人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

374 / 398
373話 まどかの選択

世界中で戦火が広がる中、ウリエルとラファエル達を倒したまどかとほむらは西に向かう。

 

向かった先はイスラエルであり、そこで見た恐ろしい光景に対して息を飲む。

 

「こんな……ことって……」

 

「一体…どれだけ苛烈な戦場が…イスラエルで生まれてたんでしょうね……」

 

上空を飛びながらイスラエルの大地を見てきたまどか達が最初に目にしたのは死海である。

 

この地には死海があったはずなのに超巨大なクレーターによって死海が消滅しているのだ。

 

底が見えない程にまで穿たれた大地を見た時、時間のタイムラインが視えるまどかが目を瞑る。

 

過去の時間に意識を向けた時、そこで戦っていたのはバアルとモトの激しい戦闘だったようだ。

 

「喜べモト!!貴様は我の神器の性能を確認する獲物として選ばれた…犠牲者第一号だぁ!!」

 

死海の上に浮く巨大な石棺をしたモトの激しいメギドラオン攻撃に対してバアルが仕掛ける。

 

上空で次々と炸裂する戦術核レベルの消滅光を避けながら巨大な竜巻を生み出す。

 

「ヌォォォォォォォォォーーーーッッ!!?」

 

死海の塩水ごとモトの巨大石棺が巻き上げられていく中、バアルが天空から飛来する。

 

その両手には神器であるヤグルシとアイムールが握られており、天罰の如き一撃を狙う。

 

「舐めるな…バアル!!我は貴様を神王などとは認めぬ…我が誇りにかけて…認めてやらぬ!」

 

マルドゥクの次にバアルが至高天の玉座に座っていた頃、モトはバアルの宴会に招待される。

 

自身が神王となった祝宴だというがモトが求めた人肉料理が無かったため不満を爆発させる。

 

バアルを己の冥界に飲み込む形で殺害したのがモトであり、妻のアナトを激怒させる。

 

モトを殺害して刻み込み、大地に撒いた事でバアルは蘇り、豊饒の象徴となっていく。

 

しかしバアルの復活と同時にモトも蘇り、彼らの戦いは雨季と乾季の入れ代わりとなっていく。

 

永遠に繰り返す死闘を運命づけられたバアルとモトであるが、その連関を終わらせようとする。

 

「再び我が冥界に飲まれて滅びるがいい…!!」

 

上空に巻き上げられつつも巨大な石棺が開き、おびただしい闇の雲を放出していく。

 

モトの体は冥界そのものであり、再びバアルを飲み込んで殺害しようと狙ってくる。

 

「貴様の腹の中に入るのは御免被る!!冥界の蓋が開くよりも先に…今度は貴様が滅びよ!!」

 

左手に持たれた黄金の鈍器の如きアイムールを振り上げたバアルは背中に炎の翼を生み出す。

 

急加速したバアルの一撃が冥界の門が開くよりも先に決まった事でモトの巨体が墜落する。

 

「ウォォォォォォォォォォォーーーーッッ!!?」

 

黄金の鈍器から迸るバアルの雷に焼き尽くされながら死海に墜落。

 

その衝撃は凄まじく、死海の塩水が全て叩きだされるかの如き地獄の光景が生まれてしまう。

 

それだけでなく大地の岩盤まで破壊されていき、大地の奥深くにまでモトは叩きこまれる。

 

掘り進められた大地の底にまで沈んだモトの石棺は砕けしまい、モトの頭部が転がっている。

 

砕けるモトの巨大な頭部の上に着地したのはバアルであり、黄金の牛兜の中で高笑いを行う。

 

雷で輝くアイムールの光に照らされながら塩水の雨が降り注ぐ光景こそ天空神の御技なのだ。

 

「これが本来の我の力だ!あの時は神器を持ち込まずに冥界に行った為に敗れただけだぁ!!」

 

「おのれ…バアル…我が…滅びようと…貴様が…いる限り…我は…再び…蘇る…」

 

「何度蘇ろうと無駄な事だ。かつての貴様もナホビノだったが…今では見る影もない存在だ!」

 

