虚構彷徨ネプテューヌ   作:宇宮 祐樹

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Apexから逃げられなかったので更新遅れました


10 パラダイス・ネフィリム・ロスト

 

 マジェコンヌ。

 ネプテューヌシリーズにおける悪役代表っていうか、皆勤賞っていうか、そんな感じの人。たまに人じゃないときがあるけど……まあ、とりあえずいつもの元凶。

 一作目ではラスボスを務めていたけど、二作目ではなんか組織名として扱われてたり、かとおもえば三作目では最終的にナス農家になってたな。あれは仕方ないっていうか、一番落ち着くところに落ち着いた、って感じだけど。

 とにかくまあ、悪役。わるいひと。名前からして違法だもんな、マジコン。

 だから、見るからに悪だくみしてる今、倒さなければいけないんだけど――

 

「にしても、女神の夢を叶えるって……また妙な事を思いついたっちゅね」

 

 呆れたように肩(?)をすくめ、マジェコンヌの足元にいるネズミが言った。

 ワレチュー。マジェコンヌと肩を並べる、ネプテューヌの敵役。基本的にあの二人はコンビで活動してたっけな。でもワレチューの方がまだ改心の余地はあったり。

 いや、そうじゃない。この際彼女らの詳細についてはどうでもいい。

 問題は、彼女が何を考えてるのか、ってことだ。

 

「でも最初は失敗したっちゅよ? 次はどこから攻めるっちゅか?」

「明確な夢のある女神からだな。さしあたり、ルウィーかリーンボックスか……まあ、このプラネテューヌ以外だったらどこでもいい。ここは最後に攻めるからな」

 

 なんだ? 明確な望みって……それに、女神の夢?

 わからない。記憶を探っても、そんな単語に聞き覚えはなかった。

 

「ま、今は充電期間だ。周到に準備する必要があるから、お前もしっかり働けよ」

「うう、相変わらずネズミ使いが荒いオバハンっちゅ……」

 

 なんてぶつぶつ呟きながら、ワレチューが路地裏の奥へと消えていく。

 うーん、なんにも情報が得られなかったな。たまたまとはいえ、明確な悪者に出会ったわけだし、いろいろ聞いておきたかったんだけど。

 とにかく今は、ここから逃げてネプテューヌに――

 

「それで? さっきからそこで盗み聞きしている奴は誰だ?」

 

 ――まずい!

 

「…………っ、あ!」

 

 声が聞こえると同時、紫色の閃光が視界を埋める。次に感じたのは、全身が叩きつけられるような衝撃。吹き飛んだ俺の体は、地面を何度か転がってから止まった。

 見上げたその先には、黄昏の空に浮かぶマジェコンヌの姿。俺を一瞥すると、彼女はすこしイラついたように、その唇を動かした。

 

「……出来損ない? まさか、こんなところで出くわすとは……」

 

 出来損ない? 何の? 俺は、何になれなかったんだ?

 いや、そもそも……どうしてマジェコンヌは、俺のことを知ってるんだ?

 

「まあいい、貴様はここで消えろっ!」

 

 叫ぶと同時に杖を掲げ、マジェコンヌが魔力をこちらへ飛ばす。

 一撃目は俺の足元。跳ねるように体を起こし、駆けながら態勢を立て直すと、二撃目が右側の壁に直撃。爆ぜる破片が、俺の体へいくつも突き刺さった。

 頭に鈍い衝撃。右半分の視界が血で潰れる。

 

「っく……げほ、ッ!」

 

 まずい。まずいまずいまずい、まずい!

 そもそもアレって()()マジェコンヌだ!? 確か一作目だと四女神の親とか先祖とかそんな感じで、三作目だと犯罪神とかになってたりしたな!? VⅡだと確か夢とかだった気がして、それから、それから……ああっ、もう!

