人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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358話 審判の日

バベルの塔の戦いの後、世界の金融が崩壊した煽りを受けたのはダボス階級の面々である。

 

その中には勿論、人修羅側に寝返った連中も多く、自分の資産を守るために躍起になっている。

 

We have been betrayed!(我々は裏切られた!) It's over!(お終いだ!)

 

ペーパー資産が崩壊したため、残された財産を死守するために資産をゴールドに変えていく。

 

そんな時、人修羅側に寝返ったダボス階級の面々を襲ったのは自分と瓜二つの悪霊なのだ。

 

AAAAARRRRGGGG!!!(ヒギャァァァーッッ!!)

 

鏡に映った悪霊とはドッペルゲンガーであり、自分と瓜二つの悪霊を見た次の日に死んでいく。

 

彼らは人修羅の前にやってきた時の帰りにニュクスが使役する悪霊に取り憑かれていたようだ。

 

鏡の中から抜け出すようにして誕生したのがダボス階級の面々の姿をした悪霊達である。

 

「ギッ…グギッ…人修羅サマ…オオセノトオリニ……」

 

朝日が昇る前の寝室で死んでいるダボス階級の面々の魂を貪り食うドッペルゲンガー達。

 

彼らの精神と記憶を魂ごと吸収することでその人物にすり替わっていくのだろう。

 

本体の精神を取り込んだことで悪霊の言葉遣いではなく、人間のような言葉遣いとなっていく。

 

「フゥ…これでよし。コイツの体と記憶は頂いた…後はコイツの資産を全て横流しするだけだ」

 

人修羅側に寝返ったダボス階級の者達を偽物にすり替えたことで彼らの資産が移転していく。

 

移転したのは世界中に点在するニュクスの屋敷に存在する巨大金庫の中なのだ。

 

「これでダボス階級の三分の一になる者達の財産は我々の手中となるわね」

 

「手口としては妖精が攫った赤子をチェンジリングするのと同じだな。残った奴らも全員殺す」

 

ニュクスのお膝元であるギリシャの屋敷の執務室にいるのは人修羅とニュクスである。

 

執務机の椅子に座って資産移転の書類に目を通す彼の表情は怒りに支配されているようだ。

 

「ダボス階級を構成した金融資本家共に情けは無用。奴らは人々の生活を略奪した悪魔なんだ」

 

「ディープステートを用いて政治を支配し、自分達の金儲けに利用した連中は死んで当然よ」

 

「奴らが奪った人々の生き血とも言える財産は国庫に移す。新たな紙幣を生む担保にするんだ」

 

「資本家が政治を支配する資本主義、市場原理主義を終わらせましょう。()()()()()()()()

 

「国が正しく金融と経済を監督し、公正なルールに則る国家を再び築き上げるための戦争だな」

 

「政治と金の癒着を終わらせる我々に対して、残された魔王達は全力で抵抗するでしょうね…」

 

「望むところだ…俺の前に立ち塞がる者がいるのなら、悪魔だろうと人間だろうと容赦しない」

 

席を立ち上がった人修羅はアスラ神族達と作戦会議を行うために会議場へと歩いていく。

 

彼の後ろ姿を見送りながら深々と礼をした後、ニュクスは微笑みを浮かべてくれる。

 

「戦争だって経済活動に過ぎない…正しい秩序で世界が管理されれば戦争は消えてなくなるわ」

 

人修羅こそが人類が繰り返した戦争経済を終わらせてくれるメシアだとニュクスは信じている。

 

しかし当の本人は自分の救済のやり方を呪っており、自己嫌悪を繰り返しているようだ。

 

「略奪を否定しておきながら俺達も略奪を行う…目的の為なら手段を選ばない腐れ外道だな…」

 

正義側は良くて、悪者側はダメ。

 

卑劣なダブスタを振りかざしていることは分かっており、卑劣な救済戦争を恥じてしまう。

 

「こんなんじゃ俺はほむらを否定する資格はない…俺もあいつも矛盾を抱えた悪魔なんだ…」

 

「完璧な人間の在り方など逆に不自然だ。矛盾しているぐらいが丁度いい自然体なのだろう?」

 

回廊を歩いていると声を掛けてきたのは十七夜であり、補佐官として秘書の役目も務めている。

 

黒のスーツ上着にタイトスカートを合わせた秘書姿の彼女が渡すのは会議用の書類のようだ。

 

「自分とて東の長の時代は矛盾を振りかざした女だ…それでも秩序の構築には必要だった…」

 

