアフリカよ!石油の金を吸い尽くす腐敗となった!」
タックスヘイブンに蓄積される資金は米英が金融を自由化した1985年から爆発的に拡大。
世界金融資産の半分以上、多国籍企業による投資金の3分の1がタックスヘイブンにあるのだ。
タックスヘイブンが犯罪の世界と金融エリートや外交を繋ぎ、世界の不平等を悪化させる。
ロンドン金融街とアメリカ金融街の闇こそが世界の格差と戦争の根幹部分を占めているのだ。
「たとえ世界の人々に犠牲を強いても金融独裁者共も道連れにさせる!悪と罵って結構よ!!」
「ならば我らは共に極悪人!どちらも人々を殺す犠牲を強いる悪同士として…殺し合おうぞ!」
あぐら状態で宙に浮くサタナキアが漆黒の翼を広げながら風魔法を放ってくる。
マハザンダインの暴風地獄によってリズの体が巻き上げられていき、壁に叩きつけられる。
下の階では六体の神将達を相手にしても押し返す程にまで実力のある堕天使が戦っている。
「十二神将連中の半数が揃ってそのザマか?このボティスを殺す気なら全員でくるがいい!!」
巨大な体は漆黒に染まり、下半身は蛇の堕天使が両手に持つ双剣から炎が噴き上がっていく。
【ボティス】
ソロモン72柱の魔神の一柱であり、26の軍団を率いる地獄の総裁、または大公。
蛇の姿で現れ、命令されると大きな牙と二本の角を生やした人間の姿に変身するという。
ルキフグス、サタナキアと並ぶアガリアレプトの部下であり、第2軍団を指揮する悪魔である。
「金網型の歩行器を下半身に纏わねば立ち上がって戦うことも出来ぬ蛇如きに遅れをとるか…」
傷だらけの神将達は息を切らせながらも不屈の闘志で立ち上がろうとしていく。
後続で乱戦を繰り返すヤクシャ達も劣勢であり、次々と護衛の堕天使達に殺されていく。
絶体絶命の状況下であったのだが、護衛の堕天使達の悲鳴が木霊するのだ。
「な、何事だぁ!!?」
ボティスが視線を向ける先の両開きの門が開いていき、神殿の中に入ってくるのは車椅子の男。
「悠長に戦っている時間はない。悪いが私も本気でね…邪魔立てするなら容赦はしないよ」
電動車椅子を操作しながらやってきた里見太助に対してボティスは盛大に笑い飛ばしてくる。
「ガッハッハッハッハ!!障碍者如きが我に挑んでくるだと?虫けらの冗談であろう?」
「冗談を語り合える関係じゃない。障碍者の私でさえ、警備の悪魔を全滅させられるんだよ?」
それを聞かされたボティスの表情が変わり、油断なく双剣を構えてくる。
「その姿は油断を誘うために演じているだけのようだな…正体を表すがいい!!」
「い、いかん!!ここは我らにお任せを!!」
「構わない、君達は後ろに下がっていてくれ。私も久しぶりに本気を出す…巻き込まれるなよ」
人間とは思えない程の気迫を感じさせてくる存在に対して神将達は恐怖する。
彼の言葉は本物だと感じた神将達が立ち上がった後、後退するために門の外に出て行くのだ。
残されたのは里見太助に擬態した男とボティスだけであり、車椅子の男が席を立ちあがる。
障碍者であるはずなのに世界のコトワリを歪められる程の存在の足元から光の粒子が溢れ出す。
「世界のコトワリを歪めてでも私は人修羅に賭けたくなった…そのための道を私は築き上げる」
くたびれたトレンチコートとマフラーを纏う里見太助の姿が別人になるように変身していく。
新たな姿は赤いスーツ姿であり、白髪の短髪と怪しい眼鏡を身に纏う男の姿になったようだ。
「貴様は何者なのだ!?この恐ろしいまでの存在感は大魔王様やバアル様を超えているぞ!?」
「私の名はスティーブン…悪魔召喚プログラムの開発者であり…
両手を持ち上げていけば宙に浮く透明キーボードが現れていき、超高速で何かを入力していく。
ゲームマスターであるプログラマーの如き存在がデジタルデビルに対して高速処理を行うのだ。
