人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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377話 死してなおも輝く

超力戦艦と国連軍の大艦隊が激しい海上戦を行っていた頃、見滝原市の戦火は広がり続ける。

 

その戦火は市の郊外に幾つも設けられた市民の避難所にさえ降り注いでくるのだ。

 

<<うわぁぁぁぁぁーーーーっ!!!>>

 

<<キャァァァァーーーーッッ!!!>>

 

見滝原住民達は空爆によって避難所ごと破壊されていき、瓦礫と肉片塗れの地獄を生む。

 

神浜の市民規模には及ばなくとも数百万人が避難する避難所の数々を空爆するなど狂気の沙汰。

 

それでも国連軍の裏にいるバアルが日本を滅ぼせと命じた以上、本気で滅ぼすつもりでいる。

 

「なんで!?何で私達が軍隊に滅ぼされるの!?もうイヤァァァァーーーッッ!!!」

 

避難所の一つにいたのはまどかとさやかの親友である志筑仁美の姿である。

 

家族と避難していたようだが空爆に巻き込まれたせいで両親は避難所の瓦礫に潰されている。

 

彼女は外に出ていた事で空爆被害から逃れられたものの家族の死に絶叫していく。

 

「殺される…皆が殺される…私も殺される…何で…なんで…こんなのってないです!!」

 

両膝が崩れたまま錯乱している彼女の元にまで走り寄ってくるのは上条恭介の姿である。

 

「志筑さん!!しっかりして!!気をしっかり持つんだ!!」

 

「グスッ…エッグ…両親が…私の両親が…瓦礫の下敷きになってるんです…っ!!」

 

「それはきっと…僕の家族も同じだよ…。僕だって…グスッ…本気で辛いんだ…っ!!」

 

膝を曲げながら仁美の肩を掴む恭介も溢れ出る涙を抑え込めずにいる。

 

それでも生き残った男として恋人を守らなければならないと命を懸ける決断をするのだろう。

 

「家族が死んでも…僕達は生きてる!だったら精一杯生き残る努力をするのが…親孝行だ!!」

 

「か…上条君……」

 

「僕が君を守る!ヴァイオリンばかりで構ってあげられなかったけど…罪滅ぼしがしたい!!」

 

涙を流しながらも力強い男の眼差しを向けてくる恭介を見つめる仁美の頬が紅く染まる。

 

胸が締め付けられる程の男の献身に死ぬまでついて行きたいと女の愛情が噴き上がるのだ。

 

(私…これが欲しかった…。家族の期待よりも…私を優先してくれる男の人が…)

 

背中を向けてくれた恭介に掴まった仁美を背負い込んだ恭介は力の限り走って逃げる。

 

瓦礫と死体の肉片が転がる避難所を捨てて逃げ出す男女であるが、仁美が何かに気が付く。

 

(あれ…?上条君は…ヴァイオリンを持ってきてないんですの…?)

 

恋人よりもヴァイオリンを選んだ男はそのヴァイオリンを諦めるようにして持っていない。

 

その時、仁美は理解してくれる。

 

ヴァイオリンとは自分と恋人の未来を支える為の道具に過ぎず、道具とは代えが効くもの。

 

しかし恋人の命の代えなど用意出来ないと分かる男だからこそヴァイオリンを捨てたのだ。

 

「あぁ…上条君…っ!!私…私…何があっても…貴方について行きます!!」

 

小さな命達が地獄の現実を足掻いていた時、そんな小さな命を守るべき存在達が現れる。

 

「空を見て、志筑さん!!」

 

「あ、あれは…自衛隊の戦闘機ですの……?」

 

恭介達が見上げた存在とは反乱軍側の戦闘機ではなく、空自に所属したままのF15戦闘機。

 

<<国連軍め…米軍め…よくも俺達の国を焼いてくれたな!!思い知らせてやる!!>>

 

<<同盟国のフリをしてきても…本当の貴様らがどういう連中なのかが分かったぜ!!>>

 

