人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
ヨハネ黙示録において子羊が七つの封印を解いた時、世界はどうなったと描かれるのか?
第一の封印が解かれた時、白い馬に乗ったホワイトライダーが現れる。
これは反キリストの誕生を表し、カナン族や白人ユダヤを表す民族概念なのだろう。
第二の封印が解かれた時、赤い馬に乗ったレッドライダーが現れる。
レッドライダーは戦争を司る存在であり、世界規模で大勢の人々が死ぬ戦争を起こすだろう。
これは戦争ビジネスを繰り返した国際金融資本家であり、赤旗を掲げる人修羅の軍勢でもある。
人修羅達が世界の金融を崩壊させたため、金融・経済が麻痺することになるだろう。
世界は失業者で溢れ返り、債券や株式市場は暴落し、大恐慌時代へと突入していく。
世界恐慌は豊かな国と貧しい国の両方に壊滅的な影響を与えた歴史事件として名高い現象。
投資も生まれずハイパーインフレーションによって極限の物価高地獄に突入するのだ。
これこそが第三の封印が解かれた状態であり、黒い馬に乗ったブラックライダーが現れる。
世界中が食料やエネルギー不足といった大飢饉地獄によって大勢が路頭に迷い出す。
世界中から預金情報が消されてしまったため、残された価値あるものは物質的なものばかり。
売買が出来なくなったなら世界の人々は略奪者となっていき、自ら滅びを生む末路となる。
中でも酷い状況となっているのは日本であり、あの事件以降に世界から制裁を浴びせられる。
あらゆる経済封鎖を強行され、貿易で生きてきた日本は食料もエネルギーも入ってこない。
これはバアルの報復であり、ディープステートを無理やり動かさせて制裁を課したのだろう。
今までの食糧やエネルギーなど直ぐに使い果たし、電子マネーすらウイルスで崩壊している。
残されたのは略奪者で溢れ返った地獄の日本であり、人々は地獄の飢えに苦しむ末路となる。
それだけでは終わらず、バアルは日本を滅ぼすために国際連合を動かすことになるだろう。
国津神達が日本のディープステートを倒した際に動かせる国連軍を編成するのであった。
……………。
「ヒャーハッハッハァ!!奪え奪え!!残らず俺達のもんだぜぇ!!」
「腐れ日本政府の統制物資だけで生きていけるかぁ!!殺される前に奪ってやらぁ!!」
食料もエネルギーも十分に回されなくなった日本の都市部は経済が完全に麻痺している。
道路には民間車両は通らず、警察車両のような公務関係の車両だけが統制物資で動かせている。
人々は僅かな備蓄を奪い合う殺し合いの時代となり、弱者は大通りでリンチされていく。
「や、やめてくれぇ!!この缶詰は物々交換でようやく手に入れた食料なんだぁ!!」
道路で倒れ込むのは腹を空かせた家族のために闇市で売り出された高額な缶詰を買った男の姿。
統制物資時代となったのを逆手に取り、政府に奪われる前に食料等を貯めた者達が闇市を開く。
法外な値段で売りつけられるしかない食料をようやく買えた男を襲ったのは略奪者達なのだ。
「バカな連中だぜ!闇市で法外な値段の商品を物々交換するより、奪った方が楽なのになぁ?」
「私を襲うぐらいなら…腐れ政府が回収していった統制物資を奪いに行けよ!!」
「ハァ?お前バカなの?俺達は楽な方法で生き残りたいんだよ」
「そうそう、警察に襲われて殺されちまうより、弱い奴らから奪った方が効率いいし」
「この卑怯者の権威主義者共がぁ!!御上にはヘーコラして弱者しか襲えない腰抜けめぇ!!」
「なんだとオッサン!?どうやら死ぬまで痛めつけられたいようだな?そうしてやらぁ!!」
