人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
この世界も暁美ほむらは同じ末路を迎えようとしている。
優しい両親と小さな弟、二人の親友にも恵まれた生活を送る鹿目まどかを救えない者となる。
4月も半ばを超え、桜も散った季節。
緑溢れる近代的な見滝原中学校には大勢の学生達が登校していく。
まどかはここで生活を送る女子中学生であり、暁美ほむらが転校してくる事となるだろう。
二人は保健室に向かう時、まどかは何処かであったかなと質問してくる。
目の色を変えて振り向くほむらの態度はまどかを知っている素振りであり、こう忠告してくる。
「家族や友達が大切なら、この先何が起ころうと、自分を変えようと思っては絶対に駄目」
ほむらが何者なのかは、この世界のまどかは分からない。
帰り道の時、まどかは不思議な声を感じてしまう。
鹿目まどかの残酷な運命が今、始まる瞬間を迎えるのだろう。
助けを求めるような声を聞いたまどかは改装も終えていない無人のビルに入っていく。
そこで見つけたのは傷ついた白い生き物。
そして魔法少女の姿をした暁美ほむら。
傷つける彼女を責める鹿目まどかだったのだが、ほむらは無視する態度を返す。
白い生き物にトドメをさそうとした時、親友の美樹さやかが現れてくれるのだ。
消化器噴射を用いて煙幕を張り、鹿目まどかと共に美樹さやかも逃げ出していく。
ほむらから逃げ惑う二人の姿は建物の奥に向かって進んでいく事になるだろう。
薔薇園の魔女に仕える使い魔達が潜んでいるとも二人は知らずに囚われてしまうのだ。
使い魔に襲われる二人の窮地を助けたのは魔法少女の巴マミ。
彼女に救われた二人は魔法少女についてマミから聞かされる事となっていく。
白い生物はキュウべぇだとマミから紹介され、キュウべぇはまどか達に顔を向けてこう言った。
「ボクと契約して、魔法少女になって欲しいんだ」
どんな願いでも契約すれば一つだけ願いを叶えてくれるという魅力的な提案をしてくる。
二人は驚きを示すが、マミが釘を差す。
「これは命がけの戦いなのよ」
魔法少女は希望を振りまく存在であり、魔女は反対に絶望を振りまく存在。
これは命がけの戦いをしている事は事実であったのだから警告されるのは自然な話。
契約するかどうか決心がつかない二人の姿に対してマミは提案をしてくる。
魔法少女を知る為の体験を共にしようという内容だったようだ。
二人の魔法少女候補生達はマミの後ろに続き、結界世界へと入っていく。
可愛く、美しく、そして力強く戦うマミの姿をまどか達は見守る事になるだろう。
モノを考える力のない子供達から見れば、まるでテレビ世界に映る変身ヒロインに見えてくる。
それでも可憐で愛らしい魔法少女の物語などではなかったようだ。
マミが言った言葉は事実なのだと、その身をもって示してくれる。
巴マミはお菓子の魔女との戦いの最中に
魔法少女の世界、それは命がけだという事をまどかは知った。
♦
見滝原を守る魔法少女はいなくなった。
魔女に襲われても誰も助けてはくれない状況であろう。
まどかは親友の志筑仁美が魔女の口づけで操られているのを見つけてしまう。
追いかけた際に魔女の結界に囚われて死を覚悟した瞬間、助けてくれたのはさやかである。
その姿は魔法少女になっており、マミの意思を継いでも後悔はないと気丈な姿を示すだろう。
殺し合いの世界で生きていく覚悟を決めた彼女の前に現れた魔法少女がいる。
それは風見野市から狩場を移そうとやってきた佐倉杏子。
グリーフシードを産まない使い魔を相手にするマミの意志を継いださやかを相手に不敵な笑み。
そんな正義の味方に対する杏子はこう告げるのだ。
「弱い人間を魔女が喰い、その魔女をあたし達が喰う」
正義の味方でありたい美樹さやかは激昂し、魔法少女同士の縄張りを巡る戦いが始まるのだ。
魔法少女社会とは互いに手を取り合い、助け合う事は出来ない事をまどかは知った。
♦
二人の殺し合いに割って入るほむらによって魔法少女の戦いは止められる。
しかし、ほむらと杏子は利益のみを求める価値観のためか後に二人は協力関係を結ぶ。
さやかと杏子の因縁は続いてゆき、ほむらはそれを止める事は出来ない。
何故さやかは願いを使ってまで殺し合いの世界に訪れたのか?
