ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツ   作:さくらおにぎり

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22話 天帝は自由と正義を謳う

 メトロニア・サーバー。

 このエリアには、かつての中世紀に存在したような王城が聳え立っているが、これもれっきとしたフォースネストのひとつだ。

 そのフォースネスト内の執務室で、二人のダイバーは席について向き合っていた。

 

 片方は金髪をした壮年の男性、もう片方は可愛らしいフェレットのような獣人。

 

「……ポイントゼロでの戦闘が始まったようだな」

 

 フェレットは、そのもふもふした見た目からは想像し難いほどの、コーヒーのような渋味ある声で、目の前にいる金髪の男性に声を掛ける。

 

「彼らのような若者が脅威に立ち向かっていると言うのに、我々大人はこうして見ているだけしか出来ないとは、歯痒いとは思わないか、"チャンピオン"」

 

「頭に"元"を付けてくれ、"大佐"。もう僕はチャンピオンではないのだから」

 

 チャンピオンと呼ばれた男性は、その称号で呼ばれることに苦笑しつつ否定する。

 

「それに、歯痒さを覚えても仕方がない。現実問題、我々ではどうすることも出来ない。僕や大佐がポイントゼロに向かったとしても、門前払いされるのは火を見るよりも明らか」

 

「……と言う割には、あまり悲壮感が見えないな」

 

 "大佐"と呼ばれるフェレットは、何も出来ないと言う金髪の男性の表情に陰りがないことに目を細める。

 

「そうだな。あの『ELダイバー』に対抗出来るような者が現れなければ、僕もそうだったかもしれない」

 

 だが、と言葉を紡ぐ。

 

「今は彼ら、フォース・スピリッツのダイバー達がいる。彼らがどうやってポイントゼロにまで漕ぎ着けたのかは分からないが……」

 

「"リク"君達を思い出したのか?」

 

「大佐とてそうだろう?屈することなく、諦めることなく、幾度となく困難を打ち破ってきた彼らに、その面影を重ねてしまうのも」

 

「「新しい時代を作るのは老人ではない」、と言うことか」

 

 フェレットはクワトロ・バジーナの名言を例えに用いた。

 

「彼らにこそ、GBNの未来を託すに相応しい……と言うのは年寄りのぼやきかな?」

 

「「楽しむだけなら生涯現役」と言う君の言葉とは思えないな、ふっ……」

 

 おかしそうに苦笑する金髪の男性に、フェレットもまた重苦しい表情を和らげた。

 

 かつては、チャンピオンとして世界に名を馳せた男と、そのチャンピオンと双璧を誇った智将。

 二人は心静かに、次の時代のダイバー達の戦いの行く末を待つことにした。

 

 

 

 

 

 侵食汚染されたトンネルを駆け抜ける、マスラオヘブンズクラウドと桜花姫頑駄無。

 最後にカゲトラのザクⅠを背にしてから、既に数分が経っている。

 ツルギとハルナは、カゲトラの案内によってここまでほぼ最短で進んで来ているが、サヤ、ミーシャ、ユイはどこまで進入出来ているのか。

 

「他のみんなが心配か?」

 

 ハルナが不安げになっているのを察したのか、ツルギは声を掛けてやった。

 

「うん……通信も届かないし、不安だよ」

 

「そんな心配しなくていいだろ。あいつらは俺達の仲間だ、そう簡単にやられはしない」

 

 それに、とツルギは力強く前に向き直る。

 

「ここまで来たんだ。今は、俺達二人がやれるところまでやるしかない。そうだろ」

 

「そうだね……うんっ」

 

 ツルギと言葉を交わすことで少しは勇気を取り戻したらしく、ハルナも頷き返す。

 

 

 

 ふと、開けた場所に出た。

 ドーム状の空間に、大理石を敷き詰めた青白い宮殿のような部屋だが、ここだけがルビスシステムによる侵食汚染を受けていない。

 

「ここが最奥部か……」

 

 その最奥にある玉座に腰掛けているのは、幼き純白の女王クイーン。

 

 ツルギとハルナは油断なく身構えつつ、その玉座に近付く。

 

『ようこそ、フォース・スピリッツの諸君』

 

 頬杖を付きながら、『サラ』はマスラオヘブンズクラウドと桜花姫頑駄無を見据える。

 

「ELダイバー……『サラ』か」

 

 マスラオヘブンズクラウドは『イザナギ』『イザナミ』を抜刀、『イザナギ』のビーム刃の切っ先を向ける。

 

『よくここまで来れたね。それは褒めてあげ……』

 

「そんなことはどうでもいい」

 

 傲慢に二人を見下す『サラ』の言葉を、ツルギは切り捨てた。

 

「今すぐこのGBNを元に戻せ!さもなけりゃ……」

 

『さもなけりゃ?』

 

「ここで、消してやるよ」

 

『ふぅん?「消してやる」か……』

 

 明らかな敵意と殺意を向けられていようと、『サラ』はニヤニヤとした笑みを消さない。

 

「ツルギくんは、やるって言ったら本気でやるよ。……後悔、しても知らないよ」

 

 桜花姫頑駄無も、『孔雀』の九つの砲口を向ける。

 

『いいよ。消したいのなら、僕を消せばいいさ』

 

 不意に『サラ』は二人の発言を肯定した。

 

『でも、君達はそれでいいのかな?』

 

「何を言って……」

 

『ここで僕が消えるとしよう。そうすればGBNは元に戻ると、君達はそう言うんだね?』

 

 突然、『サラ』の表情から笑みが消える。

 

「……お前が運営を乗っ取ったから、それを止めにここに俺達がいるんだろうが」

 

 他にどんな理由がある、とツルギは反論するが、『サラ』は物悲しそうに『そうか……』と呟いた。

 

『それが、君達の"正しさ"なんだね』

 

 今度は、隠し切れないほどの怒りを込めて。

 

『命を命とも思わない、動物以下の卑小な行いが、正しいんだと、この僕に向かって言うのかい……』

 

 ついに、怒りを隠すこともやめた。

 

『気 に 入 ら な い ね !!』

 

 怒りのままに拳を振り下ろし、玉座の手すりを殴り壊すと、その勢いのまま立ち上がった。

 

『そうかいそうかいそうかい!結局お前達"人間"は!僕達電子生命体を!虫ケラか何かとしか思っていないのかいッ!』

 

 黙って言われるままではない、ツルギも語気を荒げて応酬する。

 

「そうやって俺達のような"人間"を「そうだ」と、勝手に決めつけているのはお前の方だろうが!ELダイバーを守りたいって言うんなら、もっと他に道はあったんじゃねぇのか!」

 

『なら、その他の道ってのはなんだい?それを僕に教えてみろ。……いいや、教えられるわけがない!他に道が無かったから消すしか無かったんだろう!?』

 

「自分勝手な解釈をしてんじゃねぇッ!」

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

『……ハァッ、これ以上の問答は無用だね』

 

 わざとらしく溜息を吐くと、『サラ』はその名を呼んだ。

 

