人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

379 / 398
378話 絶望の魂を喰らう大霊

たとえグローバリズムが世界を飲み込む程の勢いになろうとも、日本人は逆らうべきである。

 

あの国は差別国家だの悪のナチスだの極悪民族だのと欧米に言われても逆らうべきである。

 

それを体現してくれたのが国津神や時女一族、そして憂国の烈士となってくれた戦士達。

 

彼らこそ誰の真似もせず日本人としての歴史と誇りを守ろうとしてくれた英雄達だろう。

 

そんな日本人を表現した人物の中には日本のサッカー監督を務めたイビチャ・オシムもいる。

 

彼の言葉こそ日本人の強さを表し、同時に日本人の欠陥部分も表現してくれたのだ。

 

――世界基準があっても日本は誰の真似もしない方がいい。

 

――他の国にないものを持っている、俊敏性、積極的な攻撃、高い技術力。

 

――でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

彼が残した言葉こそ日本人を支配してきた欧米と手下の在日マフィアの洗脳である全体主義。

 

権威である御上に全ての判断を委ねさせ、それに流される全体意思に身を委ねさせる。

 

義務教育の段階から全体主義を叩きこまれてしまえば最後、全体主義民族と化してしまう。

 

牧場の羊の群れと同じに成り果て、御上という牧師に支配されながら生殺与奪権を奪われる。

 

周りの真似を拒む魔法少女や陰謀論者は異端視され、だからこそ社会の敵にされていく。

 

中世魔女狩りの被害者達と同じようにして社会全体から虐待される末路を遂げるだろう。

 

最悪なのは羊人間共(シープル)の思考であり、自分達が間違っている可能性など欠片も考えない部分。

 

間違っているのは周りに合わそうとしない異端者共なのだと他責の安心感に逃げ込むところだ。

 

そんな日本人の支配に絶望した者達こそがホワイトメンであり、彼女達は滅びを求めている。

 

午前0時のフォークロアという集団となった彼女達は今、世界を滅ぼす戦いを始めていた。

 

……………。

 

「ここが……無限発電炉ヤマトを構成する最奥空間なんですの?」

 

「その通りよ。あまりにも巨大な空間でしょ…?」

 

「あの中央にそびえる円形型の装置が…そうなんだよね…?」

 

絶望の使者となったホワイトメン達がやってきたのはザイオン都市の最奥に存在する巨大空間。

 

ワルプルギスの夜を収めても余りある巨大な天井空間の中央にそびえる炉こそがヤマトである。

 

核融合炉を彷彿とさせる超巨大ヤマト型プラズマ炉であり、名の通り無限電力を供給する装置。

 

装置の中核はドーナツ型の超高温プラズマ炉であり、炉の前には制御装置が備わっている。

 

太陽の如き無限エネルギーを象徴する太陽型モニュメントが制御装置を構築しているようだ。

 

「このプラズマ炉の臨界点を超える程にまで出力を上げられれば…ブラックホールが生まれる」

 

その言葉を聞いた瞬間、ホワイトメンとなった神浜魔法少女達全員が息を飲みこむ。

 

「小さなブラックホールに過ぎなくともそれは星を飲み込み、宇宙を飲み込むまで大きくなる」

 

淡々とした説明を続けるラビであるが、ホワイトメンになって間もない少女達の体は震え抜く。

 

確実に死ぬことになる自殺行為を自分達はやることになるのだと今更実感するのだろう。

 

「ここは強力な悪魔が配置されている…それを排除した後、洗脳した職員で装置を暴走させる」

 

説明を終えたラビではあるが、無言の態度をしている魔法少女達に対して彼女が振り向く。

 

その瞳は濁り切っており、奈落の如きブラックホールのような目を同士達に向けてくる。

 

氷室ラビこそが午前0時のフォークロアであり、心の奈落が形となるのがブラックホールだ。

 