それは思いを寄せている幼馴染を救うためであり、上条恭介と呼ばれる少年を救うため。
しかし救われた彼はその事を知らない男。
救われた彼はヴァイオリンの世界に没頭し、彼女に振り向きもしない。
彼女の前に再び現れた杏子はこう告げるだろう。
「家に上がりこんで、手足を潰してもう一度モノにしてやれよ」
恭介を看病し、彼の苦悩の八つ当たりを浴びてきた美樹さやかに対する心無い言葉。
さやかが夢を掴む彼の手を、どれだけ大事だと思っているのか考えてもくれない。
激怒したさやかと煽る杏子。
二人は高速道路に架かる歩道橋の上で殺し合いを始めようとする。
再びほむらが割って入り、その場にまどかまで現れてしまう。
まどかは戦いを止める為に、あろうことかさやかのソウルジェムを奪う。
そして高速道路下に目掛けて投げ捨てた事でトラックの荷台にソウルジェムが落ちる。
ほむらは『時間停止』魔法を使って追いかけていく。
知らぬが故の悲劇は起こり、さやかの体は操り糸が切れたかのように倒れ込んで死んでしまう。
魔法少女の本体とはソウルジェムであり、ほむらはそれを知っていた者。
知らなかったのは他の三人だけであり、彼女のお陰でさやかのソウルジェムは取り戻される。
手元に戻すと再びさやかは息を吹き返してくれたようだ。
キュウべぇとの契約とは、少女達が石ころの姿に変えられてしまう事をまどかは知った。
♦
騙されたショックを隠せないさやかに対して彼女の元に三度杏子は現れる。
ショックを受けたせいなのか、気が変わったのか、杏子は殺し合う素振りは見せない。
さやかを風見野市に案内していき、廃墟となった我が家の教会につれていってくれる。
杏子は他人の為に願いを使った魔法少女がどんな末路を迎えたのかをさやかに語り出す。
彼女もまた他人のために願いを使った魔法少女。
そのせいで家族が崩壊し、自業自得の結末を迎えたのだと語ってくれたのだ。
魔法少女の希望とは、なんなのか?
それは
後悔する生き方をするなと杏子はさやかを諭す。
だが、その言葉は聞き入れてもらえなかった事でさやかは苦難の連続が始まるだろう。
退院した恭介を巡り、親友の志筑仁美は恋のライバルを宣言してくる。
恭介に対して告白をすると突然言い出してくるのだ。
日常とは別世界に来てしまったさやかは酷く動揺してしまう。
思い人にかつてのように触れ合う事すら許されない秘匿社会を生きる者こそ今の美樹さやか。
それなのに、さやかの都合も考えずに仁美は想い人を持っていこうとする。
さやかの友達でもある仁美は先に告白していいとさやかに対して言ってくれる。
誠意なのか悪意なのか分からない仁美の言葉に、どす黒い感情が湧いていってしまう。
仁美なんて助けなければ良かったと、一瞬でも思ってしまったようだ。
自分は見返りを求めない正義の味方ではなかったのか?
この矛盾によって、さやかの心は壊れていくだろう。
力量不足でありながらもグリーフシードを産まない使い魔との戦いは続く。
無駄な魔力を使い込んでいき、魔女と戦う為なら痛覚さえ捨て、捨て身の戦いを行っていく。
重症の傷を魔力回復で無理やり癒やし続けてしまう。
そんな戦い方をするのは間違いだと諭すのはまどかの姿。
親友を案じるまどかに対してやり場のない感情をさやかはぶつけてしまうのだ。
自己嫌悪に陥り、その魂を呪いで染めていく。
このままでは友達のさやかを救うためにまどかは契約してしまう。
そう判断した暁美ほむらは彼女を手榴弾で爆殺しようとするだろう。
しかし杏子が割って入り、多節鞭の如き槍によってほむらは拘束される事態となる。
逃げろと叫ぶ杏子の言葉に反応したさやかは事なきを得たようだ。
まどかはさやかを救う為にキュウべぇと契約しようとする。
しかし、突然キュウべぇの体が目の前で蜂の巣にされてしまう。
ほむらの時間停止魔法と銃撃の連鎖攻撃を浴びたのだ。
殺害を責めるまどかに対してほむらは涙を流していく。
自分を大事にしろと願いをぶつけるが、それでも彼女の願いはまどかには届かない。
さやかを救う為にまどかは去っていく中、銃殺された死体の近くに現れたのは同じキュウべぇ。
何もなかったかのようにして共食いを始めていくのだ。