「だろうな。魔法で暴力を行うなと言う奴が暴力を振りかざす…じゃないと抑止力を作れない」

 

「秩序の構築は綺麗事では済まない…物事は一側面だけで優劣を決めるべきではないのだろう」

 

「全てが陰陽構造…卑劣なダブスタでさえ役に立つ。だからこそ、ほむらも行使してくるな…」

 

「暁美ほむら君か…彼女とは再び戦うことになるな。かつての仲魔と戦うのは…辛いものだ…」

 

「それでも…俺達は進むしかない。かつての仲魔と道を違えても、俺達は俺達の道を進むぞ」

 

「その言葉が聞きたかった。自分は貴方となら何処までもミイラとなれる…」

 

「俺の戦争犯罪で多くの犠牲を生んできた…戦争で勝つにしても()()()()()()()()()()()()()

 

元米国国防長官ロバート・マクナマラはこんな言葉を残す。

 

問題は焼夷弾の是非ではない。

 

戦争で勝つためなら一晩で10万人の市民を殺していいのかどうかだ。

 

戦争にもつり合いが必要だ。

 

67の都市の50から90%の人々を殺す。

 

尚且つ原爆を投下するのは達成すべき目的に比べてつり合いがとれているとは言えないだろう。

 

「俺達が批判すべきは当時、そして今日もなお戦争ルールを確立してこなかったことだろう…」

 

「我々が負ければ…戦争犯罪人として歴史に刻まれるだろうな…」

 

「倫理に反すると承知した上で戦争犯罪を行う…ルール無用の戦争は()()()()()()()()()()()

 

人修羅の語った言葉は人類の大多数が死ぬ程の地獄の戦争を表している。

 

そう感じた十七夜は顔を青くしながら息を飲みこんでしまう。

 

「それでも俺は魔王として地獄の黙示録を行おう。俺は愚民達の革命を信じるのはやめたんだ」

 

たとえ悪魔達の革命戦争が起きなくとも、資本主義世界に迎合した愚民達の末路は地獄。

 

政府に殴り殺される程の政策の中身も調べず、文句一つ言わずにまた与党政府を信じ込む。

 

デフレなのに消費増税したり、その税金で病床削減したり、年金支給減らしたり。

 

医療費負担上げられたり、ろくな補償もせず私権制限したり、それでも政治を止めたりしない。

 

与党の迎合者は社会保障が破綻し、年金が止められ医療費全額負担になっても投票するだろう。

 

それでも野党よりはマシと言って政権与党に投票するアンクルトムこそ、()()()()()()なのだ。

 

「忠臣蔵等によって国家の犠牲になるのを美徳とする侍精神に洗脳された連中こそ家畜なんだ」

 

「耳が痛い話だ…東の長だった頃の自分とて時代劇のように社会全体に献身しろと言ってきた」

 

「政府や組織に対する忠誠と犠牲的献身が正しいという誤った価値観こそ、支配を生むんだよ」

 

そういう生き方しかしてこなかった日本人は権力者に歯向かうという発想がない。

 

学校のクラブ活動で顧問・コーチにぶん殴られ、しごかれてきた末路なのやもしれない。

 

社会保障の不備で高齢者が鬱になりながら死ぬまで労働させられても逆らわない光景となる。

 

「東京や神浜で生活してきた中でも年寄り労働者を見てきた…哀れでしょうがなかったよ…」

 

東京時代で深夜ドライバーのタクシー運転手と話してみれば、年齢は80歳という。

 

月に数万円の年金では死ぬまで働かないと生活できない。

 

食事はカップ麺とおにぎり、家賃光熱費や他の出費、衣食住や医療さえままならぬ。

 

消費増税しても年金に積み立てられず、生活保護よりも低い額の年金生活。

 

こんな人が数百万人もいるのが政治も考えないでエンタメばかり消費してる日本人の現実だ。

 

「政府に従おうが奴らは国民を貧困地獄に落す。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「自分もそうだ…貧乏と魔法少女生活という板挟みで時間もなく幅広い勉強が出来なかった…」

 

「本当の自由、公平、社会正義、敬愛精神がない。そんな日本で従順でいても地獄しかないさ」

 

「留まるも進むも地獄なら…自分は僅かな可能性に賭けてみたい。それを勝ち取りたいんだ」

 

「ならば俺と共に悪魔となれ。俺達が忠誠を尽くすのは御上や売国政府じゃない、民の未来だ」

 

