気にしない方向でお願いします。
何もわからないまま会議は終わった。
現状の対策としては極力1人での行動を控えるだけである。
大きなため息を漏らした花音は空を見上げた。
「どうしてこんなことに...」
こんなはずではなかった。
イリスを倒したとき世界は、未来は平和だと思っていた。
だが、再び現れたイロウス、姿を消したゆり。
少しずつ、確かに崩れ始めた日常。
不安ばかりが募っていくが焦っても仕方がない。
そう言い聞かせ冷静を取り繕うとするがどうも落ち着かない。
そんな花音の不安をいち早く感じ取ったのは当然のごとく『国枝詩穂』であった。
「大丈夫?」
その一言に込められた意味を感じ取った花音は笑みを作ることなく首を横に振った。
「正直ね...不安なの...
力もなく何も見えない状況、焦りばかりが溢れてくるの」
胸も前で拳を握り締め自らの無力さを噛み締めた。
何もできない状況、久しぶりに感じた。
まだ星守達と出会う前、何の力も持たなかったあの頃以来だ。
力を取り戻す方法はわからない。
だが何らかの方法があることだけがわかっているこの状況で自分にできることなんてないことはわかっている。
だからこそ焦る気持ちを抑えることしか出来なかった。
詩穂もそれがわかっているからあえて深くは追及せず花音の手を握った。
その日の帰り道、彼女たちの前に突如イロウス達は現れた。
数はそれほど多くないが力を持たない今の自分たちには何もできない。
だから今は逃げることしか出来なかった。
息を切らしながら出来るだけ人のいないほうへと逃げていく二人。
だがこのままではいつか追いつかれてしまう。
こんな時に...そこまで考えたが頭を振るいそんな思考を振り払った。
そんなことより今はどうすればいいか、それのみを考えようとした。
小さな悲鳴と共に握っていた詩穂の手が離れた。
足を押さえ蹲る詩穂、足を捻ったのであろう。
「花音ちゃんは逃げて!!
私は大丈夫、だから!!」
「そんなこと出来るわけないでしょ!!
いいからつかまって」
詩穂の肩に手をまわし抱き替え再び走り出した花音だったがやはり速度は落ちイロウス達にあっという間に距離を詰められた。
「花音ちゃん...」
詩穂は小さく息を吐き意を決し花音を勢いよく突き飛ばした。
「詩穂!!なにを!!」
その瞳の先にはイロウスに飛び掛かれている親友の詩穂の姿があった。
その瞬間時が止まった。
私はまた守れないの...あの時と同じように...
そんなことが...あっていいわけない!!
胸の内側から熱い感情が溢れてきた。
守りたい、守らなくちゃ、守るんだ!!
手を伸ばすとそこには使い慣れた二丁の片割れ、アルタイルが握られていた。
「私はみんなを、詩穂を守るんだ!!」
トリガーを引き弾丸を放つ、銃弾は詩穂を捉えたイロウスの腕をふき取ばした。
守るため私は戦う、力を取り戻したんだ。