人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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371話 戦火の先に見る景色

地上に広がる地獄だけでなく、地下都市に至るまで地獄の連関が築かれていく。

 

それは日本のザイオンも同じであり、ヤタガラス勢力のクーデター政権が築かれるのだ。

 

極右団体であるヤタガラスはザイオンの選民として選ばれた在日共を皆殺しにしてしまう。

 

彼らは自分を日本人だと叫んでもヤタガラス構成員であるデビルサマナーには通じない。

 

読心術を用いて相手を見極めながら殺戮を繰り返す慎重さを用いたことで助かった者達もいる。

 

「「ヒィィィィィィィィィーーーーッッ!!!」」

 

ザイオンに用意された鹿目まどかの家に踏み込んだサマナー達が武器を構える。

 

「こんな豪邸を用意出来るぐらい日本人から搾取してきた在日の豚共め…覚悟するのだな!」

 

踏み込んできた女デビルサマナーは殺女であり、一家の者達は子供をかばいながら叫んでくる。

 

「な…なんでアタシ達が在日扱いされなきゃならないんだよ…!?」

 

「うあぁぁ~~ん!!こわいよぉ…こわいよぉ……っ!!」

 

「子供が怖がっているだろ!そんなおっかない武器は仕舞ってくれないか!!」

 

涙目になりながら殺戮部隊を拒絶するのはまどかの家族達である。

 

しかし冷酷非情な女サマナー達は人間には見えない悪魔の力を用いて嘘を見抜こうとする。

 

しかし横に立つセンリが読心術を行使してみると鹿目一家は本物の日本人だと分かったようだ。

 

「どういう事なんだ…?ザイオンは選民として選ばれた外国人共が殆どだと聞かされたのに?」

 

「詳しい事情を聴いた後で殺すかどうかを判断するしかなさそうだねぇ…」

 

銃を向けたまま詳しい事情を質問していくと要領を得ない事情しか出してこない。

 

既に悪魔ほむらの記憶操作魔法は崩壊しており、鹿目一家の記憶まで戻っている。

 

だからこそザイオンという訳の分からない場所で暮らしている現実を受け入れられないようだ。

 

「なるほど…お前達の事情は分かったが…連行するしかなさそうだねぇ」

 

「ア…アタシ達を何処に連行する気なのさ!?」

 

「後生です…お願いだから…妻と息子の命だけは勘弁してください!!」

 

「連行するといっても保護する目的で行うものだ。私達は同じ民族の日本人を殺さない」

 

「もしかして…まどかがいなくなっちまったのも…お前らの仕業なのか…!?」

 

「まだ娘がいたのか?その人物についてもいずれ我々が見つけ出して保護してやる、安心しろ」

 

輸送バンにまで連行された鹿目一家はヤタガラスの総本山に向けて連行されていく。

 

同じようにして美樹さやかの一家も殺されずに保護され、さやかや杏子達の元に送られる。

 

彼女達は同じ牢獄に収監される事になるのだが緊急事態が巻き起こるのだ。

 

<<極東のザイオンはここか!我らが主の教えに背き!快楽だけを貪る堕落者を殺戮せよ!>>

 

日本のザイオンに出現したのは天使軍の者達であり、武装したアークエンジェルが舞い降りる。

 

迎え撃つヤタガラスのサマナー部隊との激しい戦場が生み出される光景が広がってしまうのだ。

 

その光景は座敷牢の中に閉じ込められている見滝原の魔法少女達にも見えている。

 

「あたし達…どうなっちゃうのさ…?パパやママ達と一緒に…滅びるしかないの…?」

 

「そんなつもりはねーけどよ…あたし達のソウルジェムは奪われてる…どうしようもねーよ…」

 

「なぎさはね…マミと一緒に滅びるなら…構わないのです…」

 

「諦めないで…なぎさちゃん。絶望の状況でも希望を掴み取るには…諦めない精神が必要よ…」

 

座敷牢の窓から見える街の景色は炎と黒煙塗れであり、いずれこちらにも戦火が伸びてくる。

 

そう考えている魔法少女達はピンチこそがチャンスなのだと思うからこそ期待を募らせる。

 

ここが戦場となれば牢獄から移送されるかもしれないからこそ脱出の機会となるだろう。

 

しかし彼女達は記憶操作が解けているため、自分達が置かれた状況に強い不安を感じている。

 

