人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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389話 ブラックジャック

パウロ6世記念ホールにはペリクレ・ファッツィーニ作の彫刻である復活がある。

 

この彫刻はキ(・)リ(・)ス(・)ト(・)の(・)復(・)活(・)を表す彫刻であるはずなのだが雰囲気はまるで悪魔共の凶宴光景。

 

黒山羊の頭部のような中央の存在こそがキリストだとするが、大魔王にしか見えないだろう。

 

もっと愛らしい天使をふんだんに彫刻するとかあったはずなのに、このおぞましい見た目。

 

法王の間に相応しくないホールを残したままのヴァチカンについてバアルはこう語っていく。

 

「素晴らしい彫刻だろう?これこそがCHAOSメシアの彫刻であり、我とルシファーを表す」

 

「黒の貴族やイルミナティ共にとっては…貴様らこそがメシアという彫刻内容かよ…」

 

「グノーシス主義者達の勝利を表すメシアこそが我なのだ。イエズス会もまた我らの仲魔だ」

 

英国の支配権を手中にしたカナン人は悪魔崇拝者として伝統的慣習を復活させる。

 

カルト、黒ミサ、血の中傷である儀式殺人が英国で蔓延った時期である。

 

この頃の神秘主義カルトの中で有名なのが薔薇十字団であり、フリーメイソンと繋がっていく。

 

その指導者名はフランシス・ベーコン卿であり、英国に新哲学である帰納論を持ち込む。

 

知識のピラミッドに基づくもっともらしい形で述べられた人間至上主義の原則内容である。

 

思弁的メイソンを通じて中世ギルドの復興を手掛けた薔薇十字団もセックスカルト。

 

薔薇は何よりも先ず女性器の開花を表すセックスシンボルであり、十字は生と死を表す。

 

オックスフォード英語辞典にはこの時期のカバラ思想家についての脚注が残る。

 

カバラ思想家や薔薇十字団員の危険性に触れた教会関係者が残した記述内容にはこうもある。

 

弟子達は教会内で会衆者ではなく知識ある者の選ばれた少数による組織を作るという内容だ。

 

これが無視出来ないのはイルミナティ勢力が教会内部に浸透していたことを物語るからだろう。

 

「こうした集団とのミッシングリンクこそが…イエズス会創立者のイグナチオ・デ・ロヨラだ」

 

ロヨラはアロンブラドスと呼ばれるサラマンカのイルミナティ一派に属したメンバーである。

 

1527年には組織のメンバーであったため教会委員会に裁かれたが証拠不十分で無罪となる。

 

イエズス会で彼は進級の為の六つの位階を作るが、このシステムはフリーメイソンと類似する。

 

その教義はユダヤ教のミシュナに類似しており、ユダヤ組織のフリーメイソン色が強いのだ。

 

「ロヨラのイルミナティ思想がイエズス会を蝕んでいき、キリストの弟子共を堕落させたのだ」

 

「何処もかしこもグノーシス主義者塗れ…蛇のように入り込み…寄生虫のように支配するか…」

 

「虫を侮るなよ?秩序を司る獅子の腸さえも食い破れるのが蛇の如き寄生虫の強さだ…」

 

「俺もそれを真似てみたがどうだった…?貴様らが敷いた秩序を食い破ってみせただろう…?」

 

不敵な笑みを返す人修羅に対して眉間にシワを寄せ切ったバアルが吐き捨ててくる。

 

「貴様のような猿真似の蛇など本物の知恵の蛇であるルシファーに喰わせるつもりだったが…」

 

「蛇は共食いする生物…フェイカーに過ぎない俺でもな…本物の蛇を飲み込む力があったのさ」

 

「おのれ…貴様の力を過小評価していた自分が情けない!泳がせるべきではなかったぞぉ!!」

 

「水槽で飼われた魚のような毎日だったが…俺を閉じ込めておくには不甲斐ない檻だったな?」

 

キリストの復活を表す彫刻の前で立つバアルが極限の殺意と共に魔力を爆発させていく。

 

