人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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375話 魂の歌、その叫びを貫く戦場

地上で激戦が繰り広げられる中、人修羅と円環のコトワリ達は宇宙にまで昇って戦い合う。

 

交渉は即座に決裂したことで人修羅はまどか達を踏み越える覚悟を示す。

 

命を懸けて自分についてくる烈士達の脅威となる存在を彼は許さない指導者である。

 

たとえ心を繋いだ大切な存在達であっても、敵となるならば彼は容赦しない男なのだろう。

 

<どんな理由でも!どんな大儀でも!人を死なせていく戦争が正義なんですか!?>

 

交渉が決裂しても念話で叫び続けるまどかに対し、人修羅は容赦ない魔弾の弾幕を発射する。

 

<俺達に正義など無い。正義とはな…自分達が行う悪行を善行にすり替える印象操作だ>

 

無数のホーミングレーザー弾幕に対し、回避機動を行うまどかとほむらがフレアをばら撒く。

 

後方にばら撒いた光の羽と赤黒い棒針が炸裂し、追撃してくる魔弾を消滅させる爆発を生む。

 

しかし上をとっている人修羅は蹴り足に魔力を溜め込み、後ろ回し蹴りを行う。

 

放たれたジャベリンレインの魔弾が迫りくる中、まどかは懸命にも説得を続けてくる。

 

<正義を求めないのなら…やってる事は悪そのものだよ!犠牲にした人達が見えないの!?>

 

<見てきたさ…あの犠牲者達はかつての俺だ。俺もまた新世界を生む為の犠牲者の一人だ>

 

<そんな辛い経験をしてるのに…同じ苦しみを他人に与えるんですか!?間違ってるよ!!>

 

<間違っていても犠牲を敷くしかない…それが世界のコトワリ…等価交換の法則だ>

 

<運命に縛られる必要はないよ!やりたくないのなら…やらなければ良かったの!!>

 

<戦わなければ金融支配は終わらない。誰かが代償を支払うしかないのなら…俺達が支払おう>

 

人修羅とまどかの激しい念話論争は悪魔ほむらにも聞こえているが、彼女は沈黙する。

 

彼女もまた自分の行いが正しくなくともフェミニズムを実行した者として彼を否定出来ない。

 

自分の行った悪行の是非についてはその後の者達に判断してもらうしかないと考える者なのだ。

 

ほむらはまどかの盾としての戦いに集中するため、背中の翼から侵食する黒き翼を生み出す。

 

迫りくる光弾の雨を侵食領域に飲み込んで相殺し、まどかの盾としての役割を果たしていく。

 

<偽りの平和に甘んじた果てにあるのは死ぬまで搾取される構造のみ。俺達はそれを破壊する>

 

<話し合いで解決する事は出来ないんですか!悪が相手だからって同じ悪になる必要はない!>

 

<お前はどうして世界を善と悪でしか認識出来ない?悪ならばどうして間違いだとする?>

 

<わたしは頭は悪いけど…心はあるよ!戦争も喧嘩も絶対に間違ってるって分かるの!>

 

<賢くない者ほど理解出来ない事に対して否定したがる。これは自分を守る防衛本能なんだ>

 

<わたしの…防衛本能…?>

 

<陰謀論者を嘲笑う連中の心理と同じだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

哲学者のカントが提唱したコペルニクス的転回とは人間の認識論についてである。

 

認識が対象に依存するのではなく、対象が人々の認識に依存する逆転の発想を生む。

 

人間が認識する対象は人間の認識構造に照らしてそのように認識されるとする論理である。

 

まどかの認識によって道徳という対象が素晴らしくされても、道徳の弊害を認識していない。

 

陰謀論者を嘲笑ってきた連中も自分の認識によって陰謀論者の理屈は間違いにしてくる。

 

何かの対象は人々の偏見認識によってその価値が見出されるのがコペルニクス的転回なのだ。

 

<自分の知らないことは悪だと認定する連中にこそ、様々な諸学の知恵が必要なんだよ>

 