彼女達はいつザイオンに移され、どうやって地上に戻れるのかも知らない者達だからであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

天使軍の奇襲攻撃に晒されたヤタガラスであったがサマナー部隊の活躍で難を逃れる。

 

しかし多数の死傷者を出す被害規模となり、圧倒的な戦力であったが戦力低下を招いてしまう。

 

漁夫の利を得ることになるのは葛葉一族を中心としたザイオン制圧部隊である。

 

首都解放戦に合わせて彼らが向かった場所とは密偵の悪魔が脱出に用いた物資搬入経路なのだ。

 

地上から潜入したサマナー部隊が物資搬入ホームまで下りてきた時、警備部隊と交戦する。

 

「チッ!!ザイオンに入る列車の車列の中に武装列車がいるぞ!」

 

「機関砲まで搭載してる搬入列車って何なのよ!?悪魔でも輸送する列車なわけ!?」

 

搬入ステーションに入った葛葉一族に対して応戦部隊が激しい銃撃を仕掛けてくる。

 

20mm機関砲が備わった装甲列車からの猛攻に対してサマナー達はコンテナの影に隠れる。

 

しかしコンテナ程度で機関砲の弾が受け止められるはずが無く挽き肉にされてしまう。

 

そのままザイオン行きの装甲列車が発進していき、ヤタガラス用の物資ごと去っていく。

 

「ライドウ!」

 

「分かっている!!」

 

逃がすまいとライドウが管を抜き、召喚したのは巨大でご立派な魔王である。

 

「な、なんて悪魔を召喚してきやがる!?」

 

装甲列車が走るレールの道を走行してくるのは魔王マーラであり、ビンビンの突撃が迫りくる。

 

「トンネルを突き抜けるのは興奮するわい!穴の中に飛び込んでこそマーラというものだな!」

 

勃起した御神体の亀頭を前に向けながら放つ地獄突きに対して列車のサマナー達も召喚を行う。

 

飛行タイプの悪魔達の援護を行うのは先頭車の後ろに連結された装甲車両である。

 

炎魔法攻撃に合わせて放たれる20mm機関砲の弾幕に対してマーラは果敢に突撃していく。

 

「グワーッハッハッハァ!!ガチガチに勃起したワシの固さはこの程度ではビクともせんぞ!」

 

炎魔法や機関砲の弾をものともせずに突っ込んでくるマーラの体から放つのは炎の魔法である。

 

<<ギャァァァァァーーッッ!!!>>

 

マララギダインの炎を放出しながら突撃してくるため迎撃に出た悪魔達が焼き付くされていく。

 

巨大なファイヤーボールの如き男根突撃の光景であるのだが、突然の激痛に襲われてしまう。

 

「グワァァァァァーーーーッッ!!?」

 

被弾しながらも突撃していた魔王が激痛のあまり絶叫し、金色の戦車の上から転がり落ちる。

 

機関砲の弾が亀頭の尿道に入り込んだことで御神体の内部にダメージを与えているのだろう。

 

苦しみ悶える症状はまるで尿路結石であり、命に届く程の激痛によって体が砕けていく。

 

「い…い…医者は…どこだァァァァーーーーッッ!!!」

 

ガチガチに固い魔王であるがデリケートな弱点もあったため、体が砕けて膨大なMAGと化す。

 

「バカな悪魔め!!俺達の股間にもあるデリケートなイチモツの弱点ならお見通しだ!!」

 

「待て!後ろからも何者かが迫って来てるぞ!!」

 

「あの時代錯誤なハイカラマントを纏った奴も葛葉一族の者かぁ!?」

 

マーラを追いかけていたのは仲魔に跨ったライドウであり、悪魔の頭にはゴウトがしがみつく。

 

「マーラの奴め!地獄突きの力を過信し過ぎるからそうなるのだ!」

 

「マーラの犠牲を無駄にはしない。仕掛けるぞ、ハヤタロウ!!」

 

ライドウが新たに使役する仲魔こそ、オルトロスに代わる新たな猟犬である。

 

【ハヤタロウ】

 

長野にある寺院である光前寺で飼われていたとされる霊犬であり、怪物退治の伝説が残る。

 

戦いの末に怪物を退治するが自らも傷を負い、和尚の前で息を引き取ったという。

 

「心得ておる!某の覚悟は大砲を向けられようが恐れることはない!」

 

ケルベロスのように白い体に獅子のような黒いたてがみを纏うハヤタロウが雄叫びを上げる。

 

「フッ…オルトロスに負けない気迫を感じる。未来の自分は良い仲魔を悪魔全書に残したな」

 

(こ奴の声…だけでなく…性格からして微妙に我と被っている気がするのだが…気のせいか?)