「憎き…唯一神め…我がナホビノさえ…取り戻せて…いたら…バアルになど…負け…ぬ……」

 

無念のまま砕け散るモトが膨大なMAGとなりながら空に昇っていく。

 

その光景を女神の千里眼を用いて確認したまどかであるが、次の地獄も観る羽目になっていく。

 

「ほう…この魔力はガブリエルか?有象無象の天使共を引き連れながら殺されに来たようだな」

 

ガブリエル達の魔力を感じ取ったバアルは右手に持つヤグルシに視線を向ける。

 

アイムールだけでなく自分も敵を屠りたいと暴風を生み出す己の神器の叫びに応えるのだろう。

 

「我が神器は二つを用いて放つ力によって天空神の力を顕現させる…次の獲物で確かめよう」

 

炎の腕の如き両翼を羽ばたかせながら迫りくる箱舟戦艦を迎撃するために飛翔していく。

 

一方、高度三万メートルから接近してくる箱舟戦艦内のブリッジではガブリエルが指揮を執る。

 

艦長席の机にはインキュベーターも立っており、モニターに映るイスラエルを見据えるようだ。

 

「思い出します…カナンに現れた大魔王の軍勢をね。あの日より悪魔崇拝の歴史が加速した…」

 

「堕落を文化とするカナン族に潜り込み、悪魔の血を残し、多くのネフィリムを生みましたね」

 

「奴らの中から二ムロデ崇拝が生まれ、バアル崇拝と共に秘密結社の教義と化したんです…」

 

カナン族ユダヤの目的は権威に成りすまして権力を掌握し、国家を支配する構造を広げること。

 

その為に古代から存在したフリーメイソンに侵入して王侯貴族や有力者を騙して洗脳する。

 

意識的・無意識的工作員に育てる機関に改造した目的こそがニューワールドオーダーなのだ。

 

これこそがイルミナティであり、ユダヤ結社は世界から宗教と王政を徹底的に排除していく。

 

「無宗教の世界共和国化こそがイスラエルであり、イスラエルこそが世界の首都とするのです」

 

「その為に共産主義を生み、世界の王政と宗教を破壊した…ソ連と中国の殺戮歴史の正体です」

 

「これこそがシオニズムであり、カナン族ユダヤが世界を制する猛毒の思想となったんです…」

 

「その邪悪な民族を統率するのが大魔王とバアルでしたが…今ではバアルのみとなりましたね」

 

「たとえルシフェル様を失おうとカナン族ユダヤの精神的支柱はバアル…まだ終わってません」

 

中国や北朝鮮やソ連の国名となった共和国こそがユダヤが権威に成りすましたと示す証。

 

背後から傀儡の権力を操り、最終的には共和国群を統一して世界統一政府を樹立する。

 

世界統一とは多国籍企業群が政府に成り代わる光景であり、ユダヤ資本が影の政府を担う地獄。

 

世界から王政と宗教を消滅させる目的こそ、カナン族ユダヤの宗教文化が地上を制するため。

 

世界政府の頂点に君臨する神こそがカナン族の主神であるバアルであり、バアルこそが本丸だ。

 

「博愛や平等を利用して真の目的を隠し、異教徒に無神論的唯物主義を広めた罪は重いのです」

 

「大東社というイルミナティは背後に立ち、1848年2月に共産主義宣言を行いました」

 

「今では世界の金融・政官財・学会・司法・メディアは共産主義の巣窟…だからこそ一掃する」

 

奇しくも天使軍と人修羅達の目的は同じであり、望みは違えど同じ敵を蹂躙してくれる。

 

天使軍の活躍が無ければアスラと多神教連合がここまでの勢いを得られる事は無かっただろう。

 

「ガブリエル様!前方空域から高速接近する悪魔が迫ってきてます!!」

 

艦長席を立ち上がったガブリエルの目が大きく見開きながらモニター群に映る悪魔を見る。

 

燃え上がるゲヘナの翼を背中から放出しながら迫りくる存在こそがカナンの主神バアルなのだ。

 

「フハハハハァーッッ!!ガブリエルよ!ボルテクス界の頃のように我に恭順してみせろぉ!」

 

