人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
ザイオン発電施設に向かうレイとナオミであるが、走りながらも彼女達は戦慄する。
「こ……この悪魔の気配はまさか!?」
「知っている悪魔なの!?」
「思い出したくもないグロテスクな悪魔が…このザイオンにも配置されてたようね…」
人修羅と共に見滝原市に赴いた時、ナオミは彼と一緒に量産型マニトゥと戦っている。
だからこそ地面を突き破って現れる巨大触手の光景を生むのはマニトゥだと分かるだろう。
「東京の時に膨大な数が現れたと思ったら自爆し…また現れる…一体マニトゥは何なの!?」
「分からないけれど…放置したら最後、このザイオンは破壊されるでしょうね…」
再び現れようとしているマニトゥの近くには複数の魔法少女の魔力まで存在している。
血相変えた表情の女サマナー達は乗り捨てられていた車に乗り込んで走行していくのだ。
一方、からくもザイオンの地表まで脱出出来た魔法少女達であるが後ろに振り向く。
見えたのは発電所が崩壊していく光景であり、無限発電炉が収まる領域にまで瓦礫が落ちる。
「ハァ!ハァ…ッッ!!ここまで来れば…大丈夫…なわけ…ないよね…?」
「地下空間からおぞましい程にまで強大な魔力が昇ってきますわ…この魔力は…まさか!?」
那由他の顔が青ざめていき、生体エナジー協会に囚われていた時の記憶を思い出す。
彼女も量産型マニトゥに襲われた魔法少女であり、マニトゥの触手に殺されかけた者なのだ。
どうすればいいか分からないホワイトメン達はリーダーのラビに顔を向ける。
リーダーですらどうすればいいのか分からず、体の内側に宿るホワイトメンの思念に問う。
すると残酷な答えが返ってくるのだ。
<<守ろうとする力は…それを超える守ろうとする力によって滅ぶのみ。滅びを受け入れよ>>
<<私達全員…あの化け物の腹の中に入って消化されろと言いたいわけ!?>>
<<その通り…死は始まりに過ぎない…ホワイトメンは悪魔に喰われ…悪魔の人生が始まる>>
<<冗談じゃないわ…私が望んだのは世界の輪廻転生よ!悪魔に転生なんて望んでない!!>>
<<滅びを受け入れよ…滅びを受け入れよ…ホワイトメンとして…滅びを受け入れよ…>>
ホワイトメンの思念にまで見捨てられたような気持ちになったラビの膝が崩れてしまう。
「ラビたん…どうしよう…ミィ達の計画は邪魔されちゃったし…どうしていいか分かんない!」
「ラビさん…いくら死が救済だと言っても…私は悪魔と同化なんて…したくないですの…!!」
<<分からない…私にも…分からない!!もうどうしていいのか…判断出来ない…っ!!>>
絶望に飲まれた末に抗う気力すら消えてしまったリーダーに対してホワイトメン達が混乱する。
彼女達も先程の精神誘導によって絶望の穢れがソウルジェムを蝕み、魔力の残量が残り少ない。
そんな中、崩落した発電施設の巨大な穴からせり出してくる巨大悪魔の姿が顕現するのだ。
「クックックッ…自由だ…我は自由だ!!ようやく…啓明結社共から…自由になったぞぉ!!」
巨大触手が編み上げた大霊マニトゥの巨体は金色の体色をしており、人型の形を形成する。
それでも体の至る所に亀裂が入っており、MAGや魂を喰らい過ぎれば亀裂部分から分裂する。
再び体がはじけ飛びそうな形態に成り果ててしまうだろう危険極まりない悪魔なのだ。
<<ソウル…エナジー…ソウル…エナジー…運ぶ…運ぶ…>>
マニトゥの体の亀裂から溢れ出すのは胞子状のスポアであり、魔法少女でも肉眼では見えない。
それらが溢れ出した事で魔法少女達のソウルジェムはスポア達に寄生されてしまう。
「な……何なの、これ…?」
「私達のソウルジェムが…綺麗になっていく…?」
ソウルジェムの絶望エナジーを吸い上げたスポア達は飛び出していき、マニトゥに戻っていく。
「クゥゥゥゥゥ……やはり…魔法少女共から…溢れ出す…絶望エナジーは…格別だな…!!」
僅かに吸い上げた程度でこの味わいならば、ソウルジェムを喰った時の味わいは如何程か?