 

怪訝な表情を浮かべるゴウトであるが、ハヤタロウに振り落とされまいと懸命にしがみつく。

 

迎え撃つ装甲車両の機関砲が照準を向けてくるのだが、突然眩い閃光がトンネル内に迸る。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?眩し過ぎて狙いがつけられない!!」

 

体から発した『日輪の光』によって目が眩んだサマナーが闇雲な射撃を行ってくる。

 

トンネル内に機関砲がばら撒かれる中、ハヤタロウに乗ったライドウは一気に駆けていく。

 

彼らが行うのは俊敏さを最大に活かしたバレルロールであり、トンネル壁面を駆け抜ける。

 

「行くぞ!ハヤタロウ!!」

 

「某の力、刮目して見るがいい!!」

 

トンネル側面から跳躍飛びを行ったハヤタロウの背中を蹴ってライドウも跳躍を行う。

 

ハヤタロウは体を高速回転させながら突撃を仕掛ける『絶・閃光斬烈牙』を放つ。

 

機関砲を操るサマナーを弾き飛ばし、残りのサマナーにも飛びついて列車から突き落とす。

 

ライドウは列車の先頭車両の屋根に飛び移っており、窓を蹴り破りながら内部に侵入。

 

コルトライトニングを構える彼に脅されたヤタガラス構成員は両手を上げて膝を曲げる。

 

「それでいい。抵抗の意思を示さない者達の命まで奪うつもりはない」

 

物資搬入列車が停止した後、後続のサマナー部隊が走りながらやってくる。

 

「我々がザイオンに侵入しようとしている事は既に報告されている。激しい戦闘になるだろう」

 

「後ろの機関砲はまだ使えそうだ。貴様にしては賢い判断で戦力を残したようだな?」

 

「キョウジ…自分も戦場に行く者としてコラテラルダメージは覚悟している。それでも…」

 

「投降を願い出る者は殺すなか?相変わらず甘い男だ…いつか騙し討ちを仕掛けられて死ぬぞ」

 

「こんな場所で喧嘩しないの。生き残った後にすればいいじゃない?」

 

「そういう事よ、ミスターキョウジ?今は戦友なんだから仲良くしないとダメよ」

 

「フン…ガミガミ煩い女共を部下に持つ上司は苦労するな…」

 

冷酷非情な初代キョウジの血を色濃く受け継ぐ現代キョウジであるが、違う部分もある。

 

それが分かるライドウの口元には微笑みが浮かんでいるようだ。

 

再び動き出した列車に乗り込んだ葛葉一族のサマナー部隊が向かう場所は死地となるだろう。

 

それでも恐れなく突き進む者の中にはかつての因縁を終わらせたい悪魔もいるのだ。

 

「感じるぞ…この戦神の気は間違いなくタケミカヅチじゃ。ついにこの時が訪れたな…」

 

先頭車両の屋根の上であぐら座りをしながら前方の光を見据えるのはミシャグジさまの姿。

 

細目が開いた彼の眉間にはシワが寄り切っており、切り落とされた両腕の傷も疼いてしまう。

 

自分の腕を切り落とし、蛇神にまで零落させた憎い存在との決着を彼は望んでいる。

 

ザイオン都市の光が見えてくる光景の中、武者震いと共に不敵な笑みが浮かぶのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ザイオンに入り込んだ輸送列車に対して迎撃部隊が展開している様子はない。

 

運転手を脅して車両を停止させた一行は慎重に周囲をクリアリングしていく。

 

「我らの侵入は伝わっているはず…なのに大規模な迎撃部隊が展開されていないとはな…」

 

「チッ…連中は遮蔽物を活かした市街戦を狙ってるな。歩兵の強みを最大限に用いるか…」

 

「残念そうな顔しないの。どうせ機関砲を派手に撃てなくてガッカリしてるんでしょ?」

 

