人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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354話 正義と英雄の弊害

MAGの光に包まれたバベルの塔が地球を離れる光景を呆然と見つめるのは悪魔ほむらの姿。

 

あまりにも美しい光景であったため、アリナを含めた他の神々も戦いを中断している。

 

呆然とした表情を牛兜の中で浮かべるばかりのバアルまで佇むようにして動きを止めている。

 

それでもバベルを破壊し、甚大な被害を生もうとしたバアルに怒りをたぎらせる者がいるのだ。

 

(まどか達をザイオンに移し終えていなかったら…死んでいた。なんて事をしでかすのよ!)

 

フェミニズム世界を求める悪魔ほむらであるが、彼女が求めたいのは人々の虐殺ではない。

 

同性愛が世界で認められ、魔法少女達の恋愛が法的にも文化的にも認められる変革を求めた者。

 

それなのに同性愛者も含めて人類を大虐殺しようとした存在について行くのが恐ろしくなる。

 

(私は本当にCHAOS勢力について行ってもいいの?だけどそれ以外に方法が見つからない…)

 

<…あれがバアルのやり方だ。それでもお前はフェミニズム世界のために奴に組するのか?>

 

念話を送ってくるのは隣の宙域で浮いている人修羅であり、ほむらは顔を俯けていく。

 

<奴にとっては同性愛者だろうがゴイムである家畜に過ぎない。家畜は生贄にされるんだよ>

 

<そんなの…私は望んでない!私が望んだ理想は…魔法少女達の恋愛が認められる世界よ…!>

 

<奴らの狙いは支配を完成させるために人類を堕落させること。そのための共産主義(リベラル)なんだ>

 

<そんなの認めない!!貴方にとっては堕落でも…私にとっては理想なの!レズは正しいわ!>

 

<お前が同性愛者であろうと慎ましく生きていくなら文句はない。それを世界に押し付けるな>

 

<ダメよ!保守的な価値観のままではレズ同士の結婚なんて出来ない…世界の変革が必要よ!>

 

<ほむら……>

 

未だにフェミニズムを掲げる暁美ほむらは世界の変革を望む左翼至上主義者。

 

何がどう正しいのかなんて関係ない、鹿目まどかと幸せに暮らせる世界を生み出す。

 

そのためならどんな罪だって背負い、その果てに悪魔と化す道さえも体現した女なのだ。

 

<私の道は我儘を貫く道…誰に理解されなくても足掻き続けた!その果てに悪魔となったの!>

 

誰のためでもない、自分自身の祈りのために戦い続ける。

 

それこそが魔法少女達の道であり、魔法少女として生きた暁美ほむらの道でもある。

 

<かつての自分と違う姿になってることが分からないのか?そんなんじゃ…全てを失うぞ!>

 

魔法少女になってはいけないと鹿目まどかに語った言葉がそのままブーメランとなってしまう。

 

自分の価値観を信じ、今とは違う自分となり、誰かのために命を使う必要はない。

 

そうまどかに語ったはずの暁美ほむらはフェミニストという昔とは違う姿に成り果てている。

 

<お前は同性愛の為に献身してるつもりだろうが違う!()()()()()()()()()()()()()()()()!>

 

<その通りよ!!誰のためでもない、自分自身の願いのために戦う…それが魔法少女なのよ!>

 

正義の見返りが欲しかった美樹さやか、理想に裏切られた末に利己的になった佐倉杏子。

 

皆の模範になったのは親友が欲しかっただけの巴マミ、母親に恩を着せたかった百江なぎさ。

 

皆が化けの皮の下に黒い欲望を抱え込む者達であり、本当は自分の理想が欲しかった傲慢者。

 

神浜の少女達も同じであり、それこそが魔法少女の正体なのだと暁美ほむらは叫んでくるのだ。

 

<献身には見返りが必要だろう…だが、周りはそれに応える義務も責任もない。押し付けるな>

 

見返りという勝手なおねだりを求めたところで人々は応えない、それに不満を爆発させていく。

 

その末路は美樹さやかのような狂人化であり、ボルテクス時代の人修羅だって経験している。

 

