人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
西棟と東棟を繋ぐ連絡通路は北側と南側とに分かれている。
中央フロア部分の真下を覆うものは何もなく、現在は光の柱がそびえ立つのみ。
光の柱を背後に立つのはルイーザの姿。
腕を組み、沈黙したまま求めし者の到着を待つ。
その前に負け犬が先に到着するのを彼女は魔力探知で感じ取ったようだ。
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息を切らせて走ってきた人物に振り向く長身の魔法少女は冷淡な瞳を向けてくる。
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ドイツ人にも分かりやすいようにと英語を話す。
目を細め、哀れな生き物を見る視線のままこう告げてくる。
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「…
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ユダヤ人は欧米では嫌われている。
金にがめつい、民族主義、金にうるさい、損得勘定しかない、金が全て。
金銭部分だけでなく、ユダヤ人が嫌われる理由はキリスト教にとっては裏切り者な部分。
イエス・キリストをローマ帝国に売った民族であり、裏切り者のユダとして差別される。
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最初にドイツ人だと名乗り、後からユダヤ人が本来の自分だと正体を明かす。
ならば彼女はヘブライ語でドイツを表す東欧系のアシュケナージユダヤだと察したようだ。
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後ろからは悪魔が迫っており、既に目前にまで迫ってきている。
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「……………」
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その一言を聞いたルイーザは目元しか伺えない表情が愉悦を堪えきれないように歪む。
「クッ…ククク…ハハハ…アハハハハハハハ!!!」
まるで道化の無様な演劇を見物しながら大ウケしたかのように腹を抱えて笑い出すのだ。
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突然の豹変ぶりに恐れを感じたレベッカは顔を青くしてしまう。
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黒革グローブの右手側を脱ぎ捨てる。
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右手の甲を翳すし、刻まれたタトゥーを見せつけてくる。
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それはプロビデンスの目と呼ばれるシンボル。
黒い後光を背負う三角ピラミッドの真ん中に見えるのは瞼がない一つの目。
イルミナティのシンボルであり、神の目を表す。
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その名を聞いたレベッカは凍りついてしまう。
イルミナティの意味はラテン語で光に照らされたもの。
人々に知識を与え、教え導く啓蒙という宗教的な意味合いをもつ。
世界の陰謀論において必ず現れる世界的秘密結社の名称である。
友愛結社を名乗るフリーメイソンと同じく悪名高い存在として歴史の裏側で語られる存在だ。
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イルミナティは世界を牛耳り、人間を滅ぼす計画を立てている。
世界中でそう言われ続けてきた禍々しい悪魔崇拝カルト組織。
目の前にいるのは悪魔崇拝者なのだとレベッカは理解する。
「…
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「……………」
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「…
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【ネフィリム】
