彼女達は晒したい   作:サボリーマン先輩

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割と素直な彼らの愛と友情の二次創作物です。



彼らだって話したい

「なんか、久しぶりですよね。会長とこうして寝っ転がりながら話するの」

「あーーそうだなー。以前に相談乗って貰った時以来だっけ?」

 

-申し訳ないのですが、本日は生徒会室で女子会を行います。終わるまでの間、石上くんとゆっくりしていて下さい-

 

「その後、会長の友達と彼女さんの仲は順調ですか?」

「あ、あ〜アイツな。まぁまぁ、順調みたいだぞ。色々あったみたいだけどな」

「へー。その色々な話、僕が聞いちゃっても大丈夫ですか?」

 

-だから、今夜は寝るまでお電話しましょうね。絶対。絶対ですよ!!-

 

「あの後な、まあ色々あって…最終的に2人は付き合う事になった……らしいぞ」

「へー。良かったですね。まあ、話聞く限りだと元々良い感じっぽい雰囲気は出てましたし、とうとう収まるトコに収まったって感じですかね」

「まぁなー。てか、珍しいな。普段の石上なら呪いの一つでも掛けそうなもんなのに」

「いやいや、僕だって誰彼構わずに祝ったりはしないですよ。会長の友達ともなれば、流石の僕だって呪いたい気持ちになります」

「……。逆じゃね?」

「ははは。冗談です、冗談。まあ、そのカップルのどちらかがロクでも無い奴で、それが切っ掛けで誰かが不幸になるとかだったら、その時は全力で呪いますけどね」

 

こういうところは本当に良い奴だよな……。割と誤解されやすい言動を取りがちだが、コイツの良いところは、もっと多くの人に知って貰いたいと思う。

 

「まあ、それは大丈夫だ。俺の眼が黒い内は絶対、そんな事にはならない。石上に心配させる様な事は絶対に……って言ってたわ、友達が」

「そうですか。なら良かった」

「あーまあ、それでだな。交際は概ね順調……まあ、順調なんだが、それでも友達の悩みは尽きないらしくてな……」

 

四宮達が女子会と言うのなら、こちらは男同士まったり駄弁るとするかな。ちょうど聞いてみたい事もあったし。

 

「実際、男女交際なんてそんなもんですよ、悩みが無い方がおかしいですって」

「いや、これは付き合う前の話なんだが……初キスがディープキスって……ぶっちゃけどう思う?」

「………。まあ無し寄りの有りじゃないです?実際、多いらしいですよ?初めてで深い方かましちゃう人。でもそれやった後にちゃんと付き合えてるんなら、気にしなくて良いでしょう。彼女も悪い気はしなかったって事でしょうしね」

「いや、彼女の方からなんだよな…キスして来たの。友達はちょっと面喰らったらしくてさ。勿論、悪い気は全然しなかったらしいんだけどな」

「あぁ……。彼女さんの方からですか……。そりゃキツイっすね。いやね、最近は男女平等だ男女平等だって煩いですし、そーいう事で男だから…女だから……どうこう言っちゃ駄目だってのは理解してるつもりです。けど、やっぱり、男の勝手なエゴだって言われても、それでもやっぱり好きな娘には……そう言う気持ちありますよね?」

「そう……だよな。男だったら…そうだよな」

 

やっぱり石上に話して良かった。以前、四条に貰ったアドバイスはかなり参考になったが、やはり男同士の方がより解り合える気がする。俺が気にしてるのはソコなんだよ。

 

「そりゃ僕らも男なんで雑誌とか動画は見ますよ。なんだったら、この人、好きな娘に似てるよな〜とか思いながらブクマしてます。でも、それとこれとは別って言うか……汚したくないって言うか……これが面倒臭い感情だってのは自分が一番わかってます」

「あぁ、それな。確かに本命の娘ほど、そういう視線を向けたく無いよな。したい、したくないで言ったら、そりゃ勿論したいけどさ。ただ友達の悩みはソコじゃないらしくてさ…」

「え……、それ以外に何かあるんすか?」

 

あるんだよなぁ…。てか石上の台詞が妙に生々しいが、そっちも何かあったのか?確か、3年の子安つばめさん…だっけ?