そんな矮小な魂だったからこそ悪者と罵られても戦い続けたダンテに届かなかった男なのだ。

 

<世間はお前らだけのものじゃない、皆のものだ!皆の価値観だって正しい…尊重してやれ!>

 

<嫌よ!同性愛を認めない右翼連中に縛られたら私達の自由は消える…そんなの許さない!!>

 

<自由は責任の道だ!だからこそ秩序を保ててきた!無原則な自由は潰し合いしか生まない!>

 

<黙れ…自由の破壊者め!!右翼連中はいつだって同性愛者を虐げる…絶対に許さないわ!!>

 

価値観が決裂した者が怒りのオーラを爆発させるようにして魔力を噴き上がらせていく。

 

戦いはもう避けられないのかと説得を諦めようとした時、アリナの念話が聞こえてくる。

 

<アッハハハハ!そうなっちゃったらもうストップしない…行くとこまで行っちゃえるカラ>

 

オーバーに両手を持ち上げるアリナが不敵な笑みを浮かべながらフェミニスト悪魔を嘲笑う。

 

<レズビアンが虐げられるのはダメで、ノーマルを虐げるのはOK?腐ったダブスタ女だヨネ>

 

<黙りなさい!!私達の理想に逆らうというのなら…お前も名誉男性として排除してやる!!>

 

<アナタの言葉は()()()()()()なワケ。右翼の独裁はダメで、左翼の独裁はOKな理屈だヨネ>

 

<ほむら…俺の言葉が通じないならもう止めない。被害者という化けの皮を被ろうが叩き潰す>

 

<被害者ビジネス手口で要求を通そうとするフールなんてアリナの敵じゃない、潰してあげる>

 

人修羅とアリナも魔力を爆発させていく中、悪魔ほむらはバアルに念話を送ってくる。

 

<バアル!私は世界を真逆にする…まどかの人生をこれからも守るなら…私はずっと味方よ!>

 

彼女の言葉が通じたのか、怒りに我を忘れそうになっていたバアルが冷静さを取り戻していく。

 

<…フン、好きにしろ。そして反乱軍よ…此度の勝利は認めてやるが…次は必ず我らが勝つ!>

 

引くべき時は引く潔さもまた王の在り方だと判断したバアルが炎の翼で体を包み込む。

 

悪魔ほむらも同じようにして鴉骨の翼で体を包み込んだ後、業火と羽を残して消え去っていく。

 

残された女神に振り向く人修羅のために微笑んでくれるアリナは橘千晶としての言葉を残す。

 

<私はこれからもCHAOS勢力だけどいずれ暁美ほむらと決着をつける。そして貴方も同じよ>

 

<ヨスガならそう言うと思ってたよ…千晶。お前の道を行け、人には勝手な事を言わせておけ>

 

<有難う…尚紀君。どちらが勝ち残っても力に満ち溢れた世界を残せるなら…私は構わないわ>

 

黄金の翼で体を包み込んだ女神が黄金の羽を残しながら消え去っていく。

 

魔剣明星と将門の刀を仕舞った人修羅の元にアスラ王達がやってきてこう告げてくれる。

 

<これは始まりに過ぎん…世界の金融街が混沌の坩堝となった以上…戦争を起こすチャンスだ>

 

<そうだな…金融資本家共の傘下にある多国籍企業は大ダメージとなる…この機会を逃さない>

 

<戦争とは資本同士のぶつかり合い…だからこそ敵国の心臓である金融を潰す必要があった>

 

<ディープステートの司令塔は世界の国々に戦争資金を回す余裕はない…一気に畳みかけるぞ>

 

人修羅に続くようにして地球に戻っていく一行は勝利の余韻に浸る暇もなく次の行動を起こす。

 

彼らが向かうのは世界に点在したニュクスの屋敷であり、そこを拠点に活動するのだろう。

 

しかし人修羅の表情は勝利したというのに曇り切っている。

 

(ほむらは自分の正義しか求めない…だから自己批判も生まれない。それが正義の恐ろしさだ)

 

修羅を表す阿修羅は正義を司る神といわれ、天空神である帝釈天は力を司る神。

 

暴君でもある帝釈天が阿修羅の娘を奪い取ったことで両者は戦争状態となってしまう。

 

