ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツ   作:さくらおにぎり

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 今回はよその子達とのコラボ回です。


特別編 切られた時の中で

 一学期の終業式を終え、今日の放課後からは、全校生徒が待ち望んだ夏季休暇ーー夏休みだ。

 帰りのホームルームも終えたところで、ハルナはユイに話し掛けた。

 

「ツルギくんはいつも通り、後から来るって。マイちゃんも一緒に来れそう?」

 

「そうね、お姉ちゃんも大丈夫って言ってたし、直接行くんでしょう?」

 

「わたしはそのつもりだよ。ユイちゃんは用事とかあった?」

 

「うぅん、私も特にはないから」

 

「じゃぁ、早速レッツゴー♪」

 

 今日から夏休みー、とハルナは喜び勇んで教室を出る。

 

 

 

 

 

 ハルナ、ユイ、マイの三人が学園からガンダムベースに到着する頃、三人のダイバーギアにメールの着信を告げてきた。

 

 送信者は、ミーシャーーもとい、ミハイルだった。

 

 Missha:ごめんなさい。今日は家の用事があってGBNには行けそうにないです。来れそうでしたら、また連絡します。

 

「ありゃ、ミーシャくんは来れないんだ」

 

 ハルナはメールの本文を見て小首を傾げた。

 

 GBNに来れないのはミハイルだけでなく、サヤはいつものように生徒会の業務に忙殺され、ヤイコは今日は"リアルファイト"の方をしに行くらしい。

 ツルギが後から来るとはいえ、実質三人だけと言うことだ。

 

「ふーん、まぁいんじゃない?たまにはそう言う日もあるっしょ」

 

 軽く欠伸をしながら、マイはダイバーギアを閉じる。

 

 

 

 

 

 GBNにログイン、ディメンションへダイブした三人は、早速ミッションカウンターで今日のミッションを選択していた。

 その中で、目に止まる項目を見かける。

 

「『期間限定ミッション』だって」

 

 ハルナがそれを指したのを見て、ユイもそれにつられる。

 

「ミッション内容は?」

 

『世界の歪み』と言うミッション名のそれをスワイプしてみる。

 

 月にある専用サーバーを通過し、到着先でランダム指定される敵機を全滅させればクリア、と言うものだ。

 つまり、ミッションが始まるまで何が出現するか分からないので、事前の対策などが効かないというわけだ。

 

「なんか面白そうだね、これでいいかな?」

 

 ハルナはユイとマイの同意を求め、姉妹揃って頷いたのを見てから、期間限定ミッション『世界の歪み』を受注する。

 

 

 

 

 

 月に向かうためには、まずは大気圏を離脱しなくてはならない。

 フォース・ロイヤルナイツとのフォースバトルの際に利用したシャトルに乗り込み、マスドライバーを通じて重力を振り切る。

 その後は進路を変更しつつ、月のある方向へ向かう。

 

 GBNにおける月は、フォン・ブラウン市やD.O.M.E.のハイパーマイクロウェーブ送電基地など、ガンダムにおける"月"に関する施設が再現されている。

 ディメンション内にもしっかりと月の重力は再現されており、接近するとシャトルがそれに引かれる。

 シャトルを月面基地に着陸させてから、ハルナの姫武者頑駄無、ユイのガンダムヘビーバスター、マイのハンブラビが格納庫から出撃する。

 

「それで、専用サーバーってのは?」

 

 ハンブラビはMA形態に変形、背部のフィンスラスターにガンダムヘビーバスターを乗せながら、マイは二人にそれを質問する。

 

「ほら、ちょうど上にあるアレだよ」

 

 姫武者頑駄無の指先が上の方向を指せば、そこには確かにダイバーギアを模したような形状のサーバーゲートが見える。

 回り込むように上昇し、サーバーゲートへ突入する。

 

 

 

 

 

 サーバーゲート通過中、ユイが最初に口を開いた。

 

「世界の歪みって、何の喩えかしら」

 

 それに答えるように、ハンブラビの上に乗るガンダムヘビーバスターの隣にいる、ハルナの姫武者頑駄無の頭がそちらへ向く。

 

「んー、多分『00』に関係した何かじゃないかな。世界の歪みって言葉も、そこから取られてると思うし」

 

 国連軍とかアロウズが相手かなー、とハルナが言う側で、マイはハンブラビの全天周囲モニターが映し出している中、ハルナとユイが見ていない背後に目を向けている。

 

「(なんか、バグってる……)」

 

 マイが見ているのは、サーバーゲート内に生じている、文字化けした空間だった。

 GBNのディメンション内ではさして珍しい光景ではなく、普段ならマイも無視していただろう。

 それを無視しないのは、理由があった。

 

「(しかも、なんか広がってきてるし……ヤバいかも)」

 

 そのバグが、まるで後ろから追いかけて来るように広がってきている。

 見て見ぬふりをやめて、マイは二人に警戒を促すことにした。

 

「えー、二人とも緊急事態です。あたし達の背後からバグが迫ってきておりまーす」

 

「「えっ!?」」

 

 マイの声でようやく気付いたのか、ハルナとユイも後ろに目を向ける。

 

「ちょっ、何アレ!?これもミッションの一環とかじゃないよね!?」

 

「当たり前じゃないっ、まだバトルフィールドにすら到着してないのよっ!?」

 