<<俺達は自衛官だ!!自衛を行う勢力として…欧米軍だろうが相手をしてやらぁ!!>>

 

自衛官としての魂が燃え上がった戦闘機乗りの者達が空爆を続ける軍勢に戦いを挑む。

 

烈士となってくれるのは空自だけではなく、恭介達の横の道路を走行してくるのは陸自の軍勢。

 

彼らは腰抜け司令官の態度に業を煮やした者達であり、命令違反を行ってでも戦場に向かう。

 

「君達は早く逃げるんだ!!ここは我々に任せなさい!!」

 

装甲車のハッチを開けて叫んでくる自衛官の叫びに頷いた恭介達が走りながら去っていく。

 

「あんな子供達でさえ今の地獄を懸命に足掻いている…だったら自衛官の俺達にも出来る!!」

 

「その通りだ!俺達はああいう子供達の未来を守りたいからこそ…自衛官になったんだ!!」

 

「真に守るべきは御上の命令じゃなかった!!国を支える民の未来であるべきだった!!」

 

「これより我らは死地に赴く!!友達ズラしながらカツアゲしてきた糞野郎共を殲滅するぞ!」

 

陸自の者達はパイナップル・ブリゲイツと在日米軍の残存部隊に対して側面から仕掛ける。

 

「あれはまさか……援軍が来てくれたのか!?」

 

「フン……オモイ腰ヲアゲテクレル奴ラモイタトイウワケダナ」

 

側面から砲撃を仕掛けられた事によってパイナップル軍と在日米軍の部隊が次々と敗走する。

 

逃がすまいと追撃を仕掛けていく陸自の戦士達であるが、心には後悔が生まれてしまう。

 

御上や全体主義に逆らう恐怖に耐えらず、自ら自由を捨てて隷属を選んでしまっていたと嘆く。

 

何より世の中の認識を御上が与える偽情報だけで知った気分になっていた無知を恥じるのだ。

 

「ケツに火が点かないと動けないなんてな…つくづく情けないぜ…俺達日本人はな…」

 

「そうだな…3・11の時だって同じだった。無知がここまで日本人を縛り上げるのか…」

 

「それでも日本人は団結出来る民族だ。大災害の団結の光景こそが…真の日本人なんだよ!!」

 

追撃を仕掛ける機甲師団が放つ砲撃が次々と命中した事で敗走していた軍勢も仕留められる。

 

バリケード部隊の生き残りは駆けつけてくれた陸自の戦士達の勇敢さを称える叫びを上げる。

 

「何とか生き残れたようだね…小巻?」

 

「そっちもね…返り血塗れになっちゃって…いい女が台無しよ?」

 

魔法少女衣装のポケットからハンカチを取り出した小巻がキリカの顔を拭いてくれる。

 

子供のようにされるがままだったが、顔が綺麗になったキリカは笑顔を浮かべてくれる。

 

殺戮をしてきたのに子供のように気にしていない彼女であるが、それを責める者はいない。

 

何故ならキリカの殺戮行為は日本の未来を守る殺戮だったからこそ賞賛してくれるのだろう。

 

「フフッ♪なんだか小巻もお母さんみたいだね?織莉子と一緒に私のお母さんになってよ♪」

 

「遠慮するわ。いい歳こいてもママに甘える我儘な子供を抱える母親になるのはごめんだし」

 

集まった兵士達が彼女達の肩に手を置きながら賞賛の嵐を送ってくる。

 

そんな者達に顔を向けるキリカも悪い顔はしていないようであり、ヒーロー気分になっていく。

 

「呉も私も人殺しになった…それでも讃えてくれる。()()()()()()()()()()()()()()()のね…」

 

世の中の正しさなんて当てにならないケースバイケース。

 

善行が悪行になり、悪行が善行にすり替わっていく陰陽回転を生み出すもの。

 

その光景は神が悪魔にすり替えられる光景であり、その逆も然り。

 

それを理解した小巻は織莉子達の殺戮行為を責める気分にはなれなくなったのだろう。

 

陸自の猛攻によって壊滅していく地上部隊の掩護を行う事は国連軍の戦闘機には出来ない。

 

何故なら艦隊司令部が壊滅し、艦隊の大半が撃沈されたという報告が届いたからだ。

 

The fleet has been hit!?(艦隊がやられたのか!?)