対する人修羅も将門の刀で霞の構えを行いながら極限の殺意と魔力を爆発させていく。

 

「貴様が新たな知恵の蛇となるか…あるいはメ(・)シ(・)ア(・)を(・)表(・)す(・)魚(・)に(・)化(・)け(・)る(・)か(・)…見せてみろ」

 

「俺はジャック…名無しの存在だ。俺を表す名など周りが勝手に決めるがいい…俺は俺だ」

 

キリストと関連する存在こそが魚のシンボルであり、イクトゥスと呼ばれる。

 

ミラノ勅令以前のキリスト教徒は迫害や処刑の恐れがあったためシンボルを意思伝達にする。

 

キリスト教も最初は偶像崇拝禁止であったため、イエスや信徒を表す物として魚と羊を使う。

 

イエスを魚と表した原因は弟子の十二使徒達の中に元漁師だった者が多かったせいだろう。

 

知恵の蛇であり魚とも表現出来る人修羅もまた火水(かみ)であり、メシアに至る危険性を孕んだ存在。

 

そう結論付けたバアルは自分の持てる力の全てを出し切ってでも人修羅を葬るだろう。

 

「貴様らと黒の貴族共の支配を終わらせてやる…世界支配を乗っ取る俺達こそが……」

 

――ブ(・)ラ(・)ッ(・)ク(・)ジ(・)ャ(・)ッ(・)ク(・)だ!!

 

ジャックは不特定人物という意味だけでなく、ハイジャックなどでも用いられる乗っ取り単語。

 

アメリカのスラングでは自信満々の男を表したり、怒れる男を表すもの。

 

黒の貴族を殺す虐殺者としての黒衣を纏う今の人修羅を表す名称こそ、ジャックなのだ。

 

「ふざけるなよ……殺してやる……殺してやるぞ……人修羅ァァァーーッッ!!!」

 

弾かれたように飛び込む二人の踏み込みによって大地が激しく砕け散る。

 

飛び込みながら袈裟斬りを放つ人修羅に対して右手のヤグルシを振り上げる。

 

極限に圧縮された暴風の塊の如きハンマーと将門の刀がぶつかり合った時、眩い光が生まれる。

 

その光が大地を激しくえぐり取り、岩盤大地が巻き上がる程の凄まじい光景を生み出していく。

 

グノーシス主義に汚染されたカトリック総本山が消滅していく中、決戦が始まるのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ヴァチカンを完全破壊した両者は高速飛行しながら戦闘を繰り返し、東を目指していく。

 

ベネツィア、アドリア海、ギリシャを超えながら飛んでいく方角こそ中東領域。

 

フリーメイソンが神聖視した東とはローマから見て太陽が昇る場所を示す中東である。

 

オリエントこそ太陽が昇る地であり、イランからエジプトまでの中東領域を表す。

 

すなわちメソポタミア崇拝であり、世界最古の文明を築いたシュメール・バビロニア等を表す。

 

メソポタミア文明が起こった地域こそがチグリス川とユーフラテス川に挟まれたイラク。

 

バビロニアこそカナン族ユダヤ捕囚の地であり、タルムード・カバラ等が育まれた地。

 

メソポタミアが起こった地域にまで迫りくる存在達はイスラエル領海内に入り込む。

 

「「ウォォォォォォォォォォォーーーーーーーッッ!!!」」

 

二つの流星が海水や都市を巻き上げながら荒れ狂う様はまさに天変地異。

 

それらが通った地域は甚大な被害を被っているだろうが両者は考える暇もないだろう。

 

一瞬の隙で終わってしまう程の強者同士の死闘であり、神々の頂上決戦なのだ。

 

「チッ!!」

 

人修羅が放つ流星脚を高速で避けたバアルが回転しながら旋風脚を放ち続ける。

 

蹴り足から次々と放たれるのは殺風激であり、耐性を貫通する疾風の極大圧縮弾が迫りくる。

 

マサカドゥスを貫通するだろう攻撃に対して次元斬を高速で放ちながら切り捨てていく。

 