「フフッ♪子供っぽいところがあるわね、ミスターキョウジ?」

 

「ごちゃごちゃ煩い女共だ…先に行くぞ」

 

武装したキョウジが銃を構えながら市街地を進むのに続いてナオミやレイも先に進んでいく。

 

彼らの後に続くようにして葛葉一族のサマナー達もヤタガラス総本山に向かうようだ。

 

「……召喚、ポルターガイスト」

 

召喚管を用いて仲魔の一体であるポルターガイスト三兄弟を召喚したのはライドウである。

 

「この静けさは明らかに罠だろう。現場検証を行いながら進むぞ」

 

「りょうか~い!!たんていごっこのつぎは…ていさつたいごっこだ~!!」

 

ポルターガイストが放つ魔力の電波によって周囲に仕掛けられた危険な罠を察知していく。

 

無人の都市に仕掛けられていたのは乗り捨てられた車両に設置された自動車爆弾の数々。

 

それだけでなく市街地の至るところに即席爆弾が設置されているのを掴んだ事で危険を避ける。

 

銃を構えながら慎重に進む一行であるがキョウジは何やら危険を感じてしまうようだ。

 

「視界が悪い…狭く入り組んだ路地裏だけしか移動ルートは見つからないのか?」

 

「他のルートは即席爆弾が大量に設置されてるのよ?それをいちいち解除してられないわよ」

 

「正解の道が一つだけしかない…こういう状況はな…追い込み猟って言うんだよ…」

 

「ま、まさか……!?」

 

キョウジの悪い予感が的中するかのようにして次々と銃撃が放たれていく。

 

路地裏ビルの窓には狙撃兵が潜んでおり、サマナー達は咄嗟に飛び退いて機関銃の弾を避ける。

 

逃げ遅れた部隊員達は撃ち殺されてしまう中、ライドウ達は銃撃を行いながら反撃を繰り返す。

 

しかし市街戦は建築物そのものが強固な掩体として機能するため銃弾が壁を貫通しない。

 

「悪魔の力で壁を壊して建物内に入り込め!扉には恐らく罠が設置されているやもしれんぞ!」

 

「了解よ!派手に壊してあげるわね!!」

 

物陰に隠れながら銃撃を防ぐレイ・レイホゥが両手に生み出したのは太陽の如く輝く二本の槍。

 

「この日の為に新しい悪魔を手に入れた…その力を存分に発揮してあげる!!」

 

神降ろしを用いて己に悪魔の力を宿せるレイの体から魔力が噴き上がっていく。

 

失ったアマテラスに代わる太陽神とはケルト神話の太陽神の御姿である。

 

<<武に秀でたサマナーよ!我が神槍ブリューナクを見事使いこなしてみせよ!!>>

 

レイの背後に浮かび上がった存在こそ、光り輝く太陽神の一体なのだ。

 

【ルーグ】

 

ルーとも呼ばれるケルト神話のダーナ神族の神であり、クーフーリンの父神。

 

知識・技能・医術・魔術・発明などの技能に秀でたイルダーナである。

 

長腕のルーグの名の元になった光槍ブリューナクや魔弾タスラムを武器とする存在だった。

 

「散会して建物を昇れ!屋上を伝いながらヤタガラス総本山方面に向かうぞ!」

 

建物の壁を砕きながら内部に侵入し、路地裏ビルディングをそれぞれ駆け上っていく。

 

レイは両手に生み出した二対の光槍ブリューナクを用いて内部の敵を貫いていく。

 

ナオミも負けじと魔王シュウを召喚して憑依させ、シュウの武器である偃月刀を振るっていく。

 

キョウジもヘーネルMK556を構えながら銃撃していくが敵は遮蔽物を利用してくる。

 

出会いがしらの遭遇戦となるのだがキョウジ達はCQBも得意とする者達。

 

「チッ!!」

 

隣の扉から出てきた敵兵に狙いをつけるより先に両手でライフル銃を抑え込まれる。

 

敵兵の踏み込みを利用したキョウジも踏み込み、頭突きを鼻にお見舞いした後に金的を打つ。

 

叫びながら倒れ込む敵兵の頭部に容赦なく銃弾を撃ちこんだ後、即座に扉の中に入り込む。

 

向こう側から銃撃を仕掛けてくる敵兵に対して、腰のガンベルトポーチから手榴弾を取り出す。

 

