人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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94話 神浜の調整屋

9月に入り嘉嶋尚紀の新生活がスタートしたわけなのだが問題もあるだろう。

 

東京の豪邸で暮らしてきたニコラスも現在は神浜市の北養区に移り住んでいる。

 

40年間暮らした東京の豪邸は売りに出されたというわけだ。

 

したがってクリスの駐車場として利用する事はもう出来ない。

 

なので8月の多忙な時期と平行して彼自身も引っ越し先を準備しているようだ。

 

「東京近郊の引越し先は見つかったかニャ?」

 

「それなんだがな…逆転の発想を思いついた。神浜市で俺も暮らそうと思う」

 

「また思い切った事を考えたニャ…」

 

「東京から神浜に通勤するのは億劫よね~」

 

「神浜で生活を行いながらも、俺はクリスを運転して定期的に東京に向かうことにする」

 

「今まで通り、東京の守護者を続けていくのは変わらないというわけね」

 

「問題は神浜市の賃貸物件だニャ。新興都市とはいえ神浜の物価も高そうだニャ」

 

「車庫付きの空き家を買う」

 

「「はぁっ!!?」」

 

会話の流れ中に発せられた突然の爆弾発言に対して猫悪魔達はビックリしてしまう。

 

「山に面した北養区の中に2000年代に建てられたが売りに出された別荘の空き家がある」

 

「突然持ち家の話になるなんて…オイラぶったまげたニャ!」

 

「忘れてたわ…尚紀はお金持ちだったわね」

 

そんなわけで嘉嶋家の引っ越し計画も同時に始まるという多忙極まった8月時期。

 

神浜の不動産会社の審査も無事に通り、9月の始め頃には空き家の鍵も貰えたようだ。

 

9月最初の週末である土曜日。

 

東京都新宿区歌舞伎町2丁目のマンション18階では現在、引っ越し作業の真っ只中である。

 

「悪いなシュウ、手伝ってもらって」

 

「名残惜しいですが、尚紀さんの新しい生活拠点になる神浜市でのご健闘を願いますよ」

 

「俺は定期的に東京に帰るし、歌舞伎町で何かトラブルが起きたら遠慮なく俺に連絡してくれ」

 

「まだまだ便利屋の尚紀さんの世話になりそうです。なにせ歌舞伎町は眠らない街ですからね」

 

「確かにな」

 

ニャー(ここでの生活も今日で最後だニャ…なんだかセンチメンタルな気分になるニャ)

 

ニャー(あら?私なんて媚び売り拾われ生活長いし、新居に移るなんて気にしないわ)

 

荷物も全て引越し業者のトラックに積まれ、神浜市の新居に向かって発進していく。

 

尚紀達もクリスを運転しながら新居へと向かっていく。

 

神浜市北養区の山に面した住宅街の中でも周りに民家が少ない森に囲まれた空き家が目的地だ。

 

空き家の隣りにある大きなガレージにクリスを入れて停車させる。

 

車から出て来た尚紀は手動でシャッターを閉めて鍵をかける。

 

トラックの荷物は引っ越し業者に任せており、家電などが新しい新居に入れられていく。

 

家の中はダンボールだらけであり、彼が1人で整理整頓中だ。

 

猫である二匹は力仕事など出来ないので新しい新居を外で見物中となるだろう。

 

「思ったよりも大きいログハウス物件でたまげたのはいいんだけど…」

 

「森の中で放置された物件だものね…鬱蒼とした場所過ぎるわ」

 

草が山のように生えた庭によって森と一体化しているように見えてしまう。

 

庭の草刈りなど出来ない猫達は家の中へ入っていくと目が見開いていく。

 

「まぁ!外の鬱蒼さとは変わって、中は意外と洗練されてるわね!カフェみたい!」

 

「見るにゃ!ウッドデッキもあるニャ!暖炉もあるニャ!」

 

「部屋も沢山あるわ!これなら尚紀だけでなく、あと3~4人は暮らせそうよね!」

 

「どうしてこんな物件購入したんだニャ?維持費だって稼ぎと比べたらオーバーキルだニャ」

 

スイス銀行の預金に手を回してでも家を購入して維持しようと決めたのには理由がある。

 

「いつか…あいつらとまた出会えるような気がしてな」

 

「あいつらって?」

 

「かつての世界で共に死地を超え、最後まで俺についてきてくれた…俺の最高の仲魔達さ」

 

この世界でもボルテクス界のように悪魔が存在しているのなら、また再会する事が出来る。

 

そんな願いがこもった家であり、感傷に浸っていると玄関のチャイムが鳴り響く。

 

「誰だ?引っ越し早々に訪問販売員でも押しかけてきたのか?」

 

玄関のドアを開けると、そこには訪問販売員よりも見たくなかった顔ぶれが揃う。

 

「お…お前ら……」

 

招かれざる客とは時女一族の面々であり、にこやかな顔をした静香が挨拶してくる。

 