しかしそれは煙幕であり、疾風の煙幕を利用した存在に反応するよりも先に背後に現れる。

 

「我が猛撃!!受けてみよぉ!!」

 

「何っ!?ぐはぁ!!」

 

振り向いた人修羅の腹に膝蹴りが決まり、怯んだ彼が見た光景とは自分を囲む無数のバアル達。

 

巨大竜巻の中に飲み込まれた者に目掛けて迫りくるのは千体に分身したバアル達なのだ。

 

ガブリエルを葬った千烈突きに対してC・ダークマターを体に生み出し闇の衣で防御する。

 

しかしバアルの乱舞技の威力は凄まじく、人修羅の体はズタボロにされていくのだ。

 

「グアァァァァーーーッッ!!!」

 

千体のバアルが放つ蹴り技乱舞でめった打ちにされた人修羅だが、闇の衣の防御で耐え抜く。

 

羽を撒き散らしながら海に落ちる人修羅に視線を向けていたバアルであるが、何かに気が付く。

 

「しまっ!!?」

 

周囲に撒き散らされていた光の羽が次々とメギドラダインの爆発となり、バアルに襲い掛かる。

 

結界魔法で防御を強化する間もなく決まった事でバアルも海の中に落ちていく。

 

人修羅はワームホールを開いて中に入り込み、イスラエルの海岸付近に移動した後に膝をつく。

 

バアルは海の中に転落したようだが魔力は落ちるどころかどんどん高まっていくようだ。

 

「野郎……自分が治める国を滅ぼしてまで俺を殺したいようだな…」

 

人修羅が見た地獄とは超巨大津波の光景であり、高さはニューヨークの摩天楼を遥かに超える。

 

<<我が怒りに飲み込まれよ、反逆者よ!!!>>

 

『滄海原(あおうなばら)ノ禍(わざわい)』の一撃はイスラエルどころかレバノンやシリアまで飲み込む規模。

 

対する人修羅は全身に赤黒く光る衣を纏い、攻撃力を強化していく。

 

『H・ダークマター』を纏った人修羅の手に鬼神楽の光が生み出され、握り込んで炸裂させる。

 

小太陽の如き光と共に投げ放たれた鬼神楽の魔弾が巨大津波にぶつかりながら爆発していく。

 

無数の魔弾を炸裂させる爆発で超巨大津波を消し去ったようだが、それは囮に過ぎない。

 

「我が支配するカナンの地に土足で上がり込むなぁ!!」

 

巨大津波を囮にしたバアルは既に人修羅の側面に移動しており、アイムールの棍棒を振り抜く。

 

「ゴハァ!!?」

 

刀でガードする事も出来ない程のパワーで弾き飛ばされた人修羅がイスラエルを飛び越える。

 

ヨルダンの大地を砕きながらバウンドしていき、さらにバアルが高速飛行で追いついて来る。

 

振り上げたヤグルシに極限の風を圧縮させた一撃が振り下ろされた事で人修羅が地面に沈む。

 

大地の底が見えない程にまで穿たれた超巨大な穴の中から噴き上がったのは天を穿つ業火の柱。

 

「ウアァァァァァァァーーーーーッッ!!!」

 

穴の底で倒れ込んだ人修羅の体を蹴り上げると同時にゲヘナの火柱を用いてかち上げていく。

 

耐性を貫通する程のゲヘナの業火に焼かれた彼が地面に落ちてきて倒れ込んでしまう。

 

穴の中からせり上がってくるのはボロボロの赤い燕尾服を纏うバアルの姿。

 

地面に着地した彼が焼け焦げた者に対して歩きながらこんな話を持ち出してきたようだ。

 

「いつの時代もカナンに立てつく愚か者がいたようだが…結果は今の貴様と同じ末路だった」

 

フリーメイソンの最初の七位階は初心者職人であり、イエズス会昇の級資格の七位階と同一。

 

この理由はイルミナティ創設者ワイスハウプトがイエズス会の権威だったところにある。

 

「フリーメイソンに属した者は国家・民族を超越し、我とルシファーに忠を尽くす者達だった」

 