知恵はその真理を象徴(御上の信頼情報・個人の陰謀論デマ)で包み、その直感を寓意(ぐうい)で覆う。

 

信条・儀式・詩は比喩であり象徴となり、無知なものはそれを文字通りに受け取ってしまう。

 

自分で言葉の牢獄を建て、痛烈な言い回しや皮肉でこの牢獄に入って来ない者を嘲る。

 

地動説を唱えたコペルニクスを嘲笑った者の心理であり、陰謀論者をデマ屋にした者の心理だ。

 

<今は間違いでも先は分からない。天動説や地動説を唱えた者でさえ今は受け入れられている>

 

<論理の問題じゃないよ!尚紀さん達がやっている武力行使で生まれる犠牲者の話なの!!>

 

<例外規定があれば政治家は不正をし、武力があれば革命派閥は使おうとする…それが人だよ>

 

防戦一方の連中に対して動きを止めた人修羅の体から極大の魔力が噴き上がっていく。

 

<時には俺も悪を必要とする…今は悪で構わない。見ろ、まどか、ほむら……これが悪の姿だ>

 

腕を交差して構え、背中の六枚翼を大きく広げながら極大の闇を翼から放出する。

 

そのまま六枚翼を畳み込みながら体を包み、巨大な闇の球体を生み出す。

 

殻を破るようにして砕けた球体の内側から現れた巨体とは原天使サタンの姿なのだ。

 

<俺は悪となろう…人々に嘘をつき、犠牲を敷く悪となろう。おぞましい魔王となってみせる>

 

<やめて…貴方は優しい人なの!未来は絶望ばかりじゃない…希望の未来を信じてよ…!!>

 

<俺は天に裁かれる悪であって構わない。さぁ、仕掛けてこい…来ないならこちらが仕掛ける>

 

七つの頭部を持つ黙示録の赤き獣が放つのは極大の同時攻撃。

 

背中から生える赤き竜はマグマ・アクシスの豪熱を口から放ち、鎖骨付近の頭部も口が開く。

 

四つの頭部から発射するのは至高の魔弾であり、中央の頭部に備わる両目も魔力を溜める。

 

中央の頭部が放つのは螺旋の蛇であり、人修羅が用いる直線攻撃の最大威力を同時に放つ。

 

<<くっ!!!>>

 

散会したまどかとほむらが至高の魔弾の束を避けるが、中央の頭部と背中の竜が追撃する。

 

ほむらを狙う中央の頭部が放つ螺旋の蛇を捻り込み飛行を行いながらほむらは避ける。

 

まどかに狙いをつける二対の龍が放つマグマ・アクシスの一つが当たるが炎を無効化する。

 

300mもある体の巨大な四枚翼を広げながら羽ばたいた原天使サタンも高速飛行を行う。

 

巨大で黒い竜の尾をなびかせながら迫りくる赤き竜人が全身に魔力を溜め込んでいく。

 

<まどか…俺を批判するのは簡単だろう。それでもな…批判をするのなら対案を示してみろよ>

 

<た…対案……?>

 

<対案も示さないで批判するな。そして対案を持ち合わせるなら…どうして実行しなかった?>

 

<そ…それは……その……>

 

<ジャック・ルソーの言葉通りの奴だな?今を必死になって変えようと足掻く者じゃない>

 

18世紀の政治哲学者であるジャン=ジャック・ルソーはこんな言葉を残す。

 

――ある者は明日に、他の者は来月に、さらに他の者は10年先に希望をかけている。

 

――誰一人として、()()()()()()()()()()()()()()()

 

<問題を先送りする…それが失われた平成30年間だ。どうしてお前は未来に希望を投げる?>

 

<うっ……うぅ……>

 

<生きるとは行動する事だ。人類の宿題は明日やるものではない……()()()()()()!!>

 

全身から放つのは極大のゼロスビートであり、人型形態時を遥かに超える弾幕を生み出す。

 