ボコボコにされた末に僅かな食料を奪われた男は這い這いの状態で路地裏に逃げ込んでいく。
彼を助ける者など何処にもおらず、街中の至る所で同じような略奪光景が広がっている。
日本の秩序は既に崩壊しており、独裁日本政府は日本人達を完全に見捨てているのだろう。
「くそぉ…何でこうなった…?仕事も未来も全部無くなった…もう日本はおしまいだぁぁぁ…」
僅かな蓄えで手に入れた食料も失い、怪我をしても統制物資として医療品も回収されている。
人間が生きていくために必要な物資は全て統制され、公務員だけが利用出来る悲惨な状況。
それに業を煮やした男もワクチン接種者であるため、飢餓の感情エネルギーが爆発してしまう。
「ヒッ…ヒヒヒ…アイツらの言う通りかもな…真面目に生きたって…もう報われないんだ…」
精神から生み出される飢餓のMAGに狙いをつけた魔界の悪霊が男に取り憑いていく。
肉体が膨張して肉塊のように巨大化し、悪魔の姿を形作ってしまうのだ。
「そうだ…殺して奪えばいい!死体から盗む方がずっと簡単だからなぁ!!」
【サンショウ】
中国の山中に棲むとされる樹木の精であり、鬼や妖怪でもある。
背が高く、熟した瓜のような顔色でらんらんと眼光を輝かせ、口はまばらな歯が生えている。
夜になると人里に降りてきて暴れたり女を襲う妖怪であり、非常に怪力であった。
「オラァ!出てこい糞商人!テメェらが法外な値段で売ろうとする品…全部奪ってやらぁ!!」
非合法な闇市が開かれている場所に再び現れた存在とは瓜の頭部に歯が生えた妖怪。
か細い体は蜃気楼のように揺らいでいるため幽霊の類に見えるだろうが物質でもある。
<<ヒギャァァァァァーーーーッッ!!!>>
恐ろしい悪魔の異界に取り込まれた闇市商人達は逃げ出すのだが、次々と殺されていく。
「ヒャーハッハッハァ!暴力が無ければ何も手に入らない時代でも…俺は生きていくぜぇ!!」
この悲惨な光景は神浜だけでなく日本全国に広がっており、世界中も同じようになっていく。
もはや地上が魔界なのかと疑ってしまうぐらい人々が悪魔と化していくのだ。
そんな中、息を殺して生きるしかないのは神浜の魔法少女達である。
彼女達は尚紀が用意した最後の駆け込み寺のお陰で飢えずにいるが、それも時間の問題だろう。
用意した水と食料、エネルギー備蓄も有限であり、畑や生産設備があるわけではないのだ。
彼女達は毎日震えながら屋敷のテレビに流れ続ける自動放送や緊急放送だけを眺める毎日。
「偏向メディアめ…静香さん達がやった破壊行為だけを切り取って悪者に仕立て上げる!!」
「それが連中の狙いヨ…あきら。善悪二元論を利用して正義と悪の戦いに落とし込む扇動ネ」
消費電力を抑えるために薄暗い明かりの中で生活する美雨とあきらは悔しそうにテレビを見る。
映る映像とは時女一族が売国政府軍と戦う光景だが、テロリストとして報道されてしまう。
彼女達がどうしてテロリストにならなければいけなかったのか、原因の追及すら報道しない。
映し出されるのは時女一族が殺した兵士達の家族の悲惨な嘆きであり、同情心を操っていく。
切り取った偏向報道によって愚民を善悪二元論に落とし込み、日米の兵士を正義の味方にする。
これこそが戦争ビジネス手口であり、現代の戦争とは政府とメディアが自国民に仕掛けるもの。
戦争の原因を報道せず、戦う相手側の蛮行だけを切り取った結果論だけの報道しかしない。
何故なら愚民は情報の検証を自分なりに行わない、鵜呑みしかしない愚者だと知ってるからだ。
これは誰でも陥る思考の罠であり、人修羅ですら結果論だけで魔法少女を断罪した過ちもある。