『"プロヴィデンス"!!』

 

 その呼び声に応じるように、宮殿の天井が突き破られ、その上から黒灰色をした"繭"が現れる。

『サラ』は玉座から飛び立つと、ハッチの開いている黒灰色の繭の中に滑り込み、ハッチが閉じられる。

 一拍を置いて、ダークグレーの繭が色付き始め、黒くなる。

 フェイズシフトが起動したことにより、装甲に電圧が加えられたのだ。

 

『僕は、自分自身が指導者になって電子生命体達の自由を守ることが正義だと信じている!その自由を否定することが君達の正義だと言うのなら、力尽くで否定してみせろ!』

 

 そして、その身を包んでいた繭は破られーー否、それは繭ではなく、閉じられた"翼"だった。

 

『この僕のガンプラーー『クラティアプロヴィデンスガンダム』を、倒せるものならね!!』

 

『支配の天帝』は、その黒翼を羽ばたかせた。

 

 

 

 

 

 ポイントゼロ宙域。

 ビーム弾と銃弾のスコールが四方八方から降り注ぎ、それらは蛇威雄音の装甲に着弾しては炸裂していく。

 しかし、ヤイコはそれらをものともせずに、ただ一点を目掛けて突撃する。

 彼女の狙いは、このNPD機達を操っているだろう、トールギスコンダクターのみ。

 

 不意に、NPDリーオーの一機がビームサーベルを抜き放って接近してくるが、蛇威雄音はNPDリーオーの頭部を殴り潰して破壊する。

 

 その破壊したNPDリーオーの下から飛び掛かって来るようにGBNガードフレームもビームサーベルを振るおうとするが、蛇威雄音はこれを右手の裏拳で殴り飛ばす。

 

 さらにもう一機、NPDリーオーが組み付こうと迫りくるが、蛇威雄音はそれを踏み潰しながらそれを足場にして跳躍。

 

 そして、ようやくトールギスコンダクターに接近することが出来た。

 

「オラァッ、覚悟しやがれ!」

 

 蛇威雄音は右の拳を振り下ろそうとするが、トールギスコンダクターは流れるような動作でレドームシールドの裏からビームサーベルを抜刀、それで蛇威雄音の拳を迎え撃つ。

 蛇威雄音のマニュピレーターがビームサーベルに触れても切断されないのは、手首そのものが1/100スケールと言う高密度のパーツで作られていることもあるが、もうひとつ理由がある。

 それは、ヤイコが元々『ジャイオーン』を肉弾戦に特化改造するために、多数のジャンクパーツを張り合わせて硬く重くして、重くなって下がった機動性は十字形のフレキシブルスラスターで強引に補強。

 その結果、頭部のフォトンレーザー砲すらも飾りとなり、余剰出力は全て装甲材のフォトン装甲とフォトンフレームに回されているため、物理的な装甲強度に加えて過剰とも言える出力配分によって、デタラメな防御力を誇る。

 拳とビームサーベルが、ほんの数秒だけ鍔迫り合いを演じると、ヤイコは瞬時に左のアームレイカーを突き出し、蛇威雄音は左の拳でトールギスコンダクターを殴りつけようとするが、その相手は両肩のスーパーバーニアを逆噴射させて蛇威雄音の間合いから逃れてしまう。

 

 両者の間合いが離れると同時に、蛇威雄音のあらゆる方向から射撃が降り注がれる。

 

「クソッ、やっと殴れるってのによ!」

 

 ビーム弾、銃弾を拳で殴り払いながら、蛇威雄音はもう一度トールギスコンダクターに近付こうとするが、その間にまた何機ものNPD機が立ち塞がってくる。

 

「邪魔しやがって……ッ」

 

 しかし、蛇威雄音は横殴りの一撃を受けて吹き飛ぶ。

 

「ぐぁっ!?」

 

 その一撃を皮切りに、NPD機達は蛇威雄音に対する射撃から、体当たりや蹴りと言った直接打撃を仕掛けてくるようになった。

 この程度の打撃を喰らった程度で、蛇威雄音の装甲は突き破れはしない。

 だが、いくら蛇威雄音の装甲が頑強だろうと、その中にいるヤイコへの衝撃は完全に殺しきれない。

 機体を破壊することは出来なくとも、ダイバーを圧死させることは可能というわけだ。

 

「クッ、ソがぁッ……!」

 

 これでは埒が明かない。

 しかし蛇威雄音は既に、逃げ場を失っていた。

 上下左右前後、どこへ行こうとしても、NPD機による直接打撃が待ち受けている。

 逃げ場を失っていた、と言う認識すらさせないほど、ありとあらゆる方向からNPD機達の直接打撃が蛇威雄音にーー否、ヤイコに襲いかかる。

 

「がっ、グッ、ぎィッ、がはッ、ぁっ」

 

 前から後ろから右から左から上から下から、圧力と言う名のミキサーがヤイコを擦り潰していく。

 機体の損傷は決して重いものではない。

 だが、それよりもヤイコへのダメージの方が遥かに大きい。

 常日頃から、喧嘩と言う荒事に身を曝しているヤイコで無ければ、とっくの昔に動けなくなっていただろう。

 

 何度攻撃を受けたのか分からなくなった頃、ヤイコの蛇威雄音はポイントゼロの基地の外壁に叩き付けられた。

 蛇威雄音の装甲はあちこちが凹み、亀裂が走っている。

 

 ヤイコは蛇威雄音のコクピットの中で、片膝を着きかけていた。

 それでも左右のアームレイカーは絶対に離していない。

 

「……、…………、ブッ」

 

 ギリリと歯軋りをしてから、唾を吐いた。

 感覚の無いダイバーの生身が、酷く重く感じる。

 身体の節々が、自分のモノのはずが、まるで触れたことのないモノのようだ。

 

 自分以外のメンバーはもう内部に突入していっただろう。

 しかし、ここでヤイコが退転すれば敵も追ってくる。

 それよりも、何よりも、

 

「(あのフルメタルなんたらの前で、ケツ見せて逃げるなんざ、まっぴらごめんだからなァ……)」

 

 前方を見据えれば、トールギスコンダクターを中心に、まだ何百機もいるだろうNPDリーオーとGBNガードフレームが雲霞のごとく立ち並んでいる。

 見るからに絶望感しか無いような光景。

 だがそれらを見据えるヤイコは、懐から飴玉を一口放り込んで噛み砕きーー不敵に笑った。

 

「へっ……さぁて、カラスノ・ヤイコ、一世一代の大勝負と洒落込もうじゃねぇかァ!!」

 