「……どうしたの、貴女達?今更怖気づいてしまったの?」

 

その言葉に対して沈黙するしかない少女達であるが、矢宵かのこが前に出てこう告げる。

 

彼女の瞳もラビに負けないぐらい濁っており、生に執着する気持ちが湧きおこらない者だ。

 

「構わない…やろうよ。私は全てを失った…夢を失い…家の仕事を失い…家族も失った…」

 

彼女の父はワクチンに含まれた蟲毒の丸薬成分によってナタタイシという悪魔と化す。

 

娘を捨てるようにして飛び去ったナタタイシは反乱軍に加わって首都解放戦を戦い抜く。

 

それでも国連軍との戦いまでは切り抜けられず、反乱軍の戦闘機部隊と共に海の藻屑と化す。

 

デモニカシステムが普及したことで悪魔も視認されるようになり、倒されてしまったのだ。

 

父親の死を知らされずとも、悪魔化した父が生きて帰ってくれる気がしない娘は絶望する。

 

「もう生きてたって…グスッ…絶望しかない!日本も世界も滅茶苦茶にされたのよ…っ!!」

 

「エッグ…私…難しい政治は分からないけど…でも…政治が私達の生活を壊したのは分かる!」

 

かのこと同じぐらい絶望した声を上げるのは千秋理子であり、泣き喚きながら叫んでくる。

 

「みんなが仕事を失った!だから私やお母さんに怒ってきた!私達…何もしてないのに…っ!」

 

「そうです…ヒック…まなかだって…グスッ…何もしてないのに生活の全てを国に壊された!」

 

「貴女達の苦しみは察して余りあるわ…だけどね、それこそが私の絶望であり…現実なのよ…」

 

ラビが語るのはサンダーバードから聞かされてきた欧米植民地化した日本の現実。

 

「世界のエリート達は日本が国ではないと知っている…主権があるように振舞う植民地だとね」

 

有権者が選挙に参加出来ない仕組みがあり、選挙制度はあっても民主制度はない。

 

お前達が選んだのだから文句言うな!という糞論理がまかり通り、国民全体が貧困に落ちる。

 

「グローバル資本の傀儡が不正選挙で選ばれ、そいつらが欧米資本家を儲けさせる政策を行う」

 

不正選挙で民意が得られたと豪語する売国奴は国家戦略特区を推進していく。

 

グローバル資本は特区の枠組みで直接首長に命令し、実行支配することが可能となる。

 

「グローバル資本と不正選挙で日本は動いてきた…末路は()()()()()()()()()()よ…」

 

不正義な事でも選挙で民意は得たとされ、あらゆる規制緩和を区域外会議で決められる。

 

移民の増大、労働法無効化である解雇の自由化、外資優遇の為の増税やインフラの民営化。

 

諸々の規制緩和や福祉サービスの切り捨て、水道等の国民ライフラインを外国に売り飛ばす。

 

「多国籍企業が主幹事を務める行政となり、自治体や地方議会よりも強い決定力を持つの…」

 

財源が福祉や教育よりも外資の減税などに優先して使われ、多国籍企業が民の権利を踏み躙る。

 

日本全国の都市が経済特区の名目で外国人自治区化し、メディアはその危険性さえ報道しない。

 

その光景こそ()()()()()()()()であり、既に政府など見せかけだけの機能しか持っていない。

 

それこそが()()()()()()()なのだと伝えられた者達は呆けた表情で狂った笑い声を上げる。

 

「アハ…ハハハ…これが本物の陰謀ねぇ…時代劇の越後谷なんか…目じゃない狂いっぷりだ…」

 

「私の父は…そんな株主共の要求で心が潰されて壊れた末に…夫婦喧嘩が絶えなかったのね…」

 

「私達は…そんな外道共を命懸けで守ってきただなんて…感情が無くても…耐えられないわ…」

 