「グレネードだぁ!!!」

 

投擲された手榴弾が爆発し、怯んだ相手に目掛けて突撃を仕掛ける。

 

次々と撃ち殺すキョウジの戦闘技術はまるで特殊部隊の兵士を思わせるやもしれない。

 

彼らに負けじとライドウもまた仲魔を用いた連携攻撃を仕掛けていく。

 

「荒れ狂え!ポルターガイスト!!」

 

「やっほ~!!サツリクだ~!!」

 

「おくないせんはボクたちのどくだんじょうだぞ~!!」

 

「うお~!ちょうのうりょくパワーがみなぎってきた~!!」

 

丸っこい小さな妖精のような存在が放つのは超能力魔法のマハサイである。

 

屋内にあった家具が浮遊しながら荒れ狂い、敵兵に目掛けてぶつかっていく。

 

怯んだ敵兵士に踏み込んだライドウは躊躇なく陰陽葛葉を振るう苛烈な戦いを示す。

 

<<グワァァァァァーーーーッッ!!!>>

 

返り血塗れになりながらヤタガラスの仲間だった者達を殺す彼の顔には苦悶が浮かんでいく。

 

「護国守護を誓った我らなのに…どうして道を違えて殺し合うしかなかったのだろうな…」

 

「ライドウ!戦場で感傷に浸るのはやめるのだ!敵は容赦なく仕掛けてくるぞ!」

 

「分かっている!自分が躊躇すれば仲間達が殺される…ならば自分は…鬼と化そう!!」

 

追い詰められた狐はジャッカルよりも狂暴である。

 

安部晴明の母方であり、信太の森の霊狐である葛葉一族の者としてライドウも獰猛さを宿す。

 

「閃光手榴弾を使え!!」

 

ライドウの元に投げ込まれた閃光手榴弾が炸裂し、眩い光を発してくる。

 

その隙をついて突撃してくるのはヤタガラスの武装構成員部隊。

 

サマナーでなくとも武装は特殊部隊めいたものであり、殺傷力は極めて高い。

 

そんな相手に対して目を瞑ったままのライドウが即座に動くのだ。

 

「ゴフッ!?」

 

側面から出てきた敵兵が銃を向けるのに反応したライドウが銃口を手で払い、裏拳を放つ。

 

怯んだ相手に膝蹴りを放ち、そのまま押し込んで後続の敵兵を制する壁とする。

 

そのまま手前の敵兵の背後に入り込みながら右腕を肩に乗せて関節を決める。

 

悲鳴を上げる敵兵が右手に持つ銃の引き金を引いたことで後続の兵士達が撃ち殺されるのだ。

 

「貴様!?見えているのか!!」

 

ショットガンを構える相手に対して掴んだ男を盾にして銃弾を防ぎ、即座に踏み込む。

 

ショットガンの銃身を左手で掴み、右肘を左側頭部に放つ。

 

怯んだ相手が前蹴りを放つが側面に回り込みながら蹴り足を左手で掴み取る。

 

「ゴフッ!!?」

 

右手は相手の腰に回し込み、己の背中に乗せる形で一回転させながら投げ飛ばす。

 

即座にコルトライトニングを抜いて構えたライドウが後続の兵士達を次々と射殺していく。

 

「貴様ァァァーーーーッッ!!!」

 

拳銃を抜いて後ろから狙おうとする相手の手首を掴んで捩じりながら首に飛びつく。

 

両足でカニ鋏した形で両者が一回転しながら銃撃を放ったことで周囲の者達が撃ち殺される。

 

共に倒れ込む形となった敵兵がライドウに目を向ければ銃口が向いている。

 

「ゴフッ……ッッ!!」

 

眉間を撃ち抜かれた敵兵が絶命する中、立ち上がったライドウは即座に排莢を行うのだ。

 

「…見事な聴勁だな?肌感覚だけであれだけの敵兵を一度に捌く…それでこそ俺のライバルだ」

 

目を瞑っていてもリロードが出来るライドウの元に現れたのは援護に現れたキョウジである。

 

銃を腰のホルスターに戻したライドウがゆっくりと目を開けた後、こう言ってくるのだ。

 

「…皮肉なものだな」

 

「何が皮肉なのだ?」

 

