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バーチャフォレストの洞窟から帰ってきてすぐ。プラネタワーの俺の部屋。
「あれだけ外に出るなって言われてたはずよね!? それなのになんでアンタは出て行っちゃったのよ! もし騒ぎになったらどうするつもりだったの!? 責任とれるの!?」
俺はアイエフにめちゃくちゃ叱られていた。
床に座してコンパに包帯やらなにやらを塗られながら、すげえ勢いで怒られてた。
当然のことなんだけど、それにしても圧がすごかった。
でもでも、プルルートを放っておくわけにもいかなかったし。
それにネプテューヌとも連絡が取れる状況じゃなかったから、仕方ないと思うんですよ。
「あのねえ、あれだけイストワール様に言われたなら分かるでしょ! いまの自分の立ち位置がどんなものか分かってるの!? 勝手なことして困るのはこっちなのよ?」
そ、そうは言われても……
「遠坂……」
「だからトーサカって誰なの!? ちゃんと名前くらい覚えなさいよね!」
だってガンド撃ちそうな声帯してるじゃん……アイエフ。魔法も使うし。
なんて漏らすとまたガミガミ怒るアイエフに、コンパがまあまあ、と俺の治療を進めながら、
「黒ねぷねぷが無事でよかったじゃないですか。それに、大ごとにもならなかったですし」
「それはそうだけど……」
「それに、あの二人も守ったのも黒ねぷねぷですよ? 約束を破ったのは悪い事ですけど」
あの二人。
そう言って彼目を向けたのは、ソファに座るピーシェと、その膝で寝息を立てるプルルート。
寝ているプルルートは別として、ピーシェはどうにも落ち着かないらしい。
そういえばピーシェの傷はどうなんだろう。見たところ俺よりも酷かったと思うけど。
「ピーシェちゃんは見た目よりも浅いから大丈夫ですよ。というより、黒ねぷねぷの方が重症です。あちこち骨に小さなヒビが入ってたり、打撲とかしてたりしますからね?」
いや、骨にヒビって薬や包帯でどうにかなる話じゃ……。
なんて言う暇もなく、俺の服を脱がすコンパが慣れた手つきで包帯をぐるぐる撒いていく。
その下に塗られた薬がぬるぬるして気持ち悪かった。
……寒気がすごい。
ネプビタンとかと同じ成分なのかな。それで回復できるみたいな。
「はい、これで終わりです。しばらくは安静にしてくださいね?」
最後に鼻の頭へ絆創膏を張って、コンパが俺の頭を撫でる。
ジャンプの主人公かよ。
「……さて、治療も終わったことだし、説明できることから説明してほしいんだけど?」
俺の前から立ち去るコンパと入れ替わるように、アイエフがそんなことを聞いてきた。
説明できることか。実は俺もそこまでないんだな、これが。
そりゃあ、プルルートとピーシェのことはたぶんアイエフたちより知ってるけど。
なんでここに居るのかとか、そういのは一切わからない。
「困ったわね……あんたが知らないんじゃ、本当に手のつけようがないわ」
ごめんね。力になれなくて。
「いいわよ、別に。仕方ないことでしょ」
肩を落とすと、アイエフはピーシェたちの方へと寄っていって、
「いろいろ遅くなって悪かったわね。私はアイエフ。プラネテューヌの諜報員をやってるの。あなたは?」
「……ピーシェ。こっちは、プルルート」
「そう。お互いによろしく」
戸惑いながら答えるピーシェに、アイエフは頷いて微笑んだ。
「プルルート……ね。この子、私が見た時には女神になってたけど」
幸せそうな寝顔を浮かべるプルルートの頭を撫でながら、アイエフが呟く。
アイリスハート。神次元におけるプラネテューヌの女神。
それはわずかな時間だったけど、確かに俺たちの前へと姿を現していた。
「どうして女神化したのか、何か心当たりはない?」
「えっと……何か、宝石みたいなのを持ってた。結晶みたいな、中に変な石のある」
「結晶、ね……」
ちらり、とこちらを見るアイエフに、こくりと首を縦に振る。
プルルートが洞窟で見つけた、アレ。
それはおそらく、というか確実にシェアクリスタルだった。
シェアクリスタル。女神の力の源である、国民の信仰が結晶になったもの。
これがあるから、各国の女神たちは守護女神として変身し、敵と戦うことができる。
そのため、シェアクリスタルっていうのは各国にひとつずつしかないはずなんだけど。
「シェアクリスタルが自然発生したってこと?」
どうなんだろ? そもそも自然発生するものだったっけ?