 

「気にしてるのはさ……、デートのハードルいきなり高くね?って話。普通はデートの回数を重ねてさ、それで一段ずつ2人で階段を登って行く訳じゃん?もう階段がさ……1段しか残ってない訳よ。後、一歩進んだらもう屋上見えてるとか、心理的ハードル高えよな〜って話」

「あーー、まあそういう話でしたら階段は後2段じゃないです?」

「………。何が増えたの?」

「まだ彼女さんとヤって無いんなら、ヤるとデキるで2段階あるじゃないですか」

 

怖っ!?勝手に階段増やすなよ……。七不思議じゃないんだからさ……。てかアレはもう解決した筈だろ。

 

「あのさぁ、さっきはそう言うのNGみたいな話してなかったか?絶対、不幸になるだろ」

「そうですか?僕が問題にするのは2人の間に愛があるかどうかですよ。愛さえあれば、別に不幸確定って訳じゃないでしょう。むしろ、高校生でデキ婚して、それでいて幸せな家庭を築く例はゴマンとあります」

「だからって流石にその階段は登ったら駄目だって。無責任過ぎるだろ……」

「まぁ、デキたらデキたで何とかなるモンですって。今は高校生出産に理解ある世の中ですしね」

「何とかなるっていうか…まあそりゃそうなったら、絶対に何とかはするけどさ…。けど、それこそ男のエゴじゃないか?」

「責任は取るんでしょう?」

「逆に言えば、それだけだからな。惚れた女と子供の為に、ただ頑張るだけで良いんだ。そんな事、別に苦でも何でも無いさ。身体を壊すギリのギリのギリッギリまで突き詰めれば勉学だろうが、バイトだろうが、育児だろうが、絶対になんとかなる。形振り構わないなら手厚い奨学金だって探せばいくらでもある。けどさ…」

「けど?」

「もし、彼女に夢があったらどうよ?男は、多少キツくても最終的には、夢叶って万々歳かもしれないけどさ、彼女の方は?高校生で出産するって事は、夢を諦めるしかないんだぜ?」

「それはその人次第では?出産して、育児しながらでも見れる夢だってありますよ。まあ、スポーツ系だと厳しいかも知れないですけどね…物理的に……。で、その彼女さんは何か将来の夢とかあるんです?」

「知らん。というかその手の話は聞いてない」

「ダメじゃないですか。相手の事を知るのは恋人関係を上手く継続させる第一歩ですよ。ちゃんと聞いとかないと……って、友達にお伝え下さい」

 

四宮の場合、夢どころか趣味すら不明なんだよなぁ……。確かに興味あるし、知りたい事ではあるんだが……。

 

(え?私の夢ですか?それは会長の奥さんになって、子供を授かる事です。えぇ、いつでも。なんなら今すぐにでも)

 

などと言われかねない。聞くのはもう少し、落ち着いてからの方が良いだろうな……絶対に。

 

「ああ、そう言っとく。まあアイツもそのうちに聞くだろう。まあとにかく、今までが今までだったから、いきなり関係を進めて行くのが怖い……いや、違うな。勿体無いって言うかさ?もっと、一つ一つを大事にして行きたいと言うかな、焦らずに2人でゆっくり歩いて行きたいと……、まあ、ソイツはそんな風に思っているらしい。贅沢な奴だろ?」

「ハハ…確かに。ちょっと殺意湧きますね。贅沢過ぎて」

「だな。そういえば、石上は冬休み何してたんだ?」

「僕ですか?あー冬休みはずっとゲームしてました。他にやる事も無いんで、ずっとゲームの事ばかり考えて、年越しちゃいましたよ」

「ほう。ゲームか、石上らしいと言えばらしいな」

「僕も会長みたいに友達の話をしたいんですけど……その友達ってのが、先輩達以外に居なくってですね……、なので、僕の場合はゲームの話になっちゃいますけど聞いてくれますか?」

「ああ、せっかくだ。聞こう」

 

……。やっぱり、何かあったみたいだな。藤原曰く、『なくもない』だったか?他人を色眼鏡で見るような人では無さそうだったが……。既に彼氏が居たとかか?