その名は天から落ちてきた者達と呼ばれ、旧約聖書や外典に登場した巨人族。
天から落ちてきた堕天使と人間の娘との間に産まれた子孫を表す。
純血ネフィリムは高さ1・5km程もある巨体を誇り、名高い英雄とも呼ばれる。
だが彼らは食べ物が尽きると人間や同族さえも喰らう食人族としても知られている。
神はこれを見て絶滅させようとしたが、絶滅させるに至らなかったようだ。
滅ぼされまいと人間と交わる事により、身長は人間より少し高い程度の存在となっていく。
ユダヤ王ダビデと戦った巨人ゴリアテもまた、ネフィリムの子孫かもしれないと言われた。
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「…
彼らは大魔王の命令を実行したと聞かされる。
それは悪魔の血を地上に残すことなのだ。
「
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目の前に立つ存在に対してレベッカは後退りしながら戦慄する。
悪魔の子孫であり、悪魔崇拝者であり、悪魔を崇める秘密結社に属する使いが目の前にいる。
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ヘルメスの杖とは杖の周囲を二匹の蛇が取り巻く蛇杖であり、カドゥケウスとも呼ばれる。
ギリシャ神話の伝令神ヘルメスの持ち物であり、神秘学において最も重要視される。
蛇は人間に知恵を授けた存在であり、悪魔ではなく神だと考えるのがグノーシス主義派の意見。
イルミナティはグノーシス主義から生まれた存在だと言われていた。
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震えながら後ずさるレベッカに対して魔法少女である悪魔人間が近寄っていく。
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口を覆う襟を掴み、力任せにボタンを外すと歪に開いた口の歯を剥き出しにする。
冬の寒さで吐く息はまるで獣の吐息であり、彼女の衣服はまるで食肉衝動を抑え込む拘束具。
ルイーザの他人を見る目は人を見る目ではない、家畜の肉を見る眼差しであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
狼型ゴーレムの口を掴み、力任せに体を引き裂く。
掴んだ肉塊を引き裂きながら業火で焼き尽くし、連絡通路に向かって悪魔は走る。
「51階に繋がる道は何者かによって破壊されていたな。なら東棟から行くしかない」
フロア案内で連絡通路は北側と南側にあると把握しており、向かうのは北側連絡通路。
丁度そこにはペンタグラムの二人がいる事は魔力探知で探知しているようだ。
「どの道ペンタグラムメンバーは全員殺す…探す手間も省ける」
連絡通路入り口まで走っていた時、絶叫の如き悲鳴が聞こえてくる。
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「この悲鳴は…なんだ?」
入り口を開けて連絡通路に侵入すると一直線の道で佇む二人の姿を見た悪魔は驚愕する。
「何を……している!?」
そこで見た光景とは、ルイーザがレベッカの肩を拘束している光景に見えるだろう。
そして彼女の首筋に噛み付いていたのだ。
顎の力で肉を噛みちぎられていく光景が鈍化して見えてしまう。
おびただしい流血が彼女の首から噴き上がっていく。
「ア…アァ……」
左手に持たれていた蛇杖を力なく床に落とす。
首に巻いたチョーカーが千切れ、ソウルジェムが落ちていく。
ソウルジェムだけは右手で掴む気力をレベッカは見せたようだ。
「
噛みちぎったチョーカーを吐き出し、魔法少女の肉を口の中で咀嚼していく。
口の周りは返り血塗れ、まさに悪魔の如き表情。
肉を飲み込み終えた彼女が思い出したかのようにこう呟く。
「
F22戦闘機の機影がワタツミ大橋の残骸を超えてくる。
「
都市を超え、タワーに向かって飛行してくる。
「
機関砲の照準がレベッカに向けられ、機関砲が回転を始める。
最後の気力を振り絞り、呪わしい者に向かってレベッカはこう叫ぶだろう。
「
猛禽類が夜空に向けて砲火を一直線に放ち、連絡通路の周囲を囲む窓ガラスが割れていく。
その場に立っていたレベッカは20mm機関砲の直撃を受け、ソウルジェムごと赤い霧と化す。
「
戦闘機は光の柱を避けるように飛行しながら連絡通路の隙間を超えていく瞬間、悪魔が動く。
機体を左に傾斜させていた時、パイロットが見た光景とは?
