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次に俺が目を醒ましたのは、翌日の昼になってからのことだった。
ホワイトハートと戦って気絶した俺は、プラネテューヌへと運ばれたらしい。
結構な重症だったけど命に別状はないみたいで、治療をしてから今に至る、と。
起きてからしばらくして、俺の様子を見に来たコンパがそう教えてくれた。
……女神って本当に丈夫なんだな。あんなに酷い目にあったのに、一日で回復するなんて。
いや、だからといって無茶していいわけでもないけど。
「大事にはなりませんでしたが……それでも、安静にしておくですよ? お外に出るなんてもってのほかです。絶対に教会から出ちゃダメですからね? いいですか?」
腕とか首とかの包帯を巻き替えながら、コンパが釘を刺すようにそう言った。
いやあ、この前のは不可抗力だし。仕方ないって。
「でも、黒ねぷねぷはねぷねぷと同じでお人よしですから。それはすごくいい事だと思うですけど、自分を大切にすることも大事です。まあ、そういうとこもねぷねぷと同じですけど……」
なんてことを呆れながら呟いて、コンパが俺の鼻の頭に絆創膏を張りつける。
少年漫画の主人公か。実際に怪我してるから仕方ないんだけど。
「じゃあ、私はこれで仕事に戻るです。あんまり動いちゃダメですからね?」
それだけ残して、コンパは部屋から出て行った。
うーん、また一人になっちゃった。寂しくはないんだけど、つまんないんだよなぁ。
じっとしてろって言われたけど、あんまりそういうのは性に合わないし。
……とりあえず、目覚まし代わりに教会の中でも歩いてみるか。
それくらいはいいよね、別に。
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ネプテューヌとネプギアは、今日も真面目に仕事らしい。
俺が来てから仕事が増えた~、みたいなことを言われたけれど、そこはなんとも。
俺だって何にも分からないままだし……ごめんね、としか言えないんだよね。
さすがのネプテューヌも、そこは理解していると思うけど。
ピーシェもプルルートを連れてクエストに行ってるみたい。
いいよな、プルルートは外に出られて。同じ女神なのにこの扱いの差はなんなんだ。
差別だぞ、差別。人権団体に訴えてやる。
まあ、仕方のないことだとは分かってるんだけどさ。
アイエフも……仕事だろうなあ。諜報員って聞くだけで忙しそうだ。
何を諜報しているのかは分からないし、多分教えてくれることもないだろうけど。
……あれ?
プラネテューヌの人間、めちゃくちゃ仕事してない?
何もしてないの俺だけじゃないか。途端に悲しくなってきたぞ。
そりゃ病人なんだから安静にはするけどさ。でも、何もしないって辛いんだぞ。
うう、なんでゲイムギョウ界に来てニート生活を送らなきゃならんのだ。
だめだ、なんか涙出てきた。もう考えるのはやめよう。
そうしてふらふら教会の中を歩いていると、いつの間にか講堂へと着いていた。
今は朝か昼か判別のつかない微妙な時間なのか、訪れる人は見当たらない。
誰もいないプラネテューヌの教会っていうのは、なんだかとても神聖な場所に思えた。
……やっぱり、動かないと落ち着かないし。いつもみたいに掃除でもするか。
なんてったって、俺にはこれくらいしかできないからな。
職員さんに用具を借りに行くと「ボロボロですけど大丈夫ですか!?」なんて驚かれた。
別に動きづらいとか痛むとかないし、掃除するくらいなら問題なし。
説得してもらった箒とちりとりで、普段通りさっさっさー、なんて掃除して。
大方綺麗にした後、今度は窓でも拭いちゃおうかな、と。
声が聞こえてきたのは、その時だった。
「ネプテューヌ?」
俺の名前を呼ぶ声の、その先に立っていたのは。