「静香さん達の戦闘はレジスタンスの戦いです…だけど印象なんていくらでも操作出来る…」
「印象操作によって正義側ですら悪者にすり替えられる…私達だって民衆に虐げられました…」
怯え抜く常盤ななかと夏目かこも美雨達と共にテレビを見つめるだけの生活を送っていく。
責任感の強いななかは無力な己を呪い抜き、残してしまった家族の身を考えただけで絶望する。
恐れと不安は絶望を生み、悪魔少女達が魔法少女の絶望を毎日吸い上げるしかないのだろう。
「ごめんなさい…常盤さん。こんな地獄の時代で魔法少女社会の長を任せてしまって…」
ななかの隣の席に座っていた七海やちよと都ひなのは申し訳ない気持ちでいっぱいの顔つき。
ななかだけに長としての負担を押し付けてしまい、長の責任で潰そうとしているからだ。
「謝るのは私の方です…やちよさん。私は無能な長です…魔法少女も家族も救えなかった…!」
涙を流しながら絶望するななかのソウルジェム指輪から絶望の穢れが生み出される。
慌てた雪野かなえが席を立ち上がり、彼女の絶望をエナジードレインで吸い出してくれる。
やちよとひなのも立ち上がり、ななかの隣に座りながら彼女を抱きしめてくれるようだ。
「安心して…私達がついている。長としての負担は共に背負えるわ…一緒に耐え抜きましょう」
「お前を責める奴がいたならアタシも責められてやる。アタシだって皆を守れなかったんだ…」
「グスッ…エッグ…ッ!!みんな…私なんかを優しくしてくれて…私…わたしぃぃぃ…ッ!!」
泣きじゃくるななかの姿を見ているとかこだけでなく、他の魔法少女まで貰い泣きしてしまう。
ななかが語った通り、この場にいる魔法少女達は家族を見捨てて逃げ出してきた者達。
最初から家族がいない静海このは達のような少女ならいざ知らず、家族の安否に怯えるのだ。
「彼女達の家族については蒼海幇に任せるネ。ここに来る前に新しい長老に頼んであるから…」
「そうは言っても家族の心配をするのが子供の務めだよ…。それより…本当に大丈夫なの?」
「蒼海幇は互助組織として多くの協力企業がいるヨ。だから生活物資も沢山あるようだけど…」
「含みがある言い方だね…?何か疑問を感じているの?」
「その物資…一体何処に蓄えていたのか長老は語らなかたヨ。だけど信じて欲しいと言たネ…」
「蒼海幇の新リーダーさんは神浜の互助組織だけでなく、他の組織とも繋がりがあるの…?」
「そう考えるのが自然だと思うネ。蒼海幇と強い関係を築いた存在はもしかして…ナオキカ?」
考え事をしていた時、大慌てしながら部屋に入ってきたのは安名メルである。
「た…大変なんです!さっき予知が視えたんですが…多くの悪魔達がここに攻めてきます!」
それを聞かされた少女達の顔が一気に青ざめ、屋敷の主人を代理する男の元にも報告に向かう。
メルが視た予知とは悪魔化した暴徒の群れが屋敷にやってきて略奪を始める光景なのだ。
高級住宅街である北養区の富裕層達も略奪対象にされ、多くの屋敷で火の手が上がっている。
「ギャーハッハッハァ!!長年神浜デフンゾリ返ッテタブルジョアヲ略奪スルノハ最高ダゼ!」
「マッタクダナ!ダケドヨォ…オレハモウ人間ノ食事ナンカヨリ…人間ヲ喰イタインダヨォ!」
「気ガ合ウジャネーカ?オレモソウナンダヨ……オレサマ、オマエラ、マルカジリ!!」
悪魔化した暴徒達の体は既に緑色の肌をした亡者であり、食人鬼と化している。
【グール】
アラビアの食人鬼・吸血鬼の一種であり、死体に悪しきジンが宿って動かしているという。
アラビアンナイトでは毛深くて肌が黒い人間で描写され、女性のグールはグーラーと呼ばれる。
彼女達は非常に美しく男どもより活躍の場も多いが食人の慣習は同じだった。