バアルの要求をモニター越しに聞いたガブリエルの穏和な顔が豹変し、憤怒の形相と化す。

 

彼女が思い出すのはボルテクス界の頃の記憶であり、バアル・アバターに支配された屈辱。

 

一時とはいえ主神への忠誠心を凌辱された苦しみはトラウマとなっており、雪辱を晴らしたい。

 

その気持ちが表れるかのようにして彼女は纏っている百合の刺繍が入ったローブを脱ぎ捨てる。

 

ローブの下は女騎士を思わせる鎧姿であり、真ん中分けにして下ろす金髪の長髪を掻き上げる。

 

すると金髪が青色に変色していき、オールバックにしたガブリエルの心は氷結するのだ。

 

「対空砲発射用意!!敵を本艦に近寄らせるな!!迎撃部隊は私と共に出撃しなさい!!」

 

箱舟の円形に備わった無数の対空砲が次々とホーミングレーザー弾幕を展開してくる。

 

同時にメルキセデク部隊やケルプ部隊も次々と発進してくる中、バアルは果敢に突撃していく。

 

万能属性以外は全て吸収してしまう悪魔耐性によって対空砲のレーザー攻撃は意味を成さない。

 

ならば天使達が直接戦うとバアルに目掛けて天使軍のロボット天使達が次々と襲い掛かる。

 

「雑兵共がいくら集まろうと…このバアルの敵にはなり得んなぁ!!」

 

光り輝くバアルの体から放たれたのは神矢来であり、無数の光弾がホーミングレーザー化する。

 

射貫かれたロボット天使達は上空で次々と爆発する中、指揮官の天使達が飛来する。

 

<<選民を運ぶ箱舟には近寄らせんぞぉ!!>>

 

現れたのは熾天使達と同じく六枚翼を持つ存在であるが下半身は存在しない小柄な天使である。

 

【ハニエル】

 

神の栄光・恩寵を意味する名を持つ天使であり、神の恩寵としての愛と美を司る。

 

愛の星である金星と深く関わっているとされ、愛らしい少年や少女の姿で描かれる事が多い。

 

カバラではセフィロトのネツァクに配され、邪悪な者を打ち破る術者を護ってくれるという。

 

【カズフェル】

 

罪深く契約の長として伝えられている天使。

 

本来の名前は善き人の意味であるビクァとされる存在である。

 

「既に我々の手によって悪しき啓明結社は崩壊している!貴様を信奉する者は虐殺したのだ!」

 

「臣下のいない神王など意味を成さない!悪魔崇拝者共の後を追うようにして滅びるがいい!」

 

天使の剣を携えた者達に背後を取られているバアルであるが不気味な笑い声を上げていく。

 

「だから何だ?イルミナティなど支配手段の一つに過ぎん!我がいる限り支配は揺るがんぞ!」

 

一気に急降下したバアルを追うようにしてマジックミサイルを放ちながら天使達も急降下する。

 

バアルが入り込んだのは巨大な雷雲の中であり、ハニエル達も入り込むのだがバアルを見失う。

 

「奴は何処だ!?」

 

<<我の腹の中にわざわざ入り込むとは…この愚か者共め!!>>

 

天空を支配するバアルにとって天空とは自分のテリトリーであり、雷雲とはバアルの領域。

 

<<グワァァァァァーーーーッッ!!?>>

 

荒れ狂う雷雲の領域から生み出されるのは雷耐性を貫通するナルカミの一撃。

 

全方位から迫りくるナルカミが次々と直撃していくハニエル達の体がボロボロになっていく。

 

墜落していく天使達にトドメを刺すために現れた存在が背中の翼を広げながら突進してくる。

 

鉤爪の如きバアルの炎の翼はまるで翼脚であり、滑空や獲物を掴んで引き裂くことに特化する。

 

「矮小な天使共め!!天空神の怒りに触れた以上…貴様らには天罰が与えられるのだぁ!!」

 

墜落する天使達の間を超える時、鉤爪の翼脚が二体の天使達を掴み取る。

 

