呪いと言った。
神樹様は正しい存在ではないと言った。
それが何を示す事かを知るものは今神樹ヶ峰にはいない。
授業中ぼんやりと窓の外を眺めるみき。
今までも沢山迷うことや悩めることはあった。
だが一度たりとも疑うことのなかった存在『神樹様』を疑う時が来るとは...
勿論信じたわけではない。
だがただ否定することもできないのが現状である。
突如よみがえった『星衣』、消えた仲間、新たな敵の出現。
未だに神樹様に動きはなくただ流されるように戦うこの状況。
何を信じるべきか、何をすべきかわからない...
小さくため息を漏らすと頭をぽんと教科書で叩かれた。
「わからないことも沢山あるのもわかる
だが、今は授業中だぞみき」
曖昧な笑顔でごめんなさいと返すがどうも頭は授業に向かない。
このままではいけないのに...
合宿所につくとベットに倒れこむ。
今自分が何をすべきか見失っている。
何もわからない...
「わたしは...」
ナニヲマヨッテルンダ
だれ?
ミキハイママデダッテドンナクナンモノリコエテキタジャナイカ
あなたはだれ?どこにいるの?
イマスグニソッチニイキタイガイマハイケナイ
ダカラモウスコシマッテイテクレ
「まって!!」
勢いよく体を起こし手を伸ばす。
周りを見るともう暗くなっておりおそらく寝落ちていたのであろう。
枕元に光る何かを見つけ拾い上げる。
それは赤い光の残滓であった。
彼女を思わせる深紅の暖かい光の。
「もしかして...」
辺りを見渡すがなにも、誰もいない。
彼女の想いがここに来てくれたのであろうか...
消えゆく光を見つめながらそんなことを思っていると部屋の扉がノックされた。
こんな時間に誰だろう?
そう思いながら扉を開くとそこには不安げな表情の『成海遥香』の姿があった。
「はるかちゃん...?」
「何度かノックしたのだけれど返事がなくって...
大丈夫ならいいのだけど...」
何とかいつものように笑顔を作り平気平気と答えるが遥香には見破られたのであろう首を振られた。
「ちょっと話が出来ないかしら?」
勿論と答えると共に外へ出て空を見上げた。
「...みきは...」
しばらくどちらもなんと切り出そうかと悩んだ様子であったが先に話し始めたのは遥香であった。
「みきはどう思った?」
すぐに察しはついた、敵の言っていたことについてだ。
「わたしは正直何もわからなくなったのだけど、みきはどう思った?」
「わたしは...」
正直自分の答えはわからなかった、何が正しくて何が間違っているかなんて。
だが変わらないこともあると気付いた、気付かされた。
「わからないけど、やるべきことは何も変わらないって気づいたのよ
みんなを守るため、この星を守るために戦わなくちゃいけないって」
その瞳はまっすぐと親友の遥香を見つめている。
その言葉に彼女の意思を感じ取った遥香はくすりと笑った。
「みきは何も変わらないのね...」
そうつぶやくとそれじゃ帰るわねと手を振りみきに背を向けた。
「また明日ね」
彼女に手を振り別れの言葉を告げた。
遥香が行方不明にったのはこの次の日であった。