「こんにちわ~嘉嶋さん!素敵な家をご購入されたみたいだから、作業の手伝いに来ました!」

 

静香が元気に挨拶し、尚紀も元気に扉を閉める。

 

「あーっ!!なんで閉めるんですかー!?」

 

「そうだよぉ!私達は休日だけど手伝いに来たのにぃ!!」

 

<<頼んでない!!どうやって俺が今日こっちに来るって判った!?>>

 

「神浜の不動産会社に嘉嶋さんが訪れていたのを私が見つけまして」

 

「時女一族の中には空から偵察出来る固有魔法が使える子もいるんだよぉ」

 

<<帰れストーカー共!手伝いなんて要らないし、ましてや後をつけ回す連中なら尚更だ!>>

 

「やり方に問題があったのは謝ります!私達は尚紀さんのお役に立ちたくて…」

 

<<どうせ点数稼ぎだろ!いいから帰れよ!!>>

 

玄関扉の向こうでは諦めない静香達の声が響き続ける中、悪魔達が向かい合う。

 

「あれが尚紀が話していた、ヤタガラスのお姉ちゃん達なのかニャ?」

 

「そうだ。俺をこの国の生き神に祭り上げようと企んでる…ろくでなし共だ」

 

「そう頑なにならなくてもいいじゃない?無料でコキつかえる連中が来たんだし」

 

「あいつらにいい顔しても、つけあがるだけだ」

 

「たしか南凪港で助けてもらったって言ってたニャ。それを無下に扱うのは可哀想だニャ」

 

「それは……」

 

「あの子達はヤタガラスと関わる存在だし、かつての仲魔と通じていれば出会える事もあるわ」

 

ネコマタとケットシーの説得に折れたのか、玄関の扉を渋々開ける。

 

「わーっ!凄い立派な家だよぉ!暖炉がある!カフェみたいなリビング!ウッドデッキー!」

 

「騒ぐなってちはる。それと静香、この街で俺を最初につけ回していた奴らもいるようだが?」

 

眉をひそめた顔を向ける先にいるのは神浜市に来た頃、後ろをつけ回していた人物達であろう。

 

「手厳しいねぇ。その筋は申し訳ない、尚紀」

 

「謝って済ませちまうもんなのか?つけ回しておいて?」

 

「罪は罪として認めて謝るからさ、静香の人間性まで否定するのはやめた方がいい」

 

「何でだよ?」

 

「お釈迦様のバチが当たるからさ」

 

(初対面なのに馴れ馴れしい仏教女だな…)

 

「紹介します。時女一族の分家筋である南津涼子と青葉ちか…あれ?ちかは?」

 

キョロキョロと辺りを見回していると、家の奥から少女達の声が聞こえてくる。

 

<<うわーっ!木の匂いに包まれてる!この家は凄く癒やされるーッ!>>

 

<<これ尚紀さんの衣服や下着が纏めてあるダンボールかな?>>

 

<<コラ、ちゃるってば!!男の人のそういうのを触っていいのは恋人か奥さんだけよ!>>

 

「……………」

 

指をポキポキ鳴らして不穏な空気を出し始める家主に対して嫌な汗が吹き出す静香。

 

「あ…あはっ…その、皆いい子達ですからね…嘉嶋さん?」

 

なし崩し的に時女一族という便利屋が現れてくれたお陰で家の片づけ作業も捗っていく。

 

思ったよりも早く草刈りや整理整頓を終わらせる事が出来たようだ。

 

すなおは麓まで買い出しに行ってくれている。

 

料理を作る為の台所用品すら独身の尚紀は用意していなかったせいだろう。

 

日も沈み始めた頃。

 

リビングにあった大きな長机には、すなおが作った料理が並べられ夕餉を飾ってくれる。

 

「もー嘉嶋さん、調理道具や調味料が殆どありませんでしたよ?私が買っておきましたからね」

 

「金は後で払うが俺は手料理を作れないし…猫に小判だ。外食かインスタントで十分だろ?」

 

「尚紀さん…不健康な食生活してるよぉ」

 

「独身男性らしいというか…なんなら、私が料理を教えましょうか?」

 

「遠慮する」

 

ニャー(オッパイ大きいお姉ちゃんの言う通りだニャ!自炊ぐらい覚えるニャ!)

 

ニャー(素朴な田舎料理って意外と美味しいわね!尚紀も習ったら?)

