人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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352話 リベルタリア

悪魔ほむらのクリフォトはオリュンポスの神々とティタン神族との大戦争と化している。

 

巨大な悪魔共がひしめき合う空間のため、巨大な神々は巨体を持て余してしまう。

 

人型サイズのオリュンポスの神々は巨大な神々の猛攻を掻い潜りながら攻撃を仕掛けていく。

 

「ゴハァ!!!」

 

巨大な袈裟斬りを飛翔しながら避けるアルテミスが巨人の顎にまで迫りながら蹴りを放つ。

 

『サマーソルト』によって巨大な頭部がかち上げられ、巨大な首までへし折れてしまう。

 

尚紀と同じ身長程度しかないアルテミスはその見た目に反して強大な武力を宿している。

 

「こんな狭い場所での戦となれば、そちらも巨体を持て余そう?そこを突かせてもらう!!」

 

倒れ込む巨人を蹴り込みながら迫りくる次の巨人に飛びつき、さらに回転蹴りを放つ。

 

頭部の上で高速回転しながら踵落としを決める『脳天割り』が炸裂し、巨人が倒れ込むのだ。

 

「流石はアルテミス!武神として誉れ高き戦の光景ですな!ではでは、私も参りますぞぉ!!」

 

アルテミスと共に宙を飛びながら苛烈な飛び蹴りを放つのはディオニュソスである。

 

酒の神らしからぬ華麗な動きで敵の動きを翻弄し、胸部に目掛けて『ハードヒット』を狙う。

 

アルテミスが用いるタルカジャによって攻撃力が上がっているため巨人が倒れ込む。

 

巨人の体を壁にしながら三角飛び蹴りを放ち続ける動きこそ『とんぼ蹴り』の如き俊敏さ。

 

「くそぉ!!このクリフォトは狭過ぎる!!奴らの動きを捉えきれん!!」

 

同士討ちを恐れて攻撃を躊躇う巨人達の隙間を縫うように苛烈な攻撃を放ち続ける。

 

ゼウスとデメテルも姉弟コンビで戦い合い、次々と巨人達が倒されていくのだ。

 

一方、部下の兵士達が倒されているのに悪魔ほむらとクロノスは動こうとしていない。

 

「この狭いクリフォトで彼らの力を当てにはしてないわ。壁となってくれたらそれでいい」

 

持ち上げる左腕には魔法盾に変化しているクロノスが装備されており、時間停止を行使する。

 

時間が止まった世界で大将首に接近し、極大の一撃を放って仕留めるつもりだったのだろう。

 

しかしゼウスの口元には不気味な笑みが浮かびながら時間が停止する。

 

鴉骨の翼を広げて一気に攻め込もうとするのだが、時間の流れに違和感を感じてしまう。

 

「こ、これは何!!?」

 

時間停止魔法が行使された空間であるはずなのに止まっていたゼウス達の体が自由となる。

 

こんな現象を起こすケースは術者の暁美ほむらが止まった体に触れた場合にのみ起きるもの。

 

ならば同じ時間停止魔法を行使出来る存在が戦場に干渉してきたと考えるのが妥当だろう。

 

「……不味いぞ、小娘。まさか…あの三姉妹まで反乱軍の中に潜んでいたとはのぉ…」

 

「あ…あいつらは何なの……?」

 

「運命を支配するモイライ三姉妹じゃ…奴らは過去・現在・未来の時間を操る神々なのだ…」

 

「ギリシャ神話に登場するあのモイライ三姉妹だっていうのね…?厄介な存在だわ…」

 

時間停止空間の空で佇むようにして浮いているのは眩い程に輝く糸を紡ぐ三姉妹達の姿である。

 

「私達がいることには気が付いていたようですわね、ゼウス様?」

 

「おうよ!テメェらの魔力は感じてたからなぁ…親父殿の魔法を気にする必要はなかったぜ」

 

現れた存在とはモイライ三姉妹であり、彼女達もまたギガントマキアに参戦したギリシャ神。

 

世界の運命と時間を支配出来る彼女達の権能はゼウスが与えたものであり、彼の部下でもある。

 

その力はゼウスでさえ恐れる程であり、権能まで与えた以上は彼女達に逆らえない立場なのだ。

 

