「仮想シュミレーター?」
皆が声を揃え風蘭に問いかける。
空き教室に集められそこに設置されたベッド上の危機を前に風蘭が説明を始めた。
「これは以前の戦いの際使用していた大型イロウス戦闘シュミレーターを改良したもので、今回のは実際に肉体を動かすことはせずにイメージ内で戦闘をしてもらう
実際に肉体を動かさないことで怪我や肉体へのダメージを受けることなく特訓を行える代物だ
今、ソフィと名乗る敵の出現、これまでのデータから実際に出撃してとはいかないのはみんなわかっていると思う
だから現在星守の力を取り戻していないメンバーにはこれを使って力を取り戻す特訓を受けてもらう」
以前までの皆なら風蘭の特訓というと嫌だなんだと文句を述べていたが今はそうも言っていられない状況だということを理解しているためただ頷いた。
「だがリスクがなくなったわけじゃない
あの反転現象が起きないとも言えない
もしそうなってしまった場合...最悪...」
止める方法のわからない現象を前にこれ以上敵の戦力が増えるとなると手が付けられなくなる。
そうなる場合最悪仲間を討たなければならない。
そう告げようとした瞬間望が立ち上がり声を荒げた。
「そうはなりません!!そんなことさせません!!」
「望...」
不安げにくるみがそっとなだめるように背をさする。
不安なのは皆一緒、だが想いも一緒だ。
信じたい、信頼している。
その想いを胸にまずは詩穂、昴、サドネの3人が行うためベッドに横になりゴーグルをかける。
「いいか、敵の出力は控えめには設定しているがフルダイブ中は目の前の景色が現実だ
痛みも感じるし決して死んでもいいなんて思うんじゃないぞ」
瞳を閉じ大きく息を吸うと一瞬脳が揺さぶられるような感覚に襲われ、再び目を開くとそこには以前一度訪れたことのある廃城の謁見の間に詩穂は立っていた。
「ここは...あの時の...」
以前ペンダントに操られた際に訪れた廃城。
辺りを見渡すが特に何もなく、敵の気配もなかった。
微かに埃の臭いがし本当に仮想空間にいるのかわからなくなる。
一歩踏み出し探索しようとしたその瞬間ヒールで踏み鳴らす音が玉座付近からし振り向く。
漆黒のドレスにその身を包み月夜のような銀色に輝く髪が隙間風になびく。
そしてこちらを見下すようにこちらを見つめる深紅の瞳が月光を浴びて怪しく輝く。
そこに立っていたのは以前闇に呑まれた自分自身であった。
「ごきげんよう、そしてさようなら...」
そこには過去に闇に落ち、共に刃を向けた自分自身が立っていた