「カラミティーコード入力、特異点に対するデリートを承認、消去開始」
エンターボタンが押された瞬間、ボティスが絶叫してしまう。
「なっ……なっ……なんだこの現象はぁぁぁぁーーーーッッ!!?」
ボティスの体がみるみるうちに消え去っていき、完全にデリートされる現象が起きる。
ボティスの気配が消えたのを感じた神将達が残存兵力と共に中に入れば戦闘は終わっている。
残っていたのは車椅子に座っている赤いスーツ姿の男だけなのだ。
「里見太助……ではないな?それが真の姿だったのだな?」
「その通り…残念だが里見太助は既に死んでいる。私は彼に擬態して人修羅に近づいた男さ」
「何の目的があって近づいたかは知らんが…信じよう。この場で戦ってくれる戦友としてな」
「皆を騙していたのに戦友と呼んでくれるか…悪くない気分だ。やはり私は悪魔が好きだよ」
一方、スカディ化したリズはサタナキアと激しい魔法戦を仕掛け合う。
おびただしい破壊が生み出されていくが、サタナキアが守る中枢エリアはビクともしない。
それ程までに強固な守りで固められているからこそ門番は全力の戦いが出来るのだろう。
「この私を相手にここまで戦えるか!褒めてやりたいところだが…ここまでだぁ!!」
両手を構えながら放つのは『殺風激』であり、極大に収束した疾風弾がリズに襲い掛かる。
「グアァァァァーーーッッ!!!」
風の耐性を貫通する程の一撃によってリズが壁に叩きつけられ、クレーターから落ちてくる。
「ぐっ…うぅ…スカディの力を制御している私でさえも…勝てないというの…?」
苦悶の表情を浮かべながら顔を上げていくリズの目の前には右手を持ち上げる堕天使がいる。
「恥じることはない、目の前の相手はルキフグスと並ぶ魔界の六将軍なのだ。滅びるがいい」
持ち上げた手の人差し指の上には巨大な火球が生み出されており、絶体絶命のピンチとなる。
「悪人の末路は魔女と同じく火炙りがお似合いだろう?美しい悲鳴を上げながら断罪されろ」
「フッ…フフ…タルトを連れてこなくて正解だったわ…私達の道は紛れもない悪なのだから…」
目を瞑りながら死を受け入れようとした時、サタナキアの悲鳴が聞こえてくる。
何事かと目を開ければ宙に浮いたサタナキアが倒れ込んでおり、藻掻き苦しんでいるのだ。
「ギャァァァァァーーッッ!!?な、何なのだコレはぁ!?私の体が…消えていくだとぉ!?」
藻掻きながら体が消滅していくサタナキアは抵抗する事も出来ずにデリートされてしまう。
何が起きたのかも理解出来ない顔のリズがスカディ化を解いた時、現れた存在に振り向く。
「…里見太助ではないようね?それが本当の貴方の正体だというの?」
「…騙していたのは謝ろう。それでも私は人修羅の力になりにきた者なんだ」
「そう……なら信じてあげる。世界の人々に犠牲を強いる悪者になってくれる同士ですもの」
「有難う。私はこれから神殿の中枢に入る…悪いが援護を頼むよ。膨大な仕事になりそうだ」
「任せて頂戴。貴方が世界の金融街に攻撃を仕掛ける間、誰も通さない壁として戦うわ」
スティーブンと共に神殿の中枢エリアの門に立ち、開閉装置に山羊頭の杖を差し込む。
すると神殿の中枢エリアが開き、中は巨大なコンピュータールームが広がっているようだ。
スティーブンが振り向いた後、リズは頷いてくれる。
「貴方の本当の名前は何なの?」
「名前はスティーブン…悪魔召喚プログラムを生んだ男であり、世界のコトワリを超えた者さ」
「スティーブン…貴方が私達の味方で良かったわ。敵に回していたら…滅んでいたのは私達ね」
「安心するな、私は監視者なのだ。君達が犠牲を強いてまで作ろうとする未来を監視する者さ」
「なら見届けて頂戴…多くの人々の人生を台無しにしてまで生み出す…新世界の光景をね」
「希望と絶望は表裏一体…光の中にも闇がある。犠牲無くして新たな世界は築けないのだから」