それを想像しただけで巨大な口からよだれが溢れ出し、魔法少女達を戦慄させていく。
<<あれはアルゴンキン族の伝承に残る悪魔よ…他者に寄生して超常的な能力を与えるの…>>
「じゃあ…僕達のソウルジェムも寄生されて…その力を与えられたというわけ…?」
<<そんなはずはない…奴もまた等価交換を求める者よ…寄生された男の末路を見なさい>>
「もう原型すら残ってないですの…ま、まさか…私達のソウルジェムを綺麗にしたのは…」
<<恐らくは…深き絶望を与えるためね…。奴は…楽には殺してくれない存在なのよ…>>
「そ、そんな……ミィ達……なぶり殺しにされちゃうの……?」
浮遊する巨大黄金ボディの悪魔を見つめる魔法少女達は震え抜き、恐れおののいてしまう。
そんな魔法少女達の魂をより深い味わいに変えてやろうとマニトゥが仕掛けてくるのだ。
「さぁ…絶望し続けろ!!我に喰われるまで…味わい深い…絶望の…美酒となれぇ!!」
大口を開けて放つのは『ネクロ・ドグマ』であり、壊死の教義が魔法少女達の脳髄を焼く。
<<アァァァァーーーーッッ!!!>>
脳細胞が壊死する程にまでおぞましい教義を叫び続けるマニトゥの精神波が彼女達を狂わせる。
幻聴として聞こえるのは魔法少女達を陰謀論者と同じようにして痛めつけた者達の言葉の数々。
<<おい聞いたか?魔法少女がいるってよ?ギャッハハハ!!漫画の見過ぎだろ、お前?>>
<<現実と空想の区別もつかない奴だな?陰謀論者みたいな虚言癖があるんじゃねーの?>>
<<日本はアメリカに支配されてるだとぉ!?頭のおかしい事言ってんじゃねーぞ!!>>
<<コイツ、中国か北朝鮮の工作員だろ?同盟国のアメリカが日本を搾取するわけねーし>>
<<ネットのデマで世の中語っちゃう頭の痛い奴なんてほっとこーぜ。頭の悪さが伝染する>>
<<この魔女共め!湯国市オールスターフェストの犠牲者を生んだのは魔法少女のせいだ!>>
「いや…いやぁぁぁ…っ!!聞かせないで…こんな苦しみの責め苦…耐えられないーっ!!」
苦しみの余り倒れ込んだラビはサンダーバードとの融合が解ける程にまで藻掻き苦しむ。
それ程までのトラウマの数々が脳を壊死させるまで纏わりつき、魔法少女達を苦しめる。
苦痛のあまり倒れ込んで藻掻き苦しむ魔法少女達のソウルジェムは再び穢れてしまう。
それでもスポアが充満した領域で戦う彼女達は絶望死すら許してくれない精神拷問を浴びる。
「やだ…やだぁ…!!ミィを責めないで…ミィのせいで生活が苦しくなったんじゃないよぉ!」
「皆が私を残して死んでいく!パパが死んだ!灯花まで死んだ!私は…独りぼっちですの!!」
正義の為に戦い抜き、拝金主義な権威共の嘘に気が付く努力までした少女達が虐待される。
何が正しいのか自分達で知恵を求めて深い思索を繰り返さなかった愚民共から悪にされる。
この悲劇こそ中世魔女狩りであり、権威にのみ従順な連中のせいで魔女達は焼かれるだろう。
いつか魔女に成り果てる魔法少女達もまた同じようにして精神が焼き尽くされてしまうのだ。
「こんなのってないわ……あんまりよぉぉぉぉぉーーーーッッ!!!!」
正しく生きようと努力した者ほど発狂させてしまう一撃こそがネクロ・ドグマの脅威。
発狂死寸前にまで追い込まれた時、ついに魂の収穫を狙うマニトゥが動き出す。
「ヒッ…ヒヒッ!!絶望に…のたうち回った…魂ごと…貴様らを…喰らってやろう…ッッ!!」
両手を胸の前で交差させたままのマニトゥは体の側面に備わる無数の円盤から雷霊を生み出す。
雷霊として召喚されたのは上半身のみで浮遊する機械悪魔であり、背中から赤い膜を伸ばす。
【マルスム】
ネイティブアメリカン・アルゴンキン族の伝承に登場する狼の姿を採る破壊神。
善神グルースカップとは双子の兄弟であったが性格は正反対であり、別々のものを創造する。