溢れたシェアが何らかの形で結晶化した、とか。ありえそうな話ではあるけど。
困り顔になったアイエフに並んで、俺も首を傾げながらプルルートのことを見つめる。
「……ネプ子も相当だけど、こんな子があんな姿になるなんて驚きよね」
そうだよな。こんな子があんなのになるんだもん。シェアエネルギーの力、恐るべし。
にしてもなぁ、まさかアイリスハートをこの目で見ることになろうとは。
ますますこのゲイムギョウ界に何が起こってるのか、さっぱりわからなくなってきたぞ。
なんて一人でうんうん唸ってる俺をよそに、アイエフがピーシェへ言葉をかける。
「とりあえず、いろいろ調べて何か分かるまでここにいてもらうけど……」
「し、調べるって……プルルートに何かするの?」
「何か、っていうより経過観察みたいなものよ。どちらにせよ、女神になったのなら同じ女神がいるところに居た方が気が楽でしょ? 大体はそこの黒ネプ子と同じ。まったく、ついこの間二人に増えたっていうのに、三人目なんて聞いてないわよ……」
本気で疲れたように、アイエフがため息をひとつ。
「でもまあ、ネプ子と全く同じってわけでもないし、外出とかの都合もつくから安心していいわ」
「そっか……それなら、よかった」
ほっとピーシェが安心したように、その胸を撫で下ろす。
「……ん?……んぅ?」
なんてことを話していると、ちょうどプルルートがそんな声を上げる。
「あ、プルルートちゃん起きたみたいですよ?」
「ほんとだ。おはよ、プルルート」
「んぁ~? おねえちゃん、おはよ~……」
くぁ、と小さなあくびを噛み締めながら、彼女はこてん、と首を傾げた。
「……おねえちゃん、このひとたち、だあれ?」
「私はアイエフ。お姉ちゃんの仕事のお友達よ」
「わたしはコンパって言うです。お医者さんなんですよ」
「アイエフちゃんに~、コンパちゃん~?」
不安そうに二人の名前を口にしながら、プルルートがピーシェの服を掴む。
「大丈夫だよ、プルルート。今日からあたしたち、ここで住むことになったんだ」
「ほえ? なんで?」
「プルルートが女神になったから。それを調べるためなんだって」
「なら、今日からもうお外で寝なくていいの?」
……外?
「どういうこと?」
「えっとね~、わたしたち、おうちなかったから~……」
そうじゃなくて。
「……あたしとプルルート、本当の姉妹じゃないんだ。あたしはもともと捨て子でさ。何とかしていままで一人で暮らしてきたの。それで、四年前くらいだったかな。路地裏に捨てられてるプルルートのこと見つけて、それで……見捨てられなくて」
「二人で過ごすようになったんですか?」
「同じだったんだよ。でも、誰もが同じになれるわけじゃない。あたしは運がよかったのかもしれないけど、プルルートがこの先、あたしと同じように生き延びられるか不安で、仕方なくて。気がついたら」
「……いいじゃない。立派よ、誰にでもできることじゃないわ」
ピーシェ……。
「立派になって……! この子ったら……!」
「……前から思ってたんだけど、あたし女神と面識あったっけ?」
「黒ネプ子ならなおさらあるわけないでしょ。ほら、いい話してるんだからそんなにふざけるんじゃないわよ! 離れなさいよ!」
でもでも、頭とか撫でさせてくれよぅ、嬉しいんだよう。
ヴッ゙……オ゙エ゙ッ゙……!!