 アームレイカーを殴るように押し込み、蛇威雄音のフレキシブルスラスターが咆哮を上げた。

 猛烈な速度で加速し続ける蛇威雄音に、NPD機達は一斉にマシンガンやビームガンで迎え撃つが、ヤイコはそれを避けもせずに、ただただ愚直なまでに直進する。

 距離が縮まっていくにつれて、何機かのNPD機が接近しては、先ほどと同じような直接打撃を喰らわせようとする。

 NPDリーオーの一機が左肩のシールドから体当たりを仕掛ける。

 しかし、蛇威雄音を吹き飛ばすはずのその一撃は逆に弾き返され、体当たりを仕掛けたNPDリーオーは彼方に吹っ飛ばされた。

 このポイントゼロと言うエリアは、宙域エリアと同じ、ゼロGの空間だ。

 重力の無い宇宙空間では、高速で動く物体そのものが凶器になる。

 それも、装甲がバカみたいに頑丈な蛇威雄音の、フルスロットルで加速し続けているソレに、だ。

 走っている自動車に、人間が横から体当たりをしかけるのと同じ、限りなく無意味に等しいのだ。

 何機ものNPD機が蛇威雄音を横殴りにしようとするものの、それらは全て弾き返されていく。

 

 見る内に距離が縮まっていく中、トールギスコンダクターはドーバーガンを腰溜めに構え、砲弾に纏わせるためのビームを集束、それを蛇威雄音に向けて照射した。

 

 放たれた高エネルギーに対して、蛇威雄音は両腕をクロスさせて防ぎながらも、加速を止めない。

 文字通り照りつけるようなビームが、蛇威雄音の両腕を焼き溶かしていく。

 

「グッ……うぅおりぃゃァァァァァァァァァァ!!」

 

 乱反射する高エネルギーの波動に視界を埋め尽くされる中、ヤイコは咆哮と共にアームレイカーを前に押し上げる。

 ドーバーガンのビームを、蛇威雄音が逆に押し返していく。

 

 そしてついにーー蛇威雄音がトールギスコンダクターを捕らえた。

 

「つ、か、ま、え、たァァァァァ!!」

 

 蛇威雄音の両手が、ガッチリとトールギスコンダクターの両脇を挟み込み、そのままそれを内側へと押し込んでいく。

 メキメキと嫌な軋轢音を立てられながらも、トールギスコンダクターはビームサーベルを蛇威雄音の首元に突き付ける。

 さすがの蛇威雄音と言えども、やはり装甲に限界が来ていたのか、ビームサーベルの切っ先が胴体へ沈みこむ。

 ビームサーベルの波動がコクピットに流し込まれ、それが容赦なくヤイコに降り注がれる。

 

 それでもヤイコは止まらない。

 

「テメェだけでも、道連れにィッ……!!」

 

 蛇威雄音がトールギスコンダクターを圧壊するのが先か、ビームサーベルの波動にヤイコが倒れるのが先か。

 意識を失いかける中、ヤイコは左右のアームレイカーを中央に押し込み切った。

 

 グシャァッと音を立てて、トールギスコンダクターの動力部が完全に潰れた。

 

 トールギスコンダクター、撃墜。

 

 同時に、周囲にいたNPDリーオーやGBNガードフレームの群れが、電源を切られたかのようにカメラやセンサーを消して沈黙していく。

 

「……ふんっ、どうだ参ったか、この野郎」

 

『…………、……ん、な、に?わ……は、……んな……ろで何…………?』

 

 ふと、動力部の圧懐したトールギスコンダクターから、接触通信ーーノイズまみれのフルメタルシェパードの声が洩れてきた。

 

「あ?フルメタルなんたら?テメェ、生きてたのか?」

 

 確かに動力部は破壊したが、コクピットまでは潰し切れなかった。

 しかし、それによってルビスシステムによる汚染は停止したらしい。

 

『ん?貴様はスピリッツの野蛮なサルか?こんなところで何をやっている?』

 

「……あぁそうか。テメェ、あの『サラ』とか言ってたヤツに操られてたのか」

 

 ヤイコは、フルメタルシェパードが何事か分からないような様子を見て、その原因を察した。

 

 彼もまた、あの『サラ』による被害者だったのだ。

 ルビスシステムに手を染めてしまった(実際には『サラ』が自分で入力していた)が故に、それを『サラ』に付け込まれてしまったのだろう。

 

『操られていただと?私が?』

 

 フルメタルシェパードは信じられないようだが、現にトールギスコンダクターは彼の意志に関係なく動いていた。

 

「テメェはな、あの『サラ』ってヤツの走狗にされてたんだよ。犬だけに、か?」

 

『『サラ』?……エルのことか』

 

 ヤイコはアームレイカーを引き下げて、それに伴い蛇威雄音の腕がトールギスコンダクターを解放する。

 

『……そうか、そう言うことだったか。私もつくづく、無様な男だ』

 

 不意に、独り言のようなフルメタルシェパードの声が届く。

 

『運営を、世界を見返したいがために、愚かな行動を愚かであるとも気付かずに繰り返していたのだな』

 

「……?」

 

 懺悔するように、ポツリポツリとフルメタルシェパードの独白が続く。

 

『そんな行いの末、信じていた相手に騙されて、果てにはこうして利用されていたなど、無様以外の何者でもあるまい……』

 

「んだぁ?急に垢が抜けたみてぇに……」

 

 薄気味悪ぃ野郎だな、とヤイコは怪訝そうに眉間に皺を寄せて、

 急に鳴り響いたアラートに意識を向け直した。

 

「何だ!?」

 

 レーダーにも、先程まで全く無かった敵機の反応が、一気に画面を埋め尽くした。

 それは、停止したはずのNPD機達がアイカメラやセンサーを"赤く"光らせながら再び動き出したのだ。

 

「おいフルメタルなんたら!アタシを嵌めやがったのか!?」

 

『ち、違う!大体、私は意識を失っていたし、トールギスももう動かんのだぞ!?』

 

「テメェじゃねぇなら……あの『サラ』が動かしてんのかっ」

 

 再起動を完了させたNPD機の群れは、マシンガンやビームガンの銃口を、蛇威雄音とトールギスコンダクターの二機に向けてきた。

 

「……万事、休すか?」

 

 

 

 

 

 通路と言う狭い空間では、可変機であるガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルは、その機動性の高さを活かせているとは言えなかった。

 動き回ることが出来ないのでは、必然的に中近距離によるショートレンジでの競り合いを強いられることになる。

 加えて、サヤの目の前にいるガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクが、そもそも中近距離での戦闘力に秀でている機体だった。

 マニュピレーターを介する必要のない腕部のビーム砲は連射が効き、接近戦になれば通常よりもリーチの長いストライククローが襲い掛かり、だからといって後ろに下がって距離を取ろうものなら、一撃必殺のトリプルメガソニック砲に呑み込まれる。

 

「……くっ」

 

 ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルは飛び下がりながらハイパードッズライフルを放って牽制する。

 対するガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは背部のバインダーを翻してそれを往なし、右のストライククローを伸ばした。

 思いの外リーチの伸びるそれは、後ろに下がろうとしていたガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルの左肩に喰い込み、そのまま引き込ませる。

 

「しまっ……!?」

 

 完全にリーチを見誤った。

 ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは左手にビームサーベルを抜き放ち、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルを引き込みながら突き刺そうと迫る。

 

「クソッ」

 