「伊勢崎君との恋愛を妄想してる横で…私の国が終わってた。こんなのってないわよ…」

 

「もう…花の美しささえ…思い出せない…。日本は花なんかよりも…金融資本家が全てだった」

 

「私…もう希望の歌なんて…歌えません…。日本人の未来なんて…最初から無かった…」

 

水樹塁、粟根こころ、加賀見まさら、江利あいみ、春名このみ、史乃沙優希が絶望の顔となる。

 

他の者も絶望が極まった顔つきとなったのを確認したラビは満足そうに頷いてくれるだろう。

 

「私達が希望を持つ程…敵わない存在によって翻弄され、苦しみ続けるしかない…終わりなの」

 

滅びの意思を確認する為に周囲を見回すと全員が頷いてくれる。

 

資本主義による金融支配の日本なんか滅茶苦茶に壊してやるのだと決断し、地獄門を開くのだ。

 

全ては政治に無関心だった大人達のせいであり、そのせいで子供達が絶望の果てに死んでいく。

 

もし大人達が自分の国は自分で面倒を見ると直接民主主義を望んでたら結末は分からないはず。

 

それでも戦後数十年間によって国民は腐り果て、御上に全てを丸投げする権威主義者となった。

 

「姉ちゃ…なおたん…ミィはやっぱり…産まれるべきじゃなかった…だから…ごめんね…」

 

「パパ…私も直ぐに後を追いますわ…。あの世で出会えたら…抱きしめて欲しいですの…」

 

ラビの左右を並ぶようにしてみかげと那由他が動き出し、三人の背中に他の者も続いていく。

 

それぞれが滅びに巻き込んでしまう大切な人の名前を呟く中、ラビでさえも心で呟いてしまう。

 

(白金…私達も来世邂逅したいわね…今度出会える世界は…金に支配されない世界がいい…)

 

涙を流しながらも鬼の表情となった魔法少女達の眼前に出現しようとするのは防衛悪魔の姿。

 

オオクニヌシと並ぶ程の巨体の剣士であり、ラビの肩に留まっていたサンダーバードが飛ぶ。

 

悪魔化したサンダーバードの巨体が宙に浮く中、魔法少女達が武器を構えて死地に赴くだろう。

 

一方、ザイオン発電所の近くを流れる川岸に流れ着いていた死体の手がピクリと動く。

 

その死体はタケミカヅチに刺殺された門倉の姿であり、悪魔の眼光を光らせながら起き上がる。

 

「ヒッ…ヒヒッ……ソウルを……感じる……魔法少女共が……近くに……いる……」

 

殺された死体は内側から蠢くようにしており、いつ弾け飛ぶか分からない風船のようである。

 

既に門倉の意識は無く、体の内側から死体を操る存在が魔法少女の魂を求めて動くのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

<<キャァァァァーーーーッッ!!!>>

 

デスバウンドの衝撃波によって攻め込む魔法少女達が弾き飛ばされる。

 

目の前に屹立する巨漢の剣士は無限発電炉ヤマトの制御装置を死守するつもりなのだろう。

 

「おのれ…ヤマトタケルめぇ!!これでもくらえーーッッ!!」

 

巨大なサンダーバードの口から放たれたのはショックウェーブであるが、雷を無効化していく。

 

「先の戦いで学ばなかったのか?我に対して雷攻撃は無駄だということが?」

 

金色の剣を地面に突き立て、石打ち部分に両手を置く存在こそヤタガラスから提供された悪魔。

 

彼の力はイルミナティからも評価されており、ザイオン防衛用に譲り渡すよう脅されたのだ。

 

【ヤマトタケル】

 

日本武尊と呼ばれる存在であり、日本神話で最も武力に秀でた英雄と呼ばれし半神半人の悪魔。

 

身長は2メートルにも及び、顔つきは逞しく並外れた武力を誇り、性格は猛々しく、かつ冷徹。

 