 

You won't be able to return home!?(帰還出来なくなるぞ!?)

 

戦闘攻撃機部隊は大量の爆装をしているがドロップタンクを装備していない。

 

この状態ではグアムやアラスカまで飛んで帰還出来ないし、韓国の米軍基地も消滅している。

 

国連軍の空母に帰還する事を前提にした装備が裏目に出てしまったのだと焦り出す。

 

Surrender!(降伏しろ!)Follow our guidance!(我々の誘導に従え!)

 

空自のパイロットが英語で投降を呼びかけた事で国連軍の戦闘機乗り達が降伏していく。

 

F15に導かれるようにして空自の基地にまで連行されていく光景を織莉子は見送るのだ。

 

「余りにも多くの犠牲を支払った…それでも私達は勝とうとしている…」

 

前線指揮官として彼女は兵士達に死んでも守れと命令したせいで攻撃ヘリ部隊は全滅する。

 

その責任が重くのしかかる彼女は勝利が目前であっても喜ぶことなど微塵も出来ない。

 

「彼らの尊い犠牲を絶対に無駄にはしない…その為にこそ…あの悪魔を倒さないと!!」

 

振り返った彼女が見上げる存在とは国津神達と激しく戦うザオウゴンゲンの巨体。

 

義姉の十七夜に負けじと彼女も戦場で戦う決意を宿しながら飛び立つのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハァァァァァァーーーーッッ!!!」

 

鳥天狗の大将に対して果敢に斬り込む青葉ちか。

 

息が切れる彼女の体は切り傷塗れであり、激しい戦闘を続けていた証拠であろう。

 

「国連軍は負けたのか…?なのに殲滅を狙わないとは愚か極まった連中だな…貴様らは!!」

 

十文字槍と体術を巧みに操りながらちかの猛攻を凌ぎ、腹部に強烈な蹴りを放つ。

 

「ゴフッ!!!」

 

蹴り飛ばされたちかが転がりながら地面に倒れ込み、吐瀉物を派手に撒き散らす。

 

咳き込みながらも立ち上がる彼女の目には闘志がみなぎっているが決して虐殺者の目ではない。

 

「私達は人殺しがしたくて戦ってるんじゃないです…人々の命を守る為の戦いなんです!!」

 

「バカを言え!!人々を守ると言いながら外国勢力の人々は殺してきた者が何を言う!!」

 

「それでも必要以上の殺戮はしません!彼らにだって帰りを待つ人達がいるんです!!」

 

「甘えた事を言うな!戦争とは競争だ…競争をする以上は勝者と敗者が生まれるものだろう!」

 

これは運動会やテストの点数争いも同じであり、競争である以上は勝者と敗者が生まれる。

 

勝者は讃えられ、敗者は苦しみ抜く末路となる光景は戦争とて同じだと言ってくる。

 

「誰にも迷惑をかけない競争など有り得ない!競争をする以上は他人の迷惑など踏み越えろ!」

 

「そんな価値観だからエリート共は人でなしなんです!人を人とも思わない鬼畜になる!!」

 

「ハッ!!貴様らは違うというのか?勝った者が正義を語れる…讃えられる者になれるぞ!!」

 

「そんなのは嬉しくない!戦争は競争なんかじゃない…喧嘩から身を守るのと同じです!!」

 

「専守防衛精神を貫くか…だが貴様らは敵地攻撃を行うゲリラ戦を仕掛けた者!言い訳だ!!」

 

「たとえ戦争が競争であっても…私達は敗者となった者達とも…一緒に生きたい者達です!!」

 