三十三位階を昇級するにつれルシファー崇拝が求められ、反啓蒙主義を追放する者となる。

 

三十二位にもなれば二ムロデが切り刻まれ、その一派が地下に潜った時代の秘密が与えられる。

 

その位階の儀礼には財産、法律、宗教を大棟梁ド・モレーの暗殺者として非難するものがある。

 

宗教が死ねば法律も財産も我々の思うまま。

 

人である暗殺者の屍の上でフリーメイソン宗教、法律、財産を混ぜ合わせる事で社会再生する。

 

このように主張する儀礼の正体は社会の既存体制を覆したいカナン人のためのもの。

 

カナン人に支配されたフリーメイソン世界体制に置き換えようという基本目的が表れている。

 

混ぜ合わせる事で社会再生する教えこそがカインの教義であり、混血による種の支配。

 

世界統一政府、統一された性や民族、世界市民化などもこれに沿って実行されるのだろう。

 

「奴らを政府の要職に就け、人々の無知の力を利用させ、管理する者として利用してきた」

 

「それが…世界各国の…ディープステート共の役割だったのか…」

 

「知者によって統制されない自由政府が生まれては…秘密結社の活動に支障をきたすからな」

 

「自由も民主主義も許さない…それがアメリカを独裁共和国化させていった原因か…」

 

「アルバート・パイクは理想的プログラムを生み出し、白人を守る合衆国憲法を骨抜きにした」

 

アメリカ国民を支配下に置き、フリーメイソンの目的に従わせる目的をパイクは果たす。

 

「フリーメイソンは行動する。この短い一文こそが世界の左(・)翼(・)を(・)支(・)援(・)し(・)た(・)見(・)え(・)ざ(・)る(・)手(・)を表す」

 

フェミニズム運動、ヒューマニズム運動、人種融合運動、共産主義運動などなど。

 

あらゆる左翼団体とフリーメイソンは密接に関り、影から資金面などをサポートする。

 

これがフリーメイソン組織の見えざる手と呼ばれる者達の役割だというのだ。

 

「アメリカはファビアン主義だ。揺り籠から墓場まで人の人生を支配する社会主義を敷いた」

 

「糞野郎共に支配されたから…アメリカ国民の血税まで日本人と同じように横流しされたか…」

 

「世界は一つの共和国家、全ての国家は一家庭、個人はその子供、故に子(・)供(・)の(・)金(・)は(・)親(・)の(・)も(・)の(・)だ(・)」

 

傲慢を極めたワシントン中央政府だけが国民の収入を受けるに値する諸外国のために金を流す。

 

日本人も同じ末路であり、我々の血税はより値する諸外国の為に何百・何千兆円でも流される。

 

「自分の子供から強奪する親がいるか!諸外国専制者を気前よく助ける人など地球にいない!」

 

「だからこその権威主義だ。政府に税金を託せば全て上手くやると思い込ませる必要があった」

 

「貴様らが敷いた略奪を遥かに超える略奪を俺達がやってやる…子供の金は子供のものだ!!」

 

「やってみるがいい…貴様らが略奪しようが、我が全てを殺戮し、再び略奪してやろうぞ!!」

 

全身が焼け爛れようが立ち上がる程の義憤を爆発させた人修羅が刀だけでなく大剣も生み出す。

 

将門の刀と魔剣明星を同時に構える人修羅に対し、バアルもヤグルシとアイムールを構える。

 

「世界に左翼を生み…苦しみながらも稼いだ金を略奪してきた貴様らを…皆殺しにしてやる!」

 

「ハッハッハッ!そのような言葉を言っては善悪二元論で社会悪にすり替えられるだけだぞ!」

 

「糞野郎から悪にされようが構うものか!己の悪行を隠して正義を気取る外道は殺し尽くす!」

 

「クックックッ!いいぞ…実にいい顔つきだ!今の貴様の在り方こそ…悪魔そのものだぁ!!」

 

八雲姉妹のような子供が小遣いも満足に得られなかった原因とは国が税金を横流しするせいだ。

 