娘を誘拐した悪を懲らしめる事しか頭にない状態となった事で、阿修羅は正義の暴走を起こす。

 

目的のためなら蟻の如き存在など踏み殺し、大量虐殺しても構わないという独裁者となる。

 

(正義は十字軍と同じだ…善悪二元論を利用し、悪者にした連中を滅ぼし、自分達だけ救う)

 

阿修羅は正義ではあるが戦いを挑むうちに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

たとえ正義側であっても、それに固執し続けると善心を見失い、()()()()()()()

 

その在り方こそが魔法少女の虐殺者時代を築いた人なる阿修羅である嘉嶋尚紀の姿だった。

 

(ほむら…お前も同じさ。赦す心を失い、レズビアンの正義しか求めないなら妄執の悪と化す)

 

右翼連中だろうが左翼連中だろうが、寛容な心を失えば独善しか求めなくなっていく。

 

アニメや漫画やゲーム表現は犯罪と悪の温床だと勝手な正義を掲げながら規制するのと同じ。

 

何かを悪にすれば勝手な暴力や悪政を正当化出来るし、それに逆らう者達はヴィランに出来る。

 

宗教戦争の頃から変わらない善悪二元論と同調圧力によって永遠の潰し合いが生まれてしまう。

 

それを恐れて片方を潰せば平和など独裁であり、独裁を憎むくせに己の独裁は望む矛盾と化す。

 

ミイラ取りがミイラになる現象を生み出す呪われた概念こそが正義であり、()()()()()()()

 

この概念構図こそがLAW勢力とCHAOS勢力が繰り返してきた光と闇の善悪二元論戦争だった。

 

(分かり易い正義で世界を測るのは楽だろう…だが先にあるのは自分が憎んだはずの悪だけだ)

 

右翼思想を持つ人修羅でさえ自己批判を続けなければ左翼思想の暁美ほむらと同じになる。

 

心のバランスを保つのは一生の課題であり、NEUTRALの道とは極まった綱渡り状態。

 

自制心を働きかける行いこそ自己批判であり、正義という悪魔を抑える唯一の対抗手段だった。

 

────────────────────────────────

 

欧米の金融街にばら撒かれたウイルス攻撃によってペーパー資産が崩壊していく。

 

ある日、突然データで管理されていた預金情報が全ての金融機関で0にされたらどうする?

 

起こるのは勿論信用崩壊であり、人々は預金保証しろと金融機関に抗議しに行くだろう。

 

その規模は超膨大であり、かつて類を見ない程の惨劇によって金融街が完全崩壊するのだ。

 

信用不安による債券や株式市場の暴落、人の体なら心臓が止まって血液が回らない状態だろう。

 

国家の血液である金融が崩壊すれば脳を司る政府だけでなく、生命線となる臓器もダメになる。

 

リーマンショックの時に崩壊しかけた金融は各国政府の量的緩和策によって辛うじて延命する。

 

延命のために大量の資金供給によって市場はバブル化するが実体経済には結びつかない。

 

国や中央銀行は金融崩壊を防ぐための施策はやり尽くし、供給資金も使い果たした状況だ。

 

そんな時に超ド級の金融崩壊が起きれば策や資金のない中央銀行は金融機関を助けられない。

 

超巨大化したバブル金融システムの崩壊に対して抗う術を持っていないのだ。

 

リーマンショックの時にはアメリカ5大投資銀行でさえ耐え切れずに崩壊している。

 

ならば今回の金融街攻撃によってイルミナティの土台を成した銀行組織は全て崩壊するだろう。

 

金融が崩壊すれば経済も崩壊し、傘下の多国籍企業を纏めたユダヤ財閥も無事では済まない。

 

各国政府は対応に追われていき、世界で暗躍する反乱軍テロリストを攻撃する余力は無くなる。

 

「残された牙城は各国中央銀行のみだ。政府と中央銀行を我々が奪い取り、新たな紙幣を生む」

 

「民間に奪われた紙幣発行権を取り戻すには政府紙幣が必要…だが相応の担保が必要だぞ」

 

「そのために俺の両親達が残した隠し財産をお前達に託そう」

 