ゲヘナの炎で構成される炎の爪で握り込まれた天使達は一瞬で焼き尽くされてMAGの光と化す。

 

「バアルゥゥゥゥーーーーッッ!!!」

 

上空から迸る消滅光の奔流に反応したバアルがきりもみ飛行しながら旋回していく。

 

巨大な雷雲を消滅させる程の奔流とは至高の魔弾であり、ガブリエルが迫りくる。

 

天軍の剣を振るいながら次々とメギドラオン攻撃を仕掛けてくる爆発の中を駆け巡るのだ。

 

「流石はガブリエルだな!ならば我も相応の一撃をもって…貴様に応えてやろう!!」

 

貫く闘気を纏ったガブリエルが背中の六枚翼を広げながら無数のマジックミサイルを放つ。

 

それと同時に飛行体勢を解いたバアルが全身に風を浴びながら風に乗って後方に下がっていく。

 

天空こそバアルの領域であり、風を自在に操るバアルは木の葉のように舞いながら背後をとる。

 

「くっ!!」

 

急速旋回しながら振り切ろうとするが高速飛行してくるバアルを振り切れない。

 

「来るがいい…牛の魔王め!!貴様に支配された屈辱…万倍にして返してあげましょう!!」

 

ボルテクス界での屈辱を晴らす一撃を狙うガブリエルに対してバアルが仕掛ける。

 

きりもみ回転飛行しながら翼脚の鉤爪を用いた逆薙を浴びせようとするのだ。

 

「捉えたぁ!!」

 

高速接近するバアルに対して放つのはフレアとしてばら撒いた無数の光の羽。

 

それらが後方で次々と炸裂し、連続メギドラオンの爆発を生む。

 

万能属性は吸収出来ないバアルに対して有効打を与えたと後ろを振り向いた時、戦慄する。

 

「そ…そんな……ッッ!!?」

 

目の前にまで迫ってくるのはバアルの姿であり、その体は結界魔法によって守られている。

 

被ダメージを軽減する『神奈備ノ守』を展開したことで万能属性の一撃を軽減させたようだ。

 

「一瞬だ、刮目せよ!!」

 

回転体勢を解いたバアルが突撃して放つのは頂肘の一撃。

 

右肘を腹部に打ち込まれた事で吐血するガブリエルが目にしたのは苛烈な拳舞を放つ魔王の姿。

 

極大の竜巻地獄に囚われたガブリエルを襲うのは無数に分身したように見えるバアルである。

 

<<我が千撃!!受けてみよぉ!!>>

 

無数のバアルが突撃しながら次々と拳打を浴びせていく。

 

その数は千体であり、『千烈突き』が炸裂したガブリエルの体が挽き肉と化していく。

 

「申し訳……ありませ……ん……我らが……主……よ……」

 

ガブリエルの頭部だけが地上に向けて落下する中、最後の天罰が上空から飛来してくる。

 

「これぞ…天の一撃なり!!」

 

落下する頭部に目掛けて右拳を炸裂させた事でガブリエルの最後の肉片も砕け散る。

 

膨大なMAGの光を超え、地上に激突したバアルの拳によってゲヘナの火柱が噴き上がる。

 

「勝利など容易い!!」

 

ゲヘナの火柱の中で残身の構えを行うバアル。

 

火柱によって大地に描かれた文字とは天であり、牛頭天王でありバアルを表す漢字となるのだ。

 

「残すところは選民を運ぶ箱舟とやらだけだな?フフッ…デカい獲物の方が試し甲斐がある」

 

両手に生み出すのはヤグルシとアイムールであり、膨大な雷と風を噴き上がらせる。

 

「そ……そんな……ガブリエル様の生体反応が……ロストするなんて……」

 

感情が無いインキュベーターでさえ信じられない表情を浮かべてしまう中、バアルが迫る。

 

地上から高速飛行してくるバアルに対して守りを固めるようにシールドバリアを展開する。

 

「フハハハハ!!見ているか…唯一神よ?貴様が選んだ選民共が蒸発する光景を見るがいい!」

 

再び天空に現れたバアルが左腕を振り上げながらアイムールを叩きつける。

 

