人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
圧倒的に数で劣る時女一族と国津神勢力が日米連合軍に仕掛ける戦争とはゲリラ戦である。
ゲリラ戦は正規戦に対抗する不正規戦術であり、レジスタンス運動がゲリラ戦を向上させる。
少数の人々が知恵と地の利を駆使し、短時間で攻撃を加えては素早く姿を消す。
日本各地に点在する在日米軍基地と関連施設は攻撃を浴びせられていき、甚大な被害を被る。
巨大な基地を構築すれば多くの物資や人員、兵器を集積出来るが担いで逃げれるわけではない。
この弊害に対処するため基地の守りは固められるのだが、防御側は劣勢を強いられるだろう。
いつ襲われるか分からない状態での奇襲対処は難しく、ベトナム戦争でも甚大な被害を生む。
圧倒的な戦力を導入した米軍でさえベトナム戦争で敗戦してしまう程、ゲリラ戦は脅威。
圧倒的物量を投入しても敵軍の姿が見えないでは、圧倒的物量そのものが活かせないのだ。
日本そのものを焼き尽くす絨毯爆撃を行うわけにもいかないため、日米軍は追い詰められる。
このように圧倒的な物量を所有する軍勢が必ず勝つとは限らない。
軍勢とは攻める攻撃目標があるからこそ進軍出来るのであって、目標がないでは進軍出来ない。
戦う手段が限られる状況でさえ、逆転出来る可能性が僅かではあるが存在しているのであった。
……………。
青森県三沢市にある三沢空軍基地に向かうのは自衛隊の大型トラック車両の列。
米軍基地に運び込まれたデモニカスーツを自衛隊も運用するため受領しに向かっているのだ。
「俺達が戦う相手はただのテロリストじゃない…魔法が使えるテロリストだって話だろ…?」
「にわかには信じ難いが…デモニカスーツはそいつらと戦うために開発されたって話だろ?」
「そうらしいな…狐に摘ままれてる気分だよ。悪魔だの魔法少女だの…これじゃ漫画の世界だ」
「だが実際に被害を与えている存在は少数で米軍基地を襲った後、雲のように消えるんだぞ…」
「魔法を使う怪物が本当にいると想定して開発されたスーツを運用するんだ。好きにはさせん」
大型トラックを運転する自衛隊員達が会話を続けていると、妙な咳き込みが聞こえてしまう。
<<ゲホッ!ゲホッ!>>
「お、おい?なんか咳き込みが聞こえないか?」
「気のせいだろ…?」
<<わら…わら…排気ガス…いと苦しい…>>
「お、おい?なんかわらわらって聞こえないか?」
「脅かすな…怪談じみた敵を相手するからって、怪奇現象を感じる必要はないだろ…幻聴だよ」
この場で進化したデモニカスーツを纏っていたならエネミーサーチを用いて敵を発見出来る。
しかし彼らはデモニカスーツを受領しに向かう隊員達であるため、敵を見つけられていない。
厳重な守りを固めた在日米軍基地に入っていく自衛隊車両のお陰で警備を潜り抜けていく。
その光景を三沢市域の建物の屋上から見守るのは時女一族の巫部隊の者達。
狐半面を外した魔法少女が魔法の双眼鏡を持ちながら基地の守りを確認していく。
「周囲は物々しい警備ですね…正面突破は難しいでしょう」
「だからこそ内側から攻め落とす。オオヤマツミ様の奥様の力…拝見させてもらうわ」
巫部隊の指揮を執るのは土岐すなおであり、突撃部隊には青葉ちかの姿もいる。
「この三沢基地は北朝鮮やロシアからの守りであるはずだったのに…攻め滅ぼすだなんて…」
「北朝鮮なんて脅威のフリをさせられてるだけ。その証拠に
北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのに総理大臣はゴルフに行き、総理夫人はカラオケやってる。
閣僚は夏休みの外遊に出てるし、有事法の策定に関わる憲法審査会の面々まで呑気に休む。
これが日本の現実であり、遺憾砲ばかり垂れ流す光景からしてミサイルが落ちると考えてない。
何故なら
それらは軍事費等に充てられるところからして北朝鮮の本体とは日本の
「敵国の脅威を強調するくせに影では繋がり合うマッチポンプ…もう何も信じられませんよ…」
