起動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ純白のエトランゼ 作:るーでる
72機の悪魔達が天使たちを駆逐してから三百年。地球圏には平和が訪れていた。しかし、平和だったのは地球圏だけだった。遠く離れた地、火星では、貧困が蔓延し、そこらかしこに、ホームレスや孤児達、またはその死体が転がっていた。そんな火星で、新たな闘いが始まろうとしていた。
火星の町「キャッスル」からおよそ300マイル地点、噴煙を巻き上げて疾走する6つの機影があった。3機は後ろを向き、時折威嚇射撃をしながら走り、残り3機の機影、モビルスーツ「グレイズ」は、放たれた弾丸をよけつつ、前方の3機を追い詰める。
「くそ!差が縮まらない!」
一人のモビルスーツパイロットが、焦りの混じった声で叫ぶ。
「騒ぐな暇があるなら玉をよけろ!」
もう一人のパイロットが、怒鳴り声を上げる。
「二人とも落ち着け!今はあいつらをとっ捕まえる事だけ考えろ!」
隊長がなだめるも、二人の焦りは消えない。
というよりは隊長自身もあせっている。敵をを追い詰めるこれと言ったポイントもなければ、増援もすぐにはきそうにない。焦りとともに、額には汗が浮かんだ。仕方がない。
「やむを得ない!発砲許可を出す!場合によっては殺害も許可する!」
「え?、り、了解!」
「その言葉をまってましたよ!」
3機のグレイズは発砲する。しかし、追われる方のモビルスーツ、「ガルム・ロディ」のパイロットは冷静だった。
「撃って来やがったぜ」
「焦りからだな。さすがは実戦経験0のギャラルホルンだよ」
パイロットは談笑する。
「時期にポイントに付く。そしたらおさらばだ」
そんなことは想像すらつかない3機のグレイズは弾幕を張る
「よし!足だ!足を狙え!」
隊長が落ち着きを取り戻し、希望が湧いてきた所で、終わりは訪れた。
「隊長!前方500メートル!モビルワーカーです!」
隊員の一人が言った先には戦車と車を出して二で割ったような兵器。モビルワーカーがズラリと並んでいた。
しかもただのモビルワーカーではなく、大量のミサイルを発射出来るタイプのものだ。
「モビルワーカー隊一斉射!撃てぇ!」
モビルワーカー隊の隊長とおぼしき男が、雄々しく叫ぶや否や、モビルワーカー隊からミサイルの雨が降り注いだ。轟音が鳴り響く。
暫くしてミサイルの雨が止み隊長は隊員に声をかける
「無事か!?バロン!ガーランド!」
「い、生きてまぁす」
「無事です隊長。しかし奴らが!」
気がつくとガルムロディはモビルワーカー隊と共に土煙を巻き上げ、はるか遠くにいた。
「くそ!逃がしてしまった!あぁクソッタレ!」
隊長はコックピットをガンガン叩き、やり場のない怒りをぶつけていた。
火星の町「キャッスル」
警備業務「キャッスル・ガード・セキュリティ」旧倉庫
「~!~ダレ!五月雨!」
目が覚めた。目の前には顔をのぞき込む親友の姿があった。
「どうしたの?リゲルト」
リゲルト・ハルトマン。彼は五月雨・バルクホルンの唯一の親友であり、兄弟でもある。長い黒髪を後ろで束ね、眼鏡をかけた好青年のような見た目と裏腹に、大胆不敵な行動をとる男だ。
「どうしたのじゃあねぇよ。やっと起きたか、五月雨。さっきギャラルホルンから入電があったんだよ!何でもならず者共がモビルスーツで発砲して逃走したらしい。だからモビルワーカーで町の警備するんだよ」
「そっか。じゃあすぐいくよ」
「おう。だから言ったろ?起こしに行く手間かかるんだから、倉庫のモビルスーツで寝るなって」
「ここ、寝心地良いんだよ。」
「モビルスーツのコックピットで寝れるなんてどうかしてるぜ。早く来いよ。五月雨」
五月雨・バルクホルン。リゲルトの無二の親友で、おっとりとした口調と中学生のような見た目をもつが、体は鍛え抜かれており。無造作に切られた黒髪をなびかせている。
「さて、行くか」
五月雨が着く頃には、3班の出撃準備は整っていた。
「やっと来たか!五月雨!」
「遅くなったね。リゲルト、ノイマン」
「へっへ。別にまっちゃぁいねぇよ。」