些細なきっかけから兄を殺してしまい、父の景行天皇から恐れ疎まれた末に戦地に送られる。

 

道中に立ち寄った伊勢神宮で彼は叔母よりかの有名な天叢雲剣を受け取った存在であった。

 

「広大な空間ではあるが、その巨体を持て余そう?バラバラにしてしんぜよう!!」

 

古墳時代の衣と袴を纏い、短甲の鎧は機械仕掛けのような禍々しさを発している。

 

頭部も機械仕掛けの兜のようなもので覆われており、その表情を周囲に晒さない。

 

この鎧は隷属の証であり、ヤマトタケルが啓明結社に逆らえば起爆装置としても機能する。

 

しかしヤマトタケルを抑え込むべき職員達は魔法少女達に洗脳されたせいで職務を忘れるのだ。

 

「グォォォォォーーーーッッ!!?」

 

金色の剣を両手で構えたヤマトタケルが放つのは連続した切り上げ攻撃。

 

その刃から放たれるのは無数の真空刃であり、風属性が弱点のサンダーバードが傷つけられる。

 

巨体故に動きが緩慢なサンダーバードが倒れ込み、鋼の翼が飛べないまでに斬り裂かれている。

 

ヤマトタケルの力はヤタガラス所属の悪魔の中でもトップクラスの実力者なのだろう。

 

「サンダーバード!!?」

 

傷ついたラビが叫ぶのだが、サンダーバードが念話を送ってくる。

 

<無念…あと少しで奈落の門を開き…世界に死と再生の救済を与えられたものを……>

 

<後は私達がやるわ…だからジッとしてて!!>

 

<お前達だけの力では足りぬ……だからこそ……我が力を……お前に託す……>

 

<あなたの力を……私に託してくれるの……?>

 

ラビの固有魔法である『概念強化』によって固有魔法を強化された魔法少女達が戦ってくれる。

 

彼女の固有魔法は悪魔の魔法で言えばマカカジャの類であり、魔法効果を強化するものだろう。

 

彼女達が敵の注意を引き付けてくれる間にラビはサンダーバードに手を伸ばす。

 

するとサンダーバードの巨体が砕け散り、膨大なMAGをラビに目掛けて解き放つ。

 

「こ…この力は……一体……!?」

 

膨大なMAGがラビの体に纏わりつきながら彼女の体の中に浸透していく。

 

ネイティブアメリカンに伝わる雷の精霊の力が宿った氷室ラビの姿が変化しようとする。

 

インディアン風衣装が漆黒に染まり、霊鳥を彷彿させる鷹の翼が幾つも生み出されていく。

 

口を覆うフェイスガードも生み出され、悪魔のような六本角も背中側から生み出される。

 

頭のティアラは絶望を示す宝石が並んでおり、諦念勢力の象徴となる存在が誕生するのだ。

 

この現象は神降ろしの類であり、一時的にではあるが魔法少女に悪魔の力を付与するもの。

 

その姿は奇しくもマギアレコード宇宙で生まれてしまった()()()()()と酷似するものなのだ。

 

<さぁ、共に逝こう…大地は再び生まれるものだ。その揺り籠を開く為に…私の力を行使せよ>

 

<大地は再び揺り籠となるもの…そうよね。私が生まれた民宿の名前通り…そうなるべきよ>

 

ラビの変化に気が付いたヤマトタケルは水樹塁を大鎌ごと弾き飛ばして飛び込んでくる。

 

「面妖な姿に変化してくるか…?そなたの力、どれ程のものか…我に示してみせよ!!」

 

<<お望みとあらば……披露してあげる!!>>

 

ラビのフェイスガードから発せられる声はエコーがかかっており、黒い巨大ブーメランを生む。

 

ブーメランから膨大な雷が生み出されていき、それを掴んだ彼女が投擲する。

 

膨大な雷攻撃を仕掛けてくるが雷無効の悪魔耐性を持つヤマトタケルには通じない。

 