 慌てるハルナを、ユイは落ち着かせるように声を張る。

 

「って言うかお姉ちゃんっ、気付いていたならもっと早く教えてよ!」

 

「だってぇ、危ないかどうか分かんなかったんだもーん」

 

 こんな状況でさえ緊張感など欠片もないマイ。お気楽過ぎるにもほどがある。

 

「それよりユイちゃん、もうすぐ到着よ」

 

「えっ、あぁーそうねっ、うんっ」

 

 とりあえず、背後からのバグに巻き込まれる心配はないようで、三人はサーバーゲートを抜けた。

 迫って来たバグも、サーバーゲートから漏れ出すようなこともなく、そこで止まる。

 

 到着したここは、ハルナ達のベース基地周辺と酷似しているが、サーバーごとの特色があるのか、風景が若干異なっている。 

 市街地の郊外に当たる森林地帯に、姫武者頑駄無は着陸し、ガンダムヘビーバスターもハンブラビから降りて着陸、そのハンブラビもMS形態に変形して接地する。

 

「何だったの、今の?」

 

 ハルナは自分達が通ってきたサーバーゲートに向き直る。

 ゲート内はバグにまみれており、通ろうものならどうなるか分からないような状態になってしまっている。

 

「これじゃぁ、もうミッションどころじゃないわね……」

 

 ユイが溜息をつく。

 リタイアして強制帰還しようとコンソールに指を伸ばして入力しようとするが、『ERROR』の赤文字が表示されてしまう。

 

「えっ?」

 

 何度押してみても、『ERROR』ばかりが表示される。

 

「ちょっと、どうしてリタイア出来ないのよ?」

 

「あー……あたしこれ何か分かったっぽい」

 

 マイが何かに気付いたらしく、ポンと手を打った。

 

「ブレイクデカールの副作用とかで、リタイア出来なくなることもあるんだけどね、これってそれの延長線って感じ?」

 

 マイのその答えに、ハルナは愕然とする。

 

「じ、じゃぁ、リタイア出来ないのって、あのサーバーゲートのバグが原因で、わたし達閉じ込められちゃったってこと……?」

 

「多分それじゃない?」

 

「……説得力ないから、もうちょっと緊張感持って」

 

 あっけらかんと言うマイに、ユイが緊張感を求めるが、恐らく聞いていないだろう。

 

「ま、焦っても緊張してもしょうがないし、サーバーゲートが回復するまでのんびりしましょ」

 

 そう言うや否や、マイはハンブラビのコクピットハッチを開けて、外に出てしまう。

 

「ちょっとお姉ちゃん!勝手な行動しないでよ!?」

 

 ユイがガンダムヘビーバスターの中から怒鳴るが、そのマイは聞いていないフリをしてふらっと行ってしまう。

 

「もーう、お姉ちゃんったら……」

 

「まぁ、いつものマイちゃんはあぁだからしょうがないね。わたし達も一度ガンプラから降りよっか」

 

 ユイは本日二度目の溜息をつきながらもハルナの意見には賛成し、ガンダムヘビーバスターから降りる。ハルナも同様に姫武者頑駄無から降りて地面に降り立つ。

 

「とりあえず、運営側にこのことを伝えて……」

 

 ユイはコンソールパネルを開いて、運営へのご意見番にバグに関する対応を書き込んで投稿する。

 それを済ませて、さてマイの消えていった方を追いかけようと足を向けた時、コンソールパネルがガンプラの接近を告げてきた。

 

「ん、何だろ?」

 

 ハルナはレーダーの示す方向に目を向ける。

 バグの対応に来るだろうガード機の到着にしては早すぎる。

 すると、マイの消えていった方向から、ガンプラが三機向かってくる。

 

 ピンク色の塗装が施されたビギニングガンダム、オレンジ色に塗り替えられたブルーディスティニー、そしてメタリックカラーのガンダムAGE-2 ダブルバレットの三機。

 何事かと身構えるハルナとユイ。

 だが……

 

「やっほー」

 

 その内、ガンダムAGE-2 ダブルバレットの掌の上から、マイが手を振ってくれている。

 拘束されている分けでは無さそうなので、恐らく敵ではないだろう。

 三機のガンプラはハルナとユイの近くまで来るとマイを下ろし、同じようにコクピットハッチを開けて降りてくる。

 

 ガンダムAGE-2 ダブルバレットからは黒髪をポニーテールにしたダイバーが、ビギニングガンダムからは機体と同じようなピンク色のショートヘアのダイバー、オレンジ色のブルーディスティニーからも同様の色をした三つ編みのダイバーがーーいずれも女子中学生くらいのダイバーが姿を現す。

 

 三人組と、ハルナとユイとの間にマイが立って、チームメイト二人に事情を説明する。

 

「あの子達を偶然見つけたから、とりあえず話を聞いてもらおうと思って連れてきました、まる」

 

「まる、じゃないッ。なに早速巻き込んでるのよ!?」

 

 ユイが怒鳴りながらマイの脳天に手刀を叩き込む。

 

「……双子漫才はいいから、あなた達が何者かを教えてほしいのだけど?」

 

 オレンジ色の三つ編みーー『ルカ』と言うらしいダイバーが、あからさまに警戒しながらハルナ達を睨む。

 

「もー、ルカぴょんったら堅すぎー。そんなんじゃ友達出来ないよー?」

 