独自の発電設備によって稼働する巨大バンカーのエレベーターに乗っているのは尚紀達である。

 

黒のダブルボタンスーツを身に纏う彼の後ろにはオオクニヌシやゴトウ一等陸佐もいる。

 

ゴトウの隣には織莉子の叔父であり元環境大臣でもあった美国公秀議員の姿。

 

彼は身を隠すようにして政界や美国家から消えており、多神教連合と合流していたようだ。

 

「本当にこの奥にあるのですか…?日本の中央銀行が発行した紙幣の総数を上回る金塊が…?」

 

「そうだ。俺の両親が死ぬ前に残してくれた膨大なゴールドで金本位制度を復活させてくれ」

 

「日本にこのようなバンカーを建造していたのは驚いたが…それ程の金塊が眠っていたとは…」

 

「アメリカにはここを超えるバンカーと金塊が眠っている。クリシュナ達には既に託し終えた」

 

「私にも託してくれるのだな…人修羅。それ程までに我々を信頼してくれるというのか…?」

 

「オオクニヌシ…お前達こそが新たな世界を作らなければならない。俺達はその糧となろう」

 

「何という自己犠牲精神…人修羅殿は兜に愛の文字を掲げた直江兼続のように見えてくる…」

 

直江兼続とは戦国時代の武将であり、上杉謙信に仕えた歴史人物。

 

彼は義に生きた武将であり、謙信の遺志を受け継ぎ、上杉家の家督を巡る争いを避けていく。

 

権力を握る欲望を求めず、上杉景勝を支えるために尽力した義の武将として名高い存在だ。

 

彼が兜に掲げた文字とは愛であり、煩悩を捨てる離愛金剛と呼ばれた愛染明王の頭文字だった。

 

「ゴトウだったな?お前達のように国の金融支配に気が付いた軍事勢力も必要だ…後を頼むぞ」

 

「心得ております。自衛隊への根回しは進んでおります…命令あれば即座に動けますので」

 

「勝てる布陣を用意しなければ軍人も動けないだろう…必ず負ける戦争などしたくないからな」

 

「恥ずかしい話ですが仰る通りです…三島由紀夫がいくら叫んでも人々が動かなかったように」

 

「勝ち馬に乗りたいというのならそうさせてやる。望むものを与えなければ人々は動かない」

 

薄暗い通路を超えていき、機械仕掛けの両開き扉の開閉装置に暗証番号を入力。

 

扉が開くと同時に超巨大な空間のライトが点灯していき、中に入った者達を驚かせていく。

 

「こ…これ程のゴールドの数…私は生まれてこのかた見た事がない……」

 

眼鏡を押し上げる美国公秀達に見えたのは積み上げられた膨大なゴールドの数々。

 

それらが敷き詰められたのは巨大空間全域であり、一体何トンの金塊があるのか分からない。

 

日本でこれだけの規模ならばクリシュナ達に託したアメリカの隠し財産はそれを上回るだろう。

 

「日本政府を奪い取り、新たな軍事政権を築いた後はこれを国庫に移せ。新たな紙幣の担保だ」

 

「金融崩壊した世界の自衛手段は物質的な財産だ…ゴールドこそ最高の物質財産となるだろう」

 

「金塊を独占する事は許さない。これは日本人とアメリカ人の未来を築き上げる投資なんだ」

 

「分かっている…それでも救えるのは日本とアメリカの未来だけだ。他の地域まで支えられん」

 

「だろうな…だからこそ俺は悪魔となろう。ダボス階級の物質財産を略奪し、国庫に寄付する」

 

「まさに大魔王の所業…だからこそ世界を征服し、各国に独裁政権を築き上げる必要があるな」

 

「俺達もイルミナティも共に極悪人同士…優先する連中を違えただけで、中身は同じなんだ…」

 

「それでもお前には義の精神がある…自分達だけで世界の富を独占する金融資本家ではないぞ」

 

「俺は唯物主義者ではない。国々を築き上げたのは民衆あっての成果…だからこそ優先したい」

 

国家だけでなく企業も同じであり、社長や株主だけで企業利益を生み出すことなど不可能。

 