「運がなかったな…」
鈍化した世界。
戦闘機に向かって迫ってきたのは大きく伸ばされた光剣の一撃。
回避行動をとる暇もなく戦闘機は両断されてしまう。
機体の半分は南側連絡通路に落下して爆発四散と共に連絡通路を崩落させてしまう。
残りの半分は東京湾へと落ちていく中、その先にあったのはミサイル駆逐艦である。
機体が艦橋に直撃して駆逐艦は行動不能となったようだ。
人間の守護者を気取る者によって大勢の守るべき人間達の命が奪われてしまう。
しかし、悪魔にはもう迷いはなかった。
「助けられない命もある…。それでも、取り零したくない命のために…俺は戦う」
僅かな一瞬の一撃を見逃さなかったルイーザの視線が悪魔に向けられる。
溜息をついた後、ポケットからハンカチを取り出して口元の血糊を拭く。
「…
悪魔の光剣は魔力放出の量を調整すれば長さが増す事が出来ると判断する。
互いに歩み寄りながら悪魔は彼女に問いかけてくる。
「…お前は何者だ?ペンタグラムの一員ではないのか?」
日本語は分からないが何者なのか問いかけてると察してくれる。
両手が持ち上がっていき、左右の手の甲を交差させて左右の親指を用いたハンドサインを作る。
開いた指は翼を表し、親指が頭として表現された鳥の形であろう。
「
双頭の鷲とは鷲の紋章の一種であり、頭を二つ持つ鷲の紋章。
それはローマ帝国を現しているとされている。
ローマ帝国は鷲の紋章を使ったが、東西に分断されてからは双頭の鷲が紋章に用いられる。
ローマ帝国の後継者と示す紋章という意味合いが強いようだ。
「ダブルイーグル……双頭の鷲か」
「
「ハプスブルク?ローマ帝国のカエサルの末裔を自称し、ヨーロッパを支配した一族か?」
「
「…双頭の鷲作戦?聞いたことがあるな…」
双頭の鷲作戦とは仲間を善者と悪者に分け、悪者を倒すフリをしながらも内通する作戦内容だ。
英雄を演じながら敵とも内通して人々に自作自演の洗脳を施すマッチポンプとして有名である。
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「…よく分かったよ。お前はペンタグラムに送り込まれた…サイファーの工作員だな?」
双頭の鷲のジェスチャーサインと右手に見えるプロビデンスの目。
SNSを通じて政治、社会、さらには陰謀やオカルトの類にも目を向ける彼はよく知っている。
その二つが如何に悪名高いシンボルなのかを知る知恵を持っていた。
「…どうやら、ペンタグラム連中はとんでもない奴らに利用されているようだ」
ルイーザはポケットからスマホを取り出して操作し、スマホをかざすと端末から音声が流れる。
<<愛しい我らの悪魔よ。来てくれて嬉しく思う>>
どうやら日本語に変換した文字データを朗読アプリを用いて流しているようだ。
「フン、気を使わせたようだな」
彼女の目的を知るために悪魔は清聴していく。
朗読内容は以下の通りである。
我らイルミナティの神は貴方様の力を高く評価している。
悪魔の理想世界を築くために必要な力だと仰っている。
しかし我らイルミナティのシオン賢者達は、貴方様を疑っているのだ。
力と自由の体現者である悪魔が人間を守護する立場の行動をとる。
なぜ貴方様は人間という我ら悪魔の奴隷を守る?
人間など地球牧場で飼育する食肉食料に過ぎないはず。
我ら悪魔は知恵による謀略と調略によって人々を嘘で支配し、利益を独占する。
世界中の女子供達を悪魔儀式の生贄とするのが何よりの喜びのはず。
そして純粋な戦いは悪魔にとって己を高める神聖な儀式。
己のため、目につく全てを望むまま虐殺する道こそが悪魔の道。
貴方様からは悪魔のあるべき姿を何も見出だせない。
だが神の言葉は我らには絶対、故に我らイルミナティは貴方様を試さなければならない。
新世界秩序を成し遂げる力となる者になりえるか見極めよう。
全ては我らに知恵と啓蒙を与えし光を司る神、ルシファー様のために。
最後に、我らイルミナティの当主が貴方様に礼の言葉を贈りたいと言っておられた。
スイスで売ってくれた悪魔の宝石は闇の覇王に相応しき品。
我々一族を闇の覇王として導いてくれるだろう。
高貴な品をはした金で売ってくれた事を、心から感謝する。
「…なるほど。お前達は…ルシファーを崇拝する悪魔の子孫だったか」
日本語は分からずとも満足そうな表情をルイーザは見せてくる。
スマホを割れた窓から捨てながら右手のハンドサインを見せてくるのだ。
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人差し指と小指を立て、親指を中指と薬指の上に置く。
このサインはコルナサインと呼ばれており、イタリア語で角を意味する。
欧米ではサタニックサインとして扱われており、黒山羊の二本角を崇めるサイン。
それは悪魔崇拝を意味し、ルシファーを崇めるという意味合いがあったようだ。
「コルナサインか…。政治家共の写真でも、そのサインを見せる大統領が多いんだよな…」
いつの間にかルイーザの左手には魔法剣を収めた鞘が握られている。
体の前に鞘を水平にして構えながら右手で柄を持つ。
(剣の柄頭に描かれた紋章は……梟?)