迎え撃つまどかとほむらは大弓を構えて魔法陣を生み出し、矢を放って無数の魔弾を放つ。

 

次々とぶつかり合う魔弾の雨であるが人修羅の魔弾は数が多過ぎる。

 

<<アァァァァァァァーーーーッッ!!!>>

 

相殺しきれなかった魔弾が次々とまどか達に直撃していき、悪魔耐性を貫通していく。

 

混沌王の悪魔耐性と並ぶ程の悪魔耐性を持つ彼女達でも人修羅の貫通スキルは防げないのだ。

 

<俺達を否定するならばするがいい。それでも俺は戦う……魔法少女達との約束を守る為に>

 

あなたの力を私が守ろうとしたかけがえのない人達の為に使って欲しい。

 

魔法少女の真実を国や世界に残して欲しい。

 

子供の小遣いさえまともに支払う余裕がない労働者達の人生を変えて欲しい。

 

子供達が安心して暮らせる未来を残して欲しい。

 

様々な魔法少女達とこの世界で出会い、絆を結べた尚紀の心は交わした約束を果たす事を望む。

 

その為に今を必死になって足掻く者なのだと感じた暁美ほむらの目に涙が溢れ出す。

 

<尚紀…貴方の在り方は何処までも私よ!!なのに…なのに…どうして…こんな事に…っ!!>

 

まどかと交わした約束の為、様々な世界で今を必死に足掻き続けたのが暁美ほむらの人生の形。

 

その人生の形とあまりにも酷似する尚紀を見せられる彼女は自分自身と戦う感覚に陥っていく。

 

<泣くんじゃない…ほむら。お前も守りたいものがあるのなら…今を必死に足掻いてみせろ>

 

<だけど……だけどぉ……っ!!>

 

<お前はまどかを守る最強の盾だと俺は認めている。だからこそ……俺から守り抜け!!>

 

彼の思いが籠った念話を聞いた瞬間、悪魔ほむらの目がカッと開く。

 

魔法少女としての原点に触れた事で彼女の魂が熱い感情の炎を噴き上がらせる。

 

動揺に包まれるまどかに対して一気に仕掛けようとするサタンの攻撃に果敢に飛び込む。

 

再び放たれる七つの最大火力に対してまどかの前に飛び込み、両腕を水平に広げる。

 

<私も今を足掻き続けるわ……貴方と同じように……守りたい存在を守る為に!!>

 

<フッ…目がギラついてきたな?それでいい…それでこそ…俺のライバルだぁ!!>

 

発射された七つの特大ビーム攻撃に対して悪魔ほむらは極大の侵食する黒き翼を生み出す。

 

そのまま盾となるようにして翼を折り畳み、極大のビーム攻撃を真っ向から受け止める。

 

<ほむらちゃん!!?>

 

ほむらの感情が噴き上がる光景を前にしたまどかが念話で叫ぶのだが、彼女はこう叫ぶ。

 

<まどか…間違っていたっていい…貴女の道を誰にも決めさせてはダメ…貴女が決めるの!!>

 

<間違っていても…いい……>

 

<自分を貫き通す道はね…それでもと叫び続ける道よ!彼も貫いている……私も貫くわ!!>

 

――()()()()()()()()()()()()()()()()!!!

 

大切な親友を通して送られる魂を貫く者達の気持ちが伝わったまどかの目が大きく見開く。

 

<ハァァァァァァーーーーッッ!!!>

 

放出される極大のビーム放射を飲み込み切った侵食する黒き翼も消え去るが、再び光を生む。

 

カラス骨の翼から魔力を放出しながら流星と化す悪魔ほむらが原天使サタンに挑む。

 

<グハァァァァーーーッッ!!?>

 

巨大な中央頭部の額に流星蹴りを打ち込んだ事でサタンの巨体を弾き飛ばす程の力を示す。

 

盾を犠牲にして飛び込んできたライバルの一撃が魂に触れる程の痛みと歓喜を与えてくれる。

 