 とにかくわかってるのは、今の俺じゃ太刀打ちできないってこと。

 つまり、絶体絶命なわけで――

 

「ぐぅっ!?」

 

 腹の横を打たれるような感覚で、体が壁へと打ち付けられる。地面に倒れ込み、仰向けになった俺の胸元に、マジェコンヌがヒールを打ち付けた。

 肺の中が全部押し出されるような感覚。同時に、呼吸が無理やり止められる。

 

「が、は……!」

「それにしても、体が無事とは思わなかったぞ。クリスタルの方はどこかに落ちていても不思議ではなかったが……つまり今のお前は抜け殻ということになるのか」

 

 抜け殻……? それに、クリスタルって……?

 駄目だ、情報が少なすぎる。マジェコンヌの考えていることが分からない。

 それに、このままだと……

 

「……く、そっ!」

「なんだ、私に歯向かおうというのか? その出来損ないの体で」

 

 苦し紛れに女神化した手で足を掴むけれど、それで何かができるはずもなくて。

 そのまま体を蹴り飛ばされると、視界がぐるぐる回る。そして地面にずたぼろに転がった俺の体を、マジェコンヌが片腕だけで持ち上げた。

 

「非力だな。けどその勇気は認めてやる。だから、一つ教えてやろう」

 

 ぐい、と俺の体を引き寄せて、彼女が告げる。

 

「私の名はマジェコンヌ。いずれ、このゲイムギョウ界を支配する者だ」

 

 そんなこと。

 

「……しってる」

「なに?」

「しってるし、そんなこと、させない!」

 

 右脚にプロセッサユニットを展開。そのままマジェコンヌの体を蹴りつけて、同時に左腕へシェアエネルギーを移動させる。マジェコンヌの腕を掴み、俺の腕から引き剥がした。

 

「なに!? 貴様まだ、シェアエネルギーが……」

 

 やっぱり、女神化は効くのか。これなら、まだ――

 

「……だが、私に適うはずがない!」

 

 鳩尾に強い衝撃。体を吹き飛ばされるのは何度目だったか。体は既に感覚が鈍っていて、もう一度立ち上がるのに時間はあまりいらなかった。頭から流れていく血が、地面へと跳ね落ちる。視界はすでにぼんやりとしていて、彼女の顔色すらも見えないほどだった。

 けれど、戦えないわけじゃない。

 

「まだやるのか、貴様。それほど死にたいのか?」

 

 そんなわけない。死ぬのは怖いし、痛いのももう嫌だ。

 でも、それ以上に。

 

「……みんなを、守らないと」

 

 俺のその声に呼応するように、右腕に盾が現れる。守るべき人々の信仰によって作り出された、黒鉄の盾。それは確かな重みをもって、俺の腕へと装着された。

 ざん、と盾を地面に突き立てて、正面に体を構える。

 

「哀れだな、偽りの女神よ」

「偽りでもいい。それでも、この国を守ることができれば」

 

 それに、たとえ俺が倒れても第二、第三のネプテューヌが……

 いや、第二しかいないのか。それでも、彼女を倒すのには充分だけど。

 

「ふん、女神に頼るか。やはり、それしかできないのだな」

「……どういう、こと?」

「貴様らが女神ありきの存在だということだ。女神がないと何もできない。ただ守られるだけのもの。それが、女神の枷になっているとなぜ気が付かない?」

 

 枷。

 俺たちのことを……プラネテューヌの民のことを、彼女はそう呼んだ。

 

「だから、私が女神の救いになってやるのだ。その内に秘められ、抑圧された彼女らの夢を私が実現させる。そしてその果てに……私が、新たな女神としてこのゲイムギョウ界に君臨するのだ」

 

 理解ができなかった。女神の夢ということも、彼女が新たな女神になるということも。確かに分かったのは、彼女を止めないと危険なことになるということ。

 けれど、それを透かされたように、彼女はあざ笑うような声色でつづけた。

 

「私を止めようとしても無駄だぞ? 私は女神の夢を叶える者。つまり私を止めるということは、彼女らに自らの手で夢を壊させることと同義なのさ。それが何を意味するか、お前なら分かるだろう」

 

 それは……!