「その通り…私達もまたインキュベーターの道を通る者…私達の末路は悲惨であって欲しいわ」
電動車椅子を操作しながらコンピュータールームに入り込んだ後に門が閉まってしまう。
残されたリズは門番として立ち、後から現れた神将達と残存兵力も門番の役目を務めてくれる。
「世界は等価交換…魔法少女契約も悪魔召喚も同じ。代償を払ってこそ得られるものがある!」
峻厳の城から続く城壁通路から流れてくるのは増援部隊であるガーゴイルの群れ。
武器を構える悪魔達もまた突撃していき、スティーブンが行う金融街への攻撃時間を稼ぐ。
反乱軍の戦いは激しさを増す一方であり、確実に優勢となっていくのであった。
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「ゴフッ…!!こ……これ程の……強さだったなんて……」
ズタボロの姿のまま倒れ込むナアマを見下ろすのはヴィシュヌであり、トドメを行おうとする。
「幾多の化身姿を用いて救世を成すのがヴィシュヌであるボクであり、地上の維持者なのさ」
【ヴィシュヌ】
インドにおける三柱神の一人である創造神であり、シヴァと双璧を成す存在。
四本の腕を持つ若い美男子姿で描かれ、世界が危機に陥った時には化身として地上に顕現する。
地上に現れる際は何かしらに変身しているのであるが、それらは総じてアバタールと呼ばれる。
現世に現れたのはこれまでに九回あるとされ、次に彼が現れる時は世界が堕落した時だという。
白馬の騎士として出現する彼はカルキと呼ばれ、堕落の崩壊を被った世界を復活させるのだ
「堕落させてやった人類を救いに来た救世主気取り…?手遅れよ…連中は立ち直れないわ…」
「この30年間を通してボクも人類を見てきた…想像を絶する程の堕落に支配されてたね…」
「堕落した人類に民主主義政治を与えたところで使いこなせない…その末路が弱肉強食なの…」
国際石油資本から石油の関税自主権を取り戻し、リビア民を救ったカダフィ大佐は言葉を残す。
――一般に自由と民主主義として知られているものは
――野蛮なシステムであるということを理解していなかったようだ。
「人々は選挙で代表を生む間接民主制を選び…国の未来を他人に丸投げし…享楽を選んだわ…」
「末路は政治と金の癒着か。石油を欧米に売り、民を貧困に落とすアフリカ売国奴と同じだね」
「誰も知恵を求めず…パンとサーカスだけを求める…だから
「そんな人類に絶望した時代がボクにもあった…それでもね、もう一度だけ信じてみたい…」
「リリス様に聞かされたわ…ヴィシュヌ。クリシュナ時代の貴方様は世界に絶望した神だって」
「その通りさ…だから世界を破壊する加害者に成り果てた。疑いを極めればそうなっていく…」
「それでも信じる道を選んだようだけど…また人類が裏切った時…その絶望に耐えられる…?」
「…きっと耐えられないだろう。その時は再び破壊神に戻るだろうが…もう一度耕したいんだ」
「同じことを繰り返し…違う結果を期待する…まさに狂気そのものよ…愚か過ぎるわ…」
「大衆は常に間違う…だからこそ教育政策に重点を置く。パンとサーカス時代を終わらせよう」
「抑圧されれば人は反発する…たとえ私達から世界を取り返そうと…再び人類は堕落するわ…」
「そうなっていくだろう…それを抑止するため全体主義を利用する。人々に堕落者を潰させる」
「なるほど…同調圧力で堕落者を包囲して潰させていけば…保身に走って全体化するわけね…」
「新たな世界を耕すボクは君達と同じ独裁者となるが…独裁は賢者が用いれば救世となるんだ」
「貴方様の独裁に価値を見出せるかは未来の人類が決めること…私も地獄で…観ているわね…」
ナアマに転生した黒の貴族の男は死を受け入れるようにして目を瞑る。