「まあ、アレは置いといて。とにかく、ここにいる間は設備とか自由に使ってもらっていいから。何かわからないことがあれば、私たちや職員に聞いて」
「は~い!」
「……ありがと」
そんなこんなで、プラネタワーにまた新たな住人が増えたのでした。
よかったよかった。
「良くないわよ。問題は何一つ解決してないんだから」
いえーい、とハイタッチをキメようと思ったら、すぐにアイエフにそんなことを言われた。
「とりあえずはイストワール様に報告ね。ああ……考えただけで胃が……」
「あいちゃん、いつもの胃薬用意しとくです?」
「うん、お願い。イストワール様の分も――」
「その必要はありませんよ」
二人の会話を遮るように、そんな声が聞こえてきた。
開かれたドアの前に浮いて居たのはぷんすか怒ってるようなイストワール。
それに控えるように、ネプテューヌとネプギアも。
「あれ~? ねぷちゃがふたり~? もしかして……おねえさん?」
「おお、これが例の子だねー……って、姉妹って……まあ、そう見えるのかな?」
……どっちだろう? 普通に考えたらネプテューヌの方が姉に当たるのかな。
そしたら俺が妹になるわけか。ネプギアとキャラ被りするけど大丈夫かな、それは。
「わ、私妹キャラまで取られちゃうの!? それだと本当に影が……」
「すいません、その話は後に回してもらってもよろしいですか?」
「そんな!」
ついにオイオイ泣き始めたネプギアを宥めながら、イストワールに向き直る。
どうしたんだろ、もしかして説教追加なのかな。
「それもそうですが、その前に黒ネプテューヌさんに行ってもらう場所があります。同じく、今回の事態の中心でもあるプルルートさんとピーシェさんにも」
プルルートとピーシェも一緒に? なんだろう。
もしかして新歓? 一発芸とか何も考えてないけど大丈夫?
「どうしてこんな時にそんな能天気な考えができるのよ……」
「まあ、お姉ちゃんらしいって言えばお姉ちゃんらしいけどね」
「そうかなー……私ってあんなんなのかなー………」
うーん、なんて微妙な顔をしながら、ネプテューヌがそう漏らす。
どうなんだろうね。俺も自分自身のことだけど、あんまり分かんないや。
「それで、その……行ってもらう場所ってどこ?」
「ルウィーだよ。ブランのところ」
ピーシェの問いかけに、ネプテューヌが応えた。
ルウィー。女神ホワイトハートが収める、夢見る白の大地。
この次元のルウィーはいつも通り、メルヘンチックな雪国らしい。
にしても……なんでいきなりルウィー?
「ブランに黒い私と、ついでにプルルートのことを見てもらうんだ。なんだかんだルウィーは長いからね。ブランなら何か知ってるかもしれないし」
なるほど確かに、ブランはそういうことに詳しそうだ。
ってことは、ついにブランと会うってことになるのか。
うわ、そう考えると緊張してきた。何か見繕ったほうがいいかな。
言ってもブランまんじゅうしか出せるものないけど。
「とにかく、黒いネプテューヌさんとプルルートさん、ピーシェさんは明日の朝にルウィーに向かってもらいますから。今晩中に準備をしておいてくださいね」
はーい、分かりました。といってもすることなんてほとんどないけど。
そのあとも色々、主にピーシェを中心にモンスターの異常についてのことを話してた。
そこら辺は分からないから、会話に入ることはできなかったけど。悲しい。
でも、今起こってる問題については何となく分かった。
モンスターの異常は、俺がここに来てから同時期に起きたこと。
数日間にわたって起こっていた異常は、けれど今は収束状態にあること。
そして、その収束と同時にプルルートが女神になったこと。
…………。
「どう考えても黒ネプ子たちが影響してるわね」
そうだね。俺もそう思う。理由は分かんないけど。
シェアクリスタルがモンスターに影響を与えてたってのは見た。
でも、それがどうしてかは、やっぱり分からない。
それに、シェアクリスタルが自然に発生していたことも。
不穏というか、何というか。得体の知れない違和感がある。
「まー、今考えても分かんないもんは分かんないよ。とにかく、考えるのは明日ブランに会って、いろいろ聞いてからでも遅くはないんじゃない?」
モンスターの異常も解決はしてるし、確かにそれでいいんだろう。
ネプテューヌの言葉にみんなも納得したみたいで、このまま解散する流れに。
アイエフとコンパはそれぞれの仕事にもどって、イストワールも今日の総括に行くらしい。
いつもだったらご飯食べてそのままネプテューヌとゲームする時間なんだけどね。
今日は何するんだろ。ルウィーの話出たしルウィースポーツやりてえな、俺。
「じゃあ、みんな集まってることだしさ、一緒にお風呂でも入ろうよ」
…………うん?