目の前の女悪魔は存在そのものが最強の盾なのだと人修羅は感じられる痛みを心から喜ぶのだ。

 

<俺達の間にはもう憎しみはない……似た者同士、最後まで足掻き続けようぜ!!>

 

連戦に次ぐ連戦によって魔力を回復させる余裕も無い人修羅はサタン形態が解かれてしまう。

 

それでも背中の六枚翼を羽ばたかせながら制止させ、魂が叫ぶ程の勢いで魔力を爆発させる。

 

迎え撃つほむらが拳を振り上げ、飛び込んでくる人修羅も拳を振り上げていく。

 

<<ゴフッ!!!>>

 

互いのパンチがクロスカウンターと化し、互いの頬を打ち抜いてしまう。

 

鈍化する世界。

 

拳がぶつかり合う両者であるが、その表情には憎しみではなく喜びのような表情が浮かぶ。

 

すかさず苛烈な拳打を打ち合う光景には怒りも憎しみもなく、スポーツのような一体感を生む。

 

<喧嘩も戦争も正しくなくても…必要に迫られれば選ぶ覚悟を示す…それもまた…生きる証…>

 

人修羅と悪魔ほむらの苛烈な戦いを見つめるまどかの目には背後の地球も見えている。

 

彼女の目に映るのは日本の戦場であり、意思を貫く者達の魂の叫びを生み出す光景があった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

<<見ろ、壮観な光景だな…。ここが我々の死に場所となるだろう…>>

 

見滝原在日米軍基地から緊急出動した反乱軍の戦闘機部隊の眼前には膨大な編隊が迫りくる。

 

その数は圧倒的であり、F15の編隊だけでは対処することなど不可能極まりない。

 

<<それでも後悔はない。俺達は戦争で金儲けがしたい外道共の為に死ぬんじゃない>>

 

<<その通りだな…俺達は民を守る本物の戦士として死ねるんだ。金儲けの道具じゃない>>

 

<<俺達の死は国の未来で生きる若者達の土台となる…魔法少女達のような若者の為のな>>

 

<<あの子達は俺達の見えないところで国の未来の土台になってきた…今度は俺達の番だ>>

 

<<さぁ、地獄まで飛んでいけ…色男共!!少女達が安心して暮らせる未来を勝ち取ろう!>>

 

<<了解!!これよりドラゴンチームは国連軍との交戦に入る!!>>

 

迫りくる大編隊との交戦に入った頃、地上部隊も激戦を繰り広げていく。

 

見滝原市を覆うバリケードのように配置された地上部隊に攻撃を仕掛けるのはパイナップル軍。

 

在日米軍の残存部隊と合流した事で圧倒的な火力を用いてバリケード部隊を突破しようとする。

 

彼らはデモニカ装備で武装しているため反乱軍の悪魔勢力も視認して攻撃してくるだろう。

 

<<怯むな!!我々の後ろでは魔法少女達が悪魔共と戦っている!背後を取らせるな!!>>

 

反乱軍の地上部隊も必死に反撃を行っていくのだが、航空支援部隊が飛来してくる。

 

<<グワァァァァァーーーーッッ!!!>>

 

国連軍の爆撃部隊であるスーパーホーネットによってバリケード部隊が破壊されていく。

 

そんな中、バリケード部隊のモムノフ達は決死の覚悟で突撃を行っていく。

 

敵軍の懐にまで飛び込めば敵の航空機は味方まで空爆する事になる為、攻撃が出来ない。

 

「死中に活を見出すのだ!東北のサムライと呼ばれた我々の覚悟を示せ!!」

 

「魔法少女に天狗の相手や召喚された化け物の相手を任せちまってる…俺達も負けられねぇ!」

 

「その意気だぞ!!東北に名を残した桃生(モムノフ)として我と共に死地に赴けぇ!!」

 

隊長のアラハバキを先頭にして魚鱗の陣形で突撃する者達に一斉放火が浴びせられる。

 

