勢いよく合宿所の窓を開くと少し溜まっていた埃が空に舞う。
一時期は多いときは毎日誰かが使用していたが今となっては時折部活動にて使用するぐらいとなっていたこの合宿所。
みきは小さくため息を漏らした。
「まさかこんなことになるなんて...」
その日この合宿所の清掃に当たっていたのはみきのみであった。
「本日からしばらく合宿を行います」
樹の宣言を聞いた皆の反応はあまりよくはなかった。
「ごめんなさい」
そう先に誤ったのは現生徒会長である天野望であった。
「いまが大変な時だってのはわかってます
でも、明日葉先輩から引き継いでまだまだやるべきことがたくさんあって...
正直アタシはそんな要領とかよくないから今は生徒会の方に集中したいです」
「そう...」
樹がそう漏らした。
望の気持ちを察した同じく生徒会副会長である常盤くるみもおずおずと手を挙げた。
「すみません、私も...」
「くるみも...
他みんなはどう?」
樹の問いかけに最初は決めあぐねていた様子だったが一人、また一人と手を挙げていき最後的にはみき以外が全員手を挙げていた。
みきはそれに驚く様子もなくただ黙っている。
「わかりました...
そういうことならしかたないので...」
ひとまず合宿はなしでと言いかけたところでみきがようやく手を挙げた。
「やりましょう、合宿」
生徒会室にて山のような資料の整理をしながら大きなため息をついた望。
「結果的にみきに丸投げすることになっちゃったなぁ...」
正直後悔している自分がいることは理解している。
だが今や全生徒の責任を請け負う者として、偉大な明日葉先輩の跡を継ぐためにも中途半端など許されない。
「望の気持ち、みんなわかってると思うよ」
くるみが終えた資料を抱え望の席に降ろす。
「うん...でもやっぱり手伝うべきだったんじゃないかなぁ...」
「でも望は生徒会長としての道を選んだんだよね
だったら今は一緒に頑張ろうね」
「...うん...」
再び大きなため息を漏らし資料の整理に取り掛かる望であった。
昴をはじめとする元星守のメンバー達も部活動や勉強に精を出しつつも心の奥には引っかかるものを感じているのであった。
「みき...一人で大丈夫かな...?」
「ほんとうは手伝いたいのだけど...」
皆の気持ちは同じであった。
が、今はそれぞれの生活、環境、立場により手伝うことが出来ないことに苛立ちにも似た感情を感じていた。
いや違う、皆は気付いていたのだ、認めたくなかったのだ。
自分達がもう【特別】ではないことを...