貴方のためだけに   作:死告天使

9 / 11
毎回のご感想、誤字報告をありがとうございます。それのおかげで「あぁ、自分の作品をいろんな人が見てくれてるんだ」って感謝しています。


9話

それは....自分の過去だった。そうあの時、俺は訓練が終わりTLTの特殊戦略任務班の隊長....貴虎隊長に親が向かえに来る場所まで連れて行ってもらい降ろしてもらった。

 

「では、気を付けてな。親御さんに迷惑かけるなよ。」

 

「はい!ありがとうございました!貴虎さん!」

 

そして、車が去って行き俺は親が来るまで待っていた。だが、待つが場所が毎回同じで帰り道も真っ直ぐで見慣れてるから俺は

 

「.....見たい本があるし、探検気分で歩くか.....どうせ一本道だし親と鉢合わせするか。」

 

そう考えて歩き出した。この考えが最悪な方向へと行くなんて知らなかった。

 

 

 

「へ~、自分の所も木とは生えてるけどやっぱり森は凄いなぁ.....ダムが基地だからか川もあるし....ひぇ!た、高い!....おし、森側を歩こう!」

 

呑気に自分は車でしか見れていなかった景色を満喫していた。すると、

 

「~♪.....ん?車が止まってるのか?何かあったのかなぁ?....すみませ~ん!」

 

自分の目の先に1台の車が止まっていた。事故でもエンストとか起こったのかなぁ?と心配になり車に近づいた。だが、

 

「.....誰も居ない.....」

 

車には誰1人乗っていなかった。しかも、その車は全部のドアが開いていて、何かヌメヌメした液体が所々あり、財布や携帯も運転手の物なのか前に置かれていた。

 

「....物騒だな、ここから近いコンビニでも数十分以上はかかるのに......」

 

自分は何回かTLTで「ビースト」についての映像やそれと戦った「ウルトラマン」の映像や写真を見せて貰ったり話を聞いたことがあった。今はビーストは既に居ないし、居たとしてもすぐに貴虎さんたちが駆けつけるからと考えていた。嫌な予感がして、俺はすぐに貴虎さんに連絡をいれようとしたのだが

 

「あ、くっそ!圏外か!」

 

山の中もあってか圏外によって連絡が出来なかった。だから、親を待ってコンビニで貴虎さんに連絡をしようと車の所で待っていようとした......その時だった

 

『うぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

「!?」

 

森から男の悲鳴が聞こえて来た。

 

「...っ!」

 

最初は「早く誰か来てくれ!」と思ったが、訓練して強くなったと考えた俺は.....森の中に入って行った。自分の少し後ろに少女が居たのを気付かずに....

 

 

 

 

 

森に入り駆け足で声がした方向をへ行くとそこは.....

 

「た、助k」

 

「わぁぁぁぁ!!!!!」

 

軟体の生物....いや、ビースト「ペドレオン」が人間を食べていた。

 

「...あ....あ....」

 

それに出くわした俺は.....動けなかった。恐怖で足が震え、一歩も踏み出せなかった。そして、ペドレオンの近くにいたもう1人の男性も動けなかった。そして、ペドレオンの触手がその男性に巻き付いた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!嫌だ!た、助けて!!!!!」

 

男性は俺に手を伸ばしたが、俺は

 

ドサッ

 

「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」

 

恐怖で腰が抜けてしまい、手を伸ばせれなかった。そして、男性はペドレオンに食われてしまった。男性が食われて次の標的は俺だった。逃げようにも腰が抜け動けず、自分の腰に触手が巻き付いた。そして、ペドレオンの元に引き付けられ.....そして

 

「キシャァァァァァァ!!!!!」

 

「わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

目が覚めると、自分の体を確認して触手が巻き付いていないことを確認した。

 

「はぁ!.....はぁ!.....」

 

あの時に起こったことが忘れられずに今はたまに見るくらいだが、前はずっと見るくらいで、学校を休むほどだった。

 

「......うっ!」

 

あの光景をもう一度思いだし、吐き気がしてトイレに駆け込んで夜食べた物を全て吐き出してしまった。

 

「.........くそったれ....」

 

自分が恐怖に負けたことと変わったとある意味嘘をついたことに悪態をつきながら、口を洗った。

 

「.......喉......渇いたな....」

 

就寝時間はとっくに過ぎていたが、吐き出したせいで喉も渇いてしまったのでこっそり部屋を脱げたして、自動販売機まで目指した。

 

 

 

 

 

「.....ぷはぁ.....はぁ.....」

 

誰にも見つからずに自動販売機までたどり着き、小さいペットボトルの水を購入してそれを一気に飲み干した。

 

「......絶対....あんな姿を見たら俺を幻滅するだろうなぁ......何が....変わっただ!....結局....弱い俺のままじゃねぇか.....」

 

ペットボトルを握り潰しながら自分に対して先ほど以上に悪態をつき俯いていると

 

「.....勇介君?」

 

確かに見つかっていないはずだったのに、突然の声にびっくりしてしまい、自動販売機の後ろに隠れてしまった。

 

「あ、先生じゃないよ。私だよ。」

 

「......虚ちゃん」

 

その声は虚ちゃんであった。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。