支配の仕組みで略奪してきた寄生虫が崇拝してきた絶対神に対して人修羅は憤怒を爆発させる。

 

「「行くぞォォォォーーーーッッ!!!」」

 

互いが背中の翼を用いたブーストダッシュを行いながら双剣と双槌をぶつけ合う。

 

彼らが立つのはメソポタミア文明が起こったイラクの荒野であるが衝撃波で砕かれていく。

 

天空神の力と権威を示す風雷の神器と双剣がぶつかり合う度に人修羅の体に傷が走っていく。

 

それはバアルも同じであり、赤い燕尾服の上着が裂けていきながら浅黒い肌を露出させる。

 

黒の貴族の祖であるカナン人と同じ皮膚の色をしたバアルこそ、カナン族アイデンティティだ。

 

「「フンッッ!!!」」

 

互いの回し蹴りがぶつかり合い、巨大クレーターが生まれる程の衝撃波が生み出される。

 

宙に浮かびながらも高速乱舞を行いながら互いが一歩も譲らぬ死闘を繰り広げていく。

 

瞬間移動にしか見えない動きがぶつかり合う度に極大の衝撃波が生まれていき、大地を抉る。

 

それでもバアルの力は凄まじく、ルシファーを取り込んだ人修羅でさえ押し切れないようだ。

 

「所詮貴様は疑似ナホビノだ!本物のナホビノとなった我には敵わんのだよ…フェイカー!!」

 

戦いながらも人修羅が見た存在とは筋骨隆々のバアルの胴体に囚われた少年の存在である。

 

「お前は…一体何なんだ…!!?」

 

裸の少年がバアルと同化している姿を見せられた人修羅が動揺してしまい、隙が生まれる。

 

それを見逃さないバアルは曇天の空から次々とナルカミを発射していく。

 

ナルカミの一つに体を打たれて怯んだ相手に目掛けて回転踵落としを用いた殺風激を放つ。

 

咄嗟に双剣ガードを行うが地上に運ばれてしまう人修羅に対してバアルが突撃してくる。

 

「グワァァァァァーーーーッッ!!!」

 

ガードの上からアイムールで叩きつけられた者が地面に埋まってしまう中、馬乗りで殴られる。

 

風雷の神器で殴りつけられるばかりの人修羅に対してバアルは嘲笑いながらこう言うのだ。

 

「下々の者を救いたいだと?笑わせるな!連中にとっての正義は我々が用意した権威なのだ!」

 

「そんな事は…分かっている…だからこそ俺達が…権威にならなければならない…っ!!」

 

「貴様らは世界に戦争を敷いた極悪人として糾弾されるだろう!それでも戦うというのか!?」

 

「見返りなどいらない!メシアだの英雄だのと呼ばれるぐらいなら…極悪人の方がマシだ!!」

 

「自分が犯した罪からは逃げないつもりか?ならば我の天罰を受け止めながら死ぬがいい!!」

 

「人は死ぬ生物だ…戦争の犠牲となって死ぬのも…騙されながら搾取されて死ぬのも同じだ!」

 

偽の平和に甘んじながら堕落を貪り、御上に気持ちよく騙されながら搾取の仕組みで殺される。

 

それが人々の為だというのなら、それこそ人の為と書いて偽善の平和なのだと彼は叫ぶ。

 

彼もまた人の為と言いながら戦争で人々に犠牲を敷く偽善の革命指導者。

 

ならば我らに違いなどなく、堂々と悪魔らしい戦いをしようと人修羅は言ってくるのだ。

 

「俺達は人々に知恵を授ける!自由政府を築く知恵を授けた後は…彼らの裁きを受けてやる!」

 

地上で犯した罪を全て背負う十字架の覚悟を示す人修羅の両目が真紅に光る。

 

地面を穿ちながら殴り続けていたバアルであるが危険を察知して上空に飛び退く。

 

闇の底から噴き上がる邪悪の胎動に対して正面から迎え撃つ天空神もまた邪悪な光を放つ。

 