「ぬかせ……この小童がぁぁぁぁぁぁーーーーッッ!!!」

 

豪快に槍を振り上げながら高速飛行してくる鳥天狗が仕掛けてくる。

 

迎え撃つちかはマギア魔法を放つために膨大な風を生み出していく。

 

「馬鹿め!!風を司る我ら天狗に風魔法が通用すると思うてかぁ!!」

 

迫りくる天狗に対して彼女は片手斧を構えながら仲魔の名を叫ぶ。

 

「来なさい……ティターニア!!」

 

ちかの背後に呼び出された悪魔とはティターニアの姿。

 

彼女が行使したサマナーの術とは召し寄せであり、離れた位置の仲魔を後ろに呼び出す。

 

「合わせなさい、ちか!!」

 

片手を構えながら膨大な冷気を生み出すティターニアとの合体魔法は風魔法ではない。

 

「ヌォォォォォォォォォーーーーッッ!!?」

 

ちかの風魔法が生む竜巻とティターニアが生む絶対零度が合わさったブリザードが天狗を襲う。

 

彼の体が完全に凍結していく中、目に涙を溜め込んだちかが片手斧を振り上げる。

 

「勝った者が正義だなんて考えるから……人々は犠牲者ばかりを生み出し続けるんです!!」

 

投げられた片手斧が回転しながら飛んでいき、氷結した鳥天狗の大将に突き刺さる。

 

凍った体が砕け散った事で体が弾けてしまい、MAGの光となりながら空に昇る末路を遂げる。

 

その光景を呆然とした表情で見送る事しか出来ないちかは己の無力さを痛感してしまう。

 

「勝った者が正義にするから犠牲しか生み出せない…それでも私達は正義を名乗るしかない…」

 

「そうね…私達が正義を名乗らなければ賊軍のままよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「多大な犠牲を支払ったのに国民の理解が得られない結末だったら…犠牲者が浮かばれません」

 

「嘘も人を救えるわ。正直しか許されない世界だったらきっと…人は傷つけ合う末路しかない」

 

煮え湯を飲んででも正義という化けの皮を纏うしかない現実に対してちかは苦しみ抜く。

 

その気持ちは尚紀も同じであるからこそ、嘘や犠牲を人々に敷く魔王になると言ったのだろう。

 

善行が悪行にされ、悪行が善行にすり替わる。

 

この世は一つの側面だけで事象を捉えても成り立たず、だからこそNEUTRAL(中庸精神)が必要となるのだ。

 

「ちか!!」

 

声に反応した彼女が顔を向ければ天狗の軍勢を始末してきたすなおが駆け寄ってくる。

 

悪魔の力を行使した彼女の活躍と残存した和装魔法少女サマナーの活躍で天狗の軍勢は退ける。

 

「残された脅威は後一つよ……ここが踏ん張りどころね」

 

「もう十分過ぎるぐらいの命が犠牲になりました…私は救護班として動きます!」

 

「私も行くわ!時女の分家魔法少女達は日の本の未来を築く者達よ…これ以上は死なせない!」

 

すなおとちか達は傷ついた者達を救い出すために動き出す。

 

一方、ザオウゴンゲンを相手に果敢に挑み続ける者達が死力を尽くす戦場を生み出している。

 

「くっ!!ヒノカグツチを宿した私の炎をものともせずに戦えるだなんて!!」

 

ホウオウの上に乗った静香が高速戦闘を仕掛けるのだが、彼女の業火魔法をものともしない。

 

左手に生み出した時女一族の象徴である七支刀を触媒にし続けるのだが限界が訪れる。

 

「そ……そんな……っ!!?」

 

強大な荒神であるヒノカグツチの力を行使する触媒として振るい続けた剣に亀裂が入る。

 

亀裂が広がっていった末に時女一族の先祖達が受け継いできた七支刀が砕けてしまうのだ。

 

「私達の一族の象徴を失おうとも……私の心の炎は消せないわよ!!」

 

