真っ暗な闇に沈んでいく。
わたしは一体...どうなったんだっけ?
確か遥香ちゃんと戦っていて...
それでどうなったんだっけ...?
...そうだ、たしか遥香ちゃんに負けたんだった...
死んじゃったのかな私...
もしそうならみんなは?
無事だといいけど...
瞼の裏が微かに眩く何とか少しだけ瞳を開けることが出来た。
そこは真っ白な天井に無機質な電子音の鳴り響く場所であった。
天国にしても地獄にしてもここはなんて殺風景なんだろう、そう思えて仕方ない。
微かに映る視界の端に見覚えのある顔があった。
「みき!!目が覚めたか!!」
「せ...先生?」
涙を浮かべこちらを覗き込む先生を見て自分がまだ生きていることを理解した。
「...先生、みんなは...?」
少し迷ったような表情になったが小さく頷き微笑んだ先生はみきの髪をそっと撫でた。
「大丈夫だよ、だから今はゆっくり休んで...」
なんとなくだが何かがあったことはわかるけどもう瞼を開けることが出来ないようだ。
いつものようななでなでを感じながら静かに意識が真っ暗な闇に沈んでいった。
みきが目を覚ましたことを確認した先生は部屋を出て大きなため息をついた。
「...まさかこんなことになるなんてな...」
それはみきが目を覚ます数時間前のことであった。
うららに抱えられ帰還したみきはすぐさま治療が行われた。
話によれば遥香に体を貫かれたとのこと。
どの程度の治療が可能かはわからなかったがそうも言っていられない。
緊急オペが執り行われたが治療室から出てきた医師から告げられたのは信じられない言葉であった。
傷がない。
正確に言うなら傷跡はあったが既に正体不明の物質により傷口が閉じられていたとのこと。
行われた治療はその傷口を塞ぐ瘡蓋とでも言えばいいかわからない物質の除去のみ。
除去後にはその傷口はきれいに治っていた。
その物質を見た瞬間血の気が引いた。
それは神樹から生成される【神樹の雫】そっくりであったから。
その後精密検査が行われレントゲン写真を見せられた時にあのソフィの言っていたことが見えてきたような気がした。
『神樹はそんなに正しい存在ではない』
みきのからだ中に張り巡らされた黒い影を見てしまえば...
ゆり、ミシェル救出チームたちが帰還したと通信が入ったがまだ病院にいると連絡を入れそのままみきの傍に付いていた。
そうしてあげることしか出来なかった。
いつだって無力な自分には...
零れ落ちた涙が床を濡らすだけであった...