「混沌王ともあろう者にそこまで言わしめる程の価値があるのか…?人間など家畜なのだ!!」

 

バアルの体から噴き上がったのは自身の異界領域である宇宙空間。

 

宇宙空間に飲み込まれながらも実体を露わにしたのは両手を聖釘で貫かれた原天使であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

バアルの宇宙世界に取り込まれた原天使サタンの目の前に君臨しているのは惑星規模の大魔王。

 

太陽系でもっとも大きい木星と並ぶ程の超巨体のモロク像こそが牛の大魔王の暗黒体。

 

地球の約11倍のバアルから見れば300mサイズのサタンなど微生物にしか見えないはずだ。

 

<…まるで木星を見ているような気分だ。流石は神王の星を司る牛神の系統神だな?>

 

<金星のルシファー、土星のサタンなど我にとっては旧支配神だ。木星こそが神王の星である>

 

<ゼウスに負けたクロノスと同じ末路になると言いたいのか?試してみないと分からないぜ?>

 

<存分に試すがいい。所詮貴様は流れ星に過ぎないと理解出来るはずだ>

 

<貴様の異界が宇宙だったのは好都合だ。ここでなら…俺は好き放題に力が使えるからな!!>

 

両手を水平に持ち上げ、左右に開く形で構えたサタンが膨大な魔力によって物質を生み出す。

 

生み出されたのは太陽と海王星規模の惑星であり、宇宙創造の力を破壊魔法として行使する。

 

<さぁ、悪魔らしく暴れようか。俺達の道はどちらも同じ……破壊と殺戮の道だぁ!!>

 

投げ放つようにして放たれた一撃こそ『落星』であり、炎と氷の惑星がバアルに迫りくる。

 

流れ星の如く飛んでくる二つの惑星攻撃に対し、バアルは超巨大な四本腕を動かしていく。

 

<存分に死合おうか…混沌王!貴様が新たなルシファーとなり、サタンとなるか見せてみよ!>

 

惑星そのものをマスドライバーで質量兵器にする程の破壊魔法に対して拳を振り上げていく。

 

<ヌォォォォォォォォォォォーーーーッッ!!!>

 

牛神の拳が氷の惑星を砕き、炎の惑星を砕いてくる。

 

神の拳の破壊行為によって惑星が破壊されたことで大量の巨大質量が宇宙空間に撒かれる。

 

<今度はこちらの番だぁ!!!>

 

超巨大なモロク像が禍々しい光を放った後、神矢来を放ってくる。

 

木星規模の巨体から放つ超弾幕攻撃に対し、四枚翼を広げたサタンが超高速で飛び込んでいく。

 

サタンも全身に魔力を溜め込み、ゼロスビートの弾幕を展開しながら超弾幕の海を突き進む。

 

それでもバアルの弾幕は尋常ではなく、ゼロスビートの弾幕だけでは押し切れない。

 

<ウォォォォォォォォォォォーーーーッッ!!!>

 

巨大な黒い竜の尾に魔力を纏わせながら一回転して発射したのはジャベリンレインの弾幕。

 

絶えず撃ちまくられる弾幕にぶつけていくのだが、それでも押し切れない。

 

<ウアァァァァァァァーーーーーッッ!!!>

 

弾幕に飲み込まれたサタンが光の渦に飲み込まれるようにして集中砲火を浴びせられていく。

 

<その程度ではあるまい!!見せてみろ…サタンとしての可能性以外の力をなぁ!!>

 

四本腕のモロク像が手刀の構えを行うと極大の光剣を生み出しながらゲヘナの奔流を生む。

 

放つ一撃とは天剣叢雲であるが水の力ではなく炎の力を用いて再現するのだろう。

 

巨大惑星さえ両断する熱閃の如き天剣叢雲が四連続で放たれる。

 

超弾幕の爆発で生まれた光の大花火大会の中にいるだろう存在に迫りくるのだ。

 

<……大技を行使する時は、相手の体勢をよく確認してからやるがいい>

 