グルースカップは人の生活に欠かせないものを作り、マルスムは生活を困らせるものを作る。
兄への殺意を秘めたマルスムは戦いを挑むが敗北し、シダの茎で打ち倒されたという。
<<グググ…ギガガ…ソウル…ハコブ…魔法少女ゴト…ハコブ…>>
浮遊するマルスム共が倒れ込んだ魔法少女達の体を掴み、空に持ち上げていく。
このままマニトゥの体に取り込ませるつもりで召喚された機械悪魔なのだろう。
「ごめんなさい…みんな…こんな結末になるだなんて…私…想像も…出来なかった…」
発狂死しかけたラビは同じように身動き一つとれない者達に対する謝罪の言葉を呟いてしまう。
全てがどうでもよくなる程に絶望した末に異世界転生じみた輪廻転生を望み、皆に押し付ける。
その末路は望みとは真逆の悪魔の生贄になるのだから彼女の心は罪悪感で圧し潰れていく。
「ヒヒヒ…!!さぁ…ご馳走の…時間だ…!!早く運べ…今の我は…腹ペコなのだぁ!!」
マニトゥの巨大な口の中に魔法少女達を放り込む為に浮遊していくマルスム達。
「こんなことなら…私…死んでやり直すだなんて…考えなければ…良かったぁ…っ!!」
絶体絶命の状況となった時、魔法少女達の危機を救いに現れるサマナー達がやってくるのだ。
――自分の人生を変えたいのなら…
叫んだ者とはレイであり、ナオミが運転する車の屋根の上で狙撃銃を構えている。
突撃銃としても使用出来るG3SG1のスコープを覗き込みながら引き金を引いていく。
すると発射されたライフル弾から太陽の光が生み出されていき、魔弾の如き威力と化す。
太陽神ルーグを神降ろしで憑依させた彼女が放つ銃弾は魔弾タスラムとして機能するのだ。
<<グギャァァァーーッッ!!?>>
狙撃されて次々と撃ち落とされるマルスムが落とした魔法少女達が地上に落下していく。
「召喚!イシス!!」
車を運転しながら召喚管を構えたナオミが窓から手を伸ばしながら管の蓋を解放する。
召喚されたイシスが風魔法を用いて風のクッションを地上に生み出し、激突を防いでくれる。
ドリフトしながら現場に到着した車から降りるのは葛葉キョウジの部下である女サマナー達。
御馳走を奪い取ろうとする侵入者に対して、マニトゥの口から狂気の叫びが上がるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「オノレェェェェェーーッッ!!邪魔立て…するな…サマナー共ォォォォーーッッ!!」
狂気の雄叫びを上げるマニトゥを見上げるレイはスリングを使って銃を背中に背負い込む。
両手に生み出すのは太陽神ルーグの槍であるブリューナクであり、二対の槍を両手で構える。
「…援護を頼むわ。流石にこんな悪魔を相手に私だけで勝てるって言える程…強くないから」
「…分かったわ。こういう戦い方は初めてだけど…やり遂げてみせる!」
イシスを召喚しているナオミであるが、さらに召喚管を抜いてもう一体を召喚しようとする。
「ミスターライドウに出来て…私に出来ないハズがない!いでよ月神…その力を示せ!!」
二本目の召喚管から召喚される悪魔とは、月神ヘカーテの代わりとなる新たな月神。
髪の毛のようにして頭部に生やすのは複数の腕であり、手には星々を表す球体を浮遊させる。
紅いコートを上半身に纏い、胸から下の開いた部分の内側は星々が煌めく宇宙が存在する。
下半身は存在せず上半身で浮遊した女神こそ、アステカ神話における天界の始祖母なのだ。
【ツィツィミトル】
アステカ神話の夜の女神であり、世界を滅ぼすと言っては人間を脅かし続けた存在。
朝と夕方を構成する太陽と戦い続けた存在であり、孫娘マヤウェルの嫉妬深い庇護者でもある。
ケツァルコアトルに孫娘を奪われたと激怒した彼女はマヤウェルごと殺そうとした女神だった。