「お初にお目にかかるじゃないか…暁美ほむら?円環のコトワリとなった女の運命を守る者よ」

 

「私達姉妹が与えてあげた鹿目まどかの運命の糸は大事に守っているようね?」

 

「貴女達が与えてくれたまどかの運命の糸ですって…?一体何のことなのよ…?」

 

「…悪魔に転生した瞬間を思い出せ。あの時の糸巻きボビンは彼女達が用意した運命なのじゃ」

 

「そういう事だったのね…。運命を司る女神に聞きたいわ…まどかの運命は短く終わるもの?」

 

「いや、違う。アタシが測った鹿目まどかの運命の長さは…まだ終わる時期にはなってないね」

 

「だとしたら…まどかはハルマゲドンで死ぬ運命ではないと言うのね?安心したわ…」

 

「だけど貴女の運命の長さまでラケシスお姉様は測ったわけじゃないの。意味は分かるわね?」

 

「…私の運命の糸をここで断ち切ろうと言いたいのかしら?そのご自慢の鋏を用いて…?」

 

「私達とゼウス様を相手に戦えばそうなるわ。選ぶがいい…暁美ほむら。戦うか…引くかをね」

 

圧倒的な戦力差を感じた悪魔ほむらは顔を俯けながら時間停止を解除する。

 

時間が動き出せばクリフォトの外から感じさせてくる衝撃の轟音が響いてくるのだ。

 

塔の外ではアナンタが暴れており、バベルを守護してきた六つの塔を破壊しているのが分かる。

 

ほむらは魔法弓を生み出しながら魔力を込めていき、一気に矢を放つ。

 

巨大な魔力の矢がクリフォトの壁に巨大な穴を開けた後、動き出した巨人達に命令を下す。

 

「こいつらは私達が相手をする!貴方達は塔の外で暴れている敵を排除してきなさい!!」

 

「し…しかし……」

 

「ここではその巨体を生かした戦いは出来ないわ!大人しく引きなさい!!」

 

「逃げたきゃ逃げるがいいさ。ティタノマキアはまだ終わりじゃねぇ…戦力を整えてきな」

 

「宿敵である我々を逃がすと言うのか…ゼウス!?貴様は何を企んでいる!!」

 

「俺様は派手な戦が好きだってことさ。世界中が焦土に成り果てる程の大戦争をしようぜ?」

 

不気味な笑みを浮かべてくるゼウスの狙いが何なのかを感じ取ったティタン神族達が恐怖する。

 

彼らが本気の大戦争をすれば全人類の大半が死滅する程のハルマゲドンになっていくだろう。

 

それこそ啓明結社が望んだ人口削減となり、トロイア戦争の頃のゼウスが望んだ計画の光景。

 

人類を間引くという大殺戮であり、その目的を今回のハルマゲドンで果たそうというのだろう。

 

「貴様は恐ろしい奴だ…それでもここは引かせてもらう。仲魔を集めて再び参上するぞ!!」

 

ほむらの命令に従うティタン神族達が開いた大穴から飛び出していき、東京湾に着水する。

 

東京湾で暴れるアナンタとの死闘を超え、彼らは戦力を整えてから再び現れる時がくるだろう。

 

「さぁ、おっぱじめようぜ…親父殿!!暁美ほむら!!テメェらとの因縁も今日までだぁ!!」

 

全身から極大の放電現象を生み出すゼウスに対し、ほむらは魔法盾の異空間を頭上に構築する。

 

「因縁深い関係なのは私達だけではないわ、ゼウス。この邪龍もお前達と因縁深い存在なのよ」

 

武器を取り出す異空間ゲートの規模は巨大であり、そこから飛び出すのは超巨大なトカゲ悪魔。

 

「ゼウスゥゥゥゥーーーーッッ!!!」

 

超巨大な体をしたティホンが魔力を纏いながら光弾の如き速度で体当たりを仕掛けてくる。

 

「な、なんだとぉぉぉぉぉーーーーッッ!!?」

 

咄嗟にガードを固めたゼウスに目掛けて体当たりを仕掛けた一撃によって地面を貫通していく。

 

「グォォォォォーーーーッッ!!!」

 

斜め下に目掛けてゼウスごと地面を砕いていき、塔の外にまで押し出されていくのだ。

 