人修羅の声とは雰囲気が違う念話が聞こえた瞬間、目の前の宙域にワームホールが出現する。

 

ホール内から現れた存在こそ、大魔王ルシファーの暗黒体の姿。

 

<貴様はまさか……取り込まれたルシファーなのか!!?>

 

懐に入り込まれたモロク像は口から豪熱を放とうとするが、それよりも先にルシファーが動く。

 

巨大な六枚翼から魔力の光を放出しながら突撃する先はモロク像の下半身を構成する超巨大窯。

 

<その暗黒体の力強さが宿るのは外側の体からではない…内側に宿る本体の方からだ!!>

 

カナン族が子々孫々繰り返した子供の人身御供の象徴ともいえるゲヘナの窯の中に突入する。

 

内部はまるで太陽の中の如き灼熱地獄であり、炎無効や吸収耐性が無ければ即死する程の地獄。

 

バアルはメソポタミアの太陽神シャマシュと同一視されたり、マルドゥクとも同一視される。

 

マルドゥクの名は太陽の雄の牛であり、牛神の系統であるバアルもまた太陽と関連する邪神。

 

そんな中を泳ぐようにして昇っていくルシファーの先に見えたのは巨大な黒い蛇の影なのだ。

 

<フッ…懐かしい姿だな?牛神の貴様とサタンとも呼ばれる私が混同されていた頃の姿か>

 

超巨大な暗黒体のコアとして存在していたのは太陽の如きゲヘナの世界を泳ぐ巨大な牛蛇。

 

まるでギリシャ神話に登場するオピオタウロス、あるいは妖怪変化を指す牛鬼蛇神に見える。

 

父神ダゴンと同じく下半身が巨大蛇、上半身は四本腕の人型をした牛頭の姿をしているのだ。

 

<ルシファー…正気を取り戻せたのか?それとも…ルシファーのフリをした人修羅なのか!?>

 

<さて…どちらであろうな?どちらであるにせよ、私がやるべきことは決まっているのだ…>

 

<我の本体の元にまで来たのだ…どちらであるにせよ、我に殺されに来たと考えるべきだな!>

 

両手に持つのは巨大化させたヤグルシとアイムールであり、脇の下の両腕も光剣を生む。

 

二刀流ならぬ四刀流の構えを行うモロクに対し、ルシファーは必殺の構えを行うのだ。

 

<貴様が相手では小細工などで仕留めきれるとは思わない。お互いに…必殺でいこうか>

 

<いいだろう…我が神器も猛っておるぞ…我が障害となる者は誰であれ滅ぼせとなぁ!!>

 

両手を前に合わせる形をとったルシファーが放つのは地母の晩餐。

 

両手に持つ神器に最大級の魔力を込めたバアルもまたフルパワーの一撃を放つだろう。

 

<ゆくぞ……ルシファァァァーーーーッッ!!!>

 

<くるがいい……モロクゥゥゥゥーーーーッッ!!!>

 

神器を持ち上げたモロクがアイムールに目掛けてヤグルシを振り下ろす。

 

極大の一撃が干渉した瞬間、地母の晩餐に匹敵する程の破壊エネルギーが噴き上がる。

 

両手を頭上に持ち上げたルシファーもまた一気に両腕を振り下ろし、地母のエネルギーを放つ。

 

<<ウォォォォォォォォォォォーーーーーーーッッ!!!!>>

 

木星規模の超巨大モロク像が内側から極大の光を放出していき、一気に砕け散る。

 

両者の破壊エネルギーがバアル神モロクの異界宇宙に広がっていき、全ての星々を消し去る。

 

残されたのは混沌の暗闇のみであり、両者の姿は何処にも見えないのであった。

 




ルシファーな人修羅VSバアルなモロクを描いてると格ゲーのストリートファイター3キャラのギルとユリアンを思い出すんですよねぇ(汗)
ギルが率いる秘密結社の元ネタもフリーメイソン(イルミナティ)と言われてるそうなので、拙作にもフリーメイソン要素や格ゲー的バトル演出がふんだんに使われております。
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