「北朝鮮を影で支援するからこそ日の本に高額兵器が売れる…あそこに並んでいるのもそうよ」
見えるのは日本人の税金で買わされたF35Aであり、ブラックボックス塗れの戦闘攻撃機。
日本がアメリカに立てつけば電子機器が使えなくなり、ゼロ戦時代に逆戻りする鉄屑兵器だ。
そんなものなどいらない、国の一次産業の補助金に税金を使うと言えてたら悲劇は起きてない。
統制物資時代を乗り越えられる程の兵站を賄う努力に繋げられる税金の使い方が出来ただろう。
「世界は
「
「世界は本音と建前の二層からなる…本当はアメリカと中国、北朝鮮は仲良しなグルなのよ…」
ニクソン時代からアメリカは中国に高度なハードウェアや技術を提供してると暴露されている。
国防総省の専用機が中国に直接軍事機材を搬入するケースすらあったと言葉を残しているのだ。
人民解放軍レーダーなどもこれで整備され、対ソ連の牽制国家として中国と同盟したのだろう。
対共産圏輸出規制委員会は骨抜きにされ、ハイテク機器と欧米技術力が中国に与えられるのだ。
21世紀の中国の発展とはアメリカのお陰であり、善悪に分かれて繋がる双頭の鷲共であった。
「日の本にとって本当の敵とは欧米を牛耳る国際金融資本なのよ…だからこそ連中の牙を折る」
会話を終えた瞬間、在日米軍基地で次々と爆発が起きていく。
それを合図として青葉ちかが加わった突撃部隊は夜の闇に紛れながら跳躍する。
狐面を纏ったちか達は忍者の如く建物の屋根を跳躍していき、在日米軍基地に侵入していく。
基地内では悲鳴を上げながら浮足立っている兵士達が消火活動を懸命に行っている。
しかし魔法が次々と炸裂していき、基地の内部で甚大な被害が起こるせいで混乱状態と化す。
「わらわら~!全てを金で繋げて悪事ばかりする卑しい者共じゃ!わらわは激おこなのじゃ!」
基地内で攻撃を繰り返す国津神とはオオヤマツミの妻神であり、体は藁人形で構築されている。
【カヤノヒメ】
日本神話に登場する草の神であり、イザナギとイザナミとの間に生まれた女神である。
その神名は屋根を葺くのに使われるカヤであり、人々にとって身近な存在であるだろう。
そこから家の屋根を葺く草の霊として草の神の名前となった。
「ゲホッ!車の下にしがみついてたら排気ガスばかり浴びせおって!未だに咳が止まらんぞ!」
「お母様、無理をなさらないでくださいませ。後はわらわ達にお任せを」
「な~にを言う!わらわはイケイケゴーゴーなのじゃ!可愛い娘と一緒に戦わせてたもれ~!」
「フフッ♪そう言って頂けると、わらわの炎も愛するお母様を守る激しい炎となりましょう!」
「頼むから…そなたの炎の巻き添えにはしないでたもれ。わらわはこう見えて繊細なのじゃ…」
(まぁ、全身藁なお母様ですしねぇ…火事は天敵ですわ)
天女の衣服を纏って宙に浮く藁人形の女神は藁の顔を怒らせながら魔法を放ち続ける。
娘のコノハナサクヤも母神に負けじと炎の魔法で基地を焼き払っていく。
風と炎の魔法によって炎が基地に広がってしまい、外を警備していた者達を基地内に誘い出す。
そのお陰で基地の外周で待機していた突撃部隊は背後を突くチャンスを得ることになるだろう。
「お前達は消火活動に回れ!この攻撃は悪魔や魔法少女の魔法攻撃に違いない!」
「エネミーサーチで悪魔の姿は見えている!何処に隠れようと魔力を追え……ぐはぁ!!?」
デモニカ兵達のAIが魔力を探知したと警告するが、自分で探知するよりもタイムラグが生じる。
その隙を突いてきたのは投げ放たれた槍の数々であり、デモニカ兵達は串刺しとなっていく。
先に突撃してきたのは国津神勢力であるモムノフ達であり、甲冑武者達が刀を抜刀する。
「俺達の祖国である日本を好き放題荒らしながら日本人を騙し続ける…この外道共がぁ!!」
「東北侍は朝廷・政府だろうが逆らえる歴史を背負ったモムノフ達なんだぜぇぇーッッ!!」
モムノフ達の身体能力は魔法少女と並ぶ程であり、次々と跳躍しながら斬り込んでくる。
デモニカスーツを纏う兵士達であるがサイボーグではないため、悪魔の剛力に対抗出来ない。