 

<お前達は食うだけの気楽な猫でいいよな>

 

静香達に悟られないよう念話のやり取りを繰り返す悪魔達。

 

そんなやり取りが気になったのか、青葉ちかが声をかけてくる。

 

「暖炉用の薪を割っておきましたよ、尚紀さん。こう見えて私、薪割りは得意です」

 

「ちかだったか?庭で大きな片手斧を使ってたが…木や自然に囲まれた生活が好きなのか?」

 

「私はこの近くの山奥で自然に囲まれた生活を営みながら、ネイチャーガイドもしています」

 

「自然を愛するのはいいことだ。自然の世界にこそ神々の世界がある」

 

「尚紀さんは信心深いんですね?私も神道派なので、自然の世界に神様を感じてます」

 

「薪割りか…新しい家に暖炉もあるし、コツをいつか教えてくれ」

 

親睦も兼ねた談笑を続けていくが、静香が顔を向けて質問してくる。

 

「そういえば、嘉嶋さんは神浜の魔法少女達が魔法を使うところを見た事がありますか?」

 

「どういう意味だよ?」

 

「私達魔法少女は素質が優れた者の中に属性魔法と呼ばれる力を発揮出来る者がいます」

 

尚紀の脳裏に浮かぶのは杏子とチェンシーの姿である。

 

彼女達からその身に浴びた炎と雷の属性魔法の痛みが蘇ってくる。

 

「この街の魔法少女達は、その素質が優れた者しか使えないという魔法が使えるのか?」

 

「私も霧峰村から出たことがなかったので、ビックリしました」

 

「あたしも初めて見た時はたまげたよ。なんせ神浜の魔法少女達はね…」

 

――全員、何かしらの属性魔法を引き出してやがるイカれっぷりさ。

 

東京の魔法少女社会では見かけなかった現象を聞かされた尚紀も腕を組んで考え込む。

 

「何か…秘密がありそうだな」

 

「あたしは神浜の近郊にある寺で暮らしてきて、今は神浜の南凪自由学園に通ってる」

 

「この街に引っ越してきていたのか?」

 

「だから地理的に神浜を探る事が出来る立場のあたしがね、その秘密を調べたんだよ」

 

「何か分かったのか?」

 

「どうもね、神浜の魔法少女達は怪しげな店を利用しているようだ…」

 

「怪しげな店?店の名前は?」

 

「新西区の潰れた映画館を利用して不定期営業している商売人魔法少女がいるって話さ」

 

「商売人魔法少女だと…?」

 

「神浜の魔法少女達はその店を…調整屋って言ってたよ」

 

 

同日の神浜市新西区、時刻は夕方。

 

尚紀も一度車を走らせた事がある寂れた地域には閉館した映画館がある。

 

不況の影が色濃く覆うエリアに存在する映画館こそ、話していた店の場所となる。

 

グラフィティーアートや工事道具などが散乱した店の上には神浜ミレナ座の看板が見える。

 

閉館した映画館に何の用事があるのか分からないが、女子学生達が入っていく。

 

歴史ある館内も今となっては見る影もなく散乱した廃墟。

 

しかしミニシアターがあった場所に入れば雰囲気は打って変わるのだ。

 

「は~い、調整は終了ですよ~こころちゃん。目を開けていいわ♪」

 

病院で見かける滑車がついた診察室スクリーン奥には2人の女性シルエットが映っている。

 

手前の空間にはアンティークな家具や品が並べられた応接空間が広がっているようだ。

 

空間を照らすのは一番奥の壁で青白く光り輝く巨大ステンドグラスである。

 

「終わったかしら…?」

 

「ええ、待たせちゃってごめんなさい。まさら、あいみ」

 

「大丈夫よ、そんなに待ってなかったし~」

 

アンティーク家具に座り、連れの魔法少女を待っていた2人の魔法少女達が辺りを見回す。

 

「それにしても…来るたびに思うのよね。どうしてこんな場所を女子高生が維持出来るの?」

 

「私も思うわ。裕福な家の娘ではないそうだし、こんな金がかかる場所を1人で管理は無理よ」

 

明るい栗毛色の長髪をしたあいみと呼ばれた少女が応接スペースから手前側を見る。

 

応接空間以外はかつてシアターで使われていた椅子が山のように散乱する有様だ。

 

「企業秘密よ~♪私の秘密に触れちゃう悪い子は~調()()()()()()()()()()()()()()()()わ~」

 

調整屋の手料理と聞いた瞬間、まさらと呼ばれた少女以外の者達の顔が青くなってしまう。

 

「え”っ!?あ~秘密ね秘密!そういう事にしておくから…みたまさんの手料理は勘弁ね!」

 

「刺激のある食べ物を食べたら…感情が無い私の心から、感情が生まれるかしら?」

 

「まさら、やめときなよ。感情を感じるより先に死の気配を感じ取れるから…この人の手料理」

 

青い顔つきをしていた1人が両手を擦りながら寒そうにしている。

 

「は…ハックシュ!!」

 

「こころ、風邪でも引いたの?」

 

「うぅ~、なんていうかさ…私も毎回思うけど、この廃墟…冷房効き過ぎてない?」

 

9月はまだ残暑が残る季節であり、冷房設備は機能しているようだが機能させ過ぎている。

 

「そうね…寒過ぎるぐらいよ」

 