イルミナティにとって梟は神聖なシンボル。
古代象形文字では梟は13を表し、ヒエログリフではアルファベットのMとして使われる。
ユダヤにとっても13は聖なる数字。
ユダヤ教徒の子供は13歳になった男児が成人男性と呼ばれるようになるようだ。
ダヴィンチの名画である最後の晩餐にもMが隠されていると伝わっている。
またフリーメイソンは
そして13番目の席に座った裏切りの弟子、イスカリオテのユダを表す。
梟とは夜行性であり、首は360度回転する。
イルミナティは闇に隠れ、世界を監視するという意味でもシンボルとして使われたという。
知恵の鳥と呼ばれる梟は欧米において啓蒙を表す悪魔や魔女の象徴となった。
「どうやら…眼の前にいるのは魔法少女ではなく、俺と同じ悪魔のようだな」
ならばこれは悪魔同士の闘争であり、ボルテクス界での戦いと同じだと悪魔は理解する。
「やはり俺は…悪魔と戦う道からは逃れられない。どこの世界に流れつこうともな…」
悪魔の右手から光剣が放出し、眼前の悪魔少女も剣を鞘から抜きながら鞘を捨てる。
左手で刃をなぞり、白い光によって光熱の剣と化す。
互いの剣と剣が光の唸りを上げていく中、互いが構えるのだ。
「行くぞ悪魔…!!俺がお前に悪魔の戦いを教えてやる!!」
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――――――――――――――――――――――――――――――――
互いの袈裟斬りがぶつかり合い、光熱が弾け合い、火花が飛ぶ。
続く悪魔の右切り上げを逆袈裟で弾き、右薙を放出した光剣で受け止める。
反撃の唐竹割りに対して彼女は右斜め前にステップ移動で回避。
剣の鍔元で受け止め、そのまま刃を悪魔の顔に返すはたき斬りを放つ。
「チッ!!」
頭部に迫る一撃を身を屈めて回避して体勢をねじり、低い位置からの後ろ回し蹴り。
彼女は右肘で蹴り足を打ち返し袈裟斬りを放つが左手の光剣で弾く。
右足を踏み込み、右手は垂直にみぞおちに向けてくる。
「ガッ!!?」
ワンインチ距離で放たれた悪魔の一撃によって彼女の体が弾き飛ばされながら倒れ込む。
伸ばされた右手は拳が固められており、密着状態で突きを放つ。
神浜で出会えたマスターの技、寸勁突きが炸裂するのだ。
「ガハッ!ゴホッ!!…
「前回の俺と同じだと考えているのなら、死ぬだけだ」
心静かに、思考は水の如く。
どんな形にも流れるように変化する柔軟な技術。
武道の世界で言う明鏡止水にまで悪魔は達している。
その領域に尚紀は近づきつつあった。
「
離れた場所で立ち上がる彼女に対して長さが伸びた光剣が迫る。
「
逆手に持つ魔法剣で左切り上げで弾く。
逆手に光剣を持った状態で逆袈裟、袈裟斬りと振るい続けて連続斬りを弾いてくる。
持ち手の柄を回転させながら両手で握る逆袈裟で悪魔の連続斬りを捌ききったようだ。
「…
「お前を殺す者を褒めてどうする?」
「
霞の構えを悪魔に向けながら周囲に魔力で生み出された魔力の光剣を無数に浮かべてくる。
「
――
浮遊する魔力の剣を発射した彼女は同時に駆け抜けてくる。
「
――
飛来する魔剣の矢を左右の光剣で弾く。
左右の光剣をクロスさせ、ルイーザが放つ唐竹割りを両剣で大きく払い込みながら弾く。
右足を彼女に踏み込み、背中側を相手に打ち込むタックルを放つ。
「