 

「果たして、女神を信仰するお前にそれができるのか?」

「そんな、こと……」

「できるはずがないなよなぁ? それが貴様らの招いた結果さ」

 

 女神の夢なんてわかるはずもないけど、それはとても大切なことだと思う。

 失われてはいけないということも。そして、叶えられるべきことだとも。

 だから。

 

「……私が、あなたを止める」

 

 彼女たちの夢なんて壊させないし、マジェコンヌの計画も止める。

 たった一人でもいい。女神たちが苦しまないのなら、何度だって立ち上がってやる。

 だって、守ることしか、俺にはできないから。

 

「ふん、蛮勇だな。やはりお前は勇気がある。だが、それだけだ」

 

 そう握りしめた杖の先から、紫色の光を走らせる。

 閃光は視界を全て埋め尽くし、力が解き放たれると同時、マジェコンヌが叫んだ。

 

「せいぜい、あの世で私の英姿を眺めておくことだな!」

 

 そして、次に感じたのは――急激な浮遊感。

 持ち上げられるようなそれは、また急に消えて、俺の体が地面へと落ちていく。

 

「ねぷてぬっ!」

 

 訳の分からない俺の耳に届いたのは、ピーシェの呼ぶ声で。

 気が付けば彼女に抱きかかえられていて、俺とマジェコンヌとの間には、パープルハートとアイリスハートの、二人の女神が並んでいた。

 

「何か騒がしいと思ってきてみたら……どういうことよ、これは」

「あらやだ、ねぷちゃんったらまたボロボロになって。そんなにイジメられるのが好きなのぉ?」

 

 す、好きでいじめられてるわけじゃないんだけどな。

 なんていうか、相手が悪いっていうか……そんなところ。

 

「勇気があるのはいいことだけど、勇敢と無謀を履き違えないでもらいたいわね」

「あら、私は好きよ? 自分なら出来ると思って果敢に立ち向かうねぷちゃん、とってもかわいいもの」

「あなたの趣味は関係ないでしょ。それよりも今は……」

 

 手にそれぞれの得物を握り、ネプテューヌ達がマジェコンヌと対峙する。

 

「女神が二人……なるほど、核はそちらに移行したということか」

「なぁに? この状況でひとりごと? なら私から先に行かせてもらおうかしら!」

「ちょ、ちょっとぷるるん! 勝手に手を出さないで!」

 

 ネプテューヌの制止などなんのその、プルルートが蛇腹剣を鞭のように地面へ叩きつけたあと、その刃を伸ばす。飛来するいくつもの刀身を杖で受け止めながら、マジェコンヌは大きく後ろへと跳んだ。

 それに続くのはパープルハートで、空中にいる彼女へと剣を振り下ろすと、そのまま地面へと叩きつける。けれどマジェコンヌもそれをうまく受け流し、地面を転がりながらも体勢を立て直した。

 そのまま、三人が睨み合う。片方は女神二人を前にして。そしてもう片方は、女神二人の攻撃を受け流した、彼女に対して。張り詰めた糸のような緊張が、あたりを支配していた。

 

「……やめだ、やめ。今ここで争ってもどうにもならん」

 

 やがて静寂を破ったのは、マジェコンヌの方からだった。

 

「私だって貴様ら二人を相手にしているほど暇ではない。計画の準備をしなければならないからな」

「計画……? 何のこと?」

「さあな。聞きたければそこにいるもう一人にでも聞いたらどうだ」

 

 にやり、と厭らしい笑みを浮かべる彼女に、アイリスハートが無言で剣を振りかざす。

 蛇腹剣の伸びによる刺突は、けれど彼女の残像を歪ませるだけ。煙のように消えるマジェコンヌの像に、アイリスハートは舌打ちを残して、元のプルルートの姿へと戻った。

 

「にがしちゃったよぉ~」

「大丈夫よ、ぷるるん。どうせ今やり合っていても、どこかで逃げられていたでしょうし。それよりも」

 

 と、パープルハートはいつものネプテューヌの姿に戻って、こちらの方へと振り返る。

 