「太陽と共に戦わされる日がくるか…因果よのぉ。それでもマニトゥが相手では致し方なし…」
ツィツィミトルが浮遊させる球体が色とりどりの光を放ち、彼女の体も闘気を放つ。
纏うのは貫く闘気であり、貫通属性を纏った状態で四属性魔法を次々と発射していく。
「ヌゥゥゥゥゥーーーーッッ!!我を相手に…魔法戦を…仕掛けてくるかぁ…ッッ!!」
異形胞子飛弾を口から次々と発射していき、ツィツィミトルの四属性魔法を迎撃する。
レイもブリューナクを用いて物理攻撃を仕掛けていく中、イシスは魔法少女達を運び出す。
彼女達は度重なる絶望の地獄に突き落とされたせいで心が破壊されかけた者達。
ソウルジェムも穢れて破裂寸前であるため、エナジードレインを行使しないと死ぬだろう。
彼女達の穢れをイシスが吸い出しながら運び出し、戦火の巻き添えにならないようにする。
最後に運び出すのはラビであったのだが、彼女は助けなどいらないと拒んでくるのだ。
「私達は…滅びを望んだ…者達よ…。今更救われたって…もう…望みは…ないの…」
「それを見つけ出すのが生きるという事よ!世界が絶望だとしても…抗う存在はいるのよ!」
イシスが語るのは人修羅達の戦いであり、彼らは世界を支配する勢力と戦争を起こしたという。
ホワイトメンの能力で時空を跳躍したせいで彼らの抵抗を知らなかったラビの目が見開くのだ。
「どんな罪を背負ってでも…絶望の世界を焼き払ってでも…希望を求める者達がいるの!!」
「勝てるわけがない…相手は世界の大元締めのような金融民族なのよ…勝てるわけがない!!」
「革命とはね…勝てないと考えた時点で終わりなの!絶望した時点で支配者の勝利となるの!」
「だから世界そのものを破壊したかった…勝てない存在ならせめて…全てを破壊したかった!」
「全てを破壊されたら大地も残らないわ!世界が焼かれたとしても…
「大地は…再び…芽を生む…?」
「その芽は希望よ!戦で大地が焼かれてもそこから希望の芽が生まれる…それを勝ち取るの!」
大勢の人々を戦争に巻き込んで死なせてしまっても、大地も人間も再び希望の芽を生む。
焼かれた大地には風が実りの種を運んで芽吹いていき、女達もいつか恋人の種を芽吹かせる。
金融支配から解き放たれた世界には再び希望の芽が育っていき、美しい世界を蘇らせる。
それこそが人修羅が望んだ景色であり、その為の礎として彼らは世界を焼く炎となるのだ。
「貴女も女として生き残りなさい!支配から解放された星と共に…新たな希望を芽吹かせて!」
「グスッ…世界を壊そうとした私なんかが…ヒック…生き残っても…エッグ…いいの…?」
「誰だって過ちを犯すわ!他人に迷惑をかけない存在はいない…だからこそ許してあげる!!」
「えっ…うえっ…あぁぁ…あぁぁ…あぁぁぁぁ~~……ッッ!!!」
絶望の使者にまで堕ちてしまった氷室ラビの心に温かな感情が溢れ出し、号泣してしまう。
世界の滅びを実行しようとした自分達を許してくれる存在に心から感謝する気持ちが溢れる。
もう一度生きたいと思った瞬間、ラビに取り憑いたホワイトメンの思念体が切り離されていく。
<<滅びを受け入れよ…滅びを受け入れよ…ホワイトメンとして…世界と共に滅びよ!!>>
真っ白なラビの姿を形作る思念体に対して飛行を止めたイシスが体を一気に回転させる。
「お前なんかが取り憑いたせいで…彼女達は自分で自分の希望を破壊するところだった!!」
白いローブを纏うイシスの蹴り足が思念体にクリーンヒットした事でホワイトメンが砕け散る。
<<死…こそが……すく……い……>>
霧散したホワイトメンの言葉に対して、死と再生の女神であるイシスはこんな答えを返す。
「死は新たな始まりだけど…大地があって成り立つ。お前がやるのは始まりを断ち切る行為よ」