アラハバキの物理無効耐性を盾にしながらサムライ達が突撃するが、次々と撃ち抜かれる。

 

「ぐはぁ!!」

 

「む…無念……っ」

 

「魔法少女達の背中を守って死ねるんだ…後悔は…な…い……」

 

物理に耐性があるモムノフ達でも一斉放火を浴びせられる中の突撃は自殺行為。

 

それでも後続の仲魔達に後を託された事で生き残った者達がパイナップル軍に斬り込む。

 

「アレダケノ砲火ノ中…我ラノ盾トナッテ道ヲ作ル豪傑達ヨ…見事デアッタゾ」

 

「モムノフ達の意思…自分が受け取った!いくぞケルベロス!!」

 

「我ヲ自由自在ニアツカッテミセヨ!吸血鬼ノ戦士ヨ!!」

 

魚鱗の陣形の中央で守られる形でついて来ていたのはケルベロスに跨った常闇の騎士。

 

日中ではスタミナが続かない吸血鬼悪魔の彼女の足となるケルベロスの上で旗槍を構える。

 

その姿はまるでドラゴン騎士団の騎士であり、ヴラド三世の父を彷彿させるやもしれない。

 

黙示録の赤きドラゴンに仕える騎士として彼女はその名に恥じない武勇を示す。

 

「ウォォォォォォォォォォォーーーーッッ!!!」

 

ケルベロスの突撃によって戦車がかち上げられてひっくり返る。

 

すかさず十七夜も旗槍を振るい、ヒートウェイブの衝撃波で周囲のデモニカ兵を排除する。

 

モムノフ達も装輪装甲車の上に飛び乗って槍を構え、装甲を貫いて中の兵士を刺し殺す。

 

アラハバキも身体を分割しながら空を回転していき、氷結弾を放って援護射撃を行う。

 

戦闘ヘリ部隊は前線指揮官の織莉子の指示によって敵軍の侵入ルートに先回りする。

 

日中で体が弱っている織莉子の戦力となってくれるのが戦闘ヘリに乗った戦士達の意思なのだ。

 

<<敵軍を補足した!攻撃命令をくれ!>>

 

<<貴方達には死んでもらう事になるでしょう…それでも私は攻撃命令を出します…>>

 

<<構わない!嬢ちゃんのような子供の未来を守って死ねるなら…立派な大人ってもんだ!>>

 

<<皆さん…本当に有難う御座います……攻撃開始!!>>

 

<<了解!!日本人を騙してきた米国ヤンキーと在日共に鉄槌を落としてやるぜぇ!!>>

 

戦闘ヘリのアパッチから次々とロケット弾や空対地ミサイルが発射される。

 

残っていたコブラ部隊もそれに続くようにしてロケット弾をばら撒いていく。

 

敵軍の車両が次々と爆発する中、敵軍も反撃として対空砲撃を仕掛けてくる。

 

<<うわぁぁぁぁぁーーーーっ!!!>>

 

次々と撃墜されていく戦闘ヘリのコブラ部隊であるが、アパッチは果敢に回避機動を行う。

 

<<俺達の魂を燃やし尽くす!!国の為に魂を燃やしてきた魔法少女に負けないようにな!>>

 

帰還する事は出来ない地獄の戦場であっても戦闘ヘリ乗りの魂は我を通す意思を叫び続ける。

 

刹那の中で刻み込む殺戮の業を背負い、命尽きるまで我を通す戦歌を歌い続けるのだろう。

 

その覚悟は見滝原市で戦う魔法少女達も同じであり、鳥天狗の軍勢と死闘を繰り返す。

 

「ヤタガラスは状況が見えないのですか!?私達の国は外国から攻撃されているんですよ!!」

 

狐面を纏う青葉ちかの相手は鳥天狗の大将であり、十文字槍を振るう天狗と激しい剣舞を行う。

 

「ヤタガラスはザイオンに国を築く!地上など焼き払われようが構わんぞ!!」

 