右手に持つ十束剣(とつかのけん)を振るいながら斬り込む静香を援護する国津神達。

 

織莉子も空を飛びながら魔力を振り絞って攻撃し、魔法少女達も悪魔を使役して攻撃を行う。

 

それでもザオウゴンゲンの荒ぶる忿怒を止められない為、渾身の一撃を浴びせられる。

 

「蟷螂の斧共め!!弱者が自分の力をかえりみないで強者に立ち向かうことこそ無謀なり!!」

 

武器を握った右拳を大地に打ち付け、衝撃波として放つのは天魔撃砕。

 

<<ウワァァァァァァァーーーーッッ!!!>>

 

見滝原市の商業区の全てを消滅させる程の衝撃波が全体に巻き起こり、神々が吹き飛ぶ。

 

その余波は魔法少女達や外周を守っていたバリケード部隊にまで被害が及ぶ程になる。

 

莫大な粉塵が巨大クレーターを覆う中、ザオウゴンゲンがゆっくりと巨体を持ち上げていく。

 

身体から噴き上がった炎で粉塵を吹き飛ばせば辺り一面がきれいさっぱり消し飛んでいる。

 

「ぐっ……うぅ……」

 

「つ……強過ぎる……これが……ヤタガラスの切り札なのね……」

 

衝撃波で吹き飛ばされた者達は住宅区方面にまで弾き飛ばされており、瓦礫に埋まっている。

 

「兄者……こいつは……ヤバイぜ……」

 

「ここまで戦ってこれたのに……無念だ……」

 

「まだだ……まだ戦える……我が巨体の岩盤の全てが砕けない限り……戦える……」

 

虫の息の者達がまだ潜んでいると感じ取ったザオウゴンゲンが再び両手で印を結んでいく。

 

最後のトドメとして必殺技の忿怒の暴圧を放つつもりなのだろう。

 

「虫共にしてはよく戦った連中だったが…これで終わりだ。我は国連軍をミナゴロシに向かう」

 

絶体絶命の状況下であったが、それでも静香が立ち上がろうとする。

 

そんな彼女の剣として共に在ったアメノオハバリが念話を送ってくる。

 

<静香…残された力を振るえるのは次で最後です。必ず仕留めるのですよ…>

 

<その言葉…何か秘策があると考えるべきなのかしら…?>

 

<この一撃はかつての大正時代の帝都に現れたコドクノマレビトを打ち倒した一撃なのです>

 

それでもこの一撃を放つ余力は一度だけであり、避けられたら全てが終わる。

 

そう告げられた時、アメノオハバリの意思を受け取る者達がやってくるのだ。

 

「ヌゥ!!?」

 

現れた存在はケルベロスであり、突撃しながら冥界波を放ったことでザオウゴンゲンが怯む。

 

「カツテノボルテクス界ニオイテ絶望ノ状況化ハアッタ…シカシ人修羅ハタチアガッタ者ダ!」

 

「そんな奴の背中について行った我らもまた絶望に抗う死闘を超えてきた者だ!!」

 

「立ちなさい、皆!!ここで倒れるような者では人修羅の坊やの仲魔として失格よ!!」

 

ティターニアが魔力を噴き上がらせた後、回復魔法のメディアラハンを街全体に行使する。

 

そんな彼女に目掛けて拳を振り上げたザオウゴンゲンの一撃が迫るがアラハバキが受け止める。

 

ティターニアの全体回復魔法で傷が完全に癒えた者達が頷き合い、決死の特攻を仕掛けていく。

 

「オノレェェェェェ!!蟷螂の斧共が群れようが…同じ結果しか生まれんぞぉぉーーっ!!」

 

ザオウゴンゲンに果敢に挑む者達が魔法を次々と放ちながら敵の意識を引き付けていく。

 

そんな彼らの意思を受け止めるのは静香であり、正眼の構えを行いながら剣に魔力を送り込む。

 

