絶剣の軌跡   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


VII組の再会。狙われる二代目

「よっ、女将さん。久しぶり」

「トヴァルさんじゃないか!ちょっと前以来だけど、変わりないみたいだね」

「ああ。そっちも元気そうでなりよりだぜ」

 

情報を得るために《風見亭》の女将マゴットがいるカウンターに向かって早々、唯一変装していないトヴァルが話しかけるとマゴットはトヴァルの変わりない姿に笑みを浮かべている。

 

「そうさねぇ。それで、そちらの方々は……」

 

マゴットはトヴァルの言葉に頷きつつ、変装しているルークとリィンに誰なのかと問いかける。それに対し、答えたのはトヴァルではなくルークだった。

 

「どうも、女将さん。四月の時以来だな」

 

ルークのその言葉に、マゴットは二人の顔をまじまじと見つめる。それから十数秒経過すると、驚いたように目を見開いた。

 

「ひょっとして、あの時の記者さんかい!?じゃあ、そっちの子はまさか……!?」

「はい。四月の実習の時以来ですね」

 

マゴットがルークだけでなくリィンにも気付いたため、リィン本人も否定することなく頷きながら言葉を返す。その返答を聞いたマゴットは、前屈みとなり小声で三人―――特にリィンに向かって話しかけた。

 

(本当に大丈夫なのかい?少し前に、領邦軍がアンタを躍起になって探してたようだけど……)

(変装もしているので、その辺りは大丈夫の筈です。怪しい動きをしない限り、バレる心配はないかと)

(それもそうか……あたしもすぐに気付けなかったしねぇ)

 

実際、すぐに気付けなかったことからリィンの言い分にマゴットは納得してすんなりと引き下がる。この分なら余程でない限り、領邦軍にも気付かれないだろう。

 

そこからルークたちは一通りの事情を話し終え、マゴットにVII組の生徒を見ていないか、何か心当たりはないかと問い質した。

 

「うーん……だめだ、思い当たることはないねぇ。鉄道網の規制で客足自体が遠のいちまってるし、前に実習に来た子じゃないと気付かなかったと思うよ?」

「そうですか……」

 

マゴットの申し訳なさそうな返答にリィンは少し落胆していたが、宿屋を利用していないと分かっただけでも収穫だろうとトヴァルは慰める。

 

「それで、こっちの内戦の影響はどうなんだ?あまり良くない雰囲気だと聞いたんだが」

「直接の影響は今のところないねぇ」

「今のところ……つまり、懸念事項があると?」

 

ルークの深堀にマゴットは重々しく頷くと、ケルディック周辺の詳しい状況を教えていく。

 

噂程度ではるが、東の国境―――《ガレリア要塞》方面で正規軍との戦闘が行われており、その戦闘も激化しているとのこと。

 

その戦闘に巻き込まれないか誰もが心配しており、オットー元締めが色々と動いているそうだが、駐在している領邦軍が町を守ってくれるのか、怪しいとのことであった。

 

「はぁ……内戦なんか早く終わってほしいもんだよ」

「そいつは……切実な願いだな」

「……そうだな」

「ええ……女将さん、色々と教えていただきありがとうございました」

 

ケルディックの取り巻く状況が知れた為、マゴットにお礼を告げたルークたちは情報収集のために一度外へと出る。

 

「次は市場を覗いてみるか?」

「ええ。さすがに民家に入るのは悪目立ちしそうなので」

 

領邦軍がいる手前、民家への積極的な聞き込みは不信感を買われると判断し、市場がある広場で情報を集めることにした。

 

しかし、市場に来て早々に問題へと出会してしまった。

 

「ヒック……少しくらいはいいだろ?」

「四の五の言わずに我々に付き合いたまえ」

「きょ、教会の手伝いがありますので……それに未成年ですし……」

 

少し酒が入っているらしい領邦軍の兵士二人が、七燿教会のシスターをナンパしていた。それも職権乱用とも取れる脅しまで仕掛けて。

 