再び飛行していくイシスであるが、抱え込まれたラビはポケットから懐中時計を取り出す。
涙で塗れた目に見えたのは終末時計の針が0時を刻んでも進み続けている光景である。
「グスッ…滅びの0時を迎えても…
魔法少女化が解けてしまったラビの意識が遠くなる中、彼女は思い出の世界に旅立っていく。
彼女が思い出す景色とは、絆を結べた親友達と明るい未来を語り合える光景だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
大霊マニトゥの本体を相手に果敢にも立ち向かう女サマナー達。
しかし本霊の力は凄まじく、量産型と違って安定した状態で戦いを挑んでくる。
<<キャァァァァーーーーッッ!!!>>
悪魔の産声を発したことで鼓膜が裂ける程のダメージを負う。
激しい叫び声に対して両耳を抑え込みながら膝をつくサマナー達に目掛けて次々と攻撃が迫る。
「フハハハハァ!!貴様らの魂も…美味そうだ…先に…喰ってやる!!」
四属性魔法を操ってくる魔法攻撃によってザイオン地表が次々と砕けていく。
ツィツィミトルも宙に浮きながら魔法攻撃を放つが、マニトゥに気を取られた隙をつかれる。
「き、貴様らは!!?」
背後から現れたのはマルスム共であり、ツィツィミトルに飛び込みながら固まっていく。
拘束して自爆を狙うのだが、ツィツィミトルの腹の中で広がる宇宙から塊の数々が飛んでくる。
<<グワァァァァァーーーーッッ!!!>>
宇宙から飛来してきた燃え上がる隕石がマルスム共を貫き、背後の者達は風魔法で吹き飛ばす。
しかしそちらに意識を奪われている隙を突いたマニトゥの巨大な手が迫りくる。
「アァァァァーーーーッッ!!?」
掴み取られたツィツィミトルを握り込む手からメギドの光が生み出されていく。
「これで…終わり…だぁ……ヒヒヒ!!!」
握り込んだ拳の中で生み出された光とはメギドラオンであり、ツィツィミトルが消滅する。
戦術核規模の爆発が広がり、レイとナオミも巻き込まれそうになったがイシスが駆けつける。
二人の上着の襟を掴んだまま飛翔していき、後方から迫る消滅光から逃げ続けるのだ。
「ねぇ…このザイオンは神浜市の地下深くなんでしょ…?ここが崩壊したら…どうなるの?」
「恐らくは地上も無事では済まないわ…神浜市は地下崩落に巻き込まれて崩壊するでしょう…」
「そんな場所でメギドラオンをぶっ放してくるなんて…自分も生き埋めになるわよ…」
「そんな事すら考えられない程…あの悪魔は人々を喰らう事しか頭にないんでしょうよ…」
「神浜には美雨がいる…私達の大切な妹のような子を死なせはしない…ここで食い止めるわ!」
「私も同じ気持ちよ。奴に隙が生まれてくれたなら…私が用意した切り札を使わせてもらう!」
消滅光から逃れた者達が市街地にまで飛んできて地面に着地する。
向こう側から迫ってくるのは宙に浮いたマニトゥであり、おぞましい笑い声を上げてくる。
ザイオンの駅ホームに下ろされた魔法少女達も恐怖に慄き、震えが止まらない。
それでもイシスから与えられた希望の光を信じるラビがこう叫ぶのだ。
「世界は絶望の支配構造しか存在しない…それでも貴女達は…何を望んで生きてきたの…!?」
それを問われた時、魔法少女一人一人が希望を抱いていた頃の記憶を思い出す。
「まなかは…まなかは…世界一のコックさんに…なりたかったです…」
「私は…ファッションデザイナーになりたかった…今でもそれに…縋りたい…」
「私はあやかと一緒に自分の居場所を築きたい…私は私を裏切らないからこそ…居場所となる」
「あたしも同じ気持ちだよ、雫ちゃん。それに…傷ついた人々を笑顔にさせたい夢もあるの…」
「私は…両親ともう一度楽しく過ごせる人生が欲しい。そしてまさらの感情が蘇って欲しい…」
