声が聞こえる...アタシを呼ぶ...
ゆっくり瞳を開けるとそこにはいつもの教室が広がっていた。
「ここが...本当に仮想世界...?」
あまりにリアルな風景に圧倒されているとさっきより大きな声で呼ばれた。
「昴、一体どうしたの、さっきからぼーっとして」
「えっ!?は...はるか!?」
なんで遥香がここに...そう考えていると遥香が手を取り手を引いた。
「早く行きましょう、そろそろ時間でしょ」
「時間って一体...?」
「もう、忘れたの?もう試合の時間でしょ」
そう言う遥香に連れられて昴は校庭にたどり着いた。
服を着替えグラウンドに立ち戸惑いながらも柔軟を始めた昴であったが、首を振るい再び遥香に駆け寄る。
「遥香、アタシはこんなことしてる場合じゃないんだ...
早く力を...星守に戻らなくちゃいけないんだ...」
「昴...そう...なら昴はもうフットサルは...スポーツはしないのね」
「え...?」
そっと頬に触れた遥香の手が冷たく、どういうことか分からず戸惑う。
「そんなこと...もちろんフットサルも続けるけど、でも今は...」
今はやらなくちゃいけないことがある...そう言おうとしたところ遥香が首を振る。
「そんな都合よくはいかないわ、以前とは違うのよ
昔みたいにあれもこれもとはいかない...選ばなくちゃいけない時なの」
「選ぶ...!?
そんなこと出来るわけない、アタシにはフットサルも星守の活動もどっちも大切だから」
「それなら選ぶことが星衣を再び手に入れる条件だと言えばわかってもらえるかしら?」
もし遥香の言うことが真実なら選ばなくてはいけない...それならアタシは...
「そんなの決まってるよ...どちらを選ぶかなんて...
みきを放っておけるわけない、遥香を必ず助け出して見せる...だから!!」
そう言った瞬間目の前が真っ暗となり辺りが闇に包まれた。
目の前にいたはずの遥香は姿を消し周りには何も、誰もいない。
「一体何が...」
スバル...キコエル...スバル...
遠くから遥香の声が聞こえ辺りを見渡すがその姿はどこにもない。
「聞こえるよ、遥香はどこにいるの?」
ヨカッタ...ジカンガナイノ...ダカラオネガイダケヲイウネ
モトノセカイニカエッタラ...ワタシヲケシテ...ミンナヲコレイジョウキズツケナイヨウニ
「何言ってんの、そんなこと出来るわけないでしょ
大切な友達を...」
トモダチダカラタノミタイノ、オネガイ...ジャナイトワタシハ...
その声だけを残し昴の意識は現実世界へと引き戻されたのであった。