「ティ…ティホンですって!?」

 

「アワワワワ…ガイアとタルタロスの間に生まれた異形の巨人まで使役する女だったなんて!」

 

「不味い…ティホンが相手ではゼウス様とて苦戦する!奴はゼウス様を倒した化け物ですぞ!」

 

「お父様ーーーーッッ!!!」

 

大慌てしながら地面の大穴に飛び込み、ゼウスの後を追いかける彼の身内達。

 

残されたのはモイライ姉妹と悪魔ほむらだけであり、姉妹達まで焦りの色を浮かべてしまう。

 

「先に倒されるのはどちらになるかしら?まどかの運命を紡いでくれた恩人でも容赦しないわ」

 

「ぬかせ…下郎め!!CHAOS勢力に組する道を選んだ以上は…我々は容赦なく殲滅する!!」

 

クロト、ラケシス、アトロポスの体から眩い光が発せられ、悪魔ほむらは腕で目を覆う。

 

光が収まって目を開けば眼前に出現していたのは巨大な黄金時計の姿をした女神達がいるのだ。

 

【ノルン】

 

北欧神話の運命を支配するとされる女神集団ディースの上位存在である。

 

編む者、紡ぐ者、責務・義務を司る女神であり、世界樹イグドラシルを管理しているとされる。

 

三女神は過去・現在・未来を象徴しており、オーディンもその威を無視できない存在。

 

ワーグナーの楽劇である神々の黄昏で描かれたノルンはモイライ三姉妹の影響もあったという。

 

「我が名はノルン!!我らモイライの別の可能性の力を用いて相手をさせてもらおうぞ!!」

 

「北欧の運命の三女神にまで変化出来るっていうわけ?概念存在は本当にややこしいわね!!」

 

天使の翼を纏った三女神が時計の上に備わる形をした黄金時計が時間停止魔法を行使。

 

しかし同じ時間神であるクロノスには通じず、時間停止空間で自由に動ける者同士が戦うのだ。

 

女神の力を一つに纏める形態であるノルンの力は凄まじいが、悪魔ほむらの力は桁外れである。

 

魔法戦を仕掛ける女神は劣勢となっていくが、他の神々が増援として駆けつけるのであった。

 

────────────────────────────────

 

「「グワァァァァァーーーーッッ!!!」」

 

ミトラスのハマバリオンとモトのムドバリオンで弱点属性を突かれた悪魔達が消失していく。

 

即死魔法によって死んだデカラビアとアティスの仇を討つためにパズスが迫りくる。

 

「オノレェェェェェーーーーッッ!!!」

 

暴風を右手に収束させながら迫りくるパズスに対してミトラスが叫ぶ。

 

「モト!!汝はアスモデウスの援護に行け!ここは任せよ!!」

 

「……死ぬなよ」

 

超巨大な石棺が浮遊していき、ミトラスも宙に浮きながらパズスを相手に魔法戦を仕掛け合う。

 

巨大な樹木悪魔のアールキングもパズスを援護するために巨大な杖から魔法を放つのだ。

 

一方、イナンナを相手に劣勢を強いられていたアスモデウスの元にモトが合流してくれる。

 

「おお!モト殿も来てくれたか!!」

 

「こんな奴らを相手にグズグズしてはおれん…我の狙いはバアルを討伐することなのだ…」

 

「アリナを相手によくもそんな舐めた口を叩けちゃうヨネ?死んで償ってもらうカラ!!」

 

右手を掲げながら放つのはメギドラオンであるのだが、モトは獣の眼光を行使。

 

連続メギドラオンを仕掛けられたことで万能属性を防げないアリナは直撃を被るのだ。

 

「アァァァァーーーーッッ!!!」

 

アリナのクリフォトが崩壊する程の被害規模は塔の壁まで破壊してしまい、外に弾き出される。

 

空中で体勢を整えたアリナの目の前には強大な力を持つ二体の魔王が迫りくる。

 

激しい攻防戦を描きながら宇宙に向けて高速飛翔していく者達が念話のやり取りを行っていく。

 

<貴様が頭に纏う鹿の飾りは不快だ…バアル崇拝の生贄象徴だからな…滅ぼさせてもらうぞ…>

 