「くっ、あいつら……」

「気持ちは分かるが落ち着け。俺やお前が出ても状況が悪化するだけだ」

 

兵士の横暴に憤りを露にするリィンに、ルークが宥めるように手を肩に置く。ここでリィン、もしくはルークが割って入ったとしても、悪い意味で目立ってしまうだけ。下手すれば違和感を覚えられて詰所に連行される恐れもあるのだ。

 

その意味でも、ルークは比較的領邦軍からは印象が薄いトヴァルへと視線を向けた。

 

「ああ。ここは俺に任せてくれ」

 

ルークの視線の意味を正しく理解したトヴァルは快く頷くと、媚びる態度で兵士たちに話しかける。更に賄賂も渡したことで兵士たちはすんなりと引き下がり、シスターを連れて行くことなく立ち去っていった。

 

「ま、ざっとこんなもんだろ」

「……さすが遊撃士ですね。ルークさんも迷わずにトヴァルさんに頼りましたし」

「そこは適材適所ってやつだ。時と場合によって取れる手、使える手は違ってくるからな」

 

内戦以前の状況であれば正面から介入し、敢えて騒ぎを大きくして印象を悪くするという手も使えただろう。しかし、今は貴族側の威光が強まっているため、媚びを売って穏便に済ませる方が最善なのである。

 

「問題を解決するにのは、“力”が全てじゃない……勉強になりました」

「そんな大袈裟な話でもないさ。ところでシスターさん、そっちは大丈夫かい?」

「え、ええ……おかげさまで。先程はありがとうございました」

 

トヴァルが安否を問いかけると、兵士に絡まれていたシスターは自身の無事と共にお礼を告げる。そんなシスターの顔をリィンはまじまじと見つめ……気付いたように声を上げた。

 

「君は……ひょっとして、V組のロジーヌなのか?」

「え……?どうして私の名前を……?」

 

リィンの問いかけに、シスターは驚いたようにリィンを見つめる。反応を見る限り、ロジーヌという名前であることは間違いないようだ。

 

「ひょっとして、知り合いか?」

「ええ、彼女も同級生です」

「同級生……申し訳ないのですが、本当にどちら様で……?」

「ここで話すのもなんだ。場所を教会に変えた方がいいだろ」

 

カツラと眼鏡で本当に誰なのか気付いていないロジーヌを連れて、ルークたちは教会の一室へと移動する。そこでリィンがカツラと眼鏡を取ったことで、ロジーヌはようやくリィンであることに気付いたのだった。

 

「リィンさん、よくぞご無事で……!」

「ロジーヌもケルディックに逃げていたんだな」

 

クラスメイトではないにせよ、同級生が互いに無事だったことに安堵しつつ、それぞれの経緯を説明していった。

 

「そうか。ベッキーも一緒にケルディックに……」

「ええ。今は実家に身を寄せています。良ければ顔を見せてやってください」

「ああ、もちろんだ」

 

ロジーヌのお願いに対し、リィンは当然と云わんばかりに頷く。

 

先の話を要約すると、ロジーヌはヒューゴの手引きによってベッキーと共に脱出し、ケルディックへと落ち延びることができたとのこと。

 

そのヒューゴとはケルディックに向かう途中で離れ離れになってしまい行方不明だが、ベッキーは実家に、ロジーヌは教会に身を寄せているとのこと。

 

そして、今回のようなトラブルは始めてではなく、時々起きているとのことであった。

 

「ここじゃ領邦軍は、暇をもて余しているってことか」

「戦地でもなく、自分たちの管轄という認識からだろうな」

「実際、この町に戦火が及んでいるわけじゃなさそうですしね」

 

領邦軍の横柄な態度は今更でもあるため、そこそこに切り上げてリィンはVII組の仲間を見ていないかロジーヌに問う。ロジーヌの返答はベッキーしか知らないという、あまり期待できない結果に終わったが。

 

「申し訳ありません、リィンさん。何の力にもなれず……」

「いや、気にしないでくれ。ロジーヌもまた絡まれないよう気を付けてな」

 