奴隷として扱ってきた労働者こそ利益を生み出す本物の宝であり、だからこそ守る必要がある。

 

それを理解している人修羅は独裁者でありながらも民衆を救ってくれるホワイトカラーな存在。

 

悪魔の如きブラックとメシアの如きホワイトを兼ね備えた陰陽太極図の精神を宿す矛盾存在だ。

 

「強者だけで生きられる程、世界は甘くない。弱者も強者を守ってくれる…()()()()()()()

 

刀の鞘は刃先を鋭利に保つために保護するとともに、刃が周りを傷つけないように隔離する。

 

権力を象徴するように鞘は優美となるが、強者となる刀は守ってくれる存在の上で成り立つ。

 

それこそが世界の在り様であり、強者だけで存続出来ることなど有り得ない。

 

これは魔法少女至上主義者も同じであり、差別した人間が支える土台の上で生活してきたのだ。

 

「鞘の無い刀など摩耗の果てに折れるのみ…これは国家や企業も同じだ。だからこそ俺は守る」

 

「資本が全てにされた資本主義世界の代表はこれを忘れてる…資本家ではなく労働者こそ宝だ」

 

「フェミニズム問題も同じだな…女だけで生きられる程甘くない。労働をする男が必要なんだ」

 

「唇亡びて歯寒し…この弊害は金融資本家も理解している。だからこそAIやロボットを求めた」

 

「労働者の命運は21世紀で終わるかどうかの瀬戸際なんだ…か弱い者達のために俺は戦おう」

 

牙無き民とは刀の鞘であり、鞘を守るためにこそ刀があり、鞘は刀と共に存続していける。

 

刀の如き強者はそう在るべきだと信じる尚紀の在り方は魔法少女の虐殺者の頃から変わらない。

 

牙無き民の牙となる道を貫くため、彼は自己犠牲を繰り返して摩耗し尽くす時がくるだろう。

 

刀の如き男の未来を心配するのは男の股間の刀を収める鞘とも呼べるだろう女達。

 

地上に帰還した尚紀達が車に戻ってきた時、待っていたのはクレオパトラと織莉子である。

 

「啓明結社の牙城であるIMF解体と中央銀行奪取…世界の闇金首領を倒した果てに何を望む?」

 

「望むのは各国が通貨を発行出来る権利だ。世界統一政府、世界統一マネーを狙う連中を倒す」

 

パンデミックを利用して世界統一を狙う鬼畜欧米財閥の犠牲者の例を上げるならイラクだろう。

 

豊かだった国が欧米ユダヤ財閥の通貨発行システムに加わらないから国ごと壊されてしまう。

 

「世界統一マネーをデジタル通貨にしてみろ…サイバー攻撃にあったらどうする?」

 

通貨入出金管理も全て追跡出来る世の中になり、反国家主義者の財産は凍結されてしまう。

 

独裁政府を操る国際金融資本勢力に個人の財産を根こそぎ奪われ、持ち逃げされてしまう。

 

これはクラウドファンド詐欺に似ており、だから暗号資産は一通貨にしてるのだ。

 

「俺が望む金融とは()()()()()()と同じ形だろう。利子の取得を禁止し、無利息で金を貸す」

 

イスラム法もまたキリスト教と同じく利息を取ることを禁止しており、その法で銀行を動かす。

 

無利子の金融機関として運営され、ヘッジファンドや先物取引のような金融悪事を認めない。

 

イスラム法の認める範囲内で利潤を最大限追求し、現代資本主義に適用することを目指す。

 

神の法と金融知識を備えた法学者である評議会が運営し、評議会勧告に従って金融活動を行う。

 

まさに神を守護神として運営する金融組織の在り方であり、多神教連合の神もそれを望むのだ。

 

「銀行利息こそがロスチャイルドが生んだ世界支配の手口…だからこそ俺はその支配を…」

 

「そうじゃないんです…尚紀さん自身の未来は何を望んでいるのかを聞きたいんですよ…」

 

「お前ら……」

 

話が長くなりそうなので他の者達を車に乗せた後、尚紀達は離れた場所で密談を行っていく。

 

「私は多神教連合から送り込まれたスパイ…アスラを監視する役目も終わったから望みがある」

 