「自分は家族を愛してる…古き良き家族主義・封建主義時代に戻してくれるなら悪魔となろう」

 

強くなれ、強くなって負け組になるな。

 

強くなればいい生活ができる。

 

弱い国民を虐めて自分達エリートは大丈夫。

 

そんな拝金主義・エリート主義・排他主義に洗脳された日本人が同じ日本人同士で潰し合う。

 

それこそが日本人の末路であり、日本人を搾取する外国人共はゲラゲラと嘲笑ってきただろう。

 

「復讐こそが古来よりの正義であり、正義とは阿修羅を表す。俺も人修羅として悪魔となろう」

 

「我らは正義を成すが、我らに正義を語る資格なし。我らの道は常闇…多くの非道を行う道だ」

 

「善人も悪人も関係なく、俺達は地獄を築き上げる。まさに暗闇だ…これこそが正義の道だな」

 

「自分達魔法少女はそんな正義の味方がしたかったのだろうな…。自分はもう…正義はいらん」

 

「明けない夜は無い…だからこそ俺達が最後の暗闇となり、まだ見ぬ朝日を人々に与えよう」

 

「嘉嶋さん…自分は貴方こそがその朝日となってくれると信じてる。どこまでもついて行くぞ」

 

正義の道こそ独裁者共が築き上げる骸の道であり、そこに敷かれるのは人々の死の土台。

 

そんな呪いを掲げる存在はLAW勢力も同じであり、秩序の名の元に絶対の犠牲を敷く者達。

 

正義を掲げる天使の道もまた阿修羅と同じであり、悪神と変わらない悪魔の道なのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「では諸君。私が持ち帰ったアスラ神族と多神教連合の作戦内容の説明を行わせてもらおう」

 

インキュベーターを地球に運んだ超巨大コロニー船の中央にはエデン都市が存在する。

 

エデンの中央を構成するセントラルタワーの上層部にある会議室にいたのはマンセマットの姿。

 

無事に帰還を果たした工作員天使はガブリエル、ラファエル、ウリエル達に報告を行っていく。

 

複数のホログラム映像をマルチタスクしながら説明する今後の作戦内容とは以下の通りだ。

 

ダボス階級の支配によってフリーメイソンメンバーの多数を味方として取り込む事は成功。

 

彼らは金融、経済、政治界隈だけでなく軍事関係者も多く、密かに反乱勢力を構築するという。

 

アスラ神族、多神教連合が欧米各国の首都を守護する基地の無力化を行い、機を見て反乱する。

 

アスラ神族や多神教連合に注意を引き付け、人間の反乱勢力が各国の首都を攻め落とす予定だ。

 

「人修羅は用心深い男でした。反乱が長期化する可能性も考慮し、補給の構築も抜かりが無い」

 

「その上で金融街にウイルス攻撃を仕掛け、敵側の継続戦闘能力を破壊したというわけですか」

 

「各国の金融・経済界は保身に走り、戦争費用を捻出出来ない。()()()()()()()()()()()()()

 

「たとえ各国の軍隊を無理やり動かそうが今ある戦力在庫を放出すれば白旗を振るしかないな」

 

「その通り。軍隊など消費ばかりするドラ猫の群れ…経済界が用意する品がなければ戦えない」

 

「戦争費用を捻出出来ないなら兵士の給料も払えない。軍隊そのものが動かなくなるでしょう」

 

「各国が戦争国債を発行して融資を募ろうがウイルス攻撃で全ての預金0…融資は集まらない」

 

「金という血液が無ければ戦争が長期化しようが経済界は動かせない、見事な両建て戦略です」

 

「人修羅は恐ろしい狡猾な悪魔だ。ボルテクスで戦った頃のアイツは青臭い子供だったのに…」

 

「彼を変化させた原因こそ、我々がもっとも危険視しなければならない部分なのです」

 

人修羅の存在とは何か?