なんて?
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所は変わって、プラネタワーの大浴場。
「いやっほー! いっちばーん!!!」
「あっ、ちょっとお姉ちゃん! ちゃんと体流してからじゃないと!」
……プラネタワーに大浴場なんてあったんだ。
いや、初日にネプギアに言われてはいたけど、実際に入るのは初めてだったから。
他にも図書館とかキッズルームとか、ボウリング場とかもあったし。
マジでなんなんだろうね、この建造物。
「お姉ちゃ~ん、背中流し合いっこしよ~」
「うん、いいよ。じゃあこっちおいで」
あ、じゃあ俺も俺も。プルルートの髪洗いたい。
ピーシェの後を追うと、「……別にいいけど」なんて少し微妙な顔をしながら答えてくれた。
本当にいいのかどうか分かんないね、その反応。
え、なに? もしかして俺のこと嫌い?
「嫌いってわけじゃないけど……距離感がつかめないっていうか」
プルルートを銭湯でよく見るあの椅子に座らせながら、ピーシェがそう言った。
「あたしは女神に世話になった覚えもないのに、女神はあたしのことを知ったように言ってくるし。悪いってわけじゃないけど。でもなんだか、見透かされてる感じがする」
あー……そうか。そりゃそうだよな。
俺はピーシェのことを知ってるけど、ピーシェが俺のことを知ってるわけじゃないし。
そこのズレが、ピーシェの感じる違和感になってるんだな、多分。
「実のところ、あたしはあんまり女神のことを信仰してないんだよ」
え。
「なんていうか……生きてるうちに、女神に祈るなんてことしなかったからさ。だから、女神にそんな世話にされるっていうか……優しくされるっていうの? それが、分かんなくて」
ああ、まあそうなるよな。
でもさ、そんなこと。
「たとえ女神を信仰してなくても、ピーシェもプルルートも、プラネテューヌの国民だから」
「それだけで?」
「うん。あなたたちを守るための、充分な理由になる」
なんてったって、それがプラネテューヌの女神の役割だもん。
信仰してるとかどうとか、そこら辺はあんまり関係ないんじゃないかな。
少なくとも、皆の女神ではない方の
でも、本物のネプテューヌも、そこら辺はあんまり気にしてないと思うけど。
「……やっぱり、あんたも女神なんだ。偽物なんかじゃなくて」
どうなんだろうね。
そこら辺は、これから分かっていくことなんだと思う。
でも、今は女神ってより……ピーシェの友達になりたいって感じかな、俺は。
「友達? あたしと女神が?」
どっちかってと戦友なのかな。いや、プルルートを見守る会みたいな。
……とにかく。
「女神って呼ばれ方、あんまり慣れてないから」
「ああ、そういうこと……なら、どうやって呼べばいい?」
「なんでもいいよ。好きに呼んでくれれば」
ちょっと無責任な返答になっちゃったけど、ピーシェはうんうんと考えてくれて、
「ねぷて……ねぷ、てゅ……ねぷちっ……あ、あれ? 言いづらいな……」
…………。
「ねぷてぬ、って呼んでもいい?」
そッ……その呼び方は……!