 サヤは瞬時にアームレイカーを捻り、ハイパードッズライフルの銃剣ビームサーベルで相手のビームサーベルを喰い止める。

 鍔迫り合いながらも、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルは右のフリューゲルカノンからビームソードを発振、それを振り下ろそうとするものの、それよりも先にガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクはガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルを蹴り飛ばし、ストライククローも左肩から引き離す。

 結果、振り下ろされたビームソードは足元を切り裂いただけだった。

 両者の距離が開き、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは腕部ビーム砲を向け、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルもハイパードッズライフルを向ける。

 

 互いの銃口を向け合ったまま、動かない。

 

「ローランさん……何故ここで俺の足を止めたがるんですか」

 

 いつ放たれるかもわからないクロービーム砲を睨みながら、サヤはガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクーーローランに問い掛ける。

 

「何故、あの"サラ"の名を騙るELダイバーの肩を持つのか、答えてください」

 

『言えば、君はここから立ち去ってくれるのか?いいや、立ち去らないだろう。……私に君を撃たせないでくれ』

 

「何を今更……っ」

 

『私はフォースの仲間を、元マスダイバーの烙印を押された者達の居場所を、守らなくてはならんのだ』

 

 静止を破ったのはガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクが先だった。

 クロービーム砲を放つが、サヤはすかさずフリューゲルカノンのビームソードを寝かせて構え、即席のビームシールドのようにしてビームを防ぐ。

 

「それがっ、あの『サラ』に与することに何の関係が!」

 

 ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルもまた、ハイパードッズライフルを撃ち返す。

 

『チッ……、あるのだよ!』

 

 ハイパードッズライフルのビームを掠めかけながらも、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクはそれを躱し、天井スレスレにまで上昇、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルの斜め上のポジションを取る。

 

『あのELダイバーが、今の運営の権限を握っているのは君も知っているだろうっ』

 

 胸部装甲を開き、腹部を引き上げれば、トリプルメガソニック方がの砲口に高エネルギーが集束し、それを拡散させるように放った。

 上から降ってくるそれはさながら、ビームの雨だ。

 

「ぐっ」

 

 それら拡散ビーム雨の隙間を掻い潜るサヤ。

 しかし、何発が装甲をかすめる。

 

『奴は、私の仲間のログデータを奪った!そして、それを返してほしくば自分の言いなりになれとなっ!』

 

 開いた装甲を閉じてから、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは加速、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルとの距離を詰める。

 

『私には守らなくてはならん存在がある!なら、言いなりになるしかなかった!』

 

 右手にビームサーベルを抜き放ったガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクに対して、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルはハイパードッズライフルを納めて、ビームサーベルを二刀流で抜き放った。

 

「だから……だからといって!」

 

 激突するビームサーベルとビームサーベル。

 

「コンピュータウイルスなんてものを蔓延させ、誰に何の有無も言わせずに、強引に奪い取っただけの世界を肯定するって言うんですかッ!」

 

 閃光と閃光が絡み合い、深緑と深紅の両者を結びつける。

 

「元マスダイバーのあなたなら、そんなものは肯定してはならないと、分かっているはずだ!」

 

『分かっている!分かっているとも!』

 

 不意に、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは左のストライククローを振り上げ、特殊合金の鉤爪がガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルの胴体を引き裂く。

 

『だがっ、あの『ELダイバー』はGBNを崩壊させるために運営を乗っ取ったのではない!時間が経てば、全ては元通りなる!』

 

「いいや……元通りには、ならない!」

 

 装甲を引き裂かれながらも、ガンダムAGE- 2ヴィントフリューゲルは左のビームサーベルを振るい、左のストライククローの延伸腕を切断した。

 

『何っ……?』

 

 ビームサーベルを弾き、一撃、二撃と斬り合い、再び鍔迫り合い。

 

「あの『サラ』が、強引な力で運営権を奪い取ったことを快く思わない者は大勢いる!」

 

 互いに足を踏み込んでの、力比べに縺れ込む。

 

「力で奪い取ったものは、いつかそれ以上の力で奪い返されるだけだ!」

 

 その最中、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは、鍔迫り合う力を少しだけ逸し、ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルを空振りさせ、返す刀でビームサーベルを振り下ろし、左手首を斬り落とした。

 

「ッ……ここで流れを食い止めなければ、同じ過ちが何度も繰り返される!」

 

 咄嗟に右のビームサーベルを振るい返すガンダムAGE-2

ヴィントフリューゲルの一閃が、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクのビームサーベルを弾き飛ばす。

 

『人は流れに身を任せれば良い!繰り返された過ちの中でも、変わらないものは何も変わらない!』

 

「例えそうだとしてもッ!」

 

 ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクはバインダーを翻して後方に飛び下がり、三度目のトリプルメガソニック砲の発射体制に入った。

 しかし、出力を拡散させたとはいえ先程に一度発射したことに変わりはなく、チャージはまだ不完全だった。

 

『(構わんっ、このまま撃つ!)』

 

 ローランはトリガーを引き、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクは、75%ほどの出力のトリプルメガソニック砲を放った。

 元々、メガソニック砲一門で戦艦を一撃で沈められるのだ。

 MS一機を撃墜するだけなら、出力全体の3/4程度でも十分すぎる。

 

 これを前に、サヤはアームレイカーを握り締めて、前に押し出した。

 

「ヴィントフリューゲルッ!!」

 

 ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルは、両肩のフリューゲルカノンからビームソードを最大出力で発振させ、それ一対をトリプルメガソニック砲に叩き付けた。

 三筋の濁った金色の破壊光線と、一対のピンク色の大剣が激突した。

 ガンダムAGE-2 ヴィントフリューゲルを飲み込まんとするトリプルメガソニック砲と、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクを叩き斬らんとするビームソード。

 もしもトリプルメガソニック砲の出力がフルパワーであれば、成すすべなく消し飛ばされていただろう。

 

「ぐっぬぉぉぉぉぉッ……!!」

 

 閃光の乱反射に目を焼かれながらも、サヤは押し戻されるアームレイカーを必死に押し込み返す。

 

 視界が白く塗りつぶされていく最中、両者の拮抗はーーーーー

 

 

 

 

 

 ドゴォンッ、と轟音を上げて隔壁が突き破られた。

 それは、レンジのファストゥスによって吹き飛ばされた、ミーシャのガンダムアスタロトリオートだった。

 隔壁を突き破り、さらに奥の隔壁にめり込まれてようやく止まる。

 

「くっ、くっそぉ……」

 

 パラパラとコンクリートの破片が機体に降りかかりながらも、ミーシャはガンダムアスタロトリオートを起き上がらせようとする。

 ここまでの戦闘でガンダムアスタロトリオートは、ロングライフルとサブマシンガン、滑腔砲に加えてバトルアックスも失っている。

 残っているのは、残弾僅かのライフルとパイルハンマーだけだ。

 

『さっさと諦めろ、ロシアの坊主』

 