「何でこんなに冷房キツキツなんですか、みたまさん?そっちだって薄着だし…寒いでしょ?」

 

「よく見ればみたまさんの素足も寒い場所で熱を生み出すために体が震えるのと同じ現象が…」

 

寒がりなのに冷房をガンガンにする怪しい調整屋に対して怪訝な顔を向けてくる。

 

みたまと呼ばれた少女は嫌な汗をかきつつも適当な言い訳を並べていく有様だ。

 

「え~っと、私は大丈夫よ~。奥の事務所スペースにおこたと半纏があるから~」

 

「それもう冬用装備じゃない!?少し冷房の温度を下げた方が…」

 

「下げると()()()が嫌が…な、なんでもないわ!気にしちゃいやいや~~♪」

 

おどけて惚ける彼女に対して眉をひそめるが、3人娘は代金とも言える品を手渡していく。

 

この調整屋の代金代わりの品とはグリーフキューブである。

 

みたまから調整を受けた魔法少女達はドアを開けて帰っていく中、誰かが映画館に訪れる。

 

入れ替わるようにして入ってきた魔法少女がいたようだ。

 

「よう、調整屋。相変わらず寒い空間だけど、店の懐は温かいようだな?」

 

「いらっしゃ~い、ももこ。貴女も調整に来たのかしら?」

 

現れたのは尚紀も見かけたことがあった魔法少女である十咎ももこであろう。

 

「数日前にしてもらったじゃないか。アタシは近くを通る用事があったから顔見せに来ただけ」

 

「あら~♪調整屋さんに会いたくて仕方なかっただなんて、意外と寂しんぼさんねぇ?」

 

「言ってません!それにな…本当はこんな場所で独りでやっていけてるか、心配でもあるよ」

 

「魔獣が突然現れたり、タチの悪い魔法少女に絡まれたりしないか…心配してくれてるのね?」

 

「まぁな…なんなら時間が空いてる時にアタシが用心棒代わりを…」

 

「ももこは優しいわね~。調整屋さん、嬉し涙の洪水が出そうだけど…大丈夫よ」

 

「でも調整屋…お前は調整する以外は戦う力なんて殆どないんだろ?」

 

「まぁそうだけど~…安心して。私の近くにはね、いつも頼れる存在がいるから」

 

「頼れる存在?」

 

「まぁ…少々子供過ぎてヤンチャなところが……?」

 

ももこの後ろに広がる暗い空間に何かが見える。

 

<<ヒホホ~~~イ>>

 

映画館残留品が山のように積まれた手前空間から何かが聞こえてくる。

 

「お…おい、調整屋?なんか子供っぽい声が…」

 

嫌な汗が大量に吹きだし、大慌てしながら思いついた言い訳を並べだす。

 

「なっ…なんでもないから!あれ私が言っただけ!!ヒホって語尾に目覚めようかと…!」

 

「どうしたんだよ…みたま?いつもは人をおちょくる余裕態度なのに、焦った顔して?」

 

<<オイラはヒーホー・ザ・チャ~ンピオーン♪>>

 

放置された残留品の山の上で動く影が見える。

 

アスレチック遊びをしているかのような()()()()()()のようなシルエットが見えるはずだ。

 

「やっぱりなんかいるだろ!?」

 

「わ、私はチャーンピオーン!ピチピチでナウいヤングさは誰にも負~けな~い…アハハ…」

 

ももこをなだめながらも、薄暗い世界にいる雪達磨の影に対して身振り手振りで隠れろと促す。

 

「おい、やっぱ…何か隠してるよな?何か妙な存在がここにいるのか…?」

 

眉をひそめるももこが詰め寄り、引きつった笑顔しか出せなくなった調整屋さんである。

 

「いない、いないわよ~ももこ?だから~…左手からソウルジェムを出そうとしないでね~…」

 

「駄目だ。魔獣だったら事だろ?」

 

ソウルジェムを左手に出現させて辺りの魔力を感じ取る。

 

「…妙な魔力は感じないな」

 

さっきまでなら魔法少女とは違う類の魔力反応が見つけられたかもしれない。

 

「アタシの空耳かな…?う~~レナがいたら年増オッサン扱いされてたよ…」

 

「レナちゃんは今日は一緒じゃないの?」

 

「あっ!忘れてた~…みたまに顔見せしてくるって、下で待たせたままだったよ」

 

「早く行ってあげなさい。あの子は待たされるのを嫌がる怒りん坊さんだし」

 

「判った。じゃあな、調整屋。何かあったら直ぐに連絡くれよ」

 

そう言い残すももこはミニシアタースペースから出ていってくれる。

 

引きつった笑顔で手を振りながらも姿が見えなくなった途端に大きく項垂れてしまう。

 

「危なかったわ…後でお説教よ!」

 

残留品の中で佇む雪達磨に擬態した存在の頭から雪解け水のような汗が流れるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