一通り話し終えたルークたちは教会を後にし、ロジーヌから教えてもらったベッキーへの実家へと赴く。

 

彼女の実家へとすんなり入れたルークたちは、ベッドの上に座っていたベッキーと対面した。

 

「うん……?誰やあんたら?人んちに勝手に―――」

「俺だ。ベッキー」

 

ベッキーの言葉を遮るように、リィンはカツラと眼鏡を外す。変装を解いたリィンの顔を見たベッキーは仰天したように目を大きく見開いた。

 

「リィン君!?『二代目スケベ大魔王』のリィン君かいな!?」

「その不名誉な呼び名は止めてくれ!!」

「何が不名誉や!!学院中の女子全員にわざとラッキースケベを……!!」

「全員じゃないし不可抗力だ!!」

 

本当に不名誉な呼び名を前に本当に嫌がるリィンの姿に、トヴァルは一体何があったんだと疑問の目を向け、『初代スケベ大魔王』のルークは気まずそうに視線を逸らす。

 

その後、互いに落ち着いたところで情報交換したがVII組の情報はなし。VII組以外の学生は一応の監視下にあるということが判明した。

 

そして、ベッキーとも別れたルークたちは町の見取り図の前で話し合っていた。

 

「みんなの手掛かりはありませんね」

「ここまで目撃者すらいないってなると……本当に《VII組》の連中がこの辺りにいるのか、怪しくなってきたな」

「ヴァリマールが探知したんだから間違いないはずよ」

「そうなると、郊外に潜伏している可能性が高いな」

 

実際、町には領邦軍が滞在しており学生に対して注視しているのだ。それを避けるために敢えて町に近づかず、郊外のどこかに潜伏している線は十分にあり得る話である。

 

「もしそうなら、かなりの範囲になるな。何かしらの手掛かりがないと……」

「よー、お兄さんたち。暇してるみたいだねっ」

 

ケルディック周辺の郊外の広さから、目星がないと厳しいとトヴァルが呟いていると、緑色の髪の少年がルークたちに話しかける。

 

少年はルークたちに《帝国時報》の新聞はいらないかと声を掛け、ルークたちは少年の妙に強引な押しに負ける形で新聞を購入する。

 

購入した新聞には、《貴族連合》寄りの偏向記事の目白押しであり、《帝国時報》も《貴族連合》の手に落ちているのが明白であった。

 

「しかし、レーグニッツ知事の逮捕に“旧”正規軍か……世論を味方に付けようという意図が丸見えだな」

「ああ。偏向もここまで来ると逆に感心しちまうぜ」

 

記事の内容にルークとトヴァルが揃って呆れる中、半ば暗い気持ちとなっていたリィンは新聞の最後のページに挟まっていた一枚の紙切れに気付く。

 

「これは……地図?それも東ケルディック街道の……」

「いくつかの数字と記号もあるな……ん?裏面にも何か書いてあるみたいだぞ」

 

その紙切れに視線を向けていたトヴァルの指摘通り、その紙切れの裏面にも何かが書かれている。リィンが裏返して内容を確認すると、記号の動き方と“女王を獲る者が王への鍵を握る”と書かれていた。

 

「なにかの暗号みたいね?」

「この回りくどい手口……まさか“ヤツ”か!?」

「いや、本当に“ソイツ”なら何かを盗んだ上で上品なカードを残すはずだ。こんな紙切れでの挑戦状は“美”に反しそうだし」

「ええ……俺もルークさんと同じ意見です」

 

一先ずその暗号は“チェス”に似ており、他に手掛かりもないため暗号が示す場所へと向かうのであった。

 

 

――――――

 

 

「ここが二つ目の暗号が示していた場所か……」

 

トヴァルがそう呟く視線の先には、こじんまりとした風車小屋がある。最初の暗号が示す場所には何処かの鍵と二枚の暗号が入った箱が置かれており、ルークたちが今いる場所は二枚目の暗号が指し示した場所なのだ。