 突き破った隔壁の向こうから、スピニングブラスターの砲門を向けながら、ファストゥスが歩み寄ってくる。

 

『お前さんじゃぁ俺には勝てねぇ。それが分からねぇほど、バカじゃねぇだろう』

 

「まだ……負けと決まったわけじゃないっ!」

 

 ミーシャは武装フォルダを開き、ガンダムアスタロトリオートはパイルハンマーを右手に握り締め、ライフルを左手に持ち直す。

 

『確かに、諦めなきゃ負けじゃねぇ。だが、それで勝てるかどうかはまた別の問題だろうが!』

 

 ファストゥスは手にしているスピニングブラスターのバズーカを発射、残弾を撃ち尽くしたそれを捨てて、バックパックに懸架させている別のスピニングブラスターを取り出す。

 飛来してくる弾頭を、ガンダムアスタロトリオートはライフルで迎撃、爆破すると、その爆煙を突き破るように突進する。

 即座、スピニングブラスターのガトリング砲が轟音と共に銃弾の暴風雨を吹き起こす。

 その銃弾の暴風雨に対し、ガンダムアスタロトリオートは自前の重装甲とナノラミネートアーマーの防御力をアテにして正面から突っ込む。

 銃弾に装甲を叩かれながらも、ガンダムアスタロトリオートはファストゥスに接近、パイルハンマーを横殴りに振り抜く。

 対するファストゥスは、左手にヒートブレードーーシュツルムファウストと一体化した実体剣ーーを振るった。

 

 パイルハンマーとヒートブレードの一撃が衝突、鈍い金属音が隔壁の中で反響する。

 

 ビリビリと痺れるような反動に、ミーシャは顔を顰めた。

 

「(ただパワーがあるだけじゃない、レンジさんの当て方が"上手い"んだ……)」

 

 単純なパワーそのものなら、ガンダムアスタロトリオートの方が上だろう。

 しかし、それでファストゥスが力負けしないのは、ヒートブレードの振るい方に要因がある。

 手首のスナップを効かせながら、"打ち付ける"ような斬撃。

 ミーシャはそれに覚えがあった。

 

「(そうかっ、和太鼓の打ち方だっ)」

 

 最小限の動きで、一点に最大の力を打ち込む。

 それは、ミーシャ自身も身につけたことのある、和太鼓の奏法だ。

 しかしそれはあくまでも、インパクトの瞬間のパワーを跳ね上げるもの。

 鍔迫り合いによる押し込み合いならば、ガンダムアスタロトリオートに歩がある。

 このまま押し切ろうとガンダムアスタロトリオートはさらに踏み込む。

 しかしファストゥスは不意に流れるようにパイルハンマーを往なすと、往なしたついでにスピニングブラスターそのものでガンダムアスタロトリオートを殴り付けた。

 

「うっ!?」

 

 衝撃に揺さぶられるコクピットの中でミーシャは歯を食い縛る。

 あのスピニングブラスターは、そんじょそこらの質量破壊武器よりもよっぽど頑強に作られているらしく、殴り付けられた部位のナノラミネートアーマーが歪に凹んだ。

 

『悪ぃな、ロシアの坊主。……俺は、こうするしかねぇんだ』

 

 申し訳無さを言葉にしながらもさらにヒートブレードが一閃、ガンダムアスタロトリオートの左肩の装甲を吹き飛ばした。

 

「ッ……」

 

 ミーシャはアームレイカーを一気に引き下げて急速にバックホバーさせてファストゥスから距離を置いた。

 パイルハンマーによる格闘戦を挑みたいところだったが、迂闊に近付いてもスピニングブラスターに殴られるか、もしくはヒートブレードに斬り込まれる。

 

「こうするしかないって……こうして、ボクと戦うことが?」

 

 思わず、ミーシャは問い掛けていた。

 彼自身、何故レンジがここにいるのか全く分からないからだ。

 それも、自分達の手助けをしてくれるならまだしも、それどころか逆に進行を妨げてきた。

 

『別に相手がお前さんじゃ無くても変わらねぇさ。ここで通せんぼするってことにな』

 

「レンジさんだって知ってるでしょっ、あの『サラ』ってELダイバーが、運営を乗っ取ったって!」

 

『あぁ、知ってる。あいつが、『運営を乗っ取ったと宣言する前から』な』

 

「……宣言する前から?」

 

 ミーシャは、レンジの言葉に違和感を覚えた。

 それはまるで、レンジが予めあの『サラ』と口裏を合わせていたようではないか。

 

「もしかしてレンジさん……あなたはっ」

 

『お前さんの想像通りだろう。俺は、あいつの手先になっちまったのさ』

 

 自嘲するかのようなレンジの声に、ミーシャは怒りと困惑、疑問がないまぜになった。

 

「なんでそんなことを!?」

 

 パイルハンマーを構え直しながら、ミーシャは問い詰める。

 

「ボクには"アレ"が正しい世界を作れるとは思えない!新型ブレイクデカールをGBNに蔓延させて、何の関係もない人を大勢巻き込んだ!」

 

『規模云々の問題じゃねぇ……』

 

 熱くなるミーシャとは対照的に、レンジは酷く冷め切っていた。

 

『それにな、俺からすれば今のGBNなんざ、正直どうでもいい』

 

「!?」

 

 ミーシャは耳を疑った。

 信じられない言葉。

 それが、元三年連続チャンピオンだった男の言葉であればなおのことだ。

 

「どうして……どうしてそんなことを言うんですか!?」

 

『GBNだって、たかがゲームだ。人生の一部にするほど、のめり込むことはねぇ』

 

「たかがゲームって……ボク達はそれを本気で真剣にやって来た!それが大事なことじゃなくて、何だって言うんです!?」

 

 ミーシャは思いの丈を言葉にして、レンジの真意を読み取ろうとする。

 

『大事なこと、だぁ……?』

 

 ーーしかし、ミーシャのその言葉はレンジの逆鱗に触れた。

 

『なんにも知らねぇ良い子ちゃんが、調子のいいこと喚いてんじゃねェッ!!』

 

 ファストゥスはスピニングブラスターを捨てて、両手にヒートブレードを構え、ガンダムアスタロトリオートに迫った。

 振り抜かれる右のヒートブレードを、パイルハンマーで受けるガンダムアスタロトリオートだが、次の瞬間にはファストゥスは右足を振り上げて腹部のフレームを蹴り飛ばした。

 

『坊主には分からねぇだろうな!』

 

 蹴り飛ばされたガンダムアスタロトリオートは二、三歩と後退るが、即座にファストゥスは間合いを詰めて左右のヒートブレードを振るう。

 

『手前の命よりも大事な"女"なんざ、持っちゃいねぇ坊主にはな!』

 

 質量打撃とブレードの斬れ味を一体化させた、斬打一体の嵐が次々にガンダムアスタロトリオートの装甲を吹き飛ばしていく。

 とにかく一度下がらねばとミーシャはアームレイカーを引き下げるが、ガンダムアスタロトリオートの背中が砕けめり込んだ隔壁にぶつかった。

 