 

◆◆◆

 

「ーーーーってなストーリーだった訳ですよ」

「お、おう。………何だか最近のゲームは重いのな」

「ええ。いつもやってるパーティーゲームとは違って。あぁ、パーティーシーンはありましたね。クリスマスパーティー」

 

あんまり他人に話したい事じゃ無いんだけど、会長と四宮先輩にだったら話しても、良いかなって思う。

四条先輩じゃないけど、誰かに話せば少しは気が楽だ。悪いけど、藤原先輩には知られたくないな、絶対に揶揄われそうだし。

 

「それで、石上はもうそのゲーム、クリアしたのか?」

「いいえ、まだです。ちょっと攻略に困ってしまって……所謂、積みゲーって奴ですね」

「けど、まだ詰みでは無いだろ。最後の主人公の選択は、まだまだ続きがありそうな感じだしな」

「ええ、まぁ……それはそうなんですけど、けど選択を間違えてるかも……って。さらに言えば、イブの日も選択を間違えてしまってて、もうゲームオーバー直行なんじゃ……って考えるとゲーム機に触るのも怖くて」

 

このクソゲーは攻略サイトも無けりゃwikiも無い。というか、そもそもエンディングなんか本当にあるのか?人生はゲームじゃない。誰かの創作物じゃない。そんな事をどれだけ考えても仕方ない。

 

「だからってプレイしない事には何も始まらないだろ。別に誰かに強制されたゲームじゃないんだ。好きな時に諦めたって良い。けど、石上自身が続きを見たいなら頑張るべきだ。とは言え、どんなゲームにもコツはある。今までの選択がマズかったのなら、そこは素直に反省して次に活かすべきだ。エンディングが見たいならな」

「そう……ですよね」

「そうだ。さて、石上よ。君は選択を誤ったと言うが、具体的にはどの辺りだ?俺はあまりピンと来ないが、何がマズかった?」

 

全部だろう。そもそも、僕なんかが好きになって良い人じゃあ無かったのかも知れない。僕は玉砕覚悟だったけど、先輩からしたら貰い事故だったかもしれない。僕はただ、無駄に先輩を傷付けてしまっただけかもしれない。

 

「具体的には2つ。まず、最後の主人公の選択ですが……、答えになってないんですよ。相手は好き嫌いの問題じゃないって、ハッキリ言っているのに……『好きになって貰います』じゃあ全然ダメって言うか……話にならないと言うか……」

「あぁ、遠距離のくだりな。まあゴリ押し感はあるが、俺は強ち間違いとも思わないけどな。大体、遠距離っていっても日本から出る訳じゃないんだろ?国を跨いで恋愛する奴も居る時代に遠距離も何もないだろ」

 

つばめ先輩は神奈川って言ってたっけ?まあ確かに大した距離じゃない。言われて見れば、距離なんか言い訳で……。そうだ、だからあの時僕は『愛されてない』って思ったんだ……それならそうとハッキリ言われた方がまだマシだって。

 

「やっぱり僕は愛されてないって事なんですかね?」

「だとすると一緒に寝ても良いってところが腑に落ちんだろ。まあイブの夜だからおかしなテンションだったとか、愛していない男と一夜を共に出来るタイプだったとか、その可能性はあるが……それだと今までのキャラクターに合わなくないか?」

「まあ、確かにそうなんですが……。だから余計に分からなくなって」

「分からんが、彼女なりに色々考えがあるんだろう。それが分からない事には話が進まんが、逆に言えば、それさえ分かってしまえばこの勝負、貰った様なモノだろう」

「実は、それが分からなくても何とかなるかもしれない画期的な方法を考えてたんです!!」

 

そう。それが僕の過ちその2。あのイブの夜に選択した僕の行動は愚かだった。もっと、貪欲に男らしくガツガツ行った方が逆に良かったかもしれない。そうすれば……。

 

「ほう。して、その画期的な方法とは?」

「ズバリ、もう後先考えずにヤってしまって、後は流れに身を委ねる。これ、どうすか?」

「どうすか?じゃねーよ。普通に愚策だわ。まあ、その時にソレ思い付かなかったんだから今更、どうこう言っても仕方ないんだが」

「そうですよね。セーブ&ロードみたいな都合のいい機能はないし、やり直しの効かないオートセーブ仕様とかマジでクソゲーですよ」

「いや、そう言う話じゃなくてだな。一時の欲に負けてヤってしまったら、それこそゲームオーバーじゃねーか……その時は良くても、その後にあり得たかも知れない2人のストーリーが永遠に閉ざされるぞ」