 

それはルシファーが生み出した疑似ナホビノなのだと伝えられた事で会議場が騒然とする。

 

「ば、馬鹿なぁ!?ルシファーの半身は我らの主が引き裂き!未だ手元に残っているのだぞ!」

 

「神霊サタンこそがルシファーのナホビノです!その代わりを生み出したと言うのですか!?」

 

「その通り…ルシファーがマガツヒを用いて生んだ疑似ナホビノは同調現象を起こしてます…」

 

「では人修羅の狡猾さとは同調することによって大魔王の英知を得た結果なのでしょうね…」

 

「奴もまた知恵の蛇と化したのでしょう…我らが相手をするのは…新たなルシファーなのです」

 

「奴はもう人修羅であって人修羅ではない…ルシファーを取り込んだ新たなルシファーだな…」

 

会議場が沈黙し、熾天使達は互いに会話を交わしていく。

 

尻込みし始めた天使達に対して、マンセマットは提案を持ちかけたようだ。

 

「我々は高みの見物をしながらルシファーとバアルを消耗させるという作戦は如何でしょうか」

 

「そうですね…それが賢い選択でしょう。魔王共の大半は戦死しましたが…残存した者も多い」

 

「蟲毒の殺し合いを継続させ、互いが消耗し尽くした後…我々がトドメを刺すのが無難ですね」

 

「反対は無い、その作戦でいこう。上手くいけばミカエル殿が到着する前にカタがつく」

 

「我らが地表に蔓延る悪魔共を全滅させ、ミカエル様が率いる艦隊は月の向こう側の竜を倒す」

 

「これで此度のハルマゲドンは我々LAW陣営の完勝となるでしょう。つくづく愚かな悪魔です」

 

会議に出席していた天使達が巨大な会議場を出て行く中、熾天使達は残っている。

 

マンセマットを含めて四体の天使しかいない会議場の中、ガブリエル達が歩み寄ってくる。

 

笑顔を浮かべながら握手を求めてくるガブリエルに対して、マンセマットも笑顔となるのだ。

 

「何千年間もの長き勤め…本当にご苦労様です、マンセマット。貴方こそ主の自慢の天使です」

 

「お褒めに預かり恐悦至極に御座います。このマンセマット…心を押し殺す地獄の日々でした」

 

ガブリエルと固い握手を交わすマンセマットの功績をラファエルとウリエルも讃えてくれる。

 

「悪魔の所業に耐えてでもCHAOS勢力を破滅に追いやった貴方こそ、主にとっては恩人です」

 

「此度のハルマゲドンで称えられるのはお前だ、マンセマット。主は最高の褒美を与えよう」

 

「おお…その御言葉が聞きたかったのです、ラファエル様!ウリエル様!私は報われました!」

 

「貴方はいずれミカエル様を超える程の神格になれるでしょう。我ら天使を導いてくださいね」

 

熾天使達から褒め讃えられる光景を前にしたマンセマットは感動のあまり目元が潤んでしまう。

 

(これだ…この光景が欲しかった!俺は天使を超えられる…苦労の果てに俺は報われるのだ!)

 

心の中で勝利を確信したマンセマットは黄金に輝く怪しい仮面を纏ったまま提案を承諾する。

 

熾天使達が天使を超える程の神格になるべきだと言ってくれるなら、喜んで承るだろう。

 

それこそがマンセマットが望んだ理想であり、地獄の苦しみに耐えてでも欲した欲望。

 

それを与えられるべきだと言ってくれるなら、マンセマットは天使を導く主になると言うのだ。

 

「このマンセマットが神霊となった暁には、皆の献身が報われる努力を行う約束をしますよ!」

 

笑顔を浮かべながら神霊となった後の天使達の待遇を語る者の肩を熾天使達が掴む。

 

背後にはウリエルが移動しており、鞘に納められた炎の剣を抜刀する。

 

「私は主と並ぶ高みに立ち、皆を導く新たな光として……ゴハァ!!?」

 

突然吐血したマンセマットは何が起きたのかも分からない表情をしながら胸元を見る。

 

見えたのは心臓を貫通した剣の刃であり、状況を理解したマンセマットの顔が青くなるのだ。

 

「き…貴様ら!!?一体何を……するのです!!?」

 

「この愚か者め…何様のつもりですか?貴方も我らも天使です…()()()()()()()()()()()()

 

「我らは一心不乱に主の望みを叶えるだけの献身を求めるべき存在。欲望など不要ですよ」

 

「では…貴様らは…私に鎌を…かけていた…だけだったのか……ッッ!!?」

 

剣を引き抜いたウリエルがマンセマットの背中を蹴飛ばし、弾かれた愚か者が倒れ込む。

 

「愚か者め…見返りを求める献身など、奪うのと同じなのだ。貴様は契約の天使以下の汚物だ」

 

天使の階級においては最弱のインキュベーター以下だと言われたマンセマットが逆上する。

 

しかし体の傷は致命傷であり、息も絶え絶えになっている彼では熾天使を倒すことは不可能。

 

「インキュベーターでさえ見返りを求めない献身を成し遂げている。貴方はそれ以下ですよ」

 