「ピー子、もう一人の私は!?」

「怪我がひどくて……! さっきから動こうとしないし……!」

 

 そうなんだよな。三人が助けに来てくれてからずっと、ピーシェに支えられっぱなし。いや、意識はあるんだけど体がいうことを聞かないって言うか、意識もそろそろ飛びそうっていうか。

 肩を掴んで揺らしてくるネプテューヌに、微かに開いた口で返す。

 

「ぁ…………」

「大丈夫だからね! すぐに教会まで運んであげるから、それまでの辛抱だから!」

「ちが、う」

 

 違う。そうじゃない。俺の事なんて、どうでもいい。

 だから。

 

「ゆ、め……」

「……え?」

「ネプテューヌの、夢って…………な、に?」

 

 最後に見えたのは、困惑するプラネテューヌの女神の表情で。

 答えの代わりに、まどろみにも似た暗闇が訪れた。

 

 

「あ、起きた?」

 

 ぱちりと目を醒ますと、聞こえてきたのは俺と同じ声。

 視線だけを右に動かすと、そこには椅子に座って俺のことを眺めているネプテューヌの姿があった。いつも通りの明るい笑顔はけれど茜色の夕日に照らされていて、どこか郷愁にも似た雰囲気を感じさせる。

 ……やっぱり美人さんだなあ。可愛いってより、将来は絶対美人になるっていうような、そんな秀麗さ。

 同じ顔のはずなのに、まったく違う雰囲気を纏っているというか。彼女のように在ることなんて不可能に近いというか。身近なように感じて、実は手が届くはずのない、どこか遠くにいるような、そんな存在。

 おそらくそこが(ネプテューヌ)とネプテューヌの、虚構と本物の違いなんだろうな。

 

「えーっと……私の顔になんかついてる?」

 

 あっ、いや、ちがいます。

 見惚れてました、なんて正直に口に出せるわけもなくて、そんなしどろもどろに答えてしまう。

 そんな俺の姿を見て、ネプテューヌはおかしそうにくすりと笑うだけだった。

 

「んもー、のんきだなぁ。昨日まで生きてるか死んでるかもわからなかったのに」

 

 あはは、面目な……ん? まて、昨日?

 何気なく溢したネプテューヌの言葉に、思わず体を動かそうとして、

 

「おゥ」

「あー、まだダメだよ。治るまでにはまだ時間がかかるみたいだから、じっとしててね?」

 

 全身にビキビキと走る痛みに固まってしまって、大人しく彼女に寝かしつけられた。

 うう、素で忘れてた。だってネプテューヌの顔がいいから……顔が良いと全ての概念を忘れてしまう。

 改めて視線をきょろきょろと動かすと、どうやらここは教会の俺の部屋みたいだった。おそらく、落ちた俺をここまで運んできてくれたんだろう。思ったけど俺、ゲイムギョウ界に来てから運ばれてもらってしかないな。なんだか申し訳ないって言うか、早く飛べるようになりたいって言うか。

 まあ、少なくともこんな体じゃ、ここ数日は飛ぶどころか歩くことすらままならないだろうけど。

 

「にしてもあいつは何? もう一人の私が戦ってたってことは、知ってるってこと?」

 

 知ってるって……ああ、そういうことか。

 つまりこの世界ネプテューヌは、まだマジェコンヌと出会ってないみたいだ。

 となるとあれがどのマジェコンヌかも未だに謎だし、情報も掴めないみたい。パープルハートとアイリスハートの二人と戦えるあたり、相当な実力の持ち主みたいだけど。

 

「やっぱり知ってるんだね? じゃあ、あいつの言ってた計画って?」

 

 計画……って、それは……

 

「知らない」

「え? でもあいつは、あなたなら知ってるって言ってたけど」

「……知らない。知っては、いけない」

 