「私も…こころと一緒に生きたいわ。死んでしまったらもう…それすら得られない…」
「私も伊勢崎君と添い遂げたい…もう妄想には逃げないわ…生きてるからこそ…叶えられる!」
「私は花を人々に送り続けたい…そして花の美しさを感じられるぐらい…国民の心を救いたい」
「泣いたら負けです…私だってみんなと生きたい…両親やマメジと生きられる国が欲しい…!」
「やちよさんに負けないモデルになる夢をいつか叶えたい…その為に…生きてきたんですの!」
「美術品ばかりを求めてきたけど…もっと求めたいものが出来た…それは国民の美しさです!」
「沙優希も友達をまた作りたい…その為に歌えるチャンスがあるのなら…また歌いたいです!」
「僕…異世界に逃げようとしてた…そんなのダサい…僕はフォートレス・ザ・ウィザードだ!」
「歴史から学ぶからこそ…人は真実に気がつける。私…もっともっと…歴史が知りたい…」
「その為には…この戦いを生き残らないとね…古町…」
「私も先輩達と一緒に生きたい…だからこそ…映画のヒーローみたいに…くじけないから!!」
生きる希望を抱いていた頃の目を取り戻した魔法少女達。
それでも絶望に囚われた那由他とみかげの前に来たラビがこう伝えてくれる。
「那由他様…許してくれるなら…もう一度貴女と生きたい。里見教授の代わりに…支えたいわ」
「ラビさん…グスッ…ラビさん…ヒック…!私も生きたい…貴女と一緒に…生きたいっ!!」
「みかげさん…世界の支配と戦ってくれている人達がいる…その代表者こそ…嘉嶋尚紀よ」
「えっ…!?なおたんがミィの元から去っていったのは…ミィ達を救うためだったの…!?」
「嘉嶋さん達も諦めずに戦ってくれている…彼らこそが…私達の希望の光だったのよ…」
「だったら…だったらミィはまだ死にたくない!もう一度…姉ちゃとなおたんに…会いたい!」
もう一度希望を取り戻せた魔法少女達が迫りくるマニトゥに体を向けた後、変身を行う。
魔法武器を構えた彼女達は絶望の波に抗う覚悟で破壊の大霊に戦いを挑んでくれるのだ。
一方、ザイオン市内に入り込んできたマニトゥを相手にレイ達は激闘を繰り広げている。
「我を…傷つけるかぁ…!!離れろォォォォーーッッ!!!」
高層ビルの屋上からマニトゥの頭部に飛び降り攻撃を仕掛けたレイは槍を頭に突き立てる。
二本のブリューナクを突き立てられたマニトゥが激しく暴れる中、必死に耐えようとする。
「くっ!!こんなに暴れられたんじゃ…召喚する隙が生まれない!!」
ナオミはイシスと共に戦うのだが、暴れまくるマニトゥの巨体を抑え込めずにいる。
そんな時、魔法少女達の魔力を感じたレイとナオミが顔を向けると目が見開いていく。
「あの子達…絶望を乗り越えられたようね…」
果敢に攻め込む神浜魔法少女達は御霊合体の力を行使して悪魔の魔法を放っていく。
「オノレェェェェェーーーーッッ!!グッ…!?ウゥ…!?な、なんだ…体が…熱い!?」
突然苦しみだしたマニトゥの異変に気が付いたレイは槍を引き抜いてビルの屋上に飛び降りる。
「グギャァァァァァーーーーッッ!!?」
突然体が暴走し始めたマニトゥは量産型マニトゥと同じようにして体がバラバラになっていく。
その状態こそ膨れ上がった風船であり、体の内側から溢れ出る膨大なエネルギーで苦しみだす。
「もしかして…無限発電炉ヤマトを…取り込んでいたの!?」
青い表情をして叫ぶラビの予想が当たっていれば、無限エネルギーがマニトゥに注がれている。
そうなればいくらマニトゥでも膨れた風船のようになってしまい、最後には爆発するだろう。
そしてマニトゥの体内で暴走し続ける無限発電炉も崩壊し、ブラックホールが生まれるのだ。
「早く奴を倒さないといけない!奴の体内にある無限発電炉を止めないと…世界が滅びるわ!」
ラビの叫びに反応してくれたレイは槍を地面に突き立て、両手で印を結びながら祝詞を呟く。