 ピンク色のショートヘアーー『ジュンコ』と言うダイバーが、ルカの後ろから手を伸ばすと頬を引っ張る。

 

「ほらほらー、もっとにこにこーって」

 

「よ、よへぃにゃうぉふぇわおっ……」

 

 余計なお世話よ、と言っているらしいのだが、頬の筋肉が伸ばされているせいで上手く発音出来ていない。

 

「って言うかいい加減離しなさいこの爆乳幼女!」

 

「何よー、ルカぴょんのつるぺた、絶壁、0.1mmプラ版ー」

 

「スポーティと言いなさいスポーティとッ!」

 

 漫才をしているのはどっちなのかーー話が進まないのを鑑みて、黒髪のポニーテールーー『ユウ』が恐る恐るハルナに話し掛ける。

 

「あのー……さっき、あっちのサーバーゲートから入って来た人、だよね?」

 

 ようやくまともに話せそうな相手が話し掛けてきたので、ハルナが応じる。

 

「あ、うん。月の専用サーバーを通ってたら、サーバーの中がバグでいっぱいになっちゃって、何とか抜け出せた……ってとこ」

 

「私達も、サーバーのバグが気になってここに来たんだけど、偶然そこの人を見つけた……って感じかな」

 

 ユウの言う「そこの人」とは、先程までガンダムAGE-2 ダブルバレットのマニュピレーターに乗せていた、マイのことだ。

 

 まずはとりあえず自己紹介と言う事で、ハルナ、ユイ、マイ、ユウ、ジュンコ、ルカの六人が互いに名乗る。

 

「わたしはハルナだよ」

 

「えっと、ユウです」

 

「ユイよ、よろしくね」

 

「ジュンコはねー、ジュンコだよー。どっかのシュラク隊にそんな名前の人がいるけど時限爆弾の解除に失敗して死ぬわけじゃないよー」

 

「マイちゃんでーっす、ちっすちっす」

 

「……ルカよ。で、自己紹介したのはいいけど」

 

 ルカの視線が、再びバグまみれのサーバーゲートに向けられる。

 

「アレがあのままじゃ、ジュンコ達もミッションに出られないんだよねー」

 

 むー、とジュンコが頬を膨らませている。

 

「じゃぁ、どっちにしろここで立ち往生ってこと?」

 

「そうなるわね」

 

 ユイの言葉に頷くのはルカ。

 だが……

 

「いーやいや、そうでもないっぽいよ?」

 

 マイがサーバーゲートの中心を指差す。

 改めて見ても、文字化けした空間しか見えない……が、その文字化けした空間から何かが這い出てきた。

 

 最初に見えたのは、『Gガンダム』に登場する、マスターガンダムの上半身。

 しかし、それより下の下半身は異常に巨大な前脚と後脚で構成されている。

 そこから、四本の砲身に長大な角、広げた翼、そして尻尾のように『ウォルターガンダム』が生えている。

 

「な、何……あの変なガンダム……?」

 

 ガンダム作品への知識の少ないユウが、そのやっつけ仕事のような外観のガンダムを見て、声を強張らせる。

 

「『グランドマスターガンダム』、だね……」

 

 その機体名を言うのはハルナ。

 

 原典作品はマスターガンダムと(名前からして)同じ『Gガンダム』であり、劇中最終盤のデビルガンダムコロニーの動力部でドモン・カッシュ達シャッフル同盟を待ち受ける、ラスボスの前座とも言える機体。

 活躍時間はたった1話の10分にも満たないが、デビル四天王の力を集約させたそれは、チボデーのガンダムマックスターの必殺技である『豪熱マシンガンパンチ』を(ファイターであるウルべ・イシカワの腹筋だけで)跳ね返し、ジョルジュのガンダムローズの必殺技『ローゼス・ハリケーン』を受けながらも悠々と反撃を行い、ドモンのゴッドガンダムの奥義『フルパワー石破天驚拳』すらも無傷で受け切るほどだが、最終的にはハイパーモードを発動したシャッフル同盟五人による合体技『シャッフル同盟拳』によって打倒される。

 

「まさか、アレがバグを生み出していたって言うの?」

 

 ユイは目を細めながら、現れたグランドマスターガンダムを睨む。

 

「だったら話は早いわ、あのグランドマスターガンダムを倒せばサーバーゲートも回復するはず」

 

 ルカはコンソールパネルを呼び出し、瞬時にオレンジ色のブルーディスティニー『オレンジディスティニー』に乗り込み、陸戦型ジムの頭部のバイザー型カメラが発光する。

 

「それなら……」

 

 ユイも同様にガンダムヘビーバスターに乗り込み直し、PSの起動によって灰色の装甲が菫色に染め上げられていく。

 

「よーし、ジュンコもやっちゃうよー」

 

 ジュンコも自分のビギニングガンダム『ビギニングJDガンダム』に乗り込む。

 

「はー、めんどくさ……わざとやられて強制ログアウトしちゃおっかなー、なんてね」

 

 かなり本気の混じった冗談を嘯きながら、マイもハンブラビを再起動させていく。

 

「何だかよく分かんない状況だけど、やるしかないよね!」

 

 ハルナも跪かせた姫武者頑駄無に飛び乗り、立ち上げていく。

 

「メインモニター点灯、パワーユニット異常なし、AGEシステム起動……さぁ行くよ、ガンダム!」

 

 ユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットも、各部センサーと胸部の「A」のマークを輝かせて起動する。

 

 ガンダムAGE-2 ダブルバレット、姫武者頑駄無、ビギニングJDガンダム、ガンダムヘビーバスター、オレンジディスティニー、ハンブラビの六機がサーバーゲートへ各々のカメラアイを向けると、グランドマスターガンダムもそれに反応したのか、コアユニットであるマスターガンダムの上半身が六人に向き直る。

 ガンダムヘブンズソードの左右の翼を広げ、尻尾のウォルターガンダムが牙を剥く。

 

「それじゃーまずは、ジュンコのロケット砲を受けてみろー!」

 

 ジュンコのビギニングJDガンダムは、バックパックから伸びた巨大な火砲ーーパーフェクトガンダムのロケット砲を展開、グランドマスターガンダムのコアユニットに照準を合わせ、引き金を引いた。

 瞬時に、何かが爆発したかのような轟音と共に、大口径の砲弾が吐き出される。

 1/144スケールのガンプラで1/100スケールの武装を扱おうものなら反動は凄まじく、しっかりとその場で踏ん張っているビギニングJDガンダムのフット裏がガリガリと雑草の生い茂る地面を削る。

 放たれた砲弾は、寸分違わずマスターガンダムの上半身に着弾、1/144スケールのそれとは比べ物にならない質量の爆発と共に炸裂する。

 

 しかし、劇中での活躍だけを見れば大して強くないと思われがちなグランドマスターガンダムだが、よく考えてみてほしい。

 

『シャッフル同盟拳』の一撃の元に倒れた……が、逆に言えばそれだけの大技を使わなければダメージを与えることすらままならなかったのだ。

 たかだか大砲の一発をぶち込んだところで、大したダメージなどありはしないだろう。

 事実、爆煙が晴れたところに見えたグランドマスターガンダムは、何事も無かったかのように平然と腕組みしている。

 

「あれれ、さすがにこれじゃ無理かー」

 

 硝煙を上げるロケット砲とグランドマスターガンダムを見比べるジュンコ。

 しかし彼女達は動揺していない、即座に次の攻撃が仕掛けられる。

 

「単発じゃ効かないわ、火力を集中させて一点突破!」

 

 ユイのガンダムヘビーバスターは超高インパルス長射程狙撃ライフルを組み上げ、隣にいるユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットに呼び掛ける。

 

「ユウ、合わせて!」

 

「え、あ、うんっ」

 

 戸惑いつつもユウは頷き、ガンダムAGE-2ダブルバレットは一対のツインドッズキャノンのトリガーを引き出し、ガンダムヘビーバスターに倣うようにその銃口をグランドマスターガンダムへ向ける。

 

 瞬間、超高インパルス長射程狙撃ライフルと、ツインドッズキャノン、三筋のビームが照射された。

 すると、グランドマスターガンダムは腕組みを解き、禍々しい紫色の波動ーー『ダークネスショット』を掌から放った。

 三筋のビームと波動は真正面から衝突し、その余波が雑草を消滅させて地面をめくりあげる。

 高エネルギー同士の衝突が数秒の間続き、やがて相殺された。

 

「……これも効かないわね」

 

「こ、こんなのどうやって倒すの!?」

 

 冷静に結果を読み取ったユイに対し、ユウは狼狽える。

 

「なら、接近して叩くまでよ」

 

 ルカのオレンジディスティニーは、腕部に備えられた四基一対ーー合計八基の内、二本のビームサーベルを抜刀する。

 

「よーし、わたしも!」

 

 ハルナの姫武者頑駄無も火糸薙刀を抜いて構える。

 

 姫武者頑駄無とオレンジディスティニーの二機がグランドマスターガンダム目掛けて突撃するのを尻目に、マイはコンソールパネルに表示されている内容を読み取っていた。

 

「新型ブレイクデカールの影響……んー、まぁ、今はいっか」

 

 思考を一度打ち切って、マイはアームレイカーを押し出し、ハンブラビを変形させて突撃する二機を追う。

 

 向かってくる敵機を見据え、グランドマスターガンダムはガンダムヘブンズソードの翼ーー『ヘブンズダート』を射出、羽根型のミサイルの群れは、姫武者頑駄無とオレンジディスティニーに襲いかかる。

 

「くっ……」

 

 ルカは歯噛みしつつ、オレンジディスティニーの速度を緩めつつヘブンズダートの回避に専念する。

 対するハルナの姫武者頑駄無は、速度をそのままに突っ込む。

 

「バカっ、やられたいの!?」

 

 ハルナを制止しようとするルカだが、彼女の見た光景は信じられないものだった。

 

「おっ、とっ、とっ、ほっ!」

 

 速度を殺すことなく、ヘブンズダートの群れを掻い潜っていく姫武者頑駄無。

 サイズの小さいSDガンダムと言うこともあるが、それ以上にハルナの回避力が尋常ではない。

 何故ならハルナはもちろん、ユイやマイもこの間にカイドウのムリゲークソゲー同然のシミュレーション『地獄の修練』をクリアしたのだ。

 

 この程度の攻撃など、全く問題ない。

 

 ヘブンズダートを掻い潜り、着実にグランドマスターガンダムとの距離を詰めていく姫武者頑駄無とハンブラビ。

 