「言葉を交わさなくても私の意思が届いてくれる…これこそ…本当の仲魔達よね……」

 

彼女の背後に浮かび上がるのはアメノオハバリであり、その姿を変化させていく。

 

自身の霊体を用いて生み出したのは刀剣の神を象徴する巨大な大和古剣。

 

静香が持つ十束剣(とつかのけん)の原型である十握剣(とつかのけん)となったアメノオハバリは自らを刃とするのだ。

 

「日の本を照らす光とは…国を愛する皆の心!新たな夜明けを望む初日の出の如く……」

 

――国と人々の新たな未来を照らす……一撃となれぇ!!!

 

正眼の構えから霞の構えを行った後、静香は頭上の剣を突き出すような突きを放つ。

 

それに呼応するアメノオハバリは自らが刃の矢となりながら飛んでいくのだ。

 

<<フフッ…時女静香、あんたの輝きは本物やった。ライドウに負けないぐらい…眩しいで>>

 

アメノオハバリの依り代になった串蛇と共に刀剣の神が極大の一撃を行う時がくる。

 

「ウォォォォォォォォォォォーーーーッッ!!?」

 

迫りくる極大の一撃を迎え撃つ構えを行う暇もなく巨体の胸を刺し貫かれる。

 

同時に刃に宿った光が内側から爆発し、ザオウゴンゲンを消滅させる程の凄まじい景色を生む。

 

「アメノオハバリ様ぁ!!」

 

静香が叫ぶのだが串蛇の声が十束剣(とつかのけん)から響いてくる。

 

<今のはうちの念動剣のようなもんや。あんなむさくるしい筋肉ダルマと共倒れはごめんやで>

 

一緒に自爆したものかと心配した静香の膝に力が入らなくなり崩れてしまう。

 

それでも笑顔を浮かべた彼女は両手で持つアメノオハバリを振るえた事に誇りを持つのだ。

 

「安心したせいで…もう力が入らないわ…。悪いけど…杖になってくれる?」

 

そう言ってみると剣が光を放って消えてしまい、静香の横に少女の姿が現れる。

 

和服の上から和装コートを纏うおかっぱ頭の少女が腰に手を当てながら指差ししてくる。

 

「若いのにたるんどるで!大正時代から生きとるオバチャンを杖代わりにするんやない!」

 

「そ、そんな~!?貴女だって見た目は私と変わらないぐらいの少女じゃないの~!?」

 

串蛇の姿となったアメノオハバリからビシッと怒られた静香が困り顔を浮かべてしまう。

 

そんな彼女の元にまでやってきた国津神達は微笑みを浮かべながらこう語ってくれる。

 

「スクナヒコナより国連軍艦隊を降伏させたと念話が届いた。どうやら…終わったようだな」

 

「日の本の戦争はこれにて終わりですな…後はライドウ達の戦果の報告を待つとしますか」

 

「まったくよぉ…時女一族様様だぜ。オレ達だけだったらきっと…勝てなかったよ」

 

国連軍と在日軍、そしてヤタガラスの脅威が同時に襲い掛かる地獄の戦場が終わりを告げる。

 

その光景を見下ろすのは宇宙での戦いから戻った人修羅であり、頷いてくれるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「わたしが生まれた街が…わたしが育った街が……」

 

人修羅の横を浮いているのは円環のコトワリであるまどかと悪魔ほむらの姿である。

 

身体が震え抜くまどかは顔を青くしながら目から大粒の涙を零してしまう。

 

「さやかちゃんや仁美ちゃんと出会って…大勢の友達と出会えて暮らしてきた街が…滅びた…」

 

泣き崩れてしまいそうなまどかを抱きしめる形で胸に抱え込むほむらの顔も辛そうである。

 

「ワルプルギスの夜が暴れて滅びた見滝原市は数多く見たけど…今回は段違いの被害規模ね…」

 

工業区も住宅区も空爆によって瓦礫塗れであり、商業区に至っては跡形も無く消えている。

 

