夢見る機械   作:ランブルダンプ

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はじまりの話

「ある日、こちらの世界へ『龍』が堕ちてきた。

その死体は秘匿され、ある組織が研究を進めた結果、地球上のどの生物とも関わりを持たない未知の生き物であった事が分かった。

 

当然次はどこから来たのかを組織は探し始め、そして見つけた、

世界の片隅にひっそりと存在していた別の世界『異界』への扉を。

 

ネットに流れる異世界への行き方や夢の中の世界、その噂の元を丹念に辿るとある場所へと行き着いた。

 

「要するにゲームのバグのようなものだ。存在しないはずの場所へと行ける、入れない場所へ入れる。古今東西の伝承を調べても神隠しや人が消える話、怪異の話が無い場所を探す方が難しい」

 

そうやって見つけた入り口へ何度も調査隊が送られた。

しかし生還者はゼロだった。

 

我々は気付かされた。人間は生存出来ない。

何故ならそこではルールが違うからだ。

別のゲームのキャラを他のゲームでは使えない。

 

「ビームが撃てるキャラクターを推理モノの世界へ入れてみろ、世界観が破綻する!」

 

しかし、無機物というその世界に共通する枠組みはあった。

それは唯一回収出来たビデオカメラからも推察出来る。

 

ならばどうするか。

 

思考する機械を作ればよいのだ(・・・・・・・・・・・・)

 

思考できる機械、即ちロボット。

都市伝説や伝承に基づき形は少女型に決定を押し通した。

 

そうして産まれたのが試作機達!

彼女達は調査だけなら目的は果たせただろう。

 

しかし、異界には敵もいた当然思い付いて然るべきだった!

あちらは龍なんてものが居る世界だったのだから。

 

そこで私は思い付いた。

 

「ならば!この龍とやらを元にして作ればいいではないか!」

 

そこから私は頑張ったよ、組織を説き伏せ龍骸を元に外皮を作り龍核を心臓にして一から生命を産み出す!

 

フランケンシュタインの小説のようにな!まぁ素材はドラゴンだが。

 

最初の素体では龍骸が足りないから幼い姿にさせた。

 

正直作ってる途中で私はロリコンなのではないかと焦ったし、同僚からの目も冷たかった。

 

しかし!産み出したのだ。そう!!君という存在を!!

 

という訳でおめでとう、以上が君の誕生経緯だ。

 

そしてハッピーバースディ!!今日が君の誕生日だ!!」

 

「………………………………………………はい」

 

「反応がうっすぅい!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「博士、先程送った結果見ましたか」

「ああ、見たとも。ありがとうクロ!情報の横流し」

「いえ、単に命令権限が上位に設定されてるだけです」

「そんな!?親子の絆とかその辺の素敵なサムシングは無いの!?」

「機械の私にあると思うんですか?」

「ガッテム!!」

 

定期メンテナンスのついでに頼まれていた情報を博士に渡す。

 

「結構老けましたね博士」

「ぐはぁ!?」

 

最初に私を作ってからかれこれ5年。

今では妹達は11機も増え、探索も順調だ。

精神的ダメージから復帰した博士が私を台に寝かせ、胸部カバーを開ける。

 

「龍核特に変化無し、素体の劣化も見当たらず。うん順調だね」

「それは良かったです」

 

その後各部の点検を終えて診断は終了となった。

裸の格好から元の制服に着替える。

 

そんな私に博士が後ろから声を掛けてきた。

 

「まだ感情は芽生えないのかね」

「……?」

「いや、忘れてくれ」

「了解しました。失礼します」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

黒髪を靡かせて出ていった彼女を見て一人ごちる。

 

「そう、問題が起きなさすぎる。本来とうに劣化している筈の部品が新品同然、まるで生きてるようだ」

 

他の姉妹のデータをパソコンへと浮かべる。

 

「彼女達は多少の整備が必要だった」

 

クロが妹達と違うのは外皮をも龍骸から作成している所だ。

掛かったコストは膨大だし、二号機からはコストを削減するようにとお達しが下って人工の生体組織だ。

 

考えられる可能性は……

 

「自己修復……か」

 

それが可能ならば、彼女は人類の手綱をいずれ抜け出し独自の生命となるかもしれない。

 

「いやぁマッドサイエンティストと昔は言われたけど、こりゃ昔の同僚に『私は神だ!!』って自慢してもいいかもな」

 

まぁそんな妄想はどうでもいい。

問題なのは今の彼女達の状態だ。

自我を持った。ならば次に芽生えるのは感情であるはずだ。

それが何十年の単位とはいえ学習の果てに確実に目覚める。

 

惜しむべきはその記念すべき瞬間までに私が生きて居ないこと。

感情を生じさせた機械に、その時の人類がどう対応するか、という事だ。

 

「ロマンチックに言うならば彼女達は新人類であり、未知のフロンティアである異界を切り開く先駆者って所か…………あぁ!くそぅ!私も見たいなぁ!!」

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