「アー…腹ガヘッテタカラ肉ノ味ガタマラナイワァ!人肉ッテコンナニ美味ダッタノネェ!」
「ダケドサァ…モットカグワシイ匂イヲ感ジチャウノヨネェ……」
「オレモカンジテタゾ…コノMAGノ匂イ…間違イネェ、魔法少女共ガコノ付近ニイルゾ!!」
「魔法少女…ソウルジェム…喰イテェ…クイテェ…オレガ一番乗リダァァァァーーッッ!!」
暴徒と化したグールの群れが尚紀の屋敷方面に目掛けて大挙しながら駆けてくる。
動きを事前に掴むことが出来た者達は屋敷の庭に集まり、全員が戦闘状態となっているのだ。
「なんて数なんですかぁ!?こんな数では私のメイド達の防御結界では持ち堪えられない!」
屋敷の門前で防御結界を展開するメイド魔法少女達であるが、突破されるのは時間の問題。
覚悟を決めたクーフーリン達は武器を構えていき、結界が破られた瞬間に突撃していく。
「尚紀が守ろうとした魔法少女は守り抜く!たとえ世界が絶望であろうと…私の心は折れん!」
「同じ気持ちですよ!!私達は絶望には負けない魔法少女として…最後まで抗います!!」
<<オオォォォォォォォーーーーッッ!!>>
果敢に攻め込み、悪魔の群れを打ち倒そうとも絶望の波は留まることなく襲い掛かってくる。
魔法少女が大勢いる場所は宝の山であり、彼女達を襲って犯し、喰らいたい悪魔が雪崩れ込む。
逃げる場所もない者達は地上の屋敷を諦め、ペレネルの研究所区画であった地下に逃げ込む。
強固な守りを固めた地下での生活となるのだが、地上の屋敷は略奪されるしかないだろう。
備蓄を移し終えたバンカー生活となり、絶体絶命となった魔法少女達は絶望に飲まれていく。
神浜の至る所から火の手が上がっていき、略奪と死体が転がる景色しか残っていないからだ。
「グスッ…ヒック…レナ…もう耐えられない…こんな地獄の世界で…生きたくないよぉ…」
「エッグ…私も同じだよぉ…こんなことなら…魔法少女になんて…ならなければ良かった…」
「悪魔のような人間の在り方も歴史が証明してる…3・11の時の避難所も略奪が多かったの」
「
絶望に飲まれた親友達を抱きしめながら穢れを吸い出すももこの顔も絶望に飲まれかけている。
それは他の悪魔少女達も同じであり、祈る神がいない悪魔達は何に縋ればいいのか分からない。
「いつか世界が終わる日がくるのかもしれない…それはきっと…苦しみからの救いかもね…」
「そうかもしれないね…このは。だけどアタシは尚紀さんを信じたい…彼を信じたいの…」
「だけどあちし…もう疲れたよ…こんなことならみかげ達と一緒に行ってたら良かった…」
絶望に飲まれる女達の姿はまるで迫害された魔女達の光景に見えてくるかもしれない。
魔女達は一神教に迫害され、救いを求めるようにして逃げ延び、祈りを捧げた神がいたのだ。
「やちよ…さん……?」
絶望の表情を浮かべていたみたまが顔を横に向けてみれば、蝋燭の明かりの前で祈る女がいる。
祈っていたのは七海やちよの姿であり、屋敷の本棚で見つけた魔女の福音書の前で祈るのだ。
「私達では誰も助けられない…だったらもう…神頼みすることしか…出来ないじゃない…」
「やっちゃん……」
「悪政や戦争…どれも魔法少女では抑えきれない…だから私は祈りたい…神様に祈りたいの…」
「やっちゃんが祈ろうとしている神様は…どんな神様なんですか…?」
「私達は魔法少女…なら祈る神は一つしかない。私は祈るわ…円環のコトワリに祈りを捧げる」
健気に祈りを捧げ続けるやちよの姿に感銘したのか、他の魔法少女達まで集まって膝をつく。
両手を合わせながら祈りを捧げる存在こそ、アラディアもしくは魔女の福音書に登場する女神。