白兵戦を仕掛けてくる侍達の斬撃をライフル銃で受け止めるが押し切られて両断されるのだ。
「北のミサイルは短期間で金儲けが出来る
「危機感を煽る心理操作で防衛予算を倍増するしかないと謳い!欧米を儲けさせてきたぁ!!」
北のミサイル攻撃はいつだって政権与党の法案を後押しする絶妙のタイミングで飛来する。
この煙幕攻撃ミサイルは偶然ではなく、元防衛相が告発した内容が根拠になるだろう。
朝鮮教会が日本人から巻き上げた資金が北朝鮮の核開発に使われている可能性がある。
この与党内部告発は報道されず、欧米の莫大なマネーが北朝鮮に流れているのも報道しない。
北朝鮮は日本の田布施マフィアとグルであり、双方揃って欧米を儲けさせるために動く金の犬。
北朝鮮がテロ国家だとぬかす理屈は根拠が全くない。
何故なら平壌は150カ国以上の国々と通商関係を築き、投資ブームで沸き立っている。
北朝鮮経済の25%が輸出に依存していると推定されることから国際社会と関係が深いのだ。
狂犬独裁者が君臨するイカレ国家など、売国偏向報道を繰り返す
金融という金の流れで世界情勢を把握しなければ真実を何も得られないのである。
「国防は建前!本当の動悸は金儲け!それが貴様ら米国を支配するユダヤの金儲け手口だぁ!」
「それを日本人達に告発せず!友好国のフリをしながら日本人の税金を略奪する!!」
「貴様らなんぞただのヤンキーだ!
「ユダヤも朝鮮人も唯物主義を教義とする金儲け民族!だが本物の日本人ならこう言えるさ…」
<<嘘つきは泥棒の始まりだぁぁぁぁーーーーッッ!!!>>
騙され続け、虐げられ続ける日本人達の怒りを代弁するサムライ達が荒れ狂う戦いを繰り返す。
次々と虐殺されていくアメリカ兵達を援護するのは基地に配備されていた装甲車の群れである。
ストライカー装甲車の上部には105mm砲や40mm榴弾発射機などで武装されている。
照準はデモニカとリンクしており、操縦するデモニカ兵が見えない悪魔達に照準を向けていく。
そんな時、空から高速で飛来してくるのは東北サムライ達の指揮を執る蝦夷の守護神なのだ。
「天誅ゥゥゥゥーーーーッッ!!!」
ミサイルの如く飛来してきたのはアラハバキであり、車両の列に目掛けて体当たりを仕掛ける。
地獄突きの如き猛突進が炸裂したことで車両ごと大地を激しく砕き、車列がひっくり返る。
砕けた粉塵世界から浮遊してくるのはアラハバキの影であり、背後からも攻撃が放たれていく。
「
突撃部隊の後続として現れたすなおが叫べば部下の巫達が焙烙火矢を放っていく。
火薬が結びつけられた火矢が次々と基地の建物に命中しながら爆発を繰り返す。
狐面を纏った青葉ちかの部隊もモムノフ達に負けない苛烈な殺戮戦闘を行っていくのだ。
「おうおう!猛きチロンヌプ共だ!我らも負けてはおれんぞ!静香が来る前に破壊し尽くせ!」
北海道に生息するチロンヌプと呼ばれるキタキツネと時女一族の女戦士達を重ねてくる。
狐面を纏う時女一族の女達は狐面の奥で怒りの炎を燃やす程の猛々しい眼光を放つのだろう。
負けじとアラハバキも魔法攻撃を仕掛けていき、極大の氷結ブレスで薙ぎ払っていく。
戦闘機などを収めていた格納庫ごと基地を破壊していき、人修羅の仲魔としての力を示すのだ。
追い詰められたキツネはジャッカルよりも狂暴であり、政府を恐れぬ東北の戦士も狂暴である。
そんな烈士達に奇襲される在日米軍基地は滑走路を残して崩壊する末路となるだろう。
しかし狐の軍勢は全てを破壊し尽くすまで怒りの業火を鎮火させることはない。
「攻撃コースに乗ったぞ」
夜空から飛来してくるのは国津神勢力の航空部隊であり、指揮を執るのはホウオウである。
スパルナの分霊達も攻撃コースに乗っており、静香の指令を今か今かと待っているのだ。
「ヌゥゥゥゥゥ!憎いヤンキー共めぇ!詐欺師が土足で日本に駐留するのもここまでだぁ!!」
航空部隊の中には神浜の魔法少女である矢宵かのこの父親の姿も存在しており、武器を構える。
ホウオウの上で佇むのは時女一族の長である時女静香であり、狐面を纏う彼女が命令を下す。
「この地を悪しき欧米ユダヤ帝国に利用されないよう……焼き払いなさい」