日曜日となり、神浜のミレナ座に向かうのは時女一族の魔法少女達である。

 

「もう少しでミレナ座だ。けどこの辺は不景気の煽りを食らったように寂れた場所だよな…」

 

「ちかちゃんは今日は来れなかったの?」

 

「ちかはログハウス知識があるし、嘉嶋さんの家の塗装が剥げてきているのに気づいたのよ」

 

「だからね、ちかちゃんは今日は尚紀さんの家の修繕作業のお手伝いをしてるんだ~」

 

「私達だけで大丈夫でしょう。それにしても…時女一族も知らない魔法少女がいるなんて…」

 

「あるいは…上があたし達にひた隠しにしてきたかだな。あそこがそうだ」

 

4人組は神浜ミレナ座の前に立ち、恐る恐る中に入っていく。

 

「うわ~中は廃墟だよぉ。こんな場所に何があるんだろ?」

 

「でも明かりはついてますね。こんな廃墟なのに水道光熱費は大丈夫なのかしら?」

 

「2人とも、物見遊山に来たんじゃない。奥から感じるだろ…?」

 

「ええ…不思議な魔力を感じさせる魔法少女の魔力がね」

 

ミニシアターの扉を開けて4人は中に入ると寒気を感じてしまう。

 

「うぅぅ…寒いよここ!?どれだけ冷房効かせてるんだろぉ?」

 

「寒さを気にしている場合じゃないよ。集中しな、ちはる」

 

4人を出迎えたのは青白く光る世界であり、奥で佇むのは調整屋と呼ばれる魔法少女である。

 

「いらっしゃ~い。調整屋さんに~ようこそ~♪」

 

青い燕尾服を思わせる魔法少女服を身に纏う存在に対して4人組は驚きを表す。

 

1人だけは別の意味で驚いているようだ。

 

(この人…胸元がパンパンだよぉ!上着のフリルの白シャツボタンが弾けそうだし…)

 

自分の胸を見下ろすちはるはガックリと項垂れてしまう。

 

女としての敗北感に打ちひしがられる人物は無視する静香が前に歩み出る。

 

「私達はこの街の魔法少女ではありません。この神浜で調整屋という噂を耳にして来ました」

 

「大丈夫よ。私は神浜地域の魔法少女だけでなく、全ての魔法少女に調整を施す中立者だから」

 

「全ての魔法少女に…?」

 

警戒を示し始める者達を見たみたまは彼女達が調整だけを目的にした存在ではない事に感づく。

 

しかし相手の事情を追求しない態度をとるのが中立者として学んだ彼女の信念のようだ。

 

「調整…というのは、どういうものなのでしょうか?」

 

「初めてのお客様だものね、座って頂戴。何か飲み物を淹れてくるわ、長い説明になるしね」

 

みたまに促された者達はアンティークソファーや椅子に座っていく。

 

程なくして事務所キッチンでお茶を沸かしてきた者が4人の器に温かいお茶を淹れてくれる。

 

「有難い…冷房が効き過ぎて冬場のような寒さだし、温かいお茶が体の中に染みるねぇ」

 

「ごめんなさいね。私は暑がり屋さんだから、冷房ガンガンにしちゃうのよ~」

 

(その割には、素足の足元は寒そうにしてるよぉ)

 

ちはるの怪訝な視線を感じ取ったようだが、愛想笑いで誤魔化す態度である。

 

「それで…調整というものは、私達魔法少女にどのような恩恵を与えるのですか?」

 

「その前に自己紹介~♪私は八雲みたま。17歳のナウでヤングな調整屋さんよ~♪」

 

(ナウでヤング…この人、いつの時代の魔法少女なのかしら?)

 

すなおの怪訝な視線を感じ取ったようだが、愛想笑いで誤魔化す態度である。

 

4人も軽い自己紹介を済ませた後、みたまから調整というものの説明を受けていく。

 

「ソウルジェムの魔力調整によって、魔法少女の潜在能力を発現させる。それが調整?」

 

「ソウルジェムに私が触れる事によってソウルジェム内の魂に干渉する。それが私の能力なの」

 

「魂に触れる…何か、魔法少女に危害が加わる事はないのですか?」

 

「確かに弊害もあるわ。魂に振れる時に…その魔法少女の記憶を私に見せてしまう時があるの」

 

「おいおい…穏やかな話じゃないな」

 

「だからこそ、私は調整屋として中立の立場なのよ」

 

相手の立場を詮索せず追求せず、顧客情報は徹底して守りながら守秘義務を果たす。

 

信頼がなければ商売を続けることなど不可能だろう。

 

「この街の魔法少女達の評判から察するに、その信念を果たし続けてきたというわけかい?」

 

「だから~、私の事もあまり詮索はしないで欲しいわ。私はね、これをモットーにしてるの」

 

――渡る世間はGive and take!