その女神こそが円環のコトワリの半身であるアラディアであり、鹿目まどかでもある。
彼女達は来る日も来る日も自分達の祈りが天に届くよう祈り続けるのであった。
────────────────────────────────
ヨハネ黙示録とは小アジアの諸教会のキリスト教徒に激励と警告を与えるために書かれたもの。
ローマ帝国の迫害に晒される七つの教会のようにして日本は迫害され、地獄にされてしまう。
反キリストのホワイトライダー、堕落と戦争のレッドライダー、飢饉のブラックライダー。
そして死体の青色を司るペイルライダーのような四騎士を表す地獄の如き世界こそが地上世界。
しかしそんな地獄とは無関係のような絶対管理都市が神浜の地下深くに存在している。
ここは世界に13存在するザイオン都市であり、日本のザイオンは稼働を始めているようだ。
選ばれた選民達や企業が稼働を始めていき、新しい都市国家を形成してくれる。
その中で暮らす選民の大半が日本土着民族ではない外国人ばかり。
そんな中で唯一日本人として移住出来た存在こそ、悪魔ほむらが守っている者達であった。
……………。
――わたしは、希望と共に。
新たなザイオン生活を送るのは豪邸を用意してもらえたまどかであり、自室で眠っている。
机の上でうつぶせ寝をしている彼女が着ているのは見滝原中学校の制服と同じもの。
彼女が視ている夢の景色こそ、アラディアが観てきた魔法少女達の物語の記憶。
――希望は、あなたと共に。
魔法少女として生きたまどかや、希望を求めた大勢の少女達の記憶の景色が巡っていく。
――あなたと叶えた奇跡はきっと、私達を導いてくれる。
夢の世界でまどろみながら繰り返される魔法少女の希望の世界。
それを与えるのはまどかを再び支配し続ける悪魔ほむらの呪いであり、救いでもあるだろう。
「まどか…みんな…どうか安らかに過ごしてね。そのために私は大罪を背負うのだから…」
朝焼けのような明かりを巨大ドーム世界に生み出す光景の上空で佇むのは悪魔ほむらの姿。
彼女は神々の戦闘という壮絶な戦場に赴く前にまどか達の姿を見ておきたかったのだろう。
ほむらは目を瞑り、ザイオン全体の光景に意識を集中していく。
彼女に見守られるようにして選民達の新たな日常光景が始まっていくのだろう。
「おはよう、鹿目さん」
「ヤッホー、まどか。今日は眠そうだね~」
「おはよう、さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん。夜に眠れなくて机で寝ちゃってたみたい」
「寝相の悪さはあたしと同じだなぁ?あたしも寝れない時はゲームしながら寝落ちしてるし」
「あんた達は寝る時はベットで寝る習慣を身に着けなさーい!」
<<アハハハハハハハハ♪>>
サイバーパンクのような都市を一望出来る高級住宅街には学校も存在しており、通学していく。
奇しくも見滝原中学校と同じ制服を纏って通学していくのは日本人ではない在日の少女達。
それでも同じアジア人であることから日本人との見た目の違いは左程なく、違和感もない。
違う部分は言語や文化だが、まどか達を含めた選民は記憶操作によって違和感を取り除かれる。
ここは価値観の違いによって争いを生まないよう絶対管理体制が敷かれている
まどか達は地上で暮らしてきたことも忘れさせられ、ザイオン市民としての生活を送る。
世界市民思想である共産主義秩序の元、ワンワールド市民としての人生を送るのだろう。
「皆さん!発酵キムチと非発酵キムチの違いは分かりますか?はい、そこの貴方!!」
学校の担任教師は男子生徒を指名して答えさせるが、男子は適当な発言をしてしまう。