 これに対しグランドマスターガンダムは、尻尾のウォルターガンダムによるビームを乱射して空から迫るハンブラビを牽制、地上からの姫武者頑駄無にはヘブンズクローを振り翳す。

 

「はいはい、下手な鉄砲ご苦労さんです」

 

 乱射されるビームを前に、マイは軽くアームレイカーを捻り、最小限の挙動だけでハンブラビを回避させつつ、手にしているフェダーイン・ライフルを撃ち込んでウォルターガンダムを被弾させる。

 

「それっと!」

 

 ハルナは側面から襲い来るヘブンズクローを視認すると同時に火糸薙刀を振るい、巨大な鉤爪を斬り飛ばす。

 

「本体に効かないなら、外から削っていけばいいわね」

 

 それに合わせるように、ユイのガンダムヘビーバスターのダブルガトリングガンを撃ちまくり、ヘブンズクローの関節部に銃弾を叩き込んでいく。

 関節部を攻撃され、ヘブンズクローの動きが鈍ったところで姫武者頑駄無は返す刀の要領で火糸薙刀を一閃、右のヘブンズクローを脚首から完全に切断してしまう。

 

 まるで全ての攻撃を完全に見切り、最初から相手の弱点を熟知しているかのような戦いぶりを前に、ユウは呆然と見ていた。

 

「すごい……」

 

 が、すぐにジュンコのビギニングJDガンダムに肩を叩かれる。

 

「ほらほらユウちゃん、ボーっとしてたらやられちゃうよー」

 

「へっ、あっ?」

 

 気が付けば、グランドマスターガンダムの二対のキャノン砲ーー『グランドキャノン』の砲口がガンダムAGE-2 ダブルバレットとビギニングガンダムJDに向けられている。

 二機はその場から跳躍して放たれた砲弾を回避、ガンダムAGE-2 ダブルバレットはそのまま高速巡航形態に変形、ビギニングガンダムJDはその場で踏ん張り直すと、ロケット砲の照準を合わせ直し、今度はグランドキャノンの砲身のひとつに向けて放った。

 

「今度はどうだー!」

 

 砲身を直撃したグランドキャノンは大きく歪み、再生も難しくなっている。

 しかし、元よりスケール違いの武装を強引に使っているせいか、ロケット砲とビギニングJDガンダムを繋ぐ接続部に亀裂が走り、砕けてしまった。

 

「あ、壊れちゃった」

 

 まいっかー、とジュンコは特に気にすることもなく、ビギニングJDガンダムの接続部を切り離し、代わりに二振りの長剣ーー『バーニングJソード』を抜刀、柄同士で連結させるアンビデクストラス・ハルバードフォームを取る。

 

 ハルナに遅れは取るまいと、ルカのオレンジディスティニーは一度ビームサーベルを納め、ソードライフルによる射撃を行いつつ接近を試み、その後方からはユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットがツインドッズキャノンによる援護射撃を敢行する。

 

 群がって来る虫けら(ガンプラ)達に痺れを切らしたか、グランドマスターガンダムは翼を羽ばたき、『ヘブンズトルネード』を放った。

 森林地帯の木々を薙ぎ倒しながら六人に襲いかかる竜巻。

 ガンダムAGE-2ダブルバレットとガンダムヘビーバスターは飛び下がることで攻撃範囲から逃れつつ、それぞれツインドッズキャノンとダブルガトリングガンで反撃する。

 オレンジディスティニーと姫武者頑駄無は懐へ飛び込むように、ハンブラビとビギニングJDガンダムは大外回りから迂回しつつウインドファイヤーを回避する。

 

 その内、懐に飛び込むオレンジディスティニーは、ソードライフルの銃口からビームサーベルを発振させて、グランドマスターガンダムの右の爪先へ突き立てる。

 が、元より装甲が分厚く強固なグランドガンダムの前脚だ、外からビームサーベルを叩きつけてもほとんどダメージが入っていない。

 

「チッ、さすがGガン機……バカみたいに堅いわね」

 

 舌を打つルカの側面を、ハルナの姫武者頑駄無が飛びかかる。

 

「ダメダメ、こう言うのは……」

 

 火糸薙刀を腰溜めに構え、

 

「弱い部分を狙わないとっ!」

 

 振り上げるように一閃、鈍色の刃はグランドマスターガンダムの右前脚の関節部の裏側から切断してしまう。

 前脚を斬り飛ばされて、グランドマスターガンダムはバランスを崩してよろめく。

 

「ね?」

 

「ね?じゃないっ、どうやったらそんなことが出来るのよッ!?」

 

「んー、頑張ったから?」

 

「……訊いた私が悪かったわ」

 

 ヘブンズダートの回避と言い、これと言い、常識外れなことを二度も見せつけられて、ルカは嘆息をつく。

 間髪を入れず、グランドマスターガンダムは背部から伸ばした長大な二本の角ーー『グランドホーン』から雷を集束、『グランドサンダー』を姫武者頑駄無とオレンジディスティニーに降り落とすが、即座に反応したルカとハルナはアームレイカーを引き下げて後退、グランドサンダーをやり過ごす。

 

 一方、大外回りから回り込むビギニングJDガンダムとハンブラビ。

 

「喰らえっ、ジュンコ流フレアファイヤーフレイムフェニックス……えーっとえーっと、バーニングJソード!」

 