そう考えていた本人であるが尋常ならざる一撃だと感じた彼が剣でブーメランを受け止める。

 

「ヌォォォォォォォォォーーーーッッ!!?」

 

雷無効耐性であるはずのヤマトタケルの耐性を貫通する程の雷撃が全身に迸っていく。

 

神降ろしは御霊合体と同じく固有魔法が消滅しない類の合体であり、概念強化が出来る。

 

サンダーバードの雷は雷耐性を貫くナルカミの一撃に匹敵する程にまで強化されたのだ。

 

「ぐっ…うぅ……ヌァァァァァァァーーーッッ!!」

 

強引に切り払ったヤマトタケルが片膝をついて剣を地面に突き立てる。

 

弾かれたブーメランは弧を描きながらサンダーラビの元にまで戻ってきて掴み取るのだ。

 

「大した力だな…本気のタケミカヅチが放つ雷撃に匹敵する程の一撃を行使してくるとは…」

 

<<私達の邪魔をしないで…私達は後ろの炉を暴走させたいの。それで全てが終わるわ…>>

 

「先ほどそなたらが言っていたな…滅びの終末時計の針を0時にすると?自滅する気か…?」

 

<<世界は資本主義の名の元に金融支配が完成させられたわ…その支配は誰も壊せない…>>

 

「世界の支配構造を知った末に絶望したか…その気持ちは分かる。我も国の支配を憂いた神だ」

 

<<私達に希望なんてない…だから全てを無に帰す。その為の無限発電炉なのよ…>>

 

「だが我は諦めたりしない!ヤタガラスはついにザイオンを手中に収めた…ここからなのだ!」

 

<<穴倉の中でハルマゲドンを生き残ろうと足掻きたいようだけど…全てが無駄なの…>>

 

「フン…絶望の檻から出てくる気はないようだな?いいだろう…牢獄に入ったまま死ね!!」

 

ナルカミクラスの雷で体を焼かれても立ち上がれるタフネスを宿すヤマトタケルが剣を構える。

 

「国を憂いて幾星霜…ヤタガラスが所有する必殺の霊的国防兵器として…推して参るぞ!!」

 

<<来るがいいわ…私達の絶望に飲まれて消滅しなさい…金融堕落した日本の神めぇ!!>>

 

日本人の価値を決めてきたのは欧米ユダヤ帝国の悪徳である資本主義。

 

入学出来た大学の価値で人間が評価され、年収という金儲けの額で人間の偉大さが決められる。

 

それでは人を人とも思わない鬼畜エリートしか生み出せず、だから人々を騙して売国していく。

 

その在り方こそがカナン族ユダヤの姿であり、人為的ユダヤという寄生虫に変化させられた姿。

 

移民のユダヤと同じく国という大地に根を下ろした価値観を持たず、求めるのは金と快楽のみ。

 

そんな寄生虫民族と同じ姿になったエリート共に絶望したラビは世界を滅ぼす戦いを繰り返す。

 

一方、ザイオン発電所に侵入してきた門倉は虚ろな表情のまま地上の職員を殺していく。

 

魔法で焼き尽くされた者達の魂を前菜として喰らうようだがちっとも満足していない。

 

「ぐっ……ギギ……やはり薄味だ。魔法少女の魂が喰いたい……ソウルジェムが喰いたい……」

 

ふらつきながらも進んでいく門倉が無限発電炉に下りられるエレベーターに乗り込む。

 

彼の背後には死屍累々の光景しか残っておらず、無限発電炉を操作出来る職員はもういない。

 

ラビ達の計画は門倉の死体を操る存在によって終わらせられてしまったのだ。

 

そんな事など露知らず、彼女達は絶望を完成させるための死闘を繰り広げていく。

 

「死と滅びの果てには新たな喜びがあるんですの…!!」

 