箱舟のシールドバリアの光と雷撃の光が眩く輝く中、バアルは右腕も振り上げる。

 

右手に持たれた神器はヤグルシであり、雷の棍棒に打ち付ける形で暴風の戦槌を放つ。

 

レッドランプに照らされながら箱舟ブリッジが崩壊していく中、キュウベぇは最後を迎える。

 

<<わけが……わからないよ……>>

 

その時、地球を照らし尽くす程の眩い閃光が生み出されることになるだろう。

 

箱舟の守りは天空神の力によって完全に砕かれ、その余波が船体を破壊し尽くす。

 

箱舟コロニーにいた選民達も蒸発し、地球で活動していた全てのインキュベーターも消滅する。

 

メギドラダインさえも超える程の消滅光によって、天使軍の箱舟はついに消滅する事となった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

女神の千里眼行使を止めたまどかは悲痛な表情を浮かべてしまう。

 

そんなまどかの態度に不安を募らせる悪魔ほむらは何が視えたのかを問いかけてくる。

 

深刻を極めた表情のまま過去に起きた出来事を語られた時、ほむらは絶句してしまうのだ。

 

「バアルの力がそれ程までに強力だったなんて…今の私達が戦いに行っても…殺されるわね…」

 

「わたし…みんなを救えなかった…箱舟に囚われていた人達を…全員死なせちゃった…」

 

「まどか…私にも貴女にも限界があるわ。どうしたって…手が届かない命があるのよ…」

 

「それだけじゃないの…天使達の箱舟にはキュウベぇもいたの…恐らくは……」

 

「……選民達と一緒にインキュベーターも全員滅びたのね?」

 

顔を俯けながら頷くまどかを見たほむらは複雑な表情を浮かべてしまう。

 

あれ程まで憎んだキュウベぇが地球から消滅したのなら魔法少女として喜ぶべきかもしれない。

 

しかしキュウベぇが地球から消滅したのなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だろう。

 

現存する魔法少女が死滅した時、地球から魔法少女達の姿が消滅することになると分かるのだ。

 

「わたしね…キュウベぇの酷い部分には怒ってたけど…それでも必要としてた部分もあるの…」

 

魔法少女達を騙して魔法少女契約させた末に魔女化に導き、宇宙を温める絶望の熱とする。

 

それこそが宇宙の熱を生み出す孵化器であったインキュベーターが行ってきた鬼畜の所業。

 

だがそれだけだったのか?

 

「魔法少女はね…辛い現実を自分の力では克服出来なかった時…キュウベぇに助けられたの…」

 

多くの魔法少女達にも人間として生きた時代があり、その中で多くの社会的な理不尽を浴びる。

 

矮小な人間の力ではどうする事も出来なかった時、キュウベぇの力は救いにもなったのだろう。

 

「キュウベぇがいなければマミさんは全ての宇宙で事故死する…杏子ちゃんも飢え死にする…」

 

神浜の魔法少女達も同じであり、キュウベぇの力がなければ命さえ落とす末路になる者が多い。

 

極悪非道なインキュベーターもまた人修羅のような悪魔達と同じく陰陽存在。

 

人々を救いもするし殺しもする、矛盾を極めた存在である。

 

医者や警察も同じであり、使い手次第で人をわざと病死させたり、冤罪逮捕だって出来る。

 

これは魔法少女も同じであり、人々を救う魔法少女もいれば人々を殺せる魔法少女もいるのだ。

 

「この世の事物はね…ある側面を解決しただけじゃ…本当の解決になんてならないんだよ…」

 

「それは私も分かってた…だからこそ悪魔になった時…私はインキュベーターを支配してきた」

 

「だけどキュウベぇは滅びた…もう魔法少女になる者は生まれない…わたしは関われなくなる」

 

円環のコトワリは魔法少女を救う為に降臨する女神であり、()()()()()()()()()()()()()()

 

概念存在だからこそ概念を語り継ぐ魔法少女が存在してくれなければ存在が消えてしまう。

 

これこそが不死であるはずの神にとっての死であり、存在が忘却される末路こそが概念の死。

 