「そう、どっちでもいい!皆さんは非発酵は食べたくないという男とは付き合わないように!」
眼鏡をかけた女教師も日本人ではない在日だが、まどか達は気にする事なく過ごしていく。
ここでは日本人だの外国人だのという明確な差異もなく、全員が世界市民化させられている。
そのため日本の文化は一部しか残らず、グローバルな光景と価値観だけが広がっているのだ。
これはイスラム化したヨーロッパの光景であり、他民族が他の地域を乗っ取った光景である。
まどか達を残して日本人は絶滅しかけている状態など気にもせず、毎日の堕落に埋没するのだ。
「ねぇ、鹿目さんは恋人を作らないの?」
高級住宅街にあるガラス張りのカフェの中では眼鏡をかけた緑髪の少女とまどかが向かい合う。
クラスメイトと一緒にお茶をしているようだが、唐突な恋バナのせいで顔を赤らめてしまう。
「えっとね…クラスの皆に遅れてるのは分かるけど…わたしはその…同性愛とかはちょっと…」
「どうして?同性愛はグローバルスタンダードなんだよ?いつまで性の区別に浸ってる気?」
「その…わたし…何だか違和感を感じてるんだ…わたし達の価値観は…こうだったのかって…」
「早く修正した方がいいと私は思うよ。危険思想家だとセンターに目を付けられちゃうしねぇ」
センターとはザイオンシティの中枢であり、都市全体を管理する行政区画である。
ここでは思想の自由は許されず、リベラルな共産主義価値観以外は排除されてしまうようだ。
「私は気になってる女の子がいるんだ♪エリーって愛称で呼ばれてる子なんだけど…」
延々と恋バナを続ける少女の話も遠くなっていく鹿目まどかは違和感を拭えなくなってしまう。
顔を俯けながら家路についていた時、日傘を差した暁美ほむらが佇んでいる。
「…どうしたの、まどか?」
笑顔を浮かべている彼女であるが異質な雰囲気を纏っている。
オリジナルのほむらとは違う色をした目をもつ暁美ほむらであり、違和感を増幅させるだろう。
しかし記憶操作魔法の呪縛によって違和感すら分からなくされたまどかは一緒に帰っていく。
「おかしな夢を見るようになったの?しかもまどかだけでなく、他の友達まで見てしまうの?」
「うん…さやかちゃんや杏子ちゃん、マミさん達まで変な夢を繰り返し見ちゃうんだ…」
まどかが語るおかしな夢の内容とは、希望のために戦う変身ヒロインになっているという夢。
まどかやさやか、杏子やマミはかつての魔法少女服とは違う衣装姿をしながら化け物と戦う。
そこにはほむらもいて、彼女もかつての魔法少女服とは違う衣装姿で戦っているのだという。
「フフッ♪私も変身ヒロインになっちゃうなんて夢のある話ね?そんな夢ならずっと見たいわ」
「だけどね…違和感を感じるの。わたし達はこんな生活をしてきたのかなって…」
「夢の話だから気にする必要はないわ。ここでは何の心配もする必要はない…安心しなさい」
まどかを家にまで送り届けた暁美ほむらと別れた彼女は自室に戻って再び机の椅子に座る。
残された暁美ほむらは蜃気楼のようにして消えてしまったようだ。
何の心配もするなとほむらはいうが、違和感を拭いきれない少女の耳に何かが聞こえてくる。
「えっ…?だ……誰なの……?」
まどかの耳に聞こえてきたのは地上の地獄で生きるしかない魔法少女達の祈りの数々。
祈る少女達の心は絶望の闇に沈んでおり、その叫びが円環の女神の心に届いてしまうようだ。
「私達は希望を守るために戦ったような気がする…だけどこの声には…希望を感じられない…」
苦しむ魔女達の祈りが津波の如く押し寄せてくるため、まどかは苦しみながら頭を抱え込む。