「ミィ達はもう一度やり直す…その為には…世界をリセットする必要があるの!!」

 

ラビを援護する魔法少女達も果敢に攻め込み、魔法攻撃を行っていく。

 

それでも那由他のマギア魔法は風属性である為、雷と風を無効化するヤマトタケルに通じない。

 

攻め込むみかげの固有魔法は強力であるが、剣聖クラスの剣技によって弾き飛ばされる。

 

吉良てまりの洗脳魔法さえ無効化してくる存在に対して有効なのは物理攻撃と雷貫通ぐらいだ。

 

「くっ…うぅ……ミィの一撃が当たりさえすれば……神様だって殺してみせるよ……」

 

「だけど…強過ぎますの…これがヤマトタケル…日本神話の…日本武尊なのですね……」

 

ズタボロにされていく神浜魔法少女はかつての力を出せないでいる。

 

希望を紡ぐ為の戦いを忘れた彼女達は諦念に支配された者であり、だからこそ力が出ない。

 

力を振り絞ってでも求めたい希望を失った者達は本来の自分の形を思い出せなくなる。

 

その姿こそ大正時代の鳴海の姿であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「ぬるいわぁ!!腐り切った堕落者の如き目をした貴様らの攻撃で…我を倒せるものか!!」

 

黄金の剣で描くのは陰陽五行であり、五芒星の魔法陣が極大の炎魔法を生み出そうとする。

 

その強大な力を持って大和朝廷を築く礎となったヤマトタケルこそ、日本建国の神であろう。

 

サンダーバードと一時的な融合を果たしたサンダーラビですら片膝をつきながら息を切らす。

 

<<これ程までの戦力差があったなんて…魔法少女達を搔き集めても…これでは勝てない…>>

 

神降ろしの影響でサンダーバードの弱点属性である風魔法で攻められたラビは満身創痍。

 

絶体絶命にまで追い込まれても、その表情は何処か穏やかにも見えるやもしれない。

 

死が救いにされたのなら自分達で滅びようが誰かに殺されようが同じ末路でしかないからだ。

 

<<白金…私もそっちに行く時が来たみたい…何も成せなかったけど…もうどうでもいい…>>

 

ヤマトタケルが放つマハラギダインによって全員が焼き尽くされる。

 

そう誰もが感じていた時、諦めて目を瞑った魔法少女達が異変に気が付いて目を開ける。

 

「ガッ……ハッ……ッッ!!?」

 

機械式の兜の中で盛大に吐血したヤマトタケルが胸元を見れば大きな角で貫通させられている。

 

心臓を貫かれた彼の巨体を背後から持ち上げる存在とは、一本角が生えた門倉の姿。

 

「クックックッ……魔法少女共が……囮を務めてくれたお陰で……楽が出来たな……」

 

「き……貴様は!!?」

 

額の傷から生えた一本角を首の力だけで操り、ヤマトタケルの巨体を持ち上げてしまう。

 

背後から現れた男の姿を見た魔法少女達は顔が青ざめていき、気分が悪くなっていく。

 

それ程までに醜悪な変貌を遂げてしまっているのだ。

 

「な…何なんですの……あの男の気持ち悪い体はぁ!!?」

 

門倉がいつも纏う白スーツを取り込んだ白い体からは触手の根本が大量に生えている。

 

樹木を伐採した後に残る根元の切り株めいたおうとつ塗れの体は見る者に嫌悪感を与えるのだ。

 

<<私の中のサンダーバードが教えてくれたわ…あれは…インディアンに伝わる大霊よ!>>

 

心臓を貫かれても必死に角を抜こうと足掻くヤマトタケルに対して大霊がこう叫ぶ。

 

「貴様のMAGも…喰らってやる…!そしてメインディッシュとなるのは…魔法少女共だぁ!!」

 

刺し貫いた一本角から禍々しい光が噴き上がった後、門倉は一気に唐竹割りを放つ。

 