「まどか…地球で魔法少女が生まれなくなっても他の星で生まれる事もあるかもしれないわ…」

 

「たとえそうだとしても…この宇宙の地球には遠くない未来で…わたしは関われなくなるの…」

 

「今を小学生ぐらいで生きてる魔法少女達が死ぬ時が…まどかが地球から消える時なのね…」

 

「もう100年も時間はない…それでもね…わたしは精一杯…この宇宙の地球を守りたいよ」

 

「だったら私も残された時間を共に生きたいわ…そしてその時が来た時は…私も世界から去る」

 

憎い敵が滅んでも喜ぶことすら出来ない者達が今の世界に視線を向ける。

 

バアルがもたらした破壊の光景は凄まじく、至る所から黒煙と絶望が噴き上がっていく。

 

手を強く握り締めるまどかはバアルの存在を決して許さないが、それだけではない。

 

「わたし…やっぱりこんな世直し戦争は認められない…尚紀さんの選択も…認められない…」

 

「ま…まどか…?」

 

「わたしはバアルだけでなく…尚紀さん達も止めたい。今直ぐこんな戦争を止めさせたい…」

 

バアルだけでなく人修羅達まで敵に回すと言った時、アラディアの念話が響いてくる。

 

<鹿目まどか…汝は我の父上の敵になるというのか!?ならば我は協力出来ないぞ!!>

 

<敵になるつもりはないけど…それでも頼みを聞き入れてくれないなら…戦うつもりだよ>

 

<ならぬ!!ならぬぞ!!お前達も鹿目まどかを止めるのだ!!>>

 

まどかの意思を無視するかのようにして体が勝手に動き、背中の翼から羽が舞い散る。

 

舞い散った羽が光を放ち、現れた存在とは円環の魔法少女達の姿のようだ。

 

「おやめください!!人修羅様は心を犠牲にしてでも世界の金融支配を終わらせたいのです!」

 

「エボニーの言う通りですわ!犠牲無くして得るものなし…これが世界の等価交換ですわ!!」

 

現れたのはエボニーやエリザの姿であるが、まどかは顔を俯けたままの者に振り向く。

 

振り向いた先にいたのは円環のオリジナルタルトの姿であり、まどかはこう語ってくる。

 

「国を救う為、世界を救う為、そう言いながら戦争を繰り返した人はね…タルトさんになるの」

 

「その通りです…いずれ尚紀は…私と同じ末路になる。大勢を殺した者として…断罪される…」

 

それを語られた事で顔を俯けて黙り込む者もいるが、反論してくる者もいる。

 

反論するのは皇女であるエリザ・ツェリスカであり、戦争の歴史を知る者として叫んでくる。

 

「だからこそ戦争に勝つ必要があるのですわ!勝者は誰も否定出来ない!罪も問えない!」

 

エリザが語った通り、タルトがもし百年戦争に勝利していたなら彼女の罪を問える者はいない。

 

ジャンヌ・ダルクが行った戦争犯罪は有耶無耶になり、タルトは助かるが犠牲者は泣き崩れる。

 

「勝った人達が喜んでもね…戦争で犠牲になった人達は泣くしかない…わたしはそれが嫌なの」

 

この世の事物はある側面を解決するだけでは問題の解決にはなり得ない。

 

これこそが世界のルールである等価交換であり、何かを求めれば何かを失う結果がついてくる。

 

それこそが人類の歴史であり、魔法少女やサマナーや悪魔達とてそれは同じであろう。

 

生命の在り方とは常に取捨選択。

 

選択を選んだ者は別の選択で得られた何かを失うものだ。

 

「理想論では何も成せない!金融支配者共に泣いて懇願すれば支配を止めてくれるとでも!?」

 

「そんなのやってみないと分からない!バアルにだって話し合いが出来るならやってみたい!」

 

「目を覚ましなさい!!権力者がそうであるように反乱する者達にも譲れないものがあるの!」

 

「エリザさんの仰る通りです!たとえ偽善と罵られても…やらない善よりやる偽善です!!」

 

「わたしはね…偽善には大きな弊害があると思うの。それはね……」

 