「何かを得ようとすれば何かを失う…それが世界の等価交換。これは悪魔会話でも同じだな…」

 

「その通りだ。悪魔を手に入れるためにサマナーも代償を支払う…戦争も代償を支払うもんだ」

 

「代償を支払いたくないと言えば何も成せない…だからこそ自分達は…()()()()()()()()()…」

 

「人の心を代償として支払い敵を屠る、それが戦場だ。そうでなければ自分の命さえ失うぞ」

 

「魔法少女達だって代償を支払った者達だ…ならば自分も同じ覚悟で代償を支払い続けよう」

 

国津神や時女一族の者達と語り合ったことでライドウは人修羅と同じ覚悟を宿せている。

 

罪を背負ってでも救済を成す者として敵を屠る鬼神の姿となっていくのだ。

 

「話は終わりだ、集中しろ」

 

「分かっている」

 

室内の窓を破って撃ち込まれたのは40mm擲弾発射器による催涙弾である。

 

煙が噴き上がる室内に窓ガラスを破りながら突撃してきたのはヤタガラス所属の忍者兵部隊。

 

ガスマスクを覆面として纏う忍者兵達が刀を構えてくるのに対し、ライドウとキョウジが動く。

 

互いが背を向け合いながら刀と銃を構え合う姿はまるで戦友のように見えるやもしれない。

 

「我らヤタガラスが制圧したザイオンを奪い取りに来たか…逆賊共め!!」

 

「三羽鳥様に代わり、我らが貴様らに誅罰を下す!!」

 

迫りくる忍者兵達に対してライドウとキョウジが一気に動きながら武器を振るっていく。

 

ライフルの先端を用いて相手の突きを絡め取りながら払い飛ばし、そのまま撃ち殺す。

 

続く袈裟斬りは銃床を用いて弾き飛ばし、構え直して撃ち殺す。

 

ライドウも肌感覚で相手の動きを読みながら斬撃を避けては斬り付け、さらに斬り付けていく。

 

凄腕のデビルサマナー達は悪魔を使役しなくとも超人じみた動きで悪魔を倒せる者達なのだ。

 

「…サマナーではない一般兵では太刀打ち出来ないようだね」

 

「…そのようですわね、殺女?やはり私達が出るしかないようです」

 

「腕が鳴るねぇ…アタシは強い奴と戦いたくてウズウズしてるんだよ」

 

「我ら壬生の忍者兵共を殺してくれた礼を尽くしてやらねばな」

 

ビルディングの屋上に立ちながら戦況を見つめるのは壬生一族の長老と女サマナー達。

 

いずれも凄腕サマナー達であり、反乱軍がビルの屋上に昇るよりも先に仕掛けようとしていく。

 

「…どうやら忍者兵共は全滅したようだ。遠慮はいらん、やるがいい」

 

「「「召喚……薙ぎ払え!!」」」

 

殺女が召喚したのはキクリヒメであり、風魔法のザンダインを放とうとする。

 

長い赤髪をポニーテールにした目隠れサマナー少女は黒い着物の胸元から召喚管を抜く。

 

黒い短髪で隻眼をした黒スーツのサマナー少女も懐から召喚管を抜く。

 

彼女達が召喚した悪魔もまた炎魔法と雷魔法を溜め込んでいくのだ。

 

放たれた三つの属性魔法攻撃に対し、ライドウとキョウジも召喚管を抜く。

 

窓から飛び降りた者達を掴んだモー・ショボーとスパルナが屋上まで彼らを運んでくれるのだ。

 

「ようやくお目見えだねぇ、14代目葛葉ライドウ?会いたかったよ」

 

「君は確か…壬生の殺女か…」

 

「私の警告は覚えているはず…ヤタガラスを裏切る逆賊共は…この殺女が殺すのだ!!」

 

銃を抜いた殺女との戦いは避けられないと判断したライドウが飛び降りながら銃を構える。

 

互いが銃撃を放ち合い、頬を掠める傷を負った後に接近戦を仕掛け合う。

 

「貴様の相手はワシだ。引退したとはいえワシも壬生に名を轟かせた者…恥じぬ戦いをしよう」

 

「壬生の長老か…貴様の現役時代の名声は聞き及んでいる。楽しい戦いが出来そうだな?」

 

「お前達は他の者達の援護に向かえ。こ奴らだけが凄腕サマナーではないやもしれんでな」

 