『極光大破斬』によって体を裂かれたヤマトタケルは砕け散り、膨大なMAGと化す。

 

大口を開けながらMAGを吸い上げる存在こそ、大霊マニトゥの本体が寄生した死体だった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ヤマトタケルを……一撃で倒すだなんて……」

 

「こんな化け物が現れるだなんて……ミィ……聞いてないよぉ……」

 

かつてない程の恐怖と気持ち悪さを魔法少女達に与える存在が顔を向けてくる。

 

その顔には生気がなく、死体のそれと変わらないと魔法少女達は感じているようだ。

 

「貴方の顔…テレビで見た事があるわ…。たしかIT大臣を務めていた…門倉大臣よね…?」

 

古町みくらが問いかけるのだが、門倉の死体を操る存在がこう告げる。

 

「その名は…この男のものだったが…この男は既に死んでいる…この体は…我の蛹に過ぎん…」

 

門倉の魂まで喰らった存在こそが大霊マニトゥであり、かつての人修羅が見滝原で戦った存在。

 

量産型マニトゥを超える程の膨大な魔力を放つ存在は門倉の知恵を吸収し、人語を話せる。

 

「貴様らの魂から…絶望の穢れを感じる…大方…この施設を利用して…滅びを望む気だな…?」

 

「だったら…何だって言うんですか…!?」

 

「ムダだ…貴様らが…洗脳しただろう…地上の連中の魂なら…我の…腹の中だ…」

 

その言葉が意味する内容を理解した魔法少女達の体に震えが走る。

 

無限発電炉ヤマトを暴走させる手段を葬り去られた事で彼女達は絶望するしかないだろう。

 

<<よくも…よくも私達の計画を破壊してくれたわね…絶対に許さない…お前も破壊する!>>

 

激怒するサンダーラビの全身から放電現象が生まれていき、目の前の大霊に挑もうとする。

 

それでも彼女は震えており、サンダーバードが知るマニトゥの恐ろしさを感じてしまうのだ。

 

「絶望の魂達よ…喰う前に問おう…何ゆえ世界に…絶望した…?」

 

それを問われた時、自分達の絶望の原因を那由他が叫んでくる。

 

日本政府に虐げられ、御上の傀儡の愚民にまで虐げられた魔法少女達も己の絶望を叫ぶ。

 

それを聞かされたマニトゥは彼女達の絶望の原因は何故起きたのかを語ってくれるのだ。

 

「貴様らは…多くの者達に…真実を語ってきた…それでも人々には…通じなかっただろう…」

 

<<そうよ…それは魔法少女の真実を広めようとした私達だって…同じ結果だったわ…!>>

 

「現実では傷つけられる…だからネットで真実を語ろうとしただろうが…痛めつけられたはず」

 

「常盤さんから国の真実を聞かされて私も調べた末に啓蒙活動をした…だけど…無駄だった!」

 

「心無い揶揄と嘲笑ばかりを浴びせられたと聞かされたわ…だから私達は…絶望したのよ!!」

 

<<魔法少女の真実を広めようとした里見教授と同じ末路よ…皆が精神異常者にされたわ!>>

 

「誰も真実を受け入れない…この苦しみこそが…魔法少女の存在を秘密にしてきた原因よ!!」

 

真実を語っても受け入れてくれない苦しみこそ、魔法少女時代の暁美ほむらが背負った苦しみ。

 

同じ絶望の苦しみを背負う魔法少女達もまた常識の檻に囚われた人々に絶望したのだろう。

 

「ネットは…人と人のコミュニケーションを拡充する…新しい意思伝達方法ともなりえた…」

 

アルゴンソフト社代表であり、啓明結社に所属した男の死体が語るのは()()()()()()()()()

 

「だが現実はどうだ…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

<<事実の存在意義すら否定する…精神文化の衰退を引き起こす…>>

 

「それこそが…()()()()()()()()()()()()…人々は…()()()()()()()()()()()()()()()…」

 

資本主義のしがらみに支配された御上が与える情報は真実か虚言か?