 

リィンが代表してその風車小屋の扉にある鍵穴に鍵を差し込むと、正解だと告げるように奥まで入り込む。そのまま鍵を開けて中へと入ると……小屋の中にはVII組の仲間の一人であるマキアス・レーグニッツがいた。

 

「……念のために聞くが、リィンだよな?」

「マキアス!」

 

変装したままの姿だったことから、マキアスは確認のために問いかけるも、当のリィンは仲間の無事と再会で頭がいっぱいとなり、そのまま感極まったようにマキアスへと抱きついていた。

 

「ちょっ……お、落ち着きたまえ!」

「良かった、マキアス……!無事でいてくれて……こうしてまた会えて……!あの時は……本当にもう、駄目かと……!」

「リィン……君ってやつは……」

 

その反応から間違いなくリィンだと察したマキアスは、呆れつつもしっかりと抱きしめ返す。そうして、互いの無事を喜び合った。

 

「ふう、湿っぽいのはその辺にしときなさいよね」

「そう言うな。感動の再会にあまり水を差すものじゃないぞ」

 

そんなリィンとマキアスに少し面倒くさげにそう呟くセリーヌに対し、カツラとサングラスを外して変装を解いたルークは言い分を理解しつつもやんわりと咎める。

そこで初めて、マキアスはルークたちの存在に気付いた。

 

「セ、セリーヌ!?それにあの時の記者さんに遊撃士の……」

「ああ……ここまでずっと手助けしてくれたんだ」

「ちゃんと会うのはカレイジャス以来か?さっそくだが、情報交換といこうじゃないか」

 

トヴァルの音頭により、一同は互いにこの一ヶ月間の情報交換をし合う。

 

リィンがヴァリマールと共に飛び去った後、その後はルークが掴んだ情報通りにカレイジャスの介入があり、そのお陰で《蒼の騎神》から逃げ延びることができたとのこと。

 

その後、落ち合ったエリオットとフィーと行動を共にし、オットー元締めの協力でこの小屋に潜伏していたこと。

 

そのエリオットとフィーは《ガレリア要塞》近くにいる正規軍―――エリオットの父が率いる《第四機甲師団》にコンタクトを取ろうと動いていることが語られた。

 

だが、一つだけ疑問に残ることがあった。

 

「しかし、新聞売りの子供はどうやってリィンだと分かったんだ?一応、変装してたんだが」

「女将さんもロージヌ、ベッキーもすぐに気付かなかったのに、どうやってあの子は俺だと分かったんだ?」

「確かに……あの子にはリィンを見かけたら暗号を渡すように伝えていたが…………あ」

 

リィンとトヴァルの最もな疑問にマキアス自身もどうしてかと悩んでいたが、何か心当たりがあったように声を上げる。

 

「その反応、心当たりがあるのか?」

「心当たりというか……その……」

 

どこか迷うように言い淀むマキアスであったが、彼は躊躇いながらもその心当たりを口にした。

 

「実はフィーが……リィンの特徴で『スケベ大魔王』を……」

「「「「ぶっ!?」」」」

 

まさかの『スケベ大魔王』にトヴァルとセリーヌは笑いを堪えるように吹き出し、その不名誉称号持ちのルークとリィンはむせるように吹き出す。

 

思い返せば、ベッキーが大声で『二代目スケベ大魔王』と叫んでいた。その大声をあの少年か他の協力者が聞いたことで、リィンがいると気付いたのだろう。

 

「『スケベ大魔王』が再会の切っ掛け……悪いと思ってもつい……」

「例のラッキースケベってやつ?それで見つかるなんて……」

「本当に不可抗力なんだ……」

「なんでそれが今も残っているんだ……本当に……」

 

精神的なダメージを負いつつも、エリオットとフィーからの定期連絡まで時間があることから、ルークたちは一度ケルディックへと戻ることとなった。

 

当然、マキアスはレーグニッツ知事の息子なので変装は必須なのだが……

 