街としての機能は完全に失った状況なのだと空から見れば一目瞭然であろう。

 

「これ程までの被害を生み出す戦場をあいつらは超えられた…これからの日本を託せる連中だ」

 

「尚紀…貴方は欧米に向かうのね?バアル達と決着をつけるために…」

 

「そうするつもりだ。俺は休んでいる暇など欠片も無い…欧米の戦場も苛烈を極めているんだ」

 

「分かったわ…先に行ってて。私はまどかを落ち着かせてから向かうわ」

 

ほむらの胸で泣いたままのまどかであるが、彼女に引き寄せられる魂に気が付いて顔を上げる。

 

まどかの元に向かうのは戦死した時女の魔法少女達であり、彼女達の魂がまどかと一つになる。

 

「彼女達の魂の熱さを感じる…この熱さこそが…矛盾を超えてでも希望を勝ち取る魂なんだね」

 

「その魂の熱さに負けない程の熱き魂達も見えるはずだ…」

 

「あの魂達は…まさか……」

 

まどかとほむらが見た光景とは戦死した烈士達の魂の輝き。

 

多くの魂達があの世に向かわずこの世に留まり、自分達を受け入れる器を待ってくれている。

 

「お前達……俺を待ってくれていたのか……」

 

烈士達のシジルとなってくれた太陽神の輝きに吸い寄せられる魂達が次々と浮かび上がる。

 

男達の魂もまた神と一つになる事を望み、人修羅は彼らを受け入れる器となるだろう。

 

「お前達の魂を無駄にはしない…俺とお前達は一つとなり…永遠に輝く太陽となるだろう…」

 

――国の未来の為に戦って死んだお前達の御霊こそ……()()()()()()()()()

 

右手をかざす人修羅の手の中に次々と魂達が吸い込まれていく。

 

烈士達の魂の熱さを吸収するたびに人修羅の失った魔力が回復していき、さらに高まっていく。

 

太陽のような輝きを全身から生み出す存在に気が付いた静香達が空を見上げる。

 

「嘉嶋さんが…みんなの魂を…再び戦場に連れていくのね…」

 

「金融支配者共との戦いはまだ終わっていない…だからこそ、彼らは再び戦場に戻るのだろう」

 

「悪魔となった私の魂は円環には向かえないと思う…だからこそ、私も嘉嶋さんの元に逝くわ」

 

太陽は夜と昼を表す死と再生を繰り返す存在であり、冥界に堕ちる存在でもある。

 

宇宙の秩序や魂の旅を表す存在であり、烈士達の魂もまた死出の旅路に向かう事になるだろう。

 

太陽は死後の世界に光を届ける存在として描かれ、冥界の神々は死者の魂を裁く存在。

 

古代文明において太陽神と冥界は生と死、秩序と混沌、希望と絶望を表すもの。

 

人間の死生観や宇宙観を表現する上で重要な役割を果たす存在こそが太陽と冥界なのだ。

 

「俺と共に生きろ…戦士達よ。その魂が俺と共に裁かれるその時まで…共に戦ってくれ」

 

太陽神ルシファーの光が眩く輝き、その光に跪くのは国津神や時女一族の魔法少女達。

 

彼こそが新たな日の本の輝きなのだと感じているのだろうが、人修羅はこう伝えてくる。

 

<<烈士達よ…俺が太陽なのではない、お前達こそが新たな太陽だ。未来の日本を頼んだぞ>>

 

念話を伝え終えた彼はワームホールを開いて欧米の戦場へと消えていく。

 

彼の体に宿るのは()()()()()()()()()()()

 

その者達の熱さが人修羅にも宿った今ならばバアルを打ち倒せると確信するのであった。

 




知恵を司るヴェノムスネークな人修羅君もダイヤモンドの如く輝く戦士達と共に在るのが似合いますよね(メタルギア脳)
コナミさん、メタルギア5の続きまだですかねぇ…?
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