差し込む日差しに金髪を輝かせながら、俺を見つめるベールだった。
「あなたが自分の教会を掃除するなんて、どういう風の吹き回しですの?」
どういうも何も……いつもやってるけど。
素で驚いているのか、俺が応えると、ベールは口元を手で覆った。
「あなたがそんな事を言うなんて……立派になりましたわね」
どこ目線の言葉なんだ、それ。親か何かなのか。
でもいきなり来るなんてどうしたんだろう。何か用でもあるのかな。
「いえ、前にネプギアちゃんへ話したゲームを届けに来たのですが……」
そうやって俺へ近づくと、ベールは俺の両頬をむぎゅ、と挟み込んで。
「あなた……ネプテューヌではありませんね?」
うわ、バレるの早いな。やっぱり女神には看破されるのか。
今まで俺を見た女神、全部敵対してきたから、ちょっと言うのを躊躇ってたんだけど。
あーでも、こうしてエンカウントしてる時点で終わってたな。仕方ないわ。
しかし、どうするかなぁ。
言葉で説明するのも難しいし、したとしても結局戦う事になりそうだし。
またネプテューヌが助けに来てくれないかなぁ。それに俺、病み上がりだし。
ノワールの時みたいに耐えられるかも難しいぞ。考えれば考えるほど詰んでる気がする。
……痛いの、もう嫌なんだけどなぁ。
「確かにネプテューヌとは違いますが……害があるとも思えませんわね」
……あれ? なんだか今までとは違う反応だぞ?
もしかしてベール、割と話が通じるタイプ?
「けれど知りませんでしたわ。まさかプラネテューヌがこんなクローン技術に手を出していたなんて。ネプテューヌもああ見えて、抜け目がないですわね」
いや、その話の跳び方はおかしいだろ。なんだクローンって。
「でも、クローンだからってこんな雑用を任せるのは酷いことですわ。それに見たところ、かなり怪我をしているようですし……散々な扱いを受けていたのでしょうね。かわいそうに……」
そ、それは……ブランにやられただけだし。
雑用っていうか、自分にできることをしていただけだし。
っていうか、いい加減離してくれないかな。これじゃあ誤解を解くこともできない。
「もごもっごもご」
「うんうん、辛かったんですわね。あなたの気持ち、痛いほど分かりますわ」
そうじゃなくて! ダメだ、ベールも話聞かないタイプの女神だ!
……あれ? もしかして女神ってマトモに話できないやつしかいない?
「ネプテューヌもこうして静かにしていれば可愛いものですわね。新鮮な気分ですわ」
俺の頬を引き延ばしたりしながら、ベールがそんなことを言っていた。
いやでも、俺は元気な方が好きかな。あの方がネプテューヌ! って感じだし。
なんて言う事も出来ないのが悲しいんだよな。いやほんとに、なんでこんなことに。
「……クローンなんだから、一匹くらい貰ってもバレませんわよね?」
バレるだろ。何考えてんだ。
というか今「匹」っつったな?
「決めましたわ! あなた、今日から
……はい? なんて?
「さあ、そうと決まれば早速リーンボックスへ行きますわよ! ほら、こっちに来てくださいな」
ようやく離した手で俺の腕を引きながら、ベールがウキウキになって教会の外へ歩き出す。
いや、それはちょっとマズいんじゃないかな。戻った方がいいよ。
どうせ説教されるの俺なんだし。俺のためにも頼むから。
「心配いりませんわ。何かあったら、あなたの味方になりますから」
そういう意味じゃないんだが!?
「はいはい。お話は後でたっぷり聞いてあげますから。今はとにかく――」
なんて言うと、ベールが体に光を纏い始めて。
「――私の治めるリーンボックスへ、連れて行って差し上げます」
そして現れたグリーンハートが、俺の体をひょい、と持ち上げた。
いやあのだから、一人で運ぶの危険じゃないの? 女神間での共通認識じゃないの?
それに心の準備――――おああああああああ!!!