愛らしい姿など欺瞞であり、少女達を絶望に染め上げる存在。
ほむらは吐き捨てるようにこう言うだろう、インキュベーターなのだと。
♦
さやかのソウルジェムは限界を迎えようとしている。
彷徨いながら辿り着いたのは電車の中。
正義のヒロインになれなかった情けなさと、ソウルジェムの秘密を知った絶望感。
その上で親友達に呪いをぶつけた自分への怒り。
正義のヒロインを目指した彼女はついに一線を超える時が訪れる。
目の前に見えたのは二人のホストであり、女性を玩具にして傷つけるクズ共の姿。
彼らの揶揄と嘲笑が聞こえてしまったさやかはホスト達に呪いの感情をぶつけてしまう。
魔女の結界のようなものにホスト達は飲み込まれてしまい、その後の行方は誰も知らない。
誰もいない見滝原駅ホームの中、独りで椅子に座るのは絶望を抱えた美樹さやか。
彼女の横に杏子が現れてくれたお陰で気にかけてくれる。
だが、彼女を見た杏子は戦慄するだろう。
全てを呪う濁りきった瞳を向けてくる者は何が大切で、何を守ろうとしてたかさえ分からない。
さやかは今更ながらにそれを理解出来た者となるだろう。
疑う事もせず、舞い上がっていただけの愚か者。
そんな自分に笑えたのか、最後の微笑みを杏子に向けながらこう呟くのだ。
「…あたしって、ほんとバカ」
魔法少女のソウルジェムは絶望に染まりながら砕けちっていく。
孵化して生み出されるのは人魚の魔女。
遠くで魔女化の光景を見つめていたキュウべぇは感慨もなく口を開きだす。
「成長途中の女の事を少女というのなら…やがて魔女になる存在達の事は…」
――魔法少女と呼ぶべきだ。
魔法少女が魔女になる現実に混乱する杏子。
現れたほむらは魔女と戦いもせず逃げる選択を選ぶ。
魔女に成り果て、抜け殻の遺体を抱きかかえたまま線路の道を歩く杏子達。
駅の線路内を歩いていたところにまどかも走って現れてしまったようだ。
杏子に抱えられているのは冷たい骸になった親友の姿。
泣き崩れてしまったまどかに対してほむらは冷酷な態度を見せる。
親友の末路がどうなったのかを語っていき、これが魔法少女の末路だと宣告してくる。
そんな冷酷な態度に激怒した杏子が胸ぐらを掴み上げてしまう。
まどかが魔法少女の存在を理解した方が良い。
ほむらはまどかしか優先してくれない。
誰かを救った分だけ、誰かを呪う。
魔女となる末路こそ魔法少女の正体である事を、まどかは泣きながら知った。
♦
まどかは自分の部屋で放心状態のまま虚ろな瞳をしていた時にインキュベーターが現れる。
なぜこんな事をするのかとまどかは問いかけてくるだろう。
すると、インキュベーターは自分達の目的を語ってくれるのだ。
全ては宇宙延命のため、エントロピーを超えるエネルギーを手に入れるため。
それがインキュベーターの使命であり、知的生命体のエネルギーを用いて宇宙を延命させる。
魔法少女の感情を熱エネルギーとして利用し、宇宙を温める。
効率がいいのは第二次性徴期の少女がもたらす希望と絶望の相転移。
インキュベーターは子供達を騙す事に対しては何も感じていない。
騙している事さえ理解しない。
認識の相違は人類とは埋められない程に高められたのだろう。
キュウべぇの存在とは、互いに理解し合えない関係である事をまどかは知った。
♦
さやかの死体をホテルに持ち帰ってしまったのは杏子である。
自分の魔力を用いて死体鮮度を保ち続けているようだ。
彼女は隣りにはインキュベーターの姿がいる。
さやかのソウルジェムを取り戻す方法はあるかと杏子は問いかけるはず。
自分は知らないが魔法少女は条理を覆す存在だと期待を持てるセリフで煽ってくる。
確証など得られないのに藁をも掴みたい杏子はその気になってしまうのだ。
まどかと接触した彼女は、さやかを助ける助力をして欲しいと嘆願してくる。
愛と勇気が勝利する漫画みたいな世界に憧れていた時期もあった事をまどかに伝えてしまう。
照れくさそうに語るが、それだけではない。
杏子が変われたのは、さやかとの出会いのお陰。
見返りさえ求めず使い魔達と戦う姿を見た事で昔を思い出せたようだ。
人魚の魔女結界に二人は入り込み、かつてさやかだった魔女と対峙していく。