「眼鏡を外すだけじゃ心もとないだろ。カツラもあるから遠慮なく使え」

「……カツラがあるのはありがたいんですが、記者は変装道具を持つのが普通なんでしょうか?」

「いいや。俺の場合は変装しないと聞けないこともあるから必須なだけだ」

 

実際、政府からは結構マークされているのだ。ルークは故郷を襲った悲劇の真実を今も探っているため、それが表に出ないかを上層部から危惧されているのだ。あくまで自身へのケジメのため、表に出す気も広める気もないが。

 

そうして一度ケルディックに戻ってから、協力者であったオットー元締めに報告とお礼を告げた後、例の風車小屋でエリオットとフィーからの定期連絡で再び互いの無事を喜びあった。

 

「ところでフィー……」

『ん?なに?』

「例の不名誉な―――」

『事実だから反論の余地なし。否定したら風穴』

「……はい」

 

……『二代目スケベ大魔王』を広めた事実に異論を唱えることを認められず、ルークたちは《双龍橋》の死角となっている場所で二人と落ち合うことを決める。

 

「じゃあ、さっそく“ポイントD”に急ぐとしよう」

「《双龍橋》の手前だからな。気を付けた方がよさそうだな」

「領邦軍も巡回しているだろうし、下手に鉢合わせしないように注意しないとな」

「ええ。マキアス、案内は頼んだぞ」

 

万が一領邦軍と鉢合わせした場合も考慮し、トヴァル以外は変装(マキアスは安全上眼鏡装着)したままで“ポイントD”へと向かう。

 

幸い、領邦軍と鉢合わせすることなく、一行は“ポイントD”へと到着した。

 

「なるほど、ここなら《貴族連合》の巡回ルートからも外れてそうだな」

 

岩場が多く、街道からも外れている場所にトヴァルが感心する中、ルークたちは安全と判断してその場で変装を解く。

そのタイミングで、紅毛の少年―――エリオットが先程ルークたちが来た道を駆け、合流した。

 

「リィン―――リィンだよね!?ホントのホントに、間違いないんだよね!?」

「ああ、間違いないさ。エリオット……無事で良かった」

 

エリオットもマキアス同様にリィンとの再会を喜び、リィンも再会できたことを再度喜ぶ。

 

「ところで……フィーは?」

「フィーはあの通信の後、何かに気付いたみたいで。すぐに戻ると……」

「―――お待たせ」

 

エリオットと一緒に行動していたフィーがいないことにリィンが疑問を浮かべていたが、エリオットの説明を遮るように気怠げな少女の声が耳に届く。

 

一同は声がした方に目を向けると……岩場の天辺に件の少女―――フィーが佇んでいた。

 

「やっ」

 

フィーはそのまま岩場からリィンに向かって飛び降り―――

 

「―――あっ」

「え?―――ぶふっ!?」

 

目測を見誤ったのか、リィンの顔がアソコで覆い隠されることとなった。

 

『……………………』

 

誰もが口を開かない……否、開けない圧倒的な無言。それを破ったのは立ち上がったフィーであった。

 

「今のはなし。やり直す」

 

フィーはそれだけ告げると軽快な動作で岩場を登っていく。どうやら飛び降りをやり直し、先程のはなかったことにする心算のようである。

 

「やっ」

「ちょっ―――グフッ!?」

 

再度飛び降りたフィーは、今度は目測通り、リィンの腹の上へと馬乗りになる形で無事(?)着地した。

 

「……ん。本当にリィン。『二代目スケベ大魔王』なのも含めて」

(……あれはフィーのミスじゃないのか?)

(突っ込んだ方がいいのかな……?)

(止めておけ。指摘したら銃口だ)

 

頭と肩を打たれ、腹に乗られてぐったりしているリィンを誰も心配しないのは、もはやお約束であった。

 

「あのボン……!絶対に許さへんで……!!」

「…………(メキャ)」

 

……バカが付く保護者たちにロックオンされるのもお約束であった。

 

 

 




……二代目スケベ大魔王の命がロックオンされました。
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