<やれるもんならやってみるワケ。イナンナであるアリナこそが…天の女主人なんだカラ!!>

 

<古来より()()()鹿()()()()()()()…貴様もバアルの生贄に過ぎんぞ…()()()()()()()!!>

 

人身御供はスケープゴートである身代わりであり、様々な動物だけでなく人間も対象となる。

 

不満や憎悪、責任を直接的原因となるもの及び人に向けるのではなく、他の対象に転嫁する。

 

古代ギリシャにおけるタルゲリア祭では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

<アリナはアウトサイダーで結構だカラ!羊のように家畜の群れで生きるより…孤高を選ぶ!>

 

アウトサイダーは生贄がお似合いなのだとアスモデウスに言われた事でアリナが逆上していく。

 

彼女が思い出すのは学生時代の虐め光景であり、アウトサイダーとして虐げられた記憶。

 

攻撃性、敵意、欲求不満などの感情を別の個人やグループに集中させるのがスケープゴート。

 

望まぬ考えや感情は否認され、スケープゴートになる別の人に無意識に投影させる現象となる。

 

それこそがアリナに与えられた虐めであり、陰謀論者だと虐げられた神浜魔法少女達の苦しみ。

 

虐めとは生贄であるスケープゴートであり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

スケープゴートを求める愚民心理を利用するのが売国政治家であり、失政の隠れ蓑とする。

 

スケープゴーティングを用いて愚民のヘイトを操り、反ワクチン派を生贄として潰させてきた。

 

全体に合わさない間違った振る舞いをする人は必ず存在し、スケープゴートの対象となる。

 

精神科医のカール・ユングが残した言葉通り、21世紀でも愚民は生贄を求める野蛮な存在。

 

この問題こそが神浜東西差別の根幹であり、みたまや十七夜達もスケープゴートにされていく。

 

現代日本の同調圧力とはスケープゴートを求める行為であり、出過ぎた杭は生贄にされた。

 

<サクリファイスにされてもアリナは手に入れた!ガッデスになれるならいい取引なワケ!!>

 

<貴様など所詮は生贄の鹿だ!トールの車を引かされたユール・ゴートにでもなるがいい!!>

 

<アリナがトールを支配する存在なワケ!アリナをナマハゲ扱いした報いを与えてやる!!>

 

ケテル城が下に見える宇宙空間にまで飛び出してきた存在達が激しい攻防戦を展開していく。

 

メギドの光が激しく炸裂する中、同じように地球から昇ってくる存在まで現れる。

 

宇宙に昇りながら戦っているのは悪魔ほむらとノルンであり、アリナの背後にほむらが現れる。

 

<苦戦しているようね…?手を貸してあげてもいいわよ…?>

 

<ノーサンキュー…って言いたいところだけど…多勢に無勢ってヤツ?ムカつく状況だヨネ…>

 

<現実を認識出来る程度には冷静なようで安心したわ……さぁ、いくわよ!!>

 

<フン!!精々アリナの足を引っ張らないようにね!!暁美ほむら!!>

 

いがみ合う者同士であるが目の前の危機に対処しなければならない状況判断は同じである。

 

迫りくる反乱軍を相手に奮戦していく魔王達の戦いは眩い光の中で苛烈に描かれていった。

 

────────────────────────────────

 

既にバベルは崩壊の一途を辿り、懸命に守ろうと戦う悪魔達も戦々恐々としながら狼狽え抜く。

 

「もうダメだ……お終いだァァァーーーーッッ!!」

 

「投降する!!投降するから助け……ガハァ!!?」

 

捕虜を取らない反乱軍は命乞いする敵悪魔であろうと容赦なく殲滅していく。

 

恐怖地獄に陥った悪魔達が我先に逃げようとする時、今ではCHAOSのトップとなる者が叫ぶ。

 

<<狼狽えるな……小童共がぁぁぁぁぁーーーーッッ!!!>>

 

天をつんざく程の恐ろしい念話を送ってきた存在とはバアル神モロクであり、こう告げてくる。

 

<<我こそバアル!!我こそバベル!!我が不動である限りバベルが崩れることはない!!>>

 

バベルを建築した二ムロデの如き権威が与える鼓舞によって奮い立つ悪魔達が奮戦していく。

 