まどかは親友の名を呼び続けるが人魚の魔女の巨大な手に拘束されてしまう。
魔女が魔法少女に戻る事など、そもそもありえない。
インキュベーターに騙されてしまった愚かな戦いでしかないのだろう。
杏子は薄々気がついていたようだが、まどかを巻き込んだ責任を背負うかのように戦い続ける。
全てを呪う魔女と成り果てたさやかの呪いを全身で受け止めていく。
さやかを一人ぼっちになんてさせたくなかった気持ちが傷だらけの彼女を奮い立たせていく。
それでも杏子の体を人魚の魔女の剣が貫いてしまう。
最後の力を振り絞り、まどかを掴む魔女の手を切断してくれる。
落下する彼女を抱きかかえたのはほむらの姿。
彼女にまどかを託し、杏子は最後の瞬間を迎える事となる。
さやかを独りぼっちになんてさせない、自分がずっと側にいてあげる。
杏子が最後に放った一撃とは、ソウルジェムの魔力を暴走させた自爆攻撃。
人魚の魔女は赤き魔法少女と共に消え去っていく。
その光景はまるで恋に生きた人魚と共に海の底に沈んでいくかのようであった。
♦
さやかの葬儀に出席するのは親友だったまどかの姿。
家に帰ったまどかは暗い一室で悲しみに悶えていく。
彼女の前に再びインキュベーターが訪れてくる。
お前のせいでみんな死んだとまどかは告げるだろう。
しかし、インキュベーターにとって魔法少女とは
共に消費を行う共栄関係だと言い放つ。
その論を証明する為にインキュベーターと人類が歩んできた歴史を彼女は見せられてしまう。
有史以前から地球に干渉し、数え切れない少女達が彼らと契約を交わした光景が見える。
希望を叶え、時に歴史を動かし、そして末路は絶望に身を委ねていった歴史であろう。
彼女達が滅んだのは自分自身の祈りのせいだという。
どんな希望も条理にそぐわない限り歪みをもたらし、災厄が生じるのが自然の摂理。
そもそも願い事をする事が間違いなのだとインキュベーターは告げてくるのだ。
過去に流された少女達の涙を糧にして人類は育てられていった歴史こそ、魔法少女の物語。
祈りから始まった魔法少女達は涙と呪いによって終わるのだとまどかは知った。
♦
まどかがほむらの家を訪れる。
彼女がこの世界に時間渡航して一ヶ月を迎えるだろう5月16日。
その日こそが見滝原市に現れるという大魔女ワルプルギスの夜が現れる日。
ワルプルギスの夜と一人で戦うのか、ほむらに質問する。
ワルプルギスの夜は他の魔女とは違う。
結界内に姿を隠す必要もなく、一度具現化すれば何千人もの人々が死ぬ。
だがその被害を人間達は魔女を観測する事は出来ない。
そのため自然災害として処理されていったようだ。
魔法少女になるとまどかは言いかけたが、ほむらはまどかを突き放す。
一人でも勝てると強がりを見せるのだが、まどかはそれを見破ってくる。
本当の言葉は、ほむらは伝えてくれない。
無力な自分に涙が溢れていく、まどかの姿だけが残される。
耐えきれなくなったのか、ほむらはまどかに抱きついてしまう。
ほむらはついに隠していた自分の真実の言葉を語ってくれるのだ。
暁美ほむらは
何度も鹿目まどかとの出会いを繰り返し、それと同じだけ彼女が死ぬのを見てきた人物。
どうすれば救えるか、その答えだけを探して何度も時間渡航をやり直してきた魔法少女。
溢れる感情が止められないせいで涙を流し続ける暁美ほむら。
気持ち悪いと思われても、ほむらは自分の本当の気持ちを伝えていく。
繰り返す度に、まどかとの時間はズレていく。
気持ちもズレて言葉も通じなくなっていく。
もうとっくに迷子になっていたのだろう。
まどかを救う、それが彼女の最初の気持ち。
それが今となっては、たった一つの道標なのだ。
「解らなくても…伝わらなくても…それでもどうか…私に貴女を守らせて」
これは鹿目まどかが
魔法少女達の為に何が出来るのかを示す主人公となるだろう物語。
そして暁美ほむらの旅が終わる最後の戦いが始まるだろう。
その中で語られていくのは彼女の物語の中では背景に過ぎない男の物語。
大災害に見舞われる見滝原で起こるもう一つの物語とは、街に訪れた人修羅の物語であった。
読んで頂き、有難うございます。