クレオパトラは自分が諜報員であったことを自ら暴露した上で自分の望みを語っていく。

 

「私の望みはエジプトの復活よ…それには神の権威が必要なの。私と…結婚してくれない…?」

 

世界革命を成し、世界の金融支配を終わらせることが出来たなら人修羅は世界を救ったメシア。

 

その存在をエジプトに取り込み、エジプトこそが世界を動かす神の国としたい目論見がある。

 

「私も尚紀さんと添い遂げたい…売国一族である美国家を救うなら、メシアの権威が有効なの」

 

公秀から政略結婚を勧められている織莉子は一族を救う気持ちだけでなく自分の気持ちもある。

 

生体エナジー協会から救ってくれた恩人であり、尊敬出来る男を求めたい女の恋心もあるのだ。

 

「この子も落ちぶれた自分の一族を救いたいようね…私も同じよ。カエサル…私を救って頂戴」

 

「美国家の者としての願いだけでなく私の願いもあります。私…尚紀さんを心から慕ってます」

 

女達が求めるのは打算と愛情であるのだが、頬を染めながら目を潤ませる。

 

女の色香を武器にして要求を通そうとするが、自由を求める混沌王は首を横に振ってしまう。

 

「お断りだ。自分の一族を救いたいなら自分達の力で成し遂げろ」

 

「そ、そんなぁ!?やっぱり私を捨てる気なのね…?かつてのガイウスと同じように!!?」

 

「そんなつもりはない、俺に尽くしてくれたなら最大限の援助はするが…添い遂げる気はない」

 

「どうしてなの!?私はクレオパトラなのよ…世界三大美女を妻とする名誉が欲しくないの!」

 

「地位や名誉、権威や権力、そんなものに縋りついた時点で…そいつは自由とかけ離れるんだ」

 

「私は尚紀さんを美国家の奴隷にするつもりなんてないです!私は本気で貴方の事が……」

 

「俺を英雄だのメシアだのと祀り上げる奴らは許さない。俺は人類に多大な犠牲を強いる悪魔」

 

――大魔王なんだよ。

 

恐ろしい顔つきを浮かべてくる威圧感は大魔王ルシファーそのものに見えてくる。

 

体が震えてしまう女達は彼が何を求めているのかを理解してしまい、恐れた通りになるだろう。

 

彼は自らが犯す大罪の十字架に磔にされた後、ゴルゴダの丘で処刑されることを望む悪魔。

 

全人類が犯してきた罪ごと燃やされ、天に帰ることを望む自己犠牲のメシア。

 

それこそが新たな大魔王となる人修羅の在り方であり、その未来は破滅そのものなのだ。

 

「嫌よ…そんなの嫌ぁ!!私になんてできっこない…私は男の権威に縋りつく弱い女なの…!」

 

涙を流しながら泣き崩れてしまうクレオパトラや織莉子であるが、膝をついた男が肩に触れる。

 

「自分を過小評価する必要はない。お前は誇り高いファラオの一族の女…俺は空で見守ろう」

 

「お願いします…私を救って頂戴!貴方様こそが新たなラーなの…太陽神として守って頂戴!」

 

「太陽は天に在る…俺も同じだ。お前達は胸を張って生きろ…未来を築く知恵を求め続けろ」

 

「グスッ…エッグ…ッ!!こんなに大好きなのに…ヒック…行っちゃうんですか…尚紀さん!」

 

「俺が女に残してやれるのは子種じゃない…知恵の種だ。男は須らく農夫…そうあるべきさ」

 

感極まった女達が尚紀に抱き着き、彼もまた己の未来を心配してくれた女達を抱きしめていく。

 

深い深い森の中で続く光景を見守っていた男達は踵を返して車に戻っていく。

 

「女達に知恵を残す蛇か…人修羅もまた知恵の蛇なのだ。これから人々は荒地を耕す事になる」

 

オオクニヌシの横を歩くのは美国公秀であり、顔を俯けながら尚紀の未来を心配してくれる。

 

「美国家再興の望みもある…だがそれだけじゃない。織莉子と結婚させるのは彼を救うためだ」

 