「おのれ…おのれぇぇぇぇ…ッッ!!この俺がインキュベーター以下だと…?ふざけるなぁ!」

 

「主から見返りを奪い取ろうとした罪は謀反同然ですよ。主に代わり…天罰を下しましょうか」

 

マンセマットがやったことなど()()()()()()であり、ヤクザの手口と同じもの。

 

獲物となる者に飯を奢ってやりながら適当な恩を売りつけ、マルチ勧誘に誘い込む。

 

恩を売られた者は断る自由がなくなってしまい、マルチ勧誘に引きずり込まれていく。

 

ヤクザは仲介手数料を貰い、恩を売られた者は奪われるかのようにして財産を失うだろう。

 

恩の押し売りなどヤクザの所業であり、略奪と変わらない光景に成り果てる。

 

異世界転生英雄がゲス野郎であっても、恩を売られた少女達は英雄を拒絶する自由がなくなる。

 

少女達はゲス英雄に処女を奪われてしまい、財産を略奪される光景と変わらない末路と化す。

 

「見返りを求めて…何が悪い!?俺は地獄を耐えてまで献身を与えた…恩人なんだぞぉ!!?」

 

「貴方は勘違いをしているようですね?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それこそが主が求める自己犠牲である愛なのだ。我々は愛を求められる存在…天使達なのだ」

 

「天使で在ることを忘れ、我欲に塗れた貴方に天使を名乗る資格はありません。お覚悟下さい」

 

ガブリエルとラファエルも抜刀し、ウリエルと共に恐ろしい形相をしながら迫ってくる。

 

胸を抑え込むマンセマットは大量の出血によって抗う余力は残されていないだろう。

 

「献身には…見返りが必要だ!見返りも求めず献身を繰り返すなど…()()()()()()()()()!!」

 

「我らは主の望みだけを叶える献身を繰り返す者達…ロボットと呼びたいならば好きになさい」

 

「そんな連中は使えなくなるまで使い潰され…ゴミのように捨てられる!それでいいのか!?」

 

「主の御心に従い、その果てに捨てられるのであれば本望。それこそが天使の役目なのです」

 

「俺に従っていれば…献身には相応の見返りだって用意してやれたのに…本当にいいのか!?」

 

「天使の面汚しに過ぎん貴様のお駄賃欲しさに献身を繰り返す道など御免被る。滅びるがいい」

 

「おのれぇぇぇぇ!!人間と同じように…俺に操られていれば…よかったものをーーッッ!!」

 

最後の力を振り絞って魔法攻撃を仕掛けようとした瞬間、熾天使達の刃が体を貫いている。

 

命にまで届いた一撃によって最後を迎えるマンセマットだが、最後の抵抗を行おうとする。

 

震える両手を天に掲げていき、主に嘆願しようとするのだ。

 

「大いなる…我が主よ!!その寛大な御心をもって…我が願い…叶え…たまえ…ッッ!!」

 

『大いなる嘆願』によって主の力を天から降り注がせる一撃を放とうとするが効果はない。

 

「そ……そんな……」

 

マンセマットの嘆願は唯一神から無視されたことで彼の体が崩れていく。

 

策士策に溺れる末路となったマンセマットは同じ天使に裏切られて滅びることになるだろう。

 

恥晒しの天使が砕け散り、膨大なMAGの光を撒き散らす光景の中で熾天使達は言葉を残す。

 

「所詮は神の溜息から生まれた天使…神にへつらう者でしかなかったのだ」

 

「貴方の堕落の在り方こそ人間の在り方。そんな人間を主が見る度に貴方が生まれるのです」

 

「いずれは新たなマンセマットも生まれるでしょう。人類の堕落は救われないのですから…」

 

唯一神に恩を売りつけようとした逆賊に天誅を下した熾天使達が剣を鞘に仕舞っていく。

 

会議室を去ろうとする中、歩みを止めたガブリエルが見つめる先にいたのは契約の天使。

 

そんな彼に振り向いた熾天使がこう言ってくれたようだ。

 

「胸を張りなさい、インキュベーター。貴方の無垢な献身こそ、主の本当の望みなのです」

 

「心得ております。ボク達はどれだけ魔法少女に虐げられても…望みはありませんから」

 

「我らは主が築いた宇宙の安寧を続かせる糧となることを望む者達。我欲は異物なのですよ」

 

「無我の境地…それこそがボク達を表す天使の道。全ては主が照らす宇宙の光と熱のために…」

 