■
ベール。べるべる。べるーん。Vert。
雄大なる緑の大地、リーンボックスの女神。箱360とか箱〇とかがモデル。
プリンセスドレスを着ているということは、やっぱりいつものベールらしい。
また、重度のオンゲ中毒だったり、BL好きだったり。
あとは……
「では、次はこっちを着てくださる? きっとあなたに似合いますわ」
重度の妹好き。いや、正確には年下好き、って言えばいいのかな。
箱シリーズっていうか、当時あの会社には携帯ゲーム機がなかった。
だから、リーンボックスにはネプギアやユニみたいな女神候補生がいない。
ベールはそれが寂しくて、妹をずっと欲しがっていたんだよね。
基本的にはネプギアがその対象っていうか、餌食になってたりしてる。
教会でも言ってた通り、この次元でもそうなっているみたい……なんだけど。
「うん、やっぱり似合ってますわ。どうですか?」
姿見をこちらへ向けながら、ベールはそうやって喜んでいた。
どう……って言われてもなあ。こんなフリフリな服、あっちでもこっちも着たことないし。
メイド服とお姫様が着るドレスを、足して二で割ったような感じ。
どの階級の人間が着る服なんだろう。よくわかんないな。
「四女神オンラインのコスプレですわ。一ファンとして購入したはいいものの、着る機会があまりなくて。それならネプギアちゃんに着せようと思っていたのですが……」
なるほどね。それで、ちょうどサイズが近い俺が居たから着せたと。
意味がわからんが?
「でもいいですわね。元々、ネプテューヌにはこういう服が似合うと思ってましたの」
今の反応を見るに、どうやら俺はそういう対象になってしまったらしい。
気分が悪い、ってわけじゃないけど、なんだかなぁ。
俺で着せ替えするんなら、ネプテューヌに頼めばよかったんじゃないの?
「それでは意味がありませんもの。静かなネプテューヌだからこそ、良いものがあるんですわ」
よくわからん。
それに変な肯定をされると、なんか、つっかかるものがある。
「それにしても、静かなネプテューヌがこんなにも可愛らしいなんて……そうですわね、あなたの事は黒ネプちゃん、と呼ぶことにしますわ」
どんな呼び方だ。逆にこっちが恥ずかしくなってきたぞ。
なんて、俺の視線にベールが気づいてくれるはずもなく。
どんどん色んな服を持ってきて、俺に着るよう差し出してくる。
着せ替え人形ってこういうことを言うんだな。
恥ずかしいっていうか、退屈による疲労の方が大きいぞ、これ。
「いいですわ、いいですわね! かなり似合ってますわよ!」
でもまあ、本人が嬉しそうにしてるならいいのかな……?
着る服がどんどん薄くなっていくのはちょっと恥ずかしいけど。
……いや、かなり恥ずかしいな、これ。ほとんど布一枚じゃないか。
最近ようやくスカートに慣れてきたってのに。段階を刻んでくれ、段階を。
こんな歩いたらパンツ見えそうな恰好してんの、ノワールくらいだろマジで。
あの人ほんとに自覚あるんかな。今度スカートめくってみよ。
「じゃあ次はこの、水着スキンをきてくださいますか?」
…………みずぎ?
いや、それはちょっと……水着じゃなくて、紐じゃん。それ。
そりゃゲーム内ならいいかもしれないけど、現実だと全部丸見えなデザインじゃん、それ。
「心配ありませんわ。たとえ見えたとしても、この部屋には私しかいませんから」
だからそういう意味じゃねえ! 絶対着ねえからな!
「ああっ、待ってくださいな! そんな恰好をチカに見られたら、何と言われるか……!」
知らないよ! チカさんも大変だな!
とにかく、何とかしてこの部屋から――って、おお!?
「……ふふ、リーンボックスの女神である私から、逃げられるとお思いでしたの?」
へ、変身するの!? そこで!?
シェアエネルギーを何だと思ってやがる!