 

突然立ち上がり、ドヤ顔のまま八雲みたまの座右銘を語るが4人組は目を丸くするばかり。

 

「百聞は一見にしかず~♪貴女達のソウルジェムを1人ずつ出して♪調整してあげるわ」

 

「あの…大丈夫ですか、本当に?」

 

「本来なら、調整代金としてグリーフキューブを貰うのよ」

 

「料金の代わりは悪鬼の魂魄か…それなら学生のあたし達でも払えるよ」

 

「でも~初回だからサービスサービス♪気に入ったなら、今後ともご贔屓に~♪」

 

「商売人はそうやって魔法少女としての魔力を回復させながら生きてきたわけかい?」

 

「私は魔法少女としては戦う力が殆ど無い類なのよ。だから~魔法少女は全員私の恩人さん♪」

 

「魔法少女社会の施しに依存しながら生きる…そんな魔法少女もいたのですね」

 

「はいはい!私は調整に興味があるからやって欲しいなぁ~」

 

「ちはるちゃんは好奇心旺盛さんね~♪」

 

「えへへ!探偵は知的好奇心の塊だからね!」

 

みたまにも宿無し探偵等々力耕一シリーズを勧めるのだが、軽く流されたようだ。

 

「それじゃ、そこの台に横になってね~」

 

こうして時女一族の4人組は調整を受ける流れとなっていく。

 

魔法少女としてさらなる力を手に入れるための調整作業なのだが、怪しい光景が広がっている。

 

「はい、ちはるちゃん。上着を脱いで素肌を見せて~~♪」

 

「はい、これでいい?」

 

「あら~~?ちはるちゃんは綺麗な肌してるわね~♪」

 

「ちょっと調整屋さん!?それって本当に調整で必要なんですかぁ!?」

 

「困った調整屋さんですね…。神浜の魔法少女達が振り回されてる光景が見えましたよ」

 

呆れた表情を浮かべる時女一族であったが、調整成果だけは皆が揃って太鼓判を押してくれた。

 

 

みたまに振り回されながらも調整作業を終わらせた4人組が応接間に戻ってくる。

 

「う~ん、体がダルいというか…でも、頭の中は妙にクリアになったというか…」

 

「初めての調整だから磨かれた魂に外側の体がついていけていないだけ。暫くしたら慣れるわ」

 

「魂…ねぇ」

 

涼子は奥で光をもたらすステンドグラスに目が行くと無数に並ぶ円を見つける。

 

その中に十字模様が入り、それらは大きく繋がり合った魔法陣のようにも見えるだろう。

 

「魂に興味があるのかしら?」

 

「あたしは仏教寺出身でね、宗教家なんだよ」

 

「僧侶の娘さんだったのね。なら家柄上気になってしょうがないわよね~」

 

「ねぇ、みたまさん。このアンティーク台の上に飾られた()()()()()は何ですか?」

 

「それも人間の魂と深く関わる神聖な品よ」

 

席に座るようみたまは促してくる。

 

「私達魔法少女が何気なく使っているソウルジェム…その内にある魂について話してあげる」

 

奥のステンドグラスまで歩いていき、立ち止まった彼女が振り返る。

 

八雲みたまを照らす青白き魔法陣の意味について彼女は語っていくのだ。

 

「私の後ろに見えるこの模様はね、ウィトルウィウス人体像を表している人体の調和よ」

 

「言われてみれば…人間の五体にも見えてくるわね」

 

「人間の体が何層に別れているか、涼子ちゃんは知っている?」

 

「肉体、精神、そして魂。三位一体論だ」

 

「その通り。魂と言っても本質である大きな魂と精神体と接合している小さな魂と二種類ある」

 

小さい方の魂は転生ごとに1人につき一つ割り振られる魂であり、これがソウルジェムとなる。

 

「大きい方は直接転生せずに全ての過去世と未来世を見守っている魂よ」

 

ハイアーセルフという高次元に存在するもう1人の自分に行き着く高次の魂だと教えてくれる。

 

「魂は人それぞれ個性があり、それがソウルジェムの(感情)となるの」

 

小さい魂の下に精神、感情が生み出される心があり、肉体と繋がる。

 

魂は肉体の外部刺激によって磨かれもするし、穢れもするという。

 

「魂が穢れる…確かに私達は魔力行使だけでなく、感情の落ち込みや乱れでも穢れるわ」

 

「私達が手にとる事が出来るソウルジェムという人の魂。本来、人間はこれを内側に持つわ」

 

「私達の内側にあった魂…それは本来、何処に備わっていたものですか?」

 

()()()()()()()…脳の真ん中にある松果体よ」

 

「第三の目…松果体?」

 

松果体というのは解剖学的な名称だが、宗教的には第三の目と言われている。

 

「松果体である第三の目はね、松ぼっくりで表されるの。世界中の宗教でね」

 

「うちの仏教でも同じだよ。仏の頭が松かさ模様なのが象徴しているんだ」

 