静香の命令が下ったことで鳥悪魔達が次々と炎魔法を放っていく。
絨毯爆撃するかのようにして放たれたマハラギオンの火球が滑走路に直撃していく。
次々と爆発していったことで滑走路はクレーターだらけとなり、再建は難しい程の光景だろう。
「敵の増援部隊が到着するよりも先に撤退するわ。撤退する降下地点に向かいなさい」
「オレはまだ暴れ足りねーぞぉぉぉぉーーッッ!!」
「その怒りは次の戦場まで取っておきなさい。貴方の怒りこそ、我々の怒りなのだから」
「よっしゃー!オレを拾ってくれたお前らについて行くぜ!共にヤンキー共を成敗しようや!」
ナタタイシが静香の陣営に加わったことで彼女達の航空戦力は充実してくれたのだろう。
降下地点に下りたスパルナ達が魔法少女を載せて空を飛び、悪魔は隠し身の術を用いて消える。
連絡を受けた増援部隊が目にした光景とは、完全に破壊された米軍基地の瓦礫だけであった。
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ゲリラ戦は相手の強みを回避し、弱点を突くことを目的とする。
正規軍と違いゲリラ部隊は自由に動けるため、脅威の機動力を武器とするのだ。
「兵とは詭道なり。力と力のぶつけ合いなど愚の骨頂…卑怯と言われようが勝てばいいのだ」
大国村の兵站を各地の拠点に移動させて前線基地を構築するのはオオクニヌシの部隊である。
彼らが駐屯しているのは見滝原市に近い山中に存在している国津神由来の神社である。
蝋燭の明かりの前で作戦会議を行うオオクニヌシの前には日本の地図が広げられているようだ。
「関東や東北までの米軍基地の攻略は成功しているが…沖縄やグアムは遠過ぎる…」
「あちらには我らの足掛かりとなる神々と武装勢力を用意出来なかったのが痛いところだ…」
「敵の航空基地を潰しておかなければ迅速な機動力を用いる首都攻略戦の障害となるだろうな」
「その部分はアスラ神族や多神教連合の軍勢に頼りたいのだが…彼らとて苦しい立場なのだ…」
「まぁな…連中は欧米の攻略をしなきゃならねぇ。日本解放戦線にまで兵力を回せねーよ…」
オオクニヌシ、アビヒコ、ナガスネヒコ、オオヤマツミが地図を見ながら厳しい顔を浮かべる。
そんな時、静香達の魔力を感じたことで攻撃部隊が無事に生還したことを喜ぶのだ。
「私はオオクニヌシ様に戦勝報告をしに行くわ。追って指示があるまで休んでて頂戴ね」
静香は本殿に向かうのだが、残された魔法少女達は鬱蒼とした神社の景色に視線を向ける。
「ここも国津神様ゆかりの神社だったそうですけど…今では廃墟になってますよね…」
「鬱蒼とした森の中で忘れ去られてしまった場所なんでしょう…なんだか寂しい光景です…」
不気味な森の中に存在を残すだけの大きな神社は誰も寄り付かないからこそ拠点に出来る。
その理屈は分かるのだが、すなおとちかは心細い気持ちになってしまう。
それは他の魔法少女も同じであり、文明人として生きてきた年頃の少女達は苦しい毎日なのだ。
「電気や水道はない、風呂もない、そんな場所を拠点にするのは…猟師でも辛いでありますね」
石段を上ってきたのは暗殺部隊に所属する三浦旭であり、彼女も戦勝報告に来ている。
旭の部隊は要人暗殺や敵地の偵察を主任務とする部隊であり、静香達とは別行動をするようだ。
「それでも豊富な湧き水が残ってたのは有難いです。だからこそ私がアレを作ったんですよ♪」
「ちか殿は日曜大工も得意そうでありますな?我もドラム缶風呂に入って疲れを取りたいです」
「先にお風呂を済ませておきましょう。他の子達は先に入りに行ったようだし」
鬱蒼とした神社から離れた空き地には複数のドラム缶風呂が設置されている。
脱衣所や体を洗う自作のシャワールームもちかが木を伐採して加工し、皆で組み立てたようだ。
「フゥ…生き返る。毎日が戦場だというのに…こういう時だけは生きている実感を感じますね」
広場の隅に用意したドラム缶風呂に入ってるのはちかであり、旭は火加減を担当している。
横のドラム缶風呂にはすなおが入浴しており、黒髪魔法少女が火加減の担当をしているようだ。