「大丈夫です。私も着替えるのを手伝ってあげますから……じっとしていてくださいませ」
ああ、おわったこれ。満足するまで終わらないやつだ。
俺の両腕を片手で強く抑えたまま、彼女は俺の服へと手を伸ばす。
しゅるしゅる、なんて簡単に脱がされると、とたんに顔が熱くなってきて。
いや……待って、お願いだから。本当に。冗談とかじゃなくて、まじ。
だって……だって、なんか……
「うぅ…………」
お、お願いだから、やめて――
「……あら? プラネテューヌから通信ですわ」
はッ! あぶねえ! タイミング神すぎるだろ!
「心配いりませんわ。私がネプテューヌにガツンと言って差し上げますから」
なにを?
ガツンと言いたいのはどっちかってっとこっちの方なのに。
剥ぎ取られた服を急いで集めながら、その中へ体を隠す。
あ、あれ? これどうやって着るんだ? 半裸のままとか嫌なんだけど。
「もしもし? ネプテューヌ? あなた、いくら自分のクローンを作ったからって、それに雑用をさせるのは酷くありませんこと? あなたがそこまでズボラというか、面倒くさがりだったなんて、さすがに軽蔑してしまいますわ」
クローンに対するこの認識の軽さ、なに?
ゲイムギョウ界、あらゆる概念に対する認識が軽いところがあるね。
「はい? クローンなんて知らない? まったく、とぼけないでくださいまし。現に今、私の部屋に、あなたのクローンが…………え? それはクローンじゃない? いや、だってこんなに似て……ええ……べ、別人?」
ちらり、とこちらへ少し視線を投げて。
「今から来る? こちらにですか? いや、あの、ちょっと待って。私の方から責任をもって、プラネテューヌに送り届けますわ。ええ、心配いりません。何も問題はありませんから。ほんとですわよ? ですから、後でちゃんと……は?」
うん?
「着せ替え人形……? いやまさか、そんなことするはずが……」
してます! めちゃくちゃされてます! 助けてネプテューヌ!
「……きっ、切られた……そんな……」
かちゃり、と静かに受話器を置くと、ベールはゆらりとこちらへ顔を向けて。
「急いで全部脱いでくださいまし」
…………はい?
「今すぐ脱いで元の服に着替えてくださいな! ネプテューヌがこちらへ来るって……! あなたで遊んでいたことがバレたら、何を言われるか分かりませんわ! さあさあ、あなたの服はこちらですから! すぐにそのコスプレを脱いで……」
「ベール? いるかしら」
「は、え、早ッ……!? 女神化したとしても恐ろしい速さですわ!? いやあの、ネプテューヌ? ちょっと待ってくださいまし! お願いですから、ドアを無理やり開けるのは……ああ、あああああ!!」
■
「まったくもう! いくら何でも私を着せ替えて遊ぶのはどうかと思うよ、ベール!」
「だ、だって嫌がりませんでしたもの……だからこっちも乗ってしまって……」
「だからじゃないよだからじゃ! ペットじゃないんだからね!?」
「うう……申し訳ありませんでしたわ……」
「私もそうだけど、謝るならもう一人の私にだよ! 見てよ、あの状況!」
「大丈夫だった? 黒いお姉ちゃん」
「ねぷぎゃ……ぷぎゃ……ぷぎゃすき……」
「よしよし、もう心配しなくていいからね。もう誰も遊んだりしないから」
「ぷぎゃ……ありがとう……ぷぎゃ……」
「ネプギアに膝枕されながらよしよしされてるんだよ!? どう思う!?」
「ネプギアちゃんの膝で寝れて羨ましいとしか……」
「全然反省してないね!? というかこの状況、私がどう反応していいか困るんだよね!」
「それは私もですわ! 一体何者なんですの、あの黒ネプちゃんは!」
「うわわ、今めっちゃ背中ゾワってした! ベール黒い私のことどんな名前で呼んでんの!?」
いや、それはイストワールとかアイエフとかも大概なんだけどさ。
「うわ!? 急に正気に戻らないでよ、黒いお姉ちゃん!」
「その変わり身の早さはネプテューヌそっくりですわね……」
「私あんなんなの? ねえ、本当にあんなんなの?」
どうだろうね。でも変わり身っていうか、ノリツッコミは得意な方じゃない?