「それでも国を守る機関だった存在なの!?民が焼き払われる光景を見て胸が痛まないの!」

 

「民など権威に導かれながら動くだけの働き蟻だ!減ったならば…また増やせばいい!!」

 

「やっぱりお前達は保護者じゃないわ…支配者よ!!守りたいのは自分達の利益だけよ!!」

 

「この世界大戦の先にはハルマゲドンが迫っている!どの道地上は滅ぶ…無駄な足掻きだ!!」

 

十文字槍の横薙ぎを潜り抜けたちかが踏み込んで切り上げを狙う。

 

だが鳥天狗は後方に跳躍して回避し、きりもみ回転しながら槍を用いて風魔法を放つ。

 

マハザンマによって次々とかまいたちが生み出される中、ちかは果敢にも突撃を行う。

 

真一文字に迫りくるかまいたち攻撃に対して跳躍し、体を横倒しに回転しながら間を潜る。

 

着地した勢いのまま滑り込み、続くかまいたちを避けた向こう側には鳥天狗が槍を構える。

 

「それでもな…ヤタガラスも米国に煮え湯を飲まされてきた。そのツケは支払わせるさ!」

 

連続突きを仕掛けてくる槍をステップ移動で避け続けるが、十文字の刃が顔を掠める。

 

「くぅ!!」

 

狐面を斬り裂かれて素顔を晒すちかであるが、片手斧の二刀流で果敢に攻め込む。

 

鳥天狗が語った米国に対するツケを支払わせる存在こそ、屹立する天魔の存在だろう。

 

「くるがいい…オオヤマツミ!!このザオウゴンゲンの忿怒を受け止めきれるならばな!!」

 

オオクニヌシと共に出撃したオオヤマツミの前に君臨するのは彼よりも一回り大きい巨神。

 

クラマテングが召喚した天魔こそ、ヤタガラスにとっては切り札の一つであろう。

 

【ザオウゴンゲン】

 

金剛蔵王菩薩とも呼ばれる存在であり、インドに起源を持たない日本独自の神仏。

 

仏教・神道・道教の影響で生まれた仏と考えられ、修験道の開祖とされる役小角と関りを持つ。

 

蔵王権現の姿は火焔を背負い、頭髪を逆立て、目を吊り上げ口を阿形に開いて忿怒の相を表す。

 

手に三鈷杵を持ち、片足を高く上げて虚空を踏み締め、修験道の修行者を導く存在だった。

 

「山の神として受けて立とう…山岳信仰の神よ!出来るなら…貴様と共に国を作りたかった!」

 

日本の山岳信仰である修験道の神仏ならば山の神の大物締めとも縁が深い関係性であろう。

 

複雑な表情を浮かべるオオヤマツミであるが、敵として立ち塞がるならば容赦しないのだ。

 

「「ヌォォォォォォォォォーーーーッッ!!!」」

 

全長100mサイズの悪魔達が両手で掴み合い、力比べを行っていく。

 

彼らの力が力場を生み、互いの地面が激しく砕けながらどんどん沈下していく。

 

力だけなら互角であるが、ザオウゴンゲンにはオオヤマツミを超える程の忿怒が宿る。

 

「ぐはぁ!!?」

 

掴み合いの状態から頭突きを放たれた事でオオヤマツミの頭部の一部が派手に砕ける。

 

そのまま背負い投げを放ち、オオヤマツミの巨体が宙を舞う程の凄まじい光景が生まれるのだ。

 

見滝原の工業区にまで投げ飛ばされたオオヤマツミが工業区の街を大きく砕きながら滑り込む。

 

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!!」

 

両手で印を組んでいきながら修験道の九字護身法を呪文として唱えるザオウゴンゲン。

 

彼の体から膨大な魔力が生み出されていき、放とうとするのは万能属性魔法である。

 

『忿怒の暴圧』によって工業区方面から攻め込んでくる在日軍ごと消滅させようと狙うのだ。

 