 それは、ネプテューヌの夢を壊すことになってしまうから。もしマジェコンヌの計画を壊そうとするのなら、彼女は彼女自身の手で自らの夢を壊すことになってしまうから。

 それがどういうことかは分からないけど、少なくともネプテューヌは何かを失ってしまうんだと思う。

 それは俺も、きっとネプテューヌも望まないことだった。

 

「……そっか」

 

 拙い言葉での答えになってしまったけど、彼女はそれだけ呟くだけだった。

 ……聞かないの? いや、聞かれても困るし、たぶん答えられないと思うけど。

 

「答えたくなかったら、答えなくてもいいよ。それに」

 

 顔には何か悟ったような笑み。

 けれどそれは悲しみというよりも、どこか託すような笑みで、

 

「あなたは(ネプテューヌ)だから。うまく言えないけど、信じてるよ」

 

 俺の瞳を見つめながら、彼女はそう告げた。

 

「信じる、って」

「きっとまた何か一人でやろうと思ってるんでしょ? だったら、私はそれを止めないよ。きっと私が逆の立場だったら、止めてほしくないって思うもん。だから、これ以上は聞かない。あなたを信じる」

 

 ……そう、か。信じてくれるんだ。

 こんな虚構の女神でも、成り損ないの女神でも、彼女は信じてくれるんだ。

 ならきっと、それに応えるのが俺の使命なんだろう。俺の果たすべき、役割なんだろう。

 

「ありがとう」

 

 気が付けば俺は、潤んだ瞳でそんなことを呟いていた。

 救われたような気持ちだった。手を差し伸べられるような、祝福されるような、そんな。

 俺の言葉に、彼女は一瞬ぽかんとしたけど、すぐにまたいつものような、明るい笑みを浮かべた。

 

「うん! 私も、あなたに会えてよかったよ!」

 

 彼女がそんな言葉を発したと同時。

 俺の右腕が、急に紫の光を放ち始めた。

 

「うわああああ!?」

「ねぷぅううう!?」

 

 さっきまでのいい雰囲気はどこへやら、二人してそんなマヌケな叫び声を上げる。けれど光はすぐに収まって、体を動かすことのできない俺の代わりに、ネプテューヌが恐る恐る布団をめくる。

 果たして、視界に映った俺の右腕には。

 

「あれ……? 女神化してるよ?」

 

 どういうわけか、プロセッサユニットが接続されていた。

 しかもその色は抜け落ちていて、パープルハートのものを白黒にさせたような、そんな味気ないもの。見た限りではノワールのものと同じようにも見える。

 そして何よりも大きな変化が、それまで肘の先までしかなかったのが、腕全体までに及んでること。

 肩までに及んでるそれは、まさしく女神の右腕だった。

 

「……なにこれ?」

「いや、私もわかんないよ」

 

 二人して同じように首を傾げるけれど、それで何とかなるはずもなく。

 

「なんかパワーアップのフラグでも踏んだんじゃない? あ、あの戦闘実は負けイベだったとか?」

「勝てそうで勝てない負けイベほんときらい」

「わかるー! 無駄に体力消費しちゃうっていうかー、すごく気力いるんだよね、ああいうの!」

 

 まあ一番嫌いなのは負けイベかと思ったら普通に勝利しないといけないイベントだったりするけど。

 なんてことを気楽に話せるくらいには、この変化は些事みたいだった。いや、小さくはないんだけど、女神化できる範囲が広がったなー、くらい。理由は分からないけど、純粋に助かる。

 ……と、そんなこんなで。

 

「あ、そろそろみんなに起きたって伝えてくるね? あとお夕飯も運んできてあげる!」

 

 うーん、申し訳ない。元はと言えば自分が無謀にも突っ込んでいったせいだから、より申し訳なさが。

 ……って、あ。そういえば――

 

「夢」

「……うん? どうかしたの?」

「夢を、きいてなくて」

 

 ネプテューヌの夢。守らなければいけないもの。叶えなければならないもの。

 少し考えたようにすると、彼女は普段通りの様子で、

 

 

「プラネテューヌの国民が、いつも通り平和に暮らせることかなっ!」

 

 

 


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