 ビギニングJDガンダムは連結させたバーニングJソードを頭上で振り回し、ソードインパルスガンダム並のサンライズパースまで決めると、刀身に炎が燃え上がる。

 そこまでを決めてから、ビギニングJDガンダムはグランドマスターガンダムのコアユニットに飛びかかる。

 それを阻止すべくウォルターガンダムが牙を剥き出してビギニングJDガンダムに噛み付かんと迫るが、その手前で止まってしまう。

 

「はーい、あんたの相手はこっちよー」

 

 マイのハンブラビが、ウォルターガンダムの蛇腹状の胴体に海ヘビを絡みつかせて強引に引っ張り上げているからだ。

 

「んでもって、ほいっと」

 

 引っ張り上げたウォルターガンダムの後頭部に、ハンブラビのスタビライザー『テールランス』を突き刺した。

 テールランスを引き抜いて、穴を穿ったところへ腕部クローを突っ込ませ、その内部で袖口に備えられているビームガンをゼロ距離で連射する。

 内部にビームを何発も叩き込まれ、さらに海ヘビによる高圧電流も加わり、ウォルターガンダムは爆散した。

 ウォルターガンダムによる妨害を逆にマイが妨害したことで、ジュンコのビギニングJDガンダムはマスターガンダムの上半身に肉迫する。

 

「とりゃー!」

 

 炎刃を纏うバーニングJソードに対して、グランドマスターガンダムはビームクロス『マスタークロス』を槍のようにして構えて迎え撃つ。

 紅炎の剣と紫闇の槍が衝突し、両者の間にスパークが迸る。

 ビギニングJDガンダムはその場で弾き、逆のバーニングJソードで斬り返そうとするが、グランドマスターガンダムはこれも同じようにマスタークロスで弾く。

 鏡合わせのような剣戟が何度か続いたところで、ジュンコは一度ビギニングJDガンダムを後退させ、それに合わせてマイのハンブラビも再びMA形態に変形、その場から急速離脱する。

 ジュンコとマイの二人と入れ替わるように、ユイのガンダムヘビーバスターとユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットの二機が、有効打撃を与えられるだろう間合いにまで接近し、中距離射撃を敢行していく。

 

「これでッ!」

 

 ガンダムヘビーバスターは残弾を惜しむことなくダブルガトリングガンと350mmガンランチャー、さらに肩と脚部のミサイルポッドを全弾発射、無数の銃弾とミサイルがグランドマスターガンダムの破損した部位に降り掛かる。

 

「私だって!」

 

 銃弾とミサイルが着弾した部位を抉るように、ユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットのツインドッズキャノンが撃ち込まれ、グランドマスターガンダムの装甲が内部から喰い破られていく。

 

 これだけの攻撃を重ねても、グランドマスターガンダムは機体のDG細胞によって少しずつ自己再生してしまう。

 

 断続的にダメージを与えなければ、キリが無くなる。

 

「もういい加減に決めたいわね」

 

 ルカのオレンジディスティニーはソードライフルを納めると、右腕のコンテナラックに納められた四基のビームサーベルを纏めて左マニュピレーターで抜刀する。

 四本のビームクローのような形を取ると、空になった腕部コンテナはパージ、これで少しは腕が軽くなる。

 

「んじゃあたしはテキトーに前出て引っ掻き回すから、後はよろー」

 

 そう言うや否やマイはハンブラビを反転させ、グランドマスターガンダムに突っ込む。

 単騎で向かってくるハンブラビに、グランドマスターガンダムは再生したヘブンズダート、残る三門のグランドキャノン、グランドサンダー、ダークネスショットを一斉に放つ。

 向こうも撃墜されないことに必死になっているのか、複数の武器を同時に使って対処してくる。

 

 が、そんなやぶれかぶれ、あるいは苦し紛れの攻撃など、マイに言わせてみれば「ヌルい」のだ。

 

 ダークネスショットとグランドサンダーを直撃する寸前で、ハンブラビを翻させて回避、同時にMS形態へ変形しつつフェダーイン・ライフルの銃床に当たる部位からビームサーベルを発振、演舞のように振り回し、降り注ぐヘブンズダートをそれで斬り飛ばしていき、それを行いながらも背部ビームライフルを連射してグランドキャノンの砲弾も撃ち落とす。

 

 グランドマスターガンダムの注意がマイのハンブラビ一機に向けられている内に、残る五人は攻勢に出る。

 

「EXAMシステム、スタンバイッ!」

 

 ルカは武装フォルダから赤文字で『EXAM』と表示されたそれを入力、オレンジディスティニーの緑色のゴーグル状のカメラアイが紅く発光する。

 

 GBNにおけるEXAMシステムは、設定にある"暴走"の危険は無く、トランザムなどと同じく『一定時間機体性能を引き上げる反面、ガンプラの性能によっては負荷に耐え切れずに自壊する恐れもある』と言うものだ。

 

 しかしながら、ルカのオレンジディスティニーはその高い完成度によるものか、自壊するような様子もなく、出力の引き上げられた四基のビームサーベルを手にグランドマスターガンダムへ突撃する。

