奇跡をもうひとつだけ   作:羽似男

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ミーミー!
モ、モフ?!



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*九月一日

 甘城ブリリアントパークが新しいスタートを切った初日。

甘ブリ各部の部長+ティラミー・マカロンが会議室に集まっていた。

 

「では、これから今後のパーク運営についての会議を始めたいと思います。司会はこの私トリケンめが "前かがみ" で努めさせていただきます。」

「えー、ではまず経営面についての議題を始めましょうか。」

 

 

真っ先に発言をしたのは、淡褐色肌に金髪とイケイケギャルの外見だが、その性格・内面の堅さのギャップに定評がある(ティラミーによる)、経理を担当するアーシェ。

 

「ではまず、経理の面から言わせて頂くと、現在の入園料の30円では言うまでもなくパークは大赤字です。昨季は入園者数を最優先するとのことでしたので、仕方ありませんでしたが、今後は入場者数とパークの黒字の両方を目標にすべきだと考えます。」

 

「そうね。アーシェの意見には賛成だわ。で、入園料の改正をするとして、金額をどう設定するかが問題ね。」

「元の値段に戻すんじゃダメだミー?」

「それじゃ去年までと同じ結果になるだけだロン。せっかくパーク再建に勢いついてるんだロン、金額設定は慎重にすべきロン」

と不良高校卒のヤンキー気質だが頭脳は決して悪くないマカロンが冷静な意見を述べる。

「そんなんじゃキャバにもいけないミー」

 

『『だから、行くな』』

 

   ・

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   ・

 

 最終的にパーク料金は以下のように設定された。

 

入園+フリーパス料金   ナイトチケット

  大人(中学生~)  2,000円        1,500円

  小人(小学生~)    1,500円        1,000円

  幼児(3才~)      1,000円         500円

  シニア(50才~)   1,500円        1,200円  

 

 

「この設定では入園料だけでの黒字は正直難しいと思います。さらに現状のグッズ・フード販売の利益を合わせてもギリギリ厳しいかと......。」

 

「えぇ、でもこれ以上の金額設定だと入場者数とのバランスが取れないと思うわ。仕方ないけど、入園料金はこれで行きましょう。早速明日からだけど、変更に伴う広報は任せても大丈夫かしらトリケン」

 

「もちろん、前かがみで了解しました!」

 

「キャバにもギリ行けないミー・・・・・・」

 

そんなこんなで今後のパーク運営についての会議が無事終わった。

 

 

 

 

 

* 数日後

 その日の仕事を終えたいすずはパークの様子を見回りをしていた。

 

夏休みは終わったが、休日になると多くの子供づれの家族やカップルたちがパークにきてくれている。芝生にできた木陰で嬉しそうにかき氷を食べている小さな子供の笑い声、流行りに乗った"手作り冷製タピオカコロッケ"の美味を叫ぶ学生の声など、8月は過ぎたものの残暑と活気に溢れる昼間のパーク。

 

だがそんなパークも夕方にもなると、わずかながらも紅葉を始める木々や、ほんの少し肌寒い秋風、などの季節の移り変わりを告げる足音があちらこちらから聞こえてくる。

若干の不安要素は抱えてはいるものの、キャストの誰もがパークの明るい未来に心を弾ませているのがパーク全体に広がる活気から伝わってくる。

 

いすずは入場ゲートを担当している甘ブリの警備部長、オークロのところへやってきた。

「おつかれさまです、支配人代理」

「お疲れさま。今日の入場者数はどう?」

「はい、なんと!去年の二倍近い入場者数です。今日なんて、帰りたくないって泣き出した小さいお子さんをあやすのにとても苦労しましたよ(笑)」。

「そう、そのマスクだと苦労するのも当然の気がするけれど・・・・・・」とは口に出さず、心の中で留めた。

「これからもこの調子で頑張りましょう」。

「はい!支配人代理!!」

 

 

 

 

 

 

* パーク閉園後

 支配人代理室

 

ひと月近く経ってもなお、一人でこの部屋を使うことに慣れていないいすず。帰る支度を済ませた彼女は、黒革のレザーのチェアーに座りパークの今度に再び思いを馳せていた。

オークロとの会話の通り、パーク入園者数は去年の二倍近く増加している。さらに、パークを訪れてくれたゲスト、さらにはキャストの楽しそうな笑い声が風に乗ってパークを満たしているような活気もあり、まさにパークは順風満帆と言ってもいいだろう。

 

 

 

 

( でも本当はこれら全てはただの夢の中の作り話で、まだ夢から目醒めていないだけなのでは? )

 

 

 

 

と時々そんな途方もない不安に駆られることがある。

 

原因ははっきり分かっている。

 

 

あの日以来、2人は一度も会っていない。

 

 

いすずはもともと高校に通う必要は無かったため支配人代行を引き継ぐと同時に高校を辞めた。

しかし、高校が分かっているのだから会いに行こうと思えばすぐに行けた。

 

が、会いには行かなかった、行けなかった。

 

それは、こちらの場所を分かっているのは彼も同じであり、しかしそんな彼があれ以来パークを訪れないのは、二度とパークと関わりたくないと思っているからかもしれない、と考えると、会いに行くことができなかったからである。

 

 

 「・・・・・・可児江くん」

 

ため息と同時に無意識に出てしまったその言葉を誰にも聞かれていないことを慌てて確認しながら、いすずは寮への帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*次の日

 

「大変ですよ!!支配人代理ッッ!!!!」

 

「何があったのトリケン」

 

「それが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




理系大学院生です。文才ないのは数字にしか囲まれてこなかったからということにしておいてください。
1nmも関係ないですが、ある小説でパワハラの事を上司にそれとなく伝える言葉として、
「Power to the 上司!」(power to the people)と替え歌を歌っているシーンがとても印象的でした。
上司に力を!でパワハラ。神発想では?
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