「(しまったここ壁だった……ッ!)」

 

『それを傷付けたくなけりゃ言いなりになれって言われりゃぁ!』

 

 瞬間、ファストゥスはその場からフルスロットルで加速、右肩からショルダータックルをガンダムアスタロトリオートに叩き込んだ。

 

『言いなりになるしかねぇだろうがッ!!』

 

 結果、ガンダムアスタロトリオートは隔壁とファストゥスによって挟み込まれ、隔壁が衝撃を逃してくれず、まともにファストゥスの加速重量を受けることになる。

 

「うっぐっ、ぁっ……」

 

 ガンダムアスタロトリオートの前面装甲が厚くなければ、今頃ミーシャはコクピットの中で押し潰されていたかもしれない。

 ファストゥスが飛び下がると、ガンダムアスタロトリオートの胸部装甲が外れ、その下にあった本来のガンダムバルバトスのパーツを用いた装甲が露わになる。

 

『……もう、いいだろう』

 

 怒りによって荒らげられた声は矛を納め、代わりにヒートブレードの切っ先を、隔壁にめり込んだガンダムアスタロトリオートの首元に突き付ける。

 

『俺に、こんなことをさせんじゃねぇ……』

 

 やるせない無気力感が、言葉になって消える。

 

 

 

 

 

 ポイントゼロ下階層。

 ここは戦闘を考慮されて作られていないらしく、ミサイルなどが炸裂すれば火災が発生する。

 通常であればすぐにスプリンクラーが作動して鎮火されるのだが、現在ここはルビスシステムによって侵食汚染されているせいで火災報知器が作動せず、それと連動するスプリンクラーが動かない。

 

 そのため、燃え上がる炎の中で、ガンダムヘビーバスターは、襲い掛かってくるレギンレイズギルティを前に、必死に喰い下がっている。

 飛び下がりながら、右手に握るダブルガトリングガンを撃ちまくるが、レギンレイズギルティは巧妙な機動を描いて銃弾を掻い潜り、確実に、その上でユイが回避しにくいように、いやらしく距離を詰めてくる。

 間合いが詰まれば、レギンレイズギルティは爪先のブレードキックを振るい、ガンダムヘビーバスターを斬り裂こうと迫る。

 

「ちっ……!」

 

 ユイは左のアームレイカーを捻って、折り畳んだアルクフレッシュを盾代わりにして受け流す。

 バスターソードに比べれば威力の低いブレードキックだが、一般的な機体よりも脚部の長いレギンレイズジュリアの脚による蹴り技は見切りにくく、それが左右から不規則に放たれる。

 レギンレイズギルティはぐるりと機体を回転させると、その勢いも上乗せしてバスターソードを薙ぎ払ってくる。

 

「ッ!」

 

 ガンダムヘビーバスターは敢えてダブルガトリングガンを前に突き出して、レギンレイズギルティのバスターソードを握った右腕を喰い止める。

 続いてブレードキックが下から蹴り上げられるよりも先に、ガンダムヘビーバスターはレギンレイズギルティを蹴り飛ばしながら飛び下がりつつ、左肩のミサイルランチャーを全弾発射。

 

 そもそも、射撃に特化しているガンダムヘビーバスターでは、ナノラミネートアーマーに守られたレギンレイズギルティとの相性は最悪に等しい。

 ガンダムヘビーバスターの武装で撃墜を狙うには、実弾射撃をゼロ距離で接射するか、近接武装であるアーマーシュナイダーで直接打撃を与えるしかない。

 その上、レギンレイズギルティはPS装甲にダメージを与えてくるバスターソードに、見切りにくく避けにくいブレードキックを備えている。

 これでもしもGNファングまであったとしたら、ここまで戦えていないだろう。

 

 レギンレイズギルティはその場から跳躍するように上昇、ミサイルランチャーの弾頭を回避すると、下半身を180度回転させ始める。

 すると、ヘキサフレームの『ユーゴー』のように、膝関節が逆さまになったような形態になる。

 左右のサイドスカートを開けば、本来ならばGNファングが納められているそこから、ユーゴーなどが装備しているアンカークローが飛び出した。

 

「ッ!?」

 

 ミラーミッションの時には使ってこなかった武装だ。

 全くの初見だったせいで、ユイの反応が僅かに遅れ、左のアンカークローはガンダムヘビーバスターの右脚に、右のモノは左腕に噛み付いた。

 アンカークローが引き寄せられ、ガンダムヘビーバスターは強引にレギンレイズギルティに接近させられる。

 

「まずっ……!?」

 

 目前に迫る、バスターソードの切っ先。

 それに対する、ユイの行動はほとんど反射だった。

 アームレイカーを押し出して、逆にレギンレイズギルティに自分から接近する。

 そのまま、殴りつけるようにレギンレイズギルティの胴体にダブルガトリングガンの砲口を押し付ける。

 

「ゼロ距離ならッ!」

 

 トリガーを引き、ダブルガトリングガンの銃弾がその距離で放たれるが、ほんの数発を発射したところで、バスターソードがダブルガトリングガンを斬り裂いてしまった。

 弾倉が爆発、双方の視界を眩ませる。

 

「……でもっ」

 

 ユイはすぐさま武装フォルダからアーマーシュナイダーを選択、自機を拘束している二基のアンカークローのワイヤーを切断、ガンダムヘビーバスターとレギンレイズギルティとの間合いを離す。

 ついでに左脚のホーミングミサイルを発射して牽制するが、レギンレイズギルティはバスターソードのレールガンを連射して全て撃ち落としてしまう。

 ミサイル迎撃のために足を止めているレギンレイズギルティだが、そうしてくれる方がユイにとってはありがたかった。

 アーマーシュナイダーを納めて、アルクフレッシュをその場に突き立てておくと、バックパックから350mmガンランチャーと94mm高エネルギー集束火線ライフルを引き下ろし、それらを連結、対装甲散弾砲を組み上げた。

 しかし、ユイはそれをすぐには撃たずに待ち構える。

 ミサイルを凌いだレギンレイズギルティが、すぐさま距離を詰めに来るが、それこそ彼女のチャンスだった。

 ガンダムヘビーバスターを抉り裂かんと、右のブレードキックを振るうレギンレイズギルティ。

 

「(来たッ)」

 

 その瞬間、ユイは再度アームレイカーを押し出して前進、対装甲散弾砲の砲口をレギンレイズギルティの胴体に押し付けて、

 

「これでッ!」

 

 トリガーを引き、密着状態での散弾がレギンレイズギルティの胴体に叩き込まれた。

 同時に、ブレードキックの切っ先がガンダムヘビーバスターの脇腹を直撃した。

 

「ぅっ、んっ……!」

 

 PS装甲の恩恵によってダメージこそ発生しないものの、コクピットに直に襲い来る衝撃を堪えながら、ユイは対装甲散弾砲をゼロ距離で直撃して吹き飛ばされたレギンレイズギルティを見据える。

 