 ある程度の距離に踏み込んだ辺りでオレンジディスティニーは跳躍、左手の四基のビームサーベルを投げナイフのように投擲した。

 放たれた四基のビームサーベルはグランドマスターガンダムの腹部ーー本来のグランドガンダムのダクト部に突き刺さる。

 投擲した動作から流れるように接近、その最中に左のコンテナラックからも四基のビームサーベルを抜刀、こちらは左右のマニュピレーターに二本ずつ保持させての二刀流を構える。

 四基のビームサーベルが刺さった部分に左右二対のをビームサーベルを突き立て、さらにその距離から頭部と胸部のバルカンを一斉ゼロ距離射撃を行う。

 バルカンを撃ち尽くしたオレンジディスティニーは飛び下がりつつ、八基のビームサーベルが突き刺さった部位へソードライフルを連射する。

 中央部へのダメージが重なり、グランドマスターガンダムはよろめく。

 

 それに続くように、ガンダムヘビーバスターは距離を置き、ダブルガトリングガンを破棄すると、対装甲散弾砲を組み上げ、照準をマニュアルモードに切り替えると、ユイはターゲットスコープを覗く。

 

 オレンジディスティニーとハンブラビの二機に攻撃を集中させているグランドマスターガンダムは、ガンダムヘビーバスターが狙いを付けていることに気付いていない。

 

 ターゲット・ロックオン。

 

「撃つ!」

 

 引き絞られるトリガーと共に、対装甲散弾砲が炸裂する。

 とは言えグランドマスターガンダムのような相手に、遠距離からの散弾など有効打にはならない。

 事実、放たれる散弾はグランドマスターガンダムの堅牢な装甲の前に弾かれている。

 だが、ユイとしては『別に撃ち抜けなくとも良い』。

 

 その狙いとは、グランドキャノンのーー砲身の中。

 

 対装甲散弾砲による多数の砲弾の一部が、その無駄に口径の大きいグランドキャノンの内部に進入し、その砲身の中で装填されている砲弾に着弾ーー爆発する。

 再生しかけていた物も含めて、二対のグランドキャノンは内部から粉々に吹き飛ぶ。

 これにより、グランドマスターガンダムはこれまでよりも大きくバランスを崩す。

 

「ジュンコも遅れないよー!」

 

 ビギニングJDガンダムは連結させたバーニングJソードを手に再度回り込み、グランドマスターガンダムの翼に飛びかかる。

 対するグランドマスターガンダムもヘブンズダートを再生させ、それをビギニングJDガンダムに放つ。

 

「とりゃりゃりゃりゃりゃー!」

 

 しかしビギニングJDガンダムはバーニングJソードを前面に向け、ビームナギナタのように高速回転させて炎のシールドのようにしてヘブンズダートを弾き返していく。

 ヘブンズダートを全て防ぐと、その勢いのまま肉迫し、炎の竜巻と化したバーニングJソードは、グランドマスターガンダムの翼をズタズタに斬り刻んでいく。

 

「トゥッ、トゥッ、ウオォッ、トゥッ、ヘヤァーッ!トゥッ、これで終わらせる!トゥッ、ウオォッ、トゥッ、トゥッ、ヘヤァーッ!貴様を援護する、ザフトの軍人をな!フアァァァァァッ!トゥッ、ヘヤァーッ!イャーッ!もうやめるんだ!」

 

 完全に別ゲーのアスランになりきりつつ、トドメとばかりビギニングJDガンダムはバーニングJソードを切り離して二刀流に戻すと、翼を失ったグランドマスターガンダムの背中に思い切り叩き付ける。

 

「それじゃぁ、わたしも便乗しちゃおーっと」

 

 ビギニングJDガンダムの隣に取り付くのは、ハルナの姫武者頑駄無。

 火糸薙刀を斬り刻まれた翼の根本に突き刺すと、その突き刺した部分に雷振火音を撃ちまくる。

 ついでに凍度駆内も差し込み、それを踏み押すようにして蹴り付けると、ビギニングJDガンダム共々離脱する。

 

 ヘブンズクローと右前足を斬り飛ばされ、尻尾のウォルターガンダムは撃墜され、グランドキャノンは粉々にされ、翼はズタズタにされと、もはや原型を留めないレベルの損傷を被るグランドマスターガンダム。

 

 なおも抵抗しようと、グランドマスターガンダムはグランドサンダーを放とうとするが、その目の前にユウのガンダムAGE-2 ダブルバレットが立ち塞がる。

 

「ガンダムッ!」

 

 ツインドッズキャノンを切り離し、その基部より大型ビームソードを発生させる。

 振り抜かれる大型ビームソードがグランドホーンを斬り落とす。

 残された左のヘブンズクローで掴みかかろうとするも、これも大型ビームソードで切断されてしまう。

 

 悪足掻きのつもりか、ダークネスショットを集束しようとするグランドマスターガンダム。

 ガンダムAGE-2 ダブルバレットは大型ビームソードを振り上げ、

 

「これがっ、ダブルバレットの力だぁぁぁぁぁッ!!」

 

 最大出力で振り下ろした。

 コアユニットであるマスターガンダムの頭部から、グランドガンダムの股間までを真っ二つに斬り裂いた。

 

 DG細胞による自己再生も間に合わず、各部を爆発させながらグランドマスターガンダムは砕け散っていった。

 

 グランドマスターガンダム、撃墜。

 