 

資本主義のしがらみに支配されない個人が与える情報は真実か虚言か?

 

それを自分なりに調べて検証しようとすらしないからこそ、人々は区別がつかない者と化す。

 

少し調べたとしてもネットの浅い検索程度しかせず、自分の常識と合致する情報しか選ばない。

 

多角的に情報を検証せず、己の価値観に沿った情報しか選ぼうとしないからこそ偏見が起きる。

 

分断の果てに人は傷つけ合いすら娯楽とし、自分達に合わさない者達に揶揄と嘲笑を浴びせる。

 

()()()()()()退()()()()調()()()であり、合わさない者達を袋叩きにするカルト宗教団体と化す。

 

御上という尊師様が間違うはずがない!間違ってるのは尊師様を疑う陰謀論者の方だ!

 

このように()()()()()()()()()()()()()()()()()()、個人が発する意思伝達は阻害されていく。

 

それを伝えられた魔法少女達の目から悔し涙が溢れ出し、傷つけられてきた苦しみを叫び出す。

 

<<何を言っても私が間違いだと大前提で話してくる!何が正しいかを議論してくれない!>>

 

「私が論点をすり替えるなと叫んでも…すり替えてるのはお前の方だと擦り付けてきたわ!!」

 

「終いには私を精神異常者に仕立て上げてきた…相手の劣等性を自分の正しさの担保にする!」

 

こちらが追及したい論点部分など受け止めず、相手をデマ屋にしたい本音しか語らない。

 

それだけの話に論点をすり替えられ、指摘も追及も成立しなくされるしかないだろう。

 

「善悪二元論手口によって…真実を語る者はデマ屋にすり替えられる…神が悪魔になるように」

 

「語った話は正しいですわ…人々は意思伝達を勉強しなかったから…潰し合う存在となった!」

 

<<人々は監督という強権が横にいなければ罵り合いしかしない!だから全てを諦めた!>>

 

犯罪者が好む論点のすり替え手口を潰すには、司法権力のような監督力が必要不可欠。

 

だからこそ警察の追及はすり替えが出来ずに成立し、犯罪者は追及を受け止めるしかない。

 

ヤンキー漫画で鬼の教師が登場すれば虐めっ子共が逃げ出す光景と同じであろう抑止力である。

 

警察権力の如き監督力を用意出来ない魔法少女達はこうして人々から潰されていったのだろう。

 

<<私達だってね…好きで絶望したんじゃない!皆が残酷だから…グスッ…絶望したの!!>>

 

泣き崩れてしまった絶望の魂達は苦しみからの解放を望んでいる。

 

それ程までの絶望の穢れが溢れ出し、美味しく頂こうと狙うマニトゥの計算通りとなるのだ。

 

「ヒッ…ヒヒヒ…!!苦しんだろう…悲しんだろう…終わりにしてやろう…我の腹の中でな!」

 

門倉の死体に生えた切り株のような部分から巨大触手が一気に伸び出ていく。

 

自分の体を触手で圧し潰してしまう程にまで触手を展開させた事で門倉の死体も潰れていく。

 

<<キャァァァァーーーーッッ!!?>>

 

逃げ出した魔法少女達は必死になって走っていき、地上に出られるエレベーターに乗り込む。

 

無限発電炉ヤマトが存在する広大な空間で生まれる存在こそ、絶望の魂を喰らう大霊であった。

 




ソウルハッカーズのラスボスなマニトゥは物理特化が弱い方で魔法特化が強い方だと言われてたそうなので、門倉に寄生した方を魔法特化マニトゥとして選んでみました。
ティアマトを倒していた場合は大霊マニトゥ(魔法)の戦いになるので、東京編でティアマトを倒しちゃったからしゃーない(汗)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。