 ーーしかし、対装甲散弾砲のゼロ距離射撃よって穴だらけになっているはずのレギンレイズギルティの装甲には、多少の損傷が見られるだけで、致命傷とは言えない状態だった。

 

「…………嘘っ、何で無事なの!?」

 

 ユイが驚愕するのも無理は無かった。

 何故ならレギンレイズジュリアと言う機体は、高機動試作機と言うレッテルを与えられていながら、その本質は機体構造からなる装甲強度にあるものだからだ。

 実際、バイタルバートへの直撃を何度も喰らうことは愚か、ダインスレイヴの着弾を受けてもなお、パイロットのジュリエッタ・ジュリスは大した怪我もなかったほどである。 

 さすがに、三日月・オーガスの駆るガンダムバルバトスルプスレクスを相手にして無事では済まなかったものの、それでも致命傷には至らなかったのだ。 

 その証左として、レギンレイズギルティは姿勢を制御すると、何事も無かったかのようにバスターソードを構え直している。

 ゼロ距離射撃ですら決定打にならないと言うのなら、直接打撃、それもコクピットブロックを確実に破壊出来るような攻撃しかない。

 ガンダムヘビーバスターでそれを行える武器は、アーマーシュナイダーのみ。

 ユイは仕方なく、対装甲散弾砲を切り離し、94mm高エネルギー集束火線ライフルをバックパックに戻すと、空いた左手にアーマーシュナイダーを握らせる。

 すぐさま、レギンレイズギルティはその場から加速して迫りくる。

 

「(どうにか懐に飛び込んでアーマーシュナイダーを叩き込む)」

 

 まだ勝算はある……そう算段を立てていたユイだったが、不意にレギンレイズギルティはまだ距離がある内に、手にしていたバスターソードを振りかぶり、それをガンダムヘビーバスターに投げ付けてきた。

 

「なっ!?」

 

 反射的に350mmガンランチャーを発射して飛んで来たバスターソードを弾き返す。

 だが、その一瞬だけでもバスターソードに注意を向けてしまったせいで、地を這うように迫るレギンレイズギルティの接近を許してしまう。

 レギンレイズギルティは右手でガンダムヘビーバスターの頭部を鷲掴みにすると、そのまま隔壁に擦り付けるように押し倒す。

 

「ぐっ……!?」

 

 背中を削られるような衝撃を受け、ユイが顔を顰めたその一瞬で、レギンレイズギルティは両足のフット裏を開き、猛禽類のようにガンダムヘビーバスターの両腕を掴み上げた。

 背後には隔壁、すぐ目の前にはレギンレイズギルティが、頭部の内部にある三連ターレットのアイカメラがユイを睨みつけてくる。

 どうにか拘束から逃れようとするが、ガンダムヘビーバスターとレギンレイズギルティとでは機体の大きさからしてパワー差があり、ガッチリと頭部と両腕を拘束されているガンダムヘビーバスターは、この場を逃げ出すことすら出来なくなっていた。

 さらにレギンレイズギルティは、ガンダムヘビーバスターの頭部を握る握力を強め、そのまま引きちぎろうとする。

 

「あっ、あ、ぁっ……」

 

 ギチギチと嫌な音を立てながら、ユイのコンソールの視界に砂嵐が入り混じる。

 逃げることも抵抗も出来ず、ただただなぶり殺しにされるだけ。

 

 "詰み"。

 

 そんな言葉がユイの脳裏を過る。

 自分の姉はこんな、化け物のように強かっただろうか。

 しょせん、妹は姉に勝てないのか。

 コクピット内に、真っ赤な『HAZARD』の表示の数が増え始める。

 

「どう、したら……いいの……?」

 

 ユイは、ついに諦めてしまった。

 

「お姉ちゃん……みんな……、ごめ……」

 

 諦念と共にアームレイカーから手を離そうとしてーー 

 

 

 

 

 

「さ、せ、る、かぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 ーー何者かがビームサーベルを振り下ろし、咄嗟に反応したレギンレイズギルティはガンダムヘビーバスターの拘束を解いて飛び下がった。

 空振ったビームサーベルの切っ先が、床を斬り裂いて小さく爆ぜる。

 

「無事か、ユイ!」

 

 白い体躯に、ブルーグレーの甲冑に身を包んだ青騎士ーーブルシュヴァリエが、ガンダムヘビーバスターを守るように立つ。

 

「リ……リヒター!?」

 

 何故、とユイは目を見開いた。

 

「ど、どうしてここに……?」

 

 昨夜は結局、リヒターの返信には何も答えなかったはずだった。

 なのに何故、彼がこのポイントゼロの場所を割り出し、ここまで飛んできたのか。

 

「今それを話している場合か?」

 

 リヒターはそう応えつつ、ミサイルポッドを全弾発射しつつキャノン砲も発射してレギンレイズギルティを追い払う。

 

「僕が少しでも抑えておいてやる……今の内に立て直せ!」

 

 シールドとビームサーベルを構えつつ、ブルシュヴァリエはレギンレイズギルティへと突進していく。

 

 

 

 

 

 蛇威雄音とトールギスコンダクターを囲むNPD機の群れは、降り注がれる多数のビームに撃ち抜かれ、一拍を置いて大出力のビームによって薙ぎ払われた。

 しかしそれは、ヤイコとフルメタルシェパードを狙ったものではなかった。

 

「のわっ、何だ何だ!?」

 

 突然の攻撃にヤイコは驚く。

 同様に驚いたフルメタルシェパードだが、すぐにその攻撃の方向を確かめる。

 辛うじて目視で確認出来る距離に、黒金のνガンダムと、長大なランチャーを構えたガデッサが見えた。

 

『あれは……ロイヤルナイツとトレイルブレイザーか!?』

 

 そう、それはエーデルνガンダムと、メガデッサ。

 その二機に続くように、グレイズリッターやガラッゾ、騎士ガンダム、ガッデスなど多数のガンプラがNPD機に討ち掛かっていく。

 

「ヤイコ、フルメタルシェパード、ご無事ですか?」

 

 ミツキのメガデッサは、GNハイメガランチャーを背部に納め、二人の元へ向かってくる。

 

「ミツキか?アタシはまぁ、大丈夫だけどよ、何でお前らがここにいるんだ?」

 

 ミツキは昨日、スピリッツのフォースネストに来ていなかったはずだ。

 

「私のフレンドに、『シャドータイガー』と言うダイバーがいましてね。何となく薄ぼんやりとでしたが、あなた方がここで戦っていると言う情報を読み取り、援軍として駆け付けた次第です」

 

「……あー、その『シャドータイガー』とか言うのが誰のことかは聞かねぇでおく」

 

 ヤイコの脳裏に、目付きの悪い胡散臭さ通常の三倍の男の顔が浮かぶ。

 きっと、それとなく情報を流して"非意図的に"援軍を呼んだのだろう。

 

 突然の増援に処理が遅れているNPD機達を、ビームレイピアで斬り裂いていくエーデルνガンダム。

 