「ピー子……!」
「うわっ、なんで!? ダメだった!?」
「駄目じゃない……ダメじゃないよ……!」
「お姉ちゃ~ん、お話してるの~?」
「え? ああ、ごめんごめん。すぐに洗ってあげるからね」
頬を膨らませるプルルートに、ピーシェが慌てて俺を振り払い、背中を流す。
それからボディソープをとってー、泡立ててー、なんてやって。
こうしてみてるとほんとの姉妹みたいだな。前見た時はプルルートが姉だったんだけど。
……俺も隣で、頭でも流しちゃおっかな。
「ん~、お姉ちゃんの体、おおきい~……」
しばらくすると洗う方を交替したらしく、プルルートがそんな声を上げていた。
「あはは、いいよいいよ。出来るところだけやってくれればいいから」
「でもぉ~、お姉ちゃんはちゃんとやってくれたから~」
「お姉ちゃんは大丈夫。プルルートは早くお風呂はいってきたら?」
「むぅ~…………あ~、そうだ~」
なんて急に何かを閃いたと思ったら、プルルートが急に光りだして。
「この方が洗いやすいかしら、ピーシェちゃん?」
「ちょっ……プルルート!?」
うわああああ! 急に変身するな!!
「ええ? だって、小さい私じゃ届かないところもあるもの」
「だからって、そんな……」
「さあピーシェちゃん、今から隅々まで洗ってあげるからね? あんなところや、こんなところまで……ふふふ……!」
そういうところだよオイ! 女神化をそんなことに使ってるんじゃないよ全く!
……いやまあ、胸がデカくなったのは応用的なアレもあるし。ノーカンでお願いします。
「痒い所とかはない?」
「いや……ないけど」
……あれ。以外とちゃんとやってる。
もっと過激な流し方とかすると思ったんだけどな。具体的に何するかは分かんないけど。
にしても、そんな軽い感じで変身できるのか。
そう考えると、プルルートの女神化が本当に謎になってきたぞ。
……どっからシェアエネルギー吸ってるんだ?
「うわあああ! なんか女神化してるぅぅ!!」
なんて考えてると、湯舟から上がってきたネプテューヌがアイリスハートを見てそう叫んだ。
「ぷ、プルルートちゃん……いや、さん……? どうして女神に……」
「だって、こうしないとちゃんとピーシェちゃんの体が洗えなかったもの」
「うわぁ……ノワールが見たらまたプリプリ怒りそうなことを……」
確かにノワール、ガチギレしそう。そんでもって返り討ちに遭いそう。
今のプルルートがどれくらいの強さの位置にいるのかは分からないけど。
でもエンシェントドラゴンを倒したくらいだから、相応の力はあると思うけど。
「あれ? そういや黒い方の私、まだ湯舟浸かってないよね?」
頭を流している俺を見て、ネプテューヌがそんなことを聞いてきた。
いや、そうだけど。それがどうかした?
「お風呂入るならバスタオル取ってからにしてね。入った時からずっと巻いてたからさ。分かってるとは思うけど気になって」
あーその、うん。これはね、いや、いろいろあって……なんていうか……その。
……まだ覚悟が足りてないんですよ。はい。
一人で風呂とか入るなら何とかなるけど、他人の眼があるとそれはそれで。
「ダメよぉ、ねぷちゃん。みんな脱いでるのに、あなただけ恥ずかしいなんて言ってちゃ」
うわ、よりにもよって一番面倒くさいところからパスが飛んできた!
やめッ……やめろ! 普通に力強いのやめろ! かくなる上は俺も女神化するしか!
「すごい……! あのバスタオルに、二人の女神の力が……!」
「テキストだけみると神聖なバスタオルになるけど、実際やってるのは綱引きだからね? 別にエンチャントとかそういうのないからね?」
「がんばってー! プルルート!」
頑張ってじゃねえよオイ! おめえも頑張んだよ! 助けて!
いやまって、これマジで持たないって、待って、ちょっと――――あ。
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