「九天を司る我が忿怒によって滅びるがいい!!」

 

「そうはいかんぞぉ!!ザオウゴンゲン!!」

 

崩れかけたビルの屋上から大きく跳躍してくるのはオオクニヌシの姿である。

 

生大刀(いくたち)を構えながら狙うのは霞駆けの一撃。

 

それに対してザオウゴンゲンは右手に三鈷杵を生み出し、振り向きざまに苛烈な一撃を放つ。

 

「グアァァァァーーーッッ!!!」

 

ブレイブザッパーの一撃を剣で受け止めるがその衝撃は凄まじく、オオクニヌシが弾かれる。

 

ビルの壁面に叩きつけられる形で内部に叩きこまれ、崩れた瓦礫に埋まってしまう。

 

地響きを上げながら迫りくるザオウゴンゲンは三鈷杵を握り込んだ拳を振り上げる。

 

燃え上がりながら逆立つ青い頭髪、天の雲を表す白い布を四肢に巻き付け、体は鎖を纏う。

 

その鎖はザオウゴンゲンの激し過ぎる忿怒を拘束するものだが、その鎖は解かれている。

 

「貴様ら国津神共など我らヤタガラスから見れば米国と同じ侵略軍だ。共に排除する!!」

 

鎖を解かれたザオウゴンゲンは『 ミナゴロシの愉悦』を纏う程にまで凶悪な神仏であり魔王。

 

国津神や魔法少女どころか迫りくる国連軍さえもミナゴロシにするまで忿怒を止めない。

 

それ程の存在を相手にするオオクニヌシは瓦礫に埋まりながらも身体を持ち上げていく。

 

「皆の魂の叫び…私にも届いているぞ。だからこそ私も歌い続けよう…我を貫く魂をな!!」

 

剛腕を振り上げながらビルに放つのは天魔撃砕であり、極限の衝撃波を伴う拳が迫りくる。

 

「「我らの大将を……やらせはせんぞぉぉぉぉぉーーーーッッ!!!」」

 

側面の空から高速で迫りくるのはアビヒコとナガスネヒコであり、合体攻撃を仕掛ける。

 

「グゥ!!?」

 

連枝のあまとびの光輪がザオウゴンゲンの頭部に決まって怯んだ隙にオオクニヌシが飛び出す。

 

巨神の頭部にまで迫るオオクニヌシが放つのは『絶命剣』であり、袈裟斬りの角度で決まる。

 

「グアァァァァーーーッッ!!!」

 

獅子のたてがみを彷彿させる黄金の冠に決まった事で亀裂が入り、ザオウゴンゲンが倒れ込む。

 

それでも命に届く程の一撃には足りないため、忿怒の業火が体から噴き上がる。

 

「オノレェェェェェ!!!ミナゴロシにしてやるぅぅぅぅーーーーッッ!!!」

 

街を焼き払う程の業火が周囲に噴き上がった事で業火の地獄と化していく。

 

<<キャァァァァーーーーッッ!!?>>

 

<<うわぁぁぁぁぁーーーーっ!!?>>

 

地上で戦っていた和装姿の魔法少女やコッパテング達が炎に飲み込まれて焼き尽くされる。

 

焼かれて砕けたコッパテングのMAGや魔法少女達の砕けたソウルジェムの魂が吸い上げられる。

 

それらは天魔が開けた大口の中に吸い込まれるようにして貪り食われてしまうのだ。

 

「何という忿怒…釈迦・観音・弥勒の習合神であっても…抑えられぬ悪魔の本性があるか…」

 

立ち上がったザオウゴンゲンは使役者がいないためMAGを喰らう為に全てを殺し尽くすのだ。

 

「だがそれは我らも同じこと…我ら神々とは神であり悪魔となれる陰陽を体現する存在なのだ」

 

燃え上がる街の中、屋上に立つオオクニヌシは霞の構えを行いながら迎え撃つ。

 

オオヤマツミやアビヒコ兄弟もオオクニヌシを援護する形で死闘を繰り広げるだろう。

 