「こんなの…希望の世界じゃない…わたし達が求めた…希望の世界なんかじゃ…ない…」
そんな彼女の苦しみを感じ取った存在とは謎の暁美ほむら達である。
蜃気楼のようにして消えたほむらが戻った場所とはセンターを司る巨大行政ビルの屋上フロア。
膨大な書物が積み上げられたようなデジタル空間の奥には玉座となる椅子が備わっている。
玉座の椅子は不気味であり、編み棒で周囲を飾り立てた異様さを周りに示す。
そこに座った謎のほむらの周囲には別のほむら達も立っており、その数は14体もいるのだ。
<<まだダメよ>>
全員が同時に手を叩けばザイオンシティで暮らす少女達の記憶が再び捏造されてしまう。
「あ…あれ……?」
先程まで聞こえた気がした魔法少女達の悲痛な祈りの記憶は消えており、ポカンとしてしまう。
「わたし…何かが聞こえたような…気のせいなのかな…?」
再び鳥籠に囚われた鹿目まどかは女神としての使命を思い出せないまま悪魔に支配されていく。
その光景を見守るのはオリジナルのほむらであり、支配は上手く機能してると確信するのだ。
「あの子達も記憶操作魔法を行使出来るようになったようね…なら、任せても大丈夫よね…」
謎のほむら達の正体とは再び生み出されたクララドールズであり、魔女の使い魔は魔女となる。
悪魔から生み出された分霊のようなほむら達もまた同じ悪魔となり、同じ力を行使出来るのだ。
「もう何処にも行かせない…誰のために生きる必要もない…貴女は貴女だけの幸せを求めてね」
黙示録で壊れそうな終末世界でも、まどかがいてくれるなら私は幸せ。
大勢の人々が地獄によって命が潰えていこうが私は幸せ。
花のように回る時を繰り返し、夢の世界で優しい歌をずっと歌ってくれるのが私の幸せ。
「私って…本当に嫌な女ね。私もまた傲慢なルシファーなのよ…だから…私も裁かれてくるわ」
悪魔の夢はザイオンという箱庭の部屋で広がっていき、愛しい銀の庭となっていく。
ここが一番強く信じられる暁美ほむらの世界であり、愛しさが込み上げてくるのだろう。
上空で佇むように浮いていた悪魔ほむらは堕天するかのようにしてきりもみ落下していく。
「まだダメよ…♪まだダメよ…♪私に必要なのは…
美しい黒羽を舞い散らせながら堕天していく暁の星、それでも彼女の心は希望よりも熱い。
それこそが暁美ほむらの名であり、たとえ神の裁きによって落日することになっても戦える。
自分が滅びても独立したクララドールズがいるのなら、まどかを地上に残し続けられる。
そう確信した悪魔ほむらは地獄に叩きつけられるようにしながら地面と激突。
膨大に舞い散る黒い羽ごと消滅していくのだが、彼女は地上に戻っただけである。
地上こそが本物の地獄であり、悪魔の戦場であり、ハルマゲドンが繰り広げられる黙示録。
ならばこの地上こそが自分に与えられる罰であり、裁きを下す神々との戦場に向かうのだ。
「悔いはないわ……さぁ、行きましょうか、貴方達」
曇天の空の下は荒廃した戦場であり、向こう側にはギリシャの神々とその軍勢が広がっている。
迎え撃つ悪魔ほむらの周囲には増援部隊と合流したティタン神族の巨神兵達が並び立つ。
クロノスやティホンまで並び立つ光景こそティタノマキアやギカントマキアの光景なのだ。
傲慢な人生でもいい、人々から呪われる存在になってもいい。
それこそが、希望を信じていつか魔女になっていった魔法少女の人生なのであった。
せっかくのまどマギクロスオーバーなんだから勿論まどかも最終バトルに参加せにゃならんので、お膳立てをしておきます。
地獄みてぇ…な光景の元ネタは漫画のデビルマンなので、メガテンのデビルマンやまどマギのデビルマンレディの末路はやっぱり悲惨なのやも(汗)