公秀が憂う未来とは世界のメシアとなった人修羅が迫害される日。

 

世界を救う大戦争の末に人類の大半が死滅した責任を追及され、弾圧されることになる。

 

狡兎死して走狗烹らる(こうとししてそうくにらる)…英雄は常に悪にされる。だから大衆化させる色仕掛けがいるんです」

 

「人間は化け物に殺され、化け物は英雄に殺され、そして()()()()()()()()()()()…」

 

世界征服した金融モンスターを滅ぼしたなら、今度はそれを滅ぼせる程の化け物がそこにいる。

 

大魔王を倒した勇者が人々からモンスター扱いされながら迫害される光景と同じ。

 

これは人間の歴史で何度も起こっており、秦の白起と漢の韓信、劉邦もそうだろう。

 

強力な敵が迫ってるのに足の引っ張り合い、有力な将軍を粛清して滅びる国の歴史がある。

 

革命の英雄が結局は独裁者になって人民を虐殺する歴史ですらよくある話。

 

そんな歴史ばかりが残されている人類の連続性を知る公秀は彼を守ろうとしてくれたのだろう。

 

「英雄色を好むとは()()()()()()()()()()()…名もなき大衆が望む象徴化こそが英雄を救う」

 

「人格ある個人を愛する事は英雄には許されない、万人を愛さない英雄を大衆は求めないか…」

 

「英雄は恋人や家族を犠牲にしてでも民を救うべきだという格言なのですよ…」

 

「ある種の公平性が英雄にも求められる…英雄を俗物化させ神格化させない引っ張り合いだな」

 

「英雄も本当はスケベなんだ。それぐらいの()()()()()こそ、偏りがない大衆の求めなんです」

 

「例え姫だろうと村娘だろうと名もなき大衆が望むシンボルに出来れば…英雄も救われるか…」

 

英雄や勇者など戦場でしか求められず、それが終われば社会のゴミ。

 

戦場以外に生き甲斐や存在価値を見つけられなければ英雄や勇者は社会悪にしかなり得ない。

 

「迫害するのに合理的な理由なんて無い…弱者は無条件に守られるべき善なる生物ではない…」

 

「だからこそ織莉子と添い遂げさせ、大衆が求める俗物的な象徴を用意する公平さを求めたか」

 

()()()()()()()()()()()()()()()。そのツケは必ず払う時がくる…だから支えが必要でした」

 

人間には理性があるが、そこまで理性的じゃない。

 

英雄色を好むとは万人の価値観である()()()()()()()()()()

 

人修羅が人格あるダンテの道を求めようが、万人の俗物価値観に合わさない人修羅はいらない。

 

英雄は家族と同じ程価値ある人格者の教えを犠牲にしてでも万人の俗物心を優先しろとされる。

 

だから人修羅は受け入れられず、スパーダの道を求めたダンテの高潔さも人々は受け入れない。

 

「英雄の居る世界は悲惨だが、()()()()()()()()()()()()()()()()でしかないのだろうな…」

 

「彼もその事は分かっているのでしょう…だからこそ…彼は天に昇ると言ったんですよ…」

 

「本当に報われないな…英雄やメシアと呼ばれる存在達は……」

 

功績ある者を厚遇しないどころか迫害する。

 

それこそが人の心がない堕落した愚民の集団心理であり、愚かを極めた人間の歴史。

 

英雄のいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸。

 

それはヒーローやメシアに依存するだけの堕落世界であり、個の確立を阻むもの。

 

人々の解放を求める人修羅は個の確立を望む者であり、それを阻む存在こそが人修羅の権威。

 

だからこそ太陽は天に在るべきだとし、焼かれて滅びる末路を人修羅は望む。

 

神に依存せず、知恵という力を求めながら人類は団結して欲しい願いだけを残すのであった。

 




仮面ライダークウガの歌の歌詞には「英雄は一人だけでいい」とありますが、英雄なんて求められない世界が続いた方が人類は幸せだって意味だと個人的に思ってます。
デビルメイクライ5のダンテが魔界に消えたのも虐げられるヒーローの末路を避けるためだったのでしょうし、ダイの大冒険のダイも同じですな(汗)
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