「「了解しました、長老」」

 

キョウジは壬生の長老を相手にし、レイとナオミは壬生の女サマナー達を相手にする事になる。

 

他の葛葉一族のサマナー達も壬生一族のサマナー達に襲われており、乱戦状態と化す。

 

一方、ヤタガラス総本山近くを流れる川の川下から巨大な物体が昇ってくる。

 

川を上ってきていたのはミシャグジさまであり、白い蛇の体を持ち上げながら川から出てくる。

 

「すまぬな…皆の者達を囮にしてしまって。それでもワシは今日の日を待ちわびてきたのじゃ」

 

市街戦を回避して迂回した事で難なく敵の本陣に辿り着いたミシャグジさまが山を見上げる。

 

彼の存在に気が付いているのか猛々しい雷が迸る奥の院を見た時、獰猛な憎しみが噴き上がる。

 

「待っていろ…タケミカヅチ!!貴様との再戦の機会を…一日千秋の思いで願ってきた!!」

 

市街戦に大きく戦力を割いたことで警備が手薄なヤタガラス本陣を復讐者が昇っていく。

 

その混乱を利用するのはヤタガラス総本山の牢獄に囚われた魔法少女達である。

 

各々の思いが交差する戦場は他にも構築されており、鞍馬天狗達もついに動く時が来る。

 

首都制圧戦で消耗した反乱軍に体勢を立て直す機会を与えまいとした事で一気に攻め込むのだ。

 

一方、誰にも知られない戦場もまた生み出されている。

 

「ここが……日本のザイオンなのですのね?」

 

ライドウ達がザイオンに攻め込んだ直後に突然現れた存在とはホワイトメン達である。

 

虚ろな表情をした氷室ラビと里見那由他、それに八雲みかげ達が周囲に視線を向けていく。

 

彼女達が出現した位置はヤタガラス総本山から見て逆の地域であり、大きく離れているようだ。

 

「そうよ…ここが最終戦争から人々が生き残る箱舟であると同時に世界を滅ぼす爆弾でもある」

 

「ここにあるんだね…?無限発電炉っていう…世界を滅ぼせる程の莫大なエネルギーが…?」

 

「無限発電炉ヤマトを攻略するには迎撃装置として常駐している悪魔を倒す必要があるのよ」

 

ラビが後ろに振り向くと同じように絶望の表情を浮かべた神浜魔法少女達がいてくれる。

 

「悪いけれど…貴女達には死んでもらうことになるでしょう。それ程までの悪魔が相手なの…」

 

「構わない…僕はもうこの世界に絶望した者だ。異世界転生出来るなら…何でも構わないから」

 

「トラック追突転生にはなれそうにないけど…それでも…死の先に救いがあるのは同じね…」

 

「生きて映画監督になりたかったけど…資本主義の現実を知らされたから…私ももういい…」

 

「そうよね…せいら。資本主義では作りてよりも金を出すスポンサーが全てを支配するわ…」

 

「そのせいで世界中の政府すら株式会社構造で支配されたのなら…私達はもう死ぬしかない…」

 

絶望の言葉を口に出すのは工匠学舎の四人組魔法少女であり、他の魔法少女達も同じ気持ちだ。

 

「さぁ、逝きましょう…みんな。この穴倉世界のさらなる奥にこそ…死と再生の救済があるわ」

 

ザイオン発電施設に突撃していく者達に対して、自動迎撃装置が稼働を始めていく。

 

自動機関銃群が彼女達に機関砲射撃を仕掛けてくる中、ラビが召喚するのはサンダーバード。

 

巨大な機械の鳥が放つマハジオダインによって迎撃装置が破壊された事で内部に突入する。

 

内部の防衛部隊や職員は吉良てまりの固有魔法である洗脳魔法を用いて完全支配下に置くのだ。

 

地下都市ザイオンのさらに深くに存在している無限発電炉を絶望の魔法少女達は制圧を目指す。

 

それぞれが生み出す戦火の先に見る景色は違えども、各々の正しさを信じて戦うのであった。

 




片付けなきゃいけないキャラドラマが膨大でどれから手を付けるか迷って投稿が遅れました(汗)
取り合えずライドウ達や静香達やラビ達のキャラドラマを終わらせた後、人修羅達のドラマを終わらせようと思います。
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