鉄山靠の背面打撃を食らった彼女が大きく弾き飛ばされていく。
空中で体勢を回転させながら握る魔剣を地面に突き立て、切断しながら勢いを殺して着地する。
「…
魔剣を突き立てた地面が光り出し、六芒星の魔法陣が出現する。
「この期に及んで、まだ何かを隠し持っていたか」
線と線が繋がる12の部分が球状の光を放つ。
そこから出現していくのは彼女が持つ魔剣と同じ魔法剣。
12本の魔法剣が浮遊しながら彼女の周りを回転していく。
背中に魔法剣が集積し、左右に6本ずつ浮かび上がる光景は剣の翼のようにも見える。
「
彼女の右手に持たれた魔法剣も合わせれば13本の魔剣を所有するように映るだろう。
彼女がユダヤ神聖数字を崇めているのが形になった固有武器なのだ。
「
――
「
左手を前にかざすと背中の剣が光の光熱を刀身に纏う。
意志が宿ったかのように背中から射出されていき、無数の斬撃を繰り出す。
「来いッ!!」
左右の手から光剣を放出して悪魔は迎え討つ。
唐竹・袈裟斬り・逆袈裟・右薙・左薙・右切上・左切上・逆風・刺突。
全ての斬撃箇所を狙い打つかの如き苛烈な連続剣舞。
左右の光剣を高速で振るいながら魔剣を叩き落としていく。
しかし叩き落とした魔剣が浮遊して再び襲いかかってくるのだろう。
「かつての世界でも…これ程の斬撃の嵐を受けた事はなかった!!」
防戦一方となっていく悪魔の姿だったが戦う相手の異常に気が付いてしまう。
(何だ…!?)
目の前のルイーザの異変に気がつくとかざしている左手が震えているのだ。
「…フフ…ハハハ…ハハハハハハハハハ!!!」
何が可笑しいのか、彼女は突然大声で笑い出す。
(気でも触れたのか?全身まで震えてやがる…)
足の震えによって彼女は力が入らずに跪き、操っていた魔剣が次々と床に落ちていく。
「ハハハハハ!!ヒャハハハハ!!!」
狂ったように笑い続ける彼女の姿であるが笑いが収まっていく。
「ハハハ…
これは
治療不能とされる神経の変性をもたらす伝達性海綿状脳症の一種であり人のプリオンが原因。
感染原はフォレ族の葬儀である食人習慣が指摘されている。
クール-は恐怖に震えるを意味し、病的な笑い症状が出る事から笑い病とも言われる。
症状は生理的なものと神経的なものが現れていき、最終的には死に至る。
罹患者は葬儀に際して人間を食した者であった。
「
「何の病気を患ってるのか知らないが…容赦はしない!!」
突然現れた勝機を見逃さず、勝負を仕掛けるために悪魔が駆け抜けていく。
「
震える手で魔剣を強く握り締めながらカニバル魔法少女も立ち上がっていく。
正眼の構えを行いながら悪魔を迎え討つ。
「「ハァァーーーッッ!!!」」
袈裟斬りを弾き、逆袈裟を弾き、唐竹を受け止める。
回転した右薙を受け止め、右切り上げがぶつかっていく。
「うおおおーーーッ!!!」
唐竹割りを受け止め、悪魔が放つ左薙を身を屈めて掻い潜る体勢のまま体を回転させる。
袈裟斬りを放つ彼女の手首を左手首で制しながら右アッパーカットを打ち込む。
「
顎を打ち抜かれた彼女が大きく仰け反る。
胴体を真っ二つにする刃が迫る中、蹴りを悪魔の腹部に放つ。
「くっ!!」
互いが離れて息を切らせながら睨み合う中、勝負をつけようとするだろう。
「ハァ…ハァ…次の一手で決まるな」
「
「命乞いか?」
「
「ハルマゲドン…最終戦争のことか?」
「