彼は求めていた美女悪魔として永遠を手に入れたことで満足しており、支配権を手放すのだ。
そんな彼の頭に目掛けて右手の棍棒神器をヴィシュヌは振り下ろす。
グシャリと嫌な音と鮮血が飛び散った後、膨大なMAGだけが舞い上がる光景だけを残すのだ。
「…その者の言葉を重く受け止めよ、ヴィシュヌ」
背後からやってくるのは戦いを見届けてくれたシヴァとパールヴァティ、そして妻の姿。
重苦しい沈黙に支配されるヴィシュヌの肩にシヴァは手を置いてくれる。
「腐り切った人類を矯正する道は容易くない…それでも汝はヴィシュヌ…
ヴィシュヌの語源はどこにでも入る者であり、枷や束縛から離れたものがヴィシュヌである。
千の顔をもつ英雄神は浸透する神であり、人々の心にも浸透する存在だと言ってくれるのだ。
「世界の救世主とはボクではない、人類自身でなければならない。ボクは導くだけの神でいい」
「世界の救世を行った後は…天に帰るつもりなのだな?」
「神が地上の政治を行うべきじゃない、神は天に座す存在として人々を見守るべき存在なんだ」
「そうだな…それこそが自然の在り方だ。それまでは人類の父親代わりをしてやるしかない」
「子供達は自立するべきだ。子を支え終えた親の最後は子供達の人生を見守るだけでいいんだ」
「それこそが本来の神の在り方であり…きっと人修羅の望みでもあるのだろうな…」
神浜で暮らしていた頃の人修羅の言葉の中にはこんなものがある。
――
世界を救うべきは人々自身であり、人々の在り方を変えていくことが救世なのだと言葉を残す。
「人類の解放者となる人々の未来を育む役目を終えるまで…私は夫を支えていきますわ」
横に来たラクシュミがヴィシュヌの右腕に抱き着きながら夫を支えると言ってくれる。
そんな愛しい妻の頭を背中の右腕で撫でてあげた後、未来を見据えるように顔を上げていく。
「人修羅か…アスラである悪神なのに…誰よりも人類を信じようと足掻いていく男だね…」
「そんな彼の在り方の影響を汝も受けているのだろう。人類を信じようとする気持ちをな…」
「独裁者が敷いてきた人々の運命に支配されない未来を残すために人類を信じ続けるのですね」
「救世主など何処にもいない、人類が己の呪縛に勝ち、戦った先にこそ
「タダノヒトナリを信じ抜く先にこそ…人修羅の求める夢と願いがあるのかもしれないね…」
かつての並行世界においてメシア教は救世主を待ち望み続けてきた。
しかしいつまで経っても救世主が現れないため人造メシアを生み出す暴挙を起こしている。
この愚行によって唯一神と四大天使達との間に埋められない溝を生む大罪を犯す。
座して待っているだけでは救いは訪れない。
救いとは
それこそが荒れ果てた世界に課した唯一神の本来の望みであり、人類不変の努力の求め。
それでも人類は堕落を求めてしまい、メシアに縋りつくために人造メシアを寄越せとくるのだ。
その過程で産まれたのが、かつてのメシア教が推し進めたメシアプロジェクトだったのだろう。
その過ちこそ独裁者という御上に縋りついた人間の歴史光景であり、人修羅も学んでいる。
だからこそ人類は自らを解放するべきだと言葉を残してくれたのだろう。
「かつてのメシア教の過ちだけは繰り返させない…だからこそボクは人類に知恵を残そう」
「それまでは我々が牧師となる以外にあるまい。その未来を勝ち取るためにこそ戦おうぞ」
バベルの下層領域を一掃したオーディンとイズンも合流した事で多神教連合は上を目指す。
バベルの守りは既に崩壊しており、残す牙城はバアルとイナンナ、そして悪魔ほむらのみ。
窮地に立たされたCHAOS勢力であるが、彼らの抵抗は最後まで激しい攻防戦となっていった。
真女神転生2で勘違いバカをやらかした熾天使達は滅び去り、唯一神の復活と同時に新たに生み直されたと解釈した上で拙作では登場させております。
概念存在は永遠不滅の存在ですしね(汗)