ヴァチカンの庭園にも地球で最も大きな松ぼっくりのモニュメントが存在する。

 

教皇の杖にも備わり、エジプト神のオシリスの杖やローマ神話のバッカス神の杖もそうだ。

 

「そんな重要な意味があったんだ…?私は松ぼっくりをそんな目で見たことなかったなぁ…」

 

ヒンズー教、エジプト神話、ギリシャ神話、ローマ神話、カトリック、イスラム教、マヤ文明。

 

あらゆる宗教に魂崇拝があったのだと聞かされる。

 

「この第三の目を開くための修行こそが宗教なのよ」

 

「魂を開く…魂の解放?」

 

「瞑想を通じて第三の目を活性化させると、三次元の現実世界から脱すると言われているわ」

 

神々と接触して神通力を得る事を信じ、歴史の宗教家達は修行を繰り返している。

 

未来を予見し、テレパシーで会話し、時間旅行をすると信じられてきたのだ。

 

「まるで…魔法少女の魔力や、固有魔法能力そのものじゃない!?」

 

「私達の魔法は…第三の目である魂が解放されたから手に入れられたのね…」

 

「第三の目はね…()()()()()()()()()()だったのよ」

 

第三の目を通して門を超えなくとも身近で触れられる霊的存在がこの世界には存在している。

 

「魔法少女として契約を持ちかけられた私達なら誰でもその存在を知っているわ」

 

「久兵衛様ですね…」

 

我思う故に、我在り。

 

哲学者のデカルトは第三の目を魂が込められた席、肉体と精神が出会う場だと言葉を残す。

 

「第三の目を開くことを開眼と言われるの。これが魔法少女になれる契約素質なのよ」

 

「私達第二次性徴期の子供の中で…第三の目を開眼していた存在を見つけ出す…」

 

「霧峰村の外で活動する久兵衛様は門を開いた少女を見つけだし…接触してきたわけなのね?」

 

「人も天使も神々でさえも、人間の魂に触れようとしてくるわ」

 

シッダールタが開いた密教や空海が起こした真言宗もまた魂の門を開くための宗教教義。

 

そして魔法少女達もまた円環のコトワリという神の世界に触れようとする者達。

 

これこそ宗教で言うところの()()()()であり、密教的なユダヤカバラにも通じる考え方。

 

皆が高次元存在に至る事を至上の願いとし、悟りを啓くために足掻いてきた歴史なのだ。

 

「第三の目に目覚めた者を目指すのが宗教であり…私達魔法少女は…宗教家の到達点?」

 

「あたしはまだまだ煩悩を捨てきれてないよ、静香。到達点だなんておこがましいね」

 

「第三の目を開眼した少女の中で、本当に神の次元に辿り着いた存在がいるとしたら…」

 

――もしかしたら、その存在こそが…全ての魔法少女の希望である円環のコトワリなの?

 

興味深い話をみたまから聞かせてもらった時女の者達は調整屋を後にする。

 

笑顔で手を振っていたみたまであったが沈着な表情となっていく。

 

「あの子達…人間社会に害を為す危険を孕む魔法少女でも調整する私を脅威査定しに来たのね」

 

ソウルジェムや魂について語った事もあり、ソウルジェムを手に取りながら見つめてしまう。

 

「私達のソウルジェム…それは卵のように見えるけれど…()()()()

 

ソウルジェムの形は卵というよりは松ぼっくりに見えてくるはず。

 

エジプトのホルス神の目とも語られており、人間の魂の座と言われる松果体を表す。

 

()()()()()()()()()()()()としても知られている。

 

かつての世界において宇宙を温める燃焼剤として使われたのがソウルジェムなのかもしれない。

 

あったかもしれない宇宙の情報を知る事が出来るのは概念存在である悪魔と関わる存在のみ。

 

八雲みたまもまた、叔父様と呼ぶ存在から聞かされていたようだ。

 

「ホルスの目を崇めるカルトがいる…世界を代表する秘密結社に在する国際金融資本家達よ…」

 

――そして悪魔崇拝者達も人間の魂を必要としているわ。

 

悪魔崇拝者達がもたらしてきたのは人間のカニバル行為。

 

悪魔が人の魂を喰らうが如く、()()()()()()()()()()()といわれる。

 

その果てに神々の領域に接触し、高次元を目指す神秘主義が蔓延っていく事になったのだろう。

 

「叔父様からそれを聞かされて…私は凄く怖くなったわ…」

 

天使であるインキュベーター、神々や悪魔、悪魔崇拝者、皆が人間の魂を玩具にしていく。

 

「私達人間は…そんな神であり悪魔とも言える存在を崇拝して…荒行を課しても至ろうとする」

 

故に神々の戦いとは人間や魔法少女を巡る戦いなのであろう。

 

「ねぇ…人間や魔法少女は…神様の領域なんかに…本当に行きたいのかしら?」

 

