ドラスツが見たかったから転生したのにドランクに転生させられた少年の話 作:血濡れの人形
ドランクの日記より一部抜粋
記憶を取り戻してから数年、体を鍛えていたことにこれほど感謝する日は、これから先そうそうないだろう。あのスタンピードから早数日、僕らは五体満足で生きている。
~???~
全く、体を鍛えておいてよかったよ。こんなことになるのは想定外だったけど、それでも彼女を護れたんだから。
「あっはっは、思ってた以上に痛いですね・・・スツルム殿、全力で逃げますよ!殿は僕がやるので、気にしないで隠し倉庫の船まで走る!『スリープ』!」
「馬鹿を言うな!ドランクお前、もうすでに片腕が使えないじゃないか!」
「そこは気合とスツルム殿に対する愛で何とか持たせますよ!ほら、剣片方渡すので、前から来たらお願いしますね!『パライズ』!」
僕の魔法を受けるたびに足をからませ転ぶ魔物たち。そんな魔物を踏み砕きながらこちらに走ってくる他の魔物を見ながら、全力で走る。二本もっている剣を一つ彼女に渡し、もう一本の剣に手を置きながら全力疾走する。あと一、二分で目的の場所に着くが、下手をすれば操作中に襲われかねない。そう思い、何かあった時の保険として用意しておいた魔具を地面に叩き付ける。灰色の煙が立ち込め、襲いかかってくる魔物たちを石に変えていってくれるはずだ。そして、僕たちの目の前に一つの小型船が見えた。
「ついた!これがあれば何とか逃げ切れる!」
そういいながら、僕はスツルムを後ろの座席に押し込み、自分もすぐに前に座る。これは僕が自作した小型船だが、とりあえずテストもしたので大丈夫だろう。エンジンをかけ、レバーを動かす。少しずつ走り出したところで、横から魔物たちが現れるが、もう遅い。速度は少しずつ上がり、僕らはそのまま空へと飛び立つのだった。
~ポート・ブリーズ群島 病院~
そんなことがあってから早数日、僕たちは運よくポート・ブリーズの町の近くに降りる・・・落ちる?ことができ、僕の状態を確認した町の人が病院まで運んでくれたと、目を覚ました時にスツルムに教えられた。少し前まで泣いていたのか、目の周りが赤くなっていた。ちなみにそのあと来た医者の話では、不時着した直後にスツルムが僕を引きずり出して、何事かと騒いでいた町の人たちに僕を病院に連れて行ってくれと頼みこんだらしい。それを聞いてスツルムを見ると、顔を林檎のように赤くしていた。とても可愛くてイイと思います。それはそうと、僕の体の状態を話してくれたのだが、思っていた以上に深刻だったようだ。負傷した片腕はしばらくしびれが残るので、その間無理に動かさない事。治らない状態で十回ほど動かしたら完全に駄目になるらしい。その時は腕を切り落として義手をつけるしかないとか。それと、細かい傷から毒が入っていたらしく、解毒うんぬん以前に、よく生き残っていたものだと笑われた。笑い事ではないが、生き残っているのでよしとする。そして治療費についてなのだが、とある商人から金額の書かれた紙とともに渡されたものを使ったらしく、とりあえず場所分の代金として百ルピだけ払ってほしいそうだ。治療代はその商人に直接返してほしいとのことだった。聞いた話では、赤い瓶に入ったものらしく、エリクシールというものらしい。そう、グラブルをやった人なら聞き覚えのある名前だろう。僕もよく全滅したときとかお世話になりました。そしてそれとほぼ同時に思ったのは、
(これは金額を見るのが怖いな)
ということくらいだ。主人公たちみたいに百何本も持っている方が異常な薬品だ。いったいいくらになるかなんて知りたくもない。
「ちなみにいくらだったの?」
「・・・宝晶石という、めったに見つからない不思議な宝石百個だそうだ。返すまでの期限は、私たちが死ぬまでに返してくれたらいいといっていた」
これは長いと取るべきなんだろうか。しかし、ガチャ石ですか・・・百個、クエストとかやると普通に五十個もらえていたような奴だけど、この世界に来てから一つとしてみたことがない。というかどこに存在するのかわからないのだが、それについては聞いていてくれているだろうか・・・
「その人、どこで手に入る~、とか言ってた?」
「いや、そのようなことは言っていなかったが、極稀に魔物の体内から出てくることがあるらしい。ただ、強い魔物で五個あればいい方だ、といっていた。弱い魔物なら、百体に一個出てくるかどうかだそうだ」
それを聞いて、思わず頭を抱えたくなる。まさかそこまで出にくいとは思っていなかった。いや、当然といえば当然か。しかし、それでは返すのにどれだけかかるかわからない。死なない程度にコツコツ集めるにしても、同じ島で何千体単位で殺すわけにはいかないから、島をちょくちょく移動しなければならない。
「あとは、『私が発行している依頼十回で一つ分という扱いにさせていただきます~、あ、きちんと報酬の方も出しますよぉ?』と言っていたな。名前は確か、シェロカルテと言っていたはずだ」
あ、よろず屋さんでしたか。なるほど、それでさっきの宝晶石。たしかに百個で一つと交換だったね。
「とりあえず今は休んでいるといい。いくら薬の効果で毒がなくなったとはいえ、まだ多少だるいだろう?」
「・・・うん、そうさせてもらおうかな。それじゃ、お休み・・・」
そうして、僕の意識はゆっくりと、薄れていくのだった。
まえがきを少し書き加えました。また気が向いたら消えたり増えたりするかもです。