「ユートピアだと……?」
「
「悪魔のユートピアって意味か…」
「
「二人の…悪魔?」
「
「ハルマゲドンの勝利…悪魔達の世界だと?」
「
「黒銀……庭?」
「
「イルミナティは…何を俺たち悪魔に求めてる!?答えろぉ!!」
「
鈍化した世界。
砕けたガラスを踏みしめながら迫る二人の姿。
放出される悪魔の光剣、彼女に握られた魔剣が光の唸り声を上げていく。
刹那、互いが背を向け合う形で剣と剣と振り抜き終える。
袈裟斬りを放ったルイーザと左右薙を同時に放った悪魔は互いに静止している。
すると何かが転がる音が響き、彼女の魔剣が落ちる音だと分かるであろう。
胴体が真横に向けて光熱で溶断された痕が刻まれているのだから。
「ニュー…ワールド……オーダーァァーーッッ!!!」
ルイーザは前に倒れ込み、胴体が切断されて臓腑をぶち撒けた後に動かなくなる。
彼女を見下ろしながら右手の指を鳴らすとソウルジェムごと業火で焼き尽くされていく。
ソウルジェムは砕け散り、残った遺体も完全に焼き尽くされたようだ。
「イルミナティ…ニューワールドオーダー…ハルマゲドン…二人の悪魔…黒銀の庭?」
ルシファーを光の神と崇めるイルミナティ。
そしてアジェンダ21、人口削減計画。
「このペンタグラムの騒乱も…それに繋がる道の一つに過ぎないのか…?」
考えを巡らせていた時、増援部隊の叫び声が聞こえてくる。
「
東棟入り口で待ち構えているのは海兵隊の隊員達。
東棟に集中していた兵力を50階に集中させ、兵力を固めてきたようだ。
「…考えている暇はなさそうだな」
集中砲火を放つ敵軍に対して腕で顔を多いながら突撃していく。
「全てはペンタグラムとの決着をつけてから考えるべきこと…」
――後は、復讐の始まりを俺に与えた連中だけだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
東京ディズニーランドのある千葉県浦安市港。
夕日の見える東屋からメガフロート都市を見つめる二人の人影が見えるはず。
1人はサイファー。
もう1人はルイーザ。
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「…
「
「
「
「
静かに事の顛末を見届ける存在達であるがオリジナルのルイーザの拳は震えている。
「…
「……………」
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「
「
そう問われると苦虫を噛み潰したような表情をした顔つきを浮かべてくる。
クローンとはいえ自分自身が負けたような気分となり、プライドが傷ついたようだ。
「
「…
(再戦を望む彼女にプレゼントを用意しなければな)
サイファーは日本でとある品を見つけている。
太古の昔、西の神々が邪教の秘術を持ち出して行方知れずとなってしまっていた秘術である。
(あの施設があれば…悪魔の血が薄まった彼女にも…悪魔の力を与えられる)
フードの奥から僅かに見える口元が邪悪に歪む。
「さぁ…最後の仕上げた。見届けようじゃないか」
ついにペンタグラムの死闘も最終ステージへと向かう。
ペンタグラム最強の魔法少女を相手に悪魔は勝てるのか?
そしてイルミナティの目的とは?
悪魔の運命は次のステージへと向かおうとしていくのであった。
読んで頂き、有難うございます。