 バグの根源だったろうグランドマスターガンダムの撃墜によって、サーバーゲートのバグはGBN本来のセキュリティーによって次々に修復され、元の姿を取り戻すのはそう時間のかかることではなかった。

 

「あー、やっとこさ帰れるわねぇ。じゃ、バイバーイ」

 

 マイのハンブラビは軽く手を振ってから、MA形態に変形するなりさっさとサーバーゲートを潜ってしまう。

 

「ちょっ、お姉ちゃん!……もう、なんであぁもマイペースなのかしら」

 

 マイの"マイ"ペースぶりに、ユイは本日三度目の溜息と共に頭が痛いと言わんばかりに片手で顔を覆う。

 

「まぁまぁいいのいいの、無事に帰れるっぽいし」

 

 でもその前に、とハルナはユウ達三人に向き直り、ユイもそれに倣う。

 

「じゃぁ、ユウちゃん、ジュンちゃん、ルカちゃん、またね」

 

「楽し……かったかどうかは分からないけど、悪くはなかったわ」

 

 ガンダムAGE-2 ダブルバレット、ビギニングJDガンダム、オレンジディスティニーの三機も、ハルナとユイに向き直った。

 

「うん、また会えたら会おうね」

 

「ジュンコはいつでも待ってるからねー」

 

「……出来ればトラブルは無しでお願いしたいわね」

 

 三者三様の言葉を交わしてから、姫武者頑駄無とガンダムヘビーバスターはハンブラビの後を追うようにサーバーゲートを潜って行った。

 

 

 

 

 

 月面基地にまで戻ってくると、既にマイはログアウトしたらしく、ログイン状態からログアウト状態に切り替わっている。

 それにユイが呆れているのを尻目に、ハルナは月の専用サーバーゲートに振り返る。

 

「結局、何が原因でこんなことになったのかな?」

 

「さぁ……でもそのせいで、ミッションは時間切れで失敗扱い、契約金のビルドコインだって返ってこないし、骨折り損のくたびれ儲けで散々よ……」

 

「でもまぁ、たまにはこんなのもいいんじゃないかな?見知らぬ誰かと協力するって言うのも」

 

「……それはそうなんだけど」

 

 今日は溜息をついてばかりのユイを諭しながら、ハルナはベース基地へ戻るためのシャトルに姫武者頑駄無を乗り込ませる。

 ユイもそれに続いてガンダムヘビーバスターを乗り込ませて、シャトルの操縦席に移動する。

 

 大気圏突入に成功、ミッションには失敗したものの、無事にベース基地に帰還した。

 

 

 

 

 

 一足先にログアウトしていたマイは、カゲトラと連絡を取っていた。

 マイは今回起きたことを話したところ、カゲトラはこのような反応を示した。

 

『ほーぅ、それは興味深いな』

 

「あたしは今回の事を、ただのバグやエラーの影響だなんて思っちゃいないけど……」

 

『イチノセ姉よ、"量子論"についての理解はあるか?』

 

「太陽炉の話じゃなくて、あんたが言いたいのはもっと非科学的な運命決定論とか、そう言うオカルト混じりの話でしょ?」

 

 そんなもん普通の学生が分かるわけないでしょ、と切って捨てるマイ。

 

『ふむ、詳しく話そうと思えば話せなくもないが、それは今後と言うことにしよう』

 

 俺に言わせてみれば、とカゲトラは前置きを置いた。

 

『恐らくその三人がいたサーバーと言うのは、『今この次元に存在しない異世界のサーバー』だろうな』

 

「大雑把に説明お願い」

 

 まともに詳しく話そうものなら年単位の時間と議論が必要になるだろうと思い、"大雑把"にと付け加えるマイ。

 

『簡単に言えば、転生や憑依、あるいは完全なワープによって、主人公が異世界で無双したりハーレムしたりするラノベやマンガがあるだろう?』

 

「なんとなくは分かった。いや、分かってないけど」

 

 それさえ分かれば問題ない、とカゲトラは頷く。

 

『つまり、ワープ先の世界でも"たまたま"GBNと言うネットワークゲームがあり、"たまたま"繋がってしまった、ところだろう』

 

「理解はしてないけど、納得はした」

 

『……以上で、定時連絡は終わりか?』

 

「ん。以上」

 

『では、この事も一応准将に報告しておこう。さらば!』

 

 それだけ告げて、カゲトラは通話を切った。

 マイはケータイを懐に戻すと、「なんか、どんどんめんどくさいことになってきたわねぇ……」と呟いた。

 

 

 

 

 

【次回予告】

 

 ツルギ「イフリート・エスパーダも完成したんだ、どこかのフォースとバトルしてみたいところだな。ついでに次元覇王流拳法のことも」

 

 ハルナ「新しいフォースネストが欲しいッ!」

 

 ユイ「いきなりどうしたのハルナ……まぁいつまでも初期設定のままじゃ味気ないものね」

 

 サヤ「ミツキ、いい物件はあるかい?」

 

 ミツキ「そうですね……ぜひ紹介したいフォースネストがあるのですが、実は別のフォースもそのフォースネストを狙っています。なので、ここはそのフォースとバトルして、勝った方が譲り受けると言うのはどうでしょう?」

 

 ミーシャ「なるほど、実力を示せってことですね……」

 

 ツルギ「次回、ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツ

 

『月下に雷鳥が舞った』

 

 勝っても負けても、恨みっこはなしだ」

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