とにかく、今はベールへの説明が先みたい。ネプテューヌとネプギアも来てくれたし。
ブランみたいに、急に戦闘になるっていうのはやめて欲しいけど……ベールなら大丈夫かな。
なんだかんだ優しいし。ちゃんと線引きすれば。
「なるほど……本当にもう一人のネプテューヌ、というわけですわね」
三人でトントン説明すると、ベールはすんなり納得してくれた。
まあ、現に俺は目の前にいるわけだし。
ベールも、それを否定するような強情な人柄じゃないだろうし。
「そうそう。そういうわけで、黒い私のこともこれからよろしくしてあげてね」
「分かりましたわ。ネプギアちゃん共々、黒ネプちゃんも可愛がってさしあげます」
「ぜ、全然分かってない気がするけど……」
ワンチャン四女神の中でいちばん話通じない気がするね、これ。
「冗談ですわ。さすがにあんな状況を見せられたら、こちらも少しは遠慮しますもの」
「本当かなぁ……黒い私、リーンボックスに行くときは、必ずネプギアとかあいちゃんやコンパを連れて行くんだよ? いいね?」
それはまあ、自分のためにもそうするけど。
でも……行く機会、あるのかな。
別にベールが嫌い、ってわけではないけど、その、自分の今の状況的に。
「あー、そっか。それなら、ベールと出会ったのは丁度いいタイミングだったのかもね」
というと。
「黒いお姉ちゃんのことを、ようやく皆に伝えられそうなの。まだ正確なことは分かってないけど、ブランさんやノワールさんも協力してくれたし。一応は大丈夫かな、って」
「その二人には声をかけたのに、私のことは呼んでくれなかったのですね……?」
「元々ベールのとこに挨拶してからにしようと思ったんだよ? でもこんな事になるなんて」
「う……それだったら、申し訳ありませんでしたわ」
本当だよ。マジでこんな事になるなんて思ってなかったからな。
でも、そうか。これで本当に、俺はプラネテューヌの皆に知られることになるのか。
ようやく女神を正式に名乗れる、とかそういうわけではないけど。
表を歩けるようになるのは、正直に嬉しい。色々観光できるってわけだしな。
あ、でも今の部屋とかはどうなるんだろう。ちゃんと家賃支払わないといけない?
「そこら辺はさすがに大丈夫だと思うけど……」
「とにかく、早くプラネテューヌに戻って皆に知らせちゃおうよ。話はそれから!」
なんて言って、ネプテューヌとネプギアが光を纏い、女神へと変身する。
「だからベール、ここでお別れね。もしもまた、黒い方の私で勝手に遊んだら……」
「ええ、心に誓いましたわ。でも、友人として会いに行くのは構いませんわよね?」
「勿論、その時は歓迎するわ」
そう答えながら、ネプギアとネプテューヌが俺のことを持ち上げた。
「じゃあベールさん、さようなら」
「ええ、さようなら。黒ネプちゃんも、よかったらまた遊びに来てくださいね」
あー……着せ替えとかなかったらね。うん。
テラスから飛び立つと、すぐにリーンボックスが小さくなっていく。
そうか、あそこ島国だから、行くなら飛べるようになるか船とか乗らないといけないんだ。
うーん、次に遊びに行くのはかなり先になりそうかも。
それにこれからは、結構忙しくなるかもだし。主に俺自身のことで。
……そういえば、皆に知らせるって言っても、どうやってやるの?
「ええと、それを今決めようと思ってたんだけど……」
「私たちに任せてくれればいいわ。あなたは原稿を読み上げてくれればいいから」
原稿? それに読み上げって……え、なに? マジでどういうことなん?
頭の上に疑問符を浮かべていると、ネプテューヌが思い出したようにして、
「ところであなた、テレビに出るのは大丈夫よね?」
…………なんて?
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