見滝原市を襲う脅威はザオウゴンゲンだけではなく、巡行ミサイルも次々と飛来してくる。

 

阿鼻叫喚と化す地獄絵図の戦場はワルプルギスの夜が暴れる景色さえも凌駕しているだろう。

 

そんな地獄の光景を宇宙から見つめていたのは円環のコトワリの姿である。

 

<みんなが叫んでる…たとえ間違った戦いであっても…未来に求める希望の歌を叫んでる…>

 

彼ら、彼女達の魂の歌がまどかにも届いてきた時、円環のコトワリを構成する者達も叫ぶ。

 

<あの人達の魂が聞こえるはずですわ!あの叫びこそ…わたくし達魔法少女の叫びなの!!>

 

<エリザの言う通りです!私達は様々な時代で戦場を超えてきた…殺戮を繰り返した!!>

 

<それでも私達には求めるものがあった…それは戦ってでも勝ち取りたい程の希望なの…>

 

<私達もまた彼らと同じ罪人となって滅びました…それでも…希望を求める戦いがしたい!>

 

エリザ、メリッサ、リズ、タルトの叫びに続く声も念話としてまどかに聞こえてくる。

 

<戦争はどんな時代でも大罪です…それでも、それを選ばなければ勝ち取れない希望がある!>

 

<バイキング達も多くの戦場で罪を犯した…それでも、譲れない誇りがあったの!!>

 

<それは帰りを待つ民の幸せを守る道であり…帰りを待つ民の大切な人を殺す道だった…>

 

<私達も神々も同じです…相反する矛盾を行わなければ何も成せない陰陽存在です…>

 

<だからこそ、それをおそれちゃダメなのだ!ちからとたたかいをおそれちゃダメなのだ!>

 

<喧嘩は罪です!それでも愛する人達の希望を勝ち取るしかないのなら…私も喧嘩をします!>

 

水名露、ガンヒルト、オルガ、エボニー、トヨ、アマリュリスの叫びも念話で届いてくる。

 

その中でも千鶴の叫びはまどかの核心に触れるものであるのだ。

 

<アンタはアタシ達の神様だ!アタシ達が紡いできた魂の歴史を守ってくれた存在だろ!?>

 

――だったら…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

千鶴の言葉が聞こえた瞬間、まどかは円環のコトワリになる時の記憶を思い出す。

 

<そうだった…わたしがインキュベーターを残したのは…歴史を無かった事にさせないため…>

 

たとえ血塗られた戦場の歴史であろうとも、間違った選択であろうとも、残す価値がある。

 

戦争や喧嘩を肯定するまどかでなくとも、大嫌いな歴史であっても、無かった事にはしない。

 

それは歴史を紡いでくれた戦士達の魂の歌であり、そこには男も女も関係ない。

 

だからこそ、まどかは人修羅達の魂の歌を止めさせようとした己の偏り切った優しさを捨てる。

 

<ごめんね…みんな…ごめんね…尚紀さん…間違ってたのは……わたしの方だった……>

 

戦士の顔つきとなったまどかが視線を向ける方角にいるのは欧州のバアルと堕天使達。

 

<わたしも戦うよ…みんなと同じように罪を犯す。わたしも魔法少女として……>

 

――人の歴史を築く……魂の一つなんだよ!!

 

まどかは敵を見出し、悪魔の如き苛烈さを敷いてでも希望を勝ち取る戦いをする覚悟を決める。

 

彼女の覚悟を受け取った人修羅と悪魔ほむらは頷き合い、共に戦う気持ちとなってくれた。

 




まどかちゃんもついに理想論では救えない道もあると気が付いてくれましたな。
円環のコトワリになるシーンのマミさんとの会話のやり取り通り、たとえ間違いであっても突っ走るしかないんですよねぇ。
そういえば、FateのZEROで自分達の戦いの歴史を無かった事にしようとして征服王を激怒させた騎士王がいたような気が(汗)
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