夢見る機械   作:ランブルダンプ

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最初の話

気がつくと私は目隠しをされた状態で何かに縛り付けられていた。

 

「ここは……?」

「目が覚めましたか、もう最終行程なので目隠しを取ってもいいですよ」

 

声がし、複数の何かが動く音と共に目隠しが取り外された。

私は光で痛む目を瞬きしながら目の前の声を掛けられた存在に目を向ける。

 

「女の、子……?」

「そうですね、少し視界がぼやけるかもしれませんが正常ならなによりです」

「たいちょー、手足の拘束は?」

「見た所暴れないようなので、もう外して結構ですよ」

「りょーかい!」

 

話がさっぱり分からない。

私の目の前に居たのは背丈の小さな黒髪の女の子、そして拘束を外してくれているのは白い髪をしている人達だ。

 

「あの、すいません。ここは一体?」

「………………」

 

私が何を話しかけても返ってきたのは沈黙だった。

 

何か目につく範囲でヒントは無いかと見回すと、部屋の端に1から10まで並んだボタンがあり、今この瞬間響いている重い音からこの部屋ごと動いているのが分かった。

 

足の拘束が外され自由になる。

その時外してくれた人の顔を見たのだが、先程の黒髪の少女同様美しい容姿をしていた。

 

拘束されて痣になっている手首をさすりながら立ち上がる。

薄暗い室内をぐるりと見渡す。

思った以上に狭い上に、白い髪をした人達が沢山居る。

 

しかも全員同じ顔だ(・・・・・・・・・)

 

一種異常な光景に呑まれていると声がかかった。

 

「ここに来る前の事を覚えていますか?」

「え?……えっと」

「こちらの記録によると、貴女は7月29日の夕方友人五人と肝試しをしに山へ侵入、道中我々の仕掛けている罠に掛かり逆上した友人の二人は結界を破壊し異界へ転落、もう二人は中継地点にて死亡。貴女だけがなんとか逃げ出してきて我々に捕らえられました」

「……え、死?……あ……」

 

唐突に記憶が甦ってくる。怪我をした友人、血、赤い、恐怖、人影、穴、そこから現れたナニカ。

 

「……っ!!……ぁあ!?」

「思い出しましたか、それは良かった。恐怖の記憶はいい餌になります」

「隊長、そろそろ着きます」

「分かりました。到着次第三原則の停止を。我々の目的は観察、調査、回収、それとなるべく避けて欲しいのですが戦闘です。今回も全員ちゃんと帰還しましょう」

「「「了解!!」」」

 

記憶のフラッシュバックで頭痛で表情を歪める私に彼女は機械のような無表情でこう囁いた。

 

「主役は貴女です。なるべく耐えて下さいね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

頭痛の収まらない頭を振って辺りを見渡す。

 

先程まで一緒にいた少女達は私を部屋から連れ出した後、果てのない荒野に置き去りにしてどこかへと行ってしまった。

 

追い掛けようとすると銃を向けられた。

まさか現代の日本で銃なんて目にするとは思わなかった。

 

「うぅ……直人、恵……」

 

死んだらしい、二人の友人。

それにあの少女は私を餌と言った。それの意味することは。

 

「……何か、隠れる場所探さなきゃ」

 

視界の端を黒い何かが過ぎる。

気のせいだと思いたい。

 

見渡しても一面の荒野だったが、かすかに見えた建物らしきものを目標に歩き出した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「目標、動き始めました」

「了解」

 

『街』で対象と接触する事を予想して隊を二つに分けて先回りさせる。

今回の実験は人間を対象とした異界の変異反応実験であり、先に堕ちた友人達が侵食されているのは確認済みである。

 

どこまで生前の記憶が残っているのか。

 

「隊長、変種二体目標への移動開始」

「分かりました、対象の反応を記録して下さい」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

なんとかたどり着いた場所は廃墟としか言いようがない場所だった。

建物自体は新しい、ただ人が住んでいればある気配のようなものが一切ないのだ。

それでもないよりましだと思い建物へと入る。

 

照明は無いが、明かりは入ってくるらしく歩き回る分には問題無かった。

 

外観から想像した内装とは全く別だった。

内側は赤色と紫色をぶちまけたデザインも何もあったものではない趣味の悪いものだった。

 

気分が悪い。視界の影が濃くなっている。

 

落ちていた紙を拾う。まるで意味の分からない記号の羅列だった。

それを握りしめたまま他の部屋へと移動する。

 

扉を開ける寸前に中から重たいものが倒れる音がし、反射的に体がビクッと動いた。

 

「……何か……居るの?」

 

扉に耳をつけるがそこから何も音がしない。

おそるおそる開けると、ぬめった光を反射する何かがあった。

 

巨大な眼だ。

 

 

「っ!!??」

 

息を呑む。生きている?死んでる?

 

半ばおかしくなっていた私は手を伸ばし、その眼球へと突っ込んだ。

 

 

……反応は無い。死んでいる。

 

 

どっと吹き出した汗を拭う。

 

安心したので自分の目を取り出して食べてみた。

視界が半分になったのが残念だった。

 

その眼の持ち主は龍だった。

 

部屋の中に転がる死骸、頭を乗り越えて部屋へと入る。

入らなければならない感じがしたので入りました。

 

部屋の机には多分わたしの目が入ってるから扉を開けて窓、

 

「あ、久しぶり!!」

 

ぐずぐずになってるし右手が変だけど一緒にいた咲と隼だ。

 

咲はボロボロの格好で隼の背中から生えてる手を性器に突っ込まれて泣き叫んでる。

 

二人とも付き合ってるのはしってたけど公衆の面前はいかがなものかな。

あ、あれが子宮なんだ。引きずり出されてる奴。

 

「や、涼じゃん。咲知らない?」

「えー?惚気話はやめてよー」

 

ここ二階なんだけど成長期なのか隼背大きいねー。

咲の内臓が地面引きずるくらい長いなー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「以上、今回の遭難者を用いた実験結果です。異界に一般人が堕ちた場合も我々のルートでも変異は同じ、意志疎通は図れると分かりました。ただし正気は失われあくまで当人同士に限ります」

「ご苦労だった。急な対応とはいえよくやってくれた」

「では、私はこれで」

 

執務室を後にする。

今回の実験で使った三人は結局共食いで死亡し生還者は我々のみ。

 

喪失者はゼロ。

 

上々だ。

 

 

 

人間が立ち入れば狂気に堕ちる異界。それの研究、調査を行うのが我々の役目だ。

 

この時はまだ私はそう思い、疑っていなかった。

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