太陽神ルーグに捧げる祝詞を詠唱とし、太陽の光を纏ったブリューナクを地面から抜く。
「これで倒せないなら…後は貴女が頼りよ。決めてやりなさい…ナオミ!!」
放たれた一撃とはアカシャアーツであり、二本の槍が閃光となってマニトゥに突き刺さる。
「アガァァァァァーーーーッッ!!!」
太陽の光に焼かれるマニトゥであるが、膨大なエネルギーによって極限の再生を生み出す。
それでも隙を生み出す時間は十分稼げたことでビルの屋上に立つナオミがイシスを管に戻す。
「ナオキの中にアーリマンを見出していたけど…違ってた。彼の中にあるのは三体の悪魔達よ」
ルシファー、マサカド、スパーダの力を宿す人修羅はアーリマンではないと結論付ける。
ならばアーリマンは別に存在しており、だからこそナオミはアーリマンを使役する者となる。
「いでなさい…この世全ての悪と呼ばれし魔王よ!ナオキと同じ程の悪の力を示すがいい!!」
召喚管から噴き上がる膨大なMAGを振り抜いた時、極大の闇が辺りに充満していく。
闇が実体化していき、両腕を組みながら現れた存在とは二本角が生えた巨大な魔王の姿。
崩壊しかけているマニトゥの巨体と並ぶ程の存在こそ、ボルテクス界のシジマ勢力の代表者。
「嘉嶋尚紀…君が世界を焼く程の罪を背負うなら…私も背負おう。それこそが…シジマの道だ」
現れたアーリマンの姿はボルテクス時代とは違い、甲殻類の鎧を纏う魔王のように見える。
虫のような四枚翼を広げる紫色の体をした存在の声は氷川と同じであり、同化している。
氷川はアーリマンという概念存在として永遠を生きる存在となり、今はナオミと共に在るのだ。
「グッ…ガガッ…!!タリヌ…タリヌ…!!マダ…マダ…クイ…タリ…ヌ…ッッ!!!」
身体が崩壊しかけていても極大の再生で体を無理やり繋ぎ止めるマニトゥ。
これは倒せる存在ではないと判断したアーリマンが放つのは静寂の世界を解放する力。
「我と共に虚無に来てもらおう…そして共に味わい続けよう…この世全ての悪の呪いをな…」
アーリマンの眼光が光った時、マニトゥの足元から無数の悪魔の手が伸び出てくる。
「ハナ…セ…!!?」
破裂しそうなマニトゥの体が地面に広がった巨大空間に吸い込まれるようにして消えていく。
同時にアーリマンも地面に沈んでいき、共に悪の呪いを浴び続ける存在となるだろう。
『二億四千万の悪』の世界に誘われた大霊の姿は完全に消え去り、アーリマンもいなくなる。
そして虚無の世界においてマニトゥは破裂し、ブラックホールを生み出す存在となるのだろう。
「ごめんなさい…アーリマン。貴方は悪にされる為に生まれた存在…嫌な役目を背負わせたわ」
仲魔を犠牲にしなければ勝てない程の存在を退けたナオミに対して、レイが叫んでくる。
「やったわね…ナオミ!それでこそあたしのライバルよ…ライドウに負けない女サマナーね♪」
親指を持ち上げながらサムズアップしてくるレイを見たナオミは微笑んでくれる。
魔法少女達も歓声を上げてくれるのだが、レイとナオミは遠くに見える景色に視線を移す。
「後は貴方達次第よ…必ず生き残りなさいよね…ミスターライドウ、ミスターキョウジ…」
激戦を潜り抜けた女達が見た光景とは、マニトゥとの戦いに負けない程の戦場の光景だった。
倒せない悪魔なら世界から蹴り出す封印を施すのが定番ですよね。
マニトゥはネミッサがいないと死を与えられない存在なので、ブラックホールで吸い込まれても何処かの次元でまた生まれてくるんでしょうな(汗)
ちなみに最強サマナーと名高いナオミですが、改造データでボスラッシュやってる動画を見てるとカジャ系魔法が使えない弱点が露見したんですよね。
だから打たれ弱く、やはりメガテンはカジャに始まりカジャで終わるのだと分かりました(汗)