八雲みたまにとって、円環のコトワリに救済される事が至上の喜びなのだとは思っていない。

 

神域に導かれて神と融合するのが魔法少女の希望だとは彼女にとっては思えないのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

明日は久しぶりに彼女が通う大東学院に向かうため、今日は早めに店仕舞いする。

 

「うぅぅ…寒いわ。もう我慢出来ない!掃除よりもおこたに脱出よ!」

 

冷房が効き過ぎた店内から飛び出し、事務所に駆け込んでいく。

 

急いで黒タイツと半纏を着ておこたに入り、体を温める行為が彼女の店仕舞い日課であろう。

 

「おこたから一生出たくないわ…そうだ、新しい子の魂に触れた事だしレポートを書かないと」

 

こたつの上にあるノートPCを使ってレポートを書き始める彼女であるが、気持ちが沈んでいく。

 

「調整屋として失格よね…守秘義務違反だし…」

 

彼女は内通者として秘密裏の行動を行う者。

 

彼女が御霊の情報を提供し、叔父様と呼ばれる存在の悪魔研究の糧とする。

 

見返りとして調整屋として店を構えられる資金提供を受けているようだ。

 

「でもこれが叔父様との契約よ。私を信じてくれる魔法少女には…申し訳ない事をしてるわね」

 

店主がいなくなった調整屋の応接室には解放禁止と書かれた冷蔵庫らしき物が置いてある。

 

すると突然、冷蔵庫のドアが開きだす。

 

「叔父様がいなかったら私なんて…公園を使ってみかん箱の上で調整仕事をやってたと思うわ」

 

中から眠そうな顔をした何かが事務所に近づいてくる。

 

「叔父様は多くの事を教えてくれた…それに私を守ってくれる悪魔も与えてくれたわ」

 

事務所に訪れたのは小さな悪魔の姿であり、腹の虫が聞こえてくる。

 

「ヒホ…今起きたホ。お腹空いたホーみたま」

 

雪達磨に手足がついたような小さな姿であり、頭には青い帽子を被り、顔を見れば黒い目と口。

 

青い帽子には八雲みたまがプレゼントしてくれたお揃いとなる青薔薇アクセサリーが備わる。

 

「ごめんなさい。私は今仕事中だから、事務所の冷蔵庫の中身で我慢してね~フロスト君」

 

「ヒホホーイ!今日は何味のシロップかけて食べようかホー」

 

冷蔵庫を開けて氷を取り出し、かき氷機を使って調理していく。

 

シロップをかけたかき氷を用意して炬燵の横に座り、彼女の前でシャクシャクと食べだす。

 

「うぅ…見ているだけで寒くなる光景ね…」

 

「オイラ暑いの大嫌いだホ。昔は暑いのも熱いのも効かないテイオー時代がオイラにあったホ」

 

「また歌舞伎町の帝王時代の話がしたいんでしょ?」

 

「そう!オイラはかつて、カブキチョーのテイオーとして君臨したワルだったホ!」

 

――オイラはあのコントンオウと呼ばれたヒトシュラの仲魔だったんだホ!

 

小さな悪魔が語った存在こそ、ボルテクス界を超えてきた嘉嶋尚紀の悪魔としての通り名だ。

 

「人修羅さんねぇ…こんな可愛らしい悪魔を連れ歩くなら、きっと優しい悪魔だったのね」

 

「優しかったホ。でも友達が沢山死んで…悲しい目に合い続けたから…心が壊れてしまったホ」

 

「…可哀想な存在だったのね」

 

「オイラ、そんなヒトシュラの背中に最後までついて行ったんだホ」

 

この悪魔は人修羅の仲魔であり、神霊との戦いで亡くしてしまった仲魔の一体であろう。

 

「オイラはカグツチに滅ぼされて…また弱いジャックフロストに戻っちまったホー…ヨヨヨ…」

 

「たしかジャアクフロストって名乗ってたのよね?カブキチョーのテイオーさん♪」

 

「オイラ!またあのとびきりワルだった頃にカムバックしたいホ!そして…また再会したいホ」

 

「人修羅と呼ばれた悪魔や、かつての仲魔達に?」

 

「この世界に召喚されて、この世界でも悪魔を見かけたホ。また出会える気がするんだホー」

 

「きっと出会えるわ」

 

「ほんとかホー?」

 

「貴方は心が壊れた人修羅を最後まで支えてあげるぐらいに優しい悪魔だったんだから」

 

「ヒホー!オイラはとびきりワルで、ついでに優しい悪魔になるホー!!」

 

「さ~て、レポートは書き終えたし、明日は学校が終わったら南凪区に行かないと」

 

「あのオッサンが経営してるホテルに行くのかホ?」

 

「ええ、行ってくるからお留守番ヨロシクね、フロスト君」

 

「ヒホー、わかったホ」

 

――()()()()()のオッサンにヨロシク言っといて欲しいホー、みたま。

 




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