「ただヤるだけだったら、確かに一夜限りのロマンスで終わってしまうでしょう。そこはちゃーんと考えました」

「ま、まさか強請る気か……!?」

 

強請るってなんだよ……。会長って案外、ドエロイんだな。四宮先輩…大丈夫かな……?いや、あの人なら大丈夫か。強請る事はあっても強請られる事なんか無いだろう。

 

「違いますよ。僕はそう言うリベンジポルノとか反吐が出る程嫌いですし、何より長続きする気がしません。そんなのいつかは破綻するに決まってます。遊びの相手が欲しいなら別ですけど、僕はガチなんで」

「お、おう」

「ヤるならヤるでしっかりと種付して確実に孕ませてしまえば、一生切れない縁になります」

「尚悪いわ!!正気かお前!!!」

「いや、落ち着いて聞いて下さいよ。女性は子供が生まれた瞬間、女から母になる。つまり、恋人時代にどれほど愛されていたとしても、子供が出来れば必然的に2番になる訳ですよ。それで自分の子供に嫉妬する大人気ない男も世の中には居るらしいですが、僕は違います。なんたって、元から愛されて無いんだからノーダメです。これはもう坊主丸儲けです」

 

そう。ゲームをクリアするのに、必ずしもグッドエンドを迎える必要なんて無い。クリア出来るならバッドエンドでも良い。名付けてany %クリア作戦。これはいける。

 

「………。さっきの高校生出産の話が洒落になって無いじゃないか……。お前、そこまで追い詰められて……。もういい、休め。俺が良い病院を知ってる。そこで診て貰え」

「なんて、ちょっと冗談を言ってみたかっただけです。ゲームとは言え、そんな不義理な事は出来ませんよ。やっぱり、僕は男として愛されたいです。けど、僕がそんな不義理な男かも知れないのに……彼女にはもっと危機感を持って欲しいです。僕だってギリギリでした。我ながら良くあそこで踏み止まって、ヤら……あ、いえボタン押さなかったなぁーと思います」

「そこは信頼されてたんだろうな。主人公なら避妊は絶対してくれる……と。ならその信頼は大切にすべきだ。それこそ、一生な」

 

思えば、この恋は僕一人の恋じゃない。愛する相手が居て、応援してくれる先輩が居て、それで皆、良い人達だ。

冗談でも、そんな事を考えてたら皆に悪い。申し訳ない。こんな僕を信頼してくれてるのだから。僕はそれに応えたい。成就した恋を、皆が笑って祝福してくれる様な、そんなエンディングにしたい。でないと先輩だって納得しないですよね?

 

-あら石上くん。私は『どんな手段を使っても良い』と言いましたよね?聞いてなかったんですか?そもそもあなた、手段を選べる様な身分だと思っているのですか?はぁ、全く甘い。甘過ぎです。何を眠たい事を言っているんです。何か思い付いたのなら、すぐに行動なさい。今ですか?今行きますか?-

 

僕の心の中の先輩が、何か邪悪な事を囁いてくる。でも、僕の選択は決まっている。

 

A.慌てなくて大丈夫です。まだ僕は彼女の心が分かってない。彼女の中で何が障害になっているのかを知って、それから彼女の力になりたいんです。頼って欲しい。好きになって貰うってのはそういう事です。

 

--→B.え、今ですか?今はちょっと……。

 

C.いいですね。じゃあ、ちょっと一発、軽くキメてきますよ。

 

「あ、そうだ会長。話は変わりますけどクリスマスプレゼントどうでした?四宮先輩からの」

「あ、ああ。アレな」

「四宮先輩って優しいですよね。僕がつばめ先輩へのプレゼント悩んでたら、プレゼント選び手伝ってくれて。アレはその時、一緒に買ったんですよ。先輩も随分、悩んでました」

「そうなのか……。それは有難いな」

 

こんなにも良い手本が身近に居るのだから、僕だって頑張らないと、ダメだよな。




第5話に続きます。
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