龍の涙が降る頃に   作:夜祢亜

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2話

龍の涙が降る頃に #2

 

「消えるって、どういう事だよ!?」

「神はね、人々から信仰を貰えないとこの世では生きていけないんだ。」

 

──私の住処ももう。

諏訪子は俯き何もかも諦めた表情をする。

 

 

そんな彼女になんて言えばいいか。

俺は足りない頭で必死に考えた。

 

気持ちを、この彼女を助けたいこの気持ちをどうしたら、

──そうか!!

 

「諏訪子」

俺は彼女の肩に手を置いてこう、訊ねた。

 

『帽子があればチカラは使えるんだよな?』

 

──!!

直ぐに、それは無謀だと悟る。

 

「分かった」

俺は、懐にから一刀の短刀を取り出した。

刃零れがないか確認する為だ。

 

「お前!?」

「ちょっと、待ってろ。俺が取り返す」

「えっ、それって……」

彼女を言葉を待たず俺はその場を去った。

 

 

…………

 

俺にはちょっとしたチカラがある。

どんなモノこと言われると言葉に困るが……

要は他人より目がいいのだ。

 

 

…………

 

雨上がりの夜空、

月明かりの照らす一面水田と化している田んぼ道。

 

──君は昼の子だね

神奈子はこちらに気付いた。

 

「お前のその帽子、返してもらう」

刀を抜き彼女との距離を詰める。

 

「ほう、人の子が神に牙を向くとは愚かな」

まず、腹、肩、太腿を狙ったが全て既の所で避けられる。

 

──所詮、人の子。神には勝てぬよ。

と、神奈子は余裕を見せそこに

隙を見せた俺の土手っ腹に御柱が突かれる。

 

「あぁ!!」

俺は、飛ばされた後受身を取れずに地に伏せる。

 

「喚け喚け、その方が罰し概があるって言うものよ!!」

しかし、その追撃は誤算だった。

 

「その帽子、貰い受ける……短刀 山無(やまなし)

 

短刀の真名が開放される。

この力は8年に1回しか使えず、俺が継ぐまでに1度の回数を保留していたので今この刀が使えるのは2回。

 

チカラの概要は、狙った所は見えている限り必中という代物。

 

 

──帽子が?!

神奈子の頭頂部から帽子が離れる

 

「狙い道理。」

後は任せたよ俺は、

今回はちゃんと受身をとる。

 

「ありがとうね、君」

 

諏訪子は手に取った帽子から腕の長さくらいの鉄の輪を2本取り出す。

 

「洩矢。本当にやるのかwそんな状態で?」

「いやだ、あそこは私の国だ!!」

神奈子に対し怒りを露わにして言い放つと、

 

 

──君を傷付けたくない、でも、

「君に頑張ってもらったから、私頑張るよ」

そう言ってくれた。

…………

 

争いが始まった、荒れ狂う天とそれを受け止める大地。

龍は涙を流し、カエルは勝利の為の賛美歌を歌い、ヘビはそれに食らいつく。

 

「……」

 

見てることしか出来ないのか……なんで、なんでだ。

もどかしい気持ちが頭の中をグルグルグルグル駆け回る。

それでも、見届けるしか無かった。二人の死闘は夜明け前まで続いた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「洩矢、もう限界みたいだね……やはり、数の信仰には勝てないのだよ」

「そんなことない!!」

 

彼女は拒否を宣言する……自分はまだやれると。

 

「……すわこ」

「?」

「諏訪子、好きだ!!」

「「はぁ?!」」

 

はっははは、はっはっはははははははw

……神奈子は笑いだした。

 

「何、君……呪われたいの?」

「いや、本気だ」

「あーうー///」

「戦場で愛の告白とはww」

「うるさい……だから、俺はお前を愛し永遠の信仰を誓う。魂にかけて」

 

そう宣言すると、何も生えていなかった田んぼ地帯が干上がり芽が出て若葉が生える。

やがて、それは金色の穂波隣辺りを黄金で満たした。

 

薄れていた諏訪子の姿もだんだんと濃くなり、金色の衣を身に纏う。

 

「君……」

「こんな、質の信仰力……初めてだ。ますます、欲しい諏訪子。後、君もだね」

「い~だ、八坂にはあげません」

 

ふ~ん、神奈子がため息をつくとこう言った。

 

「わかった、諦めるよ……だけど、もう社壊しちゃったから……治せないけど」

「お前は許さない」

「はいはい、またね。君も」

「二度と来るな!!」

 

神奈子は元からいなかったかの様に、消えていった。

 

「ふぅ、どうなるかと思った」

「おつかれ」

「ありがとう」

 

……気まずい。

少年も諏訪子も、あんた型でプロポーズをした……結果的に危機は去ったが凄く気まずい。

 

「……私帰る」

「はぁ?」

「……だって///」

「分かった」

 

2人の間に言葉なんていらなかった。

 

「じゃあ、さよなら」

「ちょっと、待って」

 

彼女は俺が投げた短刀を拾ってくると祈った。

すると、刀身にカエルの絵が掘られていた。

 

「これ……」

「御神刀にして、豊穣の祈りが込めてあるから、じゃあ」

 

またね……

 

彼女はこの世を去った。

 

「……」

俺は心に残るモヤモヤを抱きながら帰路へ戻った。

 

その時は龍はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………続くかもしれない

 

 

 

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