他の魔法少女達も入浴しているようだが、公衆浴場であるためタオルを湯船には浸けていない。
裸の入浴をする年頃の女の裸体は夜中であるため見通しも悪く、茂みからは見えにくいだろう。
「……随分と、遠くまで来ちゃった気がしますね、すなおさん」
「そうね……大国村に残ったちゃると涼子さん……元気にしてるかな…?」
残された大切な人達を思いながら彼女達はドラム缶風呂に浸かる体の両手を持ち上げていく。
するとノイズが浮かんでしまい、尚紀と同じようにして血塗られた手に見えてしまう。
ゾッとした女達が湯船の中に手を戻し、顔を振りながら正気を保とうとしていく。
「……これが人殺しになる苦しみだったんですね?気づいてあげられなくて…ごめんなさい…」
「いいのよ…私も苦しんだし、尚紀さんだって苦しんできた。誰もが人殺しはやりたくないの」
「神子柴の悪事に加担する殺戮ではないであります。我らの殺戮は日の本の未来のためです…」
「そうやって大儀を振りかざしながら犠牲を強いる光景って…キュウベぇさんと同じですよ…」
言い返せない旭はドラム缶の下で燃える炎に視線を向けたまま黙り込んでしまう。
「正しい殺戮を用意出来ちゃったら…皆がミイラになっちゃう。皆がキュウベぇさんになる…」
「尚紀さんが繰り返した殺戮の道だって…同じですね。犠牲を生まなければ何も得られない…」
「私達は兵站があったから飢えずにいられるけど日の本全体が飢えている…犠牲になってる…」
「尚紀さんが秘密裏に用意してくれた日の本の兵站の解放は首都を解放出来ないと使えない…」
「そうですね…経済封鎖されたからって直ぐに用意したら…独裁政府に奪われるだけですし…」
「悪人だけでなく、私達は罪のない人達にまで犠牲を強いている…久兵衛様と同じですね…」
自分達の行いが、あれ程まで嫌悪したインキュベーターと変わらない所業になっている。
頭では分かっていても感情がそれを認めたくない気持ちがあり、彼女達は苦しんでいるのだ。
「私達の兵站を飢える人達に分け与えたい気持ちもある…だけど…それだと私達が飢えていく」
「きっと…これが移民問題の答えなんですよ。地域が用意出来るものは限られてるんです…」
「何億、何兆の金を用意したって世界で苦しむ全ての人々を救うことなんて出来ないですね…」
「
「ちかさんの家族の時と同じですよね…優しければ優しい程、騙されて搾取されるばかり…」
「だからこそ…私は鬼になります。もうあんな苦しみを…日の本の人達に与えたくないから…」
「これが理想論の弊害なんでしょうな…現実問題に対して…あまりに無力であります…」
「全ての人を環に出来るほど現実は甘くない…救う人は選ぶしかない…犠牲を出すしかない…」
「それこそが等価交換という世界のコトワリであります。我らは最初から死の土台で生きてる」
「死と再生をテーマにしたアーティスト魔法少女が神浜にいたそうですが…正しかったんです」
「その人を悪者にする奴がいるなら…我が反論するであります。きっと涼子殿も同じですよ…」
「その時は私も反論してあげるし、きっと嘉嶋さんも反論してくれるわ」
後ろに振り向けば静香がやってきており、体を洗ったのかバスタオル姿である。
辛そうな表情に見えても静香の目には迷いのない強さが宿っている。
「私や嘉嶋さん、それにそのあーてぃすとさんに久兵衛様…皆が同じよ。そう考えるべきよ」
「そうですね…そう考えられたなら…憎む敵なんて何処にもいなくなる…
「自分だけが正しい…それこそが呪いなの。勝手に善悪を生んで誰かを差別したり排除するわ」
「自分だけの完璧な理想に盲従し、妄執を繰り返す。その果てが善悪の潰し合いなんですね…」
「私はね…この戦いで正義を掲げるつもりはない。私達は皆が極悪人…それでいいじゃない?」
「クスッ♪そうですね…正義のヒーローやヒロインなんて最初から世界にいなかったんですよ」
「正義は自分の悪行を善行にすり替えるために生まれた呪い…我ももう…正義は名乗らない…」
「この
公平性こそが互いの国に必要な国際関係であり、国家主権や民族主権の概念。
