崩れ落ちるみきを見下ろす遥香。
それに気づいた昴は力を振り絞り目の前のイロウスを吹き飛ばして遥香に突撃する。
「みき!!」
軽々と攻撃をかわした遥香をよそにみきを抱き起した。
「みき!!しっかりして!!」
「ごめんね...昴ちゃん...私じゃ遥香ちゃんを...止め...られなかった...」
消え入りそうな声と共に彼女の頬を伝う雫を振るえる手で拭う。
「そんなことより早く戻らないと...」
みきを抱きかかえ戻ろうとした昴であったが遥香がそれを許さないと槍を振り払う。
何とか回避した昴であったがこの状況下でみきを抱え離脱が困難だと悟り抱えたみきをそっと降ろし【ライオネス】を構える。
「...遥香どうしてこんななことを...
みきは遥香を殺そうとはしなかったのに...」
「...私には私のなすべきことがある...
その障害になりえるみきを討つのは当り前よ...」
その冷たい一言を聞いた昴の中でぷつりと何かが切れた。
「どうしてそんな、アタシたちは友達じゃん、仲間だよ!!
なのに遥香はそんなアタシたちを捨てて戦うと言うのならアタシが遥香を討つ!!」
決意の瞳に涙を浮かべながら遥香に向かい
突撃した昴の一撃を遥香は何とか回避するが、バランスを崩し膝をつく。
その隙を見逃さなかった昴はすかさず追撃するが何とか攻撃をかわし遥香は先ほどはじかれたリリィを拾った。
「昴...私を討つという割には攻撃が当たらないわね、当てられないのまちがいかしら?」
図星であった。
いくら覚悟を決めたと言っても大切な友を討つなんてことを軽々と出来るわけもなくどうしても当てたくないと思ってしまう自分がいた。
その迷いから攻撃が空を切るこの状況。
痛みを何とかこらえみきが手を伸ばす。
「は...るか...ちゃん...すば...るちゃん...もうやめて...」
彼女の悲痛な声は当の本人には届かずに戦いは続いていた。
「みき!!」
そこに周囲のイロウス達を倒しきった花音とうららが駆け付けた。
「みきてぃ先輩、ひどいけが...早く戻らないと!!」
「...うららはみきを連れて先に戻って...」
そう言い花音は立ち上がりアルタイアを構えた。
「私があの二人を止めるから...」
その言葉には静かな怒気が込められておりうららに有無を言わさない迫力があった。
「わかった...でもかのかの先輩も気を付けてね」
心配するうららをよそにその言葉は花音には届かなかった。
「遥香!!」「昴!!」
互いに思いを込めた一撃を撃ち合い互いに後方へ吹き飛ばされる。
その瞬間を花音は見逃さずに高々とジャンプで接近し彼女を撃ち抜いたのであった。
反動で体ごと吹き飛ばされた遥香が力なく倒れ伏す。
「は...遥香...?」
同じく吹き飛ばされていた昴が体を起こし震える声で彼女の名を呼んだ。
呼びかけに何の反応も示さない彼女の姿に戸惑いを隠せない。
そして状況を理解した瞬間にこみあげる感情を抑えられずに声を上げた。
花音を睨みながら。
「なんで...なんで遥香を!!」
こらえきれずに花音に歩み寄り胸ぐらをつかむが彼女は顔を背けるだけ。
「...あのままじゃ昴も危険だった...
討たなければ討たれていた...だから...」
「だからって...」
ふらふらと遥香に歩み寄り体を起こすあることに気付いた。
微かに、だが確実に呼吸音がする。
「...まだ息がある...」
零れる涙をぬぐうことを忘れてただただその無事を安堵するだけであった。