奇跡をもうひとつだけ   作:羽似男

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良い渋さで廃れた遊園地を訪れたことで、昔アニメで見た甘ブリを思い出し一話から全部見直しました。コメディ&感動のバランス良くて良いですねアニメVer甘ブリ。



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「覚えています・・・」

今にも消えてしまいそうな、か細い涙声でそう言う少女。

止まっていた時間が動き出した奇跡への喜び。それと同時に、失い続けてきた過去への悲しみが混じった涙。その涙が、パークを訪れてくれる人々の楽しい気持ちを表現したように咲き誇る花吹雪の優しい光を反射させながら少女の瞳からこぼれ落ちていく光景を僕は一生忘れることはできないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 少女、ラティファが眠りにつくのをモッフル卿・千斗いすずと見届けた後、パーク支配人の任期を終えた可児江西也は他のキャストがまだ喜びの宴をしているのには加わらず、帰路に着こうとしていた。すると、そんな可児江を待っていた人物が1人、入場ゲートの前で立っていた。

 

「あのっ、可児江くん」

「あぁ、千斗か」

「どうした?」

「その.......今日で、終わりね」

「......あぁ、精々したさ!」

 

 

 

 『ーーーーーー』

 

 2人の間を訪れる沈黙

 

 

 お互いこの沈黙を破ろうと、

「可児江くん、その、」

「千斗、あのだな、」

二人が同時に口を開く。

 

 

 「なんだ千斗......」「いえ、可児江くんから......」

 

 

 『ーーーー』

 

 

 お互いそれ以上のことをうまく口にすることができず再び訪れる沈黙。

二人とも、自分が言いたいこと、言うべきことは分かっているのに!

 

 

 西也はチラリと相手の表情を窺った。そこには、なぜだろうか、恥ずかしそうに顔を少し赤くしている美少女の顔があった。

それを見て意を決めたのか、

「あのな!!」 口を開く。

「あのだな......」。 「えぇ、なに、......っ」。

 

 しかしやはりこれ以上の言葉を出す勇気があと一歩出てこず、

「なんでもないっ。帰る! じゃあな!!」と自転車に跨り、勢いよく漕ぎ出した西也。

そんな彼の背中をただ見つめるだけで同じように何も言えない千斗いすず。

 

 その背中が見えなくなった後も遠くを見つめ、しばらくただその場に立ち尽くしていた。

「可児江くん......」

 

 

 

 

 

 

 *

 次の日

 

ミュース「おはようございまーす!!」

コボリー「大丈夫ですかぁ?」

サーラマ「二日酔い、ださっwww」

シルフィー「シルフィー選手〜奇跡の5人抜きドリブル〜」

 

 と、エレメンタルトリオの四人がキャストの控え室に元気よく入ってきた。そこには”ファンタジー成分”をアルコールと共に昇華させてしまった、二日酔いでグロッキー状態の二匹がいた。

このキャラクター達を好きな純粋盛りの小さな子供達が聞いたら一生トラウマになるようなガスガスの喉声で、

 

 

 「若いロンな〜」「もう朝ロンー?」

 「飲みすぎたミー」。「今日くらいは休みにして欲じいミー」。

 

 ”前”支配人代行の経営改革によって定休日は撤廃され、パークは年中無休になったのだ。

もちろん、パークに来ることを楽しみにしてくれているゲストを迎えるキャストとして、休むわけには行かないとは分かっている。

でも今日くらいは、休んでもいいんじゃないか。今日だけはそんな気持ちになるのも仕方ない。だって天文学的数字だった目標来場者数を達成したのだ。奇跡の余韻に浸ってたい気持ちも分かる。

 

 

 

 すると、ーーー

「起きなさい、あと30分で開演時間よ」。「早く、準備を済ませてきなさい」。

と、支配人代行の腕章を着けた千斗いすずが例のように何処からともなくマスケット銃を”二匹”に突き刺す。

 

「わ、分かったから。銃を降ろすロン」。

「いすずちゃん、今日くらいは休んでいいと思うミー。融通が効かないミー。これだからいすずちゃんは処 j ......」

 

 

 ーーー ズドバァンッ ーーー

 

 

「二日酔いでは足りないようね?」「このまま永眠させてあげr......」

 

「うそ!嘘だミーッ、パワハラ!暴力反対ミー!」「お花たちのお世話してくるミーッッ」

 

「じ、じゃあ、ぼくも支度してくるロン」。

 

 

問題児2匹と行き違いで既に開演準備を終えたモッフル卿が控え室にやってきた。

 

「なにを朝から騒いでるだフモ」

「おはよう、モッフル卿」「不良妖精の相手をしていただけよ」。

「やれやれフモ」「それより、小僧はまだかフモ? もう開演30分前フモ」。

 

『ーーーーーー』

 

「そうか、昨日までだったフモね......すまないフモ。」

「今日からはまた私が支配人代行を努めさせてもらうわ。彼のようにはできないけれど、以前の私とは違うわ。彼を一番側で見てきたから......」。

「よし、今日からまた新しいスタートふも!! もちろん僕も協力するフモ」

「ありがとう、頑張りましょう」。

 

 

 

 

 *

 支配人代行室

 

いすずは開演前の最終準備を終え、一息付いていた。

新しく秘書を兼任することになったトリケンは別室の為、しばらくいすず一人で使うであろうこの部屋は1人で使うには広すぎる。ふと、昨日までこの席に座っていた彼のことを思い出してしまう。

(やっぱり可児江くんがいないと私は......)

(いいえ、彼はパークから去ってしまったけれど、彼が守ってくれたこのパークを今度は私が.......)

 

 

 

 

 

 

 

 

 *開演時間 (新年度初日)

 

 「いすず、みんな揃ったフモよ」。

 「分かったわ。よし、開演時間ね、行きましょう。」

 

 

 

 

 

 『『『ようこそ、甘城ブリリアントパークへ!!! 』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふもふもっ
モフッ!?
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