日本人が移民を排除するなら、他の国も日本人が移民として流れてきたなら排除して構わない。
それこそが公平な関係であり、互いの民族主権があって国際関係は築き上げることが出来る。
それぞれが自分達の民族と歴史を優先しつつも経済関係でのみ他国と繋がり合えるのだろう。
「宇宙から地上を見れば私達に差異なんてない。
達観した価値観を時女一族に与えてくれた嘉嶋尚紀の姿を思い出すようにして夜空を見上げる。
電気が無い鬱蒼とした森であるため星空の美しさは霧峰村の頃のようにして輝いてくれる。
彼女達が見いだせた思想こそ嘉嶋尚紀が求めた人類の在るべき自然体であり、コトワリなのだ。
<<グスッ…ヒック……ウォォォォォン……ッッ!!!>>
突然聞こえてきたのは男達のすすり泣く声であり、びっくりした少女達が茂みに視線を向ける。
そこにいたのは感動のあまり涙を流し続けるモムノフ達だったようだ。
「最高だぜ…嬢ちゃん達!!そんな価値観を人類全体が持ってくれていたら……ッッ!!」
「グスッ…エッグ…朝廷に逆らって逆賊という悪者扱いなんて…俺達…されなかったよ…!!」
「他の神々だってそうさ…神だの悪魔だのと善悪にすり替えられず…自然でいられたんだ…!」
「
感涙の余り前が見えなかった東北サムライ達が涙を拭ってみると、恐怖のあまり汗が吹き出す。
見えたのは怒りマークが頭に浮かびまくった時女一族の乙女達であり、全員が風呂桶を構える。
<<今は女性の入浴時間ですよ!!この変態!!覗き魔サムライ!!>>
<<ご、誤解だぁぁぁぁーーーーッッ!!?>>
飛んできた風呂桶がぶつかりまくる男達は前が見えなくなるぐらいの制裁を浴びせられていく。
ボコボコにされた東北サムライ達は簀巻きにされて木の枝で括り付けられる末路となるだろう。
「グフッ……物理耐性持ちの俺達じゃなければ…全員パトっていたぞ……」
ミノムシ状態のサムライ達の元に下りてきたのは部隊長であるアラハバキである。
「何をしておったのだ?こんなところで油でも売っていたのか?」
「い、いや…その…戦場でいつ死ぬかも分からないので…眼福を拝みに来たしだいで…」
「ムゥゥゥゥ…情けない奴らめ!まぁ、男は古来よりバカなぐらいが丁度良いか」
「随分と嬉しそうな顔つきに見えますが…?」
「いや、なに…魔法少女社会は男を排除するばかりなのだろう?だからな…今が嬉しいのだ」
男と女が協力し、馬鹿なこともしたり、共に泣きながらも苦楽を共に出来る。
それこそが人類普遍の自然体であるとアラハバキは思っているからこそ嬉しいのだろう。
「我らは自然神…自然の在り方を求める存在だ。だからこそ…男女共に未来を築いていこうぞ」
「た…隊長!!心洗われました…一生御側を離れません!!」
「よくぞ申した!では、戦争が終わった後の日の本プランを我が発表してやろう!」
「戦争が終わった後の…日本の在り様ですか…?」
「うむっ!男女が協力して日の本を耕す!そしていずれは…洞窟探検のメッカとするのだ!!」
ドヤ顔を浮かべながら体をパージしてクルクル回りながら飛びまくるアホな存在。
そんなアラハバキについて行ってもいいのかと東北サムライ達は悩み抜くことになるだろう。
そんな益荒男達は時女一族の魔法少女達と共に日の本を蹂躙する外国勢力の拠点を潰していく。
いずれは国連軍まで日本を蹂躙しに現れることは分かっており、全員が死を覚悟している。
たとえテロリストと罵られようが男のサムライ達は魔法少女を守るために戦ってくれるだろう。
その光景こそ時女の始祖を築いたサムライ男と魔法少女の在り方に見えてくるやもしれない。
それこそが男の在り方であり、死に花を咲かせる道に男も女もない公平性があるのであった。
リアルは残酷極まりないからこそ生きる楽しみも必要になってくる。
まさか令和でライドウのリマステッド新作が発表されるとは思ってませんでした…RAIDOU超力兵団奇譚が楽しみで仕方ない!
リマスターと言いつつもほぼ全てを作り直したスタイリッシュ大正時代を駆けるキャラ達の声優はドラマCD版と同じだなんて最高ですよ!