それでも反乱軍の勢いは止められるはずもなく、ついにはバアルの玉座前まで迫りくる。

 

「「グハァァァァーーーーッッ!!!」」

 

玉座に入れる重厚な両開き扉を突き破ってきたのは門番として戦った堕天使達である。

 

全身切り刻まれて砕け散ったMAGの光の隙間から高速で飛んでくるのは反逆の旗槍。

 

超高速で投擲された槍の一撃が巨大な牛頭神を象った玉座に座るバアルに目掛けて迫りくる。

 

「フンッッ!!」

 

しかしバアルは右手の裏拳で旗槍の刃を打ち払いながら立ち上がり、反乱軍の首謀者を睨む。

 

やってきたのは恐ろしい形相をした人修羅であり、超能力魔法を用いて旗槍を手元に戻す。

 

槍に巻き付けられていた赤旗が緩んで広がっていき、悪魔の返り血で赤黒くなった旗を広げる。

 

そこに描かれた紋所とは反逆の道を貫き通した三体の悪魔を象徴する三つ巴紋。

 

反逆のルシファー、反逆の将門、反逆のスパーダを継ぐ反逆者が雄叫びの如き叫びをあげる。

 

「牛頭天王…いや、バアル!!散々煮え湯を飲まされる屈辱を与えた報いを与えに来た!!」

 

革命期のフランスにおいて救国の英雄として祀り上げられたジャンヌの槍を持つ者の革命戦争。

 

それを受けて立つのは邪悪なカナン族が生み出したウガリッド神話の主神であり、魔王の象徴。

 

バアルとして君臨するモロクが纏う黄金の牛兜の中では憤怒を浮かべたモロクがいるのだ。

 

「よくもルシファーを滅ぼしてくれたな…我がバベルを破壊してくれたな…許さんぞぉ!!」

 

放火した業火は既に峻厳の城の全域に燃え広がっており、玉座も炎の海と化している。

 

スプリンクラーの雨が降りしきろうと消せない怒りの業火が生み出す火災旋風が赤旗を揺らす。

 

睨み合う両雄は決着を望んでおり、ボルテクス界での因縁に終止符を打たんとする。

 

「ボルテクスで貴様を滅ぼしておくべきだった…ヨスガを求めない悪魔を滅ぼすべきだった!」

 

「バアル…俺の道もまた選民主義を掲げるヨスガだ。俺が選ぶ選民とは、力無き民なんだ!!」

 

「惰弱な悪魔め!!何様のつもりだ…?貴様はかつてのスパーダを気取ろうというのかぁ!!」

 

「ダンテの親父の道と同じになろうと構うものか…裏切り者として俺は極悪人となってやる!」

 

「ならば滅ぼそう…その五体を切断してやる!!かつての将門と同じ末路になって死ねぇ!!」

 

玉座から跳躍しながら一気に飛び込んでくるバアルの手刀から光剣となる魔力が噴き上がる。

 

超高速の袈裟斬りを狙ってくる相手に対し、左手に旗槍を収納しながら将門の刀を生み出す。

 

刀を抜きながら構える人修羅が僅かに伸び出た刃を用いてバアルの光剣の一撃を受け止める。

 

重い一撃がぶつかり合い、大地を激しく砕きながら尚も苛烈に押し込んでいく。

 

「「オォォォォーーーーッッ!!!」」

 

刀ごと人修羅を切断しようと剛力を浴びせてくる中、人修羅も押し返そうと足掻いていく。

 

地面がどんどん砕かれていき、ついには地面が陥没してしまい、互いが下層に落ちてしまう。

 

峻厳の城の中心となる建造物が次々と砕かれていき、最下層まで落ちてくる。

 

一階にまで落ちてきた人修羅の姿を見つけた神将達が加勢に来ようとするが止めてくるのだ。

 

「ここは俺に任せろぉ!!お前達は峻厳の城から抜け出せ!!巻き込まれることになる!!」

 

「し、しかし……ッッ!!」

 

「行けぇ!!!」

 

鬼気迫る迫力で叫んでくる人修羅の意思を受け止めたアタバク達が撤退していく。

 

残された人修羅はバアルの一撃を押し上げていき、弾くと同時に抜刀する。

 