そう答えたのは、ノイマン・シュナイダーだ。3班のお調子者で、楽しい奴という言葉がしっくり来る男だ。
「さぁてヒューマンデブリ同士、仲良く行きますか!」
ヒューマンデブリ。ゴミのような値段で人身売買にかけられる子供達。五月雨も、リゲルトも、ノイマンも、この「キャッスル・ガード・セキュリティ」通称、
「CGS」に「雇われた」のではなく「買われた」のだ。
つまり会社に買われた犬だ。しかし、「CGS」は比較的ホワイトだった。ぼろ雑巾のように扱われる事はなく。ちょっとした肉体労働とこうした警備業務が主な仕事だ。トレーニングなどは毎日だが、飯が毎日食べれるだけで元ヒューマンデブリからしたらありがたいものだ。
「よし、この持ち場だ。少しの異変も見逃すなよ」
「了解」
町から少し出た荒野の平地で、警備業務が始まった。
しかし、待てど暮らせど異変は見当たらず、あっという間に警備業務は終了し、交替の班に持ち越された。
このまま何も起こらないと誰もが思っていた。
3班は基地に着いた。もう夜の9時を過ぎている
「あ、お疲れ様です。食事、出来てますよ」
炊事を手伝っている少年だ。
「あぁ、俺は貰おうかな」
「んじゃ俺も。五月雨はどうすんだ?」
「うーん。僕は少し寝ようかな。明日も任務で早いんでしょ?」
そう言って五月雨はいつもの寝床へ戻っていった。
「五月雨腹減ってねぇのかな。俺はもう食いたくて仕方ねぇのに」
「寝かしとこうぜ、ノイマン。あいつはあれが動力源だ」
久しぶりに聞くリゲルトのジョークを聞き流し、ノイマンは食事にがっついた。
3班がいた持ち場には深夜にも関わらず、モビルワーカーが、警備業務を務めていた
「もう何もないと思うんだよなぁ」
少年兵の一人が愚痴を漏らす。
「愚痴を言うなよ。なんかあるかもしれないだろ」
もう一人の少年兵は、コックピットから顔を出し、双眼鏡を覗いている。
「眠てぇよ」
「分かったから起きてだけいてく…何だあれ?」
「なんか見えるのか?」
少年兵が、モニターを覗こうとした瞬間。音が聞こえ、横にいたモビルワーカーは爆発四散した。
少年はなにが起こったのか把握出来なかった。それがモビルスーツからの攻撃であることに気付いた頃にはモビルワーカーごと吹き飛ばされていた
「敵襲だー!!」
警報が鳴り、町には非常事態を知らせるサイレンが鳴り響く。
そのサイレンで、町から少し離れた倉庫にいた五月雨が、目を覚ました。
「おい!五月雨!敵襲だ」
「リゲルト!どうなってるの!」
「町の傍までモビルスーツが来ちまってる!とにかく、モビルワーカーで出るぞ!」
「いや!だめだ!」
「何言ってんだ!五月雨!」
「モビルスーツにモビルワーカーの武装じゃあだめだ!
モビルスーツを出さないと」
「まさか…ここでやるのか?」
「うん」
曇りのない返事で五月雨は答える。
「こいつを、使うのか?」
「うん」
地響きがなり響く。外にいたノイマンが、中に駆け込んでくる。
「こっちに来るぞ!」
「…選択の余地はなさそうだね、リゲルト」
「…だな、五月雨」
ガルムロディは倉庫を見下ろす。
「ここから微弱なエイハブ・リアクターの反応があったが…ちょうどいい。雑魚を潰すのにも飽きたからな」
空になったライフルを捨て、ブレードを手に持つ。
スラスターを吹かし、飛び上がる。そのまま倉庫を中身ごと叩き潰すつもりだ。巨大なブレードが振り下ろされるその刹那、
倉庫を突き破り、純白の悪魔が飛び出してきた。
「な…に…」
突き上げられた大剣にコックピットごと串刺しにされたガルムロディは、機能を停止した。
倉庫を突き破ってきた悪魔はまさに、狩人だった。
初めまして!初投稿作品となりました「起動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ純白のエトランゼ」第一話を読んでいただきありがとうございます!
なぜ、ガルムロディは追われていたのか、なぜ、ガンダムが、倉庫にあったのか、など、第一話の謎は追々種明かししていこうと思います。この作品は完結させるよう頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!