――()()()()()()()()ことなんだよ。

 

世の為人の為だと左右に分断された政治活動をしている連中は大勢いるだろう。

 

しかしそんな連中に共通しているのは()()()()()()()()()()()

 

誰かの為にと他人からよく思われたい欲求を自己犠牲かのような目くらましで誤魔化す。

 

人の為と書いて偽と読み、それらの人を皆は偽善者と呼ぶ。

 

ジャンヌ・ダルクも同じであり、妹が殺された戦争を終わらせたいなど己の願望に過ぎない。

 

それを救国という全体救済にすり替え、彼女を英雄だと讃える者達は誰も彼女を批判しない。

 

これこそが悪を見えなくする行為であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その為に戦争が始まれば自国の正義という暴力正当化を行う必要があったのだろう。

 

「戦争に勝っても戦争犯罪という悪を見えなくされる…そんなのは卑劣でしかないんだよ…」

 

「だったら…だったらどうすればいいんですの!?人々は戦わずに搾取されてろとでも!?」

 

「そんな事は言ってない!じゃあどうすればいいのか…皆で話し合うのが大事だと思うの…」

 

「まどか…貴女が危惧している部分は尚紀も承知してるわ。彼は悪を隠すつもりはないの…」

 

「じゃあ…猶更尚紀さんを止めなきゃ!悪を隠さないなら…間違いなく処罰されるよ!!」

 

尊敬する嘉嶋尚紀をジャンヌ・ダルクと同じ末路にしたくない。

 

それこそが尚紀を止めるために選んだまどかの選択であり、ほむらは頷いてくれる。

 

「貴女がそう決めたのなら突っ走るわよね?まどかを見てきた私だから分かる…ついて行くわ」

 

「わたくしは遠慮します。わたくしも戦う事でしか支配からの解放は得られないと考えますし」

 

「私もエリザさんと同じ考えです…それだけでなく…私は新たなラーとは戦いたくないです…」

 

「私もエリザ達と同じ意見です…きっと他の円環魔法少女達も同じ気持ちだと思います…」

 

「うん…分かってる。これはわたしの我儘だもの…みんなに迷惑はかけれない…わたしが戦う」

 

<このバカ者め…我は愛する父上に嫌われたくない…我もサポートするつもりはないからな>

 

アラディアを含めた円環の者達から止められても、まどかは自分が決めた道を進める者。

 

それこそが彼女の行動力であり、たとえ母親に止められても彼女は突き進んで行けるのだろう。

 

それでも彼女達の魔力消耗は激しい状態であり、日本の神浜に戻る提案をしてくるのだ。

 

「あそこには業魔殿と呼ばれる悪魔研究所がある。もしかしたら私達を回復してくれるかもね」

 

「それに尚紀さんの魔力も日本の方角から感じる…先に尚紀さんから相手をするしかないね…」

 

「またあの男と戦い合うのね…私達は何処までも似てるのに…潰し合うしかないみたい…」

 

人の為、社会の為と他人の為に戦うのは素晴らしい。

 

だがそればかり連呼して他人を執拗に批判し、攻撃ばかりする人は自分の欲望を隠している。

 

それは思想の型で殴りつける行為でしかない。

 

人修羅もまた試される者として批判の矢面に立たねばならない立場だろう。

 

それこそが責任の道であり、大勢の人々に犠牲を強いる戦争犯罪者ならば猶更だ。

 

悪にだけ意識を向け、悪だけを批判しながらぶっ叩くのは簡単だろう。

 

しかし自分が批判される場合になればヘイトだの何だのと喚きながら批判側を悪者にしていく。

 

ならばいっそのこと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だろう。

 

それこそが葛葉ライドウが語った己の為に戦うであり、人の為の戦いなど偽善でしかなかった。

 




僕の中ではデビルサバイバーは思い出深く、万魔の乱舞だけでなく千烈突きも世話になった攻撃スキルなので何処かで取り入れたかったんですよね。
まぁ…完全に格ゲーキャラのパクリ演出にしてしまいましたがね(汗)
理想論を周りに強要する環いろは病を発症したまどかちゃんの明日はどっちだ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。