回転を加えた切り上げを放つのだが、後ろに跳躍して避けるバアルが構え直す。

 

「ルシファーを倒したぐらいで粋がるなよ…CHAOSの真の代表者である我は健在なのだ」

 

「実力だけならルシファーを超えるのか?それ程までの存在なのか…ナホビノというものは?」

 

「その通りだ。今の我は唯一神の前任時代の力を取り戻している…至高神に戻れた姿なのだ!」

 

「所詮俺は疑似ナホビノ…マガツヒから生まれたフェイカーだ。それでもな…試させてもらう」

 

刀を鞘に仕舞って消した人修羅が右手を持ち上げていき、ワームホールを開いていく。

 

右手を握り込めばワームホールが安定し、中から魔剣の柄がせり出してくる。

 

「ば…馬鹿な…その魔剣はまさか……ッッ!!?」

 

ワームホールから取り出した剣とは魔剣明星であり、ルシファーの大剣を両手で握り込む。

 

人修羅の体から溢れ出る魔力と呼応するようにして光り、光星の輝きを生みだしていく。

 

「スパーダの剣技は刀の技術だけだと思うなよ」

 

一回転しながら大剣を振り抜き、下段の構えを行う人修羅の背後に見えるのは二体の魔王達。

 

一体は魔剣明星の持ち主であったルシファー、もう一体は大剣の独自技法を生んだスパーダ。

 

どちらもよく知る悪魔であるためバアルの目には両者の姿が人修羅と重なって見えてしまう。

 

光剣を構えるバアルは目の前の強敵の体にはルシファーとスパーダが宿っていると悟るのだ。

 

「かつての貴様を遥かに超える程の進化を遂げたのは認めよう。その力を用いて…何を望む?」

 

「俺が世界に望むのは人々の自由と人権を守る英知と勇気…そして、その責任を果たす義務だ」

 

「リベルタリアの革命家気取りも今日までだな。貴様らには水底が似合いだ…放り込んでやる」

 

「……やってみろよ」

 

互いの体から膨大な魔力が噴き上がっていく。

 

残された魔王達はバアルとイナンナ化したアリナ、そしてリリスの道を貫く悪魔ほむら。

 

峻厳の城の外側宙域で激しく戦う魔力振動は感じており、彼女達にも念話を送る。

 

<残されたのは我らだけだが……いけるな、貴様ら?>

 

<フン……ノープロブレムなワケ>

 

<ええ……そのつもりよ>

 

<フン……それは良かった。では、ゆくぞぉ!!>

 

背後に浮かぶのは巨大な悪魔の影であり、互いの暗黒体の幻影が魔力によって構築される。

 

睨み合う両雄が一気に動き出し、暴風となりながら激しい剣舞を始めていく。

 

「「ウォォォォォォォォォォォーーーーーーーッッ!!!」」

 

斬撃、突き、蹴り技、互いが激しくぶつかり合う度に極大の衝撃波が生み出されていく。

 

衝撃波によって城が破壊されていき、城の上空を覆う透明ドームにまで亀裂が入っていく。

 

空気が宇宙空間に放出されていき、巻き上がる暴風によって建物の瓦礫まで吸い出される。

 

人の体など簡単に飛ばされていく程の吸引地獄の中でも互いの剣技が爆発し続けるのだ。

 

「ヌゥ!!!」

 

人修羅が放つスティンガーの一撃を光剣を放出する貫手の掌で受け止めるが衝撃で弾かれる。

 

倒れ込んだバアルに対して大剣を体の左右で回転させながら勢いをつけ、一回転跳躍する。

 

兜割りの一撃に対して光剣ではじき返しながら立ち上がり、連続斬りを放ち合う。

 

彼らが戦い合うのは城の庭にある石橋の上であり、袈裟斬りを放つ人修羅を蹴り飛ばす。

 

身長二メートルもあるバアルの長い蹴り足が槍の如く突き刺さった人修羅が弾き飛ばされる。

 

「グアァァァァーーーッッ!!!」

 

蹴り足から放った魔法とは『トリスアギオン』であり、炎耐性を貫通する業火が彼の体を焼く。

 

マサカドゥスの魔法耐性を貫通されたことで衣服が燃え上がるが風の魔法を用いてかき消す。

 