「それで、ミツキを通じて私達ロイヤルナイツも馳せ参じたまでですわ」

 

 つい先程、奇襲に乗じてポイントゼロの内部に突入していったリヒターのブルシュヴァリエを見送りつつ、フィンファンネルを展開、次々にNPD機を撃ち抜いていく。

 攻撃の手が少しだけ緩んだところで、ミツキはチームメイトに指示を掛ける。

 

「リョウタロウ、シェパードを安全な場所まで」

 

『了解した』

 

 すると、フォース・トレイルブレイザーのMA『エンプラス』のクローアームがトールギスコンダクターを挟んで掴むと、すぐさま戦場を離脱していく。

 それを見送ってから、ノエルはエーデルνガンダムのフィンファンネルを呼び戻し、ビームレイピアを高々と掲げ、全周波通信を発する。

 

「総員、一歩たりとも退いてはなりませんッ!この戦い、GBNの未来を賭けた一戦と知りなさい!!」

 

『『『『『ハッ!乾坤一擲!意気軒昂!!』』』』』

 

 ノエルの声に、ロイヤルナイツの面々は寸分のズレなく唱和、トレイルブレイザーのガンプラとも連携を取りながら、NPD機の群れを前に果敢に立ち向かっていく。

 

「……へへっ、こりゃぁ万事休すにはまだ早かったな」

 

 思わぬ援軍を得たことで、ヤイコの瞳に再び闘志が灯った。

 

 

 

 

 

 状況は、芳しいとは言えなかった。

 

『全くもって不愉快なんだよ、お前達は!』

 

『サラ』のクラティアプロヴィデンスガンダムが放つ『シュペリエルユーディキウム・ビームライフル』の威力は、その一発ですら隔壁を容易に吹き飛ばし、なおかつそれを連射してくる。

 

『ようやく世界は正しくなるって言うのに、どうして邪魔をしたがるかな!?』

 

「それはお前の理屈だ!他の誰の言葉にも耳を傾けずに、ただ一方的に押し付けるだけの、お前だけの理屈だ!」

 

 それらビームを掻い潜ってツルギのマスラオヘブンズクラウドが接近戦を仕掛けに行く。

『イザナギ』を振り抜くが、クラティアプロヴィデンスガンダムは、左腕のガントレットアーマーから発振されるビームソードによって防ぎ止められる。

 

『いいやむしろ逆さ!誰も、僕ら電子生命体の声に耳なんか傾けなかった!声を上げれば問答無用で殺すだけ!僕はそれと同じことを、いや、それよりはもっとマシな手段を取っているんだよ!』

 

「関係ない人間を大勢巻き込むことがマシな手段だと!?ふざけたことを抜かすなッ!!」

 

 その反対側から、ハルナの桜花姫頑駄無が『孔雀』の九つの砲口を連射するが、クラティアプロヴィデンスガンダムの右の黒翼が機体を包み込み、銃弾は黒翼によって無傷で弾き返される。

 

「そっかっ、翼もPS装甲で構成されてるんだっけ!」

 

 そうなると、雷振火音も通らないだろう。

 桜花姫頑駄無がダメージを与えられる手段は、自然と直接打撃に限られると読み取ったハルナは、武装フォルダを切り替え、その三叉の槍『十雷電刀(トライデント)』を抜き放つ。

 雷電を銘打たれているように、その三叉の槍刃には雷が迸っており、これによって実体剣にビームサーベルの効果が付与されている。

 

『僕に触れないでもらおうか!』

 

 クラティアプロヴィデンスガンダムは、『イザナギ』ごとマスラオヘブンズクラウドを弾き飛ばすと、桜花姫頑駄無に向けて黒翼を差し向けると、その黒翼がいくつもの羽根となって襲い掛かってきた。

 

『ドラグーンッ!』

 

 それら黒い羽根は、オールレンジ攻撃兵装『ドラグーン・システム』らしく、羽根の先からビームを発射して桜花姫頑駄無の接近を阻害する。

 

「ならこっちだってっ、羽根浮安音流(フェザーファンネル)!」

 

 ハルナも負けじと、桜花姫頑駄無から羽根浮安音流を射出、シールドビットのようにしてドラグーン・システムからのビームを弾き返し、防ぎ切れないビームは十雷電刀で斬り弾いていく。

 その間にも、ツルギのマスラオヘブンズクラウドは二刀を構え直して再びクラティアプロヴィデンスガンダムへ肉迫する。

 

 右から攻めてもガントレットアーマーのビームソードに弾かれ、左から攻めてもシュペリエルユーディキウム・ビームライフルの下部に取り付けてある銃剣に弾かれる。

 

 で、あれば。

 

 ビームソードが振り抜かれる寸前、ツルギはアームレイカーをバッと引き下げ、マスラオヘブンズクラウドに地面を蹴らせて跳躍した。

 

「上からなら、どうだッ!」

 

 空振ったビームソードを飛び越えるような形で"上"から迫る。

 

『チッ!』

 

 機体ごと回転させるように『イザナミ』を叩き付ける。

 しかし、クラティアプロヴィデンスガンダムは身を隠すようにして黒翼を閉じて『イザナミ』の一撃を防ごうとするが、電圧の低い『黒』のPS装甲ではビームサーベルの一撃を防ぐことは出来ず、黒翼は斬り裂かれてしまう。

 

 返す刀で『イザナギ』を振るうマスラオヘブンズクラウドだが、こちらクラティアプロヴィデンスガンダムが後方へ飛び下がったことで躱され、ハルナが相手をしていたドラグーン・システムの黒羽根も呼び戻される。

 

『まだ抗うのかい!GBNの神である、この僕に!』

 

「神様?人間でもELダイバーでも、逆立ちしたって何にもなれないよ!」

 

 ハルナの桜花姫頑駄無は、十雷電刀を構え直して切っ先を向ける。

 

「何がお前をそうさせる!?その傲慢さ、それこそ気に入らねぇな!」

 

 ツルギのマスラオヘブンズクラウドは、『イザナギ』『イザナミ』の二刀を構え直す。

 

『傲慢なのはこの世界そのものさ!だから僕は全てをやり直して、正しく作り変えていく!そうさ、この世界に必要なのは、この僕だ!』

 

『サラ』のクラティアプロヴィデンスガンダムもまた、シュペリエルユーディキウム・ビームライフルと、ビームソードを二人に向けたーーーーー。

 

 

 

 

 

【次回予告】

 

 ヤイコ「お仲間も来てくれたこった、反撃と行こうじゃねぇか!」

 

 サヤ「あぁ、負けるわけにはいかないな!」

 

 ミーシャ「最後まで諦めるもんか!」

 

 ユイ「まだ倒れるわけには!」

 

 ハルナ「わたし達はあなたなんかに負けないよ!」

 

『サラ』「いくら戯言を叫ぼうと、不動の存在である僕は倒せないさ!」

 

 ツルギ「次回、ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツ

 

『勇気と希望を握り締めて』

 

 この魂の名に掛けて、俺はお前を倒す!!」  

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