Third time honest 作:Ryoga Shirozaki
2001年12月10日
コード991。BETA出現を知らせる警報だ。
「――っつぅっ!!」
オレは突然の頭痛に頭をおさえた。同時にまったく知らない記憶が流れ込んでくる。
頭痛はどんどん酷くなって、頭が割れそうなくらい痛い。
(クソ……!! なん……だよこれ!? 今までは……なんとなく……身に覚えのある……記憶だった……でも、これは……まったく知らないもの……ばっかりだ……その割には、妙にリアリティがある……もし、これが……これから起こる……未来の記憶……だとしたら……)
「大丈夫かタケル?」
冥夜の心配そうな顔が表示される。
「ああ。少し頭痛がしただけだ……」
全然少しじゃないが、頭痛はとりあえずはおさまった。短時間でよかった……それにしても、今からオレが錯乱するなんてな。そのせいでまりもちゃんを死なせて、元の世界も無茶苦茶にしちまった。
流入した記憶は、間違いなくこれから起きることだ。これは夕呼先生に報告しないとな……。
「おい、ヒヨッコども!! ここはアタシらがおさえる!! お前らは格納庫から武器を持ってこい!!」
ここでオレは歯向かっちまうんだよな。でも、今はそんなことしない。命令通りに動くだけだ。
「「「「「「了解!」」」」」」
オレたちは格納庫に向かって噴射跳躍を繰り返す。途中でBETAが道を塞いでくるが、相手にしている場合じゃない。幸い光線級はいないみたいだから、高度を取って突破することができる。
ものの数分で格納庫に到着したオレたちは、武器と弾薬が入ったコンテナを運べるだけ運び出す。
「みんな急ぐぞ!! 早く行かないと被害がさらに大きくなる!!」
この時点で数個の部隊がやられている。これ以上やらせねぇぞ!!
オレたちが戻ったときには、命令を出した人たちの部隊は文字通り全滅していた。
「そんな……間に合わなかったの……?」
たまが今にも泣きだしそうな声で呟く。
「ボクたちが……もっと早く戻ってこれてたら……」
美琴もか……。マズいな、冥夜も委員長も彩峰も、言葉にはしないだけで大分こたえてる。ここは、発破をかけるべきだな。
「落ち込んでる暇はないぞ! まだ、生きてる部隊があるんだ。その人たちに武器を届けるぞ!! 今のオレたちに出来るのはそれだけだ!!」
「……タケルの言う通りだ。我らがここで落ち込んでいても意味はない」
冥夜に続いて、彩峰、委員長、美琴、たまが復活した。
オレたちは2機連携で、武器と弾薬を各部隊に届けた。余った分は、護身用としてオレたちが装備する。
撃ち漏らしのあった小型種のみの相手をして、BETA掃討の報せを待つ。夕呼先生はかなりの数を捕獲させていたみたいだ。コード991発生から、2時間が経過して、ようやく騒動はおさまった。
でも油断はできない。少なくとも一匹いるはずなんだ――まりもちゃんを殺した兵士級が……。
だから吹雪から降りたくはなかったけど、オレたちが騒動もおさまったのにいつまでも乗ってるわけにもいかなった。なぜなら、オレ以外のみんなの吹雪が損傷していたからだ。
オレは記憶のおかげでなんとかなったが、みんなは今日が初めてのBETAとの戦闘だったんだから無理もない。それで、オレの吹雪も念のため速攻整備行きになったってわけだ。
なんでも次の訓練兵のためだとか。今から次の訓練兵のためにって、気が早すぎるんじゃないかと思う。総戦技演習を合格しないと戦術機教習課程には進めない。
ま、別にオレが気にしたってしょうがないか……。
「白銀少尉」
「まり……神宮司軍曹、どうしました?」
「少尉、私は下司官です。敬語は必要ありません」
そうだ、まりもちゃんはこういう人だ。でも、まりもちゃんに敬語を使われるのはムズムズする。
「神宮司軍曹、せめて2人のときは今まで通りじゃダメですか?」
まりもちゃんは困った表情をしている。当然だな。そういう人だから。親友である夕呼先生にさえ敬語使うくらいだし。
「――ふふ」
「?」
「しょうがないわね。2人のときだけよ?」
「ありがとうございます!!」
オレは満面の笑みを浮かべてお礼を言う。そんなオレを見て、しょうがないという表情をしていた。
それからしばらくまりもちゃんと話し込んだ。とても楽しい時間だった。あまりにも楽しすぎたせいで、オレの頭からあのことが完全に抜けていた。
「まりもちゃんッッ!!」
「え?」
まりもちゃんの背後に兵士級がいることに気づいて、オレはまりもちゃんの腕を引っ張り抱き寄せた。間一髪だったーーあと少し思い出すのが遅かったら、まりもちゃんは死んでいたに違いない。
まりもちゃんは驚いて目を見開いている。それにしても、意識していないと気づかないなんて……。
「すまない白銀……助かった……」
「安心するのはまだ早いです!! こいつをなんとかしないと……」
とは言ってみたが、生身の人間2人でどうこうできるわけがない。
いや落ち着け。記憶通りなら、もうすぐヴァルキリーズが来るはずだ。それまで時間を稼ぐことができれば……。
「くっ!」
「っ!」
オレたちは飛びかかってきた兵士級の噛みつき攻撃を躱す。正直、偶然だ。人間を遥かに凌ぐパワーとスピードを持つ相手の攻撃を躱し続けることなんて不可能。
頼む……早く来てくれ…………。
そう思った時だった。複数の戦術機の駆動音が聞こえたかと思うと、発砲音が響き渡り、目の前にいた兵士級がミンチになる。
「2人とも無事か!? ヴァルキリー2、2人を見ておけ!! ヴァルキリー……」
良かった。これで助かるはずだ。
安心すると体の力みが取れて、膝から崩れ落ちそうになる。なんとかこらえたが、一瞬ガクッとなったことでまりもちゃんに心配をかけてしまったようだ。
大丈夫だということを伝える。すると、今度こそBETAはいないとアナウンスされ、基地内へと戻る。念の為、オレたちは精密検査を受けることになった。
プロローグのような話、というかプロローグでしたね。だったと思います。
分かりつらい部分や、まったく分からない部分もあったと思います。
その点は、これから連載していくにあたって、改善していくつもりです。
ここからは余談ですが、マブラヴは一応、
無印、オルタ、TE、その他スピンオフなどをプレイしています。
マンガや小説版も読みました。
柴犬に関しては、アニメと小説のみです。