エリザから託されたドラゴン騎士団のマントも燃え尽きてしまったが、彼女の意思は心に宿る。

 

発光する入れ墨が上半身に宿った男がふらつきながら立ち上がるのだが、バアルが攻め込む。

 

「我が放つゲヘナの炎でも燃え尽きないタフな悪魔のようだ…ならば楽には死ねんぞぉ!!」

 

跳躍斬りを仕掛けてきた光剣の一撃を起き上がりながら受け止めるが左手の裏拳を顔に浴びる。

 

ふらついた人修羅の体が石橋の手摺りに叩きつけられ、バアルの斬撃によって倒し込まれる。

 

石橋から落とされそうな体勢のまま斬撃を受け止め続ける中、バアルの左膝を足で蹴り込む。

 

押し込んだ体が一歩下がった隙をついて斬撃を押し返すのだが、左膝蹴りを腹部に浴びる。

 

一回転して倒れ込んだ人修羅に目掛けて光剣で兜割りを狙うが大剣で弾いた後に転がっていく。

 

立ち上がった敵に目掛けて苛烈な斬撃を仕掛けていく中でも上空のドームが崩れていくのだ。

 

「人々に自由を与えるだと?笑わせるな!!貴様が思い描く自由の国など堕落でしかない!!」

 

「今まではそうだった…リベルタは無原則な自由ではない、()()()()()()()()()なんだぁ!!」

 

「愚民共が責任を果たすわけがなかろう?だからこそ奴らは間接民主主義を選んだのだぁ!!」

 

「その末路は政治と金の癒着でしかなかった…だからこそ俺は直接民主主義世界を望むんだ!」

 

「この戯けがぁ!!愚民が望むのは時代が変わっても同じもの…パンとサーカスだけだぁ!!」

 

光剣で貫手を放つようにして連続突きを繰り返す攻撃を捌きつつ大剣で払い斬りを放つ。

 

光剣が叩き落とされた隙をつき、踏み込んだ人修羅がバアルの顎に目掛けて右肘打ちを放つ。

 

「ゴフッ!!?」

 

顎を打ち上げられたバアルが怯んだ瞬間を狙い、一気に首を跳ねんとするが相手の姿が消える。

 

一瞬で背後に回り込む瞬間移動を用いた移動に気が付いた人修羅が振り向くが裏拳を浴びる。

 

倒れ込んだ人修羅に目掛けて跳躍回転を加えた捻り込みを用いて膝蹴りを腹部に叩きこむ。

 

吐血する程の衝撃を喰らった人修羅にトドメを放とうとした時、ついに城の上空が崩壊する。

 

<クックックッ…楽しくなってきたじゃないか?続きは宇宙で始めようか!!>

 

吸い出されていくバアルの背中から噴き上がったのはゲヘナの炎を用いて形作った二本の腕。

 

バアル神モロクの暗黒体である青銅の窯は四本腕であり、人型の時でも四本腕を構築出来る。

 

背中に生み出されたのは燃え上がる翼膜を形作る炎の翼であり、先端は炎の手で構成される。

 

<いいだろう…とことんやろうぜ!!俺は俺が信じた自由の世界を生み出すために戦おう!!>

 

同じようにして宇宙に吸い出されていく人修羅の背中からも光の粒子が放出されていく。

 

背中を突き破って構成されたのは今までの四枚翼ではなく、六枚翼となった悪魔の翼。

 

悪魔の翼と天使の翼が左右均衡に並び立つその姿は大魔王ルシファーの姿を彷彿させるだろう。

 

終末をもたらす黙示録のラッパを吹き鳴らした6番目のトランぺッターの背中にも6が宿る。

 

悪魔の王となった人修羅が求めるものはCHAOS理念である自由の世界。

 

しかし自由とは責任の道でもあり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

C()H()A()O()S()()()()()()()()()()()()()()()でもあり、その両方を使いこなしてこそ混沌の支配者。

 

自由の翼と秩序の翼を背中に持つ人修羅こそ、自由と秩序を併せ持つリベルタリアであった。

 




水没王子のフラグを立ててしまうバアルもいずれはプランD、いわゆるピンチになりそうですな(フロム脳)
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