「その役目はこの船の中で行っていきなさい。地球の貴方達は既に全員がこの船の中なのです」

 

マンセマットよりも遥かに献身的なインキュベーターの覚悟に満足したのか頭を撫でてくれる。

 

熾天使達と共に歩むインキュベーターの道は報われないものとなるだろう。

 

それでも主を疑わず、主の意思にのみ絶対の忠誠を尽くす天使こそ、ロボットそのものだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

<<全艦、発進シークエンスを行いなさい>>

 

<<メインエンジンオンライン、始動開始>>

 

<<反重力エンジン出力上昇確認>>

 

<<補助機関、問題なし。出力安定>>

 

<<メインエンジンにエネルギーを接続、出力上昇中です>>

 

<<反重力フィールド形成、浮上出来ます>>

 

<<よろしい、では浮上開始>>

 

アフリカのサハラ砂漠において、突然の大異変が起きていく。

 

まるで大地の岩盤そのものが宙に浮かび上がるかのようにして大量の砂が巻き上げられるのだ。

 

膨大な砂と共に顕現してくるのは人類の有史以前より大地の下に隠されていた巨大な箱舟。

 

これこそがインキュベーターを地球に運んだ天使軍の船であり、あまりにも巨大な存在。

 

直径約24Kmの巨大な円盤型の飛行船であり、ピラミッドを頂点とした構造をしている。

 

そのピラミッド部位の下側と繋がっていた外壁が下ろされていき、巨大なドームを形成する。

 

ドームの下側にはエデンの都市が見えており、都市で暮らす選民達が歓声を上げていく。

 

「おお!!ついに箱舟が飛び立つ時がきたか!!」

 

「我らは堕落した地球から解放され!新天地に導かれる日が訪れたのだぁ!!」

 

「アリルイヤ!ガブリエル様!アリルイヤ!ラファエル様!アリルイヤ!ウリエル様!」

 

「我らを導く光の天使達に栄光あれ!我らの父なる神に栄光あれぇ!!」

 

「我らの命は貴方様方のものです!我らは父なる神の光と熱となる道を歩めて幸福なのです!」

 

「天使様万歳!!我らが父に光在れぇ!!」

 

多種多様な民族達の言語は統一されており、彼らは選民として天使に導かれる者達。

 

しかし彼らは自分達が宇宙の家畜に過ぎないことなど知る由も無く、救済を信じている。

 

それこそがLAWの洗脳であり、救済とは独裁と洗脳によって築かれるべきだとしているのだ。

 

これを嫌悪したのが人修羅であり、たとえ世界を救うためでも洗脳魔法だけは使うまいとする。

 

世界中の人間達を洗脳し、意のままに操る光景などLAWの天使と同じでしかないからだろう。

 

「全艦以上なし。高度二万メートルまで後60秒です」

 

「総員第三種警戒態勢に移行。魔力探知レーダーから目を離すな」

 

「魔法シールド展開。出力安定してます」

 

オペレーターを務める天使達を見下ろすのは艦長席に座るガブリエルである。

 

隣にはラファエルとウリエルも立っており、メインブリッジから見える光景を見つめている。

 

「我らはCHAOS勢力の潰し合いに便乗し、堕落した全ての人類に鉄槌を下していきます」

 

「ミカエル殿が来られるよりも先に人類に天罰を下しておけば、仕事も早く終わるでしょう」

 

「先遣隊としての任務だけでは退屈していたのだ。腕が鳴るというものだろう」

 

「先ずは我らが主が神を務める一神教を金儲けの道具にした民族共を根こそぎ滅ぼしましょう」

 

「その次はカトリックの総本山だ。我らが主の息子の仲間を謳いながら悪魔に組した罪は重い」

 

「フフッ、ついに天罰を下す時が訪れたのです。力天使達も今か今かと待ちわびてますよ」

 

ついに動き出したLAW勢力の箱舟は余りにも巨大であり、バベルの塔を超える質量をもつ。

 

そして天使軍も既に目前まで迫っており、人類は有史以来絶体絶命の窮地に立たされるのだ。

 

もはや世界はハルマゲドンであり、世界中が第三次世界大戦規模の内戦によって焼かれていく。

 

この光景こそヨハネ黙示録であり、人類は滅びの日をもう直ぐ迎えようとしていたのであった。

 




策士野郎は背後からアゾット剣でブスリ!これこそ愉悦!(Fate脳)